知らない天井だ……ほのかに香るおまんじゅうの匂いに誘われ目を覚ます。するとどうだろう、目の前には耳の生えた可愛い女の子がいるではありませんか。
「あなた、この宿の前で倒れてたけど大丈夫? 」
目の前の女の子に見蕩れていると、彼女から大丈夫か、と尋ねられた。自分は大丈夫だと告げると、彼女は胸に手を当て「良かった……心配したのよ……? 」と返してきた。
「あのー、ここってどこなんですかね? 」
「ここはユキヤマ温泉っていうお宿なの。私はギンギツネよ、貴方、このお宿の前で倒れてたんだけど大丈夫なの? 」
どうやら彼女はギンギツネというらしい。なるほど、可愛い娘だなぁー。あ、でも、私にはエーフィのエーちゃんという心に決めた娘がいるしなぁ…と、考えている折に恋焦がれたおまんじゅうが視界の端に映る。
「おまんじゅう!! ギンちゃん、食べてもいい!? 」
「ギ、ギンちゃん……? おまんじゅうならあげるわよ。はい」
そう言ってギンちゃんはおまんじゅうを手渡してくれる。はぁー! これが長い間待ち望んだおまんじゅうだぁー……このおまんじゅうは凄いカラフルなんだね、くんくん……!? なんだ、この香ばしい匂いは!新手の味が生み出されたとでも言うのか……
「あなた、色んな顔をするのね。」
ハッ!!! いけない、いけない……危うく我を忘れるところだったよ。じゃあ早速食べようかな。まずは1口……
「!? お、美味しい!?!? 」
なんだこれは! 今まで食べてきたおまんじゅうとは一線を画すほど濃厚な味わいじゃないか!これは病みつきになりそう……いかりまんじゅう……多分こっちの味付けの方が美味しいや。
「……あなた、顔によく出るって言われない? 」
「?」
顔に……よく出る……? なんだそれ。そんなことより凄い美味しいんだけどこのおまんじゅう! はー……生まれてきて本当に良かったぁー。
♢♢♢♢
「ギンちゃんは私の恩人だねぇー……けぷっ……」
「まさか、あれだけあったジャパリまんを食べ切るとは思わなかったわ……」
「そうだ、一宿? 一飯の恩だし、何かお返ししなきゃ! 」
「そんなに大したことしてないわよ」
「いやいやー、そんなに謙遜しなくても! 私に出来ることだったらなんでもするよ! 」
「んー……それなら、実験を手伝って貰おうかしら」
「じ、じっけん? 」
♢♢♢♢
「着いたわ、ここが私の研究部屋よ! 」
案内されたのは薄暗い部屋。中には雑多に積み上げられた本や、液体の入ったビンが所狭しと並んでいた。
「ここで私は、薬とか機械を作っているんだけど……ってシャワーズ、なんで怖がってるの? 」
「く、薬かぁー……イヤな思い出しかないんだよね……」
そう、私はよくご主人に葉っぱを食べさせられていて薬には軽いトラウマがあるのだ。あの薬、ほんとに苦かったなー。
「えぇと……あったあった。この薬を飲んでもらってもいいかしら」
そう言ってギンちゃんは禍々しい緑色をした液体を取り出した。え、うそ、何あの色。多分飲んじゃいけないやつだよね……
「あのあの、確かに手伝うって言ったけど、この薬大丈夫なの……? 」
「わからないから実験するんじゃない。はい、飲んで! 」
「あ、無理矢理は嫌いじゃないけど待って、それはちガバヴォッ!!! 」
「即効性のある薬のはずだけど……どう? なにか変わったことはある? 」
「なんらかあたまがおかしくなってきひゃような……」
「よし、ちゃんと効いてるわね! 」
「ギンひゃん……なにのまへたのぉ……? 」
「一応フレンズを混乱させる薬なんだけど、その調子ならよく効いてるみたいね!」
「ふぇええ……まっへ……きぶんが……ほんほにわるふなってきは……」
「あ、あら……? 予想以上に効いてる……? もしかして、配分間違ったかしら……」
「う、うぅぅ……ギンひゃんたひゅけへぇえ! 」
「ちょっとまずいわね……一旦横になって安静にしてた方がいいかもしれないわね。シャワーズ、手を握って。解法出来るところまで連れていくわ」
「うぅぅ……ひょっとまっへ……ウッ」
「へ、ちょっと、嘘でしょ!? シャワーズ! 待ちなさい!! 」
イャアアアア
この二次創作は独自の設定が多々あります。予めご了承ください(遅い)