俺と私の日記帳   作:竹俣 兼光

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二作品目。


どっちも気が向いたら書くタイプになっておりまする。


幸せだった日々
俺とわたしの出会った日


やあ!はじめまして。

俺は…まぁ名前はいい。

 

さて、早速だが皆に質問だ。

ヨーロッパとかってカッコよく思ったりした事ないかい?

 

まぁ、人それぞれだろう。

俺は憧れた。親に頼み込んでレイピアやアーチェリーなんかを習わせて貰う位には。

やるからにはと、大会も何度か出場した。優勝こそできなかったものの、それなりに良い成績を残せたと思う。

大人になってからは銃がカッコいいと思い、クレー射撃なんかもやった。

 

うん?自分語りが長いって?

…すまん。少し現実逃避したかったんだ。

こんな風に記憶はしっかりしてる。成人男性だったと記憶してる。

 

 

正面には困惑した顔の幼女。可愛らしいヨーロッパ風のドレスを着ている。

もう少し離れて見ると正面にあるのは鏡だと分かる。

俺…幼女だったっけ…?

 

いやいやいや、成人男性だとしっかり記憶している。おかしい。

 

「あなただれ?」

 

〈うん?俺しゃべった?〉

 

「ずっとしゃべってるよ」

 

〈今喋ったのは俺じゃなくて君?〉

 

「うん。わたしだよ」

 

〈そっかぁ。俺は多分君の中に居るから、周りには声は聞こえないはずなんだ。〉

 

「?うん。」

 

〈そうすると君は一人で話してる女の子になっちゃう〉

 

「うん」

 

〈周りから見ると気持ち悪いんだ。〉

 

"やだ"

 

"やだやだやだ"

 

「ぎらわれ"だぐないよ"ぉ」

 

〈おちっ、落ち着いて!泣かせたいわけじゃないんだよ〉

 

「ゔぅ」

 

〈言いたいことを頭の中で考えてみて?〉

 

"こう?"

 

〈それで大丈夫。〉

 

"ありがと。おにいさん"

 

〈どういたしまして〉

 

"わたしはメルセデスっていうの。おにいさんは?"

 

〈俺?俺は…そうだなぁ俺は俺だけど、俺は君なんだ。

記憶は男で大人でも君なんだ。

だから俺はメルセデスだよ。〉

 

"?わかんない!"

 

〈そっか。

じゃあ君が俺に名前を頂戴?〉

 

"う〜じゃあわたしのこときみじゃなくてメルセデスって呼んで"

 

〈うーんメルセデスだと長いなぁ…〉

 

"お父さんとか、お母さんとか、フェルナンおにいさんとかはわたしのことメリーって呼ぶよ"

 

〈じゃあメリー、俺に名前をつけておくれ〉

 

"わかった!

えーっと、おにいさんは、わたしで、でもちがくて…

わたしはメルセデスで、おにいさんもメルセデスだから…

 

おにいさんは、メル!

メルおにいさん!"

 

〈メル…メルだね。ありがとうメリー。〉

 

"きにいってくれた?"

 

〈あぁ、とっても!

あとメリー、《メルおにいさん》は長いだろう?メルでいいよ。〉

 

"でも、お母さんが『年上は敬いなさい。それが淑女です!』って"

 

〈そっかぁ。

俺は君での友達で居たいんだ。

君は友達に敬語なのかい?〉

 

"…ともだち?ご本でよんだよ!なかよしで、いっしょにあそんで、いっしょにいたらたのしいんだって!"

 

〈そうだね。メリーは俺と話しててつまんない?〉

 

"ううん!すっごくたのしい!"

 

〈じゃあ友達になってくれるかい?〉

 

"うん!ともだちなんてはじめてできた!

よろしくね!メル!"

 

〈よろしくねメリー。

でも他にお友達居ないのかい?〉

 

"おべんきょうばっかりで、お外はおにわにしかでたことないよ"

 

〈そっか…〉

 

 

 

コンコン

 

〈びっくりした…〉

 

「はい、なんでしょう?」

 

〈待ってメリー、さっき泣いたせいで目が赤くなってたりしない?〉

 

"だいじょうぶだよメル"

 

「メリー、愛しのメリー。勉強は終わったかい?」

 

〈えっと…こいつは…?〉

 

"フェルナンおにいさん"

〈フェルナン?

ふーん?なんか…こう…視線が気持ち悪い。五歳児にむけるモノじゃない。〉

 

"そうなの?"

 

〈こういう奴は大きくなったらなんかやらかすから気をつけておきなよ。〉

 

"はーい"

 

「メリー?」

不審に思ったフェルナンが近づいてくる。

 

「すみません。すこしボーッとしていました。」

 

そう言って一歩後ずさる。

 

「どうして逃げるんだい?」

 

そう言ってどんどんと近づいてくる。

 

「なんですか。こないでください。」

 

壁にぶつかり、これ以上後ろには進めない。

 

「どうしてそんなこと言うんだい?」

 

近づいてきて手首を掴まれる。そしてどんどん顔が近づく。

 

〈メリー、交代だよ。〉

"え?"

 

メリーとメルが入れ替わる。

 

「触るな」

そう言ってメルセデス(・・・・・)は男なら誰でも付いている弱点に蹴りを入れる。

「くぁwせdrftgyふじこlp」

言葉にならない叫びを発しながら崩れ落ちる。

「バァカ」

そう言ってメルセデスは部屋から駆け出した。

 

 

 

 

 

 

メルセデスは自分の部屋から駆け出し、近くを歩いていた女中に抱きつく。

 

「助けて下さい!」

 

必死な顔でそう叫ぶ。

 

「お嬢様、どうされたのですか?」

女中に聞かれた途端にボロボロと大きな瞳から雫が落ちる。

「フェルナン、おにいさん、が…」

しゃくりをあげながらも伝えようとする。

「フェルナン様がどうかなされたのですか!?」

「違うの、急に近づいてきて、壁に押し付けられて…うぇぇぇん!」

メルセデスは大声で泣きだす。

書斎に居る父や、部屋に居る母にも聞こえるほどの大声で。

「何事だ!よもや貴様が娘を泣かせたのか!」

走って駆けつけた父親は泣いているメルセデスをあやそうとしている女中に怒鳴る。

「ちがっ!」

「違うの!フェルナン、おにいさんが…ふぇぇぇえん!」

また同じことを説明しようとしたメルセデスは恐怖がぶり返したのかまたも大泣きする。

「…お嬢様はフェルナン様に襲われたようでございます。」

 

父親は驚いた顔をし、メルセデスに確認する。

そしてそれが真実だと知った時、フェルナンがメルセデスの部屋の扉を開けて出てくる。

 

「メルセデス!それにおじ様!どうなされたのですか?」

 

さも何もなかったかのようにフェルナンは振る舞う。

しかし、あまり泣くことのなかったメルセデスがここまで泣いている。

それならば父親としてすることは1つ。

 

「フェルナン君。金輪際私達の屋敷には近づかないでくれたまえ。」

 

そう言ってメルセデスを抱き上げて背を向ける。

 

フェルナンは女中や執事にやんわりと追い返された。

 

 

 

 

 

 

疲れた。本当に疲れた。

大きくなってから来るかと思ったが、最近(19世紀)のガキはませているようだ。

 

そうだ。ここはヨーロッパ風ではなくヨーロッパだった。19世紀の。

 

まぁなったことはなったことで置いといて、

とりあえずは最直近の危険は取り除いた。

 

〈大丈夫?怖くなかった?〉

 

"こわかった…けどメルがいてくれたし、たすけてくれたからだいじょうぶ。"

 

〈そりゃもちろん。俺はメリーの友達だからね。〉

 

それでも、箱入り娘のメリーにはとっても怖かっただろう。

外に出ないから肌は白いしヒョロヒョロだ。

今度どうにかしよう。

 

 

あと、『お父さん』がメリーに欲しいものはないかと聞いて、日記を書くための本が欲しいと言っていた。

 

 

 

 

 

あぁ、メリー!メリー!愛しのきみ!

僕のメリー!

食べてしまいたいくらいだ!

 

少年は意気揚々と廊下を歩く。スキップと言っていいかもしれない。

そして少年は扉を叩く。

そしてすかさず

「はい、なんでしょう。」

鈴を転がすような声が聞こえる。

嗚呼美しい!小鳥の囀りのようだ!

少年は扉を開く。

部屋の中はとても豪奢だった。

大きなシャンデリアがぶら下がり、上質な赤絨毯が敷き詰められている。

大きな本棚にはこれまた大きな分厚い本がぎっしりと詰められている。

そんな中、鏡の前に立つ美しい少女が目を惹く。

真雪のように白い肌。赤くぷっくりとした唇。

そして特筆すべきはその瞳と髪だろう。陽の光が当たれば瞳は藍や翠に輝き、髪は金や赤、桃色に輝く。さながら宝石箱の様だった。

 

「メリー、愛しのメリー。勉強は終わったかい?」

そう声をかけるが、返事がない。

無視しているのだろうか?

まさか!あの心優しい天使が!この僕を無視するなんて、嫌うなんてあり得ない!

「メリー?」

メリー、メリー、メリー!君は僕を嫌ってなんかいないだろう!?

 

「すみません。すこしボーッとしていました。」

 

ああ、なんだただの考え事かい?いや、そうは言っているがきっと僕に見惚れてときめいていたんだろう?

一歩ずつ近づいて行く。

 

そして少女は後ずさる。

「どうして逃げるんだい?」

 

知ってるよ。君は恥ずかしがり屋さんだからね。

大好きな僕が近づいてきて恥ずかしいんだろう?照れてしまったんだろう?

 

「なんですか。こないでください。」

 

ふふふ。強がってる君もとっても可愛い。

さあ、恥ずかしがらずに僕に抱きついておくれ。

 

「どうしてそんなこと言うんだい?」

 

彼女は壁にぶつかり、もう下がれない。

彼女の細い手首を握る。

元々年は5つ離れているため、メリーは逃げ出せない。

照れ屋な彼女にキスをする為、顔を近づける。

しかし、

「触るな」

そう言ってメルセデス(・・・・・)は男なら誰でも付いている弱点に蹴りを入れる。

「くぁwせdrftgyふじこlp」

言葉にならない叫びを発しながら僕は崩れ落ちる。

「バァカ」

そう言ってメルセデスは部屋から出て行ってしまった。

 

…怒った顔もとっても可愛いよメリー。

どんな手を使っても手に入れたいくらいに。




●月✖︎日
天気:はれ(心の中は大雨
きょうはふしぎなおともだちができました。
よくわかんないけど、わたしなんだって。
でもメリーってよぶのはやだったからメルってなまえをつけてあげた。

あと、きょうはフェルナンおにいさんがこわかったです。
お父さんが「もう来ないから安心していいよ」っていってた。ほんとうにそうだったらちょっぴりうれしい。





今日は初めてメリーと会って話をした。メリーは5歳のようだ。それにしてはしっかりと言葉を話して理解するし、字も書ける。この時代においての識字率は低い。そしてメリーの部屋を見ると分厚い専門書がずらりと並んでいた。
そしてフェルナンが言っていたお勉強は恐らくこの本を使ったものだろう。記憶を漁ればわかる。膨大な知識量だった。…この話は疲れる。

そういえば今日襲ってきたフェルナンとやらは俺の演技で少々誇張したものを大泣きして伝えたら効果は抜群だった。あれが来なくなるのは本当に良かった。

この体はメリーと共有のため、そろそろ寝なければならない。まぁ5歳だし。
それじゃあおやすみ。


1ページ目はここまでのようだ。




どうでしたか?気に入っていただければ幸いです。

ちなみにメリー5歳、フェルナン10歳のつもり。
あれれ〜?フェルナンが齢10にしてヤンデレ変態ストーカー(M)になってる〜ふしぎ〜



今分かってること
・メリーは5歳だからひらがなばっかり。メルは大人だから漢字が多い。
・メリーは頭がいい箱入り娘。
・フェルナンは変態。
・入れ替わり可


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