俺と私の日記帳   作:竹俣 兼光

13 / 33
やっと原作開始だぞい


幸せだった日

波を割く様に進む大きな帆船

数ヶ月の旅を終えてもうすぐ港へ着く

 

船員の指揮をしているのは一等若い男

黒い髪に金色の目、小麦色の肌

 

この船の船長は彼になった

前任は病に倒れ、海の中で長い眠りについた

 

 

 

 

 

「さあ、帆を畳め!錨を降ろせ!小舟を降ろす準備は出来たな!」

「あいあい船長!」

「エドモン!もうおろせるぜ!」

「じゃあ降ろしてくれ!さあどんどん積荷を運べよ!」

「「「了解!」」」

 

 

積荷を降ろし終わり、皆でちょっぴり(・・・・・)悪いことをしてから家族の元へ帰ってゆく。

 

「やあ、エドモンくん!お疲れ様だ。この後時間はあるかい?何人かで一緒に酒を煽りにいこうと思ってね」

少しふくよかな男性が話しかけてくる。

「モレルさん!ありがとうございます。けれど俺は1番に父さんに会いに行かなければいけないのです。」

モレルはニコニコして、

「そうだった、君は親孝行者だからね!その後はどうだい?」

エドモンは申し訳なさそうな顔をして、

「すみません。俺には父さんと同じくらい会いたい(ひと)がいるのです。」

モレルは大笑いする。

「はっはっは!君はそうだった!とても美しい彼女がいるんだったね!酒はまた今度一緒に飲もうじゃないか!」

「ええ、ありがとうございます。」

そう言って立ち去ろうとするエドモン。

「ああ!エドモンくん、船長就任おめでとう!」

「ありがとうございます。」

「引き止めてすまないね。お父さんのところへ行っておいで」

「はい」

家に向かって走るエドモンの表情(かお)はとても晴れやかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、メルセデスお嬢様!一体如何なされ…あぁ、エドモンでしたらまず父親のところへ走って行きましたよ。いや、お礼をされるほどでは…ほお!結婚!よく旦那様からもぎ取れましたね。さすが奥様の娘、と言ったところでしょうか。」

 

「お幸せに!」

 

 

 

 

 

 

走る、走る、走る。

淑女だと言う事などかなぐり捨てて。

 

駆ける、駆ける、駆ける。

それでも、喜びで頬を上気させながら。

 

さあ、彼の家はもう目の前。

 

 

 

家の外から呼ぶ。

 

「エドモン!」

 

扉が勢いよく開き、待ち人が出てくる。

 

「メルセデス!会いたかったよ!」

 

熱い抱擁を交わし、互いの無事を喜ぶ。

 

「ねえ、エドモン。結婚しましょう!」

「えっ!けっ、結婚!?」

「そうよ!だって、貴方からそんな話が出てくるのに後何年かかるかわからないんですもの。エドモンのお義父様にも私のお父様にもお母様にも許可は頂いたわ!」

「うぅ…何も言い返せないのが悲しいね…でも、俺は一度も君の両親に会ったことないよ?」

私はにっこりと満面の笑みを浮かべる

「ええ、知ってるわ。だから今から会いに行きましょう。」

「……今から?」

そのまま問答無用で手を引いていく。

「もちろんよ。」

「君の家は隣町だよね、今からじゃもう日が沈んでしまうよ。」

安心して、と言って振り向く。

「私の家に泊まって構わないから。」

それでも…と渋るエドモンに、仕方がないわ、とそっと脇の下を通すように抱きつく。

困惑しながらも抱き返してくる彼を可愛く思いながらも首に回された彼の腕が離れないうちに片腕を彼の膝の裏に通して持ち上げる。

 

「メルセデス!?」

そう、所謂姫抱きというものだ。

そのまま問答無用で走り出す。

 

「降ろしてくれ!手を離してくれ!」

そう叫ぶ彼を見て、やっぱり嗜虐心が湧く。

 

「そんなに言うならそうね。」

パッと抱き上げていた手を離してすぐに戻す。

「うわっ!危ないだろ、そっと降ろしてくれないか。」

離した瞬間にギュッと強く抱きしめて来るのがこの上なく可愛い。

「だって、私の愛しい人がすっごく可愛らしいんですもの。少しくらい揶揄ってもいいじゃないですか。」

そっと降ろしながら言う。

「俺としては愛しい人が意外とパワフルだった事に驚いているよ。それでも君のことが好きなのは変わらないけれどね!」

笑いあいながら2人で手を繋いで道を歩いていく。

「さぁ、俺も腹をくくらないといけないね。頑張るよ」

 

「頑張ってくださいな。港に馬車を停めているのでそれで帰りますよ。」

海に沈む夕陽が街を赤く染めていく。空にはもう月が出ていた。

ゆっくりと歩く2人月と太陽は見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「娘さんを、俺にください!」

「…………」

へんじ が ない 。ただ の しかばね の ようだ 。

ということはなく、ただ単にメリーが貰われていく事を再認識して、精神がボロボロになってるだけだからモーマンタイ!

「……」

なんでおるん?って言いたくなるけど、ガブリエル先生が壁に寄りかかってムスッとしてる。

やっぱり黙ってればイケメンだね、先生って。

 

「メリー。少しお母さんと外でお話ししましょう?」

「…ええ、分かりました。」

 

ちらりと視線を3人に向ける。エドモンはお父さんの方を向いてるからこちらが見えていない。メリーは"エドモンに何かあれば許さない"とアイコンタクトしている。

お父さんも先生もゆっくりと息を吐いて、

「少し、3人だけにしてほしい。」

と言った。

 

「失礼します」

とそっと扉を閉める。

 

 

中庭でお母様と話す。

「ねえメリー。どうしてあの殿方を気に入ったの?」

メリーは暫く沈黙してから、

「数年前に会ったの。その時に一目惚れして…」

ぱちりと目が合う。

「本当に?そんなに最近じゃなさそうな気がするのだけれど…話してはくれないの?」

この人はやっぱり怖い。

でも言葉の端々から優しさが感じられる。

「本当は、もっと前から。」

「いつ?」

「13、4年前くらいの時…」

ふふ、とお母様は笑って、

「それじゃあ仕方ないわね。貴方がそれだけ大事にするのもわかるわ」

 

くるりと振り返って、

「さぁ、戻りましょう」

彼方も話が終わる事でしょうし、とご機嫌そうに歩いてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は本当にメリーを愛しているのかい?」

 

「もちろんです。俺は彼女を一目見た時から愛しています。4年などという短い間だったとしても彼女のことは一度も思い出さなかった事はありませんでした。」

 

「そんなの僕らだってそうさ。彼女がとても小さな時からずっと。君の何倍も思い続けてる。」

 

空気の動く音が聞こえそうなほど静かになる。

ピリピリとしたこの場所はすわ戦場か、と思うほどに張り詰めていた。

 

「あの子を泣かせたらすぐにでも別れてもらう。」

 

「絶対に泣かせませんとも。」

 

 

その後、すぐにコンコンと戸を叩く音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、

 

 

 

 

もうすぐ

 

 

 

 

 

 

始まる劇は

 

 

 

 

 

悲劇(Tragédie)

 

 

 

 

 

 

喜劇(Comédie)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台の幕が今、開いた。




*月◎日 晴れ
明日は結婚式
早く寝なければいけないけれど、明日が楽しなせいで眠れない。
やっと、彼と夫婦になれる。
うれしくてうれしくて死んでしまいそう。





明日は結婚式になった。
エドモンもよくOKしたなと思う。
まあただのバカップルなだけなんだとは思う。
明日の結婚式でもしかしたら新婦が新郎を姫抱きする光景が見られるかもしれない。
それだけ楽しみだ。

この日はここで終わっている。










「よぉ、フェルナン坊ちゃん、俺らの親友!」
「どうしたんだよそんなに浮かない表情してさ!」
「ほーぅ?メルセデスのお嬢にこっ酷く振られたのか?」
「とうとうメルセデス嬢が結婚するとか?」
「おっと、あたりだな?」
「エドモンか、俺にとってもあいつは目の上のたんこぶだからなぁ」
「俺としては良き隣人だぜぇ〜?」
「まあそれはいい、フェルナン坊ちゃんはどうしたいんだよ」
「やっぱりあいつをどっかにやりたいよなぁ」
「だが怪我させりゃメルセデス嬢の怒りがなぁ」
「手を出さなきゃいいんだろ?なら(ここ)を使うのさ!」
「どうすんだ?」
「おうい!ウェイター!紙とペンを貸してくれないか!」
「何すんだよそんなので」
「ちょっとだけ待っとけや」
「そらできた。こいつをある人物にどどければ終わりさ!」
「ほぉ、密告書かい?やっぱり頭がいいなぁお前は」
「そうかい?まあ幸せの絶頂の友人のためにはこんなものはこうさ!」
「まあそれが一番だな」
「さぁ帰ろう!」
「ああ、帰ろう!」




2人が店を出た後に転がっているぐしゃぐしゃの紙を拾い僕はポケットにそっと忍ばせた。







  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。