幸せとは山のようなものである
険しい山の苦しく長い道のり
道無き道を進み
そして少し足を滑らせれば
下に転がり落ちるばかり
登るよりも早く
下へ下へと堕ちてゆく
真っ白なドレスを身に纏い、赤いカーペットの上をゆっくり歩く
一段ずつ階段を上る
牧師様の前で止まり、彼の方を向く
彼と目が合い、ふわりと微笑む
彼は白い礼服を身に付けている
腕を組み、牧師様に向き直る
「新郎エドモン・ダンテス、あなたはここにいるメルセデス・モンテゴを、
病める時も、健やかなる時も、
富める時も、貧しき時も、
妻として愛し、敬い、
慈しむ事を誓いますか?」
「はい、誓います。」
「新婦メルセデス・モンテゴ、あなたはここにいるエドモン・ダンテスを、
病める時も、健やかなる時も…」
その時、幸せが壊れる音がした
荒々しく開かれる扉
神聖な結婚式を踏み荒す軍人達
「エドモン・ダンテスさん、貴方には逮捕状が出ています。
我々にご同行願います」
そう言って軍人達は彼の腕を掴み、無理やり連れて行く。
「離してくれ、どうして俺が…」
「彼が逮捕されるなんて有り得ない!」
「何かの間違いだ!」
どうして…?
どうして私のしあわせを邪魔するの?
邪魔するなら
「何か間違いよ…
有り得ない…
離して…」
ふらふらと覚束ない足取りで進む
「離して、離して、離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して離して……彼を返して!」
走り出して近くにいる軍人に摑みかかる
首を握り、折れる寸前まで握っていた
ドスンと首に衝撃を感じてから記憶が途切れている。
最後に見えたのは悲しそうな顔をした彼だった
今日は彼女との結婚式の当日だ。
窓を開けると清々しい空が見える。
お義父さんからプレゼントされた白いタキシードを着て、髪を整える。
古めかしい小箱の蓋を開けると
日の光を浴びて深い蒼がきらめく。
「今日まで来れたのは君のお陰だよメル。
ありがとう。俺の大親友、ここで見守っておくれ」
そっと小箱の蓋を閉めると、ちょうど父の声が聞こえてきた。
さぁ、俺の人生の晴れ舞台だ!
ああ、こんなにも幸せで良いのだろうか
幸せとは己で勝ち取るもの
何と戦えば良いのだろうか
パタリと扉を閉めた後。
ぴきり、と小箱から音がした
人生とは
誰も
幸せになれるという
保証などない。
狂ってしまったのはここからなのか
それとも
最初からなのだろうか
全ては神の思うままに動いているのだ。
目を覚ませば見慣れた天井で
自分の部屋の中にいることに気がついた。
白いドレスを着ていたはずなのに。
今は私のお気に入りのドレスを着ている。
……夢だった?
ならばこれから彼との結婚式で、私は彼と夫婦になれるの?
ずっと一緒に添い遂げて、彼の帰りを待つことができるの?
子供を産んで、育てて、独り立ちさせて。
…本当に?
私の手にはまだ首を絞めた感覚が残っている。
彼と腕を組んだ感覚がある。
白いドレスを着た感覚がある。
…じゃあ、彼は?
連れていかれたまま?
どうして?
お父様なら知っているかしら。
嫌に冷めた頭で考える。
「ねえお父様。彼はどうなったの?」
何も答えない
「答えて?」
「…連れていかれた。」
「罪状は?」
「ボナパルト党の人間である可能性が高いため」
何を言っているのだかわからない。
「…は?彼が?何を言っているのです?彼はナポレオンになどあったことなければそんなものに参加するわけないでしょう。むしろ私の方があの人に関係があるではないですか!」
ふ、と窓の外を見る。
青く晴れ渡った空は太陽の位置が前に戻っているように感じる。
「お父様…今はあれからどれだけ経ちましたか?」
「丸2日経っている。少し目を覚ましたと思えば暴れだしていた。」
彼は監獄党に押し込まれることが確定しているらしい。
息子の机の小箱を開けば粉々に砕けた蒼い宝石が
あの子の宝物であることは知っている。
ずっと昔から親友のあの子と別れの品だ。
「君ももう疲れただろう?すまないね」
*月%日
メリーがもうダメになってきた。
早くエドモンをなんとかしなくちゃ…
どうすれば…
この日はこれだけのようだ。
すごく短くてごめんなさい
おかーたまの好きな数字は8
発狂表8→反響動作あるいは反響言語