俺と私の日記帳   作:竹俣 兼光

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クトゥルフ風味







覚悟はいいか!?


作者は出来てる!!


Bénédiction

もしも

 

 

 

 

 

 

 

もしもあの時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しでも変わっていたら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ白なドレスを身に纏い、赤いカーペットの上をゆっくり歩く

一段ずつ階段を上る

牧師様の前で止まり、彼の方を向く

彼と目が合い、ふわりと微笑む

彼は白い礼服を身に付けている

腕を組み、牧師様に向き直る

 

「新郎エドモン・ダンテス、あなたはここにいるメルセデス・モンテゴを、

病める時も、健やかなる時も、

富める時も、貧しき時も、

妻として愛し、敬い、

慈しむ事を誓いますか?」

「はい、誓います。」

 

「新婦メルセデス・モンテゴ、あなたはここにいるエドモン・ダンテスを、

病める時も、健やかなる時も…」

その時、幸せが壊れる音がした

荒々しく開かれる扉

神聖な結婚式を踏み荒す軍人達

 

「エドモン・ダンテスさん、貴方には逮捕状が出ています。

我々にご同行願います」

 

そう言って軍人達は彼の腕を掴み、無理やり連れて行く。

「離してくれ、どうして俺が…」

「彼が逮捕されるなんて有り得ない!」

「何かの間違いだ!」

 

えぇ、そうよ間違いだわ

 

〈メリー、落ち着いて〉

 

"大丈夫よ、とっても落ち着いてるもの。"

 

「待ってください。どうして彼が連れていかれるのですか?罪状は?」

 

1人の軍人が、一枚の紙を見せて来た。

 

「こちらの密告書が検事殿のところに送られて来ました。」

 

それを受け取り、目を通す

 

そこには、彼が航海中にセントヘレナ島に行き、ナポレオンに会っていたと書かれている。

 

 

「そうですか。だからと言ってこんなに手荒に連れて行く事は無いのでは?事実確認をしていないのですし。ですからまず、ここで聞けば良いではないですか。」

 

「それは出来ません。」

 

「どうして?」

 

「規則ですから。」

 

 

「…分かりました」

 

 

〈落ち着いて、絶対にエドモンは大丈夫だから。〉

"分かってる。ここで暴れてはいけないことくらいはね。"

 

 

「ああ軍人さん!私達のエドモンを早く返してくださいな!」

モレルさんがそう叫ぶと、

 

 

「なんだ、やっぱり犯人なのか。少しでも同情した俺が馬鹿だった。」

と1人の若い軍人が呟いた。

 

聞こえたのは私だけ。

 

 

彼は絶対に帰ってくる。

 

 

 

 

 

耐えなければいけない。

 

 

 

 

 

 

 

[本当に?]

[本当に耐えれば良いだけですか?]

[あんなことを言っているのです。保身に走って彼を牢獄に閉じ込めるかもしれない]

[そんなことない?…言い切れますか?人間というのは昔からそうなのに。]

 

 

グルグルと誰かの言葉が頭の中で巡っている。

 

帰ってくる確証なんて無い

 

耐えていたって意味が無い

 

 

 

私だって知っている人間の醜さ。

 

 

 

 

 

 

[私が狂気(チカラ)を与えましょう]

 

 

 

 

 

 

 

真っ赤に染まる視界

 

 

巻き起こる悲鳴

 

 

温かな液体

 

 

響く怒声

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば私は若い軍人を殺していた。

 

へし折れた首は骨が突き出している

 

何故かとても冷めた頭は客観的にものを考えていた。

 

軍人を殺した女。

彼は監獄島へ連れていかれる。

ならば連れていかれる前に障害は

 

 

全て

 

 

 

()そう

 

 

 

死んだ軍人の佩くサーベルを手に取る

 

自然と笑みが零れる

 

 

「クハッ…フッ…あははははははは!!!!」

 

楽しい。

 

肉を裂くのが

 

 

血が舞うのが

 

 

悲鳴を聞くのが

 

 

怯えた表情を見るのが

 

 

 

 

 

命が散るのが

 

 

 

とても楽しい。

 

「あはははッ!楽しい、楽しいッ、楽しい!」

 

 

 

 

軍人だけじゃ物足りない。

 

結婚式に来てくれた人。

 

取引先の人

 

村に住む人

 

エドモンの知り合い

 

船乗りさん

 

モレルさん

 

ガブリエル先生

 

お母様

 

お父さん

 

 

 

みんなみんな

 

 

 

()しちゃえ

 

 

 

 

 

白いドレスが真っ赤に染まる。

 

 

 

 

血が床や壁に模様を描く。

 

 

 

 

「うふふふ、最後の1人は貴方ですよ。フェルナン。」

 

 

切り捨てられて尚、笑顔でいる彼はきっと私以上に狂ってる。

 

「あぁ、僕のメリー。やっぱり世界で1番美しい…」

 

 

 

 

 

パチ、パチ、パチ

 

 

「いやぁ、素晴らしいですねぇ。さすがお嬢様です。」

 

「あら、ナイ先生。私、気づいたのだけれど…頭の中で聞こえた声は貴方でしょう?」

 

「よく気が付きましたねぇ。教師としてとても誇らしいですよ。」

 

「ねぇ、先生。この前ね、私の本棚に見知らぬ本が入っていたの。その本にはね、色んな神様が書いてあったの。」

 

「……」

 

「Ia.Ia.Nyarlathotep.」

 

「おや、」

 

「先生でしょ?この神様は。」

 

 

「ええ、そうですよ。それで?何か望みますか?」

 

 

 

「私は…私を生贄に捧げます。だから、彼に害を為す人間全てを殺して!」

 

「分かりました。どうするべきかは分かっているのでしょう?」

 

 

「 にゃる・しゅたん にゃる・がしゃんな にゃる・しゅたん にゃる・がしゃんな 」

 

 

その呪文を唱えると目の前の先生の姿がボコボコと音を立てて変わってゆく。

 

整った顔は靄になり

 

 

浅黒い肌は薄汚れた灰色に

 

 

身体はどんどんと肥大化して

 

 

足は蛸のような触手に変化した

 

 

 

それはとても悍ましく、名状し難き存在である。

 

 

 

それは貌の無いが故に、千の貌を持つ神である。

 

 

 

 

それは冒涜的な言葉を発しながら私の事を掴み上げる。

 

ミシリ

 

 

バキリ

 

 

身体中から嫌な音が聞こえる。

 

意識が飛ぶ程の痛みが襲う。

 

 

 

けれど

 

 

「うふふふ…あははは!」

 

 

 

 

笑いが止まらない。

 

 

「暗黒のファラオ万歳!…ガフッ……ニャルラトテップ…万…ざ…い!…ふふふ…先生…私、先生のこと…家族の次に大好きよ…」

 

 

靄の前まで持って来られ、もう食べられるのみかと思った。

 

 

 

 

 

 

[気に入りました。貴方のことを私の化身にしましょう]

 

 

 

それが聞こえた時には靄の中に放り込まれていた。

 

 

 

 

 

 

[ふふふ、これはこれで面白そうですねぇ]

 

[ああ、喋り方を変えなければ!声もですねぇ]

 

[そうだわ、私はエドモンを助けにいかないと!なんて、どれだけ健気な子なのでしょうね。(この子)は]

 

[まぁ約束は約束ですし。とりあえずフランスの人間を全て殺せばいいでしょう。]

 

 

[さあ、大仕事_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチッ

 

 

 

 

 

 

ただ眠るだけの神

 

 

 

 

 

 

慰めの唄を聴きながら

 

 

 

 

 

 

数多の(世界)を見る

 

 

 

 

 

そして今、一つの(世界)覚め(壊れ)

 

 

 

 

 

 

 

こうして無駄な(歴史)覚め(剪定され)てゆく

 

 

 

 

 

 

 

「残念ですね。中々に面白い世界()だと思ったのですが」

 

 

 

貌の無い神が1人呟いた

 

 

 

「まぁ、まだ世界()は有りますし。次はどんな面白い事が起きるのか…楽しみですねぇ」

 

 

無い貌が酷く歪な笑みを浮かべたように見えた。

 

 

 

 

 

 

「それでは良い(悪夢)を…お父様」

 

 

 

 




[皆さま、どうでしたか?お楽しみ頂けましたでしょうか?]

[おや、どうしましたか?私が誰に話しかけているかわからないのですか?]

[勿論、貴方達ですよ。これを見ている貴方達。]

[楽しかったですか?他人の不幸話を見るのは。]

[別に楽しくて良いのですよ。だって人間(貴方達)にとって“他人の不幸は蜜の味”なのでしょう?]

[それでは私はそろそろお暇させて頂きます。]

[またどこかの世界()で違う私と会いましょう]












サブタイ:祝福

祝福しろ!

結婚にも邪神召喚にもそれが必要だ!




ついでにバーに色付いた事にも祝福して?


おまけ

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