●月▲日
くもり
きのうはすごくいやなことがあった。
そのせいでちょっぴりおとこのひとがこわい。
なんにもしてこないとおもうけど、でもなんかいや。
でも、メルや、お父さんはだいじょうぶだった。
きょうはメルが「あんな事になった時に対処できるように体を鍛えない?」ときいてきた。あさごはんのまえだったからお父さんにおねがいしてみた。
きょうのおひるごはんにお父さんはおくれてきたけど、ごはんがおわったくらいに先生ができた。
つらかったけど、メルがやさしくアドバイスしてくれたからうまくできた。
メルがやりたそうにしてたからかわってあげたらすごくつよかった。
ぬかせるようにがんばる。
さて、フェルナンの件から早数日…
なんて事はなく、次の日。
メリーはどうやら男嫌いになり掛かっている様だ。
うん?俺?なんともないよ。
可愛らしい美少年(変態)に迫られただけじゃ動じないぜ!
ドM、おっさん、天使…うっ頭が!
まぁどうでもいい。
とりあえず、メリーのトラウマをどうにかしないと。
うーむ…
男が自分より弱いとなればいいか?
手っ取り早く武器を持たせるのと、いらないくらい強くしてみるの…どちらにしろ鍛えないとダメか。
〈おはよう、メリー〉
"おはよう、メル"
〈ご機嫌だね〉
"うん。メルがいる事が夢じゃなかったから。"
〈そっか。ところでメリー、君は昨日のことは大丈夫かい?〉
"まだちょっぴりこわいかも。"
〈それなら、あんな事になった時に対処できるように体を鍛えない?〉
"なにをするの?"
〈フェンシングとかみたいに武器を持つ奴か、バリツとかみたいな格闘技のどっちかじゃないかな。
メリーのしたい方でいいと思うよ。〉
"まえにメルがいってたフェンシングがしてみたい!
でも、それだとレイピアがないとちからにならないよね…"
〈いいや?少し筋肉をつけるだけでも意味はあるよ。
けど、心配ならいっそのこと両方やってもいいんじゃないかな。〉
"じゃあお父さんにはなしてみるね。"
寝巻きからドレスに着替えつつ、そんな事を話す。
普通、ドレスは使用人なんかに手伝ってもらいながら着る物だ。
しかし、使用人はいない。
何故か?
それは、日が昇り始めたばかりの外を見ればわかる。
メリーは5歳だというのに起きたのは日の出と同時だった。今が夏であるのを考慮すると睡眠時間が圧倒的に足りない。
倒れないだろうか。
ハラハラとする此方のことなど知らずにテキパキと着替えていくメリー。
淡い黄色のドレス。肌が透けるほど薄い…わけはなく、透けない程度の厚さのモスリンできている。
胸元がガバリと開き、ハイウエストの部分を絹でできた太い橙のリボンで締めている。
つまるところシュミーズドレスなんだが、この時代でも子供には着せないだろう…普通。
少し高めのヒールを履き、くるりと鏡の前で一回転する。
後ろにギャザーがあるため回るとふわりと膨らむ。足首まで隠れる長さなので転ばないかも心配になる。
「にあってる…かな?」
〈とっても可愛いよ。〉
「よくお似合いでございます。」
扉の前にはメイドさんが1人。
愛らしいものを見る目で見つめてくる。
「もう…ノックくらいしてください!」
メリーは頬を膨らませて怒っている様だった。…可愛い
「申し訳ございません。ノックは一応しましたが、昨日のことがあったのであまり強くはしなかったのです。」
確かにきのうはフェルナンがノックしてから入ってきた。
けどその時近くにいたのだろうか?
…いやまぁフェルナンもそれなりにマナーは叩き込まれているだろう。ならば自然か
「そうだったの…ありがとうございます。」
「いいえ、仕事ですから。」
そう言ってメイドさんは此方に近づき、細かい身だしなみをチェックしてくれる。
「大丈夫そうですね。では朝食の席へ向かいましょう。」
食卓につき、お母さんとお父さんに挨拶をする。
そして、食事の前に「お父様、おねがいがあるのですが…」
と切り出した。
んん?お父様?あれ〜?この子結構猫被り?
「わたしは、つよくなりたいのです。どうかきょかをいただけませんか?」
じっと此方を見つめた後、
「食事は書斎で摂る。後で運んで来い。」
とだけ言ってもどっていった。
"お父さん…ダメっていうかな…"
〈さぁねぇ。俺は分かんないからなぁ
"ちょっと?"
〈冗談だよ。まぁ俺たちはお父さんを信じるしかないしね。〉
"うん…"
いつもどうりだという家庭教師との勉強を行った。俺が増えた事による並列思考をふんだんに使っているため、進みが早く、どんどんと進んでいく。
「お嬢様は素晴らしいくらいに才能があります。
ですが、あなたは肉体と精神がかみ合っていない様に感じますね。」
無駄にイケメンで黒髪の胡散臭い笑いが特徴的な家庭教師だった。
昼になり、使用人に食事だと呼ばれる。
今度は執事だったため、メリーは少し怯えている様に見えた。
食卓についたが、まだお父さんがいない。
「お母様、お父様は?」
「さぁ?分からないわ。きっとお仕事が忙しいのよ。」
メリーが学んでいる教科からも察することができるが、おそらく商人なのだろう。
経済学や、心理学、果ては航海術まであった。
「すまない。遅れた。」
そうして、食事が始まった。
あまりお父さんは話さない人の様で、お母さんとメリーで話している。
一足先に食べ終えたお父さんは
「後で書斎へおいで、メリー。」
とだけ残して部屋を出て行った。
〈何だろうね〉
"朝のことかな?"
〈なら急いだ方がいいかな〉
"でもいそぐとお母さんに『はしたない!』っておこられちゃうよ"
〈本当にいいお母さんだね〉
"わたしのじまんよ"
食べ終えた俺たちは書斎にきた。
コンコン
「しつれいします。」
少しして、
「入りなさい」
というかお父さんの声が聞こえた。
そっとドアを開けると、そこには金髪のイケオジが立ってた。
お父さんみたいな寡黙なイケオジとは違うタイプだ。
「おはつおめにかかります。メルセデスともうします。」
丁寧に挨拶をする。
「これはこれはご丁寧に。僕はガブリエル。ガブリエル・グランド。」
なんか…軽いというか、チャラいというか…
「安心しなさい。これは私の古い友人だ。心配する事はない」
「はい…」
「僕のことそんなに信じられない!?」
メリーの周りにいないタイプの人だなぁ。
やいのやいの言ってるガブリエルさんと適当にあしらってるお父さんを見ながら、なんで呼ばれたんだろ…なんてメリーと話してた。
そんくらい放置されてるんだもん…
「…ということで、メリーにはこいつが教える。…手は出すなよ?」
「ちょっとばかしその殺意を抑えてほしいなーなんて」
お父さんの話を要約するとこうだ。
・ガブリエルは現在、フランス陸軍の中将をしている。
・フェンシング程度なら私も出来るが、こいつの方が強い。
・私の知り合いのため、手を出す心配が無い。
という事で、ガブリエルさ…先生に教えてもらう事になった。
メリーも平気そうだ
「よろしくおねがいします!」
元気に頭を下げたメリーは、急いで部屋の外に出る。
「ではさっそくきがえてまいります!」
ドアの閉まる直前に、
「僕はロビーにいるからね」
という声が聞こえた。
部屋に戻り、動きやすいパンツスタイルに着替える。
"たいへんだわメル!"
〈なんだい?〉
"先生はどこにいるのかしら!"
〈…ロビーにいるそうだよ〉
"ありがとう!"
部屋を飛び出して、ロビーに向かう。
ロビーでは、準備が終わったガブリエル先生がいる。
「来たね、メリーちゃん」
「よろしくおねがいします、先生」
キョトンとした後ににっこりと笑う。
「ああ。ではさっそく、剣を選んでおくれ。」
そこに並ぶのは、フルーレ、エペ、サーブルの三種の剣。
メリーは戸惑いなくサーブルを掴んだ。
サーブルは一番小さく、軽いためメリーには丁度かもしれない。
「よし、じゃあ軽く打ち合いしてみようか!」
なんとなくは思ってたけどこいつ…脳筋だ
メリーをフルボッコにしたのは許さん
先生をぼこぼこにするのが俺の目標になった。
なんで動きが良くなったかはなんとかごまかしきったと思う。多分…恐らく。ありがとう、メリー。
手加減してた先生に本気を出させるまでは頑張る。
あと、メリーが、筋肉痛になった。
テストは続くよ〜♪どこまでも〜♪
あいきゃんふらい