まぁモブになってもらうがな!
薄暗い路地裏
糞尿は垂れ流し
腐った死体が転がっている
生きた者は病を患い、精神を患う
けれど
ぁあぁーーーーー
おぎゃーーーーー
そんな所でも
新しい生命は生まれる
カツン…カツン…
足音が響く
誰かが来た
誰だろうと構わない
私はこの子を生かすためには何だってしてやる
死体を漁って見つけたナイフを握り、足音に向かって走る
闇に紛れる事なんてもう慣れてしまった
綺麗な服を着た若い男だ
身包み剥いで売ってやろう
どうせ死体が一つ二つ増えても何も変わらないのだから
無防備な背中にナイフを振りかぶる
「…丁度いい所に来ましたね。マドモワゼル」
距離を見誤ったらしい
ナイフはギリギリ男に当たらなかった
もう一度…
そう思ったけれど
振り向いた男の腕には赤ん坊が一人抱えられていた
「マドモワゼル、貴女は困っているように思える。私も同じです。ここはひとつ助け合いとはいきませんか?」
「テメエは何言ってんだ」
「そのままですよ。今、私は乳母を探しているのです。貴女にお願い出来ません?」
悪い話ではない
たが、私に頼む理由がない
「何故?私にメリットはあってもお前には無いだろ」
「そうですね…ふむ…『運命』という奴を信じてみようと思いまして」
「馬鹿か?
第一、その赤ん坊だってお前の子じゃないだろう。何故そんな汚い赤ん坊を拾う」
「言ったでしょう?運命を信じてみたいと」
「お前は真性の馬鹿だな。いいだろう面白いから受けてやる」
心底面白い
改めて見た男は背が高く不思議な金髪だった。青い目はキラキラとしているがどこか暗さがある。
「私…いえ、俺はメーガス・グランツ。メルと呼んでくれると嬉しい」
「わかったぜメル。私はライリーだ。この子はミア、可愛いだろう?その子はなんて名前にするんだ?」
ぴたりと動きが止まった
いや、空間ごと動かなくなったような気がした
人好きする笑顔を浮かべていたメルは表情が抜け落ちた様に思える
「…名前……そうだな…俺の子なんだ…でも…彼女の子だ…なぁ、アルベール」
虚ろな目で
弱々しい声で
それでも愛おしそうに
その子の名前を呼んだ
「この子はアルベール。俺の愛する息子だ」
もう一度その子の名前を呼んだメルはとても幸せそうだった
長い船旅を終えて、家に帰ることが出来る
仕事が終わって帰る時にはこっそりナポレオンに手紙を残して来た。
読み終わったらすぐ燃やす様に書いておいたが、心配だ。
まぁどうにでもなるだろう!
町外れにある家(屋敷と言っても過言ではない)に帰ろうと町の中を歩いていると、赤ん坊の泣き声が聞こえた。
いつもの様に捨て子だろうとは思うが、何故かふらふらとそちらに足が向かってしまった。
薄暗い路地裏に布に包まれた小さな赤ん坊がいた
捨てられた直後なのか、汚れたり虫が集っていたりしない
そっと抱き上げるとすぐ泣き止んだ
後ろからする微かな衣擦れの音がそこに誰かいる事を教えてくれた
半歩前に出ると背中すれすれを何かが通ったらしい
そのまま振り向けば長く、燃える様な赤毛の女性が片手に赤ん坊、逆の手にナイフを持って立っていた
「…丁度いい所に来ましたね。マドモワゼル」
ふと、彼女がいれば一人にはならないのではと思った
「マドモワゼル、貴女は困っているように思える。私も同じです。ここはひとつ助け合いとはいきませんか?」
それに、軍にいる俺は殆ど家に帰ることが出来ない。ならば誰がこの子の世話をするのか?誰かに乳母をしてもらうしかない
「テメエは何言ってんだ」
彼女の抱えた赤ん坊は元気そうだ。彼女自身、少し痩せているものの、ここにいる人間よりはよっぽど健康に見える
「そのままですよ。今、私は乳母を探しているのです。貴女にお願い出来ません?」
それだけじゃない。彼女の思い切りの良さと、ある程度の実力も選んだ理由だ
「何故?私にメリットはあってもお前には無いだろ」
確かにそうかもしれない
けれど、やっぱり
「そうですね…ふむ…『運命』という奴を信じてみようと思いまして」
少しだけ、『運命』や『神様』というものを信じたって面白そうだと、ただそう思った
「馬鹿か?
第一、その赤ん坊だってお前の子じゃないだろう。何故そんな汚い赤ん坊を拾う」
「言ったでしょう?運命を信じてみたいと」
「お前は真性の馬鹿だな。いいだろう面白いから受けてやる」
いくら罵られても構わない
それでも今の俺は貴女の
「私…いえ、俺はメーガス・グランツ。メルと呼んでくれると嬉しい」
「わかったぜメル。私はライリーだ。この子はミア、可愛いだろう?」
「その子はなんて名前にするんだ?」
ごく、当たり前のことだ
子供に名前をつけるのは
ただ、思いつかなかった。これ以外の名前は
やっぱりこの子の名前は
「…名前……そうだな…俺の子なんだ…でも…彼女の子だ…なぁ、アルベール」
きっとこれは変えられない
メルセデスの子はアルベールだという事
愛する我が子だという事
「この子はアルベール。俺の愛する息子だ」
この子が俺の
%月!日
子供を拾った。
俺の息子のアルベールは、今はゆっくり寝ている。意外…でも無いがライリーは本当にいい母親だ。3人を風呂に入れて飯を喰わせたらとても綺麗になった。ライリーが話せるのはフランス語でも丁寧な物で無いので、そこだけしっかり教えようと思う。
この日はここで終わりの様だ
ミアはマリアだけでなく、私の子という意味もあります