やっと…
やっと見つけた…
「エド…モ…
周りの声に掻き消され、声は届かない
それだけではなく、目の前の衝撃で声がでない
幸せそうに笑う彼と、腕を絡める知らない女
〈見つけた〉
〈みつけた"
"ミツケタ"
"なのに"
"嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つきウソつきウソツキ!!!!!!!!!!!!!!"
"わたしだけをアイシテくれるっテ言ったノニ"
"そっちの方がいいのね。私みたいな女よりマシよね"
"あぁ、私はただ自惚れてたんだわ"
"ワタシはいらないのね"
「ぁ…メ…リー……」
「どうしたんです!?貴方、顔真っ青ですよ!?」
視界いっぱいにトマの顔がうつる
「メリーが…」
「!…起きたんです?」
"ワタシはいらないのね"
さっきまであった暖かさは、その言葉を機になくなった。無くなってしまった
「ワタシはいらないのねって…消えちゃった……もう何処にも居ないよ………いないんだ…ねぇ、俺はどうやって生きればいいの…?もう…わかんない…」
「今まで通りに馬鹿みたいに笑っていればいいんです。死ぬのはせめて私が結婚してからにしてください」
トマが…結婚してから…?
「ふはっ…そんなの…もう永遠に死ねないじゃん」
トマは安心したように溜息をついた
「貴方ねぇ…本当に……ハァ…貴方が笑ってられるならそれで良いですよ、もう…」
「よぉーし!じゃあ俺が不死になる必要がないように、嫁さん候補を口説きにいこー!!」
「はっ!?ちょっと!!!」
「みて!グランツ大元帥よ!」
「あの子たちいーなぁ…踊ってもらえるのかぁ…」
「私がもっと美人だったらなぁ…」
若い女達が黄色い声をあげている。少し前まで自分に対してだった事を考えると、本当にミーハーというか、なんというか…
自分としては美しい愛人がいるだけで充分……いや、本当は、ここに彼女がいないかを探しに来たのだ。愛しい俺の婚約者、メルセデス・モンテゴを
「やっぱり綺麗よねー!」
「パレードの時に見かけたけど、ほんと女の人より綺麗よね!」
「特にあの髪!金なのに色々な色に見えるのが綺麗!」
「まさか!あのマルセイユの青い海を閉じ込めたような瞳でしょう!とっても神秘的!」
「それより私はあの肌ね!陶器のように白くて滑らかで…羨ましいわぁ…」
「「「やっぱり天使様は美しいわね!」」」
少しだけ、興味が湧いくる
そんなにも貴族に褒めそやされる大元帥というのがどんな人物か
一目だけでも見てみようと思った
時が、止まったように感じた
小さい頃から知ってる
‘メル’というか名しか知らない
昔からの親友
何十年も会っていない
「メル…?」
まだ、こちらに気づいていない彼は、熱心に女を口説いている
「………本当に君は綺麗だね。君には花が似合いそうだから贈りたいと思ったんだけど…君にあげたら花が可哀想だ。だって、どんなに綺麗な花も君を前にしたら恥ずかしがって閉じてしまうもの」
平気で歯の浮くようなセリフを言う所は変わらない
逞しくなった肩にそっと手をおいた
「…なんでしょう?」
口説いている途中に声をかけたからだろう。不機嫌そうで、それに加えて時間が経ち過ぎて姿形が変わってしまった。きっと俺には気づきはしないのだ
そう思えば、変に自信が湧いてきた
「いや?ただ少し大元帥と話をしてみたかっただけだ」
そう言うと、冷めた目の中に少しの光が揺らめいたように見えた
「…そうですか。レディ、すみません。また今度逢えたならダンスを一曲お願いしますね」
「ええ!喜んで!」
「それでは…
あちらに個室があります。そちらで話しましょう。俺はちょっと視線を引き過ぎますから」
スタスタと歩いていく彼は本当に気づいていないようで、悲しさと、少しの安堵感を覚えた
覚えていないなら、幻滅される事はない
この醜い傷も、白くなってしまった髪も
胸に渦巻く醜い復讐心も
「それで?話はなんですか」
そう聞かれれば、言い淀んでしまう。本当に話したい事は話せない。話したくない
「……とある女性を探している」
「愛人ですか?」
「いや…だが、なぜ愛人だと?」
「今は気難しそうな顔をしている貴方が、先程幸せそうに笑う姿を見かけたので」
「……そうか。」
「で?その
「…貴方によく似た女性だ」
「名前は?」
「メルセデス・モンテゴ…」
「分かりました。その人について教えて差し上げましょうか?」
「頼む」
「では、まずその女は俺の伴侶です。何年も前に亡くなりました」
「…は……?」
「子供は1人。」
「ま…さか…」
「【あの人しか愛せない】らしいですよ。そう言って居なくなりました」
「なんで…」
唯、幸せに生きて欲しかった
俺のことは忘れて、優しい人と一緒になって欲しかった
心の底から愛していたから
俺には幸せにする事が出来ない
ただ、幸せそうに笑う君が見たかっただけなのに
「ほんと、愛されてますね。エドモン」
「…なっ……!」
「髪も肌も随分と白くなったね。性格も荒んじゃってさぁ」
「気づいてたのか!」
「親友を忘れるはずないだろ〜俺そんな薄情に見える?」
「あの日…!」
「あれは…まぁ…ごめんね?許してちょ❤︎」
「…お前も変わったな。昔はもっと男らしくしようとしてた」
「それは君が揶揄うからだろ!女みたいだーってさ!」
「その度にお前は力で解決しようとしていたな」
「「…………」」
「まぁ、久しぶり?」
「あぁ、久しぶりだな」
こうはんにつづくよ!
だから日記はなし!
じゃあね!