俺と私の日記帳   作:竹俣 兼光

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先週はテスト期間でして…

すみませんでした。


恋愛した日

ザザン…ザザン…

 

ゆったりとした波の音が心地よい。

波に合わせて揺れる甲板で忙しなく動き回る男達。

 

「おい新入り!帆を畳め!」

 

「はい!」

 

港が近づいてきた。

このまま波に乗っていれば着くだろう。

 

「やっと帰って来れた…」

 

 

 

 

 

 

 

「そっと降ろせよ〜!そいつの中身は硝子だからなぁ!」

 

「その箱はこっちでさぁ!」

 

「おら!チャキチャキ動け!」

 

 

船から積荷を下ろしていく。

 

「すみません、これは…?」

「あぁ?中はなんだった?」

中身は…

「たばk「船室の方に隠しとけ!」…はぁ、」

「納得してねえ顔してんなぁ…新入り、お前さんにも教えといてやる。」

「?」

「俺たちは少しだけ(・・・・)悪い事をしてるのさ。煙草や茶なんかを関税の目から隠してるんだ」

関税から隠してる?

…それはつまり…

「密輸入ですか…」

新入りの少年…エドモンは少し顔色が悪くなる。

「安心しろ、これは密輸入じゃなくだだ国外から持ってきただけさ」

「それを密輸入と言うのでは?」

「そうとも言うな!けどこれはモレルさんだって知ってるぞ」

「そうですか」

 

もう何も言うまい。

これは皆がやっている。

俺だって貧乏だから文句は何もない。

木箱を船室の方に隠してから荷物運びに戻る。

 

 

 

やっと積荷を運び終わり、昼飯を胃につめこんでいるとまわりが騒がしくなる。

 

「…何かあったんですか?」

「大ありだ!モンテゴ商会の御息女が視察にいらっしゃった!」

 

モンテゴ商会の御息女………モンテゴ商会の!?

ガタリと立ち上がる若い面々。モンテゴ商会の御息女は若い。

顔は知られていないが、どんな見た目でも構わないと逆玉の輿を狙う男も多い。

 

まあ俺はただただ驚いただけだが、他は皆手摺から身を乗り出している。

 

俺も見てみるか。さぁ、どんなに肥え太った女かな…最近は周りの人達に毒されてる気がする。

女性にそんな失礼な事言っちゃダメだろ!と会えなくなった親友は叱るだろうか。

少しセンチメンタルになりながら自分も身を乗り出してみる。

 

「あの人だ」

そう言って教えて貰った女性を見ると、ロマンチック・スタイルのドレスを着ていた。ワインレッドのドレスは目を引くものの肝心の顔は白いポークボンネットで見ることができない。

こちらに気がついた女性はモレルさんに何かを言ったようだった。

船に上がってきたベテランの人が、

 

「お嬢さんが船員と顔合わせしてみたいとよ!」

 

一瞬だけ硬直したと思ったら皆、ボートの方へと詰め掛けていった。

 

「お前さんは行かないのかい?」

「いや、行きますけど…でもあそこに混じるくらいなら最後に行こうかと」

「冷めてるなぁ…それとも誰か好きな(ひと)でもいるのか?」

えぇ?どうなんだ?

そう言ってつついてくる船長は少しだけメルに似ていた。

「そうですね。まあ好きな人はいましたけど、あの人を超えられるとは思ってないので。」

 

「……ック…あははは!」

船長はキョトンとした顔になったと思えば急に大笑いしだした。

「あはは!熱烈じゃねえか!だがなぁ…一度お嬢さんとあったが、ものすげぇ別嬪だったぜ」

あと20年若ければあそこの仲間入りしてたな!

 

…そんなに美人ならどうせ相手がいるだろうに。

 

 

 

しばらくすればボートが空いて、船長やほかの既婚者の船員と一緒に陸に行く。

 

陸に上がれば、こちらに背を向ける女性。その正面には若い男たち。それでも海の男だから通常よりは身体が大きい。

それなのに普通の男女と変わらない身長差なのは彼女の背が高いのだろう。

「あっ!船長!」

1人の船員が声を上げたためこちらに気づき、振り向いた。

 

それが酷くゆっくりで長い時間に思えた。白いポークボンネットの下から覗くのは彼に貰ったサファイアと同じ蒼。ドレスとは真逆の白磁の肌。ちらりと見える前髪は薄桃色にも見える金糸の髪。

 

「メル…?」

「…え?」

メルよりは数段高い声。

けれど…それでも…彼女はメルと同じだ。あぁ会いたい。もう一度だけでも…

「メル!」

気がつけば勝手に走り出していた。

そして、すぐに抱きしめて…違和感があった。柔らかい。

真綿のようなそれの存在感があまりにも大きかった。

 

「あの?離していただけませんか?」

すぐに手を離して一歩下がる。

そして抱きしめた相手の全身を見た。

身長は自分とあまり変わらないが、ほっそりとした腰と激しく主張する2つの山。

 

メルに似てはいるものの、改めて見れば別人だ。

そして、彼女が誰か思い出しさっと血の気が引いた。

 

「貴方は誰ですか?私を知っているようでしたが?」

 

「エドモン・ダンテスと申します…すみません。もう会うことのできない友人ととても似ていたので…」

 

「…そうですか。まあ、いいです。私はメルセデス・モンテゴと申します。以後お見知り置きを。」

 

あまりにもよく似た彼女は酷く冷めた目をしていた。

 

そのまま後ろにいた船長と話を始めた彼女から視線を逸らすことができない。

 

 

 

 

 

…。俺は人生で二度目の恋に落ちた事を理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタガタと揺れる馬車の中には1人の女性…いや、年齢的には少女と言える。そんな彼女は物憂げな表情で窓の外を見ていた。

「はぁ…」

 

吐き出す息は色っぽく、成熟した体躯も合わせれば妖艶な美女にしか見えない。

まだ幼い顔立ちが背徳感を刺激する。

 

 

〈あぁ、このせいで襲われやすいんだ。〉

納得〜なんて呑気なことをメルは言う。

 

"そんなことはどうでもいいから彼に出会ったらどうしたらいいか教えて…"

 

中身はただの恋する乙女でしかないが。

 

〈えぇ〜?とりあえず他人のふりしておけばいいんじゃないの?〉

"投げやりすぎるわ"

〈だって俺恋する乙女じゃないし〉

"だってメルは彼に好かれているじゃない!"

〈だって親友だし〉

"そうゆう所よ、メル"

〈?わかんない〉

 

メルは本当に好意に鈍いわね。

あれを見てればわかるけどどう見たってメルに初恋持ってかれてるじゃない。

 

〈まぁ予想だけど、あんな別れかたしたしメリーに突撃してくるんじゃないかな〉

 

…言い逃げどころじゃない別れかただったから多分じゃなく突撃してくるわね。絶対に。

 

 

 

 

港に到着してからはまず、モレルさんを探さなければ。

建前はモレルさんのところへの視察にですから。

 

「モレルさん」

「!おやおやこれは、メルセデス嬢。お久しぶりですね」

「ええ、会えて嬉しいわ。けれど、もうお仕事は終わってしまったみたいね。」

「あぁ、先程終わったところでして。今は皆船の上で昼食を食べておりますよ」

「あら…そうみたいね。」

ちらりと船を見やれば落ちるのではないかと思うほど身を乗り出す男たち。

「ねえモレルさん。私彼らに会ってみたいわ。」

「彼らにですか?そりゃまたなんで…」

少し唇が尖っているのは自覚しているけれど…お父様が悪いのよ!

「だって…えぇ、えぇ。分かってますわ、お父様やお母様に大事にされている事くらい!」

「あぁ…旦那様ですか…」

「こんな所でしか出会いなんて無いのよ。どうせお父様は私が気に入った方としか結婚させてくれないもの。それなのに男性と出会う場はまだ早い!なんて言うんですから。」

「苦労してますねぇ…まぁうちの船員達はみんな屈強な海の男どもですから。なかなかに見目のいい奴もいますしね」

 

そう言ってモレルさんは近くにいた男の人に彼らを呼びに行くように言った。

 

 

 

 

「自分、ピエールっていいます!一目惚れです!」

「おいテメェ!抜け駆けしてんじゃねえぞ!」

「ちょっと面貸せや!」

「騒がしくてすみません、レディ。ちなみに俺はサミュエルです。」

「先輩!サミュエルさんがどさくさに紛れて告白しようとしてます!」

「わっ!バカやめろ!」

 

…騒がしいなぁ…

この告白ラッシュはかれこれ10分続いてる。

さして興味のない男性達なのでほぼ聞き流してます。

 

 

飽きたなあ…

 

 

 

「あっ!船長!」

 

船長が来たなら挨拶くらいしておかないといけない。

 

くるりと後ろを振り返ると、

 

 

「メル…?」

「…え?」

流石にこの格好をしていて即座にメルの名前を呼ばれるとは思ってもいなかった。

「メル!」

返事をする間も無く走ってきた彼…エドモンに抱きしめられる

ああああああ!顔が真っ赤になりそうだわ!もう、これをされて平気でいられるメルはおかしい!うぅ、ずっとこのままがいいけれど、平静を保ちながら声をかけなければいけない。

 

「あの?離していただけませんか?」

 

すぐに手がはなれていく。

改めて彼をまじまじと見る。

自分より少し高い身長。黒く、ふわふわとした髪。黄金色の瞳。小麦色に焼けた肌。長い船旅で少し汚れてはいるもののそれが気にならないほどに爽やかな彼に見惚れる。

 

そして、急に彼の顔色が悪くなる。

 

 

「貴方は誰ですか?私を知っているようでしたが?」

違和感のないタイミングで話しかける。

 

「エドモン・ダンテスと申します…すみません。もう会うことのできない友人ととても似ていたので…」

 

「…そうですか。まあ、いいです。私はメルセデス・モンテゴと申します。以後お見知り置きを。」

 

少し気まずくなってしまったのでそそくさと彼の後ろに立っている船長に話しかけに行く。

 

話している間もエドモンの視線が背中に刺さるのがよく分かった。




¥月£日晴れ

今日は初めて私としてエドモンに会うことが出来た。
本当にもう…もう…かっこよかったです…
あと、なぜかすごく話しかけられた。少しでも私に気があった嬉しい。
もっと会いたい。







最近、メリーが推しが尊すぎて語彙が溶けてるオタクみたいな事になってる。
完全にオタク化してやがる…遅すぎたんだ…

なんだかんだでエドモンが元気そうだし、メリーも嬉しそうだから良かった。





この日はここで終わっている。
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