戦隊ファンの僕の行方不明の親友が艦これの世界に居た事を超絶巨艦の艦娘にTS転生して知りました 作:マガガマオウ
輪廻転生、元は仏教やヒンドゥー教などの宗教に置ける魂の概念のである。
転生とは、生あるものが死後に生まれ変わり再び肉体を得る事の総称だ。
そして、転生にも様々なタイプがある、神様が要因となり転生させてもら神様転生、人ではなく魔物や亜人種に転生する人外転生、突発的な出来事で本人の知覚外で転生する偶発転生、そして性別が逆転した状態で転生するTS転生である。
『今の自分に起きてるのはどのタイプだろうか?』
彼いや彼女は、死の寸前までの記憶はある。
何故なら、さっきまで彼女は趣味の模型作りの為の資材の買いに行った帰りだった、その帰路の途中で大型トラックが車道を外れ自分の目の前に迫っていた所までは思い出せるだが、その先が思い出せない。
いや、覚えてないのでは無く、知らないのだろう。
『あの分なら、即死だったのかな?まぁ、死んじゃったものは仕方ないか。』
存外、余り気にした様子はない。
彼女の生前に両親は居なかった。
生前は男性であった彼が幼い頃に二人揃って他界したらしい。
それ以来、祖父母に育てられていたが、彼が中学に入学した頃に祖母が持病で悪化して先立ち、祖父も高校を卒業する頃に祖母の後を追った。
更に彼が社会人になる頃、中学の頃から親しくしていた友人が行方不明になる。
それからは、元々内向的な性格が強くなり、人と交わるのを極端に避けるようになった。
収入は、祖父母が残してくれた遺産とPC関連の知識が豊富なのもあって、在宅でも彼一人程度なら問題無く暮らしていけるだけの金額は確保していた。
更に、好きが高じたのかプラモなどの模型加工技術もあり、そちらの方のコンテストでの入賞賞金なども彼の生活を支えていた。
そして彼は、無類の戦隊ファンでもあった成人してからも視聴を続けていたし、無論変身アイテムから限定アイテムに至るまでを網羅していた。
模型工作も、元を辿ればミニプラなどの食玩キットを加工するために身に付けたようなものである。
その中で、彼がもっとも手を掛けて作ったキットは、轟轟戦隊ボウケンジャーに登場するゴーゴーボイジャーであった。
そして、そんな彼は…彼女になって、造船所にも見える場所に立っていた。
近くには、男性が一人と女性が一人あと周りに小人が多数。
「明石、これ成功なのか⁉」
「はい…いえ、正直…まだよく判りませんが恐らく成功したかと…。」
辺りを見回しながら様子を伺っていた彼女の耳に永らく聞いていなかった声が聞こえる。
「べに?」
「え?」
男性の声が、行方不明になった親友の高丘紅介に似ていた為に愛称を呟く。
「なんで、君がそのあだ名を…?」
「!べに…べになの⁉」
「!まさか、クロ…!クロなのか⁉」
「うん!いや…厳密には、伊能玄斗だった誰か…かな?」
紅介が、玄斗だけが使っていた愛称を呟く目の前の女性に問いかけると目の前の女性、玄斗だった彼女がその声に答える。
「クロであった誰か?…まさか!」
「うん…。僕…死んじゃったみたい。」
「なんで…なんでだよ…!」
「仕方ないよ、そう云う運命だったんだ…。」
「でも!」
玄斗の人生を思い出し、彼だけに訪れ続けた不幸に憤る。
そんな、紅介を落ち着かせる為に話題を逸らした。
「それより、べには如何して此処に?」
「お、俺か…俺は…。クロ、艦隊これくしょんってゲームを知ってるか?」
「うん、名前だけはね。」
「そのゲームをプレイしている時にさ、何処からは分からいけど声が聞こえたんだよ。」
「声?」
「あぁ、その後すぐに眠気が襲ってきて目が覚めたら、この鎮守府に居たんだ。」
「…。」
「何言ってるか、分からないよな…俺も、ここに来たばかりの頃はそうだった。」
「うん。正直、分からない。」
「だよな…。」
「でも、元気だったならそれでいいや。」
「クロ…!」
久しぶりに再会できた二人。
その形は予期できぬものだったがそれでも再び巡り合えたのだ。
そんな、二人の間に流れる空気に水を差す様に言葉を掛ける者が一人。
「あの…そろそろ、宜しいでしょうか?」
「おわ!」
「あぅ!」
「えっと…ごめんなさい。話を先に進めても?」
「あぁ、うん。よろしく頼む…明石。」
「よろしくお願いします…。」
明石と呼ばれたピンクの髪の女性が彼女に語り掛ける。
「えぇっと…先ずは、はじめまして私は明石と言います。この鎮守府で、工作艦として工廠の管理などを任されています。」
「はぁ、はじめまして…。」
「それで、私は貴女を何と呼べば良いですか?」
「へっ!あぁ、ちょっと待ってて下さい。今、確認します。」
急いで、今の自分の名称を確認しようとする。
「焦らなくても、大丈夫ですよ。」
「あった!えっと…ゴーゴーボイジャー⁉」
「ゴーゴーボイジャーですか…聞いた事が無い艦名ですね。ねぇ、提督~!」
驚愕に染まった表情した上司に驚き語尾が上がる。
「うそ…だろ…!」
「本当…みたい…だよ。」
「ゴーゴーボイジャーって、あのゴーゴーボイジャーか⁉」
「うん。その、ゴーゴーボイジャーで合ってるみたい…。」
二人で通じる内容なのだろう、互いの認識した艦船が合っているかを確かめる。
「えぇ…あの、そんなに凄い船なんですか?」
「ある意味な…。」
「あはは…あの、こっちで時速800㎞/hってどれ位のスピードですか?」
「えっ!えぇっと…約450ノットですけど…。」
「それが、おそらくですけど、私の最高速度です。」
「へ…?」
「あ~ぁ、多分なんだが火力も大和並だと思うぞ…。」
「…実在して良いんですか?そんな船…。」
「実在はしてませんよ…。」
「…それは、如何いう?」
「私はそもそも、空想の中に居る戦艦なんです。」
彼女の口から放たれた言葉を明石は上手く受け取る事が出来なかった。
何の因果か、男から女となっり行方の判らなくなった友人と再会した一人の艦娘はこれよりどんな航路を進むのだろうか、それは誰にも分らない。
ただ一つ言えるとすれば、これは序章に過ぎないのかもしれない。