小さな鎮守府の小さな物語   作:湊音

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雨の日のお楽しみ会

「瑞鳳。 そろそろ起きて、ご飯できてるわよ?」

「……もうちょっとだけぇ」

 

お姉ちゃんの声で少しだけ眠りから覚めると、水滴が窓を打つ音が聞こえてきて今日の出撃はお休みなのだと察する事ができた。

 

「いつもこうなんですよ?」

「意外だな、秘書官の時は結構しっかりしているなと思っていたのだが」

 

雨の音が聞こえる部屋の中でお姉ちゃんと誰かが話をしているようだったが、誰か来ているのだろうか。

 

「やはり急に朝食をご馳走になるなんて迷惑だったんじゃないか? 出撃の無い日くらい姉妹でゆっくりしたいだろう」

「いえ。 私もお寝坊さんも提督にはいつもお世話になっていますし、些細な事でもお礼がしたいんです。 ね、瑞鳳?」

「ふぇ……? てい……とく……?」

 

これが夢である事を願いながらゆっくり目を開けてみると、目の前には笑顔の姉と少し困ったような表情をしている提督の姿があった。

 

「おはよう。 祥鳳から朝食の招待を受けたんだが、まだ眠いなら先に頂いておくことにするが」

「ふふっ、瑞鳳凄い寝ぐせよ? それに……」

 

このまま眠っていても良いという提督と、自分の口元を指差す姉を見て自分が今どんな状況なのかはっきり理解する事ができた。

 

「いやぁぁぁぁ!? すぐに準備して来るから見ないでぇ~!」

 

私はこれ以上自分の情けない姿を見られないために提督に枕元に置いてあるぬいぐるみを投げつけると、急いで洗面台へと向かった。

 

鏡に映った自分の姿は寝ぐせこそ酷いものの、口元に涎の後はついておらず姉の意地悪だったと理解して半分だけ安心した───。

 

「これは美味いな、毎日でも食べたいくらいだ」

「お世辞でも嬉しいです。 瑞鳳もいつまでも拗ねずに、機嫌を直したらどう?」

「別に拗ねてなんて無いですよぉ~……」

 

どちらかと言えば寝起きの姿を提督に見られたという恥ずかしさの方が大きいのだが、

提督を朝食に誘うと言うのであれば自分にも事前に話をしてくれても良いのでは無かったかとも思う。

 

「次来た時には瑞鳳の卵焼きを食べたいと思っていたんだが、この様子じゃ次は無さそうだな」

「うぅ……」

「それは残念ですね、私も久しぶりに妹とご飯が食べれると楽しみにしていたのだけど……」

「う~……」

 

確かにこれ以上拗ねて居ても折角の美味しい朝食を作ってくれた姉に失礼だし、来てくれた提督にも嫌な思いをさせてしまうかもしれない。

それに、姉も提督も普段は忙しいだろうし出撃の無い雨くらいしかこうしてのんびりする事もできないのだろう。

 

「分かりました! 次の朝食は私が作るんだから! とびっきりの卵焼きを作っていっぱい焼くんだから!」

 

それから雨の降った日は私達3人で朝食を一緒に食べるというルールができた、艦載機の痛む雨は嫌いだったけど今日から少しだけ好きになれるかもしれない。

そんな風に感じる事ができるようになった一日だった。




ツイッターで頂いたタイトルから書かせてもらいましたー!

ありがとうございました('ω')
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