あとはそうだね、それぞれのキャラ視点の話も作りたい
ハオはノックすると扉を開け中へと返事を待たずに入る。
そこはフェンリルの為に用意された部屋のひとつだ。
中にはブラッドが待機し、外にも数名の護衛がついている。
「ゼロ様!?一体何が!!」
「案ずるなブラッド、魔力を全て使い果たしただけだ。」
その言葉にホッとするブラッド。
さて、何故フェンリルが一向に反応がないのか。
それはずっと固まったまま外を眺めているからだ。
ゼロのあまりの力に呆然としている。
「あ、あれ程の力があったなんて………」
「時間は掛かる。お主を救ってから魔法や強化もせず、ただひたすらに魔力を練っていたからな。」
「そんな!あれだけの魔力をずっと溜め込んで!?無茶苦茶だよ!!」
フェンリルの言うことは最もだった。
魔王の力でさえあれだけの魔力をコントロールするなど不可能だ。
それをすっと内包しておくなど自殺行為でもある。
「そのせいで意識を失っておるがな。」
ハオの言葉にようやっとゼロに気づいたフェンリルは、ベッドに寝かせられた彼に駆け寄る。
オーバーヒート気味なゼロの身体は高熱を帯びている。
「た、大変だ!ブラッド!大至急水と氷とタオルを用意して!」
「畏まりました!!」
フェンリルの指示に素早く行動するブラッドを見送り、ハオはあとは頼むとだけフェンリルに伝えて去っていった。
苦しそうなゼロの額の汗を軽くハンカチで拭う。
「お持ち致しました!」
言われたものを持ってきたブラッドは、失礼しますと言って部屋の外へと出ていく。
フェンリルは氷水にタオルを浸し、しっかりと絞ってゼロの身体を拭う。
献身的に看病しているとどこからともなくホロウが現れた。
「なにやらラブコメの気配です。」
「ホロウさん。これで大丈夫かな?」
身体を拭き終え額に冷えたタオルを置くフェンリルがそう尋ねると、ホロウは少し唸りながら手元に液体の入った小瓶をフェンリルに手渡す。
「そうですねぇ、後はこの薬を飲ませてあげてください。魔力が戻れば身体的な機能も回復するので楽になるはずです。」
「ありがとうございます!」
フェンリルはそれを受け取ると、ホロウは霞みの様に消えていった。
受け取った小瓶の蓋を開け、ゼロの身体を少しだけ起こすとゆっくりとそれを飲ませる。
全て飲み干すとしばらくして大分顔色が戻った。
「無茶しすぎだよ……」
ゼロの手を握りながらそんなことを呟くと手を強く握り返された。
目を覚ましたゼロはフェンリルの顔を見て笑う。
「また泣いてるのか?泣き虫め。」
「心配してたのに!酷いこと言うんだね君は!」
「はは、それでいい。フェルは元気なのが1番さ。」
あっ、とフェンリルは声を漏らすとゼロはまた眠りについた。
病人に気を遣わせてしまったようだ。
僕はまだまだ彼のような器には程遠いな。
それから暫くして、魔王城に1枚の書状が届いた。
それは停戦しようとの人間側からの申し願いが書かれた紙。
元気になったゼロは魔王城周辺のキャンプ地で、移民たちと共に遊んでいるところをリパーが持ってきたのだ。
「やっと来たか。老害共が無駄に抵抗でもしたんだろうな。」
そう言いながら期日をリパーに言い渡すと、それを歩きながら記入しどこかへと持っていく。
あれから少しだけ変わった。
ハオは魔王城で魔王代理として政策を、カイはあんなでも医者をしていたのでキャンプ地で治療をし始めた。
そしてリパーは何故かギルに頼まれ剣術指南役をしている。
ホロウについては謎だ。
至る所で目撃されているが、直ぐにいなくなってしまうそうだ。
そしてフェンリルも、キャンプ地で子供たちと一緒に遊び面倒を見ている。
「ねえお姉ちゃん!まおさま元気?」
「まおさま優しいでし!好きでし!」
「まおさまこの前、高い高いしてくれたー!」
「そうなの?僕には意地悪なんだよ魔王様はー。」
ニコニコとゼロの子供たちからの評判に嬉しく思いながら1人の少女を抱き抱える。
少し舌っ足らずな所が可愛い。
少し先にゼロが居るのに気づきみんなを呼び寄せる。
「あそこに魔王様が居るから呼んでみようか!」
フェンリルの言葉に全員が首を縦に振り満面の笑みを浮かべると、タイミングを合わせて一斉に魔王であるゼロを呼ぶ。
『まおさまー!!』
その子供たちの純粋な言葉にゼロは驚いた様にこちらを振り向く。
子供たちはゼロが振り返ってくれたことに喜んでいるが、フェンリルはその時の違和感に疑問をもった。
驚いていたゼロは子供たちに気付いてか笑顔で手を振っていたが、あの様子だと名前を呼ばれて振り返ったのではなく、何か隠し事がバレた時のような顔をしていた。
実に怪しい…
ゼロは何か隠していても絶対教えてくれない…
信用されてないのかなぁ…
「そのようなことはありません。」
「うわわ!!なんだホロウさんか、びっくりさせないでよ。」
失礼と挨拶する急に現れたホロウさん。
まさか声に出して言ってたのだろうか…
「いえ、ですが私は相手の考えることは何となく分かりますから。」
か、考えてることが読み取られる…
ホロウさんには隠し事ができなそうだ。
どこまで読めるんだろうか…
ホロウさんのばーか!
「おや?バカとは酷いですねー。」
「ご、ごめんなさい!!えっ!?あれも読み取れたの!?」
「何となく、ですよ。」
そう言ってニコリと笑いながら口元に人差し指を置く彼の前では嘘は出来ないと確信したフェンリルであった。
「ゼロはフェンリルに自分を知って貰うことが怖いんですよ。嫌われることを恐れています。今が幸せな分、それが壊れてしまうことを何よりも危惧しているのです。」
「そんな…僕がゼロを嫌うなんて…」
「本当に?」
あまりにも真剣な、それでいてどこかさっきの発言に対しての責任の重さを確かめてくるホロウ。
まるで飄々としていたさっきまでが嘘のようだ。
「絶対という言葉ほど、私には信じられるものはないと思っています。ですが、あなたは絶対にないと言い切ろうとしましたね?」
確かに止められなければ僕は絶対にないと言う所だった。
それほどその言葉を言わせたくなかったのだろう。
でも嘘じゃないと言える。
「精神的にもまだ少し幼い、それに多感な時を1人で過ごした貴方が、はっきり言わせて貰います。ゼロを知れば貴方は変わってしまうかも知れません。」
そう威圧的に言われたからか、それともフェンリルの気持ちを完全に否定したからか。
フェンリルは少しムッとしながら「そんなことない」と強くホロウを否定する。
その姿にホロウはニヤッと笑うとフェンリルの前にステッキを取り出す。
「ならば、ゲームをしましょう。勝てば貴方を今後どのような障害があろうと、私は必ず貴方の力となりましょう。ですが、負けた場合には貴方のその紋章は破棄させて貰います。」
「なっ!負けたらゼロと別れろって言うのかい!?」
「えぇ、いいじゃないですか。どっちにしろ負けたら貴方はゼロと今まで通りにはいきませんよ?」
その言葉にえっ?と首を傾げる。
そしてゲームの内容を聞いてないことに気づいた。
そう言えばゲームってなんだろう。
『ルールは簡単、ゼロの過去を知っても貴方は、半年しか知らないゼロを本気で愛せるか。タイトル通りのルールです。』
ステッキがフェンリルの手の甲の紋章に触れると、1本の光の剣が突き刺さり驚く。
だが痛みはない。
「それではゲームスタート。」
ホロウのその言葉と共にフェンリルの景色は先程のキャンプ地から貧しい村へと変わった。
続きます!
因みにフェンリルは現在19歳です。
お若いですねえー
ん?
てことは5年前は14歳…
あれゼロって…