目が覚めたら艦娘と深海棲艦がリアルに戦争してた件   作:Sh1Gr3

12 / 17
今回はいつもより2倍ぐらい長いです。

テンポよく書くって難しい・・・


補佐官のお仕事

 

 翌朝。

 セットした目覚まし時計が鳴るよりも先に、ベッドから這い出した。

 時刻は朝の六時。朝礼が七時から始まるので、それまでに朝食やら何やらを済ませなければならない。

 

 「……ねむ」

 

 久々にこんな早く起きた気がする。元いた世界ではまだ夏休みだったし、こっちに来てからもこんな早起きすることはなかった。せっかく日付けが変わる前にベッドに入ったというのに、これでは意味がない。

 眠い目を擦りながら、なんとか着替えと朝食を簡単に済ましていく。残った時間は、補佐官マニュアルを一読するのに費やした。

 

 補佐官マニュアル。その名の通り、補佐官の仕事内容について書いてあるものだ。昨日漣たちと別れてから、寮にこもって全て目は通したけど、もう一度見直す。これから俺がやるべきことを、頭の中で考えながら。

 

 「どうすっかなぁ……どう立ち回るべきか」

 

 一番にやらねばならないのは、この世界の艦娘と深海棲艦の事情が、いかにゲームと異なるか把握することだ。これを把握しないことには何も始まらない。

 幸い今のところほとんど差異はないものの、俺が持ってる情報はあまりにも少ない。今日から始まる補佐官業務で、どこまで違和感を与えずに情報を引き出せるか。全てはこれにかかっている。

 

 「……行くか」

 

 マニュアルを閉じて、必要なものを家から持参したバッグに詰める。そして部屋を出た。時間にも余裕があるので、ゆっくり朝の鎮守府の空気を味わいながら提督室へ向かう。

 そこへちょうど同じタイミングで、鎮守府庁舎に歩いてくる人影が見えた。遠くからでも一目で分かるピンク髪の少女、漣である。

 漣は俺に気付くと、その足を速めて駆け寄ってきた。

 

 「おはようございます!」

 

 「お、おはようございます……」

 

 いや、正確には一人ではなかった模様。よく見ると、何やら蠢く物体が漣の頭の上に乗っかっている。

 それは漣のトレードマークともいうべき、うさぎのぬいぐるみであった。

 うさぎは挨拶のつもりなのか、俺に向かって右手を挙げた。なにこれ、可愛い。

 

 (すげえな。まじで動いてるよ)

 

 「あれ?漣の思ってた反応と違う……」

 

 台詞から察するに、俺を驚かすつもりだったらしい。

 本来なら確かに驚くべき光景なんだろうけど、今や動くぬいぐるみ程度じゃ動じなくなってしまった。これも全部、妖精さんたちのおかげなんだろうな。

 なんでと言わんばかりに首を傾げる漣を横目に、鎮守府庁舎に入った。

 

 「うーん、この子を見ても何ら動じないとは……」

 

 隣を歩く漣が、神妙な面持ちで言う。

 

 「ご主人様も初めて見た時は、目を丸くしてたのに」

 

 「はあ……」

 

 返答に困り、頭を掻く俺氏。全ては妖精さんのインパクトが強すぎるのが悪い。

 

 「この子が大丈夫なのに、どうして漣にはコミュ障発揮するんですかねえ」

 

 ぎくっ。さすが漣、的確にこちらの急所を突いてくる。

 これは驚かなかったことに対する仕返しなのか。昨日は全く触れてこなかったというのに。

 

 「おっ、なんでばれたって顔してますね」

 

 漣が顔を覗き込んでくる。のけ反りそうになったが、目線を反対側に逸らして回避。

 

 「ほら、そうやってすーぐ目逸らす。ばればれですヨ」

 

 「うっ……」

 

 「いやあ、面白い人ですね神城氏は。今後とも是非、仲良くしてくださいね」

 

 楽しげに笑う漣。俺は目を逸らしながらも、小声で相槌を打つ。

 一体こんな俺のどこが面白いというのか。ただ単にからかわれてるだけな気もする。

 

 そうこう話してるうちに、前方に提督室の扉が見えてきた。漣のおかげで時間もちょうどいい。

 漣が「どうぞお先に」と言うので、先に扉をノックして、それから中に入った。

 

 「失礼します」

 

 「失礼しまーす」

 

 部屋には塚原さん以外にも、島風と霞、不知火、明石さんの姿があった。時間的には早いと思ってたけど、そうでもなかったらしい。

 みんなの視線が俺と漣に集まった。

 

 「ああっ!補佐官だ!」

 

 真っ先に反応したのは島風。彼女は俺を見るや否や、突進するような勢いで迫ってきた。

 

 「ねえねえ、かけっこしよ!今度は負けないから!」

 

 「えっ……」

 

 戸惑いを隠せない俺氏。申し訳ないけど、そのテンションについていくには、あと一時間ぐらいかかりそうだ。

 

 「ほう、二日目にしてもう打ち解けたのか」

 

 こう言ったのは塚原さん。感心したような顔でこっちを見ていた。

 

 「さすがだな神城君」

 

 「いえ、そんな……」

 

 俺は苦笑いを浮かべながら、明石さんたちに頭を下げる。

 ここで再び部屋の扉が鳴った。直後、すぐに扉が開く。

 

 「セーフ!だよね?!」

 

 「大丈夫、まだ三十秒もあるから!」

 

 皐月、夕張さんの順でぞろぞろと中に入ってきた。朝っぱらから賑やかだなと、つい笑ってしまう。

 二人が慌てて整列したのを見て、塚原さんが椅子から立った。

 

 「よし、揃ったな。朝礼を始めよう」

 

 朝礼は、提督と艦娘がその日の業務に取り掛かる前の、朝一番に行われる。提督が艦娘に一日の流れを伝え、互いに確認しあう大事な時間だ。今は人数が少ないため提督室で行っているが、これが大きな規模の鎮守府になると、大講堂などもっと広い部屋が使われるらしい。そうマニュアルに書かれていた。

 

 「第一艦隊は南西諸島近海の哨戒と演習。第二艦隊は、南西諸島からここを経由して横須賀へ向かう船団の護衛。明石は引き続き、工廠の整備を進めてくれ」

 

 塚原さんがそれぞれ指示を与えていく。そういえばバイトの時も、こうやって朝礼してたっけな。

 

 「今日の旗艦は夕張、それと霞だ」

 

 「え、私ですか?!」

 

 「……ふん」

 

 驚いたような声をあげる夕張さんと、つまんなそうにそっぽを向く霞。

 ふと夕張さんが嘆いた。

 

 「私も工廠で整備がよかったなぁ……」

 

 「却下だ」

 

 しかしそれも、バッサリと塚原さんに切り捨てられる。この光景、昨日も見たような。

 

 「以上、今日も一日よろしく頼む」

 

 朝礼が終わった。各自びしっと敬礼で返答を示したのち、部屋を出て行く。

 

 「補佐官!あとでかけっこするの、忘れないでよ!」

 

 「……うっす」

 

 部屋を出る前に、島風が念を押してきた。忘れてると思ってたのに。 

 全員が部屋を後にし、提督室には俺と塚原さんだけが残された。

 

 「さて、我々も始めようか」

 

 「お願いします」

 

 補佐官業務、一日目のスタートだ。気合い入れて仕事と情報収集に臨まねば。

 

 「まずは神城君の作業場だが、あいにく専用の個室は用意できなくてね。申し訳ないがこの机を使ってくれ」

 

 塚原さんがデスクの方に目をやる。

 昨日は気がつかなかったけど、塚原さんの使用しているデスクに、もう一つ別のデスクが縦にくっついている。端から見たら、艦これの家具に出てくる秘書艦の机みたいだ。

 

 「マニュアルは読んでおいてくれたかな」

 

 「はい、一応」

 

 「うむ。ならあとは、やってくうちに慣れてもらおうか」

 

 塚原さんに言われ、椅子に腰をおろす。さっそく、午前の業務開始となった。

 分かっていたことだが、業務はデスクワークが多い。マウスをカチカチやっていればよかった艦これとは異なり、出撃にしろ演習にしろ、その都度必要な書類を作成しなければならないのだ。

 

 例えば、ゲーム上でどこか適当な海域に出撃するとする。ゲームではマウスを操作するだけで終わるが、こっちではそうもいかない。艦隊の編成と装備、どこに出撃してどれだけ進撃し、どんな敵と遭遇したか。戦闘の結果から資材の消費量などなど、こと細かな報告書が求められる。演習に関してはさらに詳細に、艦娘一人一人の育成計画や訓練内容までも、いちいちまとめなければならない。

 

 また、提督には他にも資材管理や装備の開発、有事の際の艦隊指揮、そして艦娘のメンタルケアの役目も担っている。これら全てを一人でやれというんだから、この世界の提督業は恐ろしい。

 俺はさりげなく、それを口にしてみた。

 

 「うちなんてまだマシな方だ」

 

 と塚原さん。

 

 「鎮守府の規模も小さいし、所属してる艦娘の人数も少ない。だから作成する書類の量もこの程度で済む」

 

 塚原さんが手に持った書類をひらひらして見せる。今日中に仕上げねばならない出撃の報告書だ。

 俺の仕事は、塚原さんから渡された書類に目を通して、必要ならそれに判子を押してくこと。すこぶる単純な作業である。

 

 「これが横須賀や呉ともなれば桁外れに増える。今も海域解放に明け暮れてるだろうからな」

 

 「海域解放……」

 

 「ああ。中々てこずってるようだが」

 

 今まさに、戦場となっている南西諸島海域。ここの攻略を始めてから既に、一ヶ月以上経っているという。

 ゲームでは秒で終わる海域だが、どうも現実は甘くはないらしい。

 

 「奴らの根城を絶たない限り、このままでは埒があかん。倒しても倒してもキリがない。それこそ、まるで亡霊のごとくな」

 

 「……」

 

 塚原さんの言う通り、この世界の深海棲艦には、ゲームとは違った特徴がある。

 この世界の深海棲艦は、ずっと決まった場所に居座るゲームと異なり、出現したりしなかったりするのだ。ふと現れては、通りかかる船や飛行機を攻撃し、確かな被害をこちらに与える。だが次の瞬間には、目の前から消え去っている。このことから、()()()()()とも呼ばれてるらしい。

 

 「最初の根城も南西諸島だった。そこを叩いてから、本土近海の深海棲艦がぱたりと消え失せたからな」

 

 根城。たぶん「1-4」のことだろう。となると、南西諸島海域の根城は、必然的にあそこということになる。

 

 (沖ノ島か……)

 

 俗にいう「2-4」、沖ノ島海域。こっちの世界では沖ノ鳥島周辺だろうか。これもゲームと違って、海域名が異なるからややこしい。

 おそらく、ここを叩けば南西諸島海域は解放される。なんとなくそう直感した。

 

 「まあ、うちが気にしていても仕方がない。我々は我々のできることをやろう」

 

 「は、はい」

 

 しかし、俺の口からそんなこと言えるはずもなく。確証があればいいものの、それもないし、今はまだ動く時ではない。

 いずれ時が経てばと、気を取り直して次の書類に目を通す。

 

 「今渡したものが、第一艦隊と第二艦隊の編成案だ。うちのように、ころころ編成を変える場合は、その都度必要になる」

 

 「その都度?やばいですね……」

 

 「うむ。俺は正直、書く意味はないと思ってる」

 

 塚原さんの物言いに苦笑いを浮かべながら、紙に視線を移す。

 編成案には、先の朝礼で塚原さんが名を挙げた人たちと、各々の練度や能力値、装備までもが細かく記載されていた。俺の目はその中の、練度と装備の項目で止まる。

 

 (うわ、ゲームと全然違うな)

 

 見た感じ、どうもこの世界の艦娘には、装備スロットという概念はないらしい。ゲームでは普通、駆逐艦には装備を三つしか積めないけど、初めから主砲も魚雷も爆雷も、基本的な兵装として積まれている。さらに練度の表記は数字ではなく、「低」「中」「高」の三種類でしか分けられていない。

 業務開始から早くも、色々な差異に直面する俺氏。練度や装備の名前など、根本的なところが同じなのは幸いだった。

 

 「……ん?」

 

 書類を読んでいて、俺はふと首を傾げた。

 装備名が記載されている欄、ほとんど黒で書かれているのに、一部赤で書かれてる箇所があるのだ。黒と赤を書き間違えるわけもないし、何か意味があるのだろうか。

 

 「どうした?」

 

 「えっと……なんでここだけ赤で書かれてるのかなと」

 

 俺が疑問を口にすると、すぐに塚原さんから答えが返ってきた。

 

 「それは基礎兵装か、後から積んだ装備かの違いだな。前者が黒、後者が赤にあたる」

 

 塚原さん曰く、黒の基礎兵装はこちらが指示して装備させたものではなく、あらかじめ艦娘に積まれているもの。赤の兵装は工廠で開発したりして、後から装備させたものとのこと。

 要するに、ゲームで艦娘に何も装備させず出撃させた時でも、一応主砲や魚雷は積まれていたということだ。

 

 「基礎兵装よりも赤兵装の方が、妖精の力も強く宿ってるらしい。俺も詳しくは知らんが」

 

 「あ、そういう……」

 

 「赤兵装を積めば、艦娘個々の能力値も上昇する。まあその分、扱いも難しいらしいけどな」

 

 「なるほど」

 

 いい感じだ。俺の知りたかった情報がこうもあっさりと手に入るなんて、少し気負いすぎだったか。

 この調子でさりげなく、練度のことも訊いてみるとしよう。

 

 「あの、練度の欄なんですけど……」

 

 「練度?ああ、どうした?」

 

 「この練度って、どうやって低いとか判断してるんですか?」

 

 我ながらいいい切り出しだと思った。いきなり数字のことを訊いては、怪しまれる恐れがある。

 すると塚原さんは、さっきと同じようにすぐ答えてくれた。

 

 「そこは客観的に判断するしかない。戦闘の結果や演習、訓練等でな」

 

 「あっ……ありがとうございます」

 

 書類に目を戻す。昨日見た漣と皐月の数字と、ここに書かれた二人の練度。照らし合わせても、特に違和感はない。

 やっぱりあの数字は練度だったんだ。そして公のこの書類に、練度が数字で記載されていないということは、あれは俺にしか見えていない。そう捉えることもできる。

 

 「練度は出撃や訓練を経て上がる。いわば人の成長と同じようなものだ」

 

 塚原さんが持っていた書類を机に置き、こっちに顔を向けた。

 

 「そういえば、神城君はまだ艦娘の訓練も演習も見てなかったな」

 

 「はい、見てないです」

 

 「後で漣たちの訓練を見物するといい。最初は度肝を抜かれるぞ」

 

 「た、楽しみにしてます……」

 

 塚原さんの口振りに若干たじろぎながらも、そう返事した。

 

 

 午後。

 俺は塚原さんに言われ、漣たちの訓練を拝むために桟橋にいた。

 

 「ねー、早くかけっこ勝負しようよー」

 

 なぜかついて来てしまった島風と、連装砲ちゃんも一緒に。

 

 「まあ待ちなさいよ島風ちゃんや」

 

 そこへ漣が待ったをかける。

 

 「一応これも遊びじゃないんですよ?ねえ、神城氏」

 

 「まあ……そうっすね」

 

 「えー、つまんなーい!」 

 

 困った。提督室を出る時、塚原さんから「島風のことよろしく」って頼まれたのを思い出す。かといって俺の身体は一つしかないわけで、今はどっちかに集中しなければならない。

 

 「あはは、随分懐かれたねえ」

 

 「神城さん、島風ちゃんと競争して勝ったって本当?」

 

 こう言ったのは皐月と夕張さん。二人も既に艤装を身につけている。

 ちらと夕張さんの艤装に目をやると、漣や皐月と同様に二桁の数字が見えた。俺はほっとして艤装から視線を離す。

 

 「いえ、普通にボロ負けでしたよ……」

 

 「?じゃあ何に勝ったんですか?」

 

 「さあ……よくわかんないっす」

 

 適当に目を逸らし、話題を終了させた。

 とりあえず今やるべきことは、本物の艤装がどれ程のものなのか、この目に焼き付けること。島風と遊ぶのはその後でもいいだろう。

 

 「わかった、じゃあ私も訓練する。それなら別にいいよね?」

 

 と島風。漣は一瞬、戸惑いの表情を浮かべた。

 

 「いや、でも遠征で疲れてるんじゃ……それに勝手に燃料と弾薬使ったら、ご主人様に怒られちゃいますヨ」

 

 「あっ……そっか」

 

 「ま、少しばかり待っててください。すぐにお返ししますんで」

 

 漣が俺の方を見て言った。どうやら島風も納得した様子。

 

 「さてと、それじゃ始めましょうか」

 

 漣から真っ先に海の上に足をつけた。続けて皐月、夕張さんも海面へと降り立つ。

 三人が実際に海上に浮いている姿を見て、俺は心の中で「おー!」と歓声を上げた。あの艤装はただの飾りではなく、ちゃんと艤装としての役割を果たしているようだ。

 

 「そこでよーく見ててくださいね!」

 

 「うっす」

 

 そのまま三人は、水飛沫をあげながら海面を滑り、訓練用の的やポールが立ち並ぶ方へと駆けて行った。

 

 (すげえ……よくここまで再現できるよな)

 

 もはや感心半分、呆れ半分といったところか。艦娘のみならず艤装も完璧とは、この世界は本当に現実なのかと、疑心暗鬼になってしまう。

 

 「私はあれよりもっと速いんだよ!補佐官に見せてあげたかったなぁ……」

 

 海面を駆ける漣たちを見て、島風が些か残念そうに呟いた。ちなみに島風は、艦娘の中でも随一の速力を誇る。陸であれだけ速いのだ、海ではあれ以上に速いかもしれない。そう思うと確かに見てみたい気もするな。

 

 「神城氏ー!いきますよー!」

 

 と、海上から漣の声が聞こえてくる。三人は訓練用の的と距離をとって対峙していた。

 今のが合図だったのか、的をめがけて体勢を整える漣。主砲の先はまっすぐと的に向かっている。

 その刹那。

 まるで花火が打ち上げられたかのような発砲音と共に、砲弾が発射された。砲撃はそのまま何度か続き、砲弾が発射されるたびに目の前に広がる迫力満点の光景を、その目に焼き付けていく。

 

 「うわ、やっば……」

 

 思わず言葉が漏れた。自然と口から溢れた感想だった。

 砲撃によって、高く宙に舞い上がる水柱。跡形もなく砕け散る的。どちらも俺を圧倒するには充分すぎる光景であった。見た目は少女でもやっぱ艦娘なんだと、改めて実感する。

 やがて自分の番が終わったのか、漣が後ろへ後退。今度は皐月が進み出た。

 

 「僕の砲雷撃戦、始めるよ!」

 

 こっちまで聞こえるほどの声を張り上げ、12cm単装砲が火を噴く。

 皐月は砲撃をしばらく行った。的の周囲に水柱が乱立して、的を覆い隠さんとする。まるでド派手な噴水を見ているようだ。

 少しして砲撃が終了。的を見て着弾を確認する。

 

 (……あら)

 

 見たところ、着弾はよくて二つといったところだった。次々と的に命中させていた漣と違って、少し物足りないような気もする。

 交代して次は夕張さん。彼女も皐月ほどではないが、命中弾はまあそこそこって感じだった。

 俺は首をひねる。今の砲撃訓練、練度通りの結果といってもいい。的の具合からして、それもかなり顕著に表れていた。ゲームだと練度の差は実感しにくいけど、この世界だと目に見えてわかる。練度が数値化して見える俺には、なおさら好都合だ。

 

 問題は練度の価値と上達するスピードだが、今の訓練だけではなんとも言えない。これらを把握して最善策を考えるのも、後々の課題になりそうだ。

 ちらと視線を漣たちに戻す。

 海上で訓練に励む三人の艦娘たち。連装砲ちゃんと戯れる島風を横目に、俺はその様子をまじまじと眺めていた。

 

 

 




一応補足。

練度は書類上、漣「中」皐月「低」夕張さん「低」です。
なお、数字を明確に書かないのは、どれぐらいにしようか考え中だからだったりします(小声)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。