べ、別にソード・オラトリア1巻が行方不明になったから書けなかったとか、決してそういうのではないからね?
邪推は良くないと思うヨ?
芋虫の撒き散らす体液により、50階層ほぼ全域が強酸に沈んだ。
しかし強酸で土壌が汚染されたとはいえ、その表層は既に爆発で消し飛んでいる。
つまり現在歩くのには支障がない。
そして土壌汚染は万能農具で耕せば解消できる。
もし特典が無限の剣製や一方通行、赤龍帝の籠手などではこうはできなかったであろう......。
畑が強酸で土壌汚染されても大丈夫。
そう、万能農具ならね。
などと頭の中でネタを挟みつつ、ようやく50階層を端から端まで耕し終えた。
ちゃんと川と温泉が流れていた場所は深くまで耕した後、しっかりと固めてある。
最近はバロールと戦っているオボロを見て、ふと思った。
「そういえば、冒険者ならあの吹雪いてる階層も進めないのか?天気も変えれる気流操作能力なら、大丈夫そうだと思うんだけど」
吹雪をより強い嵐で消し飛ばすように......
「確かに、装備さえ整えれば進めない事はないとは思う。しかし、サハギン達に完勝出来ないうちに、より深い未到達領域に単独で潜るのは、流石に私でも怖いさ」
あー......なるほど。
気候に対策ができても、他に何があるかがわからないからな。
すまない、無茶を言った。
耕し終え、後はまた育つのを待つ。
温泉も整備し直し、川も同じような状態に戻したので、水が不足するたびに下から汲んできてもらう必要がなくなった。
それとオボロがいない間に、フラリと50階層にやってきた男から教わった通りに麦を加工した結果、ついにビールが完成した。
まさか小麦を1度硬いパンとして焼いてから、それを砕いて水を加えて発酵なんて、考えもしなかったな。
昔の人は何を思って、パンを砕いて水に漬けたのか......とても気になる。
彼は発酵前の品を空中に発生した黄金の波紋の中にしまうと、より下の階層へ来た時のようにフラリと去っていった。
料理のレシピをいくつかと、それに必要な植物の育て方の書かれた石版を残して。
前世でよく見た染めた金髪のとは違う、黄金のような髪に、血のように紅い目の彼は、一体何者だったのだろうか?
結局、1度も名乗らなかったんだよなぁ。
天上天下唯我独尊といわんばかりの態度を取っていたが、それが自然と思ってしまうような......何かがあった。
サハギン達が警戒していたあたり、強い冒険者なのかな?
今度、ロキ・ファミリアに聞いてみよう。
......あれ?もしかしてこのレシピって、次に来るまでに作っておけって事か!?
一体誰なんだろうなー。
神絶許モンスターに警戒されて、強いカリスマ性を持った金髪と赤目の男って誰なんだろうなー。