光の中に飛び込めばそこはどこまでも続くような森、緑の地平線
まるで海ね
でも、歌える海の中なら最高ね
沈黙を続けていた試験官が走るのを止め、こちらに振り返る
「さて、皆さんここまでが中間地点であり、本番です。
ここはヌメール湿原、通称、詐欺師の塒と呼ばれる場所
二次試験会場はこの先にあります。
この森に住む生き物達は特殊な進化をして、その多くが人間を騙し欺いて食糧にする
狡猾な生き物たちです。
命が惜しければここでさりなさい!
地下道に戻ればハンター職員が助けに来るでしょう。
進むのであれば覚悟しなさい」
「・・・・はい」
ぽっちゃりとした体形で背の低い男性が手をあげて声をあげる。
「僕は試験を辞退します。」
「ふむ、それも良い選択だと思います。生きていれば次も挑戦できるのですから」
「はい、彼女の歌がなければ僕はいつまでも続く暗闇に耐えきれなかったでしょうから」
「分かりました。では、地下道の中の出口付近でお持ちください決して一人で来た道を戻ろうなど愚かなことをしないでくださいね。」
「わっ分かりました。」
「?」
周りは戻ってはならないと言う言葉の意味が分からないようだった。
自分が必至だと周りの声は聞こえないものなのだ
あの道に悲鳴が混じっていたのが聞こえたのは余裕がある者だけだ。
「彼女がこの試験にいたのは周りの受験者にはとても幸運な事です。
ですが!ここからは歌は禁止です。分かりましたね一番!」
「え~!!」
「いいですね!!」
「・・・・はい」
歌が歌えない!
それだけで歌える緑の海が地獄に思えてテンションが下がった。
「☆?■ここは詐欺師の森?だっけ?ならあんたは本当に試験官なのかな!!」
「ひっ!!!」
ババッバ
私の髪の毛を切ったトランプを試験官のサトツさんに投げた。
気分が最悪なメリアはそれに気づくのが少し遅く、ピエロがトランプを投げたあとだった。
サトツさんは見事とトランプを止めてみせた。
な~にやってんのよピエロ!!どう見たって試験官だろ!!
この凡人ばかり(失礼)の受験者のなかで念能力者の試験官が試験官じゃないわけないだろ!!
そして唯一まともな念能力者だ!!あんたとは違う!!
「おい、メリア大丈夫か?」
「え!」
レオリオが心配そうに顔で声をかけてきた。
「いや、なんか百面相してるからさ」
「あっちょっと驚いて」
「そうだよね!俺、全然トランプ見えなかった。」
「ちっ俺も」
「大丈夫だ私達が近くにいれば何もしてこないだろう」
「うん、ありがとう」
「ふむ、詐欺師の塒と言ったばかりですし、警戒しているという事で今の事は不問としましょう。次、試験官への必要のない攻撃は失格とします。」
「ふふ、分かった★」
「こほん、では皆さん行きますよ。」
そう言うサトツさんは森の中に入っていた。
「さて、行くとしますか」
「メリア行こう」
「ええ」
メリア達は生い茂った森の中を走る。
暗くって湿った匂い
たまに木の根や草の苔に足を取られ走りにくい
そこを野生の動物に狙われる。
そしてここは嘘つきばかり
綺麗な物は全て嘘、喉の渇きを潤す煌めく水さえ罠
ここは人間の世界ではない
「じめじめして嫌~」
「メリアはそればっかだね」
「そんなことより歌が歌えない事が一番嫌なんだろ」
「う~そうなのよ!歌いたい!!」
ゴンが不思議そうな顔で回りを見渡す。
「そういえば何か人が減ってない?」
「そうね?」
「何人か野生の動物って奴に騙されたんじゃね」
「そっかー!」
ゴン達と一緒にいると楽しい
プロデューサーは友達とは違うと思うし・・・なんていうか同志?相棒?
歌手になってから友達って今までいなかったけどゴン達はもう友達だよね
「ふふふ」
「おっ機嫌治ったのか?」
「うん、少しね」
「なんだか分からないけど良かったね」
「ありがとう2人とも!でも歌いたいなー」
この気持ちを歌いたい
今、さっきより歌いたくなった。
「よーし!!早く2次試験会場に着いて歌うぞー!!」
私は走るスピードを上げた。
「あっ待ってよー!!メリア!」
「おい!ゴン!メリア!」
早く!早く!風のように走ろう
自然の音、ざわめきが音楽に聞こえる
音が弾ける、あ~あ~歌いたいな
レオリオやクラピカにも聞いてほしい
友達になりたい
そう思っていたとき、レオリオの声が聞こえた。
「!!」
「レオリオ!!」
「!?急にどうした!!」
キルアが急に後ろに戻ろうとしたゴンの手を掴んだ。
「レオリオの声が聞こえた!助けないと!!」
「やめろ!試験は命がけだ、そんなのあいつだって分かてるだろ!!」
「でもまだ間に合うかも!助けられるかもしれないから!!」
ゴンはキルアの言葉を聞かずにいってしまった。
「ちっなんなだよ!!」
イライラしながら走るキルアの横をメリアは走る。
「メリアはいかねーの」
「うん、ゴンなら大丈夫だから」
「なんでそんな事が分かるんだよ!」
「女の勘、かな」
「なんだそれ、あてになんねー」
「ふふ、ゴンが心配なんだ」
こっちを見なかったキルアがメリアの方を見た。
「なっ!違うし!!」
キルアはスピードをあげて走っていってしまった。
メリアはその後ろを走る。
ゴンは大丈夫
だって私が守るから
声がでなくても歌は歌える
息遣いと心で歌えば気づかれる事はない
心だけは何があっても自由だから