デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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一章もクライマックスです!

感想やアドバイス等をたくさん書いて頂き、本当に感謝しております!

これからもオリジナル展開や、ギャグにさらに磨きをかけていきたいと思っています。

※感想にフラクシナスの様子を書いてくれとあったので、内容を追加しました。
誤字を修正しました。



七話 友達、救います!

「―――――」

 

とある小柄な少女は持っていた対精霊用のスナイパーライフルを手放し、放心状態になっていた。

その少女は―――鳶一折紙こと、折紙だ。

 

「―――折紙ッ!」

 

………折紙の通信機に燎子からの通信が入るが、今の彼女には聞こえていなかった。

 

折紙はその手で殺人を行ってしまった。彼女の心は完全に崩壊していた。彼女は自分の両親を殺した、精霊たちと同じになってしまったのだ。

 

『―――返事をしなさい折紙………折紙ッ!!」

 

彼女はもう何も考えることができず、今はただ放心状態になっているだけだった。

………彼女に『黒い魔王』の魔の手が迫っていることは誰が見ても明らかだった。

 

 

――◆――

 

 

「………シドー」

 

十香は倒れこむ士道に自分が着ていた上着をかける。

十香は士道を目の前で失った苦しみから、今にも消え入りそうな声を出して言う。

 

「―――シドーが居てくれれば、もしかしたらと思った………どんなに難しくても大丈夫だって思った」

 

十香は肩を震わせ、拳を強く握る。―――自分の手から血が滲みでるほど強くだ。

 

「―――でもやはりダメだった。世界は………世界は私を否定したッ!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 

十香の体から凄まじい力の波動が解き放たれ、天を貫く!

―――もう誰も十香を制御できる者はこの地上にはいない。………人類は破滅を選んだのだ。

 

「―――『神威霊装•十番(アドナイ•メレク)』………ッ!」

 

十香は自身の霊装の真名を謳う。その時、十香の姿は、来禅高校の女子生徒の制服姿から、精霊時の姿へとその身を変貌させる。―――ここに全てを破壊する精霊が降臨した。

 

ゴオオオオオオオオオッッ!!

 

空が割れ、オーロラのような景色がそこにはあった。雷鳴は轟き、十香から放たれる凄まじい力の放出は、剛風を生み出していた。

 

「―――『塵殺公(サンダルフォン)』!」

 

………十香はさらに踵を地面に突き立てると、大地がひび割れていき、ひび割れた地面からいきなり玉座が顔を出す。

十香は玉座の背もたれから剣を―――『塵殺公(サンダルフォン)』を引き抜き、その『塵殺公(サンダルフォン)』で玉座を一刀両断する。

砕かれた玉座の破片は『塵殺公(サンダルフォン)』と融合し、新たな剣を生み出していた。

 

「―――『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』!!」

 

十香は『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を握ると、怒り狂い自我を失ったかのように吠える。

 

「よくも―――よくもよくもよくもよくもよくもよくもッッ!!」

 

ドオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

十香は無慈悲にも、『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を振り下ろす。その斬撃は大地を切り裂き、高台の一部が丸ごと削げ落ちるほどの破壊力を発揮した。

 

………そして十香は友を殺したであろう人物の元へと移動していた。その友を殺した人物は両膝をつき、放心状態になっているだけだった。十香はその少女に『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を突きつけた。

 

「―――貴様だな………我が友を、我が親友を………シドーを殺したのは貴様だな」

 

十香の目は少女の目から、怒りと復讐に満ちた目へと変わっていた。―――シドーを射殺した少女をまるで両親の仇を見るような目で睨みつけていた。

最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』も十香の怒りに呼応するかのように、剣から凄まじいスパークを放出していた。

放心していた少女―――折紙の顔はさらに絶望した表情へと変わる。

 

(―――私が………五河士道を………)

 

十香は静かに『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を振り上げる。ここから『黒い魔王』による人類滅亡のシナリオの序曲である『血祭り(ブロリー)』が始まろうとしていた。

 

「殺して(ころ)して(ころ)しつくす。死んで()んで()につくせッッ!!」

 

ドガアアアアアアアアアッッ!!

 

 

 

―――◇………

 

 

 

「し、士道くん―――心肺停止、呼吸と脈拍はありません!」

 

『フラクシナス』では、士道が折紙に打たれ、クルーたちはパニック状態に陥っていた。

………唯一この状況を打破できる士道が死んでしまったからだ。

しかし、この状況を見ても表情一つ変えずに余裕の表情でキャンディーを舐める少女がいた。

 

「―――相変わらずの偽善者っぷりね。………自分の命よりも他人の命の方が大切って………でもまあ、騎士(ナイト)様としては上出来ね」

 

………この琴里の言葉を聞いて、クルーたちは開いた口が塞がらかった。琴里は実の兄が死んだというのに、まるで他人事のように無関心だからだ。

 

「―――司令、何を言っているのですか。士道くんは―――」

 

神無月が琴里に何かを伝えようとした時、琴里はクルーたちに伝える。

 

「あなたたち、落ち着きなさい。そして作業に戻りなさい。シドーは一回程度死んだくらいなら、やり直し(ニューゲーム)が効くのよ」

 

「は?それは一体どういう――――」

 

神無月は意味がわからないというような表情をしていたが、『フラクシナス』のモニターの様子を見て琴里は口の橋を釣り上げ、不敵な笑みを浮かべる。

 

「―――来たわね」

 

琴里の呟きにクルーたちは一斉にモニターを見る。モニターには異常とも言える光景が映っていた。

 

「こ、これは!?」

 

「―――こ、こんなことが………」

 

クルーたちが見たのは、士道の体が炎を上げて燃えている異様な光景だった。しかも、炎で燃えているのは士道が被弾した脇腹だ。

そして―――炎によって士道の傷がどんどん塞がっているのだ。………まるで不死鳥のように。

 

「ほら、ボサッとしない!早く士道を回収するのよ」

 

琴里の指示に一人だけ反対する者がいた。―――令音だ。

 

「………いや、回収する必要はない。シンなら一人で十香のところまで行けるはずだ。回収した方が逆に時間がかかる」

 

琴里は令音の言葉に反論するが、すぐに令音の言葉に異議を唱えられなくなった。

 

「何を言っているのよ!?早く回収を―――」

 

「………シンには先ほどの再生能力と()()()()()()()()()以外にも、強力な力が眠っている。―――私はその力の正体を知りたい。琴里はそれについては知りたくないのかい?」

 

「………………」

 

琴里は何も返すことができなかった。士道には、不可解な点が令音にはあった。

それは士道が十香と話し合いをした時に出現させた『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』のことだ。令音たちはあの腕については全く知らないのだ。

 

「―――分かったわ。令音、シドーが目覚めたら指示をお願い」

 

「………了解した。神々の黄昏(ラグナロク)にはまだ早い。………シン、世界を救えるかどうかはキミ次第だ」

 

 

 

 

――◆――

 

 

 

 

「………………は?」

 

士道は全く理解できていなかった。何者かによって脇腹を撃ち抜かれたのだが、傷が完全に癒えており、穴が空いた脇腹もすっかり元どおりだ。

ただ、制服の脇のところには、穴が開いており、制服には、士道の血がしみ込んでいた。

 

『―――相棒?………相棒!!』

 

ドライグが士道のことを心配したのか、士道の左腕には『赤龍帝の籠手』が具現化しており、ドライグが声を発していた。

 

『うおおおおおおおおおんっっ!!相棒が生き返ったぞおおおおお!!―――相棒、俺は終わったと思ったぞ!!このバカが、少しは自分の命を心配したらどうなのだ!!』

 

ドライグは涙声になりながら士道を叱る。

士道が死ねばドライグはまた別の宿主を探して放流することになる。神の奇跡でふたたび歴代史上最高の宿主である『兵藤一誠』の転生体に巡り会えたというのに、士道が死んでしまえばそれも泡沫の夢として消えてしまうからだ。

 

「すまないドライグ、心配をかけた。―――さて、本格的にヤバくなって来たな………」

 

士道は体を起こし、辺りを見渡すと、高台から見える美しい風景が変わり果てていた。

士道の目に映ったのは、綺麗な緑に生い茂った山々ではなく、木々は薙ぎ倒された不毛の大地とかした山が多々見られ、そこには、何かを叩きつけた時に起こる爪跡のようなものが複数つけられていた。

 

士道が周りの風景を見て、危機感を感じた時のことだった。

 

ゴオオオオオオオオオッッ!!

 

近くの崖が崩れ、その土砂が衝撃波と共に士道をめがけて襲い掛かる!

 

「―――ドラゴン•スマッシュッッ!!」

 

士道は『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』を纏った左腕を振り上げる。その時、地面からオーラで模倣した龍の爪を出現させ、衝撃波と土砂を切り刻む。

 

『―――相棒、今の技は………………』

 

「………俺もなドライグ、家族を守る強さを身につけるためにずっと修行は続けていたんだ。今のは俺が新たに身につけた技の一つだ」

 

そう、士道はずっと鍛錬を重ねて強くなってきた。―――もう何も失わないようにと。理不尽を受けている人たちに救いの手を差し伸べることができるようにと。

………勿論、士道はこれからも鍛錬を続けていくだろう。これまでは他人を護れる強さを士道は求めてきたが、これから士道が求めるのは、『救う強さ』だ。

 

士道が理想としているものはものはただ一つ―――

 

“―――精霊たちを救う”

 

士道はその想いを確認した後、ソロモンから預かった銀の腕輪を自身の左腕に着ける。

 

「―――行こうぜドライグ、これは『救う』為の戦いだ!」

 

『ああ!!見せてやろうぜ相棒―――俺たちが見出した可能性をッッ!!』

 

士道とドライグの想いに『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』は凄まじい輝きを放つ!

その輝きはまるで空を覆った暗雲を吹き飛ばすような強くも優しい光となった。

 

『Welsh Dragon Over Booster!!!!!!!!!!』

 

カッ!ドオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

ドライグの声が響き渡ると、士道の体を赤いオーラが全身鎧(プレートアーマー)として変わり、士道の体へと装着されていった。

未完成のため翼こそないが、その姿は人型の龍とも言える姿だった。

 

『―――相棒、腕輪の効力は十秒だ。………間に合いそうか?』

 

「違うだろドライグ、間に合うかじゃねえ―――間に合わせるんだ」

 

士道の発言にドライグは大笑いをする。

 

『ハハハハハ!その通りだ相棒。久しぶりの大博打だ。派手に楽しもうではないか!!』

 

士道は地面を蹴り、空へと飛び上がる!そして背中のブースターからオーラを放出し、空中を飛行する!!

 

『JET!』

 

士道は十香を救う為に全力で空を駆け抜けた。

 

 

 

―――………………

 

 

 

『………シン、聞こえるかい?』

 

士道が空を飛び始めた頃、令音から士道のインカムに通信が入る。令音は士道に一言だけ伝える。

 

『………訊きたいことはお互いにあるだろうが、まずは聞いてほしい。―――キミには精霊の力を封じ込める力がある。その方法を説明する』

 

「―――俺は一体何をすればいいのですか?十香を助けるためなら俺は何でもやります!!」

 

士道は空中を飛行しながら令音の通信に返答していた。士道はただひたすらに十香のもとへと急行していた。

 

『………彼女を救う方法、それは―――』

 

士道は令音からその方法を聞いた。―――あまりの恥ずかしさのあまり、士道は一瞬止まりそうになったが、士道は止まることはしなかった。

 

「………わ、わかりました!!」

 

―――令音から十香を救う方法を聞いて、士道は鼻血を流し、男の証が膨張していたというのは触れないであげて欲しい。

………彼はスケベであってこその『おっぱいドラゴン』なのだから

 

 

 

 

―――………………

 

 

 

 

「うわああああああああああああ!!!!」

 

ドガガガガガガガガガガガッッ!!

 

無慈悲に全てを破壊する黒い魔王に変貌した十香は、士道を失った悲しみのままに『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を振り回し続けた。

―――士道の仇を討つために。

 

十香が『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を振り回すたびに木々は薙ぎ倒され、電線は破壊され、美しい自然はことごとく崩壊の道を辿っていった。

 

放心状態の折紙はただひたすらに十香の暴虐をその身に受け続けた。折紙はASTのデバイスによる『絶対領域(テリトリー)』に護られているが、それも限界がないわけではない。

 

「ガ―――ハッ!!」

 

十香の大地を崩壊させるほどの凄まじい一撃がついに折紙の最後の守りであった『絶対領域(テリトリー)』も完全に砕け、折紙はその衝撃で地面に仰向けに倒れ込んだ。

………十香は折紙の目の前に『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を突きつける。

 

「―――終われ………」

 

十香は『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』をゆっくり振り上げる。

………その時、折紙は諦めたのかゆっくりと目を閉じた。

 

(父さん、母さん………)

 

折紙の頭の中には、今は亡き父母の姿が浮かんでいた。

 

「シドー………仇は―――」

 

『―――あああああああああ!!!!』

 

何か叫び声が聞こえ、十香は振り上げた『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を静かに降ろし、声が聞こえた方を見た。

その声は―――十香がよく知る人物のものだった。

今度はしっかりと名前を呼んでくれた。

 

「―――十香あああああああああああ!!!!」

 

十香は涙を浮かべながら、声がする方角へと飛んで行く!そして、十香の目には、しっかりと映っていた。姿は変わっているが、しっかりとその人の顔は変わっていなかったからだ。

 

「―――シドー!!」

 

………そう、声の主は士道だった。士道と十香はお互いの距離をどんどんと縮めていき―――そして………

お互いの距離はゼロになり、抱きしめあった。

 

「………すまない十香、心配をかけたな」

 

士道は十香の頭を撫でる。十香からは我慢していたものがこぼれ落ちていた。

 

「―――シドー!シドーッ!!」

 

十香は士道の胸の中で泣き続けた。士道は十香の頭を撫で続けた。―――だが、十香の霊装が点滅をし始め、『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』は凄まじいスパークを放出する!

 

「す、すまぬシドー!『最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』の制御を誤った。どこかに放出しなければならぬ!!」

 

最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)』を放出すれば本当にこの世の終わり―――ロキの悲願である神々の黄昏(ラグナロク)が成就してしまうだろう。その時、ドライグが士道に語りかける。

 

『さあ行け相棒、今こそ男を見せる時だ!』

 

ドライグにも後押しされ、士道は恥ずかしそうにしながらも、十香に言う!

 

「―――なあ十香、俺とキスしよオオッ!」

 

『―――そこで声を裏返らせてどうする!?』

 

………大事なところでバナナの皮を踏んでしまう士道だったが、十香は士道に訊く。

 

「―――な、なに?キ、キスとはなんだ?」

 

「え、えっとその………唇と唇を合わせ―――」

 

士道が全てを言う前に士道と十香は完全なゼロ距離になっていた。そう、士道の記憶のなかでは大事な大事なファーストキスとなったのだ。

―――ほんのりと甘酸っぱい………それは青春の一ページとなった。

 

そして―――精霊の封印はここに成就した。

十香の霊装が光の粒子となって消滅し、握っていた剣もいつのまにか消えていた。

 

「………………」

 

士道と十香は互いの唇から人を引かせながら離れた。そして、士道は十香に謝った。

 

「そ、そのすまん十香!これしか方法がなくて―――だから!!」

 

「―――そ、そんなに見るな………」

 

十香は恥ずかしそうに士道に身体を預けていた。―――そう、今の十香は生まれた時の姿と全く変わらない状態だったのだ。

ちなみに士道はまじまじと鼻の下を伸ばして十香の体を見つめていたのは、言うまでもない。

 

(ああ、ここに天国ありだなぁ〜。一糸まとわぬ十香の体!柔らけぇえええええ!!お、おっぱいが!お、おおっぱいがああああああ!!)

 

『うおおおおおおんんんっっ!!誰かこの変態に正義の鉄拳をお願いしますぅぅぅぅぅ!!!』

 

ドライグは大泣きだ。―――まあ、この状況では泣く以外の選択肢はないだろう。

 

「そ、その………シドー」

 

十香は上目遣いで士道に訊く。士道は十香に答える。

 

「なんだい、十香?」

 

「―――またデェトに連れて行ってくれるか?」

 

「………ああ!いつだってな!」

 

十香は最高の笑顔を士道に見せた。―――士道の手によって人類は滅びを免れた。………まだまだ五河士道の戦いは続く。

 

 

 

 

 

 

そして、士道はいつもの五河士道へと戻り、十香へとお願いをする。

 

「―――十香、お願いがある!」

 

「なんだ、ジトー?」

 

「おっぱいを触らせてくれ!!」

 

「―――ば、バガものおおおおおおおおッッ!!」

 

ドゴンッ!

 

十香はわしゃわしゃと両手を広げてながら迫ってくる士道を蹴り飛ばした。

 

「ぎゃああああああああああ!!!」

 

こうして、またいつもの日常が続くのであった。

 

 

 

その頃の『フラクシナス』④

 

「ふう………何とか終わったわね」

 

琴里は士道が十香の霊力を封印したことにまずは安堵の表情を浮かべた。

 

「………シンの眠っていた力についてもある程度は分かった。後はシンから直接聞けばいいだけのことだ。―――だが、何故だろう………シンが誰かとキスをする場面を見て何故ここまでイライラするのは一体………」

 

令音からは凄まじい殺気が漏れていた。

その時、士道が十香にとんでもないことを平気で言った。

 

『おっぱいを触らせてくれ!!』

 

『―――ば、バガものおおおおおおおおッッ!!』

 

ドンッ!!パリンッ

 

士道の言葉に拳を機械に叩きつけ、機械を破壊した女性がいた―――令音だ。何故か令音はいまベリーベリー不機嫌だ。

 

「―――む、村雨解析官!?」

 

「ちょ、ちょっと令音!?一体どうしたって言うのよ!?」

 

椎崎と琴里が令音のことを心配するが、令音は凄まじい視線を琴里に送る。

 

「………琴里、私をシンのところに飛ばしてほしい」

 

「………一応聞いておくけど―――何をするつもりなの?」

 

「―――言うまでもない、シンを犯す。私以外の女性を考えられなくなるほど徹底的に犯す」

 

「ダメェェェェェェェ!!それは絶対にダメよ!!おにーちゃんの童貞だけは絶対に渡さないわ!!」

 

琴里が令音を止めようとするが、令音は士道のもとへ向かおうとすぐに観測室を飛び出した。クルーたちの尽力もあり、何とか令音の暴走は未然に防ぐ事ができ、士道の貞操は無事に守られたのであった。

 

 

 

―――その頃の『フラクシナス』④終了

 

 

 

――◆――

 

 

〜〜次元の守護者 side〜〜

 

 

「いやぁ〜、士道くんも中々やるねぇ、以前の彼だとここまでは出来なかった筈だよ。………僕たちも彼の頑張りに応えてあげないとね」

 

ソロモンは士道が十香の霊力を封印したことを自分のことのように喜んでいた。その時、ソロモンの後ろには二つの影があった。

 

一つは長い金髪の絶世の美女と、もう一人は身長が二メートルを超える筋肉質の巨漢がいた。

 

「―――ソロモン、()()が貴方のお気に入りですか?………貴方ほどの男がそこまで重要視するような人物には思えないのですが………」

 

金髪の美女は士道の映像を見て、非力な男だと感じていた。しかし、もう一人の方である巨漢は金髪の美女とは別の意見を言う。

 

「う〜ん!良いわねぇ、ああいう熱血漢ってアタシは好きよ〜ん!今はまだ非力だけどぉ、将来的にはアタシたちの計画で最強の駒になってくれるわぁ〜」

 

―――この巨漢はオカマである。筋肉モリモリマッチョマンのオカマである。

 

「―――キミなら僕と同じことを言ってくれると思っていたよ。僕は明日から彼を鍛えようと思っているんだけど………キミはどう思うかい?」

 

「あら、アタシは賛成よ〜ん!だって面白そうじゃな〜い、あんなに鍛えれば伸びそうな男の子なんて全世界を見てもそうはいないわぁ!―――アタシが彼を指導してあげればいいのね?」

 

「―――話が早くて助かるよ。とりあえずまた今度、彼と接触してみるつもりだ。その時にキミも同行してもらいたい」

 

「はぁ〜い!いいわよぉん!ソロモン、抜け駆けはダメだかんね?」

 

次元の守護者―――彼らは士道を使って何をしようとしているのか?

 

 

〜〜次元の守護者 side out〜〜

 

 

 

 

―――………………

 

 

 

 

「四月になってから劇的に運命が変わったよな………まあ、ここからが俺の続きでもあるんだけどな」

 

士道は今日も元気に来禅高校に登校する。十香と会ってからの十日間は士道にとっては()()()()()()という程度にして感じていなかった。

 

『………そうだな。俺もここからが始まりだと思っている』

 

ドライグも士道と同じ意見だった。そして、クラスに入り、ホームルームが始まる。

 

………なぜか、クラスに入ってきたのは、タマちゃんではなく、令音だった。

 

「………今日は『タマちゃん』が体調不良なので、私がホームルームを担当する。

………シン、エロ本を片付けるんだ」

 

「―――持ってきてないですよ!! 」

 

いきなりエロ本疑惑を令音に押し付けられた士道。しかも担任を『タマちゃん』呼ばわりをしている。

そんな時、士道の親友の殿町が令音に言う。

 

「村雨先生、一ついいですか?」

 

「………なんだね?殿町くん」

 

「―――先生が持ってきてるのは、出席簿じゃなくて超低反発まくらです」

 

「………………間違えてしまったらしい」

 

――――何をどうやれば枕と出席簿を間違えることができるのか?と訊きたいレベルだ………やる気の片鱗も感じられない令音先生なのであった。

そんな中、令音が突然話題を変える。

 

「今日は転校生がこのクラスに来た。仲良くしてやって欲しい」

 

令音の言葉に教室に入って来た人物は――――

 

「―――夜刀神(やとがみ)十香だ!みな、よろしく頼む!」

 

―――その転校生はなんと、十香だった。そして十香は士道の隣の席の生徒を蹴っ飛ばして士道の横の席に座る。

 

「これからもよろしくな、シドー!」

 

ここに、新たな士道の学生生活が始まろうとしていた。





良ければお気に入り登録、感想、評価の方よろしくお願いします!

次回は士道の設定及び、精霊であるヒロイン、それからオリキャラの『ソロモン』などの設定を書く予定です。

これからもデート•ア•ライブ〜転生の赤龍帝〜をよろしくお願いします!

長い金髪の絶世の美女のイメージCVは坂本真綾さん。

巨漢のオカマのイメージCVは矢尾一樹さん。

この二人です。

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