この話から原作二巻の『四糸乃パペット』へと入っていきます。
———みなさん、オカマの『ヘラクレス』はお好きですか?
※意味がわからない文があったのでそれを修正ました。
一話 修行します!
現在はPM9:00。
五河士道は来禅高校から徒歩五分の場所にある来禅公園へと訪れていた。
士道が到着した頃には、すでにソロモンが士道を待っており、ヘラクレスもソロモンと共にいた。
「やあ、士道くん。結構早かったね」
「………はい。俺には強くならなければならない理由があります。実戦での修行はできませんでしたから、本当にありがたいです」
実戦ができないと言うのは、士道が強過ぎるからだ。並の人間相手では士道の修行にならないからだ。
―――とは言っても目の前の二人は天龍に限りなく近い実力を有している。手加減をされても修行になるかは十分に怪しい。
「………さあ、始めようか。時間の延長はできないからね。士道くんがお寝坊されたら十香ちゃんにも琴里ちゃんにも迷惑がかかるからね」
「………分かりました」
士道が返事をすると、ソロモンが指をパチンッ!と弾く。次の瞬間、来禅公園が瞬時に真っ白な何もない空間へと変わった。
「―――こ、これは!?」
「空間魔法さ。―――まあ、ただの空間魔法じゃないけどね。この真っ白な空間は外界と完全に遮断されている。キミがわかるように言えばこの空間だけ『次元の狭間』の中に入ったと言えば分かりやすいかな」
ソロモンの説明に士道は目が飛び出すほど驚いていた。
驚いている士道を見てソロモンが手をパンと叩き、士道に言う。
「………さあ士道くん、修行の時間だ。今日は現時点でのキミの力が知りたいから、キミの神器『
「………………………俺に死ねと?」
「大丈夫さ。キミが受けた傷は瞬時に回復する機能をこの空間にはつけてある。当然ヘラクレスも全力でキミを殺しにかかるなんて真似はしないさ―――――――――た、多分だけどね」
「―――なぜそんなに間合いを開ける必要がある!!それに多分だと!?」
士道はソロモンが大きく間合いを開けたことと多分と言う言葉に心底不安になっていた。ヘラクレスは自分の胸の前で両拳を合わせていた。―――ヘラクレスは士道を
「さあ、士道ちゃん!いっくわよぉ!私がたくさん
「―――もうこの時点でおかしいだろ!!」
士道はソロモンとヘラクレスの言葉に盛大にツッコミながらもヘラクレスに対していた。
ドンッ!!
士道は地面を強く蹴って、立ちはだかる
――――………•••
「うおおおおおおおおおおおッ!!」
ドガガガガガガガガガ!!!
士道はパンチとケリの嵐をヘラクレスに真正面から打ち込んでいく!
ヘラクレスは士道の攻撃を左腕のみで簡単に捌いていく!ヘラクレスは士道の攻撃を捌きながら士道を褒める。
「いいじゃない、いいじゃない!真っ直ぐで迷いのない拳と、鍛えられた下半身から繰り出されるケリ。どれを取っても強者の部類に士道ちゃんは入っているわ!アタシも張り切っちゃうぞぉ〜!」
ヘラクレスは士道がパンチを出した時を狙って地面を蹴って士道と距離を取る。怪訝に思った士道は攻撃を止め静かに構える。
ヘラクレスは腰を僅かに落とし、半身で構える。―――正拳突きの構えだ。
「―――えい、やあ!!」
ゴオオオオオオオオオッッ!!
ヘラクレスは士道との間合いを凄まじいスピードで詰めて正拳突きを繰り出す!
風を切り、凄まじい轟音を鳴り響かせながらヘラクレスの剛拳が士道に迫る!
………その拳、『えい、やあ!!』の声で出せるような代物ではない!!
(………このスピードならギリギリで避けられる!懐に潜り込んでカウンターを食らわせてやる!!)
士道はヘラクレスの拳を身体スレスレで避け、ヘラクレスの懐に入り込もうとしたが―――
ゴオオオオオオオオオッッ!!
「―――う……………ッ!?」
ヘラクレスが拳を振り抜いた瞬間に凄まじい衝撃波が生まれ、その衝撃波で士道は堪らず吹き飛び、地面をゴロゴロと転がる。………しかし、士道は立ち上がる。
「うっ………ゲホッ!ゲホッ!―――今のはまさか闘気によるもの………なのか?」
士道は口の中から込み上げてくる血を吐き出し、ヘラクレスに訊く。
「そうよぉ〜ん!今のは士道ちゃんが潜り込んでくることを計算して拳に竜巻状の闘気を纏わせて放ったの♪拳を振り抜けばその竜巻状の闘気が四散するように解放されて士道ちゃんを吹き飛ばしたわけよぉん♪」
ヘラクレスは軽く言っているが、士道にとっては凄まじく恐ろしいことだった。闘気を自在に操り、自身の注文通りに闘気の解放まで操ることができる―――ここまでの強者に士道は出会ったことがないからだ。
「―――ざけんな!めちゃくちゃだろ!?しかも、拳を完璧に避けたのに頰と脇腹から出血かよ………」
そう、士道はヘラクレスの闘気と拳圧によって頰と脇腹から出血を余儀なくされた。―――しかし、空間の力で士道の傷は一瞬で塞がる。
士道は次はどうしようかと悩んでいた。真正面から突っ込めばやられ、かと言っても守りを固めても紙切れのように粉々に粉砕される。―――士道には打つべき手が無かったのだ。
「………でも、諦めるわけにはいかねえ!!俺にはやらなければならないことがあるんだ!!」
『………それでこそ相棒だ!この状況でも闘志が全く衰えていない!―――ここからは俺も手を貸そう。奴に俺たちの意地を見せるんだ!』
それでも士道は前を向いて拳を握り、ヘラクレスを強く睨みつける。―――士道はどんなに不利な状況でも決して諦めることはない。それが―――五河士道という男の生き様だからだ。
士道の左腕から勝手に『赤龍帝の籠手』が具現化する。
それを見て、ソロモンがヘラクレスの所へと足を進める。
「………よく立ち上がった、さすがは士道くんだ。―――ヘラクレス、今度はキミから士道くんに仕掛けるんだ」
「………あら?ソロモン、アタシまだ士道ちゃんを可愛がれていないんだけど?」
「―――キミの攻撃を受けて立ち上がれるかを見てみたいんだ………今日は彼の―――最終試験なんだよ」
それを聞いたヘラクレスは闘気を高め、肉眼でも捉えらるほどの凄まじいものへと変化させる。
『―――来るぞ相棒ッ!!構えろッ!!」
「ああ!同じ手は食わねえ。ここからは俺も全力だ!」
『Boost!!!!!』
ドライグの音声が響き渡り倍加が始まる。ヘラクレスはただひたすらに士道を待っている。
『Boost!!!!!』
「………………………」
ヘラクレスはまだ動かない。士道が完全に倍加を終えた後に士道の実力を図ろうと考えていたからだ。
『Boost!!!!!――――EXPLOSION!!!!!!!!!!!』
カッ!!ドオオオオオオオオオオッッ!!
倍加が完了し、士道から凄まじい力が溢れ出す!!
それを見たヘラクレスはついに動きだす!
「いくわよ士道ちゃん!」
「―――絶対に一矢報いてやる!!来い、ヘラクレスッ!!」
―――ヘラクレスは再び凄まじいスピードで士道との間合いを詰めていく!
「てえええぇぇぇぇぇいッ!!」
ドオオオオオオオオオオッッ!!
ヘラクレスは渾身の左ストレートを放ち、凄まじい衝撃波を放ちながら士道に迫って来るッ!!
―――今度は士道も闘気の流れしっかりと読み、完全に避けきる方法を見抜く。
(闘気は左側に集中している。―――右に良ければッ!!)
士道の読み通り、闘気は左側に大きく解放された。
士道は向かって来る拳を右に避けるが―――今回も避けきることはできなかった。
………………いや、ヘラクレスは士道なら右に避けると読んでいたのだろう。
「―――ごはぁッ!?」
ヘラクレスは拳を放つと同時に士道が避ける地点を予測し、先回りをしていた。そして飛び膝蹴りを士道の腹部に命中させ、士道は吐瀉物を吐きながら上空へと吹き飛ぶ。
そして、士道は再び地面に倒れこむ。
『おい………おい、しっかりしろ、相棒――――相棒ッ!!』
ドライグが士道に呼びかけるが、士道に反応はない。士道は意識を闇の中へと手放そうとしていた――――だが………
士道の頭の中に、一人の少女の声が響き渡る。
『―――シドー!』
士道には一人の女性の笑顔が浮かんでいた。それは―――十香の笑顔だ。士道は浮かんだ十香の笑顔を見ると、歯を食いしばって拳を強く握る。
――――これから自分が守ると決めた笑顔が浮かんだのだ………それで起き上がれない士道ではない。
「………こんな所で寝てられねえよな。―――そうさ、俺はお前の側にいるって約束したもんな………だったら立ち上がらねえとなああああああああああ!!」
士道は震える足に力を入れ、再び立ち上がる。それを見たソロモンとヘラクレスは笑みを浮かべて士道を見ていた。
「―――負けない………俺は絶対に負けないッ!!」
士道が立ち上がったことにソロモンとヘラクレスの二人は笑みを浮かべる。
「………さすがは士道くんだ。―――まだやれるかい?」
「―――ええ、俺の意識が途切れるまで何度でも!!」
士道の言葉を聞いてヘラクレスは再び拳を構える。
「うふふ、それでこそ士道ちゃんよ!いっくわよぉぉぉぉぉぉぉぉん!」
再び士道は地獄の猛特訓へと励んだ。――― 何度倒れても士道は立ち上がり、ただひたすらに向かって行った。
――◆――
それからPM11:00になるまで士道はひたすらヘラクレスとの修行に打ち込んだ。人がいいことにソロモンが士道を家の前まで送ってくれたのだ。
「―――今日は良く頑張ったね。もう夜も遅いし、お風呂に入って眠ること。………体を休めることもトレーニングの一環だ」
ソロモンが言うと、士道はソロモンとヘラクレスに言う。
「………ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
「いいわよぉん♪でも、明日はソロモンの修行になると思うわ。士道ちゃんもお空を飛べるようにならないといけないしね♪」
………そう、士道は空を飛ぶことが出来ないのだ。十香を救った時も、ドライグが背中のブースターの制御を行っていたため、十香のところへと飛ぶことが出来ていたのだ。
「そうだね。明日は僕との修行にしようか。空を飛ぶこと以外にもテクニック関連のことを徹底的に教えるよ。今の士道くんだとパワー勝負は厳しいところがあるからね」
………士道にとってテクニックは必ず学ばなければならないことだった。『兵藤一誠』の時も木場祐斗のテクニックを駆使したハメ技を喰らって負けることが多かったからだ。
「―――はい。俺は何でもやります!十香たちを守るためならッ!!」
「うん、いい返事だ。じゃあまた明日。明日は夜の7:00から徹底的にやろうか」
「分かりました!」
ソロモンは士道の返事を聞くとヘラクレスと共に何処かへ消えた。
「―――明日も頑張らないとな」
士道は空を見つめてボサッと呟いた。
ガチャッ………………
士道が鍵を開け、家に入った時だった。
「っ………」
士道は苦しそうに脇腹を抑えて床に膝をつく。―――ヘラクレスとの修行で士道は大きなダメージを受けた。そのダメージが士道の体の中で完全に癒えていなかったのだ。
『………相棒、あまり無理をするな。修行のダメージがまだ体に残っているのだろう?』
「………さすがはドライグ、何でもお見通しってわけか。でも、俺なら大丈夫だ。この程度で休んでなんかいられないよ」
『強がりはよせ。お前はもう―――」
「………まだやれるさ。いや、もっと頑張らないといけないんだ。俺は―――俺は今度こそッ!!」
士道は拳を握りしめ、天井を見上げた。士道は自分がどれだけ苦しくても立ち止まることはないだろう。
「―――俺がみんなを守るッ!!」
『………………………』
士道の想いを聞いてドライグは何も言わなずにただ沈黙をすることしか出来なかった。
士道は寝る前に少しだけ今日の復習として鍛錬をつづけた。
―――◆………
〜〜次元の守護者 side〜〜
「ソロモン、あなたの見立ては正しかった見たいですね。あのヘラクレスの攻撃を受けても立ち上がる人間は初めて見ました。………私も彼に少しだけ期待をしてみようと思います」
金髪の絶世の美女がソロモンに話しかける。その女性はソロモンの魔法使いのローブとは違い、神々が纏う神々しい衣に身を包んでいた。
………胸元は見えているため、士道がこの絶世の美女を見れば絶対に興奮するだろう。
「―――『アテナ』、キミが太鼓判を押してくれるなら僕の勘は正しいと思えるよ。キミは彼のことをどう思った?」
「………そうですね、本当に面白いと思いました。何度倒れても諦めずに向かっていく姿は今でも私の目に焼き付いています。恐怖を覚えながらもただひたすらに前だけを見つめて行動できる者はそう多くはありません。ましてや、あの『ヘラクレス』を相手にしてですからね」
絶世の美女―――アテナも士道のことを認めたようだ。ソロモンとアテナが話していた時、ヘラクレスが現れる。
「はぁ〜いソロモン、言ってたものが出来上がった―――ってアテナ!?い、今すぐアタシの目の前から消えなさい!アタシは巨乳はお呼びじゃないの!」
ヘラクレスはアテナがいることが心底不快らしい。
「………私がここにいてもいいでしょう?なぜあなたは私をそこまで毛嫌いするのです!」
「―――ハッ!アンタみたいなボインな巨乳ほど目につくものはないわッ!アタシの理想の女の子は可愛い幼女なの!ババアはお呼びじゃないわよッ!!」
―――そう、ヘラクレスはロリコンだ。真性のロリコンだ。ヘラクレスはアテナを見て全力で毒を吐く。
「―――バ、ババアですって!?私の魅力があなたには分からないのですか!?五河士道も私の魅力ならすぐに堕とす事ができるというのに!」
「アンタみたいなババアに士道ちゃんが魅了されるはずなんてないわよッ!!―――その自信はどこから来るのやら………それに、アンタなんかに士道ちゃんはあげないわよッ!―――あらやだ、シワが目立っているわよ
ズオオオオオオオオオォォォォォォッッ………………
アテナはヘラクレスの言葉に凄まじい神気を漏らす。
「―――殺しますよ、ヘラクレス?」
「来なさいよ、あたしのろりこんパワーを見せてあげるわッ!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!
ヘラクレスとアテナは喧嘩を始めた。
「―――仲間同士でも分かり合えないって辛いよね」
ソロモンはガックリと肩を落としながら、ヘラクレスとアテナの喧嘩を仲裁した。
キャラ設定を更新しておきました。良ければお読み下さい(7/8)
今回は短めです。次回から『四糸乃パペット』の本編へと入っていきます。
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