最近知りましたが、本当に楽しみです!
それでは続きをどうぞ!
※ヘラクレスのキャラが酷いという評価を頂いたので、もう少しマシなキャラに描けるように頑張ります!
士道は濡れた体だけを拭いて、リビングへと向かう。そこには、琴里がキャンディーを舐めながらソファーに座ってテレビを眺めていた。
「おう、おにーちゃんお帰り〜!」
琴里は士道の方を向いて笑顔で兄の帰りを待っていたようだ。
「おう!ただいま―――じゃなくて!なんで十香が家に来てしかもシャワー浴びてんだよ!理性が残っていたから良いものの、もう少しで危うくビーストモード解禁をするところだったんだぞ!?………まあ、色々見れて眼福だからいいんだけど!」
士道は鼻の下を伸ばし、下品な笑みを浮かべていた。彼にとって十香のような美しい体をしている少女は大好物なのだ。
琴里は士道の言葉にテンションを高くして答える。
「聞いておにーちゃん!なんと、今日から十香は我が五河家に住むことになったのだあ!」
「だだだだだだだだにぃ!?そりゃまたどうして!?」
士道は突然の知らせに飛び上がるほど驚いた。
「………とりあえず落ち着いたらどうだ、シン」
令音まで士道の家に上がっている。彼女もシャワーを浴びたらしく、髪が水で濡れていた。
―――令音は勝手に士道の家のコーヒーメーカーでコーヒを沸かし、砂糖を大量に投入していた。
「………令音さんまでいるとは―――それで、なぜ十香が俺の家にいるんですか?………砂糖使い過ぎですよ!」
士道はとりあえず令音と向かい合うようにテーブルの席に座り、まずは令音の手元から砂糖の入った瓶を取り上げる。
「………すまないね。―――それから、十香がシンの家にいる理由は一つだ」
令音は相変わらず気怠そうに左肘をテーブルにつき、半分眠りながら士道に理由を話す。
「………十香のアフターケアのためさ」
「―――アフターケア?………ですか?」
「………シン、キミは十香との口づけによって彼女の霊力を封印した。それは覚えているよね?」
「はい!スベスベでもちもちでしたッ!最高のお体でした!」
―――士道はその時のことを思い出して、下品な笑みを浮かべ、ドクドクと鼻血を流す。
士道が思い出していたのは、キスをしたことではなく、その後の霊装がなくなって生まれた時の姿になった一糸纏わぬ十香の姿だった。
………この男は欲望に正直なのだ。
「―――死ねぇ!この変態!」
「どおうあっ!?」
琴里は士道が何を思い浮かべていたのかを瞬時に理解し、士道にテニスボールを投げつけた。それは士道のおでこに命中し、テニスボールは天井にぶつかりコロコロと何処かへ転がった。
「………話を戻そうか。十香の力を封印したのはいいが、今のシンと十香の二人には見えない経路のようなものが繋がっている。―――某人気アニメのマスターがサーヴァントに供給するアレに必要なものと思って貰えればいい」
「―――この小説には、他作品ネタのタグはありませんよ?」
「………リアルの話は今はいい。近い将来、作者が展開に困って付け足すだろうさ。―――この経路には問題があって、十香の機嫌が悪くなると、封印した力が逆流する恐れがあるということさ」
「………ッ!」
士道は令音の言葉に戦慄していた。万が一そうなった場合、天を裂き、大地を砕くあの破壊の力が再び現世で引き起こってしまう可能性があるからだ。
―――士道はこの時どうあってもそれだけは避けなければならないと心の中に刻み込んでいた。
「………キミも知っての通り、十香は『フラクシナス』の隔離部屋で生活をしてもらっているのだが、そこでの十香の精神状態は正直言ってかなり悪い。―――だが、学校にいるときは安定している」
「もしかしてですが、十香の精神状態が安定しているときは十香のそばに俺がいる時だと―――そう言いたいんですか?」
「………理解が早くて助かる。シン、十香はキミの近くにいるときが一番精神状態が安定しているんだ。―――精霊用の特殊住居が完成するまではこの家に住むことが十香にとっては一番落ち着くと思ってね」
―――士道は令音の説明を聞いて顔をしかめる。
たしかに士道は十香に全幅の信頼を寄せられている―――いや、十香は士道にそれ以上の感情を抱いていることに気付き始めていた。
………もちろん、士道も十香に信頼されて嫌な気はしていないし、むしろ士道自身も十香と一緒にいたいと思っている。
しかし、同居するとなると問題も必ずおこるし、士道は自身がスケベだということを理解しているため、令音の言葉に易々と「分かりました」と言えないのだ。
『―――俺は反対だ』
顔をしかめ、迷う士道とは反対に士道の相棒のドライグは真っ向から言い切った。
「………あなたが反対するとは思わなかったよ―――『赤い龍』ア•ドライグ•ゴッホ」
令音はドライグが会話に入ってきた途端に二人称を『キミ』から『あなた』へと変更する。―――超常の存在であるドライグへのせめてもの敬意の示し方であった。
………士道は琴里と令音にドライグの存在については少しだけだが話している。『
『俺は相棒―――五河士道という人間を長年に渡って見てきた。「アルトリア」―――失礼「夜刀神十香」だったか?あの小娘と同居するようになると何かしらの間違いが起きてしまうぞ?』
ドライグの言葉に士道はテーブルを強く叩き、大きな声を上げて反論する。
「おいドライグ!お前が見ても俺はそんなに信用がねえか!!」
『―――今更か………まず相棒はこの一週間以内に必ずあの小娘に何かしら手を出す。―――下着を盗んだり、夜這いを仕掛けるぐらいのことはやってのけるだろう』
ドライグの言葉に琴里がドライグに訊く。―――彼女はもう白リボンの『可愛い妹モード』は封印し、黒リボンの『司令官モード』へと移行している。
「ドリームランドから逃げたようなこのヘッポコチキンなシドーが十香に手を出すなんて真似が出来るわけないと私は思っているけど?」
『―――確かにあの時は相棒も自重したさ。………あの小娘との好感度を下げるわけにはいかなかったからな。
―――俺が言いたいのは、あの小娘なら相棒に何をされても許してしまいそうだということだ。………あの小娘は相棒に押し倒されても平気で受け入れるだろう』
「―――今度試してみようかな………」
士道がドライグの言葉にボソリと呟く。―――この五河士道は過去を乗り越えてこんな感じだ。今の士道は快楽主義真っ只中だ。―――いずれは………と士道は考えていた。
「試すなこのバカ!!」
ドゴッ!
「―――アベシッ!!」
琴里は座っていた椅子から士道に飛び蹴りを食らわせ、士道を吹き飛ばす。
「………シン、キミの相棒はこんなことを言っているがキミ自身は十香と一緒に住むことをどう思っているのかい?」
士道は迷いながらも令音の目を見て真剣な表情で想いを伝える。
「………俺も男ですので、ドライグが懸念するようなことがこれから全く無いとは言えません―――でも、俺は十香に『俺と一緒にいてくれ』と伝えました。最初に知った時は戸惑いましたが、俺は十香がこの家に住むことを拒んだりはしません」
士道の本心だった。彼は本当に十香のことを大切に思っているからこそ自分の気持ちを包み隠すことなく伝えた。
その時リビングの扉を開けて、中を伺う一人の少女の姿を士道は見つけた。その少女に士道は手招きをする。
「十香、そんなところで聞いてないでこっちに来いよ。そんな暗いところにいたら性格まで暗くなってしまうぞ?」
士道の言葉に誘われ、十香は士道の席の前に足を進める。
「………いいのかシドー?私がこの家にいたら、お前や琴里にたくさん迷惑をかけてしまうかも―――」
「ダメなわけないだろ?俺は言ったぜ『迷惑をかけてもいい』ってな。俺も琴里もお前のことを邪険に思ったりはしねえよ。それに、十香が俺の家にくるなら、この家はもっと賑やかになるから俺は嬉しいぜ。部屋なら空きもあるし、食べ物のことも気にするな!俺がお前の飯もしっかり作ってやるから!」
―――このように寛大で他人想いな男が全世界にどれだけいるだろうか。いや、恐らく片手の指で数えるほどしか存在しないだろう。
琴里も士道の言葉を誇らしげに聞いていた。
「………本当にありがとう、シドー!何か私に返せるものがあれば良いのだが………」
「―――だったら笑ってくれよ十香。俺にはそれだけで十分だ」
「―――シドー………っ!!」
十香は士道の言葉に目を潤わせていたが、一言だけ「ありがとう」と言って開いている士道の横に座った。
………そして十香は琴里と令音を真っ直ぐに見つめて宣言をする。
「よし、私は今決めたぞ!私はシドーの嫁になる!」
「「はあああああああああ!?」」
「………………………」ピキピキピキピキッピシッ!
―――十香のこの言葉は士道にあっても驚きであったが、何より士道に強い想いを寄せる琴里にとっては、宣戦布告に近かった。
そして令音は表情一つ変えることがなかったが、先ほどまで口にしていたコーヒーの入ったコップを強く握りしめており、コップに亀裂が入り始めていた!
「へ、へえぇぇぇ!ど、どうしてシドーの嫁になりたいのかしら!?シドーの他にも男はいるじゃない?他の男の人でも―――」
琴里は眉をピクピクとヒクつかせ、額に血管を浮かばせながら十香に訊いた。•………すでに拳を握りしめており、ガタガタと拳を震わせながら、どうにかして平静を装おうと努力をしていた。
「いや、私はシドー以外の男は眼中にない。私の隣を歩く者はシドーでなければならないのだ!琴里、令音!これから私がシドーを夫にするために色々とアドバイスをしてくれ!」
………十香は琴里の言葉を殆ど聞いていなかった。目を輝かせながら二人に自分をシドーの妻になるための方法を聞き出そうとしていた。
―――だが、士道と結婚を理想に考えている琴里は十香の言葉に首を横に振る。
「………し、シドーはダメよ!絶対にダメなの!シドーには昔からの許嫁がいるわ!シドーのお嫁さんはその人って決まっているの!」
※これは―――それが自分だという琴里の願望です。
「なっ!?シドーに許嫁がいるなど聞いてはおらぬぞ!―――シドー、それは一体誰なのだ!私はその女を屠りに行くぞ!」
「………物騒な手段を取りますね十香さん!!って言うか俺に許嫁なんていねえよ!一体どこのお偉いさんなんだよ俺は!」
士道は二人の言葉に声を荒げながら反論していた。―――ここに五河士道ハーレム王のフラグは確立しつつある。
「琴里の記憶違いであったか………驚かせおって。シドー、お前の嫁はこの私だ!私を幸せにするが良い!」
「―――随分急な展開だな!?………まあ、いずれはそうなるかな?」
士道は十香のことを好きか嫌いかで言えば、限りなく好きという感情に近い。士道は戸惑いながらも十香に答えを述べた。
「おおっ!本当かシドー!?私を嫁にしてくれるのか!」
「―――ぐへぇ!?」
ドゴオオオオオオッッ!!
琴里がライダーキックを士道の胸部へと決め、十香への返事を聞かせはしなかった。
琴里は目を泳がせ、声を裏返して十香と令音に言う。
「―――この件はまた今度ってことにしましょう!士道の相棒がまだ話があるみたいだし!?」
「私はシドーの返事が―――」
「………また今度でいいじゃないか十香」
十香は士道の返事が聞きたかったようだが、二人が強引に話をそらさせた。―――万が一士道がOKを出せば二人は士道を諦めることにならざるを得ないからだ。
「………な、なぜ俺を蹴った!?」
「―――なんとなくよ、なんとなく!」
「なんとなくで済ませるなあああああああああ!!!!!」
士道は蹴っ飛ばされたことに怒りを露わにしていたが、士道の左腕に『
『
「―――ああ、俺は構わないぜ」
士道も既に立ち上がっており、再び十香の隣の席に座る。士道が座り終わると、神器の中にいるドライグが『
『―――俺が訊きたいことは二つだ。まず一つは貴様らが加入している「ラタトスク機関」について教えてもらおうか』
ドライグの疑問は士道についても同じだった。―――なぜ自分の妹が秘密結社の司令を務めているのかが気になっていたのだ。
ドライグの問いに琴里は舐めていたチュッパチャプスを噛み砕いて棒を捨ててから話し始める。
「………シドーも疑問に思っているみたいだし、今が話し時かも知れないわね。―――『ラタトスク機関』は簡単に言えば一種の保護団体みたいなものです。………秘密結社なので世間に公表はされていませんが」
琴里は完全に司令官モードでドライグに敬語で話していた。
「………保護団体?それならなんで秘密結社なんだよ?」
士道は琴里の言葉に訝しげに思い、再び訊きなおす。しかし士道の問いに答えたのはドライグだった。
『そこの「夜刀神十香」のような精霊という存在自体が極秘事項なのだろう。それ故にそれを保護し、監視するということが存在理由なら尚のこと世間に知れた企業ではまずかろう。………俄かに信じがたいが、それを信じた上で俺は訊かせてもらう―――お前は一体いつから司令官へとなった?そして、どのようにしてその秘密結社を知り加入したのか?
―――悪いが「私の才能を買ってくれた」などというくだらない冗談を言おうものなら、今後俺は一切貴様らの問いには答えない』
………ドライグさんはジョークがお嫌いなようだ。ドライグの言葉に琴里は難しそうな表情をして答える。
「………『ラタトスク機関』に加入したのは、五年前です。そこからの五年間は研修みたいなものだったので司令官になったのは最近です。―――五年前のことは私もあまり詳しくは話すことはできませんが、その時に私は『ラタトスク機関』を知り、機関に加わりました」
―――詳しく話せないと言うのは、五年前のことを琴里自身も詳しく覚えていないのだ。士道もそのことをドライグに告げているため『何故話せないのだ?』と追求することはしなかった。
『………分かった。次に二つ目だ―――相棒はいつ精霊を封印する力を身につけたのだ?それから相棒の自然治癒能力についても教えてもらおうか』
「………シドーには接吻によって精霊を封印する力がある少年だということが士道を保護した時に観測機で検査をして分かりました。―――ですが、何故シドーにそんな力があるのかは私たちも分かっておりません。それから二つ目の質問に関しましては………」
琴里はシドーのもう一つに力―――異常なまでの自然治癒能力については口を割ろうとしなかった。思い出したくないようなものを思い出してしまったような………そんな顔をするぐらいに表情を陰らせた琴里を見て、士道は「………これ以上はいいんじゃないか?」とドライグに言い聞かせた。
―――しかし、尋問があったのはドライグだけではない。次は令音がドライグに質問をする。
「………私も質問がある。シンではなく、あなたにだ―――『赤い龍』ア•ドライグ•ゴッホ」
『………俺に何を訊きたいのだ?』
「………あなたは一体いつからシンに宿っていた?」
ドライグは少し考えたのち、宝玉を点滅させながら語りだす。
『―――俺が相棒の中にいたのは最初からだ。………だが、俺はとある戦いでやられ意識を失っていた。………俺の意識が戻ったのは五年前だ。そして相棒と話ができるようになったのは相棒と夜刀神十香が出会った日―――今年の四月十日だ』
ドライグが意識を失った原因というのは前世での最後の戦闘に原因がある。ドライグはそれについては
「………そうか。私からはもう何もない。―――琴里は何かあるかい?」
令音の言葉に琴里は首を横に振ったので、これでこの話も終了した。
そこで士道が何かを思い出したように席を立ち上がる。
「話も終わったところだし、俺ちょっとトイレの電球変えてくるわ。そろそろチカチカと消えたりついたりを繰り返してたから寿命だろうと思ってさ」
「―――ええ、お願いするわ」
琴里が士道に頼むと士道はクローゼットの中から電球を取り出して、トイレへと向かう。
その時に士道がドライグに話しかける。
「………なあドライグ、お前が意識を無くした原因って―――」
『それに関してはこの家では話すわけにはいかん。ここでの会話は全て録音されてお前の妹とあの村雨令音が聞いている。詳しくはソロモンのジムでも良かろう』
ドライグは情報の漏れに細心の注意を払っていた。―――この家では十香が暮らすことになったので数値をモニタリングするために会話などは全て『フラクシナス』で録音されている。
ドライグはそれを分かっていたのだ。
「………分かった、今はもう聞かないよ。―――さて、仕事だ仕事!」
士道はトイレの電気がついていたが、ノックをすることなく入ってしまう。
そして、士道の目に映ったのは―――
「………と、十香!?」
………十香だった。ただ今絶賛使用中だったにも関わらず、士道は再びラッキースケベを発動させてしまう。
「し、シドー!?な、何をしているのだ!は、早く閉めんか!」
十香はパンツを膝の下までずらした状態で座っていた。ちなみに電気はじりじりと変な音を立てていた。
十香がトイレットペーパーを手につかんだ時に士道が左手を前に出して男の理論を語り出す。
「―――ああ待て十香、俺はこういう展開に物申したいことがある。女性の恥ずかしいシーンを見ることと俺がぶっ飛ばされることは決してイコールでない。いや、イコールであってはならない!
―――だから俺はこの光景をこの目にしっかりと焼き付けるッ!!」
「し、閉めんかあああああああああ!!」
「―――ジェロニモおおおおおおおおお!!」
十香は持っていたトイレットペーパーを士道の顔面に投げつけ士道を吹き飛ばした。
その現場に琴里が手を額に当てながらやれやれと呟いていた。
『………五河琴里、これから相棒がこの家にいる時は監視を一人つけてくれないか?』
「―――そうした方が良さそうですね」
士道のことをよく知る二人は、全く同じことを考えていた。
感想に士道の訓練はするの?とありましたが、士道の訓練は中身がイッセーなので何一つ必要ないと思っています。
ラッキースケベの描写は描く予定です。
フラクシナスのメンバーは士道のサポートをしますが、基本的にはドライグの方が有能ですので、ドライグがほとんど士道のアドバイザーになると言った感じですね!