デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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この四糸乃パペットが終わる話数は十二話近くまで行きそうです。

士道くんを支えるのは決まってあのヒロイン

※シリアス続きで大変申し訳ございませんでした。


五話 大切な仲間たち!

十香は部屋でくつろいでいた琴里を呼び寄せ、倒れた士道を『フラクシナス』の医務室へと運んだ。

今は令音が士道の体の状態を検査しており、彼女の顔は非常に深刻なものへと変わっていた。

 

「………シンの体の状態は決して良くはないね。表面上は目立った傷はないが、肉体―――特に筋肉が悲鳴を上げている。このまま十香のいう修行を続ければシンの体は明日か運が良くても明後日には確実に潰れてしまうだろう………」

 

令音は士道の汗をタオルで拭きながらおでこを撫でていた。十香は心配そうに士道が眠っているベットのそばに座っていた。

 

「………十香、キミはもう帰って寝るべきだ。もう一日が過ぎる時間だ。明日も学校があるんだろう?それに、夜更かしは美容にとっても大敵だ」

 

令音は十香に家に帰るように言うが、十香は士道のそばから離れようとはしなかった。

 

「………令音、シドーは明日学校に来れるのか?」

 

「―――とてもじゃないけど無理だろうね。歩くぐらいのことはできるだろうが、明日は体育の授業がある。シンはこんな状態でも絶対に体育の授業を見学するなんて真似はしないだろう。………だから学校に行かせるわけにはいかない。きっとみんなに頼られて無理をするのが目に見えている―――出席をさせるにしても昼休みが終わってからの授業限定になるだろうね」

 

令音のいう通り、士道の体はもう限界が来ていた。―――死期が迫っているというわけではないが、度重なる無茶をしたおかげで筋肉が悲鳴を上げていたのだ。

 

「………ならば私も明日は学校を休む。琴里が家にいないときは私がシドーの面倒を見なければならんからな。―――目を離せばシドーはまた修行に行くかも知れんしな」

 

十香も明日は学校を休んで士道の監視を行うようだ。それに関しては令音も首を縦に振った。

 

「………お願いしよう。シンは誰かが見てないと必ず行動をするだろうからね。………さて――――」

 

令音は十香から視線を外すと、次は士道を見つめる。令音は士道の左腕を見つめて語り出す。

 

「………私は聞きたいことがある。―――シンではない、あなたにだ『赤い龍』ア•ドライグ•ゴッホ」

 

令音の声を聞くと士道の左手の甲が緑色に光り、点滅を始める。―――ドライグが話そうとしている合図のようなものだ。

 

『………俺に何が訊きたい、村雨令音?』

 

「………私が聞きたいことは二つある。一つ目は―――シンは一体、()()()()を引き継いでいる………シンは何かの生まれ変わりなのか?』

 

『………………何が言いたい?』

 

令音の質問は士道にとっては話してはならない秘密のようなものだ。―――だからドライグは敢えてトボけたのだ。

 

「………シンが行なっていた十香との会話はこちらでも全て録音している。当然だが、今日の十香との会話の記録もしかりだ。シンに関しては私も分からないことが多過ぎる。でも、一つだけはっきりとしていることがある―――シンが十香に言ったことは、()()()()()()起こっていない事象だ。そこで私はある仮説を立てた―――もし、シンが()()姿()()()()()()()()の記憶を引き継いでいたとしたら?と。そう考えればシンが十香に言ったことも、女性を信じることが出来なくなっていたことも全てが線で繋がる」

 

令音の言っていることは核心をついていた。だが、一つだけドライグには逃げ道を―――矛盾をみつけていた。その矛盾を見つけたドライグはそこをついて何とか『兵藤一誠』としての記憶を守ろうとする。

―――ドライグが恐れていたのは、士道が転生した姿だと知られて何かの実験台にされることだ。………ドライグは令音たち―――『ラタトスク機関』の者たちを完全には信用していない。だからどうにかして秘密を守ろうとしているのだ。

 

『―――なるほど、他のクルーとは違って貴様は有能だな。………だが、なぜこの世界では無いと言い切れる?相棒が五河士道になる前の記憶―――そう、両親に捨てられる前の記憶ということも考えられるが?………残念ながら俺はその時は意識がなかったからその時のことは俺も視ることは叶わなかったから何も言えないが』

 

ドライグが言った逃げ道を令音は間髪入れずにセリフを返すことであっさりと塞ぐ。

 

「………それは無い」

 

『―――なんだと?なぜそう言い切れる?』

 

「………それはシンがその時のことを覚えていないからだ」

 

『………そう来たか―――だが、残念ながら世の中はそう上手くは出来ていない。相棒はある程度思い出し始めてきている。相棒は「母親がいたことだけは覚えている―――顔と名前は思い出せない」と言っていたがな。―――貴様、まさかとは思うが『五河士道』になる前の相棒と接点があったのか?』

 

………ここからドライグの反撃が始まろうとしたいた。ドライグの言葉に令音が眉を吊り上げた。ドライグはその変化を見過ごさなかった。

 

「………話を晒さないで欲しい、それは関係のないことだ」

 

『―――何かを知るには、それ相応の対価が必要だと思うが?相棒について知りたければ、貴様も自分について話すべきではないのか?』

 

ドライグは一歩たりとも令音に退くことをしなかった。………ドライグの言葉に令音は目を瞑り首を横に振り、士道の記憶のことについては諦めた。

………だが、令音が聞きたいことはもう一つあったため、令音は目を瞑り、ドライグに訊く。

 

「………シンが誰かの生まれ変わりだということは一度置いておく。それから私が聞きたいのはもう一つある―――シンがそんな危険なトレーニングをするということになぜ反対しなかった?こんな無茶を続ければいずれシンが潰れることはあなたなら考える必要もなく理解していたはずだ」

 

『―――もちろん止めたさ。だが、相棒は一度も自分の体の心配をすることは無かった。………「夜刀神十香」の時も「五河琴里」の時も相棒の心は一つだった。―――あとは俺から言う必要はあるまい?』

 

士道は“誰かを絶望から救えるのであれば、自分が傷つこうが構わない”と両親に捨てられた時の絶望を自分以外の人に味あわせることのないようにとずっと思って行動して来たのだ。

―――ドライグは士道のそばから離れようとしない十香に今度は言った。

 

『………夜刀神十香、何が起きても相棒のことを信じて支えてやって欲しい。これからもこのバカは己の体を顧みることをせず、貴様らに危機が迫れば迷うことなく犠牲になることを選ぶだろう。―――それだけ相棒にとって貴様はそれだけ大切な存在なんだ。………これから先、相棒が絶望して立ち直れなくなることがあるかもしれない―――その時は相棒のことを支えてやって欲しい………頼む」

 

ドライグの声は真剣そのものだった。十香はドライグの言葉に力強く頷いた。

 

「―――無論だ。私はシドーの味方でありたいと思っている、何があってもシドーを信じるぞ!シドーは誰の利益にもならないような私にも『生きていてもいい』と言ってくれた。シドーが居てくれたから今の私があるのだ!………•ドライグ、任せてほしい。何があっても私はシドーを支える!」

 

『―――ありがとう………本当にいい仲間に相棒は巡り会えたよ』

 

十香の言葉にドライグは涙をしながら感謝していた。その後は令音と琴里は士道の家に戻り、十香はこのフラクシナスの医務室で夜を過ごした。

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

「………体が重いっ………」

 

士道は目が覚めたらしく、体を起こそうとしたが起き上がることが出来なかった。

 

『―――よう相棒、目覚めはどうだ?』

 

ドライグも士道が目を覚ましたことに気づいたらしく、声をかける。ドライグの声はいつも通りだった。

 

「………無茶をし過ぎたみたいだな。体が本当に重たい」

 

『………今日は学校も休むように村雨令音が連絡をしていた。今日一日は大人しくしておけ』

 

ドライグの言葉に士道はベットのシーツを強く握りしめた。下を向き、悔しそうに歯ぎしりをしていた。

 

「………情けねえ!俺はこの程度なのか!?こんなんじゃ俺は―――俺はッ!!」

 

士道は拳を握りしめ、眉間にしわをよせて悔しがっていた。自分の弱さが嫌で仕方ないのだ。

 

「―――シドー?」

 

何か声が聞こえ、士道はその声が聞こえた方へと視線をむける。もごもごと布団が動いていることに士道はようやく気付いた。士道が慌てて布団をめくると―――黒髪の少女がパジャマ姿で眠そうにしながら目を擦っていた。

 

「十香さん!あなた一体いつから眠っていたのですかぁ!?」

 

士道と同じベットで気持ちよさそうに眠っていたのは十香だった。十香は目に涙を浮かべながら士道に抱きつく。

 

「シドー!?シドーが目覚めた!!このバカが………いつもいつも私を心配させおって!」

 

「―――ゴメンな十香、俺心配かけてばっかりでさ。………本当にゴメン。もう大丈夫だ」

 

士道は胸の中で泣きじゃくる十香の頭を優しく撫でていた。その時、医務室が煩いと思ったのか、令音と琴里が医務室の中へと入って来た。

 

「………おはようシン、目が覚めたみたいだね」

 

「………ようやく目覚めたのねシドー。全く無理をし過ぎよ」

 

医務室へと入って来た二人に士道は視線を向けて頭を下げる。

 

「琴里、令音さん。心配をおかけしました」

 

琴里も十香同様に感情が溢れ出そうになっていたが、後ろを向いて誤魔化していた。士道もその様子に気がついて苦笑いをしていた。―――その時、令音が士道を見て言う。

 

「………取り敢えずシン、入浴して来たらどうだい?昨日からお風呂に入っていないのだろう?―――シンが一人で体を洗えないのなら、特別に私が背中を流してあげても良いが?」

 

「―――おおおおおおおお!!ま、マジですか!?」

 

令音の言葉に士道は光の速さで飛び上がった。―――この男の原動力はエロと熱血の二つなのだろう。

 

「………私は構わない。シンが望むならいつでもしてあげよう」

 

令音の大胆な言葉に士道は鼻血と涙を同時に流して雄叫びを上げる。

 

「―――うおっしゃああああああああああ!!!!まさか令音さんに背中を流してもらえるなんて!俺、今日死んでしまっても後悔無いっす!」

 

「………シンは大げさだね。じゃあ行こうか」

 

「はいッ!よ、よろしくお願いしますッ!令音さんッ!」

 

士道は鼻を伸ばしていやらしいことを想像しながら、令音と二人でお風呂に向かおうとしたが………もちろん、相棒のドライグはそんな不純異性交遊を見逃すことはない!

 

『―――夜刀神十香、五河琴里!』

 

ドライグの声に十香と琴里が一瞬で士道の前に現れる。士道を愛する二人は士道の発言が許せなかったみたいだ。

 

「―――おいざけんな!この俺の初めての女性とお風呂なんだぞ!?お前が邪魔してんじゃねえよドライグッ!!」

 

士道がプンスカと怒るが琴里と十香の二人は鬼を思わせる形相で士道の服の首袖を掴んでいた。

 

「―――ねぇシドー、あなたそんなに令音と一緒にお風呂に入りたいのかしら?」

 

「―――嫁を差し置いて令音とお風呂とは………嫁として夫の浮気を見過ごすわけにはいかないな!」

 

「やめろおおおおおおおおおおおお!!俺は令音さんと一緒に洗いっこするんだああああああああ!!」

 

二人は士道の首袖を掴んで令音から距離を離す。その様子を見た令音は士道に言う。

 

「―――シン、また今度にしようか………」

 

「うわあああああああああんんっっ!!」

 

「「泣くなこのバカッ!!」」

 

ドゴッ!!

 

琴里と十香は士道の頭にゲンコツを入れて士道を浴室へと連れて行った。士道はまだ令音と触れ合うことができないことを一日中引きずっていた。

 

「令音さんのおっぱいぃぃぃぃぃ!!」

 

『―――これで俺の精神は救われた。相棒の犠牲によって一つの救済があった―――相棒の想いは決して無駄にはならなかった』

 

士道とは対照的にドライグは輝やかしい笑顔を神器の中で浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やられたらやり返す―――百倍返しだ!!」

 

―――ドライグへの報復として士道は隠しコレクションである『十香のエッチな写真集』をいつもドライグが読んでる漫画の代わりに籠手に入れた。

………このコレクションは士道が十香の恥ずかしい姿の写真を十香が学校に行くようになってから隠し撮りを続け、自分の夜のお供にしていた士道の秘蔵コレクションだ。

―――もちろん、こんなものが贈呈されればドライグがどうなるかは、想像するに容易いだろう。

 

『うおおおおおおおおおおおおおおんんんっっ!!相棒なんて嫌いだぁぁぁぁぁぁ!!死んでしまえぇぇぇぇぇえええ!!』

 

この時の士道の顔は非常に充実した達成感に満ち溢れていた。

 

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 

『おに〜ちゃ〜ん、お腹空いたぁ〜!』

 

筋肉が悲鳴をあげて学校を休んでいるからといって士道はゴロゴロしていられる―――なんて事は無い。

時刻はPM一時三十分。琴里がお腹が空いたと一階のリビングで怪獣の如く叫んでいるのだ。

 

「―――はいはい分かった分かった!今行くからちょっと待ってろ」

 

『おに〜ちゃん、「はい」は一回!』

 

「………あんの野郎!神さま仏さま可愛い妹さまのつもりかッ!!俺が怪我人だってことわかってねえだろッ!」

 

士道はボヤきながら階段を降りる。今日は琴里と令音が買い物へと行き、食材をスーパーマーケットで買い、料理は士道が作らなければならない。

―――これは余談だが、琴里と令音が外出中は士道の監視として十香が士道を見張っている。

 

一階に降りてキッチンに置いてあるレジ袋にはジャガイモ、玉ねぎ、ニンジン、牛肉、ジャ◯カレーの箱があり、他には牛乳とチュッパチャプス十本があった。

まず士道はチュッパチャプスに目がいく。

 

「―――おい琴里、こんなに買い貯めする必要ねえだろ!」

 

「気にしなーい気にしなーい!そんなことより早くご飯作って、おに〜ちゃん!」

 

………今の琴里は白リボンの『妹モード』だ。士道はレジ袋から食材を取り出し、調理を始める。

 

「………この食材だとカレーだな。―――令音さん大丈夫かな?あの人辛いものがダメだったはずだけど………」

 

ブツブツと言っているうちに士道の横で調理をしていた十香はジャガイモとニンジンを洗い終えて、調理を始めていた。

 

「………十香、手を切るなよ?分からないことがあったら俺に任せろ」

 

「心配いらぬぞシドー!この前桐生藍華にカレーの作り方なら教わっている」

 

―――ちなみに十香が女子の中で一番仲が良いのは桐生藍華だ。士道の次に桐生藍華に十香はお世話になっている。

 

「………とりあえず玉ねぎを切らないとな、その次は牛肉だな」

 

トントントントンッ………

 

士道は黙々と玉ねぎをくし切り、そしてみじん切りに切っていく。ふと横を見ると、十香は既に切り終えていた。玉ねぎを切り終えると、士道は豚肉の調理に取り掛かる。

既に十香はジャガイモ、ニンジン、士道が切った玉ねぎを鍋に入れ、炒めていた。

 

「シドー、これはどのくらいに炒めれば良いのだ?」

 

「………にんじんがツヤが出るぐらいだ。それは俺が見るよ―――十香、牛肉を炒めてくれ。取り出す具合は色がつき始めたらでOKだ」

 

「うむ!任せろ!」

 

士道と十香は二人でカレーを作っていた。………本当に愛の共同作業と呼ぶに相応しい。

 

「おに〜ちゃん、まだ〜?」

 

琴里はリビングのソファーでお笑い番組を見ながらくつろいでいる。士道は琴里に大声で言う。

 

「―――だったらなんか手伝えや!!」

 

「えぇ〜!私買い物行ったじゃない!」

 

「―――そうでしたね!!ゴメンな!もう少しだけ待っててくれ!」

 

………何も言えない士道くんなのであった。そして、士道は大、小の鍋を二つ用意して、炒め終えた牛肉、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジンを分けて入れる。もう片方の小の方にはリンゴを入れていた。

 

「―――シドー、なぜ小さい方の鍋にはリンゴが入っているのだ?」

 

「令音さんが辛いのがダメなんだ。………そのためのリンゴさ。リンゴを入れると辛さが少し緩和されるんだ」

 

「―――おお!そうなのか、知らなかったぞ」

 

―――リンゴを入れるカレーは確かにあるが、メジャーかマイナーかと言えばマイナーに近いだろう。

しばらくするとカレーが完成し、琴里と令音が席に着く。十香は相変わらずヨダレをダラダラと滝のように流していた。

 

「「「「いただきます!」」」」

 

四人は出来上がったカレーを食べる。令音はリンゴが入っていることに戸惑っていたが、食べて見ると目を見開いて「おいしい」と言っていた。

 

「―――十香も随分と料理ができるようになってきたね。シンの手伝いも熟せていたし、十香の一人暮らしも存外難しいことじゃないかも知れないね」

 

士道もうんうんと首を縦に振っていたが、十香は自身は首を横に振って「私はこの家に住むぞ!誰もが認めるシドーの嫁だからな!」と堂々と胸を張って宣言していた。

 

「「認めません!!」」

 

琴里と令音は真っ向から否定をするが、十香は全く無視して士道にベッタリとしていた。

 

「シドー、あ〜ん」

 

「あ〜ん!」

 

十香が自分のカレーをスプーンですくい、士道の口へと運ぶ。士道は幸せそうな顔をして頬張る。―――今度はその逆が行われていた。

 

「―――はい、十香。あーん!」

 

「あ〜ん!うむ!美味いぞシドー!」

 

―――二人のバカップルっぷりはこの家でも遺憾無く発揮されており、五河家のテーブルは愛の巣へと変わり果てていた。琴里と令音は目を細め、鋭い視線を二人へと送る。

 

「………高校生でこの光景を見るのは辛そうよね―――私も自分を制御するのが大変だし」

 

「―――物理の実験でもこの光景を私は見ているよ。………生徒たちは吐血をしたり涙を流したりのオンパレードさ。特に非リア充の生徒たちは今日は天国だろうね」

 

士道は「随分嫌われたものだな」と苦笑いをしていた。楽しい食事の時間も終了し、士道は再び家の雑用係を琴里にやらされ、終了した頃にはサンタの親父の時間になろうとしていた。

 

 

 

 

―――その頃の来禅高校。

 

 

「うおっしゃああああああああああ!!五河士道死すッ!!いいざまだハッハッハッ!」

 

「鳶一さんと夜刀神さんをいつも独占していたバチが当たったんだ!―――もう一生来なければいいのに!」

 

「この幸せが一生続きますように!」

 

男子生徒たちは士道が怪我をして学校に来られないことを万歳参照で大喜びをしていた。

 

「―――みっともないわねぇアンタたち。………そんなじゃあいつまでたっても彼女なんて出来ないわよ」

 

「「「うるせー桐生藍華ッ!!お前も彼氏いねえだろうがぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 

男子たちは桐生藍華の言葉が図星となり、お前が言うなと言わないばかりに言い返した。―――惨めなことこの上ないとはよく言ったものだ。

 

ガタッ………

 

窓際の一番後ろの席の少女が荷物をまとめて席を立った。その少女とは―――折紙だ。

折紙は鞄を肩にかけ、教室を後にしようとしていた。

 

「―――がみがみ、どこに行くの?」

 

桐生藍華は折紙のことを『がみがみ』と呼んでいる。折紙は桐生藍華に振り返って表情を変えることなく話す。

 

「………士道がいない学校なんて行く意味がないと思って―――私は今から士道を看病しに行く」

 

それだけを言い残して折紙は教室を後にした。それを見た男子たちは――――

 

『ええええええええええええええ!!!!!―――俺たちの鳶一さんが!!』

 

全員が声を出して驚いていた。それはそうだろう。学校の授業よりも自分の想い人を選んだからだ。

折紙が教室からいなくなったことで男子たちはガックリと肩を落とし、両膝を地面についていた。

 

「―――♪ちょっと見なさいよアンタたち、五河と十香ちゃん二人でカレーを作って食べあいっこしてるらしいわよ♪………ほら、こんな写真が送られてきてる!」

 

桐生藍華が自分のケータイのメッセージに送られてきた写真をクラスの男子たちに見せると………まあ、あとは予想通りだろう。

 

―――非リア充の男子たちは全員が幸せそうな士道と十香を見て大泣きをして、晴れ渡った青空に叫んでいた。

 

『くっそおおおおおおおおおおおおお!!!!』

 

士道の家を目指して折紙は学校を出たが、彼女にはひとつだけ分からないことがあった。

………それは――――

 

 

 

 

 

 

 

「………士道のお家ってどこ?」

 

 

 

天然丸出しのメカメカ団所属、鳶一折紙一曹なのであった。

 

 

 

 

 

―――その頃の来禅高校 終了。

 

 

 

 

 

 

PM六時三十分となった。太陽が沈み夜の帳が降りた頃の出来事だ。

士道は玄関へと向かう。靴を履き替え、外出の準備を整える。

それに合わせて十香も靴を履き、士道と同じで玄関にいる。

―――二人はこれからとある場所へとお出かけをする予定だ。

 

「………十香、準備は出来たか?」

 

「ああ、私はいつでも大丈夫だ。―――シドー、早くデェトだ!」

 

士道と十香は手を繋いで、夕陽が落ちて薄暗くなった外の世界へと足を踏み出す。

―――今日のこのバカップルの目的地は、二人の想い出の場所でもあるあの高台だ。

 

「―――夜の街というのも悪くないものだな、ここからでも十分綺麗な街並みが見渡せるぞ!」

 

十香は士道と手を繋ぎなら、高台に行くまでに見える天宮の夜景を楽しんでいた。

 

「こら十香、高台に行くまでそれは言うなよ。―――さあ、行こうか」

 

士道は十香の手を引いて目的地を目指して歩いた。そして、歩くこと数分ほどが経過し、士道と十香は目的地へと着き、士道のお気に入りの場所でもある高台から見える天宮の夜景を士道と十香は楽しんでいた。

 

「おおっ!見てみろシドー!キラキラがたくさん見えるぞ!あれは全部建物なのか?」

 

十香は柵から身を乗り出して天宮の夜景を眺めていた。純粋に楽しんでいる十香の様子を見て士道は満足そうに微笑んでいた。

………一つ大きな深呼吸をした後、士道は十香を見て口を開く。

 

「―――十香、お前に話しておきたいことがあるんだ」

 

「………ん?なんだシドー?」

 

十香は夜景を眺めることを止め、士道の方を向く。

面と付き合う形で士道は話し始める。

 

「………昨日はその、悪かった。―――どうしても強くならなければいけないと焦っていて周りが見えていなかった。お前の気持ちも考えずにあんなことを………気分を悪くさせて本当に悪かった」

 

士道は顎を首に付ける形で十香に謝罪の気持ちを示した。しかし、十香は目を瞑り、首を横に振って士道の手を握る。

 

「………シドー、私はお前の味方だ」

 

十香は迷うことなくその言葉を士道に伝えた。十香の目はただ純粋に士道を捉えていた。

 

「シドーが修行を行ってきたのは私たちを守るためなのだろう。確かに私はシドーに力を封印してもらい、通常の人間としての生活ができるようになった。しかし、その結果精霊の力は失われた………だがなシドー、私はな―――お前に感謝しているのだ」

 

「お、俺はお前に感謝をされるようなことは何もしていない!俺はただ―――」

 

「そう、お前は私と真っ向から向き合った。シドーのただ真っ直ぐな想いに私は救われた。だからシドー、お前が私にしてくれたように―――私もシドーの味方でいるつもりだ」

 

「十香………」

 

こんなことを言えば、士道はさらに自分の身を削って修行を行うようになるだろうが、十香はそれを分かっていた。―――だから士道に想いを告げた。

 

「だからシドー、一人で全てを抱え込むな。精霊の力を封印された私は足手纏いにしかならないだろう―――だが、私にもお前を信じて支える事くらいは出来る。いや、それが出来るように努力をする!だからシドー………もうあのような無茶をしないでくれ………。お前がもし死ぬようなことがあれば私は―――私はッ!!」

 

「十香ッ!!」

 

士道は十香の言葉を聞いて涙を流していた。そして士道は気付いた時には十香を自分の胸の中へと抱き寄せていた。

 

「………ゴメンな。それから、本当にありがとう」

 

「シドー!―――私はずっとシドーと一緒にいたいのだ!これからもずっとずううっとだ!だからシドー、もっと私を頼ってくれ………」

 

―――新しく加わった家族はこれからも傷つきながらも前に進んで行く士道にとって大きな心の支えとなるだろう。

だが、彼女を大切にしたいと言う想いだけは決して変わることがない。

 

「―――ありがとな十香。………さあ、デートの続きをしようか!」

 

「うむ!夜の天宮ぶらり旅だ!」

 

士道と十香は夜の天宮町のデートを満喫していた。




☆おまけ

イッセー「なんだよあの五河士道ってやつ!俺より充実した日常を送ってんじゃねえか!」

ドライグ『相棒、それを言ったら負け組に入ってしまうぞ?あの五河士道からしたら相棒の前世での生活の方がよっぽど羨ましいものだと俺は思うが?』

イッセー「やっぱり俺以外の奴がハーレムしてるのを見るとイラッと来るぜ!」

ドライグ『———ああ、負け組だ』

イッセー「うるせええええええええええええええ!!!」

※これは本作とは関係なく、イッセーとドライグの視点で士道を見た時の二人の様子です!

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