デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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前話のアレがド滑りしたような気がします。
———大変申し訳ございませんでした!

※誤字を修正しました。



七話 またまたデートです!?

「タマちゃん先生、外はそんなにも危険なのか?」

 

高校の地下シェルターで十香は担任の先生である―――タマちゃんこと岡峰珠恵に外の状況を聞いていた。

タマちゃんは十香に顔を近づけ、真剣に説明をする。

 

「―――危険とかそういうレベルの話ではありません!なんたって空間震ですよ!?空間震!かつてユーラシア大陸で発生した人類史上最悪の災害―――その死傷者は一億五千万人にも上ったほどなんですから!」

 

全力で力説するタマちゃんの言葉を聞いて十香は眉根を寄せ、さらに表情を陰らさる。

 

「………シドーはそんな時に一体どのような仕事を―――」

 

悲しみに囚われる十香にタマちゃんは笑みを作って十香に言う。

 

「だ、大丈夫ですよ!村雨先生も付いていますし、大惨事になるようなことはないでしょうし!―――夜刀神さんが悲しそうな顔をしていたら五河くんも仕事に集中出来ませんよ?」

 

「―――シドー………」

 

タマちゃんはどうにかして十香の不安を解消させてあげたかったのだが、十香にとってはむしろ逆効果だった。

―――十香は胸が張り裂けそうになり、居ても立っても居られなかなったのだろう。

 

「………あれ、夜刀神さん?」

 

―――そう、十香はもうタマちゃんの視界から姿を消していた。

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

『いんや〜、士道くんとお話しするのはとても楽しいねぇ〜。よしのん、こんなに楽しいお話をしてくれる人と出会ったのは初めてだよ』

 

―――士道の方はかなり順調に作戦は進んでいた。今はデパート内の近くのベンチで『ハーミット』と一緒に座ってお話をしている。

パペットである『よしのん』からはかなり好印象を持ってもらえており、青い髪の少女の『ハーミット』も少しずつだが、士道のことを恐怖する姿が見えなくなり始めてきた。

 

「―――楽しんでもらえているのなら、俺は嬉しいよ。さて、俺の相棒も紹介しようかな………ほらドライグ、よしのんに挨拶だワン!」

 

士道は自分の神器『赤龍帝の籠手』の宝玉部分を軽くポンッと叩き、ドライグに挨拶をさせようとするが―――

 

『………………………』

 

ドライグは無視した。―――地上最強と呼ばれた赤龍帝にこれはいくらなんでも失礼だろう。ドライグは機嫌が悪そうだった。

 

『士道くん、ドラゴンに「ワン」はダメなんじゃないの〜?せめて「ガオ!」とかの方がいいんじゃない?』

 

よしのんから思わぬ助け舟だ。士道は「なるほど」とポンっと手を叩き、再び籠手の宝玉を叩く。

 

「―――ドライグ、挨拶だガオッ!」

 

『―――相棒、そろそろ殴ってもいいか?』

 

ドライグは声を震わせながら士道に感情を伝える。―――ドライグは不機嫌だ。ちなみにだが、ドライグが士道を殴ることは無理だ。―――ドライグは魂だけの状態なので、夢の中なら士道を殴る可能だが、現実世界では不可能だ。

士道はベンチから立ち上がり、一気によしのんの気分を上げようと一発芸を披露する。

 

「………ここで今日の天気予報をお送りいたします。五河氏の天気はゲリラ豪雨級の血の雨!ドライグに殴られ、所によりアザとなるでしょう!」

 

―――士道は自信満々だったが、ドライグは『滑ったな………』と呆れていた。だが、よしのんは手を叩いて大笑いをしていた。

 

『プププププ………ハハハハハハ!士道くんって本当に面白いねぇ!士道くんとよしのんはいいお友達になれそうだよぉ〜』

 

よしのんはこれまた上機嫌だった。今でも手を叩いて大笑いをしている。そんな時に宝玉が点滅を始め、ドライグが声を出す。

 

『………この精霊は案外チョロいのかも知れないな。―――さて、あまり待たせるのも癪だな。相棒の言う通り自己紹介でもしておくか。………()()に付いてはもう一度謝っておいた方が良さそうだしな………』

 

ちなみにドライグはよしのんのことを『ブサイクなパペット』と言ったことを謝ろうとしていた。

 

(―――今度は間違っても『ブサイク』なんて言うなよ?それから『パペット』も禁句だからな)

 

ドライグは士道が頼んだ通りに自己紹介をする。

 

『………「よしのん」と言ったな?先ほどは大変失礼なことを言って悪かった。―――俺の名はドライグだ。相棒のドラゴンと言うのは俺のことを指しているのだ。―――だが!先ほどの「乳龍帝おっぱいドラゴン」という不名誉な二つ名は俺の相棒「五河士道」の二つ名だ。………そこは勘違いしないで欲しい』

 

ドライグが簡単な謝罪を込めた自己紹介をするとよしのんは『ハーミット』と共に近づいてきて小さな腕を出す。

士道も『赤龍帝の籠手』を纏った左手でよしのんの手を握ることでドライグの握手とした。

 

『うんうん!よしのんは寛大だからね!許してやっても良いよぉ!よろしくね「おっぱいドラゴン」さん!―――ところで、おっぱいドラゴンさんは女の子のおっぱい好きなの?』

 

よしのんの言葉にドライグは大泣きをする。

 

『うおおおおおおおおんんんっっ!!だからそれは俺の相棒のことだと言っているだろうがあああああああああ!!なぜ毎度毎度ながら俺はこんな目に合う必要がある!?』

 

(………落ち着けドライグ、これはきっと聖書の神『ヤハウェ』のせいだ!戦争中に大暴れをした二天龍を嫌ったんだ。その報復として二天龍に『乳龍帝』だの『ケツ龍皇』だの不名誉な名前を作るようにアザゼル先生に命令しやがったんだ!)

 

―――あくまで士道は「おっぱい!おっぱい!」と言ってきた自分に責任はなく、あろうことか()()無関係の聖書の神に責任をなすりつけた。

………この五河士道という男は神すら恐れない怖いもの知らずだ。

ちなみに、この不名誉なドライグの二つ名を名付けた張本人は堕天使総督のアザゼルなのだが、アザゼルも元々は天使で、堕天をしたために堕天使になったのだ。―――もともと、天使を生み出したのは聖書の神『ヤハウェ』だ。………つまり、『ヤハウェ』はミカエルやアザゼルの父となるため、全く無関係と言うわけではない。

―――これは余談だが、歴代最強の白龍皇『ヴァーリ•ルシファー』を『ケツ龍皇』と名付けた存在は北欧の主神であるオーディンのクソジジイだが、そんなことはどうでも良いだろう。

 

『おのれええええええええええ!!あの『ヤハウェ』め!俺たちが元の世界に戻った時、人間界でユー〇〇ーブを使って貴様の死んだという情報を全世界同時配信をしてやるぅぅぅぅぅぅ!!』

 

―――そんなことをすれば天界と教会が本当に終わってしまいそうだ。人間たちは神も教会も信じなくなるし、お偉いさん方の教会への寄付も無くなる。

その結果、天界の命とも言える『システム』に甚大な悪影響を与えてしまい、最悪の場合は崩壊もあり得るだろう。

 

『メンゴメンゴ!ドライグくん!―――士道くんはよしのんのおっぱい見たい?』

 

士道は躊躇うことなくよしのんの言葉に拳を握って賛同する!

 

「―――当たり前だろ!こんな可愛い少女のおっぱいを見ずして立ち去ることなんて出来ないッ!それを神が拒むのであれば俺はその神をもぶっ倒すッ!」

 

ピカッ!ゴロゴロゴロゴロッ………

 

士道が決めポーズを取りセリフを言った瞬間雷鳴が轟き、士道をより際立たせる!―――しかし、ドライグだけは士道の姿を冷静に捉えていた。

 

『………相棒、カッコつけてるところ悪いのだが―――鼻血が出てるぞ?』

 

―――なんとも情けない事に士道は『ハーミット』のおっぱいを妄想して鼻血を流していた。………カッコつけて盛大に転んでしまうことがこの五河士道なのかもしれない。

 

『うわぉッ!士道くん大胆だねえ!まあ、士道くんには楽しい思いをさせて貰ってるし、よしのんも応えてあげないとねッ!』

 

なんということでしょう!こんな誘いによしのんは乗ったのだ。士道は『ハーミット』に手を差し出して、作戦の実行を完全に開始する!

 

「―――恩を恩で返すとは、さすがは俺の友達の『よしのん』だ!さあ行こうぜ、今いる四階の下の階である三階には服が売っているコーナーなんだ。………俺がよしのんにとびきり可愛い服をチョイスしてやる!」

 

士道はよしのんのことを友達認定していた。しかし………

 

「あ、あの………」

 

ここに来て初めて『ハーミット』が声を出した。彼女は消え入りそうな声で士道に言う。それを見たよしのんは何かを納得したかのように『ハーミット』に声をかける。

 

『ん―――ああ、なるほどね。「()()()」が決めたことならよしのんは何も言わないよ』

 

よしのんはジッと士道を見つめる『ハーミット』の背中を後押しするかのように声をかけた。彼女は一度、目を瞑った後に決心して桜色の唇を開く。

 

「わ、私は………よしのんじゃ、なくて………『四糸乃』。よしのんは、私の………友達、です」

 

『ハーミット』がついに自分の名前を明かした。彼女の名前は『四糸乃』と言うらしい。士道とドライグが考えていた通り、二人は別の生命体のようだ。士道は四糸乃の言葉に頷いた。

 

「四糸乃か―――うん、良い名前だ!よし行こうか四糸乃!目指すは衣服売り場の三階だ!俺に付いて来い!」

 

「………は、はい」

 

『うんうん!四糸乃とよしのんの魅力をたっぷり見せつけてあげるよ!』

 

―――今ここに士道と四糸乃の『戦争(デート)』が始まった。

 

 

 

―――その頃のフラクシナス二章①

 

 

 

「士道くん、本当に頼もしくなりましたね。………ちょっとエッチなところが残念ですけど」

 

藁人形(ネイルノッカー)』椎崎が精霊の好感度を上げようと果敢に向かっていく士道の姿を称えていた。

 

「そうですね!このまま押せ押せで行って最終的には―――最後の一線を越える!そんなこともあるかもしれませんね!」

 

早すぎた倦怠期(バッドマリッジ)』川越が妄想を爆発させながら士道同様に煩悩まみれになっていた。

副司令の神無月、司令の琴里、解析官の令音以外のクルー達も「早く録画の準備を!」と言ったり、「それが実現するのであれば、ティッシュ持って来なければ」などの発言が出たり、「男子高校生の裸体が拝めるわよおおおおおおおッ!」などと言って大盛り上がりだ。

 

琴里は自分の手を抓ってひたすら「耐えるのよ私!」と言い聞かせていた。

令音も琴里と同様に平静を装ってはいたが、“早くシンの所へ行って貞操を強引に奪うべきだ”と考えていたが、自分の心に従わないようにと足が震えていた。

 

そして―――この副司令の神無月はと言うと………この男も全くブレることなく妄想を膨らませていた。

 

「―――次に士道くんの選ぶ服が勝負を決めるでしょうね。………可愛い幼女に着せる服といえば、幅が広く、悩みに悩むでしょう。並みのロリコンなら『スク水』の一択のはず………しかし!私はそんな一般常識は認めません!

士道くんなら私の予想を二歩もしくは三歩先を行って貰わなければならない!そして私は士道くんが選んだ服を司令に着させて虐めて貰うんだ!!」

 

パチンッ!

 

身の危険を感じた琴里が指を弾き、黒スーツのSPを呼んだ。SP達は神無月の両腕を掴んで退出して行く!

 

「司令、お慈悲を!お慈悲おおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

神無月は最後の抵抗と言わないばかりに声を出した。

 

「士道くん、キミのエロを私に見せてくれ!」

 

『―――あなたに見せるものは何もありませんッ!!』

 

クルー達の心の叫び声を訴えた後、神無月は黒スーツのSPと共に何処かへ消えた。

 

 

 

 

 

―――その頃のフラクシナス二章①終了

 

 

 

 

 

「………シドー、無事でいてくれ!」

 

十香は士道の安否を心配し、シェルターを飛び出し外の世界を走っていた。走ること数分が経過した時のことだった。

十香の目の前にある人物が姿を現した。

 

「―――っ!き、貴様はあの時の………•!」

 

「おや?僕のことを覚えていてくれたのかい?………それは光栄だ。―――お久しぶりだね、十香ちゃん」

 

その人物は士道を鍛えている人物―――次元の守護者のソロモンだった。ソロモンを見た十香は警戒を強め、ソロモンを睨みつける。

 

「………そこを退け!私はシドーのもとへと向かわなければならないのだ!」

 

ソロモンはやれやれと首を横に振る。精霊の力を封印された十香ならたとえ天地が裂けてもソロモンを討つことは敵わないだろう。―――もっとも、精霊の力をフルに使えても勝負にすらならないが。

 

「………へぇ、面白いことを言うね十香ちゃんは―――じゃあ訊くけど、僕が『退かない』と言えばどうするつもりかな?」

 

「知れたことをッ!押し通るまでだ!」

 

十香のセリフを聞いたソロモンはため息をついて呆れていた。

 

「―――まったく、士道くんも十香ちゃんにしてもそうだけど、もっと相手を見て物事を語るべきだ。………最近の若者たちは短気になったものだよ」

 

「む!貴様、私をバカにしているのか!?」

 

「してないよ。―――まあ、僕のような不審者がいきなり目の前に現れたら警戒するよね?………僕は十香ちゃんにお願いがあってここに来たんだよ」

 

十香はソロモンの発言に拍子抜けし、口をポカーンと開ける。………先程まで逆流しそうだった十香の力は完全に消え失せていた。

 

「やっと落ち着いてくれたみたいだね。―――僕が十香ちゃんにお願いしたいのは、士道くんにこの手紙を渡して欲しいんだ。………まあ、これにも少し条件があるんだ」

 

「―――そのようなことで良いのか?………しかし、それならば貴様から士道に渡すのが一番早くないか?」

 

………十香は疑問に思ったことをそのままソロモンに伝えた。ソロモンは眉根を寄せ、目を閉じて十香に告げる。

 

「―――僕が士道くんに渡すとなると、彼はすぐに『修行だ!』と言うからね………十香ちゃん、条件と言うのは士道くんと二人っきりの時にこの手紙を渡して欲しいんだよ」

 

「………構わないが、なぜ二人きりの時に渡さなければならないのだ?」

 

「その理由は僕が『フラクシナス』の連中とあまり関わりたくないからさ。………二人っきりの時なら十香ちゃんが士道くんにラブレターを渡しただけだと向こうも判断するだろうからね。―――まあ、あの()()ちゃんだけは案外勘付いて来そうで怖いんだけどね」

 

「む?―――その零番とやらが気になるが、とにかく了承したぞ。貴様と会ったことも皆には伏せるようにする」

 

十香はソロモンの言葉に首を縦に振って頷いた。十香はソロモンから手紙を受け取り、自分のポケットの中へとしまい込んだ。

ソロモンは十香がお願いを聞いてくれたことに感謝として魔法陣を展開し、笑顔を見せて十香に言う。

 

パァァァァァァァッ………

 

魔法陣は光を放ち、完成をみた。その魔法陣はソロモンの左手に展開されていた。

 

「ありがとう十香ちゃん。………これはささやかな僕の気持ちさ―――僕が士道くんのところまでワープさせてあげるよ。………士道くんのことが心配で仕方ないのだろう?」

 

「―――それは本当か!?………すまない。恩にきるぞ!」

 

十香はソロモンの展開した魔法陣へと乗った―――そして………

 

シュゥゥゥゥゥンッ………

 

魔法陣は光を放出しながら十香の体を包み込んで消え去った。

 

「―――さて、今日の僕の役目はこれで終わりといったところかな………あ、そう言えば士道くんは作戦実行中だったりするのかな?―――まあ士道くんなら『誠〇ね』みたいなことにはならないだろう」

 

―――この時ソロモンは自分が士道に原子力爆弾級の強力な爆弾を、導火線に火を付けた状態でプレゼントしたとは夢にも思っていなかった。

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

『―――どう、士道くん?四糸乃とよしのん可愛い?』

 

士道と四糸乃はデパートでの衣服コーナーで絶賛デート中だ。―――デートとはいっても余計な存在が二つ(ドライグとよしのん)あると言うことは放っておこう。

 

「おう!中々様になってるぜ!―――次はナース服!その次はゴスロリで、その次はメイド服だ!」

 

『―――んもう!士道くんったらほんとうに大胆!」

 

まず最初に士道が四糸乃に選んだ服は幼女の定番とも言える白いワンピースだった。その姿でも十分可愛いが、士道はさらに上を目指した。

―――四糸乃は十香がやっていたように士道が持って来た服を自分の霊力を使ってその服を模倣し、士道の前に立つ。

ピンクのナース服姿となった四糸乃を見て士道は大喜びをする。

 

「―――て、天使だ!ここに天使が降臨したぞおおおおおおおお!!」

 

鼻の穴を大きく開けて興奮し、両手を握って迫ってくる士道の様子を見て四糸乃は「………は、恥ずかしい、です………」とモジモジとしていた。よしのんも四糸乃に『四糸乃、似合ってるよ!自信持って!』と励ましていた。

―――どうでも良いが神無月が館内へと戻ってきて実況を始める。

 

『なんとすっばらしいことだあああああああああああ!!まだ未成熟というあどけなさが残っているからこその未来を予想する楽しみがあるナース服を選ぶとは!!しかもピンクをお選びになられるとは!さすがは士道くんだ!』

 

「―――いずれ琴里にも着させるつもりですよ。琴里には白色のナース服を着させる予定です!」

 

『―――エクセレンッ!!』

 

士道はインカムで神無月に言うと、神無月は鼻血を吹き出して倒れた。―――この男は変態だが、純情なのだ。

琴里は『絶対に着ないわよ!!』とまさかの反論が返ってきた。琴里の反論に士道くんは地味に落ち込んでいたのは、触れないで置こう。

 

「いやあ!最高だぜ!このままASTの連中引き上げてくれないかなぁ!俺と四糸乃の二人っきりのデートを続けるために!」

 

「………わ、私も士道さんと………同じ、です………」

 

なんと、四糸乃も士道と同じ気持ちのようだ。士道はそれを見て心底嬉しそうに微笑んでいた。

 

『士道くん、よしのんもいるからねぇ!』

 

『………相棒、俺もいるが?』

 

―――二人は忘れるなと言わないばかりに声をかけてくる。

………だが、そんな楽しい雰囲気にも亀裂が入ろうとしていた。

 

ズォォォォォォォォォッッ………

 

圧倒的な威圧感を感じ、士道は力を感じた方角へと視線を向ける。士道の視界内には―――黒髪の少女が映っていたのだ。

 

「―――ゲエッ、十香!?」

 

そう、士道のすぐそばには十香がいたのだ。クラスメイトと高校の地下シェルターへと避難したはずの十香が、どういうわけか自分の視界内に入っていたため、士道はパニックになっていた。

 

「………………………シドー、貴様一体何をしている?」

 

精霊の力が完全に逆流し、十香から凄まじい力が放出されている!士道は琴里に慌てて確認を取るが、琴里は『そっちは見てなかったゴメンね♡』とふざけたセリフが帰ってきた。

 

「―――ああいや、これは、その………」

 

―――ついに修羅場へと発展してしまった。十香は鋭い眼光で士道を睨みつけ、溢れる力に任せて地団駄を踏む。

 

「………嫁である私をこれだけ心配させておいて貴様の言っていた仕事とは―――女とイチャコラすることだったとはなあ!!」

 

ドガアアアアアッッ!!

 

「うっ!?」

 

「………きゃあ!」

 

十香が起こした地団駄で地面が大きく揺れ、士道と四糸乃が揃って尻を地面につける。―――ドシドシと大きな音を鳴らしながら十香が士道のところへ足を進める。

 

「ま、待て十香!とりあえず落ち着くんだ!そうだ、落ち着こう!まずは深呼吸だ!大きく吸って小さく吐く!大きく吸って―――ゴハァッ!」

 

………•落ち着くのはお前なのだよ士道くん。

深呼吸をする士道に十香は膝蹴りを食らわせ、士道をノックアウトした。

 

「し、シドー!貴様のいう仕事とはこの小娘と会うことだったのか!?」

 

「―――蹴ってから確認してんじゃねえよおおおおおおおお!!!」

 

十香は四糸乃に指をさして大慌てをするように士道に答えを訊いた。士道は理不尽な膝蹴りを食らいながらも十香にツッコミを入れていた。

 

『………お取り込みのところ申し訳無いのだけれど、お姉さんええっと―――』

 

よしのんが十香の顔を覗き込むようにして訊いた。十香はよしのんを睨みつけて「私は十香だ」と低い声でよしのんに言った。

 

『………十香ちゃん、いきなりでメチャ悪いんだけど―――もう帰ってくれないかな?よしのんと士道くんは今デート中なんだよねぇ〜。十香ちゃんだってデートを邪魔されたら嫌でしょ?―――だからお邪魔虫は帰った帰った!』

 

「だ、黙れ!!私はお邪魔虫などではない!私はシドーの嫁だ!―――勝手に私のシドーをたぶらかすでない!」

 

完全に修羅場へと発展し、殺伐とした空気がデパート内を包み込んでいた。よしのんは憤る十香の様子を見て面白がるように十香を煽る。

 

『―――お嫁さんなんだったらしっかりと士道くんのこと管理しておかなきゃダメじゃないの〜?………まあ、士道くんも男の子なんだし、浮気の一つや二つくらいは許容する寛大さを持ってあげなきゃ。………ほらほら、『要らない子』はもう帰らなきゃ』

 

プツンッ………

 

十香の中で切れてはいけない何かが切れたように士道は感じとったのだろう。十香はよしのんの首を掴み上げ、四糸乃から引き離す!そして大声で怒り散らす!

 

「私は―――私は『要らない子』などではない!シドーは私に『一緒にいろ!』と言ってくれた!これ以上の愚弄は許さぬぞ!―――おい!何とか言ってみたらどうだ!?」

 

………言えるはずもないだろう。よしのんは四糸乃なしでは喋ることは出来ない。目に涙を溜め、よしのんを掴み上げる十香をみて四糸乃はよしのんを取り返そうと必死で手を伸ばしてジャンプしていた。

 

「………かえして、くだ………さい………」

 

消え入りそうな声で四糸乃は言うが、十香はよしのんを掴み上げたまま四糸乃を見る。

 

「―――なんだ貴様は?わたしは今こいつと話をしているのだ!」

 

全く返す気がない十香に士道は肩を掴み、目を閉じて首を横に振る。

 

「………十香、もう返してやれ。―――やり過ぎだ」

 

「―――っ!!シドー………•お前まで私を否定するのか?」

 

十香にとって最も大きなダメージとなったのは、士道の今の言葉だったのかもしれない。十香は目に溜めていた涙を流し、肩を震わせていた。

そしてついに―――四糸乃が力を解放した。

 

「―――『氷結傀儡(ザドキエル)』ッ!!」

 

オオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

デパート内に凄まじい雄叫びが響き渡った。

四糸乃が右手を地面に叩きつけた瞬間、地面から五メートルはあるだろう白い巨大なウサギのような怪物が姿を現した。

危険を感じ、士道はすぐに十香の前に立ち、『赤龍帝の籠手』で力を高めていた。

 

「―――天使か!?………でも、これって………」

 

天使の名前だと言うのは士道もすぐに理解していた。だが、士道が予想していた天使と、四糸乃が発現させた天使は全く異なるものだった

 

『恐らく発動させる天使の姿は精霊ごとに異なるのだろう。夜刀神十香の場合は剣となって具現化したが、四糸乃の場合はこの姿が真の姿となっているはずだ』

 

ドライグが見解を述べると同時に―――

 

パリンッ!ズドオオオオオオッッ!!

 

凄まじい冷気が吹き荒れ、デパートの窓ガラスが全て割れていき、同時に冷たい突風が発生した。

その突風は台風の暴風域の時の風力の数十倍の威力を誇っていた。―――そして………

 

「ッ!うわあッ!」

 

その突風に耐えることができず、十香が吹き飛ばされた。十香を庇うために士道はすぐに地面を蹴って十香に手を伸ばす!

 

「―――ッ!十香ッ!!」

 

全力で飛行し、十香の手を掴むことに成功したが―――その時にはすでにデパートの壁がすぐ目の前に迫っていた。今吹いている風は士道を押す状態だったので士道は満足に減速が出来なかった。

 

そして―――どうにか十香を無傷の状態で救うことはできそうな士道だったが………自分の体の無事は保証できそうになかった。

 

ドゴオオッ!

 

士道はとっさに十香を抱き寄せ、向きを変えて背中から壁に激突した。

突風を巻き起こした四糸乃はデパートの割れた窓から天使に何かを咥えさせて脱出を図った。

 

「―――シドー?………お、おいシドー!しっかりするのだ、シドー!!」

 

十香は自分を抱えて微動打にしない士道を心配して体を揺するが、士道が返事をすることも、起き上がることも無かった。

凄まじいスピードで壁に激突した衝撃で、士道は気を失っていのだ。

 

『―――作戦は中止よ!すぐに『フラクシナス』へ回収するわ!そこを動かないで!』

 

士道と十香は廃墟と化したデパートから回収された。

 




———フラクシナスのクルーって大事なところが抜けてますよね•••••

ソロモンの手紙の内容は次回に回します!
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