この話でもドライグが躍動します!
頼りになるのは長年苦楽を共にしてきた最高のパートナー。
四糸乃の救出作戦を実行していた士道は、順調に作戦を遂行していたが、いきなりの十香の乱入で修羅場へと突入し、四糸乃の守護天使『
「―――シドー………」
十香は意識を失った士道の看病をしていた。―――あんなことがあっても士道のことが彼女は大切に思っているからこそ、士道に付き添っているのだ。
ベットから出ている士道の左手の甲が点滅し、ドライグが話し始める。
『………夜刀神十香、貴様に一つ訊聞きたいことがある』
「―――なんだドライグ?」
『一体どうやって相棒の所まで来ることが出来たのだ?………あの時の相棒は周囲をかなり警戒して気配を探っていたのだが、俺も相棒もお前の気配を察知することが出来なかった』
………士道は現時点でも周囲の気配を探る力―――明鏡止水を会得しているため、周囲の気配を探ることが可能だ。
しかも、十香は人間ではなく、精霊であるため並の人間に比べれば力は比べ物にならないほど強大だ。
―――しかし、士道は十香の気配だけは全く掴むことが出来なかったのだ。
『―――もちろん、相棒の気配察知能力は完璧ではないのは俺も承知している。………しかし、貴様の気配を察知できないほど相棒は未熟ではない。………一体どうやって相棒に気配を察知されることなくあのデパートまで辿り着いたのだ?』
「………それは―――
ドライグの言葉に十香は近くにいる令音と琴里の方を一瞬チラリと見て表情を曇らせて述べた。
………ドライグは何かを悟り、再び士道の左手の甲を点滅させる。
『―――村雨令音、五河琴里………少し席を外してくれないか?………俺は夜刀神十香と二人で話しがしたい』
ドライグの言葉に令音と琴里は怪訝に思い目を細める。
「………なぜ二人だけで話す必要がある?―――私たちが知るべきではない事を話すつもりなのか?」
『―――ああ、俺の勘が正しければ夜刀神十香が相棒の目の前にいきなり現れたのは、恐らくあのふざけた魔法使いが関与しているのだろう………あの魔法使いは貴様らのような
「―――ッ!!」
ドライグの言葉に十香は核心を突かれたかのように息を詰まらせ、令音と琴里はドライグの言葉に険しい表情へと変わる。―――特に琴里にいたっては拳を握りしめ、今にも暴れだしそうだ。
「―――好き放題言ってくれますね………今回の失敗は私たちの不注意が原因です―――しかし、私を侮辱するならともかく、クルーの全員まで侮辱をする必要なんてないじゃない!!」
「………十香のことを見ていなかったのは確かにこちらの責任だ。しかし、言うべき言葉くらいは選ぶべきだ!」
令音も珍しく声を荒げて言ったが、二人の言葉にドライグは全く臆することなく物申す。
『―――全く、お前らは文句だけしか取り柄がない連中か………お前ら「フラクシナス」の連中は相棒の枷以外の何になるというのだ。あと少しで四糸乃を攻略できる所までにきていたかと思えば、「夜刀神十香は見ていなかったゴメンね♡」ときた―――これを無能と評さず何とすればいい?お前らは一つの事象しか考えることが出来ていない。………お前らには「もし〜だったら、〜な状況に陥るだろう」という最悪の事象を全く考えていないからこのような失敗へと繋がるんだ』
「「………………………」」
ドライグの言葉に令音と琴里は何も言うことが出来なかった。ドライグの言葉に二人はただ黙認せざるを得なかったのだ。
『―――良いからお前らはここから消えろ。お前らがいては夜刀神十香が話したくても話せない』
ドライグの言葉に琴里は憤りを露わにしてるが、令音が琴里の手を掴み、「………ドライグの言う通りにしよう」と言い聞かせて医務室を後にした。
―――琴里は悔しかったのだ。ドライグに無能の烙印を押され、言いたい放題言われたからだ。
………『フラクシナス』の司令官を務めていても、まだ弱冠十四歳の少女だ。
全てを我慢しろというほうが酷というものだろう。
『いきなりすまんな夜刀神十香………さて、本題に入ろうか―――あの魔法使いと何をしていたのだ?』
ドライグの問いに十香はソロモンから預かった手紙を取り出してドライグへと見せた。
「―――これを預かったのだ。あの魔法使いはシドーと二人きりの時に渡せと言ってきてな………」
『手紙か………これまた珍しいものを。―――それで、どのようなことが書かれてある?』
「う、うむ―――だが………」
十香はソロモンが書いた手紙の封を開け用としたが、戸惑っていた。―――“シドーへの手紙を私が読んでも良いのか”と。その様子を見たドライグは十香に言う。
『―――構わん、俺もある程度は内容が分かっている。………恐らく、修行のことに関することと、相棒がこれから道を踏み外さないようにする為の牽制のような内容の筈だ。相棒もお前のことは信用している。………構わず読め』
「わ、分かった―――」
十香はソロモンが書いた手紙を読み始めた。
―――“やあ、こんにちは士道くん。体の方は大丈夫ですか?あまり無理をしないようにした下さい。………キミの背中には世界の多くの人類の命を背負っているということを忘れないで下さい。力不足を嘆くのは構いませんが、力が強いことだけが強者ではありません。………歴代の赤龍帝の宿主たちは、その殆どが力に呑まれ、その最後は悲惨なものが多かったはずです。………今の士道くんを見ていると、僕は士道くんが今のその道を全速前進しているようにしか見えません。
ぼくの修行はこの一週間は休みにします。僕の修行が休みの期間は十香ちゃんと剣術及び精神の修行をメインに行って下さい。
―――体を休めることも修行の一環だと言うことも忘れないで下さい。そして、全て一人で片付けようとは思わず、十香ちゃんや琴里ちゃんにも頼ることをして下さい。士道くんのことを自分以上に大切だと思っている人もいます、その人たちの想いを無下にしないようにして下さい。
………次元の守護者―――ソロモンより”
十香はソロモンの手紙を読み終えた。―――内容はドライグが考えていたとおり、修行関連についてのことが書かれてあった。
十香が読み上げたソロモンの手紙の内容を聞いたドライグは興味深そうに呟く。
『―――あの魔法使いめ、歴代の赤龍帝のことまで知っていたとはな………本当にあの魔法使いには頭が下がる。………その上、修行に関してもそうだ。相棒に剣の修行と明鏡止水の修行を同時並行させるつもりか………確かに相手の気を探るほかにも、相手を観察する洞察力も同時に身につけるには持ってこいの修行だ。―――有能さなら堕天使の総督を遥かに上回っている………さて、夜刀神十香、今のお前はどのくらい剣を使い熟せる?』
ドライグの言葉に十香は自信満々に答える。
「精霊の力を封印されたとは言っても、技術までは封印されていない。………剣だけならシドーに負けるような事はない」
『―――その答えが聞けただけで十分だ。今の相棒はアスカロンをただ振り回しているだけだからな………剣の方はお前が見てやってくれ』
「うむ、それは良いのだが………シドーはもう私のことが―――ッ!!」
十香は了承したかと思えば急に表情を陰らせ、スカートを握りしめていた。眉根を潜め、目を強く握るように閉じ、悲しそうな表情を浮かべていた。ドライグは十香の悩みを悟り、訊き返す。
『―――先程のことを気にしているのか?』
「っ………………シドーが誰とデートしようが私には何も言う資格はない―――だが、あのウサギが言っていたように私はシドーにとって『要らない子』だと思うとどうしようもなく辛い気持ちになったのだ………もしも、シドーにそのように言われる時が来ると考えると―――」
十香はそれ以上を言おうとしなかった。―――それ以上考えることが十香にとってはこの上なく怖いことだったからだ。
………ドライグは十香に優しく告げる。
『………夜刀神十香、こんなことがあったのに、相棒の中にいる俺が言うのは筋違いだと思うが、はっきりとさせておこう―――相棒はお前を「要らない子」だと言うことなんてしないさ』
「………だ、だが!シドーは―――私よりもあの小娘を選んだ!私はもう………シドーにとって邪魔な存在でしか―――」
『―――相棒にとって本当に貴様が邪魔な存在でしかないのであれば、相棒は自分の身を犠牲にしてまで貴様を庇うか?』
「――――ッ!!」
ドライグの言葉に十香は声を詰まらせ、何も言えなかった。―――本当に士道が十香のことが嫌いであるならば、それができるかといえば答えは否だろう。
ドライグは士道に見捨てられる恐怖に怯える十香に理由を告げる。
『………夜刀神十香、相棒がお前よりもあの小娘を大切に思っている事実など無い。相棒にとってお前は自分の命よりも大切な存在だからこそ、相棒はお前を何度も庇ってきた。―――その結果自分が命を落とすことになっても相棒は微塵も躊躇する事はなかった………それはお前が相棒にとって大切な存在だからだ』
ドライグの言葉は十香の心に響くものだった。
―――実際、士道は三度も十香を危機から守ってきた。
対精霊用のスナイパーライフルに撃たれそうになった時を最初に、ヘラクレスの闘気弾、そして今回の件も含めての三度もだ。
十香の表情は徐々に落ち着いていき、頭をくしゃくしゃと搔きまわす。
「―――私はどれだけ愚かだったのか………ドライグに言われるまで気付かなかった自分が恥ずかしい」
十香の言葉を聞いてドライグは大きなため息を吐き、十香にあるお願いをした。
『ああ、全くもってその通りだ。相棒にしても貴様にしてもそうだが、どうしてこう俺の言葉が必要なのか………だが、分かってくれれば俺は何も言うことはない。―――夜刀神十香、もし相棒の心が砕けそうになった時は支えてやって欲しい。………悔しいが、俺一人ではどうにもならない時がこれから先必ず来るだろう―――その時は俺と一緒に相棒のことを支えてやってくれるか?』
「―――うむ。シドーが私にしてくれたように、私もシドーを支える!」
十香はドライグの言葉に力強く頷き、優しく士道の左手を両手で握った。―――このドライグは『乳龍帝』から『父龍帝』へと変更すべきだろう。
十香が士道の左手を両手で握った時、士道の目がピクピクと振動し―――ついに目を覚ました。
「………あれ?俺は―――あ、おはよう十香」
士道はキョロキョロと辺りを見渡し、最初に視界内に入った十香に笑顔を見せた。―――十香は我慢していたものを溢れ出させ、士道に飛び付いた。
「―――シドーッ!!」
バキッ!ズドォォォオオオオン!!(ベットが潰れました)
士道が目覚めたことが十香は何よりも嬉しかったのか、強く指導を抱きしめて、士道の胸の中で安堵の表情を浮かべていた。
(な、何故だか分からないが十香に抱きつかれた!強く抱きしめられているからおっぱいが押し付けられてるよおおおおお!!乳首がコリコリしてて―――十香ああああああああ!!)
士道は意識が戻ってすぐに十香の体を堪能していた。鼻の下を地面に着きそうなくらいまで伸ばし、鼻血をダラダラと流していた。―――これには相棒のドライグも盛大に嘆息していた。
『―――はぁ………こればかりはどうにもならんか』
………ちなみに十香が士道に抱きついたことで『フラクシナス』医務室のベットが潰れたということは内緒にして貰いたい。
――◆――
「くっそおおおお!十香の野郎、容赦なさ過ぎ!―――全身アザだらけだ!」
士道は『フラクシナス』での精密検査を終えた後、十香と共に精霊の隔離部屋の地下室でソロモンに言われた通り、剣術のトレーニングをしていた。
………ちなみに思いのほか修行は上手くいき、十香が士道を技術で圧倒をし、士道はその技術を学ぶ為に剣の握り方から振り方まで徹底的に十香に教わることができたのだ。
………一時間ほどで修行は終了し、士道は浴室でシャワーを浴びながらボヤいていた。
ボヤく士道だったが、ドライグは十香を称賛している。
『―――まさか、剣術で相棒を終始圧倒するほどとは思っていなかった。………良い修行相手が近くにいたな、相棒。この分なら当分は夜刀神十香との修行が一番合っているのではないのか?』
ドライグの言葉に士道は悔しそうに拳を握りしめ、奥歯を強く噛み締める。
「………いや、俺が守るべき十香に圧倒されてるようじゃあダメだ。………俺が十香を―――」
士道が全てを言う前にドライグが士道に釘を刺す。
『―――共に戦えば良いではないか。なんでも一人で抱え込むなと、さっきソロモンの手紙で注意を喰らったばかりではないのか?』
「………そうだな、すまんドライグ。俺また一人で突っ走るところだったよ」
この二人は本当に親子のような関係だろう。焦る息子に優しく寄り添う父親のようにドライグは士道に接していた。
士道とドライグが話し合っていて少しした後、外の脱衣所に十香が現れ、士道に訊ねる。
『―――シドー、一緒にお風呂に入っても良いか?』
十香のお願いに士道は笑顔で浴室から外にいる十香へと言う。
(―――な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?と、十香が俺と一緒にお風呂に入りたい、だとぉ!?こんなもの断る理由があろうか、いや無い!)
急な十香のお願いを士道は大喜びでしょうだくする。
「おう!十香、俺の背中を流してくれ!」
『―――いやいやいやいや!断れよ相棒!!というか夜刀神十香も何を考えているんだ!?』
ドライグは普通に一緒に入ろうと言う士道に冷静にツッコミをいれるが、士道はいやらしい笑みを浮かべ、鼻の下を伸ばしていた。
十香はバスタオルを体に巻いて浴室へと入る。―――十香は恥ずかしそうに顔を赤くして鼻の下を伸ばしてマジマジと体を見つめる士道に言う。
「―――そ、そんなにマジマジと見るな………私だって恥ずかしいのだから………」
「いや、十香が恥ずかしがることなんてない!―――最高に綺麗だぜ、十香!早く俺の背中を流してくれ!」
………一ヶ月ほど前まで女性を怖がっていたチキン野郎の士道くんだったが、今はグイグイと押しまくりなドスケベ士道くんへとグレードアップする。(士道は全裸)
「わ、分かったからその………隠せ」
「―――あ、ゴメン………」
士道は恥ずかしそうに息子を隠し、近くにあった洗面台に座る。すぐに十香が士道の後ろにしゃがみ込み、シャワーで士道の髪を濡らし、シャンプーを手につけ士道の頭を指で擦り始めた。
「………シドー、痛くはないか?」
「―――いや、むしろ『最高』の二文字だ!気持ちいいぜ十香」
士道は十香に親指を立ててニッと笑う。十香も嬉しそうに「そうか、それは良かった」と安心し、さらに士道の頭を洗うことを続けた。
………ついにシリアスリカバーのドライグが十香に問う。
『………夜刀神十香、これはどういう風の吹きまわしだ?相棒と一緒にお風呂に入るなんぞ自殺行為に近いぞ?―――何がお前をそうさせたのだ?』
ドライグの問いはもっともだ。士道はこの歳にもなっても、子供のように女性の体―――特におっぱいが大好き過ぎる変態の中の変態『おっぱいドラゴン』だ。
ドライグの問いに十香は最高潮に顔を茹でタコのように真っ赤に染め、声を掠らせるようにして述べる。
「………クラスメイトの桐生藍華に教わったのだ―――こ、この国には『裸のお付き合い』というものがあるのだと………仲を深めたい存在とお風呂で交流をする事で一気に互いの距離が縮まるのだと私は教わったのだ………」
―――確かに十香の言うようなお付き合いと言うものは存在する。しかし、それは同性同士の場合に言えることだ。
“ここが勝負どころだ”と踏んだ士道は立ち上がって攻勢に転じる!
「そうだぜ十香!男と女がお風呂に入ってはいけないなんてルールはない!―――いやむしろ『混浴こそが正義』なんだ!俺は十香ともっと仲を深めあいたい!そうだ!深めあうべきだ!」
拳を握り、鼻血を垂れ流しながらグイグイと十香との距離を詰める全裸の士道くん。―――もう言っていることがめちゃくちゃなのは気にしてはいけない。
「―――だから隠せと言っているであろう!」
「ファラデェッ!!」
ドボーンッ!
迫り来る士道の顎にアッパーを食らわせる十香。―――いやむしろここから追い出すべきなのだが、十香はそれをしようとはしなかった。十香のアッパーを受けた士道は宙に浮いて浴槽へと沈み込む。
水しぶきを上げから再び士道は立ち上がり、おねだりをする。
「―――いやあゴメンゴメン!十香、今度はお背中を頼む!」
「………まったく。私も恥ずかしいのだからな………」
再び洗面台に士道は座り、次のシチュエーションに期待を爆発させていた。
「―――ど、どうだシドー?」
十香は士道の体を泡だてネットで優しく擦る。士道は涙を流しながら「最高ですッ!」と答えていた。―――士道にとってはこの風呂場は天国という言葉以外は見つからないのだろう。
「本当に上手だよ十香!―――よし、これから毎日一緒にお風呂に入ろう!それが一番良い!」
………今日の士道くんはドン引きするほど押せ押せモードだった。その士道の姿に籠手の中でドライグは泡を吹いて気絶していた。十香は士道の言葉にビックリして声を上げて訊き直す。
「ま、ままま、毎日だと!?」
「―――おう、毎日だ!俺はもう十香と触れ合っていないと死んでしまうかもしれない症候群―――略して『T症候群』にかかってしまった!これを治すには十香と一緒にお風呂に入ること以外の治療がない!十香、俺を救ってくれ!」
浴室の中で土下座をする全裸の士道くん。十香は士道の突然の告白に困っていたが、了承する。
「う、うむ!それしか士道の病を治癒する方法がないのであれば仕方ないな!これから毎日一緒にお風呂に入るぞシドー!」
「うおっしゃああああああああああ!!ありがとうございます神さま、仏さま、十香さま!」
大粒の涙の雨を降らせて大喜びする士道だったが………すでに幸せの時間はタイムオーバーとなるようだった。
その理由は―――
「―――死ねぇ、このおっぱいドラゴン!!」
ゴンッ!!
いきなり浴室の扉を開け、金属バットで士道の後頭部を強打する者が現れた―――士道の可愛い妹で『フラクシナス』の司令官でもある五河琴里だ。
「―――ぐへぇ!?な、なにしやがんだ!せっかく十香とのお風呂だったのに邪魔してんじゃねえよ!!」
「なにしやがんだ―――じゃないでしょうが!!シドーがやってることは紛れもない犯罪行為よ!?十香が訴えればあなた捕まるわよ!?」
「―――美少女との混浴で死ねるのであればなんの後悔もないッ!!満足な人生だったと胸を張れるんだ!」
決めポーズを取り盛大に開き直る全裸の士道くん。士道のこの発言に琴里は目元をヒクつかせドン引きしていた。
「………とにかく早く上がりなさい。今日の晩御飯は私も食べるのだから買い物に行って来なさいよ―――冷蔵庫の中は空っぽよ?」
「―――わ、忘れてたああああああああ!!」
………そう、琴里の言う通り、冷蔵庫の中の食材が切れていたのだ。士道はようやく天国から現実の世界へと舞い戻ることに成功した。
「………はぁ、我が兄ながら飛んだおおマヌケ野郎よ。―――私は仕事がまだ残ってるからもう向こうに戻るわ」
琴里はそれだけを言い残すと、『フラクシナス』へと戻った。十香は浴槽の中から士道に言う。
「………シドー、買い物には私も付いていくぞ!デェトだ!デェト!」
「分かったよ。じゃあ先に上がれよ十香、俺はもう少し湯に浸かるわ」
士道は十香を先に上がらせた。士道は十香が出た後、いやらしい笑みを浮かべ、先ほどの十香の姿を脳内保存し直していた。
「今日のおかずちゃんなら、二十発は余裕で行けそうだぜ!」
『うおおおおおおおおおおおおんんんっっ!!』
士道の発言にドライグは泣いた。
―――頑張れ、ドライグ!
後二話くらいでこの章も終わりです!
★おまけ
琴里「シドー、あなた何をやってるのよ!十香とだけお風呂に入るだなんてズルいじゃない!」
士道「は、はぁ!?ズルいってなんだよ!もしかして俺が言ったら琴里もお風呂に入ってくれるって言うのか!?」
琴里「そうよ!私だって昔みたいに士道と一緒にお風呂に入りだわよ!」
士道「よく言った我が可愛い妹よ!」
※この描写もいずれ書いてみたいです!