デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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士道「今日から俺が、ヒーローだ!」

おっぱいドラゴンはいつも小さい子供の味方です!

※誤字を修正しました。


九話 ヒーロー

四糸乃とのデートから一日が経過し、太陽が一生懸命にさらに上がろうとしていた時だった。

―――士道の部屋に機械音が響き渡る。

 

ピリリリリリリリッ………

 

「お………おっ、ぱい!」

 

AM6:30、枕の隣に置いてある目覚ましの音と共に意識を覚醒させるおっぱいドラゴンこと五河士道。

一日の始まりが「おっぱい」から始まる辺り色々と末期状態だろう。

 

『………早朝の一発目から女性の胸を求めるとはな―――そろそろ相棒の寿命も近そうだな………』

 

ドライグもかなり士道の精神状態を心配している様子だ。

 

「うるせぇ!余計なお世話だ!令音さんの素晴らしいおっぱいに顔を突っ込んで幸せを満喫している夢を見ていただけだっつの!―――お!?」

 

士道は見ていた夢を豪快に語るが、ドライグはドン引きをするだけだったのは、ひとまずおいておこう。

士道は体を起こそうとした時、自分の膝の上に何かがあることに気付く。

 

もごもごっ………

 

士道が動いていないにも関わらず、シドーのベットの掛け布団が蠢いている。士道は予期せぬ幸運に胸を高鳴らせていた。

 

「―――おいおい!これはもしかして嬉しい展開の可能性ありなのか!?」

 

ガバッ!

 

士道が勢いよく布団をめくると―――イモムシのように丸くなり、スヤスヤと気持ちよさそうに眠っている黒髪の少女の姿があった。

士道は十香の寝顔を見つめ、両手を上に伸ばす!

 

「………やっぱり十香だ。うーん!今日は良い朝だ」

 

『………昨日のお風呂での事といいこの小娘は相棒のことを信頼し過ぎている。もう少し自分の体を大切にしてもらいたい所だ』

 

ドライグは十香の行為に本気で心配していた。もちろん士道は思いがけない幸運を無視して起きようとは思っていなかった。

 

(―――まだ十香は眠っている………ここは俺も寝ているふりをして十香のおっぱいを楽しむということもできるかも知れない!!いや、それくらいしてもバチは当たらない!これはいつも頑張っている俺へのプレゼントなんだ!)

 

士道は鼻息を荒くし、両手をわしゃわしゃとしながら下品な笑みを浮かべて眠っている十香に毒牙を向ける。

 

『お、落ち着け相棒!眠っている夜刀神十香に手を出して何になる!!お前は相手の気持ちを考えずに犯るほど下劣な男へと成り下がったのか!?―――正気に戻れ相棒ッ!!』

 

ドライグが正論を謳い士道に一時停止を呼びかけるが、極上の食材を前にした士道には歯止めがかかることは無かった。

 

「うるせードライグ!こんなチャンス今後二度とないかもしれないんだ!!俺は今日この瞬間を以って『楽園(エデン)』へと駆け上がる!!」

 

士道はまるで食事前の挨拶をするように手を合わせ、目を瞑る。―――そして………

 

「この世の全ての()()()()に感謝を込めて―――いっただきまあああああすッ!!」

 

士道が十香の無垢な体に手を伸ばそうとした時―――正義の味方が現れる!!正義の味方は悪を成敗せんと士道の部屋の扉をこじ開け、そして―――

 

ガコーンッ!!

 

突如鈍い金属音が士道の部屋に響き渡り、士道はベットに倒れ伏した。………赤い髪を揺らした可愛い少女がフライパンで士道の後頭部を強打したからだ。

 

「『いっただきまあああああすッ!!』の前にご飯作りなさいよ!………この人類の恥さらし!!」

 

その正義の味方とは、士道の可愛い妹の琴里だった。目覚ましが鳴ったにも関わらず部屋から全く出てこない士道を怪訝に思い、部屋を見に来たら士道が後一歩で犯罪者へと成り下がろうとしていた場面が目に移り、行動を起こした。

―――え、フライパン?それは琴里がお腹を空かせていたからカンカン音を鳴らして二度寝をしている士道を起こそうと考えていたからだ。………決して士道を殴ろうと思って持ってきたわけではない………………………はずだ。

 

「いってえなおい!飯作る前に、目の前のオカズで励もうと思っただけじゃねえか!………てか、誰が人類の恥さらしだ!この世界の男どもはこんな美少女が無防備で眠ってるなんてシチュエーションに出くわしたら俺と同じで内の中にある野獣を解き放つに決まってるだろうが!!」

 

士道は琴里に力説をするが、琴里も負けじと正論を士道にぶつける。

 

「―――もう開き直ってる!!ていうかそれ立派な犯罪だからね!?」

 

「犯罪がなんだってんだ!!そんなものを恐れていては『楽園(エデン)』には行けない!俺は―――『楽園(エデン)』へと行くんだ、邪魔すんなし!」

 

言い合いになっている士道と琴里だった。あまりに騒がしいために十香も体を起こし、目をパチパチと開けたり閉じたりを繰り返していた。十香は眠そうにしながら士道を見た。

 

「………シドー、お腹空いたぞ………」

 

十香が言うと、士道は琴里の方から視線を外し、十香の方へと視線を向ける。大きく息を吐いて士道は精神にリセットをかけた。

 

「………おはよう十香、飯にしようか」

 

「ちょ、ちょっと何よ!なんで十香が優遇される状況が出来てしまっているのよ!!」

 

琴里が怪獣のごとく叫んでいるが気にせず士道は三人分の弁当と朝食を用意し、十香と二人で来禅高校へと向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

――◆――

 

 

 

 

 

「おっはー、十香ちゃん」

 

来禅高校へと士道が到着すると、十香に手を挙げて挨拶をする桐生藍華の姿があった。十香も嬉しそうに笑顔で挨拶をする。

 

「おはようだ、桐生!」

 

相変わらず桐生と十香は仲が良い。十香に人間の友達ができたことに士道はとても満足していた。

桐生藍華が士道の方にも視線を向け、声をかける。

 

「ねえ五河、昨日は―――お楽しみだった?」

 

そう、今朝の出来事と昨日のお風呂での出来事はこの変態エロメガネ女、桐生藍華の差し金だ。

士道はがっくりと肩を落として答える。

 

「いやそれがよ………妹の琴里に邪魔されて未遂に終わったよ」

 

士道からズーンッという効果音が聞こえるほど士道は落胆していた。黒い影が士道の頭にかかっているように桐生藍華は感じ取り、士道の肩をポンポンと二回叩く。

 

「―――ああ………アンタの家には妹がいるってことを計算に入れてなかったわ。………まあ、頑張りなさいな」

 

士道は「………ああ、ありがとな桐生」と桐生に頭を下げて感謝したのだった。桐生が席に戻った時に、もう一人士道に話しかける影があった。

―――士道の親友でもある殿町だ。

 

「五河、聞いてくれぇぇぇぇ!!彼女にコーディネートを頼まれたのだが―――っておい!無視すんな!」

 

士道は話しかけにきた殿町を無視してスマホにイヤホンを繋ぎ、耳につけて音楽を聴いていた。

プンスカと両腕を振ってアピールする殿町を見て士道はイヤホンを耳から外す。

 

「………わりぃ、今の俺は天使の歌を聴くことに忙しいんだが?」

 

「そう釣れないことを言うなよ我が親友よ、聴いてる歌は『宵待月乃』の曲かい?―――お前本当に好きだよな」

 

「ああ、俺はこの子の歌に救われたからな………早くアイドルとして復帰してもらいたいところだぜ」

 

五河家に養子で迎え入れられた時の士道は心が死んでいた。何を見ようが闇と自分の心に錠前が外れることは無かった。

………そんな士道の心の闇を吹き飛ばし、心の錠前を壊したのは、『宵待月乃』の歌だった。

彼女の魂がこもった歌を聴いた時に、涙と共に感情が徐々に戻り始めるきっかけとなったのだ。

その後は五河家に引き取られてからの両親と琴里が、一生懸命に士道の心のケアをしたために今の五河士道が出来上がったのだ。

――――ちなみにこの『宵待月乃』は人気絶頂のアイドルだったのだが、ある日忽然と姿を消したのだ。………ずっと士道は応援していたからこそ早く復帰して欲しいと彼は願っている。

 

「歌ってスゲェよな。人々に感動をもたらし、人々を変える。―――まあ、音痴な俺にはとても出来る代物じゃあねえけどな………それで、どうしたんだ?」

 

士道の過去の説明はこのくらいにしておこう。士道が歌についての想いを語った後、殿町の要件を訊いた。殿町はスマホを取り出し、『リトル•マイ•シドー』の彼女を出す。

 

「おっと!忘れるところだったぜ!彼女のコーディネートについてさ!ナースか巫女服かメイド服かどれにしようか迷っててな………」

 

士道は顎に拳をつけ暫し黙り込んだ。殿町の彼女は―――中学生くらいの女の子だった………そして頭に豆電球が点灯し、士道にスイッチが入る。

 

「この子ならナース服だな。巫女服は巨乳かロリの二択だし、メイド服はエッチなお姉さんが来てこそ真の破壊力を発揮するからな………この子にはメイド服はまだ早いし、巫女服も違うだろう」

 

「さすがは金星の赤い悪魔と共にやってきた『おっぱい星人』!こんな親友が身近にいるとネタに困らないぜ!」

 

殿町は士道のことを高く評価し、舞い上がっていた。

もちろんのことだが、士道は「誰がおっぱい星人だああ!!」と怒りを露わにしていた―――もちろん、士道はおっぱい星人であることに間違いはないが。

 

「………ナース服?」

 

折紙が士道の顔を覗くようにして確認するように訊く。

いきなり折紙に自分の言った言葉を訊かれ、士道はアタフタと慌てた反応を見せる。

 

「ち、違う!今のは殿町のリクエストに答えてあげただけで―――」

 

士道の返答に折紙は表情一つ変えることなく、普段通りの表情で一言だけ告げる。

 

「………そう」

 

折紙はその言葉だけを残して風のように自分の席へと戻った。こうして楽しい楽しい授業が始まり、士道たちは懸命に授業を受け、放課後を迎えた。

 

 

 

 

 

 

――◆◆――

 

 

 

 

「―――さて、鶏肉とキャベツにブロッコリー………後は家にバターがまだあったから鮭でも買うか………セールもやってるし」

 

放課後になり授業が終わった士道は夜ご飯のための食材を購入するために街で買い物をしていた。

外は相変わらずの雨が降っており、家までの近道をしようと士道はこの前訪れたデパートの路地裏からいこうと暗く細い道の中へと入る。そこには――――

 

「………ううっ………」

 

可愛い意匠に身を包んだ小柄な少女、この前士道が攻略しようとした精霊『ハーミット』こと四糸乃の姿があった。

士道は見間違いと思い、目を擦るが四糸乃の姿は確かにあった。

四糸乃は今にも泣き出しそうに、目に涙を溜めながら地面に両膝をつき、瓦礫が散乱しているデパートの路地裏で何かを探している様子だった。

 

「―――ほら、風邪引くぞ?」

 

士道はすぐに四糸乃の後ろへと行き、四糸乃の頭が濡れないように傘を持った腕を伸ばす。士道に気づいた四糸乃は―――慌ててその場を離れようと立ち上がって士道に背中を向ける。

士道は四糸乃に手を伸ばし、制止を呼びかける。そして―――四糸乃がいつも持っている物が無いことに士道は気付いた。

 

「ま、待て四糸乃!俺だ、士道だ!お前を驚かせに来たわけじゃない!―――――って四糸乃、お前『よしのん』はどうしたんだ?」

 

「―――ッ!!」

 

四糸乃は美しい蒼玉を思わせる瞳を大きく見開く。よしのんが左手に無いことを突かれて度肝を抜かれたのだろう。

四糸乃は士道のところまで走り、士道の制服を掴む。

 

「………まさか四糸乃、お前は無くした『よしのん』を探していたのか?」

 

士道の言葉に四糸乃はコクコクと二度首を縦に振る。今にも泣き出しそうな四糸乃を見て士道は言う。

 

「なるほどな………よし、分かった。ちょっと待ってろ」

 

士道はスマホを取り出し、琴里に連絡を入れる。

数秒が経過した時、琴里が士道からの電話に出た。

 

「―――すまん琴里。俺だ―――士道だ。………ちょっと調べてもらいたいことがあって連絡したんだ」

 

『あら、どうかしたのシドー、何かあったの?』

 

「ああ、実は―――――」

 

士道は琴里に事情を説明し、よしのんを探す協力を要請した。琴里たちは了承し、『フラクシナス』から士道のサポートをするために映像を解析してくれるようだ。

 

「ゴメン四糸乃、待たせたな―――さあ、よしのんを探すぞ!」

 

「―――は、はい………ありがとう………ございます」

 

四糸乃と士道はデパートの路地裏で四糸乃の相棒である『よしのん』を探すことになった。

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

「だああああああああ!!めんどくせぇったらありゃしねえ!四糸乃、ちょっと下がってろ………」

 

よしのんを探し始めてから約二十分。手作業で瓦礫を退かしていた士道と四糸乃だったが、ちまちまと作業に士道の忍耐力が限界になり、『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』からアスカロンを取り出し、構える。

 

「よしのんがあるとすれば恐らく、瓦礫の下敷きになってるはずだ―――だから俺が瓦礫を吹っ飛ばす!!」

 

士道が剣に力を込め、莫大な光のオーラを纏わせて準備を整えていた。この時、四糸乃は士道がアスカロンを振り下ろした後のことを考えていた。

 

士道がアスカロンを振り下ろす→光の斬撃が瓦礫を吹き飛ばす→よしのんもその斬撃で一緒に吹き飛び、さらに斬撃によってよしのんの頭と体が綺麗に真っ二つになる。

 

四糸乃はよしのんが真っ二つになることに顔を真っ青にし、慌てて士道の腕を掴んで首を横に振った。

 

「………ダメ、です………ッ!………よしのんが!」

 

涙を流して士道の腕を掴む四糸乃に士道は慌ててアスカロンに溜めた力を抑え込み、籠手にアスカロンを収納した。

 

「わ、悪い四糸乃!よしのんのことを過大評価し過ぎた―――今度は拳でやるから下がってろ、これならよしのんも大丈夫な筈だ!」

 

士道は足を引き、半身で構えるように拳を引き、大きく息を吐く。士道が拳を振り抜こうとした時、またしても四糸乃が士道の腕にしがみ付く。

――――士道くんよ、それでは一つ問題が解決していないんだよ………

 

「それも、ダメ………ですッ!よしのんが、吹き飛び………ますッ!」

 

―――どうやら瓦礫を吹き飛ばすことはダメのようだ。士道は四糸乃の言葉に諦め、四糸乃の肩を両手で掴む。

 

「………そうだよな、よしのんを助けるのに、余計に傷つけてるようじゃあダメだよな………。長作業になるが、一個ずつ処理していくか」

 

「………はい」

 

再び士道と四糸乃は瓦礫を手作業で動かし、瓦礫の山を取り除いていった。

それからしばらくした時、変な音が路地裏に響き渡る。

 

ぐぎゅるるるるるるるるっっ………………

 

この音は腹の虫がご機嫌斜めな時に出す音だ。士道はふと隣を見ると、顔をトマトのように真っ赤にする四糸乃の姿が目に移る。

 

「――――お?四糸乃、腹が減ってるのか?」

 

四糸乃は何度も首を横に降るが――――

 

ぐぎゅるるるるるるるるっっ………………

 

「――――はうぅぅぅ………」

 

四糸乃の腹の虫は誰よりも正直ものだった。四糸乃は恥ずかしそうにフードを被りこみ、顔を完全に隠す。

士道は立ち上がり、四糸乃に手を差し出す。四糸乃は首を傾げる。

 

「一旦休憩にしよう。腹が減ってる状態じゃあ力は出せないからな―――四糸乃、俺ん家でご飯食って行けよ」

 

「………あの、でも――――」

 

「『でも』じゃありません!飯だ、飯!さあ行こうか」

 

士道は四糸乃の手を引っ張って自分の家へと帰った。

 

 

 

 

――――………

 

 

 

 

 

士道は親子丼と鮭のバター焼きとサラダという夜ご飯に作るメニューを四糸乃に出した。

四糸乃は物凄い勢いでムシャムシャと出された料理を食べていた。その様子を見た士道は「あんまり食べ急ぐと喉につまるぞ?」と四糸乃に言い聞かせて、早食いをさせないようにさせたが、時すでに遅く、四糸乃は喉に食べ物をつまらせ、士道が四糸乃を助けたというのは置いておこう。

 

「―――なあ四糸乃、お前にとって『よしのん』ってどんな存在なんだ?」

 

四糸乃が料理を食べ終わり、ソファーに座ってくつろいでいた時、士道が疑問に思っていたことを訊く。

四糸乃はソファーから顔だけを士道に見えるようにして答える。

 

「………よしのんは、私の………ヒーロー………です」

 

「―――ひ、ヒーロー!?」

 

士道は洗っていた茶碗を落とすほど驚いた。四糸乃は驚いた士道を見つめてうなずいた。

――――そんな時、ドライグが士道に話しかける。

 

『………何をヒーローに思うかは人によって異なる。相棒のことをただの変態と思う奴もいれば、夜刀神十香のように相棒のことをヒーローだと思う奴もいる――――それがこの四糸乃の場合なら、自分のヒーローはあのパペットだったということだろう』

 

ドライグの説明を聞いた士道は、納得したように首を縦に振っていた。

………四糸乃は『よしのん』について話し始める。

 

「よしのんは………私の、理想………憧れの自分、です………。私、みたいに………弱くないし、私みたいに………うじうじしない、強くて………格好いい」

 

士道はふむふむと四糸乃の話を興味深く聞いていたが、士道は心を明かした。

 

「………そういうもんなのか?俺から言わせてもらえば、四糸乃の方が好きだけどな」

 

「―――ッ!!」

 

士道が述べた言葉に四糸乃は顔から熱を放出させていた。そして、四糸乃は恥ずかしくなったのか、完全にソファーの背に隠れるように丸まり、士道の視界から姿を消す。

 

「………あれ?四糸乃、俺なんかおかしいこと言ったか?」

 

士道が問うと、四糸乃は再びソファーの背からひょっこりと顔を出す。

 

「そんなこと………言われたの………初めて………ったから………」

 

「………マジかよ、そいつは意外だったよ―――さて四糸乃、俺はもう一つ聞きたかったことがあったんだ………どうしてASTの連中に攻撃されてやり返さないんだ?―――それが俺ずっと引っかかっててさ………」

 

士道が問うと、四糸乃は意匠のスカートの部分を強く握りしめ、消え入りそうな声を出す。

 

「………私は、痛いのが、嫌いです………怖いのも………嫌いです。きっと、あの人たちも………痛いのや、怖いのは………嫌だと思います………だから、私は………」

 

「なっ――――」

 

士道は四糸乃の言葉を聞いて言葉をつまらせるほどに衝撃を受けた。

“―――相手も殴られるのが嫌だろうから、殴られても、殴り返さない”

四糸乃が言っていることを直訳すれば限りなくこれに近いだろう。―――四糸乃は涙を啜るようにして続ける。

 

「でも………私は、弱くて………泣き虫、だから………一人だと、ダメです………怖くて、どうしようもなくなって………頭の中がぐちゃぐちゃになって………きっと、みんなに………ひどいことを………」

 

士道は四糸乃の言葉を奥歯を強く噛み締め、拳に爪跡が出来るほど拳に力を入れて四糸乃の話を訊いていた。―――そうでもしなければ、とても我慢することが出来なかったからだ………

四糸乃は誰よりも優しく、誰よりも強い心の持ち主だ。

大抵のものはその理不尽に耐えられず歪んでしまうが、この四糸乃は違った。

そして、よしのんは怯える四糸乃に『大丈夫だ』といつも四糸乃を支えていたのだろう。

士道は四糸乃のいるところまで行って―――四糸乃の頭を撫でた。

 

「―――よく頑張ったな、四糸乃」

 

「………ふぇ?あ、あの――――」

 

「今日から俺が四糸乃のヒーローになってやる!」

 

士道は四糸乃の頭を優しく撫でつつ、胸を張って堂々と宣言した。士道はポカンと拍子抜けした四糸乃を見て続ける。

 

「俺が責任を持って必ずよしのんを探し出す!そして四糸乃に必ず渡してやる―――信じて任せろ、四糸乃が怖いって思う奴らは全部俺がぶっ飛ばしてやる!これからはよしのんに守ってもらう必要もない―――これからは俺が四糸乃を絶対に守ってみせる!」

 

士道はこの時、自分が大切にしていた金髪の少女の姿を四糸乃に重ねていた。

他人を想いやることのできる慈悲はあるが、自分には一切見返りがないということだ。

だから士道は思っていた―――“俺が必ず救うと”

 

「あの………ありがとう………ございます」

 

四糸乃は目をパチクリさせ、驚いていたが、士道に頭を下げた。士道は笑顔を四糸乃に見せた。

 

「礼なんて要らねえよ、俺が決めたことだからな………にしても、本当に四糸乃は可愛いよなぁ―――そうだ、これから俺の家に住まないか?」

 

「―――士道さんの、お家に………ですか?」

 

「おうとも!家族が増えるってのは良いことだぜ!なんせ、賑やかになるからな………それに――――ムフフフフフフッ!」

 

最後にいつもの士道くんが出ていたことは気にしてはいけない。

だが、士道の下品な笑みを見逃さない者が一名いた。それは―――

 

「シドー………何やら嬉しそうな笑みを浮かべいるが、どんないやらしことを考えていたのだ?」

 

そう、士道の嫁(希望)の十香ちゃんです。笑顔を見せているのだが、目が全く笑っていない―――失礼、両目に『殺』と言う文字が見え、額に青筋をぴくぴくと立てていた。

―――ちなみに、四糸乃は危険を察知し、すでに士道の家から退避していた。

 

「あ、あの………こ、これはですね―――」

 

「………何か言うことはあるか、シドー?」

 

士道が何か逃げ道を作ろうとしたが、十香は士道に慈悲を与えようとはしなかった。―――しかし、おっぱいドラゴンはここでもブレなかった。

 

「―――十香のおっぱいが見たい!」

 

士道は十香の問いに土下座をしておねだりをした。

―――嫁に浮気の現場を見られ、修羅場へとなりかけているこの場面でも欲望にこの男は正直なのだ。………というか、色々と末期だ。

 

「ば、バカモノおおおおおおおっっ!!」

 

ドガッ!!

 

「ゲフゥラック!!」

 

十香は士道を蹴り上げ、宙に浮かせた後、すぐに部屋へと向かったのであった。

 

『―――あんた全くブレないわねぇ………』

 

琴里はこの様子を見て完全にドン引いていたということは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

「………正義の味方のおっぱいドラゴンが取り立て役に堕ちるとはな」

 

某円卓の騎士(この剣は太陽の映し身………かつ負債を回収するもの――――)

 

士道は肩をガクッと落としていた。――――彼の頭の中には、円卓の騎士の中で忠義の騎士と謳われ、太陽の聖剣『ガラティーン』を携えたイケメンだが、ロリコン借金取りの騎士の姿が浮かんでいた………。

 

『――――そこは黙って目を瞑ってくれ………あの男は忠義に厚い漢だったのだ………性格に難ありな漢だったが、俺は騎士の中の騎士だと思っている』

 

――――ドライグが必死で庇うが、士道はまともに信じてはいなかった………

――――さて、話を戻そう………

士道はとあるマンションに来ていた。『フラクシナス』のクルーたちが映像解析をした結果、よしのんは折紙が持って帰ったことになっている。

そう―――ここは折紙が住んでいるマンションなのだ。

 

『………もともと「乳龍帝おっぱいドラゴン」は悪魔の子供たちの将来を案じて作られた番組だ。―――悪魔の時点で正義の味方とは言えないだろう』

 

ドライグの正論に士道は真っ向から反対する。

 

「うるせードライグ!心の腐り具合なら人間の方が悪魔よりも数段上だ!」

 

………これは士道が見てきた人間が醜悪な者が多かったからだ。聖剣計画の首謀者のパルパーガリレイやはぐれ悪魔払いのフリードセルゼンたちを見れば人間も十分醜悪だろう。

 

『………確かにそうだが、ここは人間界だ。人間界でそれを言っても仕方なかろう』

 

「―――ですよね!」

 

急に謙虚になる士道くんだった。

―――さて、本題へと移ろう。士道はマンションのインターホンに折紙の部屋番号を入力する。

 

『………………………』

 

ウィーン

 

折紙は何も言わず、マンションの扉のロックを解除した。

 

「―――なんか言えよな………怖いだろうが」

 

士道はいきなり開いた扉を通り過ぎ、エレベーターに乗ったときにボヤいた。そして―――士道は折紙の部屋へとたどり着き、一呼吸入れた後にインターホンを鳴らす。

 

ピーン―――ガチャッ!

 

インターホンが鳴り終わる前に―――いや、インターホンが鳴ると同時に折紙がドアを開ける。士道はびっくりして尻餅をつく。

 

「うわあッ!?―――っておい!?なんつー格好してんだよ!!」

 

扉を開けた折紙の姿は―――ピンクのナース服を着ており、ナースの帽子をもかぶっていたのだ。ナースの帽子には赤い十字架があった。

………しかし、士道が目に余ったのは、ナース服のスカートの部分の短さだった。

―――かろうじて下着だけが隠れるほどの短さのものだったので、折紙の美脚がきれいに見えるのだ。

 

「………士道、ビーストモードになる?」

 

折紙は尻街をついた士道にのし掛かり、首を傾げて問う。

 

「なりません!―――ていうかですねぇ!こんな場面誰かに見られたら俺捕まるわ!」

 

「………そう」

 

折紙は少し残念そうにしていたが、士道の手を引っ張り、部屋の中へと入れ玄関の鍵を閉めた。

 

「―――なら、家の中なら問題ない」

 

再び士道を押し倒す折紙。士道の体の上で腰を動かしていた。

 

「それなら問題ない―――ってんなわけあるかああああああ!!………こういうことはだな、本当に愛し合っている人と―――」

 

士道は必死に自分を押し殺した。いや、理性が勝利したと言った方が良さそうだ。

しかし、折紙は士道の理性にとどめを刺そうとする。

 

「私は士道になら何をされても構わない。―――シドー、私じゃダメ?」

 

「さようなら理性、こんにちはビーストモード―――ッ!!」

 

………士道がビーストモードになろうとした時、士道の頭の中で自分の名前を呼んで微笑む一人の少女の姿があった。―――それは、自分が守ると決めた十香の姿だった。

折紙の肩を掴んでいた自分の手を士道は下ろした。

 

「………ダメ、だと思う。やっぱり今の俺だとダメかな………」

 

士道が寸前で理性を取り戻したことを折紙は残念そうにため息を吐いた。

 

「残念。でも、ここから退く代わりに私の条件を無条件に呑んで欲しい―――私のことを鳶一じゃなく『折紙』と呼んで欲しい」

 

「………分かった」

 

士道が頷くと、折紙は士道から退いた。士道は立ち上がり、ここに来た要件を告げる。

 

「―――すまん折紙、俺がここを訪れたことには理由があるんだ。………この前無くしたパペットを探してるんだ―――このパペットなんだが、知らないか?」

 

士道はスマホの写真を見せると、折紙は部屋からそのパペットを持って来た。

 

「―――これ?」

 

「おおっ!?これは―――って自分の下着を男性に見せてはいけません!!」

 

士道は折紙に下着を見せられ、勢いよく鼻血を吹き出したが、すぐにティッシュを鼻につめて血を止める。

 

「―――これ?」

 

今度は折紙はパペットを出した。それは――― 四糸乃の相棒のよしのんだった。

 

「そう、それだ。この前デパートの近くで無くしたんだ。―――返してもらうことは出来ませんか?」

 

士道は敬語で訊いて折紙にお願いをする。折紙はよしのんを士道に渡そうと手を伸ばす。

 

「ありがとう折紙――――ってちょっ!?」

 

士道がよしのんをつかみ取ろうとすると、折紙は意地悪にも腕を上げ、士道を空振りさせる。

 

「………交換条件。―――――士道の今穿いているパンツが欲しい」

 

よしのんを持つ反対の手を出して、折紙は『ちょーだい』とアピールする。士道は怪訝に思い訊き直す………

男の今穿いているパンツなどに、お金を出す者など世界中を探しても、見つからないだろう………。

 

「………………えーと、俺のパンツなんかビタ一文の価値もないぞ?」

 

「―――構わない。………私は士道の穿いているパンツを所望する」

 

―――折紙は本気のようだ。それを確認した士道は折紙にあることをお願いする。

 

「わ、分かった!―――ちょ、ちょっとトイレ貸してくれないか?さ、さすがにここで脱げってのは………」

 

「私は構わない。ここで脱いで」

 

―――大胆すぎるこの発言に士道は困り果てていた。相棒のドライグに助けを求めるが………

 

『ZZZZZZZZZZZZZ………………』

 

眠っているぅぅぅぅぅ!!いや、この展開にドライグは逃げたのだろう。

 

「―――あ、マジで漏れそうだから………」

 

「………分かった」

 

折紙はトイレを士道に案内した。士道はそそくさと用を済ませ、トイレから出る。

 

「―――こんな()()で良ければくれてやる!」

 

「………交渉成立」

 

士道のパンツを受け取ると、折紙は士道によしのんを手渡した。―――男の穿いていたパンツなどゴミ以下のものだが、なぜか折紙は欲しがったのだ。

 

そして、タイミングが良いのか悪いのか………士道が折紙の家で用を終えた時に………

 

ウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ………………

 

空間震警報が鳴り響いた。




次回で長かったこの章もフィナーレとなります!

次回「約束、守ります!」

おっぱいドラゴン今日も飛ぶ!

★おまけ

ファーブニル「アーシアたんのおパンツくんかくんか」

このパンツ龍王はDxD世界の設定で登場させる予定です。
———ただし!犠牲になるのはアーシアではございません!
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