次話から四章『琴里クラッシュ』へと入って行きます。
※一部修正しました。
天宮市の上空、一万五千メートルに滞在する空中艦『フラクシナス』の内部では、クルー達が解析装置に釘付けになっていた。
「―――来禅高校の屋上に謎の超巨大エネルギー反応!観測されたエネルギー値は、今もなお上昇しています!」
『
「屋上のカメラをモニターに映します―――なっ、なんだこれはっ!?」
神無月が屋上を捉えている監視カメラにアクセスし、その映像をモニターに移す。そこには赤い謎のオーラが竜巻を形成し、それは天を貫くほど激しいオーラだった。
そんな中、ただ一人だけエネルギーの正体に気が付いた人物がいた。
「………このエネルギーの源は間違いなくシンの筈だ。
………シンは限界を超えたみたいだね」
令音は神無月や他のクルー達とは違い、モニターを誇らしげに見つめていた。そして―――赤いオーラは、赤い粒子となって消滅していく。艦内のモニターが映したのは、両足で立っている赤い全身鎧だった。
「―――まさか、これが士道くんなのか………」
神無月が士道が秘めていた真の力に、言葉を失っていた。令音はモニターの前まで行き、モニター越しにだが士道にエールを送る。
「………シン、おめでとう。今のキミに倒せない悪など存在しない。―――今こそキミの理想を成し遂げる時だ」
令音はモニターを見ながら、珍しく微笑んでいた。それは―――何かを成しとげた子を誇らしげに見守る母親のようだった。
そして神無月が今は席を外している琴里の代わりに、艦の指揮をとる。
「―――総員、来禅高校から発せられる力を遮断する結界の展開に急いでください!AST達に士道くんの存在が知られたら面倒になる。同時にASTへの妨害工作の準備に取り掛かってください!」
『―――了解!!』
神無月の指示に、クルー達は慌ただしく仕事に戻った。
それぞれの思惑を胸に、最終決戦が始まろうとしていた。
―――◆―――
来禅高校の屋上では士道と狂三のやりとり以外にも、もう一つの戦いがあった。
狂三が
―――しかし、狂三の強さは想像を絶するもので、既に真那は狂三の天使
『
そして共に戦っていた折紙も、分身体の狂三に首を絞められ意識を失ってしまった。
そして十香も似たような状況だった。狂三の分身体に、歩兵銃で後頭部を殴られ、地面にうつ伏せで倒れ込んでいた。
―――“私も意識を刈り取られる”と思っていた矢先、狂三の分身体の動きが一斉に止まる。
その原因は、狂三の本体が吹き飛び、屋上の入り口を瓦礫の山へと変えてしまったからだ。
狂三の本体を吹き飛ばしたであろう、赤い全身鎧を纏った人物を、十香は体を起こし見つめていた。
「―――シドー………」
十香はその人物の名前を呼んだ。その時、狂三の分身体達が一斉に赤い全身鎧を纏った士道に向けて、銃口を向ける!
―――だが………
「•••••••••••••••••••••」
無言で士道は腕を振るった―――次の瞬間、凄まじい衝撃波が巻き起こり、狂三の分身体を全て吹き飛ばす!
士道は、集めた紙くずを一息で吹き飛ばすかのように、狂三の分身体をいとも簡単に吹き飛ばしてみせたのだ。
士道は兜を消し、十香の前にくるみんを抱えてやって来た。
「―――シドー………そうか、遂にその姿になることができたのだな」
十香は士道を見上げる。十香はこの赤い全身鎧を纏った士道の姿を知っている。
―――それは、目醒めることの無い闇の中にいた自分を再び目醒めさせてくれた、荒々しく激しいオーラの中に、全てを包み込む優しさが感じられる―――五河士道という人物そのものを示すものだった。
士道は十香に頷き、十香の横に意識を失ったくるみんを寝かせる。
「………ああ、随分と遠回りをしちまったけどな―――十香、みんなのことを頼んでもいいか?」
士道の言葉に、十香は塵殺公を杖代わりに立ち上がり笑みを見せる。
「ああ、こいつらは私に任せろ!」
十香は真那や折紙とは違い意識を刈り取られたわけでは無いため、軽い戦闘なら可能だ。―――しかし、これから始まるのは軽い戦闘ではもちろん無いため、士道は十香に倒れた仲間達の保護を任せるつもりだった。
十香は意識を失った真那と折紙を回収し、くるみんを合わせた三人を自分の後ろに並んで寝かせた。
その時、瓦礫の山へと化した屋上の入り口にから、口から血を流した狂三の本体が現れる。
「―――士道さん、よくもやってくれましたわねッ!!」
狂三はもう余裕がなかったのか、先程までの上品さが全く感じられなかった。霊装は胸の部分に亀裂が入っており、真珠を思わせる赤い瞳は怪しい光を放ち、左目の時計の針は恐ろしい速さで回っている!
「今の一撃はお前に胸を貫かれたくるみんの分………そして次は、十香達が受けた痛みの分だ!!」
士道が拳を構えると、狂三は短銃を自分の顳顬に構える。
「『
狂三が自分の背中に巨大な時計を出現させる。それは精霊が持つ絶対の武装『天使』だ。
“形を持った奇跡”とも謳われる物で、十人の精霊がいれば、十通りの形がある。
―――顕現した巨大な時計の『IV』の文字から狂三の短銃に力が流れ込んでいき、狂三はその銃を自分の顳顬に撃ち抜く!
口から流れた血は消え去り、士道が破壊した霊装は元どおりに復元されていた。
それを見たドライグは宝玉を点滅させる。
『―――あの小娘は時間を戻しやがったな………アレなら死んでさえいなければどんな傷も無効にできる、おまけに先程の分身体のおかげであの小娘の不死身の理由も理解できた………本当にあの小娘は文字通り「最悪の精霊」だ』
ドライグが言ったことはほとんど死刑宣告に近かった。
いくら致命傷を与えようが、時間を巻き戻されては意味がないからだ。
そして、狂三の不死身の理由はあの分身体だ。本体は影の中に隠れ、分身体に行動をさせれば良いだけだからだ。
いくら分身体を殺そうが、源を絶たねば
「―――関係ねえよ、要は狂三が降参するまでの間、徹底的に精神を虐めてやれば良いだけだろ?あいつがいくら不死身でも
士道は不死身の敵の倒し方を知っていた―――それは前世でのリアスの婚約破棄のために戦った『ライザー•フェニックス』との戦闘でそれを学んでいたからだ。
士道の言葉を聞いた狂三は憤りを露わにする!!
「―――調子に乗らないで下さいます?貴方にそのような力はありませんわ!!………わたくしたち、出番ですわ!!」
狂三が掌を挙げると、狂三の背後に亀裂が入り、その亀裂の中から無数の分身体が飛び出してくる!
そして狂三とその分身体達は士道を取り囲むように陣取り、銃を構える!
「では士道さん、ごきげんよう!良い夢をみて下さいましね?」
ズドドドドドドドドドドドドドドッ!!
狂三とその分身体達が一斉に士道に銃を乱射する!!
士道は自分の右手に冷たい冷気を纏い、その真名を謳う!!
「―――『
士道は自分と十香達を周りを囲うように、『天使』の力で分厚い氷の要塞を結成する!!
狂三の銃弾はその要塞に阻まれ、突破することが出来なかった。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!』
「―――凍てつきやがれェェェェェェェッッ!!」
士道は『
「なっ―――!?」
吐かれた吹雪は、士道の前方の要塞を吹き飛ばし、狂三の分身体達を全て吹き飛ばす!!
狂三の本体は危険を察知して飛び上がって回避したが、足に凍傷を負っていた。
「狂三、お前は精霊だ………だから殺しはしない―――けどな、十香や真那達をこんな目に合わせておいて、無傷で帰れるなんて思うなよ?」
「本っっ当に不愉快な方ですね貴方はッ!!まずはその生意気な口が聞けないように蜂の巣にしてあげますわ!!
『
再び狂三の背後に巨大な時計が現れ、『VII』の文字から左手に持つ短銃に力が注ぎ込まれる!
そして―――
パァンッ!!パァン!!パァン!!
力が注ぎ込まれた短銃を狂三は士道に放つ!士道は銃弾を切り刻もうと、アスカロンを構える!
その時、真那が出血多量で意識が朦朧とする中、起き上がって士道に叫ぶ!
「兄様、避けて下さいッ!!その弾は―――」
真那は最後まで伝えることが出来ず、再び地面に倒れそうになるが、十香が真那を支える。
「シドーの妹二号、その体で無理をするな!」
「―――伝えなければならねえのです!あの弾は触れた時点で効果を発動しやがります!!このままでは兄様が!!」
真那の叫びを士道は聞くわけにはいかなかった。もし士道が避けてしまえば、十香達に銃弾が命中する可能性があるからだ。
士道は避けようとはせず、アスカロンで放たれた銃弾を斬り刻む!!
「―――フンッ!!」
ギィン!!ガギィ!!ゴギィッ!!
真那の恐れていたことが現実になってしまった。士道が狂三の銃弾を斬り刻んだ瞬間、士道がまったく動かなくなってしまったからだ。
狂三は再び分身体を影の中から呼び出し、止まった士道に銃口を向ける!
「―――いかに強力な力を持っている士道さんでも、止めてしまえば意味はありませんわぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
キヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!と止まった士道を見て汚い笑みを浮かべる狂三。真那と十香は士道の身を案じ、強く叫ぶ!!
「兄様あああああああッッ!!」
「シドおおおおおおおおおッッ!!」
二人は涙ながらに叫んだが、士道が動くことはない。それに合わせて狂三とその分身体達はニィッと笑み、銃の引き金を引こうとしていた。
―――しかし………
『Welsh Dragon Limit Break―――Over Limit Booster set up!!!!!!!!!!!!!!!!!』
靄がかかっているかのように、時間を止められたはずの士道だったが、鎧の宝玉が凄まじい輝きを放ち、時間停止を破ろうとしている!!
狂三はこの光景に狼狽する!!
「―――なっ!?こ、こんなことが!?
………ですが、もう手遅れですわ!!」
ズドドドドドドドドドドドッッ!!
士道を囲むように再び陣取った狂三とその分身体達は四方八方から引き金を引き、士道に銃弾の嵐を浴びせる!!
しかし―――ここでも士道は奇跡を起こす!!
『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!!!!!!!!!』
限界を超えた力の倍加が可能になる
そして真正面にいる狂三の本体に倍加された力を受けた、必殺の右ストレートを放つ!!
「――――――」
ズドオオオオオォォォォォォォォォォッッ!!
振り抜かれた士道の拳は、狂三の顔の真横で静止していた。士道が放った拳は、衝撃波を纏いながら凄まじいスピードで山の方向へと消えていき、衝撃波は山にぶつかり、地形を変えるほどの衝撃をもたらした………
これが赤龍帝―――天使、悪魔、堕天使と言った『三大勢力』の親玉に喧嘩をふっかけた二天龍の片割れの底力といったところだ。
狂三は、自分の顔の真横で静止している拳に視線を送り、言葉を失っていた。
「―――俺ん家の家族を、泣かしてんじゃねえ!!」
狂三はすぐに士道から距離を取り、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、激昂する!!
―――狂三は悟っていたのだ………士道が
「これほどの屈辱を味わったのは生まれて初めてですわッ!!―――【
再び巨大な時計こと『
狂三は自分の分身体に次々と銃弾を打ち込んでいく!士道は狂三の動きに注意し、アスカロンを構える。
そして―――狂三は次に自分の顎に銃弾を打ち込み、士道の背後から、歩兵用の銃で後頭部を狙って殴りつけるが、士道が振り返ってアスカロンで狂三の攻撃を防ぐ!
その時だった――――
「――――――ッ!?」
士道が振り返って時に、狂三の他に視界内に移った光景は、狂三の分身体達が十香達に迫っている光景だ!
士道は神速を発動し、十香の前に移動する!!
「―――なっ、シドー!?いつの間に私の前に!?」
「十香、真那と一緒に伏せろッ!!」
いきなり目の前に現れた士道に、十香は自分の目を疑ったが、士道の言葉と、迫り来る危険を感じ、十香は動けなくなった真那と一緒に地面に伏せる!!
「キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッッ!」
一斉に群がってくる狂三の分身体に、士道はアスカロンを左手に持ち替え、右手に霊力を纏い『
「はあああああああああっっ!!」
士道は『塵殺公』とアスカロンで周囲を薙ぎ払う。狂三の分身体の攻撃を受ける前に、全て吹き飛ばした―――しかし………士道の兜からは、血の塊が溢れ出ており、膝を片膝をついて脇腹を抑えていた。
脇腹からも血が流れ出ており、鎧の脇腹の部分は何かに貫かれた跡があった。
「―――ゴハアッ………」
士道が苦痛に苦しむ様子を見て、狂三は満足そうに両手を挙げてバカ笑いをする!
「きひひひひひひひ、ヒヒヒャヒャヒャヒャヒャ!これでダメなら、わたくしの負けを認めざるを得ませんでしたが―――流石は『魔弾•撃龍葬』ですわ!!士道さんの鎧すら貫通してしまう―――『限りある最強』の名は伊達ではありませんでしてよ、士道さぁぁぁぁぁぁんッ!」
『魔弾•撃龍葬』―――文字通り、鉄より硬い龍の鱗すら貫通する弾丸でアスカロンのような龍殺しの特性を持つ。
ちなみにこの魔弾の『限りある最強』という忌み名は、この魔弾を製作するための素材は非常に希少なため、百発も作れないと言われているからこその忌み名だ。
狂三の分身体による十香達への攻撃は、【
それを布石とし、士道が分身体を吹き飛ばした後に、【
「これで形勢逆転ですわ!!士道さぁぁぁん、今度こそ正真正銘の貴方の最期ですわ―――カハッ!?」
狂三も士道同様に口から吐瀉物を吐き出す。狂三は激痛を感じた脇腹を見ると―――脇腹に風穴が開けられていたのだ。
―――明鏡止水で相手の気を探れる士道が、
攻撃を放った後は隙が生じる―――狂三はそれを狙い撃ちしたが、士道もまた同じだった。
背後に回り込んだ狂三の気を探れはしたが、『魔弾•撃龍葬』を防ぐことは出来なかった。士道は攻撃を受けた時に、
「―――舐めた真似をッッ!!『
当然、次に狂三が行うことはたった一つ―――【
狂三の真珠を思わせる右目は赤い光を放ち、左目の時計も異常な速さで回っている!
狂三は完全に我を忘れ激昂している!全ての手札を切ったにも関わらず、士道を吸収することが出来ないからだ………
士道の籠手の宝玉が点滅し、ドライグが語りかける。
『………相棒、俺はもうこれ以上この小娘の醜悪な笑い声は聞くに耐えん―――もう終わりにしよう………』
「―――ああ、そうしよう」
ドライグの声を聞いた士道は、瞑目して倍加を始める―――士道もこの戦いに決着をつけようとしていた。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!!!!』
士道はバスケットボールほどの大きさの霊力を結集した球体を作り出し、天使を顕現させた狂三に構える!
狂三は士道が作り出したきゅうたいから放たれる全てを崩壊させるほどの力を感じ取り、後退りを始める。
「―――わ、“わたくしたちッ”!!」
狂三は分身体を自分の盾にするように配置し、『魔弾•撃龍葬』を歩兵銃に入れ、士道に対する!
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
「―――これで終わりだッ!ドラゴンショットッ!!」
狂三とその分身体達は、最後の技を放とうとする士道に『魔弾•撃龍葬』と無数の銃弾を撃ち込む!
士道はそれを防ぎ、この戦いに終止符を打つために倍加した力を込めた渾身のドラゴン•ショットを放つ!!
一瞬の拮抗があったが、士道が放ったドラゴンショットが狂三達の弾丸を上回り、『
「――――ひっ!?」
狂三は完全に戦意を喪失した。自慢の天使は士道の前には意味をなさず、分身体は役に立たない、そして―――切り札を持ってしても倒すに至らない士道を見た狂三は、自分の目の前まで来た士道を見て、悲鳴をあげる。
「次に俺の仲間に手を出した時は、お前が精霊だろうが関係ねえ、跡形もなく消しとばす!!」
「――――――――」
―――士道はトドメを刺そうとはしなかった。狂三とガチでやり合う事になった以上は攻略は不可能だ。
士道も、自分が甘いということは理解していた。ドライグはそれについて一言物申した。
『………甘過ぎるのではないのか相棒?この精霊だけはここで始末しておいた方が、後顧の憂いを断つはずだ。
こいつはこれからも悪びれることなく人間を殺し続ける、地上の人間どもの為にも、ここで始末をつけておくべきだ』
ドライグの物申しに士道は首を横に振る。
「俺は『ラタトスク』の人間だ。精霊を救うのが『ラタトスク』の意向なら、それに背くことは出来んさ―――それに、そうなった時は俺が責任を持って絶対に止める。俺に狂三を殺すことは出来ない………くるみんもいい思いはしないだろうしな」
士道との生活を考え始めた絆された狂三こと『くるみん』もまた
『―――正直に言えば、反吐が出そうだ………だが、そんな男が一人くらいはいてもいいだろう』
「ありがとな、ドライグ」
そんなやりとりをしている間に狂三は何処かへと消えていた。―――恐らく、士道とドライグが話し込んでいる内に逃走を図ったのだろう。
ぐらっ―――――
士道の赤い龍を模した全身鎧がいきなり解除され、士道はフラフラと地面に倒れこむ。
「―――シドーッ!!」
くるみん達のお守りをしていた十香が、慌てて士道に駆け寄る。士道の右腕を担ぐと、士道の籠手からドライグの声が聞こえてくる。
『――――久しぶりの禁手による力の解放だけでなく、あの魔弾を受けたのだ。無理はせずゆっくりと休め、相棒』
士道はドライグの言葉に、「ああ………」と答えると、十香に担がれながら、意識を失った。
その時―――――上空から凄まじい霊波反応が現れる。
濃密な焔を纏い、白い着物のような和装に、天女の羽衣と言わんばかりに絡みついた炎の帯。そして、側頭部にある二つの角―――そして、黒いリボンに赤い髪!!
それは、レベルの高いコスプレだった………
「………士道、少しの間返してもらう――――ってアレ!?ちょっと、私の出番は!?」
精霊化した琴里が、狂三が居なくなっている事に気付き遅れて来すぎた事にパニックになっていた。
士道の籠手からドライグが言う。
『―――取り敢えず、村雨令音に回収を頼んでくれないか?相棒も、夜刀神十香も、そして攻略した「くるみん」も怪我を負っている。崇宮真那は重症で、鳶一折紙も意識を失っている。
―――
「わ、分かりました!!」
琴里はドライグのパシリとして『フラクシナス』を目指して飛んで行った。―――精霊化してもドライグには敬語を使っている精霊『イフリート』となった琴里だった。
そして―――士道達は数分後に、『フラクシナス』に回収され、『顕現装置』で怪我人の手当てを行い、一日が過ぎようとしていた。
狂三も一緒に攻略————しようと最初は書いていましたが、どうやっても私の力ではその描写は書かなかったので、攻略は分身体の『くるみん』のみという形になりました。
次章の『琴里クラッシュ』では、とある存在が出陣します————とは言っても『神器』としてですが•••••••
次話投稿時に、設定を更新しようと考えています。
くるみんをヒロインに追加する予定です。