デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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ついに四章の琴里編へと入っていきたいと思います。
————あれ、恒例の番外編は?と感想にありましたが、三章と四章は続いているため、三章では番外編を書かず、この四章でくるみんと琴里の番外編を書こうと思っています。

※あれ?UAが多いなぁと思っていたら、まさかのランキング入りしていました。
そして、ついにお気に入り数が300件を突破しました!
読者の方々、本当にありがとうございます!これからも頑張って行きます!




四章 琴里クラッシュ
一話 煉獄の夢とくるみんです!


それは、煉獄とも呼べる光景だった。辺り一面に広がる灼熱の業火。それは全てを焼き尽くし、全てを黒一色に変えてしまい生命の根源を無に帰す。

しかし、五河少年は目的を果たすために煉獄と化した家の中を駆け抜ける!

 

『琴里、琴里ッ!!』

 

燃えた家具や、燃え上がっている床を避け、ただひたすらに家の中に取り残された琴里だけを目指して、走り抜ける五河少年。

リビングへと到着した五河少年は、リビングに琴里がいないことを確認した後、和室の襖を蹴破って和室の中へと入る。

…………その時、燃え上がる和室の中で顔を覆い床に座って泣いている少女―――目的であった琴里がいた。

 

『―――おにーちゃん、来ちゃダメッッ!!』

 

琴里がいるところまで行くには、炎の壁の先へ行く必要があり、琴里が手を伸ばして士道を止めようとするが、五河少年は一歩二歩と下がり、助走を付けて炎の中に突っ込む!

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!』

 

『―――ダメェェェェェェ!!』

 

琴里は涙に濡れた声で、喉が潰れんとばかりに叫ぶが、炎に包まれた妹を五河少年は見殺しには出来なかった。

五河少年は果敢にも炎の壁にタックルをし、服に火が移りながらも琴里のところまで行くことが出来た。

五河少年は琴里を抱き上げ、和室の窓から外に出ようと考えていた。

 

『琴里、もう大丈夫だ!おにーちゃんが絶対にお前を助け出してやるからな!』

 

『おにーちゃん、おにーちゃん…………』

 

五河少年は和室の窓ガラスは、すでに爆風で吹き飛んでおり、琴里を抱えて、灼熱地獄と化した五河家から庭へと脱出がかなった――――しかし…………

 

『――――ッ!!!!!』

 

『いやああああああああああああッッ!!』

 

二階から瓦礫が地面へと落下する!

―――それは運の悪いことに、五河少年と琴里の頭上から降って来るのだ!!避けることは不可能と悟った士道は“せめて琴里だけでも”と、抱えた琴里を投げ飛ばす!!

 

『きゃっ――――あ、あああああ、ああああああああ、ああああああああああああああ!!!!!!!!!!』

 

五河少年の予想は的中し、琴里は無事だったが自分は―――瓦礫の下敷きになり、助かる見込みは無かった。

琴里は、兄が下敷きになったことに頭が真っ白になりただひたすらに叫び声をあげるが状況が変わることはない……

五河少年は今までに感じたことのない痛みに、悲鳴をあげることも出来ず、視界内に霧が掛かるように意識が朦朧としながらも、琴里に手を伸ばしていた。

 

『いやだ…………いやだよ―――こんなのいやだあああああああああああああ!!!!おにーちゃん!!おにーちゃん!!』

 

琴里は五河少年の伸ばした手を取ったが、自分にはどうする事も出来なかった。

だが…………五河少年の身に異変が起こる。自分の体に凄まじい力の奔流を纏っていき、獣のように鋭く目を開き、雄叫びを上げる!!

 

『アガアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!』

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオンンッッ!!

 

五河少年は、その覚醒した力で瓦礫を吹き飛ばし、五河家を火災ごと、一瞬で木っ端微塵に吹き飛ばすほどの凄まじい力を解放して見せた。

五河少年の身体には変化が起きていた。髪の毛が漆黒に染まり、目は先ほどの煉獄を思わせる紅蓮の瞳に変化しており、顔や腕には、特殊な術式の紋様のようなものが刻み込まれいる。

―――そして、何より琴里が恐怖したのは、士道が解き放った圧倒的な力。

…………五河少年の体には黒い雷がスパークしており、全身から禍々しい暗黒のオーラが放たれていた。

 

『…………おにー、ちゃん?』

 

五河少年は何も言わずただ不気味に佇んでいた五河少年を怪訝に思った琴里は、歩み寄るが―――隠していた力を解放した事で、五河少年は今度こそ深い闇の中へと落ちて行った…………

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!?」

 

五河少年が、高校二年生になった姿の士道は、先ほどの琴里を助け出した時の夢を見たことが、意識を覚醒させるトリガーとなった。

士道は勢いよく身体を起こし、辺りを見渡す。

…………ここが来禅高校の屋上ではなく、どこかの医務室へと運ばれたと士道は分析していた。

 

『…………目覚めたようだな、相棒』

 

左手の甲から、パートナーの声が聞こえてくる。士道は一人ボサっと呟く。

 

「―――俺は、一体…………っ!」

 

脇腹に痛みが走り、脇腹に手を置く。狂三の『魔弾•撃龍葬』で射抜かれた箇所だった。しかし、傷は塞がっているため、あの時ほどの苦痛はしなかった。

 

『―――あまり勢いよく身体を動かすような真似はするなよ?傷口が開くからな。

…………さて、相棒が懸念している事だが、「ナイトメア」を退けた後は、相棒たちは「フラクシナス」の医務室へと村雨令音が回収した。崇宮真那と鳶一折紙は、天宮市の自衛隊の病院へと運ばれた…………全員無事だが、崇宮真那の方は意識が戻ってないらしい』

 

―――ちなみに十香は士道のベットの近くに置いてあるパイプ椅子に座り、壁に寄っかかって爆睡している。

彼女も怪我をしていたが、『シドーから離れたくない』と自分の傷の痛みに耐えてまで、士道を看病していたのだ。

 

「とりあえず真那が心配だが、とりあえずは全員無事か…………」

 

ドライグの説明に全員が命に別状がない事に士道はホッと胸を撫で下ろしていた。そして、医務室の扉が開き、洗面器と濡れたタオルを持って、黒一色に衣服を整えた黒髪の美少女が入室して来た。

士道はその美少女を見て、目を開いて立ち上がった。

 

「―――くるみんっ!?」

 

そう―――その美少女とは、最悪の精霊『ナイトメア』時崎狂三の分身体の一人格である『くるみん』だった。

名前を呼ばれた事に、くるみんはビックリして声が聞こえた方を見る。くるみんは洗面器と濡れたタオルを地面に落とした。

 

「―――っ!士道さんっ!!」

 

くるみんは士道を見るなり、目に涙を溜めながら士道の胸に飛び込んだ。士道もくるみんに答えるように優しく抱きしめた。

くるみんは士道の胸の中で安堵の声を漏らす。

 

「よかった…………本当によかった―――士道さん、傷の治療が終わっても一日中眠ったままで…………」

 

くるみんの言う通り、士道は狂三との激闘の後に意識を失い丸一日ベットから起き上がることはなかった。

くるみんは胸を貫かれたが、士道が使ったフェニックスの涙によって完璧に傷は塞がっている。

意識が戻った後は、士道のベットから離れることなくずっと十香と士道の看病をしていたのだ。

 

「ありがとな、くるみん。それから―――本当にゴメンな…………」

 

いきなり顎を引いて、目を強く閉じて謝罪をする士道を見たくるみんは怪訝に思い、真意を訊ねる。

 

「あ、あの士道さん―――どうして謝るんですの?」

 

「俺がもっと気を張っていれば、くるみんがあんな事にならなかった…………俺が不甲斐ないばっかりにくるみんは死にかけた!だから―――っ!」

 

士道は、くるみんの胸を貫いた狂三のことを許さなかった―――だがそれ以上に許せなかったのは、それを未然に防ぐことのできなかった自分自身だ。

自己嫌悪でどうにかなってしまいそうだった士道に、くるみんは優しく抱きしめる。

 

「士道さん、そんなに自分を責めないで下さいまし…………わたくしは士道さんに謝って欲しいわけではありませんのよ?…………むしろ、わたくしは士道さんに感謝していますの」

 

「―――感謝………………?」

 

狂三に言われた言葉に面を食らった士道は、目と口が大きく開くほどの衝撃を受けていた。

 

「ええ、わたくしは士道さんに救われましたわ…………真那さんが襲いかかってきた時を最初に、わたくしを救う為に自ら危険な罠に飛び込んだ時も、わたくしが胸を貫かれた時も…………士道さんは、わたくしを救う為なら命すら投げ捨てる覚悟で―――その嘘偽りのない士道さんの想いに、わたくしは救われました」

 

「くるみん……っ!」

 

くるみんが発した言葉に、士道は目に溜まり始めていた感情を強引に押し留めた。

―――士道は男としてどうしても、抑えなければならなかったのだ。救うと決めた人に弱さを見せたくはなかったから……胸の中で震えている士道を優しく撫でながらくるみんは優しく言う。

 

「士道さん、ありがとうございました。わたくしは士道さんの言葉を信じますわ―――士道さんの言う『笑って過ごせる生活』と言うものを」

 

…………くるみんが言ったこの言葉で、士道は限界になり抑えていた感情が爆発した。

士道の目からは雫が滴っていた。それは頑なに自分を拒絶した一人の精霊がようやく自分を認めてくれたからだ。

 

「―――ああ、絶対に失望させない!俺たちが―――いや俺が、くるみんを笑顔にしてやる!くるみんを奪いにくる奴は全部俺がぶっ飛ばしてやる!だから………これからはずっと一緒だ」

 

これで士道は本当にくるみんを救ったのだろう。くるみんは士道の言葉に、最高の笑顔を見せることで応えてみせた。

 

そして…………

 

「士道さん………少し目を閉じて下さいませんこと?」

 

突然のくるみんからの申し出に士道は頭を傾げる。

くるみんは、頰を真っ赤に染めて士道から目を逸らしている。

 

「ん?いいけど………何をするつもりなんだ?」

 

応じてくれない士道に、狂三は叫ぶ!

 

「―――は、早くして下さいまし!!」

 

「は、はいっ!!」

 

士道はくるみんに言われたままに目を閉じた。

何をするつもりなのかと士道は頭の中で考えていた。

 

そして―――………

 

「―――――っ!!!!!!」

 

士道は唇に温かいものが触れ合っている感触があり、目を開けると………くるみんが自分の唇を士道の唇へと押し当てていたのだ。

そして―――士道の中に何かが流れ込んでいた。それは言うまでもなく、精霊としてのくるみんの霊力だった。

 

「く、くるみん!?い、いい、今のは!?」

 

くるみんからキスをされた士道は慌てふためいていた。しかも、霊力の封印に成功したらしく、くるみんは全裸になっていた。

 

「ふふふ、士道さんったら霊力の封印は、これが初めてではありませんのでは?キスをされたくらいで慌てふためくなんて、本当に可愛いですわよ、士道さん」

 

「か、からかってんじゃねえ!!俺だってその………キスをされるなんて思ってなかったから」

 

士道はからかわれた事にムッとしていたが、すぐにそれもリセットされた。

―――その理由は、封印を施した精霊、十香も四糸乃も同じ末路を辿っていたからだ。

そしてくるみんも例外なくその末路を辿る!!

もうここまで言えば多くは必要あるまい!士道くんは全裸になったくるみんをマジマジと眺めている!

その飢えた魔獣の如く視線に、先程まで士道を笑っていたくるみんも、身の危険を感じる!

 

「ええと………その、士道さん………?」

 

生まれた時の姿に戻ったくるみんは胸元を隠し、身の危険を感じ取り慌てて士道から離れる。しかし!変態は加速するばかりだ!

 

「グヘ、グヘヘ、グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!おっぱいだあ!おっぱいだ!!」

 

「―――ひっ!?」

 

鼻の下を伸ばし、鼻血とヨダレを垂れ流した士道は、ビーストモードを解禁する!!

 

「くるみん―――おっぱいを!!おおおおっぱいをッ!!」

 

『うわああああああああああああああ!!!!!誰かこの変態を止めてくれぇぇぇえええええええええ!!!!』

 

士道はわしゃわしゃと卑猥に手を動かし、くるみんに迫る!

ドライグは悲鳴を上げて士道に一時停止役を務められるものを探すがここにはいない!

くるみんが次に上目遣いで述べる一言に、ついに士道の理性がゼロになる!

 

「―――優しく………してください」

 

「おっぱいいいいいいいいいいいい!!!!」

 

くるみんのおっぱいは美乳の部類に入るだろう。士道くんにとっては女神の果実だ。そんなものがあればこの変態はもう止まらなかった。

何一つ抵抗をしないくるみん目掛けて士道くんは欲望を解放する!!

―――しかし………

 

「―――ボフゥッ!?」

 

士道くんが苦しまぎれに声をあげる。車が何かにぶつかった時に飛び出すエアバックに顔を突っ込むように………いま士道くんがなっている状況はそれに限りなく近い。

―――眠りから目覚めた十香の胸に士道くんは抱きしめられているのだ。

 

「シドおおおおおおおおおおっ!!良かった、本当に良かったぞ!………まったく、お前という男はどれだけ私を心配させれば気が済むのだ!!」

 

「―――グヘ、グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!おっぱいだあああああああああああ!!」

 

士道が目覚めた事に安堵して喜ぶ十香と、十香の胸の感触を楽しむ変態の士道くん。これこそまさにWinWinの関係だろう。

―――しかし、獲物を横取りされたくるみんは十香に物申す。

 

「ちょっと十香さん、わたくしと士道さんの二人の時間を横取りするなんてどういう事ですの?」

 

「むむ!狂三、それはこっちのセリフだ!私が寝ている隙をついて士道とイチャコラしようとは何事かッ!」

 

士道とキスをしたくるみんは、霊力を封印されたため全裸になっている。くるみんの一言でこの医務室が一瞬で修羅場へと変わる。

 

「―――これからわたくし、士道さんに胸を触ってもらうところでしたのよ?」

 

「ヘェボラック!?」

 

くるみんの曝露によって、士道は十香の胸の中で悲鳴をあげる。殺されると思った士道は慌てて十香の胸から離れる!

―――もうこうなれば、塵殺公(サンダルフォン)であの世行きが確定するだろう。

 

『………さて、次の宿主はどんな奴か―――スケベで変態じゃない奴がいいなぁ!』

 

ドライグは士道が死ぬことを前提で、次の宿主のことを考えていた。士道は逃げようとするドライグの尻尾を捕まえる。

 

「おいドライグ!今度はその宿主に俺は転生するぜ、ていうか逃がさねえよ!俺とお前は二人で『乳龍帝おっぱいドラゴン』だ!!」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおんんっっ!!うわああああああああああああああ!!俺は赤龍帝だ、乳龍帝などではない!!』

 

またドライグは泣いてしまった………もう泣龍帝で良いのでは?と思う今日この頃だ。

―――さて、現実世界ではくるみんの暴露に十香は、塵殺公(サンダルフォン)を具現化させる―――のではなく、なんと服を脱ぎ捨てた!

 

「―――おお、そう言えば………シドーが私の胸を触る時間になっておるなシドー、好きなだけ触ると良い!狂三の胸なんぞよりも、私の方は触るだけでご利益があるぞ!」

 

士道はくるみんのおっぱいではなく、十香のおっぱいへと矛先を変える!

 

「『好きなだけ触ると良い!』そんな素晴らしい日本語があったのかあッ!!―――じゃあ、いただきますっ!!」

 

士道はわしゃわしゃと十香の胸へと手を伸ばす!!ドライグは慌てて十香に訊ねる。

 

『お、おい!?どうしたのだ夜刀神十香、いつもの貴様なら相棒を叩き斬っているはずだろう!?』

 

ドライグの役割はいつもシリアスリカバーだ。ドライグの問いに十香は顔を赤くし、モジモジとしながら答える。

 

「桐生藍華に教わったのだ………男を逃がさない方法は、既成事実を作ることだと………だから私は士道に胸を毎日触らせるという既成事実を作る事にしたのだ!」

 

『―――あ、左様でございますか………』

 

―――ある意味既成事実だが、やはり十香は意味がわかっていない。十香の答えを聞いたドライグは目を点にしていた。

 

「十香さん、邪魔になっていることが分かっていませんの?」

 

「私は邪魔ではない!むしろ邪魔なのはお前だ、狂三!」

 

修羅場へと変わってしまったが、言い合いになっているくるみんと十香の胸の動きを鼻の下を伸ばし、鼻血とヨダレを垂れ流しながら眺めていた。

そんな時、ドライグが何かを思い出し、士道たちに述べる。

 

『………お前ら、盛り上がっているところ悪いが、精霊はもう一人いるぞ?しかも、相当込み入った事情の精霊が………』

 

ドライグの言葉に一同は視線を合わせる。それに合わせて士道の医務室に令音が入ってくる。

 

「………赤龍帝ドライグの言う通りだ。

………狂三の霊力封印完了で第一部は完結したが、まだ()()()()()()は迎えていない。…………精霊はもう一人いる」

 

………その精霊は、士道が狂三を退けた時に新たに現れた炎の精霊だ。

士道は気絶していたため、姿を確認していないが、ドライグと十香はその姿を見ているのだ。

 

「………とりあえず狂三は後で検査があるから後で来て欲しい。十香はここで待っていてくれ。

………シン、キミはこっちだ」

 

令音の言葉を各々首肯し、それぞれの目的を果たしに足を進めた。

士道が令音と向かったのは、『フラクシナス』の精霊隔離施設だった。

そこで隔離施設内にいた少女を見た士道は、驚愕していた。

 

「琴里、なのか?」

 

士道はその事実を知った時、雷に打たれたような衝撃を受け、少しの間何も考えることが出来なかった。




今回は少々短めにしました。

次回はシリアスな展開になるかなと思います。そして、夢の内容についても少しだけですが触れるつもりです。

※9/21に設定を更新しました。
士道のサンダルフォンとアスカロンの合成技とヒロインにくるみんを追加しました。


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