デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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いよいよやってまいりました、水着回!

みなさん、ヒロインたちの水着姿を想像して、士道くんみたいに鼻血を出さないようにしましょう!

※前話から———を―――に変更しました。


五話 仁義なき乙女の戦いです!!

 

 

「グヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!」

 

くるみんと琴里の霊力を封印してから一日が経過した。

士道くんは朝からずっとこの調子だ。

頭の中で水着姿になった精霊たちを浮かべて、醜悪な笑みと鼻血とヨダレを垂れ流している!

―――キモいの一言が今の士道くんにはよく似合う。

 

『―――少しは欲望を隠したらどうだ?………見てみろ、夜刀神十香や四糸乃が変なものを見るような視線を相棒に向けているぞ?』

 

ドライグに言われた通り、ふとソファーに座る十香と四糸乃に視線を向けると………

 

「「………………」」

 

ドライグの言葉通り、十香と四糸乃は怪しいものを見るような視線を士道に向けている。

―――なんの前触れも無くいきなり下品な笑みを浮かべる不審者を見れば、十香も四糸乃も不気味に思うのは当然だ。

 

ピーンポーン………

 

士道くんが下品な笑みを浮かべて数秒ほど経った時、五河家のインターホンが鳴る。

士道は玄関のドアを開けると、ゴスロリを着た美少女がドアの向こうに佇んでいた。

 

「………おはようございますわ、士道さん」

 

その少女はくるみんだった。くるみんは士道とのお出かけということもあって、オシャレをしている。

士道はくるみんに笑顔を見せる。

 

「おっ!今日のくるみんはゴスロリか………うん、似合ってる!!」

 

拳をグッと握って真っ直ぐに気持ちを伝える士道に、くるみんは嬉しそうに微笑む。

 

「ふふふ、士道さんがそう仰ってくださるなら良かったですわ」

 

くるみんの喜びに満ちた表情に士道くんも大満足のようだった。

………完全に二人きりの世界になっているが、魔王様は士道のほっぺを引っ張って強引に元の世界に連れ戻す。

 

「―――いひゃい!?いひゃいよ、ほふか(十香)………」

 

ぐに〜っと力強くほっぺを引っ張られる士道くんは苦悶の声を漏らす。十香ちゃんは士道のほっぺたをつまみながら士道に言い聞かす!

 

「………シドー、狂三とばかり話すな!オシャレをしてきたのは狂三だけではないぞ!!」

 

十香の服装は、ブラウスとタイトスカートというコーディネート。夜色の綺麗な髪も今日はリボンで括られることなく、自然体だ。

 

「―――わ、悪くない!この前のデートの時のコーディネートも良かったけど、この組み合わせはグッドだよ、グッド!!可愛いよ、十香」

 

士道がにっこりと笑って十香を褒めると、十香はくるみんと同じで嬉しそうににっこりと笑う。

 

「そうか!次に桐生に会ったらお礼を言わねば!」

 

―――十香のコーディネートを考えたのは、桐生藍華らしい。この瞬間だけは、いつも十香がらみで余計なチャチャを入れてくる桐生藍華の顔を空に浮かべ、親指を上げて拳を突き出した。

 

そして、ふわふわな青い髪をした小柄な少女も、士道の服の袖を掴んで何か言って欲しそうな瞳をしている。

 

「―――四糸乃!?なんてことだ………四糸乃に白いワンピースに麦わら帽子だとぉ!?いったい誰だ、誰が四糸乃にこんな愛くるしい衣服を着させたのは!?」

 

士道がキョロキョロと四糸乃にこの服装をチョイスした人物を見渡すが、辺りには四糸乃を省くと怪獣と黒い女神の一頭と一神の二つの存在だけ。

そんな中、蒼玉を思わせる四糸乃の瞳は士道の姿を捉えている。

 

「………えっと、あの………似合って、ますか?」

 

もじもじとしている四糸乃ちゃん。士道は豪快に笑いながら四糸乃の両肩に優しく触れ、笑顔を見せる。

 

「―――ああ、最高に可愛いぞ四糸乃!まさに俺の心のオアシスここにありって感じで、お兄さん気分上々だ!!」

 

「あの、えっと………ありがとうございます………っ!」

 

ニカッと笑い飛ばす士道に、四糸乃の顔はヤカンが沸くように真っ赤になりながらも、嬉しそうに微笑んでいた。

―――全員が揃ったところで、士道は空へと指を掲げて堂々と宣言する!!

 

「………みんな、俺たちの目標は

神の楽園(水着コーナー)』だ!さあ準備はいいか!?」

 

「おー!」「は………はい!」

 

士道の言葉に元気よく手を挙げる天真爛漫な夜色の髪の美少女と、十香に釣られて手を挙げるふわふわな海のような青い髪をした幼女。

 

「………士道さん、そこは特殊な表現ではなく普通で良いのではありませんの?」

 

………士道くんの餌食役を務めるゴスロリの黒い女神様がツッコミを入れるが、士道くんのような変態にとっては女性の水着コーナーは『神の楽園』と言っても過言ではないのだ。

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

 

「す、すっげぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!ここは楽園だ―――楽園に来たぞおおおおおおおおおお!!!」

 

くるみんとのデートで訪れた、ショッピングモールのランジェリーショップの近くに士道くんたちの目的地は存在する。

―――水着コーナーに着いた変態はテンションがうなぎのぼりに上昇していき、留まるところを知らない!!

 

「………士道さん、もう少し静かにした方がよろしいですわよ?怖〜い警備員の方々が士道さんを抑えに来る五秒前ですわ」

 

手足を広げ、X字を表現するガッポーズをする士道くん!―――完全にお巡りさんが出動するレベルだ!!

既に十香と四糸乃は、水着を手に取って生地を引っ張ったり、においを嗅いだりと興味津々のようだ。

………唯一くるみんだけは士道が警察の世話になることを恐れていた。

 

「―――いらっしゃいませお客さま、この度はどのような水着をお探しですか?」

 

目を輝かせて鼻の下を伸ばし、ヨダレまで垂らしながら店内に飾られてある水着を見渡す士道くんに、魔法使いのローブを纏った不審者が声をかける。

その不審者は士道くんがよくお世話になっている人物だ。

 

「あ、ソロモンさん―――今日はバイトですか?」

 

………渾身のボケをかます士道くんにソロモンは笑いながら答える。

 

「ハハハ、守護者はアルバイトなんてしないよ………今日は士道くんがご所望の水着を持ってきたんだよ―――もちろんだけど、水に濡れたら透ける水着と溶ける水着も用意したよ」

 

「ま、マジッスか!?その水着買います!!お金は沢山持ってきてますのでZE☆N☆BU☆買います!」

 

士道は財布から札束を取り出す!………この札束は士道くんの今月のラタトスクから支給された給料だ!

彼はどれだけ高い額を提示されようが手を引くことはないだろう。そんな時、士道とソロモンの会話に横槍を入れるものが現れる。

 

「―――その水着、私も欲しい」

 

お人形を思わせる無表情な少女が、ソロモンに頭を下げて頼み込んでいる!!その少女を見た士道は飛び上がるほどの衝撃を受けていた。

 

「お、折紙!?」

 

どういうわけか、精霊の水着を買いに来ているという最悪なタイミングで、折紙と遭遇してしまった士道くん。

―――これは修羅場になりそうだ!!それを証拠に士道くんは折紙に詰め寄られている!!

 

「………士道、その水着を一着だけ私に譲って欲しい。

水着と裸―――両方のプレイが一度に楽しめる最高の品」

 

「………………………えーと、折紙?濡れたら―――溶けちゃう水着だぞ?」

 

「構わない。私は士道のためならどんな水着でも着用したい」

 

「いや、その………これは―――」

 

―――士道は口が裂けても言えなかった………『十香とくるみんに着させる水着だぜぇぇぇぇぇえええ!!』なんて言える筈がない!!

もし心中が明らかになれば、折紙は自分以外の女性の記憶を確実に消去しに掛かる!!

それが分かっているから言えないのだ!!

 

「―――士道から離れろ鳶一折紙!士道は私たちの水着を選ぶのに忙しいのだ!貴様は一人で選んでいろ!」

 

士道が折紙にグイグイと壁際に押し込まれているところを十香が折紙の肩を掴んで士道から引き離す。

だが、この程度でおとなしく引き下がる折紙ではない!

 

「………どうして士道があなたの水着を選ぶ必要がある?士道の貴重な時間を無駄使いさせないで―――行こう士道、そこの試着室で私に水着を着させてほしい」

 

「―――無駄なのは貴様だ!!いいからシドーを離せ!!」

 

折紙は士道の腕を引っ張りながら、強引に試着室へと引っ張り込もうとしている!!それを見た十香も負けじと士道の腕を引っ張る!

 

「ぎゃあああああああああ!!!!ちょっ、腕がもげ―――たぁ〜す〜け〜てぇぇぇぇぇえええ!!」

 

………女は欲望の化身と呼ばれるが、この二人を見ていると、まさにそれが証明されるものだ。

そんな時、この場を収めようと士道の取り合いをしている十香と折紙の後ろから、水着を何着か持ってきたくるみんが口を開く。

 

「………あらあら、お二方とも少しは士道さんのお身体を気遣ってあげたらどうですの?このままでは、士道さんの体から両腕がなくなってしまいますわよ?

それに、士道さんは逃げたりしませんわよ―――ここはひとつ勝負をしませんこと?」

 

「………勝負?」

 

くるみんが発した提案に反応したのは、十香でも折紙でもなく士道だった。くるみんは笑顔でその内容を話す。

 

「………誰が士道さんを最も興奮させられるか―――という勝負内容はいかがでしょうか?

わたくしたちの水着に士道さんがどのような反応を見せるか………最も士道さんを興奮させることができた人は士道さんとのデート権を得るというのが、報酬ですわ」

 

くるみんが述べた勝負内容を聞いた十香と折紙は、一瞬の迷いもなく快諾する。

 

「―――良いだろう、受けて立つ!シドーとデェトをするのは私だ!」

 

「………こんな勝負、始まる前から結果が出ている。―――士道とのデート権は貴方達に渡すはずがない」

 

「―――決まりですわ………士道さん、わたくし達の水着を楽しみにしてくださいね?」

 

士道を求める乙女たちは各々が水着を選びに行った………全ては士道とデートをするために!

そして―――士道の心を誰よりも惹きつけるため………

 

「グヘ、グヘヘ、グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!もう間も無く天使様の降臨のお時間だ!!さあ、余すことなく脳内とこの超特殊カメラ内に納めてやる!!

―――これで一ヶ月はオカズに困るこたぁ無さそうだぜ!!」

 

………完全に士道が得しかしない勝負内容だった。

士道くんはカバンの中から機材を取り出し、完全に撮影する準備に取り組み始める!!

乙女たちは店内を駆ける―――士道くんの餌食になることも知らずに………

 

『………ソロモン、俺たち何もしなくてもいいのか?

―――警察が来ないように手を回してもらったが、通報した方が良さそうな気が………』

 

ドライグが遠い空を眺めるような声でソロモンに訊ねる。―――まだおっぱいネタに士道くんが走っていないにも関わらず、ドライグの精神は疲れきっていた。

 

「まあまあ、そんなことを言わずに日頃頑張ってる士道くんへのご褒美と思ってあげれば良いんじゃない?たまには思いっきりガス抜きをすることも大切さ」

 

『―――何処を探しても俺の味方はいないのか!!』

 

 

 

 

 

 

―――◆◆―――

 

 

 

 

 

―――その頃のドライグ

 

 

ドライグは士道が『水着だ!水着だ!!』とはしゃいでいる最中、前赤龍帝のイッセーの元を訪れていた。

エルシャやベルザードがいた神器の最深部へと向かうと、椅子に頬ずりをしているイッセーの姿をドライグは発見した。

 

「―――スーっハーっ、スーっハーっ………むふふふふふふふふふふっっ!!大人の女性の匂いっていい匂いだあああああああああ!!」

 

『………………イッセー、何をやっているんだ?』

 

ドライグがゴミでも見るような蔑んだ視線をイッセーに向ける。イッセーは椅子に頬ずりをしながら、鼻の穴を広げて何か匂いを嗅いでいる―――言うまでもなくただの変態だ!!

 

「ん?ドライグか―――いや、この椅子ってエルシャさんが座ってた椅子だろ?………だからエルシャさんの残り香がするんじゃないかと思ってよ。そしたら―――本当にエルシャさんの残り香がするんだよ!!

―――しかも、この匂いは最近ついたものだと俺は推測する。………つまり、エルシャさんは神器の中に居るはずだ!!」

 

『―――堂々と胸を張って言うことか!?もうエルシャがその椅子に座ることが出来なくなったではないか!!』

 

ドライグが怒鳴り声を上げるが、イッセーは御構い無しでエルシャが座っていたであろう椅子に付いているエルシャの残り香を楽しんでいる!!

しかし………イッセーの頭の中には一人の女性の姿が浮かび上がり、エルシャの椅子から顔を離した。

 

「くっ、ダメだ!!こんなところを()()()に見られたら―――」

 

リアスのことが頭によぎったイッセーは頭の中でこの場面を見られた時のことを考え―――失礼、妄想していた。

………イッセーの頭の中の様子はこんな感じだ。

 

————“もう、イッセーったらしょうがないわね―――そんなに女性の匂いを嗅ぎたいなら、私の匂いで我慢なさい!私がイッセーを満たしてあげるわ!さあ、いらっしゃいイッセー………”————

 

「―――よし、問題ない!何も問題はない!!リアスが頭の中で俺を甘やかしてくれる様子が浮かびました!

―――と言うわけでエルシャさん、失礼します!スーっハーっ、スーハーっ………スンスン、スンスン」

 

エルシャの残り香を楽しんでいる様子をリアスに見られる→憐れんだリアスが匂いを嗅がせてくれる。

 

という完全な御都合主義な妄想がイッセーの頭の中で完成してしまったため、イッセーは御構い無しで行為を続行する!!

イッセーの今の顔は醜悪の二文字以外に他ならない!!

 

『待て待て待て待て!!問題しか無いぞおおおおおおおおおおおおおお!!』

 

ドライグの制止の叫び声も虚しく、ただの大音量として虚空へと消え去った。

―――変態の相手は大変だろうが、頑張れドライグ!!

 

 

―――その頃のドライグ 終

 

 

 

 

イッセーとドライグのやり取りが激化する頃、士道とのデート権を競う乙女たちの戦いの火蓋は切って落とされようとしていた。

まず先陣を切ったのは、嫁(希望)の十香ちゃんだ。

 

「シドー、待たせたな………」

 

試着室のカーテンが開かれ、水着姿の十香が現れる。

シドーは堪らず鼻息を荒げて十香に物凄いスピードで迫る!!

 

「―――GREAT!!!!よし、十香お会計に行こう!その水着で決まりだ!」

 

「………ま、マジマジと見るな!私も恥ずかしいのだ………」

 

―――十香の選んだ水着は、自分の髪と近い色のビキニなのだが士道の理性を外しにかかっているものだった。

布面積が狭く、士道の好物のおっぱいは大事な部分と下乳しか隠れていない!!

そして、それは下も同じだった―――もうほとんど紐だけといっても過言では無かった………そう、健康的なプロポーションを誇る十香だからこそ、このビキニを着こなせている!

そして、今の自分の姿を恥じらう所がさらに士道の興奮を加速させる!!

 

「………これはもう勝負あったかもしれないね」

 

ソロモンが鼻の両穴にティッシュを突っ込みながら腕を組んで十香の姿を眺めていた。

ドライグがソロモンにもツッコミを入れる。

 

『―――守護者である貴様まで何をやってんだか………』

 

「いいじゃ無いか、減るもんじゃあるまいし」

 

ソロモンも守護者だが、中身は立派な男だった。

そして―――次に登場したのは折紙だ。

折紙は水着ではなく、私服姿で試着室から出てきたのだ。

 

(―――折紙ちゃんは勝負を破棄したのか?)

 

『おいイッセー!ひょっこりとこちら側に参加するな!!』

 

先程までエルシャの残り香を楽しんでいたイッセーまでもが実況を始める。

それを見たドライグは堪らずツッコミを入れる。

………何かと多くの存在がこの勝負を固唾を飲んで見守っている。

―――それはさておき、折紙は私服姿のまま士道に近づく。

 

そして―――………

 

 

 

「………めくって」

 

折紙が開口一番に述べた事は、その四文字だった。そして、折紙のスカートの下には確かに水着が存在したのだ!

士道がスカートをめくると―――折紙の水着は露出こそ少ないが白いワンピースの水着を着ていたのだ!!

………これには士道とイッセーの二人の興奮度はうなぎのぼりで上昇していく!!

 

「こ、これは―――ッ!!」

 

(ああ!!十香ちゃんに体躯でハンデがあることを考えて辿り着いた結果だろう―――体躯で届かないのであれば水着の破壊力をプラスする………………恐るべし鳶一折紙!!見せるのではなく、あえて隠すことで興奮を誘う―――まさに策士だ!!)

 

士道の反応を見て、折紙はうっすらと勝利を確信して笑みを浮かべる!

だが―――今日の十香ちゃんはこれでは引き下がらない!!

 

「ふふふ、残念だったな鳶一折紙!士道をドキドキさせるには、まだ手はある―――これならどうだ!?」

 

フニュッ………

 

十香は士道に近づき、自分の胸を士道の腕を押し付ける!!―――こんなことをすればおっぱいドラゴンがどうなるかは言うまでも無い!!

士道くんは自分の腕が十香ちゃんのおっぱいに埋もれている様子を鼻の下を伸ばして眺めている!!

 

「お、おっぱいィィィィィィィィ!!!」

 

(クソオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!変われ、俺と今すぐ変われ士道!!)

 

『………や、止めろ夜刀神十香!!それだけはやめてくれぇぇぇぇぇえええ!!俺は断じて乳龍帝などでは無いのだああああああ!!!!』

 

トラウマが蘇り、ドライグは悲鳴をあげる!十香はさらに士道の腕に胸を当てる!!もう士道くんは鼻血を垂れ流している!!

そして、イッセーは血の涙を流して士道くんの状況を羨んでいる!!

―――そう、これが折紙の水着の弱点だ。士道くんの好物が『おっぱい』だということを完全に把握しての攻撃だ。

ちなみにもちろんだがルール違反ではない。折紙と同じことを十香ちゃんはしただけだ。

自分の武器(おっぱい)を使って水着の威力を倍増させたのだ!!

 

「………ッ!!」

 

詰めを誤った折紙は先程うっすらと浮かべた笑みは完全に消え去り、ギリリッと鋭い視線で奥歯を噛み締めていた。

 

「………こりゃあもう完全に十香ちゃんかな〜」

 

―――もう一人の審判役のソロモンも十香の勝利を確信していた。

その時、十香の隣の試着室から涙に濡れた声が聞こえてくる。

 

「………し、士道さん………」

 

―――声の主は四糸乃だった。士道は鼻血を吹き、慌てて四糸乃の試着室の前まで行く!!

 

「ど、どうしたんだ四糸乃!?」

 

四糸乃の身に危険が迫っているのかと思い、士道は気が立っていた。士道は四糸乃の試着したのカーテンを握り、腕をスライドさせる!

 

「開けるぞ四糸乃―――ってうお!?」

 

(おおっ!!これはレアだ!!)

 

そこには、半裸の状態でビキニタイプの水着に片腕を通した状態で涙目になっている四糸乃の姿が………士道は原因をすぐに悟り、四糸乃をまずは立たせる。

 

「―――なるほど、片手だと上手く着れないよな………よし、俺が着させてやるよ」

 

「うぅぅぅぅ………ありがとう、ございます………」

 

―――変態な士道くんでも、四糸乃のヒーローであると決めたのだ。士道は込み上げてくる欲望を押し殺し、四糸乃に着替えのお手伝いをしてあげた………ちなみに、彼の手は、欲望に負けそうになり、震えまくっていたことはここだけの秘密にしてもらいたい。

 

「………うん、可愛いぞ四糸乃。お兄さんご機嫌だ!」

 

ニカッと笑みを浮かべて水着を着た四糸乃を『よく出来ました』と頭を優しく撫でてあげる。その時、よしのんも士道に感謝を示す。

 

『いんやぁ、ありがとう士道くん。うちの四糸乃が迷惑をかけてごめんね』

 

「………しゃあねえよ。あんまり四糸乃を困らせることは言わないの」

 

問題が解決したことに、士道くんはホッと胸を撫で下ろした。そして―――最後の一人のくるみんがようやく準備が整ったらしく、試着室のカーテンの向こうからくるみんの声が聞こえてくる。

 

『士道さぁん、お待たせいたしましたわ』

 

くるみんの声に、士道くんが待ってました!と言わんばかりに反応する。

 

「おっ、そうか!くるみんはどんな水着を選んだんだ?」

 

『ふふふ、士道さん―――カーテンを開けてくださいませんこと?』

 

くるみんは士道にカーテンを開けさせることを望んだのだ。―――これまでのメンバーとは明らかに異なるやり方だ。

四糸乃もくるみんと同じやり方だが、四糸乃の場合はアクシデントによるものだ。

この時点で士道のくるみんへの期待感に心臓がバクバクなっており、士道くんは生唾を飲み込んだ。

 

「―――ああ、いくぜ………」

 

士道くんがカーテンを開けると――――――そこにいたのは、女神と呼ぶのが相応しいくるみんの姿だった!!

 

「―――EXCELLENT!!やっぱりくるみんはマジ•ゴッデスだああああああああああ!!!!!」

 

(す、すげぇぇぇぇぇぇえええ!!やっぱりくるみんだけは別格だ!!これはもうくるみんの勝利だ!!)

 

「あうぅぅぅ………」

 

くるみんが選んだ水着は折紙に近いワンピース水着だ。

―――しかし、生地が非常に薄いもので、所々透けているのだ!!そして、くるみんの透き通った白い肌と全くと言っていいほど色が酷似しているため、考えようによっては『くるみん水着を着ていないんじゃ………』と錯覚してしまうだろう………

 

「―――ぐ………GOODっ!!」

 

ドサッ………

 

士道くんは鼻血を垂れ流して、大の字で倒れ込んでしまった。

審判役の士道くんが倒れたので、もう一人の審判役のソロモンが代わりに士道くんの役を務める。

 

「―――勝負ありぃぃぃぃ!!勝者、くるみん!!」

 

ソロモンがどこぞのバトルロードの主催者であるおっさんの真似をするように決めた。

十香も折紙も、そして四糸乃も―――誰一人として文句を言う者はいなかった。

………くるみんの発想はそれだけ群を抜いていた。

 

 




大方の予想通り、くるみんです。

そして、次回はプール回です!

十香、四糸乃、くるみんの三人です。

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