デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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やっとここまで漕ぎ着けました―――琴里とのデート回です!

士道くんの暴走列車はここでも止まりません!!



七話 激闘!?オーシャンパークです!

「………………っ」

 

フラクシナスの精霊用の隔離施設内に、小柄な長い赤い髪を持つ美少女が、落ち着きのない様子で過ごしていた。

 

「………今日は士道とデート………っ!!ううん、大丈夫!落ち着くのよ私………これはそう、訓練!訓練なんだから――――――」

 

………この美少女は、士道の妹の琴里ちゃんだ。

琴里ちゃんは、自分の気持ちを落ち着かせようと深呼吸をしたり、手に『人』を書いているが………琴里ちゃんの頬はどうしても緩んでしまっている!!

―――士道とのデートが楽しみで仕方ないみたいだ。

 

「―――うへへへへへへへへへ!」

 

「………………………」

 

約束の時間が迫っていることを令音が知らせようと隔離施設内に入ったが―――この上なく幸せそうにしている琴里を見て、何も言うことはしなかった。

 

「―――はっ!?ち、違うのよ令音!これは、その………」

 

ようやく令音の視線に気が付いた琴里は、恥ずかしいところを見られたことに、慌てふためいていた。

―――うーん、かわいい琴里ちゃんだ。

 

「………ん?私は何も言っていないが―――そうか、そう言うことにしておこう」

 

令音は琴里の心情を察し、一言だけ残して部屋から出て行こうと扉に手を当てる。

………恥ずかしいシーンを見られた琴里は顔を真っ赤にして大声で叫ぶ。

 

「―――ちょっ!何よ、その全てを見透かしたような顔はッ!?」

 

「………大丈夫だよ琴里、二人だけの秘密さ―――“デートが楽しみすぎてキミがにやけていた”なんてことを、私はシンに伝えたりなんてしないさ」

 

………完全に令音は琴里の心を見透かしている!!琴里は胸にグサリと矢が刺さったように感じ、ガクガクと震えている!!

しかし、琴里も『フラクシナス』の司令官だ、もちろん手を打つ!

 

「―――士道に頼み込んで今日のお夕飯は激辛ハバネロカレーにしてもらおうかしら………」

 

「………………ッ!!」

 

イソイソと施設外に出ようと扉に手を触れようとしていた令音の手が止まる。………令音は今日の夕食は士道の家で済ませる予定なのだ―――そのため夕食が激辛ハバネロカレーになるということになれば、辛いものが苦手な令音にとっては死活問題なのだ!!

 

「………私は何も知らない、何も見ていない―――そうさ、私が見たのは幻影だったみたいだ………」

 

令音は背中に嫌な汗を大量にかきながら、ブツブツと独り言を呟いていた。その様子を見た琴里は「結構、結構」と先程と同様に上機嫌に戻った。

………もう少し自分に素直になってもいいのでは?と思う村雨令音解析官であった。

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

時刻はAM10:20となった。琴里とのデートの待ち合わせの時間が刻一刻と迫っている―――士道はベンチに座りながらドライグと話し込んでいた。

 

「―――最近の俺たちの身の回りでは驚くことの連続だよな………琴里が精霊になったり、人間を精霊の力を与える謎の存在に、変な球体が天宮市の上空に展開されたりと………そのおかげで妙な視線を最近感じるんだよな〜しかも!嬉しいことに俺に視線を送っているのは金髪ロングの美少女!!今度ナンパしてやるぜ!!」

 

………デートの前になんてことを言ってんだこの男―――というのはツッコム必要はないだろう、いつものことだ。

士道の周りでは怪奇現象が次々と起こっていた。

―――一つは精霊化した妹の琴里だ。五年前に突如精霊の力を得た琴里だが、それはとある存在が関与しているものだった。

実際に、琴里が精霊の力を得た時に琴里のそばにはノイズに塗れた()()が確かにそこにいた。

士道は今日の朝、神無月に頼み込んで琴里が精霊化した時の天宮市の火災の映像を見させてもらい、そこで()()()()()()()。“なぜノイズを誰だと思ったのか?”と疑問に思っていたらしいが、ドライグには()()()()()()()()()()らしいのだ。

―――ちなみに、人間に精霊の力を与える存在の識別名は『ファントム』というものを付けた………その識別名の通りノイズ塗れのため不可視だから士道がそう名付けることにしたのだ。

 

そして二つ目の球体も謎のままだ。くるみんを攻略した時から士道はその球体を視認していたのだが、いかんせんことに情報が少なすぎる。

そして、その球体が現れた頃から士道のことを見定めるかのように視線を向ける謎の金髪美少女の姿が………士道はその子も毒牙にかけようと作戦を練っているところなのだ。

―――その美少女が犠牲にならないことを祈っておこう………

 

『………今はノイズの「ファントム」や相棒に見える謎の球体よりも五河琴里とのデートに集中すべきだ。

その二つの調査はソロモンたちに任せるのも悪くはないだろう―――基本的にあいつらは暇人だ』

 

「そうは言うけどよ、この前もソロモンさんたちだって均衡を見出す存在の討滅とかもあるし、俺たちだけでどうにかするべきだろう………」

 

士道たちはソロモンたち次元の守護者によくお世話になっている。できることは自分で解決したいと士道の心が如実に表れていた。

 

そして、待ち合わせの時間であるAM10:30になった時、可愛らしいフリルに飾られた半袖ブラウスに、裾の短いオーバーオール。長い赤い髪を二つに括っているのは長年使用してきた黒いリボンが目立つ少女が水着が入ったカバンを手に持って駆けてきた。

 

「―――琴里、可愛いじゃないか!お兄ちゃんご機嫌だぜ!」

 

座っているベンチから立ち上がって士道は手を振る。士道が何気なく言った言葉に琴里は顔を朱に染めた。

十香や折紙のように―――いや、彼女たち以上に士道への恋心を抱く琴里にとって先ほど士道が掛けた言葉は堪らなく嬉しく思ったのだろう………

 

「さ、さささささささあ―――わ、私たちのデートを始めまひょうかひら!」

 

ロボットのようにカクカクとぎこちない動きで歩き出した琴里ちゃん………声が裏返っており明らかに様子がおかしい。

士道は琴里の腕を握って琴里の足を止める。

 

「―――ひゃっ!?」

 

いきなり腕を握られたことで奇妙な叫び声をあげる琴里ちゃん。士道は琴里を見て声を荒げる!!

 

「おい琴里、顔が真っ赤じゃねえか!!………熱でもあるんじゃないのか!?」

 

「な、無いわよ!!これは………ってちょっと何して―――」

 

「―――良いからじっとしてろ!!」

 

「ひゃ、ひゃい!!」

 

ジタバタする琴里を士道が両肩を握って強く言葉を発し、強く言われた琴里はピタリと静止する。

士道は膝を少し曲げて琴里と同じ頭の高さ高さになるように調整する―――そして………………

 

「――――――ッ!!」

 

琴里の顔がどんどんと真っ赤に染まっていき、顔から湯気が出ている!!

琴里の両目は点になっており、その点となった両目もぐるぐると回っている!!

士道くんは琴里ちゃんのおでこに自分のおでこをひっつけて体温を確認しているのだ………こんなことをされれば、琴里が顔を真っ赤にするのは必然だ。

 

「うわっちちちちち!!!琴里、お前絶対重度の病にかかったんぞ!?その証拠に琴里の体温が五十度超えてやがる!!見てみろ、俺のおでこ火傷しちゃってるよ」

 

おでこを両手で抑える士道くん。しかし―――そんな士道くんを琴里ちゃんは蹴り飛ばす!!

 

「―――誰のせいでこうなったと思ってんのよぉぉぉぉぉおおおお!!」

 

「ぐえっ!?」

 

琴里ちゃんの蹴り上げは見事に士道くんの顎に決まり、士道くんは宙に浮いた後ぐったりと倒れた。

………蹴り上げの時にスカートの中から可愛い妹のパンツを見れた士道くんは蹴られてもご機嫌のようだ。

 

「………ぐへ、グヘヘへ!黒パンツだったぜ、グヘヘへ!」

 

『―――五河琴里、もう何発か食らわせておいた方が良いぞ?このバカはこの程度で手を引くような変態では無い………顔面を踏み潰すのはどうだ?』

 

ドライグが士道の左手の甲から琴里に言った。しかし、琴里は首を横に振った。

 

「………これ以上こいつが喜ぶような真似をすれば、後々取り返しのつかない事になるかと………」

 

『………それもそうだな』

 

―――お二人とも士道くんのことをよくわかっているみたいだ。………変態とはまともに関わろうとしないのが最善の手だということは言うまでもない。

 

「ぐへ、グヘヘ、グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!プールだ、水着だあああああああああああ!!」

 

オーシャンパークでの妹の水着姿を妄想して士道くんただただ目的地であるオーシャンパークを目指した。

………琴里は顔を真っ赤にしながら、士道の後を歩いていた。

 

 

 

 

 

―――………………

 

 

 

 

 

 

「GORGEOUS!!!いやあ、さすがは県内最高の人気を誇る施設として呼び声の高いオーシャンパーク!!プールエリアはまさに楽園という二文字以外で表現できないぜ―――うっひょおっ!水着の美人だらけじゃねえか!!」

 

水着に着替えてオーシャンパークのプールを背伸びをして見渡す士道くん。

………彼の視界内には水着姿の美女たちがバッチリと映っており、それらは全て彼の脳内メモリーに保存されていった。

その時、ドライグが士道に忠告として左手から話しかける。

 

『………おい、やるべきことを間違えるなよ?相棒の目が他の奴らに行くことで五河琴里が不機嫌になれば、このプールくらいは簡単にあの世行きになってしまうぞ?』

 

「ああ、分かってるよ………でもな、そうなった時に悪くなるのは俺だけじゃねえ!俺の目を引きつけるような姿をしている水着のお姉さんにだって罪はある!!」

 

『―――随分とうまいすり替えだな………』

 

………この不死身のコンビは今日も冴え渡っているようだ。そして、しばらくすると士道のデート相手の琴里が姿を現わす。

 

「―――琴里、なんてエクセレントな水着を着てるんだ!!お兄ちゃんは琴里をそんなエッチな妹に育てた覚えはありません!!可愛いを通り越してまさにエンジェルちゃんじゃねえかっ!!」

 

鼻の下を伸ばして水着姿の琴里にいやらしい視線を向ける士道くん。琴里の水着は白のセパレートタイプの水着で、発育途上のロリおっぱいがそれをさらに際立たせている!!

こんな妹の姿を見て興奮しない奴は兄じゃねえ!!

………士道の渾身のアピールに反応し、琴里は声を荒げる!

 

「あ、あんたみたいな変態と一緒にするんじゃないわよ!!フン、どうせ褒めるようにインカムから指示でも出たんでしょ?」

 

「いや、本心なんだが………ていうか、今日はインカム持ってきてねえよ。―――妹とのデートにインカム通じて指示をもらうなんて真似は必要ねえからな………。

さて、せっかくこんな豪華なプールに来たんだ、ド派手に楽しんでやろうぜ!」

 

「っ………」

 

士道は琴里の手を引っ張って歩き始めた。士道が本心だと述べたことに琴里は少しの間無言になり、自分の手を引っ張ってくれる兄の姿を眺めていた。

………その兄の背中は自分を救ってくれたあの時から変わらず、とても逞しく大きいものだった。

 

「―――おい琴里、ここの名物のウォータースライダーなんてどうだ?俺はこれに一度乗ってみたかったんだよなぁ〜!」

 

士道が無邪気な子供のような笑顔でウォータースライダーを指差す。琴里は溜息を吐きながら士道に言う。

 

「士道、あなたねぇ子供じゃあるまいし………」

 

「うるへー!高校生はまだ子供だ!………ほら琴里、一緒に滑ろうぜ!」

 

ウォータースライダーは珍しく空いており、階段を登ればすぐに滑れるみたいだ。ぐいぐいと手を引っ張る士道に琴里は観念して頷いた。

 

「分かったわ………付き合ってあげるわ」

 

「そうか!良かったぜ!グへへへへへへ!」

 

琴里が了承するなり、下品な笑みを浮かべる士道くん。彼は妹相手でも下品な妄想をするのだ!!

琴里はそんな士道の様子を見て、背筋に悪寒が走ったが、気のせいだろう………とウォータースライダーの階段を登った。

 

しかし――――――琴里が感じた悪寒は気のせいでは無かった!!

 

「一人ずつでよろしいでしょうか?」

 

ウォータースライダーの係の人が滑りに来た士道と琴里に話しかける―――その時、士道くんが仕掛ける!

 

「―――きゃっ!?ちょっと士道、何すんのよ!?」

 

士道はいきなり琴里をお姫様抱っこをするように抱きかかえたのだ!!琴里は士道の突然の行為に頭が真っ白になり素っ頓狂な声を上げた。………自分が想いを寄せる人にこんなことをなんの前触れもなくされればこうなるのも必定だろう。

士道ほ係の人にキザに告げる。

 

「………いえ、同時でお願いします―――俺たち()()()()なんで」

 

「なっ――――――!!!!!!!」

 

士道が周りを一切気にかけることなくまっすぐと述べた言葉に、士道の腕の中の琴里は、顔をゆでたこのように真っ赤にして口をパクパクとさせていた。

士道は腕の中の琴里に言う。

 

「―――琴里、これは俺とお前とのデートなんだ………良いだろ?」

 

「………………」

 

琴里はコクンっと首を縦に振り、士道を受け入れた。

―――もうこうなれば士道くんは止まらない!!

士道くんは琴里を膝の上に乗せて―――その身に豪風を纏いながらゴールを目指した!

 

「うおおおおおおおおおおおお!!琴里ィィィィィィィィッッ!!」

 

「きゃあああああああああああ――――――ってちょっと!?どこ触ってんのよこのおっぱいドラゴン!!」

 

士道はウォータースライダーの物凄いスピードを怖がるふりをして、膝の上に座っている琴里のおっぱいにタッチ―――いや揉んでいるのだ!!

―――そう、これが士道くんの真の目的!!うっかりを装って琴里のおっぱいに触れること!!

そのためだけに彼はウォータースライダーを滑ることを決定したのだ。

 

「ふむふむ………ッ!?琴里、おっぱいが成長してるぞ!?0.5cmほど大きくなってる!!発育する妹なおっぱいに触ることができてお兄ちゃんご機嫌だああああああ!!」

 

「―――いい加減やめ―――アッ!!」

 

『うおおおおおおおおおおおお!!うわあああああああああ!!うおおおおおおおおおおおおんんっっ!!』

 

ウォータースライダーを急降下しながら妹のおっぱいの成長度合いに涙する士道くん―――完全にウォータースライダーではなく愛しの妹のおっぱいを楽しんでいる!!

さすがはおっぱいドラゴン!!―――ブレることを知らない!!

 

バッシャアアアアアアンンっっ!!

 

最後は下にある大きなプールに巨大な打ち上げ花火を打ち上げて堂々のゴールを決めた。

………しかし、琴里ちゃんはご立腹のようだ。

 

「―――士道、私に何か言うことがあるんじゃないかしら?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………

 

『イフリート』の姿を彷彿とさせるように、今の琴里からは怒りの炎が迸り、頭には角が生えているように士道は感じたようだ。

………言い逃れは出来ないと思った士道は、手を合わせて頭を下げる―――次に言う言葉が彼の遺言となるだろう。

 

「素晴らしいおっぱいをありがとうございました!!」

 

「―――砕けっ!!『灼爛殲鬼(カマエル)』ッ!!」

 

「へぶしっ!?」

 

炎を纏った琴里の拳が士道の顎を捉え、天井に届くぐらいのところまで士道くんは浮いた後――――――再びプール内に水しぶきを上げて墜落した。

 

「―――痛え!?すんげえ痛え!!琴里、お前さっき精霊の力で俺をぶん殴っただろ!?―――見てみろ、顎が火傷してるわ!!」

 

「うるさい!!レディーの胸に触って肉体が五体満足でいられるのだから、幸運なことだと思いなさい!」

 

『ううっ………グスンっ………俺は辛いよ』

 

ハイレベルなジャレ合いをする士道と琴里にドライグはただ泣き言を言うしか出来なかった………頑張れドライグ!

 

ピーンポーンパーンポーン

 

オーシャンパーク内にチャイムが鳴る。オーシャンパーク内に遊びに来ている人たちは一斉に放送を待つ。

 

『本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。―――まもなく、オーシャンパーク名物の水中カップル騎馬戦を開始致します!皆さんのご参加を楽しみにお待ちしています。

繰り返します――――――』

 

このオーシャンパークでは、あの超巨大ウォータースライダーともう一つ誰もが知っている『水中カップル騎馬戦』で有名になっている。

水中カップル騎馬戦とは、その名の通り、プール内でカップルが騎馬を組んで行う騎馬戦だ。

月に一回ほど開催されるこの名物だが、それがたまたま今日だったのだ。

 

「―――グヘ、グヘヘ、グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!仁義なき戦争の時間だぜェェェェェェェ!!」

 

鼻の下を伸ばして下品な笑みを浮かべる士道くん。………それを見た琴里はゴミでも見るようにドン引いていた。

 

『相棒、盛り上がっているところ悪いが―――お前は五河琴里を支える騎馬役に決まっているだろう………五河琴里では相棒の体重を支えることは出来んからな』

 

「―――え、嘘!?俺が上じゃないの!?俺が上で向かってくるお姉さんのおっぱい触りまくり―――なんていう素晴らしいシチュエーションの為の戦争じゃねえのか!?」

 

『そんな夢物語はどこの世界にもあるわけがなかろう!!』

 

ドライグが呆れながらの叫び声だった。

―――本当にこの男はブレることを知らない………そんな士道に琴里は鉄拳を腹にお見舞いする!!

 

「結局はそれが本心か!!」

 

ドガッ!!

 

「―――暴力反対!!」

 

この五河兄妹のジャレ合いもまだまだ続くようだ。そして―――舞台は水中カップル騎馬戦へと映ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

―――………………

 

 

 

 

 

 

「つ、強過ぎんだろ!?」

 

「な、なんなんだよあの二人組!!―――コマンドー部隊か何かか!?」

 

「ちょっ、おい!?こっち来ん―――ぎゃああああああああああ!!」

 

―――水中カップル騎馬戦を無双している騎馬が一つあった。それはまだ両方とも十八歳にも満たない子供の騎馬だ。

………あ、また一つ無双をしている騎馬の犠牲になった騎馬が出てしまった。

―――残っている騎馬はあと四騎!!

 

「―――おいテメェら、鉢巻だけ置いていけええええ!!」

 

「来ないでぇぇぇぇぇぇええ!!」

 

「―――あっちに私たちよりも弱いペアが!!」

 

言うまでもなく士道と琴里のペアだ。水中カップル騎馬戦はチームを組んで戦う騎馬戦ではなく、仁義なきバトルロワイヤルだ。弱者から死んでいく―――それがバトルロワイヤルの掟のようなものだ。

士道&琴里の騎馬は最初、八ペアからの集中攻撃を受けた―――しかし、人間を超越する士道と『フラクシナス』の司令官を務める琴里の超人コンビには、束になっても叶うはずもなく枯れ葉のごとく彼らは敗れ去った。

士道&琴里の騎馬は既に鉢巻を十六も集めており、堂々の一位だ。

しかし―――士道くんは全滅させる勢いで残っている騎馬に向かっていく!!

 

「―――鉢巻を寄越せェェェェェェェ!!」

 

「くそッ、なんでこっちに来るんだよ!?俺たちよりも弱い奴を狙ってくれよ!!」

 

―――水の中を超人的な速さで駆け抜ける士道くんの足に叶うわけもなく、難なく士道くんは追いついて琴里が上の女性から鉢巻を奪う。

………赤龍帝と精霊の力を宿した秘密結社の司令官が弱者を蹂躙するだけの簡単な作業と化している水中カップル騎馬戦だ。

 

「―――これ、弱いものいじめに該当しないかしら………」

 

残っている騎馬が浮き足立ち、怯えている様子に見かねた琴里が申し訳なさそうに呟いた。

士道は首をあげて琴里に力説する。

 

「違うぜ琴里。これは仁義なきバトルロワイヤル、弱肉強食の世界なんだ!琴里との一泊二日の旅行券を手にする為にお兄ちゃんは悪魔だろうが龍にだってなっちゃうぞ―――って背後から攻撃を仕掛けてんじゃねえ!!」

 

「―――おぉぉぅ………」

 

「きゃあ!?」

 

ドボーン!!

 

背後から忍び寄ってきた騎馬に士道くんが騎馬を務める男の急所に踵で蹴り上げる!!それに合わせて騎馬が崩れ上の女性は顔面からプールにダイブした。―――鉢巻は琴里が申し訳なさそうに回収する。

 

「残りは三騎………完全勝利まであと三つだぜ!!」

 

士道が残りの騎馬を見つめると―――彼らはプールの際に避難した!!

しかし、士道くんの魔の手は留まるところを知らない!!

 

「グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!その鉢巻貰ったああああああ!!」

 

士道くんと琴里の歩みを止められる騎馬は存在しなかった。

 

 

そして――――――………

 

 

「―――優勝商品の『贅沢、京都ぶらり旅一泊二日ペアチケット』は参加者全ての鉢巻を奪い取った五河様チームに決定しました!!」

 

………士道たちにやられた騎馬は全てがズタボロになっていた。男女両方とも精根尽き果てて見るも無残な姿に変わっていた。

 

「琴里、俺たちやったぞ!二人で旅行に行こうな?」

 

「………わ、分かったわよ―――せっかく貰ったんだし行かなきゃ損、よね………」

 

こんなことを言ってはいるが、琴里ちゃんは士道と二人っきりで旅行が出来る喜びのあまり、頰が緩んでいた。

 

「………うへへへへへへへ!お兄ちゃんと二人っきりで旅行―――」

 

 

 

 

 

―――◆◆―――

 

 

 

 

 

ASTのCR-ユニットを格納する倉庫に、一人の少女がDEMインダストリー社から真那の為に送られてきた究極の装備を眺めていた。

その装備はCR-ユニットに似ており、外装は白銀のように輝いており、肩と胸部そして膝の二つの部分にダークブルーのような宝玉がはめ込まれた女性用の全身鎧と言うのが一番適切なものだった。

 

「………これが地上最強のドラゴンの力を宿した最強の武装―――『白龍皇の(ディバインディバイディング•)輝銀鱗装(シルバードラゴニックユニット)』」

 

―――折紙だ。彼女はその装備に手を伸ばし、その装備を纏う。

次の瞬間―――装備の宝玉が強く輝き格納庫内を凄まじい光の本流が包み込んだ。

 

そして――――――………………

 

折紙は究極の装備を纏って歩き出した。―――自分の過去にケリをつける為に………そして、仇を討つ為に。

 

「炎の精霊『イフリート』―――いや、五河琴里………ッ!!両親の仇ッ、今日こそ討つッ!!」

 

折紙は装備の翼を広げて、天空へと羽ばたいた。

その姿は―――狩猟を始めるドラゴンそのものを彷彿とさせる姿に他ならなかった。

 

 




恐らく色々と突っ込まれると思うので、折紙のデバイス―――『白龍皇の輝銀鱗装』についてある程度ここで明かしておこうと思います。

まず始めにあれはCR-ユニットではなく、セイクリッド•ギアです。
あれを送ったDEM側にセイクリッド•ギアを作成できる能力を持った存在がいるということだけここで明かしておきます。

………『白龍皇の輝銀鱗装』はその名の通り『白い龍』ことバニシングドラゴンの力を宿したものです。
―――堕天使総督のアザゼルが開発した『堕天龍の閃光槍』の完成版で常にバランス•ブレイカー状態になっているため、並の人間では使い熟す事が出来ない設定になっています。
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