デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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大変お待たせいたしました。

デートもいよいよ後半戦へと突入!!おっぱいドラゴンの暴走はまだまだ続く!!

そして――――――白い復讐者がベールを脱ぐ!!




八話 白銀の怒り!

プールエリアでのデートを満喫した士道と琴里は、私服に着替えてアミューズメントエリアでも大暴れをしていた―――大暴れをしているのは、主に士道くんなのだが………

 

「うわああああああああああああ!!!!!―――って士道、どさくさに紛れて何をしようとしているのかしら………」

 

「―――チッ!バレたかッ!?」

 

………士道と琴里の二人は巨大フォークリフトを堪能していた。座ったままどんどん高度が上がっていき、高くなるにつれて地面をめがけて急降下する時のことを想像すると―――まあ言うまでもなく心臓に悪いだろう。

しかし!!士道くんの本当のお楽しみは、そんなフォークリフトではなく妹の成長途中のロリおっぱいだったのだ!!

 

誤って椅子から落ちないようにするための安全性バーを握らず、士道くんは妹のロリおっぱいへと手を伸ばしたが―――途中で手を掴まれ見事に阻止された。

 

そして――――――それは、次に彼らが向かったアトラクション、ジェットコースターでも彼の暴走は止まらなかった。

 

「こ、琴里ィィィィィィィィ!すんげぇ怖ぇぇぇええええ―――ウッホォッ!!ジェットコースターの風圧で揺れる琴里のおっぱい!絶景だぜ、グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!」

 

「―――少しはアトラクションを楽しみなさいよ!!このおっぱいドラゴン!!私の胸ばっかり見てんじゃないわよ!!」

 

―――ここでも彼はジェットコースターから見える恐怖の絶景を見ていたが………チラッと隣の琴里を見た時に視界内に入ってしまった揺れるロリおっぱいに視線が釘付けになってしまった。風を切り裂いて進むジェットコースターの風圧でも、成長途中のロリおっぱいは輝きを放っている!!

………これが十香やくるみんが士道くんの隣に座っていた場合は途中で彼は、安全バーを外して襲い掛かるのが目に見えている!!

 

さらに――――――おっぱいドラゴンの暴走はさらにエスカレート!!

 

「ううっ―――なんでまたこんなところに………」

 

士道がジェットコースターの後に選んだアトラクションはこれまた絶叫のお化け屋敷だった。

さすがの士道くんもお化け屋敷ではセクハラはしないだろう――――――と思っているそこのあなた、考えが甘い!!

逆にお化け屋敷だからこそ、彼は実行するのだ!!

 

『ぬがあああああああああ!!!!』

 

磯◯波平を思わせる頭のてっぺんに髪の毛が一本で、目の片方が眼球丸出しで飛び出しているお化けが二人の前に突如現れた!!

 

「―――ぎゃああああああああああああ!!!」

 

ボフンッ!

 

突然のお化けの出現に琴里ちゃんは飛び上がって、後方へと逃げようとする―――が、士道くんがそんな琴里ちゃんをキャッチ!!そして、琴里ちゃんのロリおっぱいを顔面で満喫するおっぱいドラゴンがここにあり!!

 

「―――プハッ!?ハハハ!いや、本当に可愛いよ?我が愛しのスイートシスター」

 

突然のお化けの登場にも彼は何一つ動じずに、琴里ちゃんが絶叫するのを待っていたかのように琴里ちゃんを抱っこ。

―――このお化け屋敷での士道くんの楽しみはただ一つ!!

“わざとお化けが出てくるポイントに琴里を誘導し、琴里の驚く様子を観察すること”だ。

士道くんは腕の中でガクガクと震え、「お化け怖い………」と目を潤わせる琴里ちゃんのほっぺを人差し指でムニュ!

 

「―――ッ!離しなさいよ、このおっぱいドラゴン!!」

 

目をギリッ!と突然鋭くした琴里ちゃん………ようやく士道の意図に気付いたようだ。

琴里は士道の腕の中から飛び降りて、士道の胸をポカポカと叩く!!

 

「ハハハハハハ!琴里―――先はまだまだ長いぜ?」

 

「―――途中で壁に穴を開けて強制終了できないかしら………………」

 

琴里は一秒でも早くこのお化け屋敷から解放されたいようだ。だが………………琴里のそんな小さな願いも叶うことは無かった。

 

「―――ぎゃあああああああああああ!!!」

 

「お、おっぱいィィィィィィィィ!!」

 

―――お化け役の気配を察知して怖がったふりをして琴里のおっぱい目掛けて飛び込む士道くん………頑張れ琴里ちゃん!

 

『―――――――――――――――』ゴボゴボゴボゴボゴボッッ………………

 

ドライグは白目になって泡を吹いて気絶していた。今日だけでドライグは魂だけとなった精神的忍耐力は既に零を通り過ぎてマイナスの値を示していた………………

 

「―――いんやあ、お化け屋敷最高だな!琴里、もっかいやろうぜ!!」

 

「もう二度とゴメンよ!!あんた、お化けが出るところを知ってて私の手を引っ張ってたでしょ!?」

 

光がキラキラと輝く笑顔でお化け屋敷の感想を述べる士道くんとは対照的に、琴里は顔を真っ赤にしてプンスカと怒っていた。

―――やはり途中で完全に気付いていたみたいだ。

伏兵の気配を察知し、逆にその伏兵に引っかかりにいくように士道は琴里を誘導していた。

 

「―――よっしゃ、次は観覧車でも乗るか!彼女と遊園地に行くと絶対にしたみたいシチュエーション二人っきり観覧車!大好きな女の子と密室で二人っきりで燃え燃えだぜ!」

 

「――――――ッ!!!!!」

 

お化け屋敷が終了すると、琴里は士道に手を引っ張られるまま観覧車に乗ることが決定した。

琴里は士道が述べた『彼女、大好きな女の子』のこの二つの言葉にこれまで以上に顔を真っ赤にしていたのは、放っておこう。

彼女は、十香やくるみん以上に士道くんのことが大好きなのだから!

 

 

「いい景色だな―――『フラクシナス』から見る景色も悪くないけど、観覧車から見える景色も捨てたもんじゃねえな!」

 

士道は観覧車の窓から見える景色に言葉を漏らしていた。天宮市の上空一万五千メートルに位置する空中艦『フラクシナス』の天宮市全体を真上から見る景色も心を奪われるが、観覧車から見える小さく見える遊園地や、山や住宅などの景色も決して劣るものではないだろう。

子供が砂場ではしゃぐように、ワキワキとしている士道に琴里が一言述べる。

 

「………少しは落ち着いたらどうなのよ?本当に士道はいつまでたっても子供よね」

 

「うるへー!遊園地に来てはしゃがねえ奴は漢じゃねえ!!」

 

士道の様子にため息を吐きながらも、琴里も観覧車から見える景色を楽しんでいた。

琴里が観覧車の窓の景色を眺めていた時、士道が琴里の顔を見つめて呟く。

 

「………琴里、言っておきたいことがあるんだ―――聞いてくれるか?」

 

士道に名前を呼ばれて琴里は士道の顔を見る。

―――士道の顔は先程までのスケベ顔と違い、真剣な表情だった。琴里は士道の雰囲気が変わったことに気付き、声を詰まらせる。

 

「な、何よ………そんなに改まって」

 

士道は話し始める。―――これまで自分が乗り越えてきた修羅場に苦笑いをしながら。

 

「―――今年の四月からの二ヶ月間は驚きの連続だった。

精霊なんて空想上の生物に遭遇するし、それを保護する秘密結社で妹が司令官を務めていたり、俺に精霊を封印する力が備わっているなんて分かってから、精霊の攻略をすることになるなんて思ってもみなかったよ」

 

「………まあ、そりゃ驚くわよね。二ヶ月ほど前までは何も知らない一般人だった士道が、いきなり世界で起こっている怪奇現象の真実に触れればそうなるわよね」

 

琴里も苦笑いをしていた。士道に精霊の霊力を封印することがわかってから、精霊との対話役を成り行きで務めるようになった士道。

………最初は戸惑いももちろんあったし、自分に出来るだろうか?と自問自答したこともあった。

だが――――――それでも、士道は真っ直ぐに琴里を見つめて言う。

 

「―――でも、俺は本当に精霊との対話役をやって来て良かったと思っているし、俺は琴里に感謝している」

 

「………………え?」

 

士道が述べた言葉に琴里はキョトンとした表情を浮かべた。琴里は不満の一つや二つでも言われると思っていたのだが、士道が琴里に言いたかったことは不満ではなく感謝だったからだ。

 

「―――確かに怖い思いもしたし、何度も死にかけた………でも、俺はそれ以上に価値のあるものを手に入れることが出来た―――それは、今の精霊たちを含めたみんなで楽しい生活だ。

それが出来ているのは、琴里や『ラタトスク』のサポートがあってこそだ………今までずっと言えなかったけど、言わせてくれ――――――本当にありがとう琴里、これからもたくさん迷惑をかけるだろうけど、俺たちのサポートをしてくれないか?」

 

「ッ………………」

 

士道が述べた感謝の言葉に琴里は目を大きく開け、表情を歪めた。

………琴里や『ラタトスク』の連中は、士道に大した見返りを与えることもなく、地上最悪の災害の抑圧を押し付けたのだ。

普通なら不平不満が爆発するものだが、彼は感謝をしたのだ。

 

「………もちろんよ士道。精霊を救うあなたのサポートをすることこそが私たちの存在理由よ。これからも大船に乗ったつもりでドシッと構えてなさい」

 

「ああ。頼りにしているからな、五河司令」

 

士道と琴里が手を取り合うと、観覧車は空中での一周を終えてゴールへと辿り着いた。士道と琴里は仲良く手を繋いで観覧車のドアから出てきた。

そして―――辺りが灼熱色に染まり、時刻は夕方になろうとしていた。

 

「………あれまぁ、よく遊んだもんだぜ。そろそろ帰らないと十香の内に眠る怪獣がお目覚めになる時間だな―――帰ろうか琴里、また来ような?」

 

士道が茜色に輝く夕陽を見つめて、十香が口から炎を吐いている姿を思い浮かべる。士道の言葉に琴里も苦笑いをしていた。

 

「ええ。帰りましょうか―――士道、今日はありがとう楽しかったわ………これが最後だと思っていたけど、またお兄ちゃんとデート――――――うへへへへへへ!」

 

琴里は士道の『また来ような』の一言で嬉しさのあまり笑みがこぼれ落ちていた。そんな琴里を見た士道は怪訝に思い訊ねる。

 

「ん?琴里、急に笑ったりしてなんか嬉しいことでもあったのか?」

 

顔を覗き込もうとする士道に、琴里は慌てて距離をとって走り出した。

 

「な、なんでもないわよ!!このアホ兄っ!!」

 

「あっ、おい―――ったく、しょうがない妹だな………」

 

走り出した琴里を士道はやれやれと両手を肩の位置に上げて琴里を追いかけた。

 

その時――――――士道の前を走っていた琴里に事件が起こった。

夕暮れの空に何か眩い光が現れた、次の瞬間―――光の速さを思わせるように何か鋭いものが琴里の周囲に落下した!!

 

 

 

 

 

そして――――――………………

 

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアンンッッ!!

 

 

 

 

 

「――――――ッ!!」

 

目の前を走っていた琴里がいきなり謎の爆炎に包まれた。琴里の姿は爆炎に包まれて確認できていないが、遊園地の一角が綺麗さっぱり吹き飛んでしまうほど先ほどの爆発は凄まじいものだった。

士道は突然の出来事に反応することができず、目の前の光景に息を詰まらせた。

そして―――………ようやく脳が目の前の状況を理解した時、士道は―――

 

「―――琴里!?琴里ィィィィィィィィィィィィ!!!」

 

自分の最愛の妹の名前を呼んだが、その妹の返事が聞こえてくることは無かった。

………突然の大爆発に遊園地を訪れていた人たちは大混乱状態で、誰も彼も冷静でいられるものはおらず、大声で叫びながら散り散りになって駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

 

 

士道が空を見上げた時には………………空中で静止しており、白銀に輝く太陽を思わせる武装を整えた少女が佇んでいた。

士道の禁手『赤龍帝の鎧(ブーステッドギア•スケイルメイル)』のような全身鎧だが、ASTが纏うCR-ユニットのような軽装備なため、士道のように全身が鎧で埋まるような姿ではない。

そして―――その武装には一対の翼があり、それは龍の翼を機械化したようなものだった。

 

「おい………なんでこんなことをするんだよ………なあ―――折紙っ!!」

 

士道は腹の底から湧き上がるドス黒い感情を押さえ込んで、上空にいる存在に訊ねた。

その存在は士道のクラスメイトであり、陸自の対精霊部隊『AST』に所属する鳶一折紙だった。

折紙は上空から士道を見下ろして言う。

 

「………五河琴里を―――『イフリート』を殺した。あの化け物は、私の両親を私の目の前で焼き払った存在―――つまり、両親の仇!」

 

「――――――ッ!!」

 

折紙が言い放った言葉に士道は鈍器で頭を殴られるような衝撃を受けていた。

折紙の両親が精霊に殺されていたことは折紙から一度聞いていた。―――しかし、その犯人が琴里だと折紙は言ったからだ。

士道は折紙の言葉を否定する。

 

「―――ち、違う!!琴里は誰も殺してなんかいない!!琴里は――――――があっ!?」

 

士道が最後まで言おうとしたが、巨大な何かに押しつぶされるように、士道は地面に倒れこんだ。

―――折紙が発生させた『絶対領域(テリトリー)』だ。

士道を押しつぶした『絶対領域(テリトリー)』は、士道を押しつぶしたまま小さなドーム状に展開された。動けなくなった士道のすぐ目の前に折紙は着地し、翼の武装を変更する。

 

「………じっとしてて士道―――すぐ終わるから」

 

折紙は未だ立ち込める煙を目掛けて、翼の武装を左右に合計八つの砲門を持つバズーカ砲のような武装に変形する!!

それに弾かれるように士道は神器を発動する!!

 

「―――禁手化(バランス•ブレイク)ッッ!!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』

 

身体にかかる負荷に吐きそうになりながらも、士道は赤い龍を模した全身鎧を纏い、籠手からアスカロンの刃を出す!

 

「悪いが妹の危機を黙って見過ごせるほど、俺はできた人間じゃないんだよ!!―――ドライグ、限界突破だ!!」

 

『Welsh Dragon Limit Break―――Over Limit Booster set up!!!!!!!!!!!!!!!』

 

士道の鎧の宝玉が凄まじい輝きを放ち、鎧の全宝玉にBの文字が浮かび上がる!!

そして――――――

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!!!!!!!!』

 

ビシビシビシビシビシビシビシビシッッ!!

 

まさに一瞬と呼ぶべき速さで士道の力が倍増していく!!その力の倍加によって発生する余波によって折紙が展開した『絶対領域(テリトリー)』に徐々に亀裂が入っていく!!

力の倍加が十分だと思い、士道が拳を引いて入った亀裂にアスカロンの刃で

絶対領域(テリトリー)』を貫こうとした――――――だが………………

 

『―――Vanishment Additional Effect!!!!!!!!!』

 

折紙の鎧から美しい女性の音声が響き渡ると同時に、士道が倍加した力が粒子となって士道の鎧から抜けていく!!

それと同時に士道の鎧の宝玉のBの文字も消え去り、輝きも消え去った。

 

「なっ!?一体何がどうなってやがる!?倍加した力が一瞬で消えただと!?」

 

『―――あの小娘の武装はまさか!?いや、そんな筈は――――――』

 

士道はいきなり力が霧散したことに冷静さを失い、ドライグは折紙の使用している力に検討がついたのか、何か答えを導き出そうとしていた。

折紙はその力の答えを書いた紙を、士道とドライグの顔面に叩きつけるかのように力を発動させる。

 

『Divide!!!!!!!!!』

 

ギュウウウウウウウウウンンンッッ………

 

折紙の全身鎧の宝玉が蒼白い光を放つと、『絶対領域(テリトリー)』内の空間が振動を始める!

それと同時に士道は体から力がごっそりと抜け落ちる感覚に襲われ、再び地面に膝をつく!

 

「ぐうぅぅぅぅっ!!こ、この力はまさか!?」

 

『間違いなくアルビオンの力を封印した神器(セイクリッド•ギア)―――『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』に他ならない!!一体何故だ、何故この世界にこんなものが存在する!?しかも、あれは俺の知るアルビオンのものではない!!』

 

士道にとっても、ドライグにとっても折紙が発動させている力は忘れることの出来ないものだった。

だが、それ以上に彼らの頭の中を支配していたことがあった。

それは、“なぜ折紙が『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』を宿しているか”ということだった。

これほど強大な力を持っていれば士道が見逃す筈はなく、ましてや二天龍の片割れのドライグなら確実に気付くだろう。

だが、現実は違う。目の前には士道とドライグが所有している力の察知能力を嘲笑うかのように、折紙は白龍皇の力を使っているからだ。

 

『あの小娘が先天的な『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』の所有者ではないことは事実だ………もしそうであるならば、両親を殺された時に確実に発動するであろうし、これまでの精霊との戦いで必ず使用するはずだ―――つまり、あの小娘は何者かからあの力を授かったと考えるのが妥当なところ………だが―――』

 

神器は所有者の強い想いによって顕現する。仮に折紙に『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』を先天的に所有していたなら、顕現するなら両親を精霊に殺された時以外にはあり得ない………故に辿り着く結論はただ一つ、誰が折紙に『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』を与えたかということだ。

神器を作れる存在は限られている。しかも、『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』のような神滅具となると、神器の生みの親である聖書の神『ヤハウェ』くらいのものだろう。

 

「………まったく、派手にやってくれたものよね―――鳶一折紙、あなたが遊園地のような人混みの中で大爆発を起こすような頭のネジがぶっ飛んだ人間だったとはね………」

 

立ち込めていた煙が、謎の力によって掻き消される。煙をかき消して現れたのは、背中に鋭利な刃が数本突き刺さった妹の琴里だった。

琴里は背中から精霊の力を噴出させ、背中に突き刺さった刃を紙を燃やすかのように一瞬で焼失させる!!

 

「―――『神威霊装•五番(エロヒム•ギボール)』ッ!』

 

琴里は宙に浮いていき、炎を自在に操る不死鳥を思わせるように精霊のみが操る絶対の武装『霊装』を纏う。

精霊化した琴里を見た折紙は、琴里を目掛けて飛び立つ!!

 

「殺すッ!!殺す殺す殺すッ!!殺すッ!!死ねッ、『イフリート』ッ!!」

 

ズドドドドドドドドドドドッッ!!

 

折紙は翼と両肩の合計八つの砲門に加え、背中の部分の装甲からミサイルを精霊化した琴里を目掛けてぶっ放した!!

そのミサイルを琴里も天使を顕現させて迎撃する!!

 

「嫌な呼び名を知っているわね………斬り裂けッ!『灼爛殲鬼(カマエル)』ッ!!」

 

ドガアアアアアアアアアッッ!!

 

琴里は煉獄の炎を纏った巨大な戦斧を顕現させ、向かってくるミサイルを一閃!!凄まじい爆音をと煙が辺りを舞う!!

煙によって琴里の視界が遮られたこの時を待って折紙は再び武装を変更する。

 

「―――今ッ!!討滅せよ、ドラゴン•パニッシャーッ!!」

 

折紙は両肩の二つの砲門に魔力を凝縮させて特大の魔力砲を放つ!!

そしてその魔力砲は立ち込める煙を一瞬で貫通してて、琴里に迫る!!

 

「―――――――――!!!!」

 

いきなり特大の魔力砲に琴里は顕現させた灼爛殲鬼を前に出し、ドーム状の霊力で発生させた結界を纏うが………凄まじい勢いで向かってくる折紙の必殺の一撃を防ぎきることは出来ず―――

 

ズドオオオオオオオオオオオオンンッッ!!

 

折紙の魔力砲は琴里の防御を突破し、大爆発を発生させて琴里は地面に叩きつけられた。

琴里が叩きつけられた地面には、巨大なクレーターが作られていた。

 

「くっそおおおおおおおおおおおおお!!!!琴里、俺が助ける!!」

 

『DivideDivideDivide!!!!!!!!!』

 

士道が折紙が発生させた『絶対領域(テリトリー)』の中でもがくが、それを見た折紙は神器の能力で士道の力を減少させ再び地面にへばりつかせる。

 

「………士道、もう少しで終わる。だからそのままでいて―――あなたまで殺したくはない」

 

「くそッ!!俺は―――」

 

士道が諦めずに拳を握りしめて倍加を開始しようとした時だった。

 

ズビィィィィィィィィッ!!

 

大出力の凄まじい熱量の砲撃が自分の目の前を通り過ぎた。その巨大な熱線は折紙に向かって一直線で向かっている!!

折紙は腕をクロスし、翼を輝かせる!!

 

『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!!!!!!』

 

折紙の翼は空気を歪ませ、飛んできた巨大な熱戦をどんどんと小さくしていき、やがてライターの炎のように小さくなっていき、折紙に命中する前に霧散した。

士道が熱戦が飛んできた方向に視線を向けると、霊装の大部分を破壊されたが、体自体には大したダメージを負っていない琴里の姿を確認した。

 

「へぇ………なかなかやるじゃない―――それなら今度は全力で撃ってあげる!!『灼爛殲鬼(カマエル)』―――『(メギド)』ッ!!」

 

琴里は灼爛殲鬼の巨大な戦斧を刃を収納し、照準補助のついたバズーカーのような巨大な砲門を持った形に変形させる!!

そして―――異常なほどの霊力が砲門に集約していく!!

 

「………………」

 

それを見た折紙は特に防御することもなく、自然体で構えていた。そして―――琴里はバズーカ砲に変形させた灼爛殲鬼の引き金を引く!!

 

ズビィィィィィィィィィィィィッッ!!

 

引き金が引かれると同時に先程は比べ物にならないほど、巨大な霊力砲が折紙に襲い掛かる!!

 

 

 

だが――――――

 

 

 

『Reflect!!!!!!!!!』

 

 

 

 

折紙は右手を前に出し、自分の体の前に光の壁を展開した。折紙が展開した光の壁は、琴里の砲撃を受け止める!!

そして、翼から音声が響き渡ると同時に琴里が放った砲撃は、琴里に跳ね返って行く!!

今の光景を見たドライグは焦りの声を漏らす!

 

『バカな、あり得ない!!………アレは生前のアルビオンの能力『反射』まで使用できるのか!?なぜあの小娘がここまでアルビオンの能力を引き出すことが出来ている!?』

 

「―――琴里ッ、避けろおおおおおおおおおお!!!」

 

折紙の発生させた『絶対領域(テリトリー)』に全身を支配されながらも、士道は喉が潰れんばかりの声で叫ぶが――――――その叫びも虚しく、折紙がアルビオンの生前の能力『反射の特性』を発動し、琴里の全力の一撃は放った琴里へと直撃した。

 

「………………」

 

灼爛殲鬼の全力の一撃が直撃した琴里は、意識を失いふらふらと力なく地面へと倒れ込んだ。

この時を逃すまいと、折紙は腰に付けてある二本のレイザーブレードを引き抜き、意識を失った琴里に迫る!!

 

「今ッ!!今度こそ終わらせる!!死ねぇぇぇぇぇぇぇイフリートォォォォォォォォ!!」

 

折紙は二本のレイザーブレードの刃を合わせ、それを振り下ろすことで衝撃波を放つ!!

地面を割りながら衝撃波は琴里にどんどん迫って行く!!

 

「―――がああああああああああああああッッ!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオオンンッッ!!

 

士道は自身に封印した精霊の霊力を一瞬で体内に凝縮し、爆発させる!!

その結果、折紙が発生させた『絶対領域(テリトリー)』を吹き飛ばすことに成功し、神速を発動し折紙の衝撃波を追い抜き琴里の前でアスカロンを構える!!

 

「唸れッ!アスカロンッ!!」

 

士道の琴里を守るという強い覚悟に応えるかのように、アスカロンがドクンッ!と脈打ち、光り輝くオーラを発生させる!

士道はアスカロンを強く握りしめ、アスカロンを地面に突き刺す!!

 

「ドラゴニック•ゾーンッ!!」

 

士道と気絶した琴里を包み込むように、光り輝くオーラの壁が展開される!!折紙が放った衝撃波と士道が展開したドラゴニック•ゾーンが衝突し、辺りに砂塵が立ち込める!!

 

………立ち込めた砂塵が消え去ると、現れたのは全く無傷でアスカロンを握りしめる士道の姿がそこにあった。

それを見た折紙は歯をギリギリと鳴らし、再び士道を封じようと右手を前に出す!

 

「………ッ!テリトリー展―――」

 

「遅いッ!!『氷結傀儡(ザドキエル)』ッ!!」

 

士道は右手に小型ナイフほどの氷の弾丸を手に取り、折紙の腹部の宝玉を目掛けて投げつけた!

氷の弾丸は折紙の腹部の宝玉に命中し、宝玉はヒビが入り、凍りついた。

 

「―――ッ!!『絶対領域(テリトリー)』が使えない!?士道、あなた一体何をしたの!?」

 

折紙は自身の手札が一枚無くなったことに、動揺を隠せずにいた。士道はアスカロンを収納し、拳を構える。

 

「そいつを使う時には、その宝玉が光を放っていたからな………だから凍らせてしまえば使えなくなると思ってよ―――そしたら見事に使えなくなったみたいだな。これでさっきのように俺を封じ込めるこたぁ出来ないぜ!!」

 

折紙は士道の説明を聞いて拳を握りしめ、歯をギリギリと鳴らしていた。

士道の読みは見事に当たっていた。折紙の腹部の宝玉は白龍皇の宝玉ではなく、『絶対領域(テリトリー)』を使うための顕現装置(リアライザ)だ。

それを破壊され、なおかつ凍結させられてしまえば当然のことだが機能を失う。

折紙が先程まで士道の動きを封じ込めていたのは、『イフリート』を殺す時に巻き込ませないためだ。

そして、士道は妹を守るためなら自分の命を投げ捨てることすら厭わない。これで折紙は『イフリート』を殺すには士道を倒さざるを得なくなってしまったのだ。

 

「悪いな折紙………お前の復讐したいという気持ちは痛いほどわかる―――でもな!!俺は可愛い妹が無残に殺されるところを傍観なんざできねえ!!

………だから―――俺はお前の夢を打ち砕く!!」

 

「………それなら士道を倒してでも、『イフリート』を殺す!!私の命は『イフリート』を殺すためだけにあった!私は『イフリート』を殺すことだけを考えて生きてきた!!あと一歩のところでそれが成就するのにこんな所で立ち止まってなんかいられない!!」

 

それぞれが自分の想いを叫んだ後、一瞬の静寂が訪れ――――――二天龍は再び拳を交えた。

 




『白龍皇の輝銀鱗装』の能力について少しだけ紹介しようと思います。

『Vanishment Additional Effect』

対象の状態を元に戻す―――消滅させるという感じです。ドラクエの凍てつく波動や上条当麻の『幻想殺し』をイメージしていただければ幸いです。

『ドラゴン•パニッシャー』

ドラゴン•ブラスターの折紙バージョン。威力は士道のドラゴンショットを数倍の威力を誇り、必殺の一撃。
ホワイトリコリスのブラスタークという砲撃技があったので取り入れてみました。

折紙の『白龍皇の輝銀鱗装』の中にいるアルビオンは
CV早見沙織さんを私は想像しています。

次回『二天龍激突!!』

この章もそろそろフィナーレを迎えます!

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