デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

46 / 84
分身体の狂三ことくるみんの番外編の後は、四章のメインヒロインの琴里ちゃんです。

この番外編では、フラクシナスでお仕事をしている琴里ちゃんの様子を書きました。

これからも、琴里回も増やしていければ増やしていきたいと思います!


番外編④ 働く琴里さま

 

これはとある少女の日常である。

イチゴミルク味のチュッパチャプスを舐めながら、立派な艦隊内の艦長席に弱冠十四歳の少女ながらも、気品溢れる風格を放っている司令官がいた。

………士道の義妹、五河琴里である。

今日も琴里は司令官として天宮市の上空一五◯◯◯メートルに位置する空中艦『フラクシナス』で司令官としての務めを果たしている。

 

「………司令、本部からこの一ヶ月内の活動記録を報告せよとの通達がありました。しかも、今回はただの報告書だけでなく士道くんが封印した各精霊たちの日常も詳しく報告せよとのご命令です」

 

琴里が座っている艦長席に近づいてくる女性の姿があった。その女性は相手に呪いを掛ける藁人形を常時携帯しているアブノーマル―――午前二時の女『藁人形(ネイルノッカー)』椎崎雛子が、USBメモリーと分厚い国語辞典くらいの枚数ほどの報告書を琴里に手渡す。

普段ラタトスクの本部に提出する書類はこれの四番の一に満たないものだが、今回は最悪の精霊『ナイトメア』時崎狂三を取り逃がし、そして士道を救出する為に全霊力を解放して精霊に逆戻りしてしまった、自分のことも報告する必要があるため、ここまで報告書等が多くなってしまったのだ。

 

「嫌がらせ―――とは言えないわよね………この一ヶ月はかなり濃いものだったし。狂三だけじゃなく、私まで精霊に戻ってしまったのだから仕方ないわね」

 

ちなみに精霊を保護する事を掲げているラタトスクは精霊がどのような日常を送っているのかは、非常に興味を持っている。

―――彼女たちの生活に不便がないかなど、琴里がそれを報告すれば一日で課題を解決してくれるグレイトな組織である。

………しかし、ラタトスクの中にも精霊を『洗脳を施し、兵器として利用しようぜ♪』などと発言する者も少なからずいることも、また事実である。

 

「………司令、私たちに手伝えることがあれば言ってください。この一週間、司令は霊力封印後の検査や本部を訪れたりで、十分な休息ができていないのですからご無理をなさらないように」

 

椎崎は琴里の事を心配していた。琴里も兄の士道と同様に苦しみを他人に晒すような真似はしない。それを分かっているからこその椎崎の気遣いだった。

 

「ありがとう椎崎、善処するわ………」

 

琴里は椎崎に感謝の意を述べた。琴里も自分が仲間そして部下に恵まれていることは理解している。

椎崎を始め、他のクルーたちも琴里を慕っている。

そんな事を琴里は再認識した時だった………

 

ビー!ビー!ビー!!

 

「………ッ!何事!?」

 

突然のアラートに艦内に緊張が走る!

琴里は目の前のコンピュータのアラート内容をすぐさま確認する。

………アラートの原因は、精霊用の特殊住居にあることがわかり、琴里はカメラの映像を艦内のモニターに映し出す。

 

 

………そこには―――

 

 

『うがあああああああああああ!!三角関数と言うのは一体なんなのだあああああああ!!sin、cos、tanと言うのは食べ物では無かったのか!?』

 

 

怪獣のごとく叫び声を上げている十香の姿が!!

どうやら数学IIの期末テスト範囲内にある三角関数に、十香ちゃんは手こずっているようだった。

その様子を見た解析間の令音が述べる。

 

「………これならシン一人で問題ないだろう。彼は数学なら得意分野だ。十香にもわかるように教えることができるからね」

 

とりあえず琴里は士道に連絡を入れる。

士道が電話に出ると同時に単刀直入に要件を言う。

 

「士道、今すぐ十香の部屋に行って勉強を教えなさい」

 

『はいよ、ちょっくら行ってくる』

 

琴里から連絡をもらうと士道は、すぐに隣の精霊用の特殊住居に足を進めた。

琴里は取り敢えずため息を吐いた。

 

「………ていうかなんであのバカは休日くらい十香と一緒にいてあげないのよ―――いや、誘惑に負けて十香を押し倒すようなことになられても困るし………」

 

とにかく、十香の方は問題が解決したと思って良さそうだ。しかし、大好きなおにーちゃんの貞操の安否は心配な琴里ちゃんであった。

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

 

士道が十香の部屋に勉強を教えに行ってからというもの、警報が鳴り響くほど不安定な状態に陥っていた十香の精神状態は、すぐに元の状態へと戻った。さらに士道と一緒にいられることで、十香の精神状態はさらに良好になっていた。

その様子を見た琴里はホッとひと安心。

 

「………これを見る限り十香の方は問題なさそうね」

 

自分のデスクに表示してある十香の部屋の映像を消し、自分の仕事に手をつけ始めた琴里。

………山積みの報告書の完成、精霊たちの要望の解決、精霊たちの生活費の見積もり、精霊専用の特殊住居の設備増大、そして部下たちの仕事の管理等、やることは山ほどある。

―――そして近々ラタトスクの重役が集まる会議もあるため、そのための資料作りにも琴里は追われている事も現状だ。

 

「―――椎崎、狂三の報告に一部ミスがある………それから、誤字まであるわ。赤字に変えてあるから訂正してもう一度提出して」

 

「―――了解しました」

 

琴里が椎崎からメールで受信したワードのファイルの活動報告書のミスを、来月の予算を細かく計算しながら椎崎に指摘した。

琴里は次に箕輪の報告書をチェックする。

 

「………箕輪、十香たちの要望の件なのだけど、狂三の要望『ハイスクールDxDの最新刊』が見事に抜けてるわ―――それから、十香と狂三に来禅高校のカーデガンを発注しておいて」

 

「了解です、司令」

 

椎崎同様、箕輪のチェックも琴里は終わらせた。次は川越に空き部屋の準備の進捗状況を確認する。

 

「………川越、特殊住居の空き部屋の設備のことだけど―――明日中には手を回せそう?」

 

「はい司令、明日の朝までには完成する予定です」

 

川越の方も問題はないようだ。次は中津川と幹本の方を見た。

 

「中津川、幹本………士道たちの学年の行事予定に変更とかって無かった?」

 

琴里からの問いに二人がそれぞれの調査報告を行う。

 

「そう言えば………修学旅行の行き先が沖縄から或美島に変わったそうですよ?」

 

「それから、天央祭の日程がずれるという報告がありました。一週間ほど予定を早めるそうですよ?」

 

二人の報告を受けた琴里は眉根にシワを寄せた。

 

「………天央祭はともかく、修学旅行の行き先が変わるのは何か変よね―――令音、学校側はどのように言っているの?」

 

「………ああ。とある旅行会社が或美島の観光PRのため費用を全て持つという破格の条件を学校側に提示したようでね。………学校側は万々歳の様子だったよ―――ただ………」

 

「―――やっぱり何かあるの?」

 

「………その旅行会社について調べてみたのだが、DEMインダストリーの系列会社だということが判明した。

………思い過ごしだと思うが、一応注意はしておいた方がいいと思ってね」

 

琴里はその話を聞いて表情が少し険しくなった。もともとラタトスクとDEMは良好な関係ではない。顕現装置(リアライザ)を提供するライバル企業という事もあるが、そもそも精霊の対処法が根本から異なるというおまけ付きだからだ。

 

「………そっちの方は任せるわよ令音」

 

「………ああ、心得た」

 

部下たちの仕事の確認を終わり、自分の仕事に全神経を集中させようとしていた時だった………

 

ブヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッッ!!!

 

再び艦内に警報音が響き渡る。艦内のメンバーは一斉に手が止まる!

 

「―――今度は誰!?」

 

琴里がバンッ!と手を叩きつけると、艦内のモニターに、お風呂場の様子が映し出された。

―――そこには、通常ではありえない現象が発生していた。

 

………壁と天井が凍り付き、辺りに氷柱が飛び出していた。そして、先ほどまで湯気を出していたであろう浴槽の水も見事に凍りつき、浴室が極寒の空間へと変わり果てていた。

そして、極寒の空間となった浴室の端っこで涙を啜っているタオルを巻いた少女の姿が………

 

『うぇぇぇぇぇ………よしのん、よしのん………!』

 

―――今回の警報の原因は四糸乃ちゃんである。令音が浴槽内部の映像を拡大すると、浴槽の栓が外れており、代わりに四糸乃のパペット―――よしのんがお風呂の栓の役割を果たしていた。

………四糸乃が泣いている原因はよしのんが水没してしまったためである。

 

「………うん、なるほど―――シュールな状況に陥っているね」

 

まるで他人事のように平然と状況を見つめている令音に琴里が全力でツッコミを入れる!

 

「―――冷静に分析してる場合じゃないでしょ!?このままじゃ十香たちがお風呂に入れなくなるじゃない!」

 

「………心配無いさ、今この建物内にはシンがいる―――ほら、噂をすればなんとやらだ」

 

異変を感じ取ったのか、四糸乃が泣いている声が聞こえたのか四糸乃のヒーロー役を務める士道くんがここに見参!!

お風呂の扉を蹴り壊し、ダイナミックなご登場である。

 

『四糸乃、大丈夫か―――ってなんだこりゃあああああああああ!!』

 

士道もこの状況を見てたまげていた。浴槽の中に沈んだよしのんを見つけた。

 

『そうか………よしのんが沈んじゃったのか―――よっしゃ俺に任せろ!!』

 

『うぇぇぇぇぇぇ………ありがとう、ございます………!』

 

四糸乃は涙に濡れた声で士道に述べた。

………よしのんの他に四糸乃が頼れる存在―――それはヒーローの士道だけだった。

―――しかし、現状は好ましくはない。よしのんが沈んでいるのは、凍った浴槽の最下層に位置していた。

士道はまず自分の部屋からトングを持ってくる。………これはよしのんを引っ張り上げるためである。

そして次に、自分に宿った神器―――『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』で力を高める!

 

『Boost!!!―――EXPLOSION!!!!!!!』

 

『―――来やがれ!「灼爛殲鬼(カマエル)」ッッ!!』

 

士道は倍加した力を解放し、琴里の天使『灼爛殲鬼(カマエル)』の炎を籠手の宝玉にセット!

次の瞬間、『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』の宝玉から倍加された力で強化された『灼爛殲鬼(カマエル)』の業火が迸り、士道の左腕は炎に包まれた。

 

『どおおおっせええええええいッッ!!』

 

バリンッ!!

 

士道は籠手で浴槽の氷を殴りつけ、炎の熱量で浴槽の氷を溶かした。後はトングでよしのんを救出するだけである。

 

………しかし―――ここからが問題だった。

 

(相棒、気を付けろよ?トングがよしのんの頭に当たれば、そのトングはお陀仏するぞ?)

 

『―――分かってる。なんせこの住居の壁をぶち抜き、時速100キロで突っ込んでくるトラックすら軽々と吹き飛ばして、おまけに全壊させるほどの威力を誇るダイヤモンド頭だからな………』

 

お風呂の浴槽でトングを片手に悪戦苦闘している士道の姿に、事情を知らないクルーたちは首を傾げていた。

 

「………司令、なぜ士道くんはそのまま浴槽に手を突っ込まないのですか?」

 

椎崎の疑問に琴里は簡単に答える。

 

「………よしのんは四糸乃以外が投げても()()として使える―――というのは知っているわよね?」

 

「はい。士道くんを村雨解析官から引き離す時に司令が四糸乃ちゃんから拝借しているところをよく見ていますし………あんなコミカルなパペットのどこにあんな力が、あるのか不思議で仕方がないですけどね」

 

椎崎もよしのんの破壊力は知っている。………先日令音の胸から乳気を吸収していた士道に、琴里はよしのんを全力投球した………その結果、士道はきりもみ回転しながらフラクシナスの壁をぶち破って吹き飛んでいった場面を椎崎は見ていたのだ。

―――よしのんの頭突きの破壊力は対精霊用の特殊住居の壁をぶち抜き、ミサイルすら木っ端微塵に破壊し、なおかつ当の本人は全く無傷という伝説を作ったほどである。

当初は四糸乃の付属品という評価だったが、現在では『フラクシナス』の最終兵器にまで成り上がったというのはまた別の話だ。

 

「―――今、凍っていた浴槽は士道が炎の熱量で溶かした………その結果氷が水に変わったからよしのんが動いているのよね―――特によしのん体の中で最も危険な部分である頭がふわふわと」

 

「―――ああ………」

 

椎崎もようやく理解したようだ。素手でよしのんを掴む時、不幸にもよしのんの頭に触れれば即骨折が確定する。“え!?それなら耳を掴めば?”という意見も出てくるだろうが、それも危険だ。

よしのんの耳はこれといって危険な力は何もないが、浴槽の中で沈んでいるよしのんの耳は、危険な頭にぴったりとひっついている。

そのため、士道はトングを使って慎重に作業をしているのだ。

しかし………モニターから士道の悲鳴が聞こえてくる。

 

『―――クッソォォォオオオオオオオ!!!!やっちまった!!よしのんの頭にトングの先が当たって、トングが曲がっちまったあああああああああああああ!!!』

 

(バカタレ!!アレほど慎重にやれと言ったではないか!!そのトングはもう使い物にならん!!)

 

………士道はうっかりとトングの先でよしのんの頭をつついてしまったのであった。その結果、トングの先がぐにゃりと曲がってしまい、トングがハートの形に変形してしまった。

―――作戦は見事に失敗してしまった………

 

『………うぇぇぇぇぇぇえええええ!!』

 

よしのんの救出失敗に、四糸乃は再び泣き始めた!!その結果、どんどん浴室の気温が下がっていき、浴槽内部の水が再び凍り始める!!

泣きじゃくる四糸乃の頭を士道が『大丈夫、大丈夫………』と撫でるが、四糸乃が泣き止む気配はない!!

 

「………さすがにこれはまずいかな?琴里、補充要員を送ろうか?」

 

『フラクシナス』で士道の様子を見守っていた令音がボソッと呟いた。

しかし、琴里は令音の増援要請とは真逆で、静観を令音に求めた。

 

「大丈夫よ、令音。………私のおにーちゃんはこの程度で根をあげるほどヤワじゃないわよ」

 

琴里は士道が四糸乃の笑顔を取り戻す未来が見えているかのように、令音に言った。

………ハードルが上がってしまった士道くん!

しかし、彼は琴里の要求に応えるごとく漢気を見せる!

 

『―――分かった!分かったからもう泣くな四糸乃。これ以上ここの温度が下がったら本当によしのんを救出できなくなるから………………よし、覚悟を決まった。

俺も男だ、たとえ腕がぐしゃぐしゃに折れようが曲がろうが関係ねえ!!絶対によしのんを引っ張りだしてやる!!

―――行くぜドライグ!赤龍帝の意地を見せてやろうぜ!』

 

(―――承知ッ!!Welsh Dragon Balance Breaker !!!!!!!!!!)

 

泣いている四糸乃の姿が耐えられなかったのか、士道は『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』の禁手(バランス•ブレイカー)赤龍帝の鎧(ブーステッドギア•スケイルメイル)』を纏い、殺戮兵器(よしのん)が沈んだ水中に左腕を突っ込んだ!!

―――士道の漢気は泣いている少女を救うことができるのか!?

 

『………ぐッッ!!―――おっぱいドラゴン舐めんなよ、このクソヤロオオオオオオオオオッッ!!』

 

ガッシャアアアンッ!!という音が聞こえ、士道が苦悶の表情を浮かべた。しかし、士道は歯を食いしばり、左腕を水中から引き揚げた!!

―――士道の左腕に装着されていた籠手は、木っ端微塵に砕け散っていた。

しかし、士道の左手には四糸乃の大切な友達、よしのんが握られていた。

 

『………ほら四糸乃、よしのんだぞ?』

 

士道は鎧を解除し、よしのんを四糸乃に返した。四糸乃はよしのんを受け取ると左手に装着し、士道に頭を下げた。

 

『………ありがとう、ございました士道さん。よしのんを、助けてくれて………!』

 

『おう、気にすんな!大事にしろよ?………大切なお友達なんだろ』

 

士道はニカッと笑い飛ばして、四糸乃の頭を優しく撫でていた。そんな時に、よしのんが士道の左腕を小さな手で掴んでおまじないをする。

 

『いんやぁ助かったよ士道くん。あれまぁ、左腕怪我してるじゃん!空前絶後の天才、よしのんが直してあげるよ―――ザラキ、ザラキ………』

 

『―――そこはホイミだろ!?俺の左腕に即死魔法を掛けてんじゃねえ!!』

 

………士道に追い打ちをかけるよしのんに、士道はよしのんの首にチョップ!

ちなみに、蹴り壊したお風呂のドアはくるみんの天使―――『刻々帝(ザフキエル)』の『四の球(ダレット)』で元どおりに戻していた。

四糸乃が泣き止んだことと、士道が『灼爛殲鬼』の炎でお湯を沸かし直したところで―――士道は服を脱ぎ始めた!

………一体どうしたというのか!?

 

『………!!あ、あの………士道、さん!?』

 

いきなり服を脱ぎ始めた士道に、四糸乃は両手で自分の目を隠していた。士道は親指を立てて、四糸乃に決めポーズ!

 

『………ん、決まってんだろ!?お風呂が元どおりになったんだから、俺も四糸乃と一緒にお風呂だよ、お風呂!さぁて四糸乃ちゃ〜ん、お兄さんがいっぱいお身体を触って―――じゃなかった、洗ってあげますからね〜♪グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!』

 

『いやぁ〜ん!士道くんのエッチぃ!』

 

―――悪びれることなく四糸乃と一緒の湯船に浸かる士道くん。彼が思っていることは、幼い娘と一緒にお風呂に入る父親だが、琴里と令音には無垢な幼女に手を出すロリコンにしか見えなかった。

モニターでその様子を見ていた琴里は、艦長席から勢いよく立ち上がった。

 

「―――令音、ちょっとあのバカに灸を据えてくるわ」

 

「………ほどほどにね」

 

琴里は転移装置で精霊用の特殊住居にワープした。

限定的な霊装を纏い、天使を顕現させておっぱいドラゴンが欲望を満たしている楽園に襲撃を仕掛ける!!

 

『………お☆に☆い☆ちゃぁぁぁぁぁぁぁ☆ん♪可愛い幼女さんにこれからナニをするつもりだったのかしら〜?

琴里、聞きたいなぁ♪』

 

『―――ゲェッ!?』

 

浴室の扉が開かれ、精霊率八〇%のレッドゾーンスレスレを走る妹の登場に、士道くんは青ざめた。

―――精霊率とは、士道に封印された精霊たちの力の逆流度である。五〇%以上がイエローゾーンで、八〇%以上がレッドゾーンである。レッドゾーンを超えてしまうと再封印の必要があり、今の琴里ちゃんはそのスレスレを走っているのだ!!

 

『「灼爛殲鬼(カマエル)」―――「(メギド)」♡』

 

顕現させた天使を、斧形態から、砲撃形態の武装に変形させ、自分の腕に同化させる妹の琴里ちゃん!!

―――今の琴里ちゃんは鬼である。神をも容易く滅ぼす鬼神となっている!!

 

『………ま、待て琴里!餅つけ―――じゃなくて落ち着け!まずは深呼吸だ、深呼吸!話せば分か―――んぎゃあああああああああああああああ!!!!』

 

………士道は平和的解決を申し出たが、琴里は士道に一切の慈悲をかけることなく、砲門にチャージした煉獄の業火を士道に放った。『フラクシナス』の艦内に士道の断末魔の叫びが響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

 

 

 

 

「―――やっとたどり着いたお昼休憩………なんでこんな忙しい時に警報がポンポンなるのよ………」

 

時刻は13:30。ある程度の仕事が片付いたところで琴里は昼食をとることにした。

………特殊住居に住んでいる精霊たちの精神状態の安定と、山積みの仕事を片付けに追われ、琴里の疲労は限界に近づきつつあった。

休憩室で士道が作ってくれた弁当を食べていた時、医務室の方からよく知る声が聞こえてきた。

 

『―――令音さあああああああああんんっっ!!琴里が俺に暴力を振るうよおおおおおおおお!!俺、すっごく頑張ってるのに!!今日も十香と四糸乃を助けて、一緒にお風呂に入ろうとしただけで燃やされたよおおおおおおおおお!!』

 

―――声の主は兄の士道であった。琴里が医務室を覗くと、医務室の長椅子に座っている令音に泣きつく士道の姿が………泣きつく士道くんを令音は優しく頭を撫でていた。

 

「………ああ、シンはよく頑張っている。私はいつでもキミの味方さ―――シン、いい子いい子」

 

令音は士道を抱き寄せ、自分の胸に士道の顔を当てるように優しく抱きしめた。

―――この行為で士道くんはいつものおっぱいドラゴンに戻る!!

 

「―――ユートピア!!ここが俺のユートピア!!極上のキョニュウムが俺を癒してくれるぜ、令音さんのおっぱいマジ、ユートピアッス!!」

 

『………ロリニュウム、ビニュウム、キョニュウム―――はぁ、はぁ………俺は乳龍帝ではない、俺は断じて乳龍帝などではないのだ!うおおおおおおおおおおおおんんんんっっ!!』

 

先程まで泣いていた士道くんだったが、令音のおっぱいの感触と令音の乳から発せられる乳気―――キョニュウムを吸収することで元気一〇〇倍だ。

………士道くんとは正反対に、ドライグの方は涙の大洪水が起きていた。

前世と同様に、度重なる乳ネタでドライグの意識が飛びそうになっていた。

十香やくるみんの時はなんともないのだが、令音の胸だけはその禁断症状が出るようになり始めたドライグ―――割と真面目にピンチである。

 

「―――ほんんっとうに懲りないわねアンタは………」

 

くるみんの霊力を封印してからというもの、ほぼ毎日見るこの光景に琴里は心底呆れていた。

―――鉄拳や殺人キックをお見舞し、殺戮パペット(よしのん)を投げつけられようが、令音のおっぱい求めてやってくる士道くん。

………最近の士道くんは令音のおっぱいあってこそである。

 

「………琴里、私たちがシンの頑張りに答えてあげられることはこれくらいだ。私の胸くらいは大目に見てやっても良いのではないのかい?」

 

「―――良いわけないでしょ!?令音、あなたは嫌じゃないの?」

 

「………不思議とシンならあまり悪い気分がしない。こう見えてもシンは母性本能をくすぐるようなところがあるからね。甘えてくるシンを見ていると、どうしてもそれに答えたくなる私がいるのも事実だ」

 

「うへへへへ!おっぱい、おっぱい………」

 

………令音も満更ではないようだ。令音のおっぱいは現在の士道にとっては生命線となりつつある。

士道くんは令音のおっぱいを存分に堪能し、その顔は心底幸せそうだ!!

しかし!令音のおっぱいに安らぎを求める士道くんを許さない琴里ちゃんが今、ここにいる!琴里はおっぱいを楽しむ士道の首を手で掴む。

 

「いつまでくっついてるわけ!?さっさと離れなさいよ!!」

 

琴里が腕に力を込め、士道の首を引っ張ると――――――あっさりと離れる士道くんの姿があった。

 

「………………………」

 

いつもなら抵抗をする士道くんだが、抵抗することなく今日はすんなりと離れてくれた。ちなみに、いつもの士道なら離れまいと令音の胸にしがみつき、さらにそれを堪能する真似をするのだが、今日はとてもおとなしい士道くんだ。

怪訝に思い士道の顔を覗くと―――士道は眠っていたのである。

 

「………まさか令音の胸が枕がわりになってたわけ?―――どうなっているのかしら、このおっぱいドラゴンの頭の中は………」

 

大好物のおっぱいでも眠ることのできる士道くん―――キミは立派なおっぱいドラゴンだ。

とりあえず眠っている士道を琴里は令音の座る長椅子に寝かせる。

 

「………眠っているのであれば寝かせてやるべきだ。これは私の推測だが、彼は深夜を過ぎてもテスト勉強をしていたのだろう。午前三時を回ってもシンの部屋には灯がついていたからね―――琴里、キミは休憩してくるといい。ここは私に任せてもらおう」

 

「………ええ、分かったわ」

 

琴里はその後医務室を出て行った。そして、残された令音は―――

 

「………そう言えばシンは、私に膝枕をしてほしいと言っていたね―――いつも頑張ってくれているし、叶えてあげようか」

 

令音は士道の頭を自分の膝の上に乗せて、士道の念願だった膝枕を叶えてあげた。膝枕を叶えてあげた時に、士道の寝顔がとても幸せそうな表情に変わっていた。

 

「………シン、キミの寝顔はいつまでたっても変わらないね」

 

令音は幸せそうに眠る士道の寝顔を見て静かに微笑み、呟いた。

士道の寝顔を見た令音はどこか懐かしく、そして愛おしそうに髪を撫でたりと何処か癒されていた。

 

 

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 

「ふぅ………だいぶ片付いたわね―――さっ、残りも手っ取り早く終わらせましょうか」

 

自分の机の上に書き終えた報告書と、整理したデータをまとめた資料の山を見て一息吐いた琴里ちゃん。

―――琴里が本部からの膨大な報告書の大多数を処理した頃には、すでに22:00を回っていた。

―――良い子は寝る時間であるが、琴里は残りの仕事を処理にかかろうとしていた時、長身で長い金髪が特徴の男性が艦橋に入室してきた。

 

「―――司令、あまりご無理をなさらない方が………残りの仕事は私にお任せになられて、今日はもう休養されては?」

 

―――副司令の神無月である。神無月も椎崎や他のクルー同様に司令の琴里の無理を懸念していた。

 

「そうも言ってられないわよ………他のクルーたちも自分の仕事がある上で私の仕事を手伝ってくれているからね―――私だけ楽をするような真似はできないわ」

 

ちなみにラタトスク本部から与えられた報告書の提出期限は、今週末となっており猶予はあと二日ある。しかし、精霊の出現や今日のように霊力を封印された精霊たちの精神状態が不安定になるようなことがあれば、その対策に追われて期限を過ぎても終わらないという事態になりかねないため、琴里は意識が持つうちは仕事の完成を急ぐ決意だった。

 

しかし――――――神無月は強く否定する。

 

「何を言っているのですか!もしもの時に司令が倒れるようなことがあれば大変です!ぜひ休養を!お風呂にでも入っていただければ、へへへへへへへへ!」

 

神無月は琴里に休息を取るように強く言った―――が!!最後のセリフの時、神無月の表情が士道の乳ネタが如く危険な表情を浮かべていた!!

それを見た琴里は神無月に真意を追求する。

 

「………………神無月、あなた何が目的なの?」

 

「―――ハッ!?い、いえ………未成熟のカチカチな果実のような司令の妖精ボディを拝もうなどという、如何わしいことなど、この神無月これっぽっちも――――――アギャッ!?」

 

………これである。士道同様にこの男もまた欲望に正直だった。自身の欲望を包み隠さず白昼にさらした神無月の顔面に藁人形と地球儀の洗礼が!!

鼻血を垂れ流しながらも、神無月はこの理不尽に立ち向かう!

 

「―――何です!?妖精ボディの何が悪いんですか!!今この時代は盗撮の時代なんですよ!?隠しカメラでお風呂の中を盗撮することの一体どこがいけないって言うのよ!士道くんだって十香ちゃんや四糸乃ちゃん達の裸の写真を何枚も収めているというのに、なぜ私だけいけないんですか!!」

 

………この男もまた一切ブレない!!例え藁人形や地球儀では怯むことはない!この男も変態道を極める勇者であった。

ちなみに、士道も精霊たちの住む特殊住居に隠しカメラを仕込んで十香たちの着替えやらお風呂やらの写真を隠し撮りしている。

その写真は彼の秘蔵アルバムにそれはそれは大切に保管されているのは、また別のお話。

 

「―――これだからあなたという人は………またアマゾンにデンキウナギを捕まえに行かせますよ!?」

 

「いやいや、ここはマリアナ海溝の深淵旅行の方がよろしいかと」

 

椎崎と箕輪が唸るが、勇者神無月は「かかって来やがれババアども!」と一切退く様子を見せない!

―――そんな神無月に琴里がパチンッ!と指を弾くと筋肉モリモリマッチョマンの二人組みの男が神無月を持ち上げた!!

………お約束の懲罰タイムである。

 

「―――ああああああああああ!司令、お慈悲を!ラーゲリだけは、ラーゲリだけは勘弁して下さいぃぃぃぃぃぃ!!」

 

神無月は、さらなる変態道を極めるために新たな星に挑む!SPの二人に持ち運ばれながら神無月が「しれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」と手を伸ばすが、琴里は止めはしなかった。

 

「………まったく、あの変態は―――ん、これって………」

 

神無月のいつもの様子に呆れていた時だった。琴里のデスクから一枚の紙が落ちた。

それは、神無月に任せていた精霊たちの環境調査の回答書だった。

 

『シドーとの生活がとても楽しいぞ!その士道との生活が実現しているのは琴里のおかげだ!琴里、ありがとうなのだ!―――夜刀神十香』

 

『士道さんのご飯がとても美味しいです。それから、いつも士道さんにご迷惑をかけていますが、いつも士道さんは笑って許してくれます。琴里さんも、色々なことを教えてくれるので、毎日が本当に楽しいです。本当にありがとうございます―――四糸乃』

 

『士道さんとの日常がとても楽しいです。忘れていた大切なことを思い出させていただきましたわ。その日常も琴里さんたちのサポートがあってこそということも存じ上げております。本当に心から感謝致します―――時崎狂三』

 

精霊たちは今の生活にとても満足していることはこの紙に書かれてあることが証明していた。

これまでどれだけ傷だらけになろうが、前だけを見て自分の想いを貫き通した士道が最高の結果を掴みとった。

しかし、十香たちはその後の日常がラタトスクのサポートがあってこそ成り立っている事を忘れてはいなかった。十香たちは琴里にも感謝の心を忘れていなかったのである。

 

「………どうしようもないド変態のスケベ野郎だけど、バカ正直に想いを貫いた士道が彼女たちを、そして私も救ってくれたのよね」

 

琴里は十香たちの想いが込められたその紙を見て、艦内の天井を見上げた。見上げた天井に、士道の顔が浮かんでいるように琴里は感じた。………琴里は表情を緩くし、そして微笑んだ。

 

「………ありがとう、おにーちゃん」

 

琴里はそう呟いた後、残りの仕事を片付けるために自分との戦いに戻ったのであった。

これからも彼女たちの戦争(デート)はまだまだ続く!

 

 




デートアライブの三期が絶賛放送中ですが、本当に七罪ちゃんが可愛かったです!
声優さんの声もしっかりマッチしてるなと思いました。

さてさて、次回からオリ章『六華クライシス』に入っていきます。
これからもデート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜をよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。