デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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新たに現れた次元の守護者―――その名はヘルメス。

彼らは異世界だろうが神出鬼没に現れ、その役目を果たしている。
ヘルメスは士道に何を伝えるのか!?



三話 次元の守護者•ヘルメスです!!

先程出くわした新たな次元の守護者『ヘルメス』は、士道の鉄拳を食らって顔面から田んぼにダイブしたが、ドライグの『こいつから情報聞き出すべきでは?』という言葉を思い出し、ヘルメスを田んぼから引き抜いた。

 

「―――ブエッフッ、エフッ………年寄りは丁重に扱わなきゃダメだと学校で教わらなかったかい?カッなってもいきなりぶん殴っちゃダメさ。よく言うじゃないか、短気は損気と!」

 

ヘルメスが指を弾くと、泥だらけだった上半身はすぐにまた通りになる。一切反省の態度を見せないヘルメスに左手の『赤龍帝の籠手』の宝玉が光る。

 

(もう二、三発殴っておいた方がいいんじゃないか士道)

 

『イッセーそして相棒、気持ちは分からんでもないがまあ落ち着け。あの本に関しては俺も物申したいことがある。だが、まずはこの世界のことをしっかりと聞き出してからだ』

 

ドライグは乳ネタが入らない限りは基本的には冷静だ。士道も込み上げてきた衝動を深呼吸で押さえ込み、目の前のヘルメスを見た。

ヘルメスは顎に手を置き、何かを思いついた様子だった。

 

「………なるほど、ゲテモノ好きの()()()()が楽しげに語っていたのはキミのことだったのか―――確かに転生という特異な現象が起こした存在が、いきなり自分の目の前に現れたとなれば、彼は絶対に興味を持つだろうね。

さらに神器(セイクリッド•ギア)まで引き継ぎ、精霊の霊力を封印する能力まで持っているともなるとね………」

 

士道もこのヘルメスという男が次元の守護者の一人だということは先程の言葉から理解することができた。

ヘルメスは再び士道に訊ねる。

 

「………今のキミから察するに、この世界に飛ばされて元の世界に帰ろうとしているが、帰り方が分からなくて迷いに迷っている―――そう言った感じかな?」

 

「ええ………恥ずかしながら、返す言葉がございません。ソロモンさん達と修行をしている最中に変な渦に飲み込まれて、目が覚めたらこの世界の余所者を毛嫌う村だったというわけです」

 

士道はヘルメスに自分の現状を伝えた。士道の話を聞いたヘルメスはその内容について詳しく訊ねる。

 

「変な渦に飲み込まれた………か。それは恐らく次元の狭間に定期的に発生する次元の渦だろうね。しかも、ソロモンとの修行中に発生したともなると―――()()()()()()()()()()()()()………一杯食わされたな少年、ソロモンは十中八九、意図的にキミをこの世界に飛ばしたと見て間違いない」

 

『やはりか………』

 

ソロモンと同じ次元の守護者であるヘルメスが言う以上、間違いを述べている可能性は限りなくゼロに近い。

ヘルメスが述べたのは、ドライグが推測した結論とほぼ合致する内容だった。

ドライグは籠手から勝手に感想が漏れていた。

 

「あ、ちなみにだけど()()()()()()()()()()()よ?色々あってこの地上にいる精霊は一人にまで減ってしまったけどね」

 

「―――どう言うことですか?詳しく教えて下さい」

 

ヘルメスがボソッと述べた言葉に士道が食いついた。ヘルメスは順を追って士道に話し始めた。

 

「この世界での精霊の認識は、キミ達の世界でのそれとは大きく異なる。………この世界での精霊は『神の使い』と呼ばれていて、地上の守護者としてこの世界を守護してきた―――実力は六大龍王に匹敵するほどの強者だった。

そしてこの世界には十一人の精霊がいて、各精霊は自分達の土地の守護神として人々から認知されていた。

しかし、一ヶ月ほど前にこの世界に現れたとある存在によって、この世界にいた十一人の精霊は二人を残して皆殺しにされた―――その地に住んでいた人間達と共にね………」

 

「………っ!誰がなんのために精霊と人間を皆殺しにしやがったんだよ!!」

 

ヘルメスの言葉を聞いた士道は、全身に電圧がかかったように衝撃を受けた。士道は込み上げてきた怒りから、頭に血が上り、思わず声を荒げた。

 

「その存在の目的は、精霊が持つ力を手に入れる事だった。精霊達のコアとなる霊結晶(セフィラ)を身体に取り込むことで、精霊の力を得た。その存在は三日もしないうちにこの世界の二人を残した全精霊を皆殺しにして、精霊の力を体内に取り込んだ………精霊が守護していた地の人間達が皆殺しにされた理由は、得た精霊の力の実験体にされてしまったんだよ」

 

「―――なんてことを………ッ!!」

 

ヘルメスから告げられた残酷な真実を知ってしまった士道は、拳から血が滲み出るほど強く拳を握りしめ、奥歯をギリギリと鳴らしながら、ぶつけようのない怒りを堪えていた。

 

『ヘルメスと言ったか、そいつは一体何者だ?』

 

「―――『終絶なる超理龍(ラグナロク•エンド•ドラゴン)•リンドヴルム』………数ある邪龍の中でも最強の存在だ」

 

『ッ!!よりにもよってリンドヴルムか………あの最強最悪の邪龍が暴れ回っているとはな―――精霊達が皆殺しにされる理由もこれではっきりしたが、どうしたものか………』

 

ヘルメスが精霊達を殺し回ったその存在を明かすと、ドライグは黙り込んでしまった。

士道は籠手のドライグに語りかける。

 

「………そのリンドヴルムって邪龍は、全盛期のドライグやアルビオンよりも強いのか?」

 

『………全盛期の俺たちでも倒すことは叶わなかった。アルビオンと喧嘩をおっ始める前に一度戦ったが、勝負はつかず引き分けという形で戦いは終わった。そして九人の精霊の力を得た今では、実力は全盛期の俺たちを上回るだろう―――相棒、俺は逃げることを勧める。今のお前ではどう背伸びしても戦える相手ではない』

 

「―――ッ、ドライグにそこまで言わせるとはな………でも、まだ精霊が残っているなら、俺が逃げ出すわけにはいかねえ!俺は精霊を守ることが仕事だ!どこの世界だろうが、相手が誰だろうかなんてことは関係ねえ!俺はやるべきことをやるだけだ!!」

 

ドライグからの返答を聞いた士道は、恐怖のあまり足が震えた。しかし、逃げ出すことを選びはしなかった。

士道の覚悟を聞いたヘルメスは興味深い視線で士道を見ていた。

 

「―――あのソロモンがキミを気に入った理由が分かったよ。………こんな純粋な心を持つ逸材なら鍛えてみたくなるのも当然だ。

………さて、リンドヴルムと一戦交えるのに何の安全策も無しに戦わせるわけにはいかないな―――これをキミに渡しておこう」

 

ヘルメスは日本刀と共に腰に巻きつけてある巾着から何かを取り出し、士道に手渡した。それは、紫色の液体が入った入れ物だった。

 

「―――エリクサーと言って、この世界に伝わる最上位の秘薬さ。『フェニックスの涙』と同じようなアイテムと思って貰って構わない。僕はソロモン達とは違って戦う者じゃないから、戦闘では役に立たない………僕がキミにできることはこれくらいさ―――赤龍帝•五河士道くん、健闘を祈る」

 

「………分かりました。貴重なアイテムを感謝致します」

 

士道は感謝の意を込めて深々と頭を下げた。そして、士道が頭を上げた時には―――ヘルメスの姿は綺麗さっぱり消えていた。

 

『………相棒、本当にリンドヴルムと戦うのか?正直に言おう、相棒がこの世界の命運をかけて戦う理由はない。それ以前に例え戦ったとしても勝負にすらならん―――それでもお前は戦うのか?』

 

ドライグが士道に訊いた。ドライグの言うことは確かに正しい。士道が仮にリンドヴルムを倒したとしても、士道が得られる物は何も無い。それ以前に士道がこの世界を守る為に戦う理由すら存在しないからだ………

それでも、士道は拳を握りしめて前を向いた。

 

「くどいぜドライグ、例え一人でも精霊が生きているなら、俺はそれを守るために戦う。どこの世界だろうが俺は成すべきことを成すだけだ―――それに、俺はまだこの世界に飛ばされた時に助けてくれた、六華さんに恩を返せていない………彼女の生活が危険に晒さられる可能性がある以上、俺が元の世界に逃げてもいい理由はないッ!」

 

―――絶対に譲れないことが男にはある………士道の場合は精霊の救出だ。

彼は精霊たちの生活を守るためには、自分の命が散ることになろうとも構うことなく突き進む。

士道はもう心に決めている―――何を犠牲にしてでも精霊たちを救ってみせると!

 

『………それが相棒の答えだというのであれば、俺は何も言わん。好きにしろ相棒、俺も全力でサポートしてやる』

 

迷いのない瞳で前だけを見つめる士道をドライグは否定しなかった。士道はドライグに「すまない、ありがとな」と感謝を込めて籠手を優しく撫でていた、その時だった!!

 

ズドオオオオオオンンッッ!!

 

突然の爆発音に士道は目を見開く!音がした方向からは、煙がモクモクと立ち上っていた。

しかも―――煙が上がっている方角は六華が住んでいた村の方角だったのだ!

 

「―――六華さん!!」

 

士道は六華の安否が気になって仕方がなかった。士道は誰に言われるまでもなく、地面を鋭く蹴って空中を駆ける!

 

「―――禁手化(バランス•ブレイク)ッッ!!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!!!!』

 

赤いオーラが士道を包み込み、龍を模した全身鎧が士道に装着される。士道は風を切り裂きながら背中のブースターをフルパワーで放出させて、全速力で村を目指した。

 

「………待ってて下さい六華さん、俺が必ず救います!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道がこの村を出て一時間ほどが経過した時、この村を突如悲劇が襲った。

―――謎の生命体が群れを成して現れ、村を蹂躙し始めたのだ!

 

全身が青色で筋肉の部分だけ赤色に染まっている宇宙人のような生命体が、ハサミのようになっている両腕から光線を放ち、民家を破壊していく!!

それだけではない、空中には翼以外の全身が機械でできたようなドラゴンが空から尻尾を叩きつけて村の大地を抉る!!

さらに、翼が生えた巨大な蜘蛛の怪物が炎を撒き散らして民家を片っ端から燃やしていく!!

 

青色で両腕がハサミの生命体が一〇〇に迫る数で光線を放ち、機械のドラゴンと翼が生えた蜘蛛がそれぞれ一体ずつ存在し、村を無慈悲に破壊していく!!

それを防ぐべく、たった一人で謎の生命体が成した群れを相手に勇猛果敢に立ち向かう!!

その少女は―――士道を救った六華だ。

六華の衣装は先ほどの巫女装束とは大きく異なっている。頭の上には天使が纏うような光輪が金色に輝き、右手には大きな宝玉がはめ込まれた自分の身長と同じ長さの杖が握られ、白銀に輝くドレスのような白いローブが体を包んでいる、さらに背中には五対十枚の黄金に輝く天使の翼が顕現している!!

―――六華の姿は霊装を纏い、村を守護する精霊そのものだった………

 

「………『護星天(ミカエル)』―――【封剣(フォース)】ッッ!!」

 

天空から無数の光の刃が降り注ぎ、大量の両腕がハサミの生命体に命中する!!

光の刃が突き刺さった両腕がハサミの生命体は身動きが取れなくなり、その場に貼り付けられたが如く動かなくなった!

しかし、翼の蜘蛛も機械のドラゴンは上級の生命体なのか攻撃が当たっても一切怯む様子がなく、六華を目掛けて攻撃をする!

 

―――GGYAAAAAAAAAAAAAA!!!!

 

―――キシャアアアアッッ!!

 

翼が生えた蜘蛛が広範囲に炎のブレスを吐き散らし、機械のドラゴンは強靭な尻尾を六華を目掛けて叩きつける!!

六華は杖を地面に突き刺し、自分の周囲にドーム状の結界を展開する!!

 

「―――【輝壁(シュテル)】ッッ!!」

 

展開された結界は謎の生命体たちの攻撃を全てかき消し、六華が展開した結界には傷の一つも付いていない!

六華の戦い振りを見ていたこの襲撃の首謀者の男は、手を叩いて六華に拍手を送っている。

 

「一瞬のうちに数千、数万の人間を殺戮できるこの化け物共の攻撃が一切通用せんとはな………本当に大したもんだよ、お前」

 

憎しげに拍手を送るその男に六華は視線を鋭くし、喉が潰れんばかりに叫ぶ!

 

「………どうしてこのようなことを!?なぜ貴方はこうも無慈悲に人を殺そうとすることができるのですか!?」

 

六華の悲痛な叫びを聞いた男は地団駄を踏み、六華に指をさして怨嗟を吐く!!

 

「どうしてだと!?お前らが生きていることが憎いからに決まってんだろうがッ!!

俺のものにする予定だった女を、この俺の許可なくにゴミクズのような野郎のところに嫁がせやがって………そしてお前はこの俺の報復を防いだだけでは飽き足らず、この俺が放った魔獣を操り、残虐非道にも俺を魔獣の餌ににしやがった!!

―――あの痛みと屈辱をお前ら全員に体験させてやる!!ただ年老いて死んで行くお前らにとっては、この上なく贅沢な死を体験できるだろう………さあ、この俺に泣いて感謝しろおおおおおおお!!」

 

………そう、この男は一年前に村に魔獣を解き放った男だ。士道には『領主の部隊が助けてくれた』と告げていたが、領主の部隊が行った仕事は、残党の始末のみだったのだ。

この男を始末し、魔獣の大半を撃退したのは全て六華が一人で行っていたのだ。

 

「………心を失いし凶暴なる魔獣よ、我に従い、我が力と化せ―――【天操(マクア)】ッ!」

 

六華が杖の宝玉を天にかざし、謎の生命体の群れへ杖を振り下ろした。

―――六華が行ったのは、洗脳攻撃だ。魔獣や自然を自分の意のままに操る六華の天使が持つ能力の一つ。

一年前はこの能力でこの男が放った手下の魔獣を操り、この男を倒したのだ。

村を白い光輪が展開され、その光輪から幾重にも輝く粉末が降ってくる!!粉末は村を襲撃する謎の生命体たちに付着する!!

 

「―――汝らの主を攻撃せよ!!」

 

六華の杖から光の波動が迸り、謎の生命体に命令を下した………………しかし、謎の生命体たちは六華の命令に逆らい、六華を攻撃する!!

 

「………ッ!?【輝壁(シュテル)】ッ!!」

 

村を襲撃する謎の生命体たちの攻撃から身を守るために、六華は杖を再び地に叩きつけ、巨大な結界を展開した。

六華は「………どうして効果が無かったのか?」と結界の中で頭の中であらゆる可能性を考慮していた。

男は六華の様子を見て腹を抱えて大爆笑する!!

 

「………一年前と違い、上手く行かなかったようで残念だったなあ!!お前のその能力は脅威そのもの―――しかし、それは()()()()()()に限るようだな!!あのお方が仰られていた通り、この化け物共は最高だなあおい!!」

 

六華は男の言葉を聞いて、すぐにこの生命体たちがどのような存在なのかを悟ることができた。

 

「―――ッ!?では、その生命体たちは………」

 

「ご推察の通り、こいつらは造られた生命体だ!それも一年前に俺が放った魔獣共とは次元が違う強さを誇っている!!

これが俺の新たに授かった力―――神滅具(ロンギヌス)魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』、世界そのものを滅すことすら可能な、俺のためにあるような力だ!!」

 

………元々この男は特殊な道具を作ることに長けていた。一年前は、魔獣を閉じ込める箱をこの男は作り出し、強力な魔獣を数十体ほど集めて村に解き放ったが、六華の天使の前には強力な魔獣も簡単に操られ、この男もまた魔獣に食い殺された。

―――しかし、この男が作り出した生命体に【天操(マクア)】は通用しない。

………幸いにも【輝壁(シュテル)】で作り出した結界はまだ傷一つ入っていないが、いつまでも持ち堪えられるわけではない。

しかし、次の瞬間さらなる悲劇が六華を襲う!!逃げ遅れ、瓦礫の下敷きになっている女の子の姿を男は捉える!!

 

「フフハハハハハハハッッ!!こいつは実にいい、まだ逃げ遅れがいたか………よし―――召喚(サモン)っ!」

 

男の目の前に魔法陣が展開され、新たな生命体が現れる。

全身が深緑の殻で包まれ、手足には数メートルはあろうかという鋭い爪、長さが五メートルに達しそうな尻尾を有した、全長十数メートルを誇る怪獣が召喚された。

 

「殺せ、あの小娘をズタズタに引き裂けぇぇぇぇぇ!!」

 

―――グギャアッ!!

 

男が怪獣に命令すると、怪獣は巨体にも関わらず風を切り裂きながら女の子に迫る!

六華はすぐに結界を解除し、女の子の救助に向かう!!

 

「―――させないっ!!」

 

無防備になる六華を機械のドラゴンと、翼が生えた蜘蛛が攻撃を仕掛ける!六華はドラゴンの爪を間一髪のところで避け、蜘蛛が立ち塞がり、六華を拘束しようと糸を吐くが、杖を天に掲げ蜘蛛の糸を反射し、蜘蛛の動きを封じる!!

 

「いやあああああああああああ!!!」

 

女の子は泣き叫ぶが、怪獣の爪が襲い掛かる!!間に合わないと思った六華は杖を女の子の前に投げ捨て女の子の半径数メートルに結界が展開される!!

怪獣の爪は、六華の結界に阻まれ女の子を傷つけることが出来ず、爪が弾き返された怪獣は地面に倒れ伏した。

 

―――だが………………

 

「―――カ、ハッ!?」

 

動きが止まった六華の背中ドラゴンの尻尾が捉え、六華は近くの高台に叩きつけられた。

ドラゴンの尻尾の威力は絶大で六華の霊装を容易く破壊し、六華の背中からはドクドクと血が溢れている!!

 

「くっ………まだ、私は………」

 

六華の体は激痛に支配されながらも、立ち上がった。しかし、受けたダメージは大きく、手足が震え立っているのがやっとという状態だった。

………立ち上がった六華を見た男は、ニンマリと笑みを浮かべ口の端を吊り上げる。

 

「さすがは精霊と称される化け物女。アレが直撃して真っ二つにならないことが不思議で仕方がない―――でも良かった、お前にはこの世の全ての絶望を味わってから死んでもらう予定だったからなぁ………自分の目の前で父や仲間が殺され、お前自身はこの俺に指を一本ずつ斬り落とされていき、四肢を斬り落とされ、体をグサグサと抉られ、最後はその首も綺麗さっぱり地面に落として殺してやるよ!!どうだ!?涙が出るほど嬉しいだろう!?」

 

「―――そんなことは、させません………!」

 

………どれだけ残酷な宣言をされようが絶望しない六華を見た男は、唾を吐き捨てた。

 

「チッ、くっだらねえ………何をやろうが絶望しやがらねぇ………この女が泣き叫ぶ様子を見たかったが、仕方がない―――お前はもう死ね」

 

男は確実に六華を仕留める為に、先程の怪獣に手で合図を送る!!その合図に怪獣は飛び上がり、踏み潰さんばかりに六華を目掛けて急降下!!

六華は躱そうとしたが―――足に力を入れた時に妨害を受ける!!

 

「―――っ!!」

 

翼を持った蜘蛛が六華の足に糸の塊を吐く!その糸が六華の足に絡まり、六華は身動きが取れなくなった。

―――そして、先程飛び上がった怪獣はもうすぐ目の前まで迫っている!!

 

「フフハハハハハハハ!!逃げられんぞ、ここで死ねぇぇぇぇぇ!!」

 

男は六華が怪獣に踏み潰される事を確信し、歓喜の笑みを浮かべた。

………六華にはもう自分を守る術は無かった。自分の天使は逃げ遅れた女の子を守る為に使っており、自分の手元に戻せばあの女の子の命は無い―――だから六華は自らを守る為に、天使を使おうとしなかった。

 

「―――誰か………ねえ誰か!!六華おねえちゃんを助けて!!」

 

「助けなんて来ねえよバァカッッ!!こいつは今日、この場で、死ぬんだよおおおおお!!」

 

女の子が六華の天使に守られながら悲痛な叫びを上げたが、男はその願いを一蹴した。

男は確信していた。自分が召喚した怪獣が自分を殺した六華を確実に踏み潰し、その命の灯火を消し去ってくれる事を………

 

 

 

ドオオオオオオオオンンッッ!!

 

 

 

怪獣が落下し、村に凄まじい砂煙が立ち込める!!男は六華の死体を回収しようと、自分のすぐ近くに呼び寄せた機械のドラゴンに翼で風を起こさせ、砂煙を吹き飛ばす!!

 

男が期待していた光景は、怪獣が高台を崩壊させ、地面に隕石が落下したような大きな穴が作られ、その穴の中央部に六華の死体が転がっている光景だったが――――――その光景は物の見事に裏切られた………

 

「バ―――バカな!?なぜアイツは死んでいない―――いやそれ以前に………何者なんだ、テメェはよお!?」

 

―――死体は転がっている………しかし、それは男が望んでいた六華の死体ではなく、頭と体が分かれて真っ二つになっている怪獣の死体だった。

そして、赤い全身鎧を纏った存在が二本の剣を握りしめて、六華の目の前で立っていたのだ。

 

「え………これは夢なの?それとも―――私、死んだのかな………」

 

六華は目の前に突如現れたヒーローを見て、涙が自然と溢れ出ていた。

―――怪獣に踏み潰されそうになった時、六華は頭の中でとある光景が思い浮かんだ………それは、ほんの少し前に見送った少年が自分を守ってくれた姿だった。

その少年は知らない自分の事すら守ってくれた。だから六華は期待してしまった―――“彼がまた私を守ってくれるのではないか?”と………そして、その少年は叶えてみせた―――六華の願いを!!

 

「貴女が見ている光景は夢でもありませんし、貴女はまだ死んでいませんよ―――本当に間に合って良かった………!」

 

六華は目の前に現れたヒーローを見上げた。そのヒーローは自分が待ち望んでいた存在だった―――そのヒーローの名前を六華は呼ぶ!

 

「―――士道さま!!」

 

そのヒーローは精霊を守護する赤龍帝―――五河士道だ。

士道は間一髪のところで怪獣を斬り伏せ、六華を救出することができた。

士道は村を破壊した男と謎の生命体たちを睨みつける!!

 

「………村を破壊し、六華さんをこんな目に遭わせやがったのはお前らだな?」

 

「ああ、こいつは今日この場でこいつに殺される事になっている。邪魔をするならお前も―――ぐぎゃああああああ!?」

 

男に最後まで言わせる事なく、士道は男の顔面に右ストレートを振り抜いた。男は何度もバウンドしながら瓦礫の中へと吹き飛んだ。

 

「………それ以上言わなくていいぞ?聞いた俺が馬鹿だったからな―――覚悟しろよ三下ども、落とし前つけさせてもらうぜ!!」

 

男とその配下の生命体たちは、赤龍帝の逆鱗に触れた。

 

 




今回はほぼシリアスのみの展開になってしまいましたが、次回はギャク等も挟む予定です!
乳ネタやエロを期待されている読者の皆様、本当に申し訳ございません!!

リンドヴルムは十一人いた精霊のうち、九人を殺した―――でも、残っている精霊はなぜ残り一人?
この疑問に関する答えとしましては、前話にヒントがあります。
この章の最後の方ではっきりと明かす予定ですので、それまでお待ち下さい。


次回予告

多くの者にその存在を畏怖され、地上最強とも呼ばれた二天龍の片割れ•赤龍帝ドライグ!しかし、本作品では士道の乳ネタに精神を削られ、その威厳は地の底まで落ちている!!―――しかし、そんなドライグも次回は天龍の威厳を取り戻す!?

ドライグ「………俺からしてみれば、お前らもあのクズと共犯にしか思えんのだがな」

―――ある出来事をきっかけにドライグの雷が落ちた!何が起こったと言うのか!?

★おまけ

くるみん「―――ハイスクールDxDの原作七巻もこれで完全制覇ですわ。今回もとても楽しませていただきましたわ」

くるみんは精霊専用の特殊住居の自室でベットに寝転がりながら、次元の守護者•ヘルメスの作品―――ハイスクールD×Dの原作を読み終えた。
彼女の本棚には教科書や参考書の上にハイスクールD×Dの原作が一巻〜七巻まで左から番号順に並んでいた。

ピーンポーン

インターホンの音が鳴り響き、くるみんは扉を開けた。扉の向こうには―――ダンボールを持った魔法使いの姿が………

ソロモン「あ、宅配便でーす。サインをお願いします」

次元の守護者のソロモンである。くるみんはペンでソロモンが出した紙にサインをしてダンボールを受け取った。
くるみんはダンボールを見渡したが、何が入っているかが書いていなかった。しかし、送り主の名前を見ると、五河士道と書かれてあった。

くるみん「………士道さんが、わたくしにプレゼント?」

ソロモン「ああゴメンね、僕としたことが中身を書き忘れたよ。そのダンボールの中身は―――水着なんだよね〜。
士道くんに頼まれていたものが完成してね………今回の水着は―――なんと熱で透ける水着!!修学旅行が沖縄から或美島に変更になったんだよね?灼熱の太陽が輝く或美島なら、十秒もしないうちに役目を果たす代物さ!」

くるみん「―――ひっ!?絶対に着ませんわ!こんな水着絶対に着ませんわ!」

キラーンッ!と親指を立てて光が輝くような決めポーズを取るソロモン!
どんな水着か知らされたくるみんは悲鳴をあげる!!

ソロモン「まあそんな硬いことは言わずに、士道くんのオカズの役目を果たせるなら上出来とは思わないかい?
―――例えキミが着なくとも、十香ちゃんや折紙ちゃんは士道くんのためなら喜んで着用すると思うんだけどなぁ〜」

くるみん「……………わ、わたくしも着ますわ!わたくしも士道さんが大好きなんですもの!十香さんや折紙さんに負けはしませんわ!」

ソロモン「うん、それでこそだ!」

くるみんは顔を真っ赤にしながらも、その水着を自分の修学旅行のスーツケースにしまい込んだ。
熟したトマトのように真っ赤になり、顔から湯気を放出させているくるみんの姿を見たソロモンは、ニコニコと満足そうに微笑んだ。
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