デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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間一髪のところで六華を救った士道。
おっぱいドラゴンの逆襲が今、始まる!

更新が遅れてしまい、大変申し訳ございません!




四話 ぶちのめします!!

「覚悟しろよ三下ども、落とし前つけさせてもらうぜ!!」

 

士道は視線を鋭くして、村を半壊させた男とその男が放った謎の生命体に鋭い視線を向ける。

男は瓦礫の中から這い上がり、浮かべていた汚い笑みが憤怒に変わる!

 

「痛い!?痛い痛い痛い!!痛いよコンチクショオオオオオオオオッッ!!ふざけやがって………楽に死ねると思うなよ!?このクズがああああああ!!」

 

男は士道を指差し、両腕がハサミのような宇宙人のような生命体をけしかける!!

先程このハサミの生命体は六華の天使で動きが封じられていたが、六華がダメージを受けたことで能力が解除され、動けるようになっていたのだ。

命令を受けた生命体たちは、雄叫びを上げて士道を目掛けて襲い掛かる!!

 

「―――舐めてんじゃねえぞおおおおおおお!!」

 

士道は十香の天使『塵殺公(サンダルフォン)』を顕現させ、霊力を纏った斬撃を放つ!!

士道が放った斬撃が遥か彼方に消えると―――士道に襲いかかった生命体は、全て消滅させた。

 

「有りえん………こんなことがあって良いものか!?俺は………俺は世界を滅ぼすことができる最強の力を得た!!それが………それがこんなクソガキ相手に負けるなんぞ、許されるものかあああああああ!!」

 

男は自分の配下の怪物どもの半分を一撃で消滅された、現実を受け入れることができず、奥歯を噛み締めギリギリと鳴らしていた。

だが、男は六華の杖に守られている女の子に視線を送り、再び汚い笑みを浮かべる!

 

「おいクソガキ、今すぐ武装を解除しろ!さもなければ――――――あいつの体をバラバラになるところを拝ませてやるぞ!?」

 

男は卑劣にも人質を取る作戦に出た。男が手で合図を出すと―――残っている怪物たちは、六華の杖に守られている女の子に迫る!!

 

「………いけないっ!!」

 

六華は怪物全ての攻撃を受ければ、強力な結界も保たないと考え、傷ついた体を起こして女の子の救助に向かおうとするが、体が思うように言うことを聞かない!

 

「そのバラバラにする方法とやらに興味がある―――どうやってやるんだ?」

 

女の子を助けるどころか、余裕の笑みを浮かべて男を見る士道。男は焦りもしない士道の様子を見るやいなや、目を鋭く開いて口の橋を釣り上げる!

 

「人質として利用するために、あの小娘を殺さないと思っているのであれば、残念だったな――――――こうやるんだよッ!!」

 

「………どうしたい、()()()()()()()()?」

 

男は怪訝に思い女の子の方に視線を向けると――――――女の子を殺そうと向かった怪物たちの姿が消えているのだ!!

………男の頭はこの状況を理解に苦しんだ。目の前の士道は男の目の前から一歩も動いておらず、六華も立ち上がりはしたが士道の背中に守られている。

誰がどうやって自分が創り出した生命体を消したのかが理解できなかった。

 

「―――っ!?まさか、こんなことが………だが、まだだ!この程度で終わると思うなっ!!」

 

男は魔法陣から再びモンスターを召喚する!新たに召喚されたモンスターは先ほどの怪物に比べれば強さは劣るが、数は先ほどの三倍以上の数を揃えてきた。

 

「………これで形成逆転だ。先ほどのようにはいかんぞクソガキっ!!」

 

男は息を荒げながら声を上げた。強さは劣るとはいえ、モンスターの数は先ほどの三倍を超える。

これだけの大群を目の当たりにした士道だったが、余裕の表情は崩れない。

 

「大した手品だ―――だが、戦いにおいて大切なのは数よりも質。いくらガラクタを揃えたところで、俺が斬り伏せたあの怪獣に一匹すら程遠い………恐れるに足らねえな」

 

「………ほざくなクソガキッ!!先程のように行くとは思うなよっ!!」

 

男は根拠のない余裕を浮かべる士道に憤り、声を荒げた。士道は呆れながら手を天に掲げる。

 

「………ったく、面倒くさいったらありゃしねえ………」

 

士道は天に掲げた手の指をパチンッ!と弾く!

次の瞬間――――――突如大地を切り裂く凄まじい光の本流が天に届かんばかりの勢いでモンスターの大群を飲み込んでいく!!

そしてその本流が消え去った時には………また男は手下の怪物を失い一人になっていた。

男は「なぜだ………なぜだなぜだなぜだ、なぜだあああああああああああ!!」と喚き散らしながら、尻餅をついて後ずさる

士道は男の様子を鼻で笑い、吐き捨てるように真実を告げる。

 

「………お前の『魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』は、使い手によっては世界の終焉を招いてしまう、危険極まりない上位神滅具(ロンギヌス)だ。だが――――――使用者がヘボ過ぎるせいか、お前では世界を壊すどころか、人間一人すら満足に殺せないようだな」

 

皮肉を最大限に込めて士道が放った言葉に、男の顔は屈辱に歪んでいた。悔しそうに唇を噛み締め、目の血管が破裂しそうな勢いで目が振動していた。

―――男は召喚したモンスターを消しているのは、士道であることは分かっていた。

だが、士道は六華を助けた時と、自分に向かってくるモンスターを消した………この二回以外は使っておらず、一歩もその場から動いていないのだ………この事実がこの男の頭を狂わせていた―――どうやって自分のモンスターを消滅させたのかと………

 

「………くそっ!撤退だ!だが覚えていろ!この屈辱、倍にして――――――お、おおおちるぅぅぅぅぅ!?」

 

男は巨大な怪鳥を思わせるモンスターを召喚し、背中に飛び乗り逃亡を図ったが………今度は光の斬撃が怪鳥の頭を切り落とし、怪鳥は粒子になって消滅した。その結果、男は頭から地面と正面衝突した。

 

「逃げられるとでも思っていたのか………全くお笑いだ」

 

『同感だな。この男の頭の中には脳の代わりにうどんでも入っているのか?

………見逃しても良いが、この男を見逃す理由は無い―――この場で始末しても問題なかろう』

 

………男を嘲笑する士道とドライグの赤龍帝コンビ。『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』と『魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』を比較すれば、上位神滅具(ロンギヌス)である後者の方が確かに強い。

しかし、それは使い手によって大きく異なる。『魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』も禁手(バランス•ブレイカー)に至れば龍王クラスの怪物や、神殺しの能力を有した魔獣を何体も召喚できるが、それは至ってこそだ。現にこの男が禁手(バランス•ブレイカー)に至っていないことは明白である。

―――そして今代の赤龍帝である士道は、既に禁手(バランス•ブレイカー)に至っており、更に精霊の武装でもある天使すら顕現させる事が可能だ。

この男と士道のどちらが強いかは、火を見るよりも明らかだろう………

 

「………おのれ!おのれおのれおのれッ!おのれッ!!こうなったら最後の―――うっ!?どういう事だ………なぜお前は()()もいるッ!?」

 

男は立ち上がり、新たなモンスターを召喚しようとしたが、眉間に剣を突きつけられ、動きが止まった。

男に剣を突きつけていたのは………()()()()()()()()()()()()士道だった。

男は理不尽な現実に頭が混乱していた。目の前に同じ顔をした男が二人いれば困惑することは必然だろう。

 

そう………この能力は――――――くるみんの天使『刻々帝(ザフキエル)』の【八の弾(ヘット)】による過去の自分を再現した分身体だ。その分身体にアスカロンを握らせて、男のモンスターたちを殲滅させたのだ。

 

「俺はこのように分身体も作ることができてね………俺に比べれば力も落ちるし、まだ一人しか制御することができないが………お前が相手なら分身体だけでも既に死に体だな」

 

「んだよそれ、強過ぎんだろっ………」

 

男は圧倒的な戦力差に絶望し、立ち上がることができなかった。

………神器の使用ができない分身体の士道とすら満足に戦うことができない上に、その分身体の後ろには大幅に上回る力を持つ士道本体がいる。

さらに、先程墜落した時に全身を痛め動く事すらままならない状態にまで男は追い込まれた………この男に戦う力はもう残っていない。

 

「………どうやらここまでのようだな。トドメを刺す前に一つだけ聞かせてほしい―――お前はどうやって『魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』を得た?先天的に宿していたのか、それとも何者かがお前に与えたのか?」

 

士道が訊ねると男は顔を上げ、低い声で「後者だ………」と答えた。男の顔は屈辱に歪み、歯を噛み締めていた。

 

「―――そうか。これが最後の質問だ………お前にその神滅具(ロンギヌス)を与えた存在は何者だ?」

 

「さあ、知らねえな。俺にこの力を授けたお方は、『自分はこの世界を滅ぼす者だ』と仰っていた。俺は役目を果たすことができなかったが、あのお方は俺と同じ轍を踏みはしなきだろう………くっ、限界か―――この俺の手で汚物(村の連中)を消毒したかったが、あのお方がそれを代行して下さるだろう」

 

「………っ!お前、まさか―――」

 

男の体に異変が起きていた。男の両足が既に灰となって地面に崩れ堕ちおり、上半身にもそれは侵食していた。

士道はこの男が何を行ったかはすぐに気付いたが、男は手を前に出して士道を制した。

 

「………そうだよ、俺がやったのは悪魔の取引だ。あのお方のおかげで再びこの世に蘇ることができたが、無論()()ではない。

………村を滅ぼした上で、この化け物女の死体を持ち帰ることができれば『魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』を得て、再び生を送ることができる。

しかし、失敗すれば俺に登る太陽は無い―――だが、俺も分かっていたさ………仮に()()()()()()()()()()()()()()ことくらいはな」

 

「………………」

 

―――運命というものは非常に残酷なのかもしれない。

この男は六華の姉に好意を抱いていた………しかし、不幸なことに六華の姉はこの村を統べる領主の元に嫁ぐことが決まっていた。

………六華の姉が領主に嫁ぐことが無かったとしたら、この男は六華の姉と幸せになれた未来があったのかもしれない。もしその未来があるならば、一年前の惨劇と今の襲撃は起こらなかった事象だ。

士道は想像した未来と目の前の現実に言葉が出なかった。

 

「………俺もお前に一つだけ訊きたい。お前に好きな人がいだとしよう。そのお前の好きな人には、結婚相手がいると決まっていたとしたら―――お前ならどうする?」

 

男の上半身の大半が灰になり消滅しようとしていた時、士道を見て男は訊ねた―――それは一年前に男が置かれた境遇だったのだ。

士道は男の質問に間髪入れずに堂々と答える。

 

「俺は諦めやしない―――例え二度と近づくなと言われたとしてもな。どれだけ時間が掛かったとしても、必ず振り向かせてみせる………俺は一度や二度拒絶されたくらいで諦めが効くほど、理解のある人間じゃないからな」

 

「そうか………俺もそうするべきだったのかも知れんな」

 

士道が出した答えを聞いた男は、満足そうに頷いていた。男が頷いたその時には―――男は完全に消滅して灰の山へと変化し、一陣の風に吹かれ天空へと舞っていった。

 

『………実に相棒らしい答えだった。全世界の男どもは自分の彼女を相棒にパクられないか気が気でないだろうな。今頃パンツで大洪水が発生してるのではないか?』

 

「………だろうな、なんせこの世の全ての女は(オレ)の物。幼女であれ美女であれ熟女であれ、(オレ)の許可なしに雑種どもがコバエの如く集るなど万死に値する―――ってどこの英雄王だよ!?でもまあ、俺の十香達に手を出す輩は皆殺しだが………って違う!!今はそれどころじゃねえだろ!?」

 

………ドライグのボケに珍しく士道がツッコミに回った。一難去ったことで赤龍帝コンビは平常運転されていた。

しかし、重要なことはそのことではない。この世界に飛ばされてきた自分を助けてくれた恩人―――六華の体が限界に近づいている………傷口から溢れ出た大量の出血で顔が白くなり、意識が朦朧としている!!

先程まで六華の天使に守られていた女の子が士道にしがみついた。

 

「おにいさん………六華おねえちゃんを―――助けて!!」

 

涙を流しながらの女の子の懇願だった。その女の子の懇願を見た士道は力強く頷く。

 

「………ああ、任せろ!六華お姉ちゃんは俺が絶対に助けてやる―――来やがれ『刻々帝(ザフキエル)ッ』!!」

 

士道は自分の背後に巨大な時計を出現させる―――くるみんの天使『刻々帝(ザフキエル)』だ。時計の『Ⅳ』の文字から手に待つ短銃の銃口に霊力が凝縮されていく。

 

「『刻々帝(ザフキエル)』―――【四の弾(ダレット)】っ」

 

パァン!

 

士道は銃口を六華に向け、短銃の引き金を引いた。放った霊力弾は、六華に命中し彼女の背中の傷を瞬時に消し去った。

傷が治り、立ち上がった六華を見た女の子は六華に飛びついた。

 

「―――六華おねえちゃああああああん!」

 

六華は飛びついてきた女の子を優しく受け止め、母親のように女の子の頭を優しく撫でていた。女の子と六華は手を繋ぎ士道に感謝の意を述べる。

 

「ありがとうおにいさん、六華お姉ちゃんを助けてくれて!」

 

「………士道さま、本当にありがとうございました。私とこの子を守ってくれて―――本当に、ありがとう………っ」

 

………この女の子の天真爛漫な笑顔と感情を抑えられず、目から雫が滴りながらも見せてくれる六華の最高の笑顔―――これだけで士道は満足だった。

 

「おう!困った時はまた駆け付けてやるからな!」

 

士道もまた二人に笑顔を見せることで答えた。だが、村を見渡すとその笑顔もすぐに消えてしまった。

先程の戦闘で村が廃墟と化してしまったからだ。ほぼ全ての民家が先程のモンスターに襲撃され、あの美しい村は見るも無残な姿に変わり果てていたからだ。「来るのが遅かった………っ」と自分を憎んだが、左手からドライグが士道に言う。

 

『いや、そうでもなかろう。あの「ナイトメア」時崎狂三の「刻々帝(ザフキエル)」は対象を選ばん。俺が力を倍加し、それなりの霊力を込めた弾丸を数発村へと打ち込めばこの村はすぐに元通りに戻るだろう』

 

「………そうか、その手があった!よしドライグ、早速準備に―――えっ?」

 

士道が『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』を左腕に纏い、再び鎧を具現化させようとした時だった………既に村は完全に修復されていたのだ。

そして、自分のすぐ後ろから強大な力を感じ取った士道が振り返ると―――六華が砂時計を宙に浮かせ、砂時計の中の砂が凄まじい輝きを放っている!

 

「―――六華さん、今のは………」

 

「我が村に伝わる宝具―――『時の砂』です。その名の通り時間に干渉できる砂時計です。時の砂は、周囲の空間の時間を戻すことが可能な宝具で、最大二十四時間前まで時間を遡ることができます………時を進めることや、失った命を取り戻すことは出来ないという欠点はありますが………」

 

六華から時の砂の説明を聞いた士道は、その効力に舌を巻いた。

 

「すっげぇな………くるみんの天使『刻々帝(ザフキエル)』にも負けてないぞ」

 

『「刻々帝(ザフキエル)」の効果対象は一つの対象もしくは対人だ。しかし、この宝具は周囲を巻き込む事ができる。どちらも本当に驚異的な能力だ』

 

ドライグの分析に士道は相槌を打ち、その考えに賛同した。時間に干渉できる能力を持つものは非常に少ない。

くるみんの『刻々帝(ザフキエル)』や六華の持つ『時の砂』は、喉から手が出るほど欲しい財宝だろう。

………さて、話を戻そう。騒ぎが収まったと感じたのか、この村の神殿の方角に多くの人の気配を感じ取った―――この村に住む人間の気だ。

厄介ごとになる前に去ろうと村の外へと足を進めた士道だったが、六華に腕を掴まれ思わず立ち止まる。

 

「………士道さま、もしよろしければ、今日は私の家に泊まって貰えませんか?細やかながらお礼をさせて頂きたいのですが」

 

「そんな、気持ちだけで充分です。この世界に来て右も左も分からなかった俺を助けてくれたのは六華さんです。だから俺はその恩に応えたかっただけですから………」

 

「―――士道さまは私だけでなく、麗奈(レナ)とこの村を護ってくれました………私はまだ何も返せていません、せめて士道さまが元の世界に戻るお手伝いを、私にも手伝わせて下さい!」

 

士道は当たり前の事を当たり前にしただけだと伝え、去ろうとしたが………六華は士道の腕を離すことは無かった。

六華の芯の強さは、恐らく士道にも負けないほど強いものだろう。彼女の中では、自分を命懸けで救ってくれた英雄に何かお礼がしなければ気が済まないようだ。

………ちなみに麗奈というのは先程の女の子だ。先程まで六華と手を繋いでいたが、両親が自分の娘が生きていることを喜び、抱きしめられている様子だった。

そんな時だった、杖をついた老父が士道と六華に歩み寄ってきた―――その老父は六華の父でこの村の村長を務めるものだ。

 

「少年―――いや、士道殿。娘を………そしてこの村を助けていただきありがとうございました。もしそなたが駆け付けてくれなければ、六華は死んでおったじゃろう………これまで我々のひれいを心から詫びよう―――申し訳ございませんですじゃ」

 

「いえ、そんな………俺は助けられた恩を返しただけです。六華さんやあなたたちが無事なら、それに越した事はありませんから」

 

「六華が仰られていた通り士道殿はお優しい方ですじゃ………士道殿、そなたのお人柄とその力に見込んで頼みが―――『断る。自分たちで解決すれば良かろう』」

 

六華の父が士道に頼みごとをしようとしたその時だった。士道の左腕に解除した筈の籠手が突如現れ、その頼みごとを一刀両断!!

 

『………すまんな相棒、今回だけは俺も譲るわけにはいかん―――驚かせて悪かったなジジイ。俺のことはこの男―――五河士道の第二人格とでも思ってくれれば良い………さて、ジジイとこの村の人間どもよ言葉の通りだ―――貴様らの問題なんぞに構っていられるほど俺たちは暇ではない』

 

―――乳ネタ以外で士道の行動を制限しなかったドライグが、珍しく士道の意思を聞く前に真っ向から否定をした。

………ドライグが述べた言葉に六華は当然だと思い、何も言う事は無かったが、そうではない者がまだここにいた。

―――六華の父でもあるこの村を治める村長は、藁にもすがる思いで士道の右手を両手で掴み頭を深く下げて頼み込む!

 

「お願いですじゃ士道殿!六華と我らを助けて下され!お主だけが頼みなのじゃ!士道殿がいてくれればこの村は安泰なのですじゃ!」

 

六華の父親は士道の腕を離そうとしなかった。そしてそれだけではない!!

もう村に危機がないことを悟り、出てきた村人たちが一斉に士道に頭を下げ始めた。

 

「士道殿、村長のお願いを聞き入れてくださぇ!」

 

「士道さま、我らをお助け下さい!」

 

「士道どの!どうか我らが英雄になってください!!」

 

………村人たちのこの行為をどう捉えるかは人によって変わるだろう。村人たちは必死で村を守るために全員が必死になっているとそう捉えることもできる。

当然ながら別の捉え方もまたあるだろう―――それが今から述べるドライグの言葉がその解答だ。

 

『ガハハハハハハハハハハ!!これは愉快だ、実に愉快だ!一度は村から追い出した者を役に立つから迎え入れるか………ご都合主義もここまでくれば怒りを通り越して笑いが出る。ショートしたコンデンサが頭に入っている貴様らだからできることだな―――見苦しいにも限度がある。そもそも自分たちで守ることのできない村は滅んだ方が世のためだ』

 

『………ッ!!』

 

ドライグが言った言葉に六華を除いた村人たち全員が込み上げてくる怒りを堪えるように歯を食いしばっている!!

これ以上は乱闘騒ぎになり兼ねないと感じ取った士道はドライグを止める!!

 

「お、おい!?いくらなんでも言い過ぎだぞドライグ!!その辺にしておけ、俺は気にしてないから。取り合えず拠点がある事は有り難いし、許可してくれるならこの村に留まらせてもらって損はないだろ?」

 

『良かったな貴様ら、相棒は偽善者だからそこの六華のように村を守る為に戦ってくれるらしい。実に愉快な話だな、貴様らは()()()()()()()()神殿の最深部でガタガタ「怖い怖い………」と震えているだけで全てが終わるだろう………厄介ごとを六華一人に押し付ける事がなくなって心が軽くなったか?』

 

ドライグが突き付けた現実が効いたのか、全員が足元に視線を伏せるだけだった。

………村人の姿が綺麗さっぱりいないことに気付いた時、士道は既に殺されたと勘違いした。しかし、後から気配を探れば神殿内に村人たちが避難したことを知ることができた。

………士道の場合なら六華に押し付けたことを悪い事だとは思わない―――十香たちに危険が迫ることを察知すれば彼は必ず安全な場所に十香たちを避難させ自分一人で解決しようとするからだ。

六華の父である村長が視線を突っ伏しながらも言う。

 

「………だが、六華以外の者に超常の力と戦う術はない。儂らは非力なのじゃ………」

 

『それで先ほどのような事が起これば自分の娘一人を戦場に送り、自分たちは安全な場所で怯えているだけだと!?そして今度はその役を六華から相棒に押し付けるつもりか!?現実が見えていないのであれば俺が教えてやる―――あの男の蛮行は理解し難いが、貴様らもあの男に負けず劣らずの悪党だ。お前ら全員が我が身惜しさから六華に責任を押し付けた卑怯者だ!!』

 

ドライグが放った言葉に反論する者は誰一人としていなかった。そして、誰もがこれまでの自分の行動に罪悪感を感じている様子だった。

 

「………もう止めろドライグ、この人達だって好きで六華さんに押し付けたわけじゃないはずだ。みんな歯痒い思いをしているのに、それを抉るような真似をしても何も始まらないだろ?お前が何と言おうが俺はここに残る、やるべき事はまだあるからな」

 

ドライグが村人たちをこれ以上貶めることに士道は我慢がならなかった。そして、士道は始めから六華を守る事を決意していた………これからも一人で村を守るために戦う六華の負担を少しでも減らす事の出来るようにと。

そして―――この世界で最後の一人の精霊となった六華を守るために………士道はここに留まることを決意した。

 

「ドライグ、お前が俺を大切にしてくれる事は本当に嬉しい。けどな、俺は強迫観念に突き動かされているわけもなければ、同情や憐憫と言った感情でもない―――これは俺自身がやりたい事なんだ。ドライグ、俺に六華さんを守らせてくれないか?」

 

士道の揺るぎない決意を耳にしたドライグはもう否定の言葉を吐く事はしなかった。士道の意思をドライグは首肯する。

 

『―――相棒が望む事であるのであれば、俺は何も言わん………好きにしろ』

 

「ありがとよ、ドライグ………また何かあった時は頼むぜ」

 

士道が言うと、ドライグは『任せろ』と籠手の宝玉を数回点滅させたのち、神器の中へと意識を戻した。

士道の覚悟を聞いていた六華が声を発した。

 

「………士道さま、私たちは先程ドライグさまが仰られていた通り、結果的には貴方を利用するかたちになってしまうでしょう―――本当にそれでもこの村に留まっていただけるのですか?」

 

「ええ、構いません。村から火の手が上がった時、貴方の顔が浮かびました………貴方に万が一のことがあったのかと思うと気が気ではありませんでしたから。

………元の世界に戻るまでですが協力させていただきます」

 

「―――っ!」

 

士道の返答に六華は頰を朱に染めた。嬉しかったこと以上に六華の心には何か新たな感情がタネの状態から芽を出した。

その感情が六華をどのように動かすのかは誰も知らないだろう。

 

「―――グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!」

 

いい感じの雰囲気になっていたところだった―――が、しかし!!六華の体のある部分に目が行ってしまった士道は異世界だろうが止まることを知らない!

 

「六華さん、俺には『乳に触れればその人の元に瞬間移動できる力』があります!!予期せぬ危機から貴女を守れるようにおっぱいを触らせて下さい!!貴女のおっぱいに触れる事ができれば俺は神だろうが魔神だろうが関係なくぶちのめす事ができると思います―――いや、できます!!」

 

『………おい!?血迷ったか相棒!!そんな事できるわけがなかろう―――って何をしているのだ六華よ!?』

 

士道の言葉に堪らずドライグは吠えた。ここでも士道くんは

乳ネタに走る!!そして、その乳ネタを加速させるが如く六華は巫女服をはだけさせようと胸元に手を置いている!!

 

「士道さまがそう仰るのであれば、私は構いません………ど、どうぞ!」

 

―――なんということだ!!六華は一切抵抗をせず、胸元を露出した!!

おっぱいドラゴンはもう止まらない!!限界を突破してフル稼働しているエンジンを更に加速させるが如く士道くんはもう止まらない!!

―――さらに、六華が胸元を露出させた事で村の男たちもまた士道と同様に鼻血を吐き出したりするなど、興奮度の針は軽く最大値を振り切っている!!しかし、何人かは目を指で潰されたり、隠されたりして一瞬しか六華のおっぱいを目に焼き付けることはできなかった。

それでも十分だろう。六華以上に豊かな乳はこの村には存在しないのだから!!十分過ぎる目の保養になっただろう!!

 

「グヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!!いっただっきまあああああす!!」

 

下品な笑みを浮かべ、六華のおっぱい目掛けて飛び立ったおっぱいドラゴン!!幸福を享受しあわよくばその先の世界を知ることができる―――――――――はずだったのだが………………

 

 

 

 

ビリビリビリビリビリビリっ………

 

 

 

 

「んぎゃああああああああああああ!!!!」

 

 

 

六華のおっぱいに触れようとしたその次の瞬間、全身に電流が流れ士道くんは地面に倒れ伏した。

―――まるで体の一部から雷が発生しそれに感電するかのように………

ドライグがその現象を説明する。

 

『………ああ、そう言えば―――二週間ほど前に、五河琴里に小型の雷発生させる顕現装置(リアライザ)を籠手の中に押し込まれてな――――――相棒の心拍数がある数値を超えた時にその顕現装置から雷が発生する仕組みになっている………通常の雷の数十倍の威力を誇る代物らしいぞ?五河琴里が相棒の貞操を守る為に一週間ほど徹夜し、身を削りながらも相棒のためにと完成させたそうだ。

………まだまだ「赤い童貞」でいなければならないようだな相棒!』

 

「お、お前か琴里ィィィィィィィィ!!ていうか誰が赤い童貞だよ!?こんなチャチなオモチャでおっぱいドラゴンを止めれると思ってんじゃ―――んぎゃああああああああああ!!!」

 

―――六華のおっぱいを揉むために鎧をまとった士道くんだったが………琴里が士道の童貞を守るために作った顕現装置が一歩上を行った。

 

「士道さま、大丈夫ですか!?」

 

―――村を守った士道くんだったが、琴里の顕現装置(リアライザ)に完敗し再び六華に介抱されることになった。

元の世界に戻るための赤龍帝コンビの戦いはまだまだ続く!!

 




次回から投稿のペースが格段に落ちると思います………どんなに早くても月一回のペースになると思いますが、それでも完結を目指して頑張ります。
これからもデート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜をよろしくお願いします。

次回もまたこの村での話がメインになると思います。六華の存在について少しずつ明かしていく予定をしております。

★おまけ

よしのん『四糸乃、何を買うかちゃんと覚えてる?』

四糸乃「えっと………うん」

士道とドライグの赤龍帝コンビと同様に、四糸乃とよしのんのコンビも今日もまた冴え渡っている。
琴里と令音に「街を歩きたい………」と伝えた四糸乃とよしのんは、空中艦『フラクシナス』に監視されながらお買い物だ。
………とは言っても四糸乃とよしのんがするのはお使いだ。琴里に頼まれたものを買いに四糸乃とよしのんは天宮市のスーパーを目指して歩いていた。
そんな時、電信柱から四糸乃に熱い視線を送る男の姿が………

ヘラクレス「四糸乃ちゃん、はぁはぁ………」

電信柱に隠れるように四糸乃の様子を息を荒げて眺めている巨漢が現れた―――次元の守護者•ヘラクレスだ。
可愛い幼女あるところにこのヘラクレス有り!このヘラクレスは仕事がない時は、近所の小学校や幼稚園で体育風景を遊ぶ姿を観察する事を日課にしている!!

四糸乃「………きゃあ!」

突如強い突風が吹き荒れ、四糸乃が被っていた帽子が飛ばされた!!
帽子は風に乗って流されていく!!

ヘラクレス「とおぅ☆!」

バギッ!!

ヘラクレスは四糸乃の帽子が飛ばされた瞬間に地面を蹴って飛び上がり、四糸乃の帽子を掴み取ってみせた。
………ヘラクレスが飛び上がった時に道路の一部が陥没し、小さな空間震が発生したような穴が作られた事は触れてはいけない。
ヘラクレスは四糸乃の目の前に宙返りをしながら着地をする!!

ヘラクレス「はぁい☆そこの可愛いお嬢さん、最近は強い風が吹くから気をつけなきゃダメよ?」

四糸乃「えっと、はい………ありがとう、ございます………」

ヘラクレスは四糸乃に帽子を手渡し、四糸乃はそれを受け取った。

ヘラクレス「それじゃあお嬢さん、またね♪」

四糸乃「はい!ありがとう、ございました………」

ヘラクレスは手を振って去って行った―――失礼、近くの曲がり角に姿を隠し、四糸乃の動向を見守っていた。

ヘラクレス「やったわ!ついに四糸乃ちゃんと話せたわ!今度は手を繋いで、街を一緒に歩いてみせるわ!」

この男、正にロリコン!

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