デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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今回はガッチガチのシリアスです。

※一時期離れていましたが、何とか戻って来れました。
仕事の都合上、不定期更新になりますが、まだまだ続けていきます。


六話 六華の過去です!!

「ダーリン!愛してる!」

 

〈………ああ、コレとおるんが一番疲れる。にーちゃん、マジで変わってくれんか?〉

 

「アレは相当なおっぱいだ。六華より少し小さいけど、十分に巨乳と呼ぶに相応しく、何より形が美しい。触らなくても分かる―――S+ランク以上の評価を与えよう!」

 

「士道くん、肖像画直して!」

 

士道のお腹に跨がりブサイクな熊のぬいぐるみに頬擦りするアルテミスと、グロッキーな表情をしたオリオン。

アルテミスの胸を鼻血を出しながらアルテミスの胸を格付けする士道くん。

そして、先程士道が引き裂いた肖像画を手に気を引こうと話しかけてくるヘルメス。

………このままではストーリーが一切進まないため、その無限ループするカオスな状況に終止符を打つのは当然この人。

 

『………お前ら、いい加減元に戻れ。相棒、ヘルメスの肖像画を直してやれ。それからアルテミスとやら、お前の「ダーリン」を持ってきたのは俺の相棒―――五河士道だ』

 

「はいよ―――『四の弾(ダレット)』、『四の弾(ダレット)』、『四の弾(ダレット)』『四の弾(ダレット)』、『四の弾(ダレット)』、『四の弾(ダレット)』、『四の弾(ダレット)』、『四の弾(ダレット)』」

 

士道はヘルメスの持つ肖像画に弾丸を撃ち込む―――が!!霊力を一切こめて無い弾丸なため、ヘルメスの肖像画を弾丸は貫通し蜂の巣のように穴だらけになっていく!!

 

「ちょっと士道くん!?本当にシャレになってないから!!」

 

肖像画がさらに悲惨な状態になっていくことに耐えられずヘルメスが悲鳴を上げた。その様子を見たドライグはため息をつきながら『さっさと元に戻してやれ………』と、ドライグの言葉を聞いてヘルメスの肖像画を元に戻した。

―――さて、話を進めよう。オリオンに頬擦りしていたアルテミスは士道の手を取り感謝の意を述べる。

 

「ありがとね………えーと、士道くんで良かったかしら?お姉さんのダーリンを見つけてきてくれて」

 

「いえいえ、俺は当然の事をしただけなんで。困っている女性を助けることは当たり前です。義務教育で習いましたから」

 

士道はキラキラと輝く笑顔でアルテミスに微笑む。士道くんの渾身のキメ顔は眩い光を放っていた。

その眩い笑顔で士道くんはわしゃわしゃと卑猥に手を動かしながらアルテミスに言う。

 

「―――お礼はお姉さんのおっぱいで手を打ちましょう。大丈夫です、優しくしますから」

 

「え!?えーと………」

 

………台無しである。輝く笑顔を浮かべながら手を卑猥に動かし、息を荒げ鼻血を出しながらじわじわと迫り来る変態にアルテミスは困惑していた。

そんな時アルテミスの頭の上で仰向けになっているオリオンが会話に入り込んできた。

 

〈にーちゃんにーちゃん。そーいや説明忘れてたけど、このアルテミスは次元の守護者のひとりでなぁ。蹴りで空間歪めたりオリハルコンのような超金属握りつぶしたりは平気でやるさかい。他には宝具の弓使うと世界の3分の1は死の大地になりよるから気ぃ付けた方が―――んんんぎゃあああああああああああ!!!!〉

 

「あれあれぇ?ダーリンなんか言ったぁ♪」〈スミマセン、コレイジョウハホントシヌカラカンニンシテクダサイ………〉

 

オリオンがアルテミスの紹介中に彼女の実力を話す途中で彼?のぬいぐるみボディからミシミシと、引き裂かれるような音が聞こえてきた。

………アルテミスがこれ以上は言わせまいとオリオンの体を雑巾絞りで悲鳴を上げさせ強制終了させた。

 

「恐ろしいなこの姉ちゃん。怒らせないようにしようか………」

 

オリオンが述べた真実に、先程までアルテミスの胸を触ろうとじわじわとにじり寄っていた士道の足が完全に止まった。完全に油断して相手の力を察知する事をやめていたが、ソロモンやアテナ同様にアルテミスからも隠している濃密な力を士道は察知した。

………その時、士道の頭の中で一つ疑問が浮かぶ。士道はそれについて目の前の麗しい守護者を訊ねた。

 

「………アルテミスさんはそこの詐欺師紛い(ヘルメス)や頭の上にある茶色の汚物(オリオン)と違って闘える守護者で間違い無いですよね?」

 

「さ、詐欺師紛い………」〈おいにーちゃん、ちょっとこっちこいや!〉

 

士道の問いに対してアルテミスは首を縦に振る。何処からか変な声が聞こえたがこれは無視をする。

ヘルメスやオリオンからは闘気や魔力の類の力が無いことを士道は感じ取っていた。しかし、アルテミスは隠してはいるがオリオンを黙らせる際に僅かだが闘気に類似した力を出した事を士道は見抜いた。ほんの僅かだが、先程のオリオンの言葉も嘘ではない事を確信したからだ。

 

「次元の守護者は、世界の均衡を乱す存在を討滅するための組織だとソロモンさんからは聞いています。そんなあなたたちが何故リンドヴルムを野放しにするのですか?」

 

ソロモンやヘラクレス級の強大な力を誇る次元の守護者がこの世界に存在するのであれば、リンドヴルムの暴虐は十分に防げた筈だ。

アルテミスは空を見上げる。

 

「………士道くんが言うようにお姉さんもリンドヴルムと戦ったわ。でも()()お姉さんたちではリンドヴルムを倒す事はできなかったの」

 

次元の守護者であるアルテミスをもってしてもリンドヴルムを止める事は叶わなかったようだ。士道の左手の甲から円状の光が現れ点滅を繰り返す。

 

『リンドヴルムの実力は封じられる前の俺たち―――ニ天龍に準ずるもの。貴様一人では敵わずとも次元の守護者が総出で掛かれば討滅は叶っただろう?』

 

「………」

 

アルテミスはこの問いに関しては、視線を伏せて首を左右に動かした。ただ彼女は拳を握りしめて、悔しさに震えていた。

士道の左手の甲が再び点滅を繰り返す。

 

『………次元の守護者がここまで手を焼く程の相手と闘わせるためにソロモンは相棒を送り込んだのか?あの男はリンドヴルムに相棒が勝てない事は目に見えていたはずだ。ならば、その狙いは―――相棒がいない時を狙って夜刀神十香たち精霊を全て根絶やすこと。異世界に相棒を送ってしまえば戻る術がない事を見越して―――』

 

「結論を焦るなよドライグ。前にも言ったがそれじゃあ手際が悪過ぎる。よく考えてみろ、本当に十香たち精霊が狙いなら現界した時点で殺す事は容易かった筈だ。それから、あの人は何故俺を鍛えた?それにくるみんを助ける為にフェニックスの涙まで渡した。そこのポンコツクソ野郎(ヘルメス)は見ず知らずの俺にエリクサーを用意してくれた?あの人たち次元の守護者は確かに読めない人たちだが無益な行動をする集まりじゃない。

………俺にしかできない事があるそれを成し遂げさせる為にあの人は俺をこの世界に送り込んだ。そんな気がする」

 

『このお人好しが………ここまで来ると尊敬に値する』

 

「どうして僕とソロモンでこんなに扱いが違うの!?同じ守護者なのに!!」

 

ドライグが全て述べる前に士道が考えを伝えた。士道の答えにドライグはため息を吐いて呆れていた。

ヘルメスが何か言っている―――それは気にしないでおこう。

 

「フフフッ。士道くんって結構おもしろい子ね。お姉さん少し興味湧いてきたかも」

 

守護者アルテミスも士道の印象がほんの少し良くなったようだった。しばらく考えを述べている間に士道が何かを捕まえたようだ。

 

「それはそうとアルテミスさん―――今こいつ浮気しようとしてました」

 

アルテミスは士道の右手に視線を向けると士道の右手の中にある恋人オリオンの姿があった。士道は、オリオンが巫女服の女性を目掛けて飛びこもうとしたところをキャッチした。

 

〈―――グギギギギ!何しとん兄ちゃん!?こんなパツ金巨乳美少女みっけたらそのおっぱいに突っ込みたくなるやろ!?なんで邪魔すんねん!?〉

 

「他のおっぱいなら優しい俺は見逃したさ。けどこのおっぱいはなぁ―――()()()()()()なんだよ!!」

 

………士道がオリオンを止めた理由は至ってシンプルだ。何故なら―――オリオンが飛び込もうとしたのは女性とは六華だったのだ。

士道の帰りが告げられていた時刻よりも遅くなっていたため、六華は士道のもとまで急いで飛んできたら―――自分の胸は既に俺のものだと宣言されたのだ。六華は士道の言葉に顔を真っ赤にして胸元を隠しながら後退る。

 

「し、士道さま!?その、私は構いませんと言いましたが、まだ心の準備が―――」

 

「大丈夫です、そんなものは後でいくらでもできますから!ぐへへへへへへ!!」

 

六華は顔から湯気が出るほど顔を真っ赤にして視線を泳がせていた。………いきなり俺のもの宣言されて動揺が隠せなかったようだ。

そんな動揺を隠せない六華など気にせず士道くんはお構いなしで距離を詰めていく!!

そして、ドス黒いオーラを纏った美しい守護者が士道の右手からオリオンを引き抜く。

 

「フフッ、フフフフフフフフフフッ!ダーリン♪覚悟はいい?」

 

〈チョッ、アルテミスサマオマチニ―――ぎょええええええええええ!!!?〉

 

鬼や悪魔でも泣いて逃げ出す程の怖い笑顔で、アルテミスはオリオンの頭を握り潰した。悲鳴をあげるオリオンに向けて士道くん親指を上げてgoodのポーズ………六華の巫女服の胸部に顔を突っ込みながら。

 

「これで平和はまふぉらぁれぇたもごもご………(守られた)」

 

「し、士道さま………そ、そのくすぐっ、たい、です」

 

〈こんのケチ龍帝が!!絶対その子寝取ったるからな―――んごおおおおお!!?〉

 

アルテミスはオリオンを握り潰しながら何処かへと飛んでいった。オリオンの言葉を聞いたアルテミスは「浮気は許しません!」とさらに力を込めていた。

 

「あの乳は士道くんのものなのか、メモしておこう」

 

『メモなどせんでいい!!』

 

持っている画用紙にメモしようとしたヘルメスに間髪いれずにドライグがツッコミを入れた。こうしてそれぞれが目的地を目指して足を進めた。

士道が六華の胸から満足して離れたのは、一時間ほど後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

 

 

 

 

 

村について買ってきた食材で料理をしている時だった、一人の少女が士道の後ろに立っていた。

 

「士道さま、次からはその………私の胸を使用する際は、事前に一言お願いしてもよろしいでしょうか?その、まだ慣れていないもので―――」

 

その少女は六華だ。六華は恥ずかしそうに両手の人差し指を合わせて視線を外しながらも告げた。その言葉を聞いた士道は鋭く振り向く。既にアクセルは完全に全快、フルパワーおっぱいドラゴンと化してしまった士道くん、もう止まらない!

 

「一言いえばOKなんですか!?よし、じゃあ六華おっぱいを頼む―――今すぐに!!」

 

「い、今すぐですか!?先程も十分使用されていましたよね!?」

 

「さっきはさっき!今は今だ!!俺のいた世界で偉い人がこんな名言を残した―――『時間は無限、おっぱいは有限』だと!!」

 

純粋無垢な六華に自分の都合の良いように誘う士道くん―――ここまでくれば詐欺師にも引けを取らない外道っぷりである。そして先程同様にじわじわと六華に詰め寄る士道くん。しかし、六華はその場に留まりながら士道に述べる。

 

「そ、そうなのですか。しかし、士道さまそれはどの世界に置きましても時間の方が有限のような気が………いえ、士道さまがそう仰るのであれば私は―――」

 

『………六華よ、名言の話は相棒の作りあげた嘘だ。信じるなよ?』

 

「嘘だったのですか!?」「おい黙ってろよドライグ!!」

 

「信じます」と言おうとした六華にドライグが堪らず真実を告げる。真実に驚いたのか、声を裏返した。

そして………悪魔の手が無垢な少女へと迫ろうとした時、助け舟が現れる。一人の老人が家の中へと入り少女に言う。

 

「六華よ、五季(いつき)の墓に差し入れを頼む。ワシではもうあの山を登る事ができんのじゃ」

 

「あ、お父様わかりました。それでは士道さま、おっぱいはまた後で………」

 

六華は父からお墓への差し入れを受け取ると、全速力でお使いをこなしに向かった(士道から逃げた)これにはさすがの士道くんも………

 

「………………」

 

バタッ

 

言葉を失い目を点にして床に倒れ込んだ。目の前で大好物がお預けになった事で心にダメージを負ってしまった。

その様子を見た六華の父は士道へと駆け寄る。

 

「士道殿!?しっかりしてくだされ!士道殿!!」

 

『ジジイ放っておけ。三分もすれば元に戻る―――いや、三分も必要なさそうだ』

 

ドライグが発した言葉に六華の父は首を傾げた。だが、その理由もすぐに分かった。トテトテと幼い少女が訪ねてきたのである。

 

「………えっと、おじさん。士道お兄ちゃんいる?」

 

その少女は士道が以前救った少女の麗奈だ。麗奈の声が聞こえ先程まで倒れていた士道もすぐに幼女の元へと駆けた。

 

「ようレナ。お兄ちゃんと一緒にお風呂に入ろうか!」

 

『おまわりさんこの人です』

 

麗奈を肩に担いでお風呂に向かう士道くん。しかし、麗奈がここにきたのは別の目的があったらしく麗奈が士道の腕の中で暴れる。

ちなみにドライグのツッコミは今日は冴えに冴えまくりで、ツッコミどころは見落とさない!

 

「今日はお風呂のことで来たんじゃないよ、士道お兄ちゃん!実は六華お姉ちゃんのことで相談があって………六華お姉ちゃんは今いないよね?」

 

「ああ、六華お姉ちゃんは『五季』?さんの墓に差し入れに行くって出て行ったよ。………それでレナ、相談ってのはなんだい?」

 

麗奈を肩から下ろして麗奈の身長に合わせるように膝を落とす。すると麗奈は真剣な表情で話し始めた。

 

「聞いて士道お兄ちゃん―――六華お姉ちゃんは誰かに悪いことされてるかもしれないの!!だから、お願い六華お姉ちゃんを助けてあげて!!」

 

「―――ッ!?どういう事だ、詳しく教えてくれ」

 

麗奈の言葉に士道の目が鋭くなった。麗奈は続ける。

 

「六華お姉ちゃんが帰ってくるとね、時々泣いている事があるの。私がくるとすぐに笑顔を見せてくれるけど―――でも、六華お姉ちゃんが泣いてるところを麗奈は見たくない!六華お姉ちゃんはいつも笑顔でいてほしいから………だから士道お兄ちゃん、お願い麗奈と一緒に来て!」

 

「分かった。お兄ちゃんに任せろ!麗奈も六華お姉ちゃんも俺が助ける!―――ドライグ!」

 

『承知!Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』

 

「よし、行くぞ麗奈、急ぐからお兄ちゃんにしっかり捕まってろよ!」

 

「はーい!」

 

赤い龍を模した全身鎧を展開し、麗奈を抱えて六華の下へと向かった。

麗奈の案内で五季の墓がある山へと向かった。空を飛んで向かっていく道中で士道はずっと疑問に思っていた事を麗奈に訊く。

 

「麗奈、一つ訊いていいか?」

 

「何?士道お兄ちゃん」

 

「六華の親父さん―――村長の言っていた『五季(いつき)』さんって誰だか分かるか?」

 

「六華お姉ちゃんのお姉ちゃんだよ。すっごく優しくてみんなから凄く愛されていたんだ。でも―――」

 

「そこから先は言わなくていい。俺も六華お姉ちゃんから聞かされているから」

 

六華の父が言った五季とは、一年前に亡くなった六華の姉だったのだ。村を襲ったあの悲劇によって………士道は視線を進行方向へと戻した。

その時、麗奈が「あそこだよ」と指を刺したので、周囲の気配を探ると六華の気配があり、麗奈を抱きかかえた状態で少し離れた大樹へと降りた。

 

「麗奈、音を立てるなよ?六華お姉ちゃんに気付かれるかも知れないから」

 

「分かった。静かにするね」

 

麗奈に静かにするよう釘を刺した後、静かに六華の様子を伺った。

六華は墓の周囲の落ち葉を掃除し、お供物を置いた。

………そして、六華は御前で手を合わせ一礼する。

 

「………お姉さま、遅れてしまい申し訳ございません。六華が参りました」

 

麗奈が言うには、週一回のペースで六華はここに足を運んでいるらしく村にいつも帰ってくる時には必ず涙を流していることだ。

士道は木の上から六華を見守る。

 

「お姉さま………私はお姉さまから村を託されました―――けれど、私はお姉さまのようにはなれていません。どうすればお姉さまのように皆から信頼を得られるのでしょうか」

 

(信頼を得られていないだと?どう言う―――)

 

士道が眉根を寄せると麗奈が耳打ちしてきた。

 

(士道お兄ちゃんは見たことある?六華お姉ちゃんの周りに麗奈とおじさん(村長)以外の人と一緒にいるところを見たことある?)

 

麗奈の問いに士道は首を左右に振った。この世界にきて約一週間が経ったが、村長と麗奈と士道以外は進んで六華に歩み寄る者はいなかった。

村長は六華の父親であるから当然として、麗奈は六華を姉のように慕っているからだ。

ここで士道は麗奈に疑問をぶつける。

 

(六華の姉ちゃん―――五季さんはどうだったんだ?あの人は六華と違って村の人とは良好だったのか?)

 

(うん、六華お姉ちゃんと違って五季お姉ちゃんは誰かしら村の人と一緒にいたんだ。というのも、六華お姉ちゃんが今やってる薬の調合はもともと五季お姉ちゃんがしてたの。昔は村によく魔獣が出ることがあって、六華お姉ちゃんや村の男の人が迎撃に当たっていて怪我した人たちに薬を作っていたの。薬を届ける関係で五季お姉ちゃんは村のほとんどの人と交流してたから。でも、五季お姉ちゃんは六華お姉ちゃんみたいな戦う力は持ってないって言ってたから。六華お姉ちゃんが薬の調合に使っている釜は五季お姉ちゃんの相棒だって私は聞いてるよ)

 

『―――まさかとは思うが、六華同様その五季という娘も精霊だったということか?ならば、あの釜は五季の天使だったというわけだな………恐らく姉が死ぬ間際に霊結晶(セフィラ)を受け取ったのであれば、六華が二つの天使を操ることにも説明がつく』

 

ドライグが述べた見解に士道も首を縦に振った。ちなみに村に出ていた魔獣は現在は士道が修行で山籠りをする際に危険なものは退治しているため、最近は村を襲う事は無くなったのだ。

麗奈は話を六華の方に戻して続ける。

 

(一年前の事件で、みんな六華お姉ちゃんの恐ろしい力を見て怖がるようになっちゃったんだ。その時に村の人の中に『お前は化け物だ』って石を投げされた事もあって―――六華お姉ちゃん凄く傷ついて。それでもいつも麗奈たちには嫌な顔ひとつ見せずに村の為にいつも頑張ってくれて………この前も村の為に一人で戦って麗奈を庇って大怪我までして、それで………それでもっ!)

 

途中から麗奈の声は涙で濡れていた。涙を啜る麗奈の頭に士道は手を置き優しく撫でる。優しく撫でる手とは逆に腹の底では理不尽に対する怒りで腹が煮える思いで奥歯を噛み締めた。

―――姉を不幸な事件で失ってから士道が来るまでの一年もの間、六華は一人で村を守ってきた。村を守護する結界の維持から薬の調合や士道が手伝っている村の困り事の解決などを。人智を超越する力を恐れられ『化け物』と罵られながらも、亡くなった際に姉から託された『村を護って』という願いに応えるために、六華は一度も妥協をしなかったのだ。

 

「いつの日か私も受け入れて頂ける日が来るでしょうか?お姉さま同様の()()である私も村のために尽くしていれば………お姉さまのように皆と一緒にお話をしたり、街にお出掛けしたり、温泉に入ったり、それから、それから―――」

 

六華は姉の墓前で涙を流して内に秘めた願いを声に出した。六華の願いはそれは姉同様に村の一員として認められ、彼らと友達のように毎日を過ごすことだったのだ。

六華の願いを聞いた士道は麗奈を抱えて大樹から飛び降りる。いきなり士道が木から飛び降りたことに麗奈はびっくりして士道の鎧を掴んだ。

 

(えっ?士道お兄ちゃん?)

 

ザッ!と草を踏み潰す音が聞こえ、墓前で涙を流していた六華も音がした方向に注意を向ける。そして、音を発した正体が士道と麗奈であることを六華は確認した。

 

「士道さま、それに麗奈まで!?どうしてここに―――えっ!?」

 

士道は抱きかかえた麗奈を下ろして、鎧を解除した。そして、何も言わずに六華を抱きしめた。いきなり抱きしめられた事に六華は戸惑いを隠せずにいた。

 

「………本当によく頑張ったな六華。一人で村を護って、傷ついて、涙を流して。頼れるものが他に誰もいないなか、小さな願いも叶えられず理不尽に耐えて―――でも、一人で頑張るのは今日までだ」

 

胸の中にいる六華の頭を撫でながら士道は続ける。

 

「キミはもう一人じゃない、これからは俺がいる。俺がキミを受け入れるさ。いつだって話に付き合ってやるし、街にだって温泉にだって好きなだけ連れてってやる!だからもっと俺を頼ってくれ六華、俺たちはもう友達だ、仲間だ!」

 

「士道さまは………私と友達になってくれるんですか?」

 

「なるんじゃない、もう友達だ」

 

「う、あ、ああ………士道さまっ!」

 

士道の言葉に感情が六華の感情が決壊した。その様子を見た麗奈は士道をポカポカと叩く。

 

「ああ!士道お兄ちゃんが六華お姉ちゃんを泣かせてどうするの!六華お姉ちゃんを笑顔にする約束でしょ!約束間違えちゃダメ!!」

 

「違うのよ麗奈。これはありがとうの涙だから………っ!」

 

涙でくしゃくしゃになりながらも六華は笑顔を作ってくれた。そして士道と麗奈も六華の姉、五季の墓前で手を合わした。

これで用事が済んだことで士道たちは帰路についた。途中ウトウトとし始めた麗奈を士道がおぶって村へと足を進めた。

………そんな中、六華の後ろを歩いていた士道は六華の体のある部分に視線を取られた。

 

(うーん、おっぱいもそうだけどやっぱりあのむっちりとしたあのお尻も悪くない―――いや、むしろ最高だ!あのお尻に踏んでもらいたいぜ!よし、今度頼んでみよう!)

 

………台無しである。これには流石の士道の相棒も盛大にため息を吐く。

 

『………相棒よ、さっきの感動を返してくれ』

 

ドライグのため息を士道くんはいつも通り「俺はエロ第一じゃあ!」と一蹴した。元の世界に戻るための旅はまだまだ続く。

 

 

 




ガッチガチのシリアスといったな、アレは嘘だ。

さて、色々と変更点があります。

まずは六華の士道の呼び名を「士道さま」に変更しました。
それから次元の守護者ヘルメスのイメージ声優を諏訪部順一さんから福山潤さん(某○せんせー風)にしようと思います。

★おまけ

琴里「士道、入るわよ―――ってアレ?」

中天に輝く太陽から、闇夜に輝く月に変わる時間の頃ノックをせずに士道の部屋に入る琴里ちゃん。しかし、部屋に士道の姿は無い。おにーちゃんが心配な今日この頃な琴里ちゃん、可愛い。

琴里「………十香たちの所かしら?いや、令音に胸枕させていることもありえるわ―――ん?珍しいわね」

琴里はベットの上にある士道の制服に目がいく。………いつもならすぐに洗濯機に洗い物をぶち込む士道にしては珍しく部屋に脱ぎ捨てられていたのだ。
琴里はキョロキョロと辺りを確認して士道の制服を手を伸ばした。

琴里「………おにいちゃん―――ああ、おにいちゃん。おにいちゃん!」

なんと言うことでしょう!琴里ちゃんは士道のシャツを抱きしめて深呼吸を始めた。無我夢中で愛する人を想い浮かべ劣情を爆発させていた!
だが、そんな琴里ちゃんを不幸が襲ったそれは………

ピロリン

音のした方へと視線を向けると―――スマホで今の自分の姿を盗撮しているものの姿が目に入った。その者もまた士道の妹である。

真那「おお、これは中々良いものが撮れやがりました」

琴里「真那、あなたまさか―――ッ!!」

真那「琴里さん、これを兄さまに送信しても―――」

琴里「良いわけないないでしょ!?」

真那「では―――例のブツを」

琴里「………っ」

琴里はフラクシナスへと走り、艦橋のデスクからあるものを持ってきて真那に手渡した。
それはある人物の写真(お風呂場での)のデータが入ったメモリーカードだ。
真那はパソコンにUSBとメモリーカードを差し込み中身を確認した―――そして………一つ目のデータを見た瞬間に真那は鼻血を噴き出した。

真那「ブフッ!兄さまの裸―――しかも、これはノーモザイクじゃねえですか!?」

琴里「………」

琴里は一瞬の誘惑に負けた事を心底後悔した。令音や他のスタッフに内緒で集めたものを真那に掻っ攫われるハメになったのだ。

真那「それでは琴里さん、ありがとうございました!」

琴里「ま、待ちなさい真那―――後でそれ返しなさいよ………私もまだ見てないんだから」

真那「では一緒にみましょう!同じ妹として兄さまについて語り合おうではありませんか!」

琴里「受けて立つわよ!赤っ恥かかされたままで黙ってなんかられないわ!」

この後二人は仲良く士道の全裸の写真で大きく盛り上がった。
………後で令音にこの事がバレて、データを没収されたのはまた別のお話。

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