はい、みなさんお気づきの通り、復活のリンドヴルムです。
ヘルメスのサポートなしで士道は勝つ事ができるのか!?
※すみません、また二話分ほどの文字数になりました。
六華とのデート後、士道は村の近くで明鏡止水の修行を行っていた。
村を守護する結界の制御魔法陣を内包する大神殿の手前には、大きな滝があり士道はそこで、明鏡止水の極地を目指して修行をしていた。
「―――ハッ!!」
ドオオッ!!
士道は手首を立て、滝に気合を放つ!その瞬間、流れ落ちる水に大穴が空き、水飛沫が発生する!!
発生した水飛沫を見て、士道は神速を発動させ拳を振り抜く!!
「―――ハアッ!」
ズドドドドドドドドッ!
士道は迫り来る水飛沫を片っ端から吹き飛ばしていく!!拳だけでなく、蹴も使って粉微塵に吹き飛ばした。
ここまではいつもの修行だ。士道は拳と蹴を連続で放ちながら、さらにその先の世界を見ようとさらに視線を鋭くさせる!!
「――――――」
士道が視線を鋭くさせると、視界内の色が消えて飛んでくる水飛沫のスピードがさらに落ちた。そこから士道は再び水飛沫を破壊しようとした―――その時だった。
「う、ぐっ―――ッ!!」
士道が拳を突き出そうとした瞬間、脳内を激痛が突き抜けた。士道は頭を押さえ膝を折った。士道が膝を折ったその時、士道の視界に色が戻り、スローモーションになった水飛沫も通常の速さに戻り、水の中へと落ちていった。
士道は肩で息をしながらも、腕と脚に力を込め立ち上がる。
『相棒―――大丈夫か!?病み上がりで身体も本調子ではない。これ以上は―――」
「大丈夫だ。あと少し、あと少しなんだ。後はさっきの状態で攻撃を放てるようになれなきゃリンドヴルムは倒せない!!休んでいる暇はない………もう一度だ」
士道はドライグの静止を聞く耳を持たず、息を吸って腰を落とす。視線を鋭くしようとしたその時、背後から迫り来る気配を察知し、旋回しながら拳を振り抜く!!
ズドオオオオオオオオオオオッッ!!
振り抜かれた拳は士道の背後にある人物の前で静止していた。さらに、士道が振り抜いた拳は凄まじい衝撃波を纏って周囲の森を揺らし、川を割るほどのものだった。
「し、死ぬぅぅぅぅぅ!!ねぇ士道くん、僕を殺す気かい!?キミを助けに来たこの僕を!?」
士道の背後に迫ったのは次元の守護者ヘルメスだった。ヘルメスは顔面の前で静止する拳を見てひっくり返った。それもそうだ、いきなり周囲の森を揺らし、川を割るほどの衝撃波を放つ拳が顔面に現れればこうなる。特に大した戦闘力を持たない守護者ともなるとこうなるのが必定だ。
「ああ、ヘルメスさんでしたか………見た事もない気配だったので、一応牽制のつもりで放っておきました」
「ねぇ士道くん、僕だってわかってたよね!?僕の気配だってわかってたよねぇ!?お兄さん気配を誤魔化す魔法かけてないから!!」
「それは日頃の行いですよ、勝手に人の転生前の日常を面白おかしく作品にするような奴には―――お仕置きが必要だとは思いませんか?」
「―――あああああんまりだああああああ!!確かに僕はキミの過去を作品にした。でも、僕が面白おかしくしたのはキミの相棒だけのに!!」
ヘルメスはついに自らが出した著書『ハイスクールDxD』について認めた。ちなみにだが、その作品ではドライグがマジもんの『乳龍帝』として描かれている。主人公であるイッセーの夢の中に夜な夜な出てきては、リアスやアーシアのおっぱいについて毎晩語り合うほどの変態ドラゴンとして読者から認識されているのだ!!
おまけに狂三の分身体である『くるみん』もこの本の愛読者で、以前「ドライグさんもおっぱいはお好きなんですの?」と聞かれ、ドライグは血の涙を流してブチギレたこともあった。
ヘルメスが認めた事を確認した士道は、最強の攻撃力を誇る【
「ちょっ、士道くん!?その鎧は―――その形態だけは本当にシャレになってないから!?一発殴られただけでもミンチになるから!!」
「―――悪い守護者にはお仕置きが必要だべぇ」
一切の慈悲を与える事なく、引き上げた拳をヘルメスに向けて振り下ろす!!
「おお、お助け下さいいいいいいいい!!」
ドオオオオンンッッ!!
振り下ろされる拳を見て、腰が抜けて動けなかったがその拳はヘルメスに当たる事はなかった。何故なら、士道の拳はヘルメスの顔面ではなく、彼が腰を下ろした一メートル右をぶち抜いたからだ。
「………それで、何しにきたんですか?ただ俺の様子を見にきただけじゃないですよね?」
「最初にそれを聞いてよ士道くん!!僕本当に殺されると思ったんだから!!」
色々と忙しいヘルメスである。士道が鎧を解除した事を確認して、ヘルメスはポケットから何かを取り出す。それは士道がよく知るアイテムだった。
「キミも知っての通り、リンドヴルムはまだ生きている。そして、近いうちに必ず六華ちゃんの『
ヘルメスは再びエリクサーを士道に手渡した。士道はそれを受け取ると、頭を下げる。
「わざわざありがとうございます。それから―――心配しなくても、俺は必ずリンドヴルムを倒します。そして、六華の幸せを守ってみせる」
「………良い答えだ。キミならそう言ってくれると信じていた。それじゃあ僕はこれで失礼するよ。士道くん、この世界の命運はキミ次第だ。僕が力になれるのはこのくらいだ」
ヘルメスはそれだけを言い残して、何処かへと消えた。そして、士道は再び明鏡止水の修行に励むのであった。
―――◇―――
「―――ッ!!遂に来やがったか………もう一日あれば『聖域』とやらに入れたと思うんだけどな………」
『この辺りは本当に抜かりがない。相棒が力を付ける前に殺す事を選択したか………しかし、リンドヴルムのオーラが以前より弱い事が気になる。もしや、傷が完治せぬまま襲ってきたのか?
いや、「聖域」に至っていない相棒ならこの状態でも倒せると踏んだか』
六華とのデートから二日経った日の朝だった。士道は目を覚ますと、瞬時に鎧を纏って村の上空へと飛び上がる。
既に六華は士道が鎧を纏って飛び出した事を見た瞬間に、村の人を大神殿へと避難させた。
「士道さま、この禍々しいオーラは………」
「ああ―――リンドヴルムさまのお出ましだ」
空中で佇む士道と六華の目の前に、漆黒の魔法陣が召喚されると―――リンドヴルムが姿を表した。
今度は強力なボディーガードに黄金の獅子を引き連れて………
それを見た士道と六華は身構え、戦闘態勢へと移行する。しかし、リンドヴルムはオーラを抑え士道を指差した。
「赤龍帝、我と交渉をせんか?」
「何―――俺と、交渉だと?」『相棒、警戒を解くな!』
リンドヴルムから意外な言葉が飛び出し、思わず士道は油断しそうになった所をドライグに諌められる。
士道は巨大な黄金の獅子を見ながらリンドヴルムの真意を訊ねる。
「交渉するって言う割には、また随分物騒な手下を連れて来たじゃねえか。まるで交渉を承諾しなければお前を殺す―――そんなんで交渉ができるとでも思ってんのか?」
「ハハハハハハ!これは貴様への見上げぞ。我の交渉を承諾するなら貴様にくれてやる。そうまで気にするなら、消してやるわ」
リンドヴルムがパチンッ!と指を弾くと、黄金の獅子が魔法陣と共に姿を消した。それを見た士道は鎧を【
「交渉は決裂、以上だ―――ハアッ!!」
パシッ!
士道は渾身の一撃をリンドヴルムに叩き込むが、その拳はリンドヴルムの手で受け止められてしまう!
「もういっちょだ―――オラッ!!」
パシッ!
これももう片方の手で受け止められる。ここから士道が倍化を始めようとした時、リンドヴルムがため息を漏らす。
「落ち着け赤龍帝、我もバカではない。貴様が納得するカードがあるからこそ我は言っている―――とりあえず離れてもらうぞ」
「ぐっ!?」「士道さま!?」
リンドヴルムは士道の胸部に蹴りを叩き込み、士道を元の場所へと戻した。六華が心配そうに歩み寄ったが、士道はそれを手で制す。
「よく見ておれ赤龍帝―――ハッ!」
ズオオオオオオオオオオオオオッッ!
士道が離れた事を確認すると、リンドヴルムは素手で次元を切り裂いた。リンドヴルムの隣には、人が入れるほどの穴が空いており、穴の先には万華鏡のような空間―――通称『次元の狭間』があった。
リンドヴルムが指輪を光らせると、士道をオレンジの箱が包み込んだ。
「これは我が殺した精霊が持っていた天使『
「………」「………っ!!」
リンドヴルムの提案に士道は何も言わず、ただ様子を伺っていたが、六華は違った。六華は全身から嫌な汗が噴き出していた。
汗を噴き出す六華の姿を見たリンドヴルムは口の端を釣り上げ、続ける。
ここからはリンドヴルムが受けるものを士道に伝える。
「ただし、そこの精霊は我に殺させてくれ。我はそこの小娘の『
「………」「―――ッ!!」
リンドヴルムの狙いは六華の『
しかし、六華は心臓を鷲掴みにされたような状態だった。
「我は貴様の事を全て調べ上げた。我が貴様の現状を教えてやろう―――貴様は次元の守護者に我を討滅させるため、この世界に送られた。貴様は利用されたのだ。だから、貴様がそこの精霊を諦めてくれるのであれば、我が元の世界に戻してやっても良い」
「………なるほど。やっぱりリンドヴルム、お前は馬鹿じゃないらしい」
「………っ」
リンドヴルムの言葉を聞いて、六華の胸に激痛が走った。このまま士道が元の世界に戻った時のことを考えると震えが止まらなかった。五河士道という存在はもう、六華にとっては無くてはならない存在―――全ての生きる者には太陽が必要なように………
六華自身もいずれ士道が元の世界に帰ることは分かっていた。その時には自分も一緒に着いていくことを決心したが、それは叶わないことを悟ってしまったのだ。何故なら―――リンドヴルムの狙いは六華の『霊結晶』だからだ。
士道は隣にいる六華に視線を向けると―――その両頬には一筋の流れ星が零れ落ちていた。それを見た士道は苦笑いを浮かべため息を吐く。
「―――六華、俺の言葉ってそんなに信用ねえか?いや、まあ………そうだよな。六華のおっぱい触るために嘘をつきまくった、俺の言葉を信じろって方が無理あるか。ていうか、よくよく考えてみりゃそりゃそうか!」
「ち、違――――――」
ドゴッ!!
上空に打撃音が響き渡ると―――六華の視線の中に士道の姿は無かった。そして、最悪の邪龍が悲鳴を上げていたのだ。
「な―――ぬあッ!?赤龍帝、貴様ッ!!」
六華が士道の言葉を否定しようとしたその時、既に士道の拳はリンドヴルムの顔面を捉え、後退させた。
今度はリンドヴルムの手に捕まることなく、その顔面を捉えた。
「リンドヴルム確かにお前は馬鹿じゃない―――大馬鹿だ!!」
士道はリンドヴルムを指差し、大声で吠える!その闘志を宿した瞳は、リンドヴルムを射抜く!
「お前は俺を勘違いしている―――俺は六華を見捨てるぐらいなら、この場で死ぬ覚悟がある!!愛する人を平気で差し出す腑抜けが、赤龍帝にいるわけ無いだろ!!舐めるなよ邪龍、俺はお前を倒して六華を救う。お前が六華を殺す事を明かした時点で、交渉は決裂してんだよ!!」
士道に殴られたことに、リンドヴルムは視線を鋭くし凄まじい殺気を放出する。しかし怯むことなくドライグも言葉を紡ぐ。
『相棒の言う通りだリンドヴルム。俺たちは例え貴様を滅ぼすことはあっても、手を組むことは無いと思え。精霊を殺すことを断言した時点で、貴様は俺たちを敵にしたのだ』
「士道さま、ドライグさま………本当にあなた方は―――ッ!」
士道の渾身の雄叫びに、ドライグの言葉に、六華は涙を止める術を知らなかった―――これほどまでに二人は自分の事を愛してくれていることに。
そして、これ以上の言葉が不要と分かったリンドヴルムは、再び黄金の獅子を魔法陣から呼び出す!!リンドヴルムも禍々しいオーラを全開にし、戦闘体制に入る!!
「馳せよ―――ネメアの獅子レグルスよ!!赤龍帝、貴様は我の交渉を蹴った。故に我は貴様とそこの精霊を含めた、この世界の全人類を一人残らず皆殺しにする!!己の選択を呪うがいい!!」
「―――んな事させるわけねえだろうがッ!!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!』
士道は【
「くたばれッ!!」
「甘いわッ!!」
突進して来た士道を見て、リンドヴルムはレグルスを士道に向けて放つ!!レグルスは爪を振り上げ、士道の鎧を引き裂こうと迫ってくる!!
しかし、この戦いは二対一ではなく、二対二の戦いだ。
向かってくるレグルスを見た六華は、守護天使を顕現させその真名を謳う!
「『
ドオオオオオオオオオオオオオオッ!!
守護天使を顕現させ、六華はレグルスに体当たり!!レグルスの凶悪な爪が反射され、レグルスは地面に叩き付けられた。
そして、士道の倍化した拳が再びリンドヴルムへと迫る!!
「神速程度で我を捉えようとは笑わせるぞ、赤龍帝ッ!!」
「がああああああああああ!!」
リンドヴルムは士道の拳を避け、懐に入り込み、手刀で士道の鎧を肩を切り裂く!!カウンター気味に入ったため、士道は骨まで砕かれてしまう!!
士道の絶叫が聞こえた六華は慌てて士道に駆け寄ろうとする!!
「士道さま!!」
「来るな六華、お前はレグルスを頼む!!リンドヴルムは俺に任せろ。大丈夫だ、このまま俺は無抵抗でやられはしない」
士道の言葉を聞いた六華は頷き、レグルスの方へと視線を戻した。傷が思った以上に深かった士道は『刻々帝』を呼び出す!!
「来やがれ!『
士道が手を挙げると、巨大な時計が顕現した。そして士道が時計の『IV』の文字から単銃に力を込めようとした時、異様な光が時計全体を包み込んだのだ。
目の前の巨悪に視線を戻すと、右腕に何か籠手のような異物を纏ったリンドヴルムの姿を確認した。
「これは異能を封じる神器『
「この野郎………気持ち悪くて吐き気がするぜ」
得意げに士道の手の内を語るリンドヴルムに吐き気に襲われる士道くん。折紙でもここまで調べ上げるには、相当苦労しそうだがこのリンドヴルムには全知全能の天使『
超識天は知りたい情報をなんでも知ることの出来る検索エンジンだ。これさえあれば、もはや調べ物にインターネットも必要ないのだ。
「これだけでは終わらんぞ赤龍帝。我が貴様と同じく持ち主の力を倍増させる能力を使えば――――――そこから先言う必要あるまい?」
「ま、まさか!?」
リンドヴルムが不敵な笑みを浮かべると―――左手に士道と同じものが纏われていた。これはまさしく士道が宿す神滅具『
これを見たドライグは怒り浸透のご様子だ。
『リンドヴルム、貴様!!俺の前でその力を振るうかッ!!』
「ハハハハハハ!そう怒るでないドライグ。同じ物が二つあるだけぞ―――さて、これで我と貴様の条件は全く同じだ。こうなると物を言うのは本体の力ぞ、故に―――我に敗北はない。限界突破!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!』
「チッ、限界突破まで使用できんのかよ!?
『Change Guardian Booster!!!!!!』
士道は防御極振りの鎧【護盾】へと変更させて防御を固める!!しかし、既にリンドヴルムは突撃の体制に入っている!!
「粉微塵にしてくれる!」
「ドライグ、もう限界突破でも間に合わない―――極倍化だ!!」
『やむ終えんか―――Absolution Booster Set Up―――Boost!!!!!!!!!』
士道の最後の奥の手『極倍化』それは一度の倍化『Boost』の音声のみで士道が耐えれる最高の倍化状態まで持っていく秘奥義だ。
この力に目覚めたからこそ、リンドヴルムを退けた時のドラゴン•バーニング•ブラスターを同威力で連発できたのだ。
「死ねッ!!」
「ドラゴンシールドオオオオオオッッ!!」
『Spiritual Dragonic Guardian!!!!!!!!』
士道は四枚の翼と巨大な両腕を合わして、鉄壁の盾を顕現させる!!リンドヴルムは倍化した力を士道の盾にぶつけるべく、手刀を振り下ろす!!
ピシッ―――ザシュッ!!
「ガ、ハッ!?」
士道の盾とリンドヴルムの手刀がぶつかり、一瞬火花が散るとリンドヴルムの手刀は士道の盾を容易く切り裂き、さらには士道が纏う鎧ごと一刀両断した。士道は吹き飛ばされゴロゴロと転がり、止まったところで吐瀉物を吐きだす。
「ぐっ、ごっぼおっ!?強すぎだろ、この野郎ッ………」
「クククッ、戦意喪失か赤龍帝?」
士道はこれ以上やり合ってもジリ貧なことを完全に理解した。今のままでは、力の倍化をできるリンドヴルムへの対抗手段がないことを理解していた。しかし、この程度で諦めるほどこの男の精神は腐っていない。
立ち上がった士道は、ドライグに言う。
「………ドライグ、歴代の思念を抑え込んでくれ。リンドヴルムを倒すにはあの力しかない。ここで奴を止めないとこの世界は終わりだ」
『………分かった、思念は相棒の霊力で押さえ込む事ができるだろう。エルシャとベルザードにも協力を頼もう―――ただし、『X』カウントだ。それ以上は相棒の身が持たない』
「それで良い。そんだけありゃ十分だ」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
士道のオーラが紅蓮から血のような赤いオーラへと変化し、士道を中心に莫大なオーラが渦巻く!!
「ほう、封印されているドライグの力を呼び起こそうと言うのか。中々に興味深い」
リンドヴルムは追撃をかけることなく、士道の様子を見ているだけだった。士道は禁断の呪文を唱える。
「我、目覚めるは――――――」
〈始まったよ〉〈始まってしまうね〉
「覇の理を神より奪いし二天龍なり――――――」
〈いつだって、そうでした〉
〈そうじゃな、いつだってそうだった〉
「無限を嗤い、夢幻を憂う――――――」
〈世界が求めるのは―――〉
〈世界が否定するのは―――〉
「我、赤き龍の覇王となりて――――――」
〈いつだって、力でした〉
〈いつだって、愛だった〉
〈〈何度でも貴様らは、滅びを選択するのだなッ!!〉〉
「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう――――――!」
『juggernaut Drive!!!!!!!!!』
最後の一節を唱えると士道の鎧が変化した。
鎧の色は紅蓮から血のような赤色に、形状はさらに鋭角なものへとなった。
背中にはドラゴンの翼、両手と両足には鋭利な爪が生えた。
その姿はまさに小型のドラゴンそのものだった。
「くハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ!!それが忌わしい『
『X!!』
リンドヴルムは士道の奥の手に狂気の笑みを浮かべ、士道に迫る!!それを見た士道は口から冷気を放つ!!
「喰らえ―――
「ぬっ!我の体を凍らせるほどかッ!?」
大気をも凍てつかせる吹雪のブレスがリンドヴルムを襲う!!『覇龍』状態で放つ一撃はリンドヴルムにも、確かにダメージが入り脚を凍らせることに成功した。
『IX!!』
それを見た士道は天空へと飛び上がり、倍化を始める!!
『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!!!!!!!!!』
倍化を完了させると、士道の翼から二つのキャノン砲が現れ、力が溜まっていく!
『VIII!!』
「ドラゴンブラスタァァァァァァァァァァッ!!」
『Spiritual Full Burst!!!!!!!』
ズビィィィィィィィィィィ!!
「この程度で、我を取れると思うなッ!!
両翼の砲門から放たれた極大ビームを見たリンドヴルムは、神滅具『煌天雷獄』で周囲に炎を呼び出して圧倒的熱量で氷を溶かす!
そして、神速を発動させ降り注ぐ極大ビームを間一髪で回避することに成功した。
「読めてたぜリンドヴルム、オラッ!!」
「ぬぅあっ!!」
士道は回避したリンドヴルムを見るなり、瞬時に距離を詰めて顔面を蹴り上げる!!リンドヴルムは青い血を噴き出しながらさらに上空へと吹き飛ばされる!!
『V!!』
リンドヴルムは空中で宙返りをして、士道に正対すると身体に力を込めその場にとどまる!!
既に士道の残りのカウントは四つしか残っていない!!このまま押し切る事ができるのか!?
「化け物がッ!死ねっ!!」
「死ぬのはテメェだ!!」
リンドヴルムが放った回し蹴りを身体を倒して、士道は避ける!さらに、回し蹴りで放った脚を引き、足刀をリンドヴルムは放つがこれにも反応して、躱した士道はリンドヴルムの懐に入り、リンドヴルムの右腕に拳を放つ!!
『III!!』
「オラッ!!」
「ぐっ!?し、しまっ―――」
リンドヴルムは顔面を狙われたことで反射的に右腕で受け止めたが、これが悪手となった。士道の『
『II!!』
「天使よ―――」
「遅いッ!!『
パァン!パァン!パァン!パァン!
士道の右手の人差し指から、短銃が現れ霊力が籠った弾丸が打ち込まれ、リンドヴルムに命中したその瞬間、時間が停止する!!
『Starting Absolution Booster――――――Boost!!!!!!!!』
士道の鎧の胸部と腹部に内包されたもう一つの砲門に凄まじいエネルギーが集約される!!『覇龍』状態でしか放てない究極奥義が今、解放される!!
『I!!』
「これで終わりだ―――ロンギヌススマッシャアアアアアアアアアアアッ!!」
『Longinus Smasher!!!!!!!!!!!』
ズドオオオオオオオオオオオッッ!!
停止したリンドヴルムに極限の一撃が叩き込まれ、辺り一面に大爆発を発生させた。士道が放った一撃はこの世界全体を震わせるほどの威力を誇り、周囲のありとあらゆる物を吹き飛ばした。
―――◇◆―――
士道がリンドヴルムにロンギヌススマッシャーを直撃させた頃、六華とレグルスの闘いも最終局面を迎えていた。
六華は守護天使を天に掲げると、光の剣が天空に幾つも展開される!!
「『
ズドドドドドドドドッ!!
天空から光の剣が雨のようにレグルスを目掛けて襲い掛かる!レグルスはその場から飛び退くように下がり、六華は翼を広げて追撃に出る!!
「ハッ!!」
Guuoo!!!!!
六華は地面に刺さった光の剣を取り、飛び退いたレグルスに投げ付ける!しかし、レグルスは放たれた剣に拳を放って粉微塵に砕く!
その一瞬の隙を見て、六華はレグルスの懐に入り込む!!
既にお互いにボロボロで、六華は霊装の大半が破壊され、破壊された脚や胸部からは美しい肉体が露わになり、そこから鮮血が滴り落ちている。
レグルスも同じ状況だ。片目と脚の二本が潰れた状態で、全身に傷を負っていた。
そして今、最後の時が訪れようとしていた。
Gyaaaa!!!!!!
懐に入り込んだ六華を見て、レグルスは鋭い爪で六華を貫こうと腕を振り上げる!!その攻撃に合わせて六華は奥義を発動させる!!
「『
Gyaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!
物理攻撃をそのまま相手に反射させる六華の『護星天』最強の奥義が、レグルスの腕をはね返し、はね返されたレグルスの爪が顔面に突き刺さった。
レグルスは断末魔の雄叫びを上げ―――力なく地面に倒れ伏した。
「はぁ………はぁ………はぁ………はぁ………」
レグルスが倒れ伏すと同時に、六華もその場に崩れた。レグルスを倒すことに相当力を使った六華は、肩で息をしながらも立ち上がり、倒れたレグルスに杖を向ける。
「汝のあるべき姿へと戻れ―――【
パアアアアアアアッッ!!
六華が言葉を紡ぐと、杖についた球が黄金の光を放ち、レグルスの体を光が包む―――………光が止むとそこにレグルスの姿はなく、一本の黄金の斧が地面に突き刺さっていた。
「まさか………あの獅子も士道さまが宿されている神滅具?と呼ばれるものなのでしょうか―――い、いえ今は士道さまの救援が最優先です!」
六華はレグルスを封印した黄金の斧を異空間へ仕舞い込むと、士道の元へ急行した。
既に士道のオーラは格段に小さくなっており、窮地に立たされている事を六華はわかった。既に大半の力を失い、空を駆けることも苦しい六華だったが、ただただ愛する夫を目掛けて天を駆けた。
六華は士道なら必ず勝つと信じていた。どれだけ追い込まれても、それ以上の力を発揮して―――………六華は信じて疑わなかったのだ、士道の勝利を。
そう―――………この光景を目にする前までは
「やっと来たのか精霊。この通り赤龍帝はもう虫の息でな―――ほら泣き叫べっ」
「ぐっがあっ………こ、こいつ………ロンギヌス•スマッシャー直撃の瞬間に、【
『アレさえ無ければ、確実に消滅させられていたものをッ!』
全身から血しぶきをあげ、夥しい量の血を流しながらも空中に佇み、士道の首を掴むリンドヴルムの姿があった。
既に士道は鎧を完全に破壊されており、霊力を全て使い果たしたのか炎で傷が塞がっていなかったのだ。
リンドヴルムは掴む士道の首に力を込めると、士道が力なく苦悶の声をあげ、ドライグも憎しげに言葉を吐いた。
………リンドヴルムは、直撃の少し前に【七の弾】の時間停止を自らの魔力を凝縮し爆発させる事で、時間停止を完全に攻略した。ロンギヌス・スマッシャー直撃の瞬間に全力で防御したのだ。
―――それは以前、狂三の時間停止を士道が強引に破った時のように………
「我を誰だと思っておる?我は最強の邪龍ぞ―――貴様程度の攻撃で死ぬはずが無かろう」
「士道さま!?この―――っ!!」
士道を助けようと六華は守護天使の杖でリンドヴルムを殴ろうとするが、リンドヴルムは首を掴んだ士道を盾にすると、六華は慌てて杖を止めた。
六華には、自らの手で士道を傷付ける事ができなかったから………
「そうか………貴様はそうであったな精霊。喜べ、今から我がこの赤龍帝に凄惨な死を与えてくれよう―――雷よ、我に力を」
「ぐっがあああああああああああああ!!」
「士道さま!!うっ!?」
リンドヴルムは神滅具『煌天雷獄』を発動し、士道の胸を掴んで凄まじい電撃を体に直接送り込む!!既に鎧を失った士道がこれを受ければ完全に致命傷になる!!そう思った六華は、突っ込むが士道に流れ込む電流に感電し、弾き飛ばされる!!
これを受けた士道は、先程まで掴んでいたリンドヴルムの手を離し、ぐったりと全身の力が抜けた。それを見たリンドヴルムは掴んだ手を離し、士道を解放する!!六華は地面に落ちる士道を見だ瞬間に、受け止めようと両手を伸ばすが―――
「士道さま!!いや、やめてええええええええええええ!!」
「フィナーレぞ赤龍帝!!我を楽しませたせめてもの褒美ぞ―――苦しまずに地獄へ送ってくれる!!」
ザシュッ!!ドオオオオオンン!!
伸ばした六華の手が届く前に、リンドヴルムが士道を地面へと叩きつけ、その心臓に魔帝剣グラムを突き刺した。リンドヴルムがグラムで大地ごと士道の心臓を貫くと、大地震が起きたように地面が鳴動した。
士道の体から血が噴水のように放出されたが、それでも剣を抜こうと士道は手を伸ばすが―――………
「ふんぬッ!!」
「が、ハアッ!?」
リンドヴルムがさらにグラムに力を込め、さらに深く士道に捻り込むように差し込むと、剣を抜こうとしていた士道の手が力無く地面へと落ちた。
「あ………ああ………ああ………………ああああああああああああああああああああ!!」
「ハハハハハハハハハハハハ!!どうだ精霊!?貴様のせいで赤龍帝は死んだのだ!!愛するものが自分のせいで死ぬのはどんな気持ちだ!?最高か、それは最高だろうな!!ハハハハハハハハハ、クハハハハハハハハハハハ!!」
六華はまた士道を救う事ができなかった事で絶望し、その場に崩れ落ちた。それを見たリンドヴルムは崩れ落ちた六華を指差し、狂ったかのように笑った。その時だった―――………
「ううっ………く、あッ………」
崩れ落ちた六華がいきなり胸を抑えた。そして流した涙が血の涙へと変わり、その瞳から光が消えた。六華の体はドクンッ!ドクンッ!と何度も脈打ち始めた。これを見たリンドヴルムは口の端を釣り上げる。
「始まったか―――………ここまでしてようやくか」
体の脈打ちがどんどん早くなる六華。まるで全力疾走した後に息が上がり脈が早くなるように………
早くなる体の脈打ちに耐えながら、六華がリンドヴルムを見上げた。しかしそれはもう、皆が知る六華ではなかった―――美しいアクアマリンの瞳が、殺意に満ちた血のような赤い瞳へと変わり、ただ愛するものを手にかけた巨悪を捉えていた。
そして―――………
「―――『
ドオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
拳から血が滲むほど、強く握りしめた六華が天に叫ぶと―――六華の体から闇のオーラが溢れ出し、天を貫く!!
その時―――………世界が闇で覆われた。
レグルスこと、黄金の獅子は神滅具『獅子王の戦斧』です。
六華の護星天は結界のみならず封印の能力も持っています。【天操】は生物を操るのみならず封印する力もあり、本話でそれを明かしました。
ドライグ先生の次回予告
ドライグ『リンドヴルムに相棒は勝つ事ができず、殺される一歩手前まで追い込まれたその時、六華から凄まじい力が放たれた。
その力で六華は相棒の無念を晴らすことができるのか!?
次回 デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜
十二話『滅ぼす星の魔神』
精霊王に愛されし精霊よ、鬼神となれ!!』