デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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こんにちは、勇者の挑戦です。

最近知ったのですが、デート•ア•ライブの四期が今年の10月に放送予定らしいですね。
二亜と六喰のストーリーを観れるのは激アツですね。できればその後が一番楽しみですが、多分尺の都合上厳しいでしょうね………
四期は果たして私は何周する事やら笑
アニメ三期のOPとEDは本当に神曲だったので、四期にも期待したいです!

さてさて無駄話が多くなりましたが、本話は反転六華の回です。
その実力はいかに………



十二話 滅ぼす星の魔神

リンドヴルムが士道の心臓を貫き、さらに傷つけた時―――六華が隠し持つ真の力が解放された。

天を貫いた闇のオーラが収まると―――………そこに立っていたのは、()()()()()()()()()()()()()()

 

「『滅星魔神(ルシファー)』―――【極夜(ヘイム)】」

 

まずはトレードマークでもあった美しい黄金の髪が異様な艶を放つ白銀の髪へと変化し、頬には顎の近くまで伸びた赤い模様が入っている。

さらに、霊装にも大きな変化があった。まず頭上で黄金に輝いていた光輪が漆黒に染まり、背中の五対十枚の黄金の羽が、六対一二枚に変わり羽すらも漆黒に染まっている。

そして白銀に輝いていたローブも黒一色に染まり、その上赤い輝きを放つ異様なものへと変貌を遂げた。

さらにこの世界全体の環境状態が大きく変わっていた。闇のオーラが天を貫いたせいか、周囲に怪しい雲が突如として現れ光を遮った。

その影響か、辺りに紫の稲妻が轟く異常気象が発生していた。これらは全て六華が放った闇の力によって引き起こされた現象だ。

 

「ようやく反転してくれたな―――………それも我が知っていたものとは大きく異なる。もしや『護星天(ミカエル)』でも『錬金釜(カマエル)』でもない………となると、貴様本来が持つ天使が反転したのか!?これは思わぬ収穫ぞ、先の二つの天使は反転したところで無用の長物………しかし、今の貴様の魔王は最高ぞ!」

 

「来よ―――『滅星魔神(ルシファー)』」

 

リンドヴルムが六華を興味深く観察していると、六華は異空間から白銀の装飾に真紅の魔法玉を内包した漆黒の杖を呼び出す。

さらに視線を士道へと移し、漆黒の杖を向けた。それを見たリンドヴルムは魔帝剣グラムを再び引き上げる。

 

「………この赤龍帝は本当に不死身なのか?心臓を貫き抉ろうが息があるとは―――良かろう、では首と胴体を切り離すことでこの男が死ぬか確認してみるとしよう」

 

リンドヴルムは引き上げた魔帝剣グラムの剣先で、士道の首をギロチンのように切り落とそうと力を込めて、腕を落とす!

しかし、六華はその様子を見て魔法弾を放つなどの行動は特にせず、目を閉じるだけだった。

リンドヴルムは今度こそ士道を仕留めたと思い、口の端を釣り上げ再び狂気の笑みを上げようとした。

 

しかし―――………

 

 

ピシッ―――バリンッ!

 

 

「ほう………因果を逆転させたか。我の『事象改変』だけができる専売特許であると思ったが。しかし、この杖の強度は凄まじいな。まさかグラムが木っ端微塵になるなど想像すらせなんだぞ」

 

リンドヴルムは、魔帝剣の感触に違和感を持ち足元に目を向けると―――………先程まで目の前にあった士道が、六華の手に持つ杖へと変わっていた。そして、六華の腕の中には、意識をなくした士道の姿があった。

その上、魔剣最強と名高いグラムが六華の杖と衝突し、粉々になったからだ。

これには最強の邪龍も目を細めた。

 

「しかし、赤龍帝を抱えていては我の攻撃を防ぎようがあるまい。判断を誤ったな―――………霧よ、捕縛せよ」

 

ズオオオオオオオオオオオオッ………

 

気絶した士道を抱える六華を中心に、膨大な量の霧がその周囲に渦巻きドーム状に展開された。

霧は両腕、両脚に纏わりつき六華の動きを封じる。そこにリンドヴルムの渾身の一撃が叩き込まれようとしていた。

これは神滅具『絶霧(ディメンション•ロスト)』で呼び出した霧だ。極めれば国ごと異空間に転移させる事も可能な、世界を滅ぼす要因として危険視される上位神滅具だ。

 

「力を解放したが随分と早い幕引きだったな。心配するな、完全に消滅はさせぬ。その『反霊結晶(クリファ)』だけは有用性があるのでな―――では、死ね」

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!

 

リンドヴルムは神滅具『煌天雷獄(ゼニス•テンペスト)』の属性弾と魔力を融合させた一撃を霧に捕縛された六華を目掛けて放つ!

その一撃はかつて、士道が『第二段階(セカンド•フェーズ)』に目覚めた士道を消滅させようとした渾身の一撃。いかに六華がパワーアップしても、士道を抱えたままでは防ぎようがない!

 

ドオオオオオンッ!!

 

リンドヴルムが睨んだ通り、霧に捕縛された六華に放たれた一撃が着弾し周囲を爆煙が包み込んだ。しかし、爆煙が止むと六華を捉えていた霧は霧散しそこに士道と六華は完全に消滅していた。

しかし、リンドヴルムは口から血を吐き捨て憎しげに吐き捨てる。

 

「まさか瞬間移動すら可能とは。霧も加減した故、簡単に破られた。力の底はまだ見させてはくれぬか………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六華が瞬間移動をした先は、村人たちが避難した大神殿だった。

非常に深い傷を負った士道を床に寝かせた時、士道の左手から音声が聞こえてくる。

 

『六華―――………でよいのか?』

 

ドライグが怪訝に訊ねると、六華は無言で首を縦に振った。ドライグは魂だけになった今でも士道を通して気配を察知できる。六華のオーラは光から闇へと変わり、より強大なものへと変化したため、ドライグは別人になったのかと思ったからだ。

ドライグは続ける。

 

『六華、相棒の服のポケットにエリクサーが入っている。まだ息があるが、この状態ではいつ死んでもおかしくない。相棒にエリクサーを飲ませてやってはくれんか?』

 

「………これであるな。心得た」

 

六華はドライグに言われた通り、士道の上着のポケットを探すとエリクサーを見つけた。士道の状態を見て、このままエリクサーを士道に流し込んでも効果がない事を察した六華は、自らの口に含み顔を近づけ士道の唇を奪った。そして口に含んだエリクサーを少しずつ士道へと流し込んだ。

六華が士道にエリクサーを流し込み、士道の唇を開放すると効果がすぐに現れた。貫かれた胸の傷は癒え、少しすると停止していた心肺が動き出した。

 

『六華、感謝する』

 

「良い、この男―――士道は私を何度も救った。()()()()()()を通してその光景を何度も観てきた。『赤い龍(ウェルシュ•ドラゴン)』ドライグよ、士道が目覚めた時に伝えてくれ―――『幸せをありがとう』と」

 

六華はドライグに遺言を残した。そして、再び漆黒の杖を取り出すとゆっくりと立ち上がった。ドライグは六華を諫める。

 

『まさか、六華―――いくらお前でもそれは許せん!お前が死ねば相棒は―――』

 

「心配するでないドライグ、私は簡単に死にはせん。士道が目を覚ますまでの時間は稼ぐつもりだ。私はもう一人の私―――六華ほど我慢の効く女ではない。いずれはあの身体を乗っ取ってでも、私は士道との幸せを掴む。まずは士道の世界で結ばれ、幸せな家庭を築き、士道の子を宿す事が私の夢。それが実現するまで私は、生き延びて見せる」

 

士道を傷つけられ憎悪に満ちながらも六華は笑みを作り出し、夢を語った。それを聞いたドライグは、止めても無駄なことを悟り六華に告げる。

 

『その言葉、絶対に違えるなよ?六華よ相棒が目を覚ますまでの間、何とか持ち堪えてくれ』

 

「持ち堪える、か―――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」

 

『六華、それは死亡フラグだぞ!?』

 

「フフッ、ドライグはいつも面白い。では行ってきます」

 

ドライグに笑みを残すと再び六華の姿が消えた。そしてドライグは意識を失っている士道に言う。

 

『………相棒、悠長に眠っている暇は無いぞ。黒六華が相棒のために時間を稼ぎに向かった。このままでは精霊を守護する赤龍帝から、精霊に守護された赤龍帝になってしまうぞ?』

 

ドライグが残した言葉に士道の指がピクリと動いた。果たして士道は一人戦う六華を救う事はできるのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、戻ってきたか。もう少し遅ければ先にこの世界の人間共を血祭りにあげようと思うたが………のこのこ殺されに来るとは―――赤龍帝のためか?」

 

再び目の前に六華が現れたことを確認したリンドヴルムは、呆れながらにため息を吐いた。リンドヴルムの両手の中指の指輪が、淡い光を放ち体全体を覆っていた。行っているのは士道との戦闘で負った傷の修復だ。

傷の修復は神器『聖母の微笑(トワイライト•ヒーリング)』で行っており、それはアーシアが宿していた回復系の神器だ。

既にリンドヴルムの傷はある程度消えており、六華が現れた事を確認すると両手の指輪を消した。

 

「汝を屠るぞリンドヴルム」

 

六華が手に持つ杖をグルグルと回し、杖の先をリンドヴルムに突きつけた。六華はその身に濃密な霊力を纏い、目の前の巨悪を討滅すべく精神を研ぎ澄ませていた。

 

「最強の邪龍である我を屠るか―――大きく出たな精霊」

 

六華から向けられた殺意にリンドヴルムもそれに応えるように濃密な魔力と十字架の神滅具『紫炎祭主による磔台』を呼び出した。

六華は臆することなくリンドヴルムを目掛けて距離を詰めていく。

 

「フン、バカめ。玉砕覚悟で真正面から来るとは―――死ね」

 

リンドヴルムは十字架に祈りを込め、さらにその先に三重の魔法陣を展開した。十字架から紫炎の光が放たれた瞬間、光が三重の魔法陣を通ってその光がさらに増大され六華に襲い掛かった。

六華は至近距離に迫る極大の紫炎の閃光に、漆黒の杖を体の前で回し奥義を放つ!!

 

「『滅星魔神(ルシファー)』―――【明けの明星(アウローラ)】ッ!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

六華が持つ杖の魔法玉が強い光を放つと、リンドヴルムの放った紫炎の閃光が反射され直撃した。

爆煙が収まると、全身から煙を上げ膝を折るリンドヴルムの姿があった。

 

「ま、まさか………我の攻撃を反射しただと!?こ、こんな事が―――」

 

「『滅星魔神(ルシファー)』―――【暴鎖(カイル)】ッ!!」

 

膝を折るリンドヴルムに六華は容赦なく追撃をかける。六華の周囲に四つの穴が空き、その穴から大量の漆黒の鎖がリンドヴルムを目掛けて襲い掛かる!!

リンドヴルムは向かってくる鎖を神速を発動させ迫りくる鎖を上空へと逃れることで回避し、神滅具(ロンギヌス)煌天雷獄(ゼニス•テンペスト)』を呼び出す!

 

「今―――鎖よ!」パチンッ!

 

「おのれ、煌天―――なんだと!?」

 

リンドヴルムの動きが止まった瞬間に六華が指を弾くと―――今度はリンドヴルムの周囲に穴が移動し、鎖が現れリンドヴルムの両腕と両脚を縛り動きを封じる!

リンドヴルムは魔力を凝縮し、爆発させて鎖を破壊しようとするが異変が起こる!

 

「おのれ小癪な―――ま、魔力が練れん!!」

 

「それは魔力を喰う鎖。万全の状態の汝なら抗えたであろうが、士道との戦いで相当の魔力を消失した汝に逃れる術はない。

滅星魔神(ルシファー)』―――【天砲(エクリプス)】ッ!!」

 

漆黒の鎖が怪しく光ると、リンドヴルムの魔力を吸収していった。

リンドヴルムの複製は魔力で行っているものだ。当然魔力が喰われれば複製は維持できずに消滅する。

複製しようとした神滅具(ロンギヌス)が消滅した事を確認した六華は、杖を天に掲げた。掲げた杖に、漆黒の光を放つ翼が生え、魔法玉に霊力が収束されていく!!

 

「闇へと沈め―――エクリプス•ブレイカーッ!!」

 

ズビィィィィィィィィィィ!!

 

六華が両腕で杖を振り下ろすと、漆黒の闇を纏った極限の一撃がリンドヴルムへ襲い掛かる!!放たれた一撃は鎖に縛られたリンドヴルムを飲み込み、上空で大爆発を起こす!!

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

「ぬああああああ!!」

 

悲鳴を上げたリンドヴルムが、地面へと放り出された。六華の全力の一撃を防御できずに受けたため、リンドヴルムに大きなダメージを与える事に成功した。先程の一撃でリンドヴルムを縛っていた鎖も消滅したため、リンドヴルムを絞るものは残っていない。

 

「こんな事があってたまるか!?いかに赤龍帝との戦闘で消耗したとは言え、あんな精霊一匹に我が負けるはずがない―――煌天雷獄(ゼニス•テンペスト)ッ!!」

 

リンドヴルムは、神滅具『煌天雷獄』を呼び出し、さまざまな属性をミックスした球体を六華に放った。しかし、これでは先程同様に、あの奥義の餌食なのは誰が見ても明らかだった。

 

「『滅星魔神(ルシファー)』―――【明けの明星(アウローラ)】ッ!!」

 

「ぬああああああ!!」

 

六華が体の前で杖を回転させると、この球体もリンドヴルムに反射され、直撃した。渾身の一撃が反射されたリンドヴルムは、吹き飛ばされ地面に倒れ伏したが、狂気の笑みを浮かべて立ち上がった。

 

「クククッ、クハハハハハハハハ!貴様の奥義を見切ったぞ精霊!!今の攻撃で我は完全に貴様の奥義を見切った。この勝負我の勝ちぞ」

 

「寝言は枕でほざけ。いかに秘策があろうが、汝の攻撃では【明けの明星】の突破は不可能だ」

 

「ならば突破して見せよう―――煌天雷獄(ゼニス•テンペスト)ッ!!」

 

バチチチチチチチッ!!

 

リンドヴルムは先程の球体を作り出し、六華に放つ。当然六華も杖を回し、奥義の体勢に移行する!

 

「何度でもはね返そう『滅星魔神(ルシファー)』―――【明けの明星(アウローラ)】ッ!!」

 

六華が奥義を発動すると、やはりリンドヴルムの球体ははね返した―――その瞬間、リンドヴルムの目が怪しく光る!

 

「攻撃よ向きを変えよ」

 

「――――――」

 

ズドオオオオオオオオオンンッッ!!

 

リンドヴルムは、はね返された球体に暗示をかけると再び六華へと球体が迫った。リンドヴルムが事象改変にてはね返されたものが、リンドヴルムではなく、六華を襲い爆発が起きた。

 

………今のがリンドヴルム固有の能力『事象改変』だ。膨大な魔力を使用して結果を意のままに操る最凶最悪の力。それはもはや神が持つ『権能』に等しい能力だ。

しかし、この神のような能力にも欠点があり、膨大な魔力を有するリンドヴルムでも連続して発動する事は不可能である事。またさらに神器には効力を発揮しないことの二つだ。

………例えば士道の『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)』の倍化や禁手化(バランス•ブレイク)を止めたり、倍化を半減に変えるというような事は不可能だ。

 

爆煙が収まると、地面に倒れ伏した六華の姿があった。リンドヴルムは膝を突きながら六華に言う。

 

「はぁ………はぁ………以前の貴様は物理攻撃しか反射できなかったようだが、今の貴様は物理、魔法、神滅具などの特殊攻撃を全て反射させられる。それはとてつもなく恐ろしいが、貴様には奥義を放った瞬間に一瞬だが硬直する。故に我はそこを狙ったと言うわけぞ」

 

「こ、こんな………こと、が………」

 

リンドヴルムはまだ立ち上がる事ができるが、六華の方はそうもいきそうでは無かった。リンドヴルムの渾身の一撃をまともに受けたため、致命傷となってしまった。六華は足が震え、杖で体を起こす事がやっとだった。

 

「終わりだ精霊―――だが泣く事はない、すぐに赤龍帝も見つけ出し貴様の元へと送ってくれる!!」

 

「ぐっ!!」

 

リンドヴルムは、膝をついた六華の顔面を蹴り飛ばした。六華は防御が間に合わず、地面を擦るように転がった。

しかし、絶望はまだ終わらない!!

リンドヴルムは六華の首を掴み、その体を持ち上げる!!

 

「く、あッ………」

 

「フンッ!!」

 

ザシュッ!!

 

リンドヴルムは手刀で六華の腹部を横凪に切り裂いた。六華が纏う漆黒のローブを破壊し、露わになった肉体から鮮血が流れる!!

しかし、六華も無抵抗ではない!

 

「ッ!」

 

バコッ!

 

六華は捕まれながらも、漆黒の杖でリンドヴルムの顔面を叩く!しかし、流血はさせたものの大したダメージではなかった。

 

「この状態ではろくに魔王も使えまい。フンッ!」

 

「ああああああああああ!!」

 

リンドヴルムが手刀を振り下ろすと、今度は縦に六華の霊装が破壊される。その時、霊装が破壊され肉体が露わになった箇所も手刀が入り、六華の体を深く傷つけ、六華は悲鳴をあげると同時に、大量の鮮血が溢れ出た。

霊装を破壊したところでリンドヴルムはトドメを刺そうと腕を引いた。

 

「これで貴様の『反霊結晶(クリファ)』は我のものぞ。さあ、死ぬがいい精霊!!」

 

「し、ど、う………」

 

リンドヴルムがようやく望んだ力が手に入る事に興奮し、六華の首を握る手に自然と力が入り、六華が苦しげに愛する者の名前を出した。

そして、今!六華の体から『反霊結晶』を取り出そうとリンドヴルムが、六華の心臓を目掛けて腕を伸ばす!!迫りくる腕を見た六華は、嘆願するように目を瞑った。

 

「ハハハハハハ!死ねぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

(士道………助、けて………っ!!)

 

リンドヴルムが声を上げると、六華は瞑った目にさらに力を込めた。ただすぐ目の前にある死の恐怖に怯えて………そして、願うしかできなかった………最愛のヒーローが助けに来てくれることを。

リンドヴルムが伸ばした指が六華の体まであとほんの数センチになった時だった。

 

ズビィィィィィィィィィィ!!

 

突如、凄まじい威力を持ったビームがリンドヴルムを飲み込み、六華が空中へと放り出された。

放り出された六華はビームが飛んできた方向に目を向けると―――………鎧が【極砲(ブラスター)】状態で翼の砲門からビームを放つ士道の姿があった。しかし、今の一撃ではリンドヴルムの体勢を僅かに崩す事しかできず、すぐさま反撃が飛んでくる!!

 

「―――ッ、死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「士道!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

リンドヴルムは極大の魔力球を、ビームを放った士道を目掛けて放った。その魔力砲は凄まじい速度で士道へと命中し大爆発が起こった。リンドヴルムはその場で士道を完全に消滅させたと思い、笑みを浮かべたが―――………背後に巨大なオーラが突如として現れた事に、リンドヴルムは反応する!!

 

「――――――な」

 

背後に現れたのは、先程完全に消滅させた筈の士道だった。しかも―――………先程と異なり、右手にもキャノン砲を顕現させた状態で。

士道を消滅させたと完全に油断していたこともあり、防御が間に合わないところへ、極限の一撃が叩き込まれる!!

 

「喰らえッ!!ドラゴンバーニングブラスタァァァァァァァァァァッ!!」

 

『Spiritual Burning Full Burst!!!!!!!!!』

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

至近距離からの士道が放てる技の中で最強の威力を誇るドラゴンバーニングブラスターが炸裂し、大爆発と共にリンドヴルムを吹き飛ばした。

士道は鎧を通常なものへと戻すと、血を流して倒れる六華の元へと駆けた。

 

「士道………どう、して………」

 

六華は先程消滅したはずの士道が、もう一人いる事に理解ができなかった。しかし士道は、そんな六華に何も言わずに時間を戻す弾を打ち込む。

 

「来やがれ『刻々帝(ザフキエル)』―――【四の弾(ダレット)】ッ!!」

 

パァン!

 

士道が【四の弾(ダレット)】を打ち込むと、六華の傷は塞がった。士道は六華に手を伸ばすと―――六華が怯えるように立ち上がり、背中を見せ距離を取った。

 

「………っ!」「六華?」

 

六華の体は小さく震えていた。士道の顔を見ると―――………突如として村人たちが六華に向けた言葉が頭の中をよぎったからだ。

―――あの魔獣と同じ、お前は化け物だ!

―――来るな化け物!出て行け!

―――消えろ化け物!

一年前、姉を失った事に絶望した六華はこの力を使い、村を襲った魔獣を殲滅した。

魔獣の殲滅後に皆の元へ向かうと、温かい言葉をかけてくれたのではなく、村人たちが恐怖の視線を向けて石を投げつけられたのだ。

中でも六華の心を深く傷つけたのは、この言葉だった。

―――五季じゃなくてお前が代わりに死ねば良かったのに!五季を………五季を返せ化け物!お前がトロトロやってたせいで五季が死んだんだ!!

 

「六華!?どうした六華!?おいしっかりしろ、六華!!」

 

自分の中にある忌まわしいトラウマが甦り、六華は苦しげに胸を押さえて膝をついた。膝をついた六華を士道が体を揺するが、今にも吐きそうな表情で士道を見上げた。

六華は悪い方向にものを考えてしまっていた。

 

―――士道もいずれ私の力を恐れ、迫害するのではないか?

―――いくら自分のことを愛してくれている士道でも、この代わり果てた姿を見たら、否定されてしまうのではないか?

―――そして士道も、私を拒絶し目の前から消えてしまうのでは………

 

自分の中に眠る醜悪な姿を見られた事が六華の思考をさらに悪い方向へと導き、さらに精神を深く傷付けた。

現実で起こったトラウマが六華が押し潰されそうになった時だった。更なる絶望が六華を襲った。

 

「赤龍てええええええいッ!!貴様よくもッ!!」

 

リンドヴルムが爆炎を吹き飛ばして、現れた。全身から血しぶきを上げ大ダメージを受けたにも関わらずまだ凄まじい殺気を撒き散らして戦場に復帰したからだ。

リンドヴルムの禍々しいオーラは最初に比べると格段に弱くなってはいるが、力自体はまだまだ落ちていないのだ。

心臓を貫かれても死なない士道もそうだが、このリンドヴルムも十分不死身と呼ぶに相応しいだろう。

 

「ど、どんだけタフなんだよ!?さっさとくたばれよこのイカれドラゴンが!!」

 

『いかに最強の邪龍とは言え、ここまで倒せんものなのか!?いくら全盛期の俺やアルビオンでも、ここまで痛めつけられて立っていられる自信はないぞ!?』

 

ロンギヌススマッシャー、六華の奥義、そしてドラゴン•ブラスターとそのバリエーションたるドラゴン•バーニング•ブラスター。

士道と六華が持つ極大の一撃を何度も受けようが倒れないリンドヴルムに、ドライグでさえ驚愕を隠せない様子だ。

 

「殺す!!殺してやる!!よくも我をここまで怒らせてくれたものだ。楽に死ねると思うなッ!!まずは貴様だ精霊ッ!!」

 

リンドヴルムは手のひらに魔法陣を呼び出し、照準を膝の付いた六華へと合わせ―――属性弾をマシンガンのように放った。

動けない六華を見た士道は鎧を変更して六華の前に立つ!!

 

鎧変化(アームド•チェンジ)、【護盾(ガーディアン)】―――がああああああああああ!!!」

 

士道は背中に内包した四枚の翼を呼び出し、背中の前で翼を合わせて盾にして六華を守る!!しかし、リンドヴルムの属性弾が士道の翼と分厚い鎧を貫き肉体を激しく傷つけ、士道は堪らず悲鳴を上げた。

 

「し、士道………なぜ、私を―――私のような化け物を」

 

「ハハハハハハ!やはり貴様は馬鹿のようだな赤龍帝。そうまでその化け物が大事か!守ってみせろ、フハハハハハハハハハ!」

 

リンドヴルムは休む事なく士道の鎧を傷つけた。それでも退こうとせず、ただひたすらに自分を守り続ける士道が、言葉を発する。

 

「また、化け物って言ったな―――がああああああ!!

ぐっ、言っただろ六華、お前は化け物なんかじゃない―――ガフッ

姿が少し変わったくらいで、俺がお前を否定するとでも思ってんのか―――ぐあああああああ!!

例えその姿がお前の抱える闇だとしても、俺はお前を離さない、抱きしめてやる!愛してやる!

だから――――――たがら!!これ以上自分で自分を傷つけないでくれ!!お前がそんな風に傷つく事は、俺も耐えられないんだよ………」

 

「―――士道………っ!!」

 

言葉の途中で、リンドヴルムの攻撃で激しく悲鳴を上げ、血を吐き出しながらも、士道は精神を消耗させる六華を諫めた。士道の言葉を聞いた六華の頬には、大粒の雨が降り注いだ。

―――ああ、私はどこまで愚かなのだろうか………

自分が愛した男さえ信じる事さえできなくなってしまっていた事を、六華は強く恨んだ。それと同時に今の士道が述べた言葉には、六華を立ち上がらせる力を与えた。

 

「はああああああ!!今度こそ貴様の最後だ!!くたばれッ、赤龍帝ィィィィィィッ!!」

 

リンドヴルムは両腕を単に天に伸ばすと、巨大な属性弾をミックスした球体を作り出し、その両腕を振り下ろした。

巨大な属性弾の球体は、士道に降り注いだ。

今の士道は背中の鎧を完全に破壊され、アレが直撃すると士道が完全に消滅する確信がリンドヴルムの中にはあった。

その時、士道に守られていた精霊が漆黒の翼を広げて士道の前に立ち、手に持つ杖を体の前で回転させる!

 

「『滅星魔神(ルシファー)』―――【明けの明星(アウローラ)】ッ!!」

 

「チッ!」

 

ズバアッ!

 

士道に降り注いだ属性弾を六華の奥義が反射した。反射された球体にリンドヴルムは舌打ちをして、手刀で放たれた球体を真っ二つにしてやり過ごした。

 

「………防いだか。しかし、赤龍帝は既に死に体。そこの精霊も残りの霊力での奥義の発動は不可能。この戦、我の一人勝ちぞ」

 

リンドヴルムが勝利を確信して腕を広げると、士道と六華は憎しげに空中に佇むリンドヴルムを見上げた。未だ力の底を見せないリンドヴルムに対し、士道と六華は完全に満身創痍。戦う術はもう残っていなかった。

リンドヴルムは右手に魔法陣を展開し、トドメの一撃を放とうとしていた。魔法陣が光り輝くとリンドヴルムの右手に魔力でできたドラゴンが顕現していた。

 

「さあ、最後の時ぞ!!死ねええええええええッ!!」

 

リンドヴルムが魔力でできたドラゴンを放とうとした時、六華が士道の前へと立った。漆黒の杖を持って………

 

「六華―――………なんの真似だ!?」

 

士道が訊くと、六華は空へと視線を向けたまま言う。

 

「どうせ死ぬなら汝を庇って死にたい。例え一秒でも一瞬でも………この命は汝に貰ったものだから」

 

「ふざけんな!!」

 

ガシッ!!

 

士道は視界が朦朧とする中、立ち上がって六華の手を掴んだ。そして強く願う。

 

「俺より先に死ぬなんて絶対に許さない―――だから、最後の一瞬まで俺の隣にいてくれ」

 

「全く、強情な男だ―――………そう言うところも含めて私は汝のことを好きになった。愛している、士道」

 

「遺言は以上か、では――――――」

 

ビシッ!!ビシビシビシビシビシッ―――ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

突如トドメの一撃を放とうとしたリンドヴルムを突然の業火が飲み込み、彼方へと吹き飛ばした。

士道が目線を上空へと視線を向けると、空間が裂け次元の狭間から何か赤い超巨大生物がこの世界へと入り込もうとしていた。

その超巨大生物を見た六華は、呆然として口を開けた。

 

「あ、アレはドラゴン―――………?」

 

次元の狭間から現れた謎の超巨大生物は、真紅の鱗を持ち、巨大な翼、鼻の上には、如何なる物でも容易く貫きそうな鋭角な角を持ったドラゴンだった。

そのドラゴンは士道とドライグが知っている存在だった。

 

「お、おいドライグ………あのドラゴンって」

 

『ああ、間違いない―――黙示録に記された伝説のドラゴン「真なる赤龍神帝(アポカリュプス•ドラゴン)」グレートレッド』

 

次元の狭間からこの世界に入り込み、リンドヴルムを吹き飛ばしたドラゴンは―――………グレートレッドだった。

 

 




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士道の分身隊が『第二段階』の鎧を纏っていた件ですが、これは本当に迷いました。最初はアスカロンで光の壁を出して、その光の壁が消えた瞬間に本体の士道が現れるようにしようと考えてましたが、アスカロンを失い『これ無理じゃん』と思ったのでこの形になりました。

反転体の六華の魔王についてですが、これは本文でも書いたように正規の天使が反転したためです。六華の本来の天使は今後の章で出す予定ですが、恐らく『DxD』の世界へ行く時になると思います。
反転体の六華は、通常時の六華と少し口調を変えました。
名前と力の一部だけは美九編終了後の『万由里ジャッジメント』で出す予定をしています。


今後ともデート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜 をよろしくお願い致します。

ドライグ先生の次回予告

ドライグ『な、なな、なななな何という事でしょう!?次元を切り裂いて現れたのは、『DxD』と称される真なる赤龍神帝グレートレッドだ!!
戦場はもはや大乱闘スマブラ状態!過去最強の乱入者を前に相棒はどうするのか!?
次回、デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜
十三話 『またな!』
精霊を守護せし帝王よ、夢の舞台(脱童貞)へ駆け上がれ!』

士道「何!?俺は次回で脱童貞すんの!?え、マジで!!」

※大丈夫です、もうしばらく士道くんは童貞のままです。
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