デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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どもども、勇者の挑戦です。
前章六華クライシスにて、自分でネタを考えるのに慣れてしまい、小説片手に内容確認しながら、書き込む内容を取捨選択するのがクソ大変です。

さてさて、八舞姉妹の登場は―――多分次回になりそうです


二話 いろいろ準備をします!

「はーい注目!」

 

教室にて、タマちゃん先生(二九歳独身)が教卓側の黒板に手を向ける。

黒板には、何やらいくつも枠線が書かれてあり、何かグループを決める様子だ。

 

時間は既に放課後のチャイムがキンコンカンコンと鳴動した後、タマちゃん先生が急ぎのホームルームを始めた。

 

「修学旅行の自由行動の時の班及び、部屋割りを決めちゃいましょぉ!好きな人同士で四、五人の班を作ってくださぁい!」

 

タマちゃん先生が指示を出すと、クラスの学級委員長が手を挙げた。

 

「岡峰先生、男子及び女子ともに班はもう決まっています。後は自由行動を共にする、男女の班の組合せをくじ引きで決めたいのですが。

くじの方はこの通り、既に作ってあります」

 

学級委員長が、班のメンバーを書いた紙を入れた箱を用意して提案をした。

………ちなみに、箱の中身は男子の班のくじだ。それを女子の班長が引いて、引いた籤の班とペアを組むと言う事だ。

 

「くじ引きは良いですけどぉ………でも、せっかくの修学旅行ですし、お互いが気を許せる仲のいい友達と―――」

 

()()()()()()()()()()ですから!!これはクラス全員の意見です!!」

 

タマちゃんの言葉を遮るように、男子の学級委員長が言い切った。

―――そう、このような籤引きをする様になったのには、原因がある。

 

 

 

 

―――遡る事三日前………

 

クラスの学級委員長が、修学旅行がある事を見越して修学旅行の班決めを行っていた。

 

「高橋―――俺の班は俺を除いて、殿町、小川、竹林の四人だ。これで出す」

 

「分かった。これで全員決まったな」

 

士道はクラスの男子の学級委員長―――高橋に班を決め、紙を提出する。

これで男女共に全ての班が揃い、残りは自由行動での男女を組み合わせた班を決めるだけだった。

………しかし此処で大きな問題が起こった。

 

―――それは………

 

「シドー、一緒の班になろう!」

 

「おい十香、抱きつくなって―――………六華はオーラをしまえ!!」

 

十香が、士道に抱きつくと、浮気と捉えた六華ちゃんが、凄まじいオーラを放出させる。

 

………失礼、これは大した問題ではない。本当の問題はこれだった。

 

「園神さん、俺たちと班を組まない!?」

「いや、園神さんの班は俺たちと組むんだよ!!」

「園神さん、俺らと自由行動の班を組んで下さい、お願いします!!」

 

「えーと………」

 

などなど、男子がクラス内で、ぶっちぎりの美少女偏差値を誇るメンバーを揃えた凛袮の班『精霊トリオ+凛袮』と、ペアを組もうと怒涛の勢いで押しかけてきた。

 

凛袮は困ったように、視線を泳がせていた。それを見た士道が、詰め寄る男子たちを跳ね除けて、凛袮の肩に手を置く。

 

「お前ら邪魔だ。凛袮の班と組むのは俺たちの班だ………分かったら向こうに行け」

 

「………そ、そう言う事だから―――みんな、ゴメンね?」

 

士道がシッシッと手を払うと、凛袮が申し訳なさそうに手を合わせた。

―――これで素直に諦めてくれると思った人は、挙手して下さい。

 

………もちろん、男子たちは納得するわけが無かった!!

 

「ふざけんな五河!!お前はどんだけ、俺らの恋を邪魔したら気が済むんだ!!」

「クラス一の美少女たちと、毎日にゃんにゃんしやがって!!一人くらい俺たちにも寄越せ!!」

「そうだそうだ、もっと十香ちゃんを大事にしろ!!それから星照さんと別れろ!!」

 

「おい最後!?本音出しやがったな!!」

 

教室内はスマブラ状態になり、収集が付かないほど大荒れになった。結局、女子の学級委員長である桐生愛華が『それならくじ引きで決めない?』と言うことになり、こう言う結果になったのだ。

 

 

―――そして今、ようやく男子たちの運命をかけた籤引きが始まろうとしていた。

 

「それじゃあまずは、園神さん」

 

高橋に名前を呼ばれて、凛袮が前に出て教卓の上のクジが入った箱に、手を入れようとしていた。

その時、高橋が凛袮に言う。

 

「園神さん、俺らの班のクジを引いてくれ!」

 

「ははははは………」

 

凛袮の前で手を合わせる高橋―――いや、士道を除いたクラスの男子全員が祈るように両手を合わさて目を瞑っていた。

これには凛袮ちゃん、思わず乾いた笑みを浮かべた。

 

しかし、凛袮の班は三人が精霊―――人外の存在だ。そんなものと班を組ませる事を許さないものがいた。

その人物が教室の扉を開けて入ってきた。令音は、箱に手を入れる凛袮を見るなり状況を察した。

 

「良かったギリギリセーフのようだね。高橋くん、桐生さん………ちょっといいかい?それから凛袮、籤を引くのは少し待ってくれ」

 

令音は教室に入るなり、高橋と桐生を押しのけて黒板の前に立った。令音が来たことにタマちゃん先生が訊ねる。

………しかし、凛袮は令音が言う前に紙をその手中に収めていた。

 

「あの………村雨先生、職員会議の方はもう?」

 

「ああ。その職員会議で決まった事を話そうと思ってね―――………凛袮がクジを引く前で―――よくやってくれた」

 

令音が黒板の前に立って職員会議での決定事項を話そうとした時、凛袮が手中に収めていたものを令音に見せた。

それをみた令音は優しく微笑んだ………そう、凛袮が引いた籤は―――士道たちの名前が書いてあったものだったからだ。

 

「ああああああんまりだあああああああああ!!」

「これが運命、だと!?認められるかああああ!!」

「許すまじ………おのれ五河、許すまじ!!」

 

士道の班以外の男子たちが怨嗟の声を撒き散らしていた。その様子に女子たちは冷たい視線を向けていた。

 

「それで………村雨先生、職員会議の方はなんと?」

 

「ああ、すまない。この通りシンの班と凛袮の班が一緒になったわけだが―――職員会議の方で、問題児は一箇所に固めるようにという方針が決まってね。

鳶一折紙………キミは凛袮の班に入ってもらう。そしてその問題児を固めた班には、副担任も常時随行という形になった」

 

「………ええと、つまりどう言うことだってばよ?」

※↑タマちゃん先生です

 

「問題児を集めた班を監視しろと言うことです。

………このクラスで言うなら―――籤を引くまでもなく、シンの班は凛袮の班と組ませるよう命令が出ました。

日本―――いや、世界屈指の女たらし『五河士道』と、ほぼ毎日喧嘩をする十香と鳶一折紙。それから右も左も分からない転校生二人………このクラスでは、この五人を同じ班で固めるようにと………当然、副担任である私もこの班に随行となります。

これに反したクラスは、修学旅行に行かせないと先程の職員会議で決定しました」

 

シーンッ………

 

完全にクラスが静まりかえった。この結果にこれ以上文句を言おうものなら、二年四組の修学旅行は完全に夢物語で終わってしまうからだ。

 

………問題児を固めるようにと言う命令が出たのは、二年三組の転校生が、初日にクラスの不良を病院送りにした背景があった。

その為、クラスごとに問題児を集めて監視する形になったのだ。

 

しかし、これは令音にとってはこの上なくありがたい状況だ。

不安要素のある精霊トリオ及び、AST所属の折紙の様子を同時に監視できるからだ。

 

「………えーと、籤引きでも学校からの強制命令でも、五河の班と園神さんの班がペアになる事が決定したけど、残りは――――――」

 

高橋は残りの班を続けて籤引きで決めようとした時、言葉を失った。その理由は至ってシンプルだ。

………男子の希望が潰えてしまったからだ。クラスの最高の美少女たちだけでなく、麗しき副担任の令音まで士道に取られたからだ。

 

「残りはもう好きにしてくれ………」

「勝手にしろよ………俺たちの修学旅行はここが終点だ」

「どうでもいいわ………運命って残酷だ」

 

ズーンッ………と言う効果音が教室中に響き渡った。このあまりの落ち込みぶりに席についた凛袮が士道に耳打ちをする。

 

(ねぇ士道、さすがにこれは見てられないよ………)

(やめろ凛袮、これ以上文句を言ったら修学旅行がお釈迦様だ。まあ、でもそうだな………)

 

ジェットコースターが頂上から凄まじいスピードで落ちていくように、クラスのテンションが急降下した。

その時、タマちゃん先生が痔を出した。

 

「お前らゴラァ!!女子は園神さんの班だけちゃうやろがッ!!他の女子は目くそ鼻糞なんか!?高校生にもなって、なんじゃこの体たらくはッ!!」

 

『………ッ!!』

 

タマちゃん先生の言葉に俯いていた男子たちの顔が上がった。タマちゃんの言う通りだ。

 

―――俺たちは他の女子にどれだけ失礼な事をしてしまったのか………

 

男子たちも「そうだよな、まだ希望はある!」「良し、くじ引き続けようぜ!」などなど徐々に雰囲気が上向きに動いてきた。

 

『………アレで感情が上向くのも、どうかとは思うがな』

 

ドライグさま、ご最もであります。タマちゃんがクラスに喝を入れた後は、ほんの数分で自由行動の班が決まり、ここからは修学旅行の部屋割りに移ろうとしていた。

 

ここからは、司会がヤンキータマちゃんから令音へと変わる。

 

「ここからは部屋割りだが………一つ皆に謝りたい事がある。部屋割りについてだが、男子は一人だけ狭い和室を使用してもらう事になる事になってね。このクラスだけ男子が奇数だ。

故に余った約一名は、そこを使って欲しいとホテル側から申し出があってね。そこで――――――」

 

令音がある人物をビシッと指を刺した。指を刺されたのは士道だった。

 

「シン、これを頼めるのはキミしかいない。頼まれてくれるかい?」

 

令音が士道に狭い和室を使わせるのには、理由がある。

精霊たちや折紙などの件で打ち合わせをするためだ。旅行先にて精霊が出現した場合などの突然のアクシデントに備えて、令音はその部屋を士道に使わせたかったのだ。

 

「分かりました村雨先生。俺がその部屋に行きます」

 

士道も令音の意図を理解して、そのお願いを承諾した。その時、勢いよくピーンと手を挙げる生徒がいた。

 

「令音、私はシドーと一緒の部屋になりたいのだが―――」

 

「………他に意見のあるものは、いないかな?」

 

十香の挙手を令音、まさかのスルー。十香ちゃんは「無視するでない!」と言うが答える気はない。

すると、今度は六華が手を挙げて立ち上がった。

 

「あの、村雨先生。部屋割りの件でお願いが「却下だ」―――即答ですか!?私、まだ何も言ってません!!」

 

令音が盛大にため息を吐くと、タマちゃん先生が十香の質問に答える。

 

「夜刀神さん、部屋割りは男女は別部屋です。これは決まりですから」

 

「六華、キミの言いたいことは―――『私と岡峰先生の部屋をシンとキミに変えて欲しい』ということだろう?岡峰先生の言った通り男女は別部屋だ」 

 

「むぅぅぅぅ!」「はぁぁ………」

 

十香は頬を膨らませ、六華はため息を吐くなど不満な様子を隠そうとはしなかった。

それに合わせて士道が言う。

 

「お前ら、あんま先生を困らせんなよ。部屋は別でも、遊びにくりゃいいじゃねえか。それに、部屋以外でも飛行機の隣の席は自由なんだ。それで俺の隣にくりゃ良いだろ?先生、飛行機の席はそれでも良いですよね?」

 

士道が訊くと、タマちゃん先生と令音は首を縦に振った。こうして、本日の決め事は全部終了したため、ホームルールは終了した。

最後に各班で集まり、自由時間にどこを見て回るか、何をするかを決めた後、士道たちはそれぞれの帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は家に帰った後、修学旅行に備えての準備をしていた。お家に遊びにきたふわふわとした海のような髪と、蒼玉のような瞳を持つ少女と一緒に。

 

「四糸乃、こいつに入れるか?」

 

高さは自分の腰、幅は八〇センチはありそうな大きなスーツケースを、部屋のクローゼットから取り出して、チャックを開けた。

四糸乃は士道が開けたスーツケースの中へと身をかがめて入り込む。

 

「えっと、士道さん………入れます」

『わあ、誘拐だねぇ。士道くんは愉快な誘拐犯―――なんちって、ケハハハハハハハ!』

『………よしのん、どスベりしているぞ?』

 

この通り久しぶりの四糸乃、よしのん、ドライグのコンビが復活していた。さて、それでは本題に入ろう。

四糸乃がスーツケースの中に入り切った事を確認した士道は、ファースナーを閉めて、スーツケースを立たせる。

 

「四糸乃、大丈夫か?」

『大丈夫、です(でーす)』

 

立たせたスーツケースをコンコンと叩くと、四糸乃とよしのんから肯定の返答を受けて士道くんは確信した。

 

「よし、条件は全てクリアされた。四糸乃、よしのん!明後日から俺と一緒に修学旅行だ!」

 

『はい!』『おー!』

 

士道が拳を突き上げると、スーツケースがカタカタと揺れる。ルンルン気分ではしゃいでいた所に、妹様が降臨した(義妹の方である)。

 

「いや、何してるのよあなた………普通に空港の荷物検査で引っかかるわよ。心配しなくても、四糸乃はお留守番よ」

 

部屋に入るなり、カタカタと不気味に動くスーツケースを見て、士道くんの行動を看破する琴里ちゃん。

これを見られた士道くんは、スーツケースを抱きしめる!!

 

「断る!!三日間も四糸乃の癒しを受けられないなんて、そんなもん俺に死ねって言ってるようなもんじゃねえかッ!?俺は空港の職員を血祭りに上げてでも、俺は四糸乃を持っていく!!」

 

「じゃあ士道………あなたを先に血祭りに上げてやるわ」

「ぎゃああああああああああ!!」

 

業火を放つ巨大な斧を片手に、士道に襲い掛かる琴里ちゃん。斧で頭を強打された士道くんは、力なく床へと倒れ伏した。

………その後は、琴里が四糸乃とよしのんをスーツケースから解放して、フラクシナスへと戻って行った。

 

「ううっ………ぐすん。あんまりだ………こんなの、あんまりだああああああ………」

 

「士道さん、元気出してください」

『ああ………こりゃあ重症だねぇ。異世界で六華ちゃんのために戦って相当消耗したんだね。まぁ、元気出してよ士道くん』

 

床で四糸乃を修学旅行に持って―――失礼、連れて行けなくなった事に涙を流す士道くんを、四糸乃とよしのんが心配そうにその頭を撫でる。

士道くんは深刻な癒し成分欠乏症を患っているのだ。

 

ピーンポーン!ソロモン宅急便でーす!士道くーん、お届けものだよー

 

士道のスマホから、ソロモンからの贈り物が来た合図を出した。

四糸乃に少し待ってもらうように言うと、ドタドタと階段を降りて荷物を受け取るために、ドアを開けた。

 

「あ、ソロモンさん―――あれ、六華も?」

 

ドアを開けると、次元の守護者のソロモンと六華が扉の向こうで立っていたからだ。

士道が来た事を確認したソロモンは、幾重にも布を被せた白い棒状のものを士道に差し出した。

 

「解放してごらん士道くん。キミに頼まれていたものが完成してね」

 

士道はソロモンから、それを受け取ると籠手を出して力を込めた。

すると、布が一気に弾け飛び中に入ったものを解放させる………そこから現れたのは、かつてないほど神々しい輝きを放つ、ずっと愛用していた聖剣だった。

 

「………アスカロン。もしかして、強化してくれました?」

 

………そう、ソロモンから受け取ったアスカロンは、今までと異なり、強度とオーラが明らかに変化した事を士道は察知したのだ。

 

「正解だ。まず剣の材質を伝説の金属―――オリハルコンに変更した。さらに施された特殊儀礼を、僕の方で少し弄らせてもらってね。完全に士道くん用へと変更したんだ。

リンドヴルムを倒してくれた英雄の頼みだから、これくらいのサービスはさせて貰ったよ」

 

「………ソロモンさん、ありがとうございます」

 

士道はオーラを聖剣に集中させ、波動を合わせると―――ジャキィィィィンッ!と言う音が響くと同時に、籠手に同化させる事に成功した。

その様子を見たソロモンは、六華へと視線を移す。

 

「それから六華ちゃんにも、贈り物だ」

 

「私にも………ですか?」

 

ソロモンは、異空間に手を入れると神々しい光を放つ槍を取り出した。それは、アテナが愛用している『神槍•アイギス』だった。

ソロモンがその槍を手に差し出すと、六華の両手に送られた。

 

「この前のお茶会で、アテナが随分とキミのことを気に入ってね。アテナとキミは顔以外はほぼ全て丸被りだからね。

キミを実の妹のようにアテナは思っているんだ。これからも、アテナのことをよろしく頼むよ。ちなみにそれはレプリカだけど、本物と大差ない威力を誇るよ」

 

「分かりましたソロモンさま。後でアテナさまにお礼のメールをお送ります」

 

「うん、アテナもきっと喜ぶよ。それじゃあ修学旅行楽しんできてね」

 

ソロモンはそれだけ残すと、手を振って帰って行った。そして、それから二日はあっという間に経過し、士道たちは修学旅行の日を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤龍帝と精霊トリオを搭載した飛行機は、太平洋の上空を飛行していた。左右の席からの騒音と、襲い掛かる壮絶な眠気を相手に士道くんは戦っていた。

 

「士道、見て。景色が綺麗」

 

「シドー!こっちだって綺麗―――って窓が遠いではないか!!」

 

士道は先日に激闘があった為、あまり眠れなかったのだ。故に、飛行機の中ではその分の睡眠を取ろうと思っていたが、左右の席がこのザマだ。

 

「お前ら、マジで寝かせてくれ。俺は昨日あんま寝てないんだ」

 

左目に手を当てながら、ウトウトとする士道くん。しかし、左右の席からは腕を引っ張られるわ、景色だ床だのと大はしゃぎで、睡眠どころでは無かったのだ。

 

「五河、あんま寝てないって………もしかして昨日、星照さんと―――」

「桐生、それ以上言うとこの頭握り潰すぞ?」ミシミシミシミシッ………

「ちょっと五河!?ゴメン、謝るからもうやめて!!本当にミシミシ言ってるから!!これ以上、力入れられると血が出るから!!」

 

一つ前の席で六華と凛袮の間に挟まれている、桐生愛華の頭を鷲掴みにする士道くん。

余計な争いを作らせない為に全力で黙らせに行ったのだ。口を閉じた桐生愛華を見た士道は頭から手を退けた。

 

「でも、飛行機が飛んでよかったわよね。もし今日の夜中に台風が消えなかったら、飛行機飛ばないから修学旅行中止になるところだったんでしょ?」

 

「はい。村雨先生から私もそれを聞かされました。無事に修学旅行に行けて良かったです」

 

「でも、今朝はそのニュースで持ちきりだったよ?何しろ、台風が突然消えたから異常気象だとか何とかって、大々的な報道されてた」

 

前の席でもこんな風に、仲良くお話タイムだ。しかし、士道の眠気は限界に来つつあり、座席に脱力して体を預けていた。

ふわぁぁぁと連続であくびをする士道を見た十香と折紙は、ようやく落ち着きを取り戻した。

 

「士道、どうしたの、平気?」

「シドー………大丈夫か?」

「すまんちょっとだけ寝かせてくれ」

 

折紙と十香は、だるそうな表情を浮かべる士道を見て、静かにする事を決意した。

 

………何故士道がここまで疲れているかと言うと、昨日の夕食を精霊クインテット(十香、四糸乃、くるみん、琴里、六華)+令音と食べている時に、テレビに台風情報の番組が映った。

 

発生した台風が目的地の或美島の付近を通るため、飛行機が飛ばなくなるため、修学旅行を中止せざるを得ないと、学校から令音に電話が入ったのだ。

 

令音からその事を聞かされた精霊トリオのテンションの下がり方は、籤引きの時の男子のそれと全く同じで、士道は見ている事ができなかった。

 

就寝前にもう一度、台風情報を見ても一向に台風の進路が変わる事がなく、修学旅行は絶望的な状況だった。

 

―――それなら、俺が台風を吹き飛ばすしかない。

 

士道はそう決意して、令音や神奈月に頭を下げて作戦決行を願い出た。士道の心からの願いに、フラクシナスのクルーたちは二つ返事で了承してくれた。

 

―――時刻はAM 0:55 作戦決行まで残り五分。

 

令音たちフラクシナスのクルー協力のもとグレートレッドのオーラで覚醒させた新たな武装―――霊装を顕現させて出現した台風に挑もうとしていた。

万が一にも、フラクシナスを巻き込まないよう、かなり離れた位置から士道は台風を目掛けて突っ込もうとしていた。

………台風の位置は、フラクシナスの方から令音が教えてくれる。インカムから令音の声が聞こえて来た。

 

『シン―――台風の中心はそこから十二時方向に約二〇〇〇キロ程だ………準備はいいかい?」

「ええ、いつでも行けます!!」

 

士道は、大きく息を吸い込み立ちはだかる災厄を見つめた。風が目に見えるほど凄まじく、その中心には雲の狭間にポッカリと大きな穴が空いているのを確認した。

その地点を目指して―――精霊たちの希望を護るために、作戦が決行された。

 

「台風さんよ―――うちの精霊ちゃんたちは、テメェを歓迎してないんだ………悪いが消えてもらう!!」

 

士道はエナジーウイングを広げると、台風の中心を目掛けて突っ込んでいった。

 

「おっぱいドラゴン舐めんなよ!?おおおおおおおおおおおおお!!」

 

吹き荒れる暴風雨の中、衝撃波を周囲に飛ばしながら風を切り裂いて一直線に空をかける。十数分ほど天をかけると、風が一気に弱くなった。

その時、令音から指令が入った。

 

『シン、そこが台風の中心だ―――思いっきりやるんだ』

 

「了解です!!来やがれ―――『灼爛殲鬼(カマエル)』、『氷結傀儡(ザドキエル)』ッ!!」

 

台風を吹き飛ばしたのは、六華との祭りの際に放とうとした、あの汚い花火―――灼爛殲鬼の業火と氷結傀儡の冷気を合わせたあの技だ。

今回は弓状にして放つのではなく、士道は身体の前で融合させたものをそのまま爆発させる事を選んだ。

 

「吹き飛びやがれぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

融合させた相反する二つのエネルギーが、上空で大爆発を起こすと―――台風が完全に消え去った。

 

『ミッションコンプリートだ。すぐにフラクシナスで回収する』

 

フラクシナスでも台風の消滅を確認した後、急いで士道の回収へと向かった。

こうして修学旅行中止の危機を、士道は未然に防ぐ事に成功したのであった。

 

「………睡眠三時間はキツすぎるわ」

 

士道は誰にも聞こえないような声で囁くと、左手から声が聞こえて来る。

 

『こいつらの為に、よくもまあここまでやった………さすがは精霊を守護する赤龍帝だ。ゆっくりと休め相棒、着く頃には俺も起こしてやる』

 

「ああ、頼むぜドライグ………」

 

それだけを言い残して、士道は意識を手放した。修学旅行が始まったばかりで士道くんはダウンした。はてさてこの先どうなりますことやら………

 




次回で八舞姉妹を出すので、もうしばらくお待ち下さい!

前話でも触れましたが、この話以降は週一投稿になると思います。

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