デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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続きです!

八舞編も後四話ほどで終了になりすかね?

それでは、どうぞ!


六話 MVPはこの俺だああああああ!!

令音がビーチバレーをしようと言うと、士道たちは近くの砂浜に設営されたコートへと移動した。

チーム分けだが、令音が手作りのクジで割り箸の先に人物の顔を書いたものでチームを分ける事になった。

 

ちなみに士道チームは―――士道、耶倶矢、夕弦、令音の四人。

一方で相手チームは、十香、折紙、くるみん、六華、凛袮の五人。

 

………士道は男子ということもあり向こうのチームが一人多いと言う形になってはいるが、そこは士道もせめてものハンデという事で割り切っていた。

 

しかし、ビーチバレーをするにあたって一つ懸念があった。向こうのチームには心配要素がある――――――それは折紙だ。

………力を失ったとはいえ、折紙は十香とくるみんが精霊であることを理解している。

チームで行うビーチバレーとは言え、折紙が素直に十香やくるみんと協力するとは思えない。

 

(どうするんですか令音さん。このチームに異論はないですけど、折紙が十香たちと連携できるとは、とても思えません)

 

士道が令音に耳打ちをすると、令音は心配ないと言わんばかりに小さく笑った。そして―――令音の口からとんでもない発言が飛び出す。

 

「みんな、聞いてくれ。この勝負で最も活躍したMVPには、何でも一つシンに言うことを聞かせる権利を与える」

 

『本当か!?(本当ですか!?)』

「はあああああ!?」

 

耶倶矢と夕弦はポカンとした表情を浮かべ、向こうのチームは全員がモチベーションをブーストさせた。

士道くんは、令音の発言にびっくりして大声を上げる。

 

………当然、これでは士道だけ何一つ旨味がないからだ。士道は令音に訊く。

 

「俺が命令なんでも聞くんですから―――俺がMVP取ったら、どんな特典が付きます?まさかとは思いますけど、俺だけ何も無しなんて事は―――」

 

「キミがMVPを取った暁には、私の体を好き放題にできる―――と言うのはどうかな?これならキミが背負う条件と釣り合うと思うのだが………」

 

『っ!?』

「ま、マジっスか!?じゃあ、おっぱい揉んだりとか吸ったりしても―――」

 

令音が士道に与える特典を聞くと、一気に空気が変わった。

………特に、士道たちとネットを挟んだ向こう側のコート―――十香たちのチームとの間では………まるで大きな喧嘩をした後のような別世界が広がっていた。

 

興奮気味に士道がやる事を具体的に伝えると、令音ははっきりと告げる。

 

「そんな事でよかったのかい、シン?私は―――()()()()()()()()()()()()()と言う意味で言ったのだが………これで理解してくれたかな?」

 

令音の言葉を聞いた士道は、大きく息を吸い込み天を指差す!!

 

「お前らよく聞け、MVPはこの俺だあああああああ!!」

 

―――キミがMVPを取れば大人の階段を登らせる。

 

令音が言おうとしたことはこう言う事だ。それは男子高校生にとって非常に重要なステータスになるもので、この修学旅行で必ず成し遂げると士道が決めていたものだった。

それを前にした士道が燃えない理由は無かった。それを掴み取ると堂々と胸を張って言い切るほど士道の魂は輝きを増す!

 

「フフッ、やる気になってくれたみたいだね。嬉しいよ、シン」

 

士道が体全身に闘志をたぎらせた事に、微笑む令音。それを見たドライグは盛大にため息。

 

『今のは最悪手になったな相棒―――見てみろ、向こうは本気でくるぞ?』

 

ドライグに言われた通り、向こうのコートを視界に入れると―――なんということでしょう!?十香ちゃん達は円陣を組んでいる!!

 

「皆さま、分かっていますか?」

 

六華が円陣の中でボソッと呟く。六華の言葉に、全員が首を縦に振る………約一名は、六華の真意を理解できていない者がいるのだが。

 

「士道さまがMVPを取られた暁には、目の前で士道さまが襲われます。私たちはそれを絶対に阻止しなければなりません」

「なに!?それはタイヘンではないか!!」

※↑十香ちゃんです、意味わかってません。

 

他の三人は視線を鋭くして首を縦に振る。くるみん、折紙、凛袮は全力で阻止するつもりだ。

向こうのチームのボルテージがさらに上がっていく!!

 

「絶対に阻止してみせますわ!!」

「士道の貞操は、私が予約している」

「………こんなの絶対に認めちゃいけない!例えお互い合意しても!」

 

相手チームは想いが完全に一致。最後に六華が大きく喝を入れる!!

 

「全力で士道さまのMVPを阻止しましょう―――ファイッ!!」

『おー!!』

 

六華の掛け声で相手チームが戦闘態勢に入った。それに対して士道くんも、燃えていた。

 

「よっしゃ行くぞ耶倶矢、夕弦―――俺さまがMVPを取るために!!」

 

「………えーと」

「嘆息。はあ………」

 

こちらのチームの士気は、普通以下なのは言うまでも無かった。あまりやる気になっていない耶倶矢と夕弦に、士道くん迷わずDO☆GE☆ZA!

 

「………耶倶矢、夕弦。俺が負けたら万に一つもお前らを選べなくなる可能性がある!頼む、俺にお前らの力を貸してくれ―――この勝負でより活躍した方を、真の八舞に押すからさ!」

「カカッ!そうと決まれば斯様な有象無象なぞ、我が蹴散らして見せようぞ!」

「同調。夕弦の辞書に敗北はありません!」

『それは………どこのボナパルトだ、八舞夕弦よ?』

 

………ちょろいもんである。ちなみに士道が心に思った事をドライグは突っ込んでくれたが、見事にスルーされてしまった。

 

―――こうして、それぞれがうちに秘めた野心のもとビーチバレーが開催されようとしていた。

 

人数が一人少ない関係上、士道チームのサーブでゲームが開始されようとしていた。

 

「行くぜッ!!」

 

士道は天高くボールを上げ、大地を強く蹴って体を空中へと浮かせる!!そして、落ちてくるボールにタイミングを合わせて―――腕を振り抜く!!

 

「おおおらっ!!」

 

バンッ!!

 

側から見れば士道くんの酒池肉林状態のビーチに、輝く雫が散らばった。

 

 

 

 

―――その頃のもやしっこー部長

 

 

 

「こちらアデプタス1。ターゲットの位置まで後どのくらいですか?」

 

人類最強の魔術師ことエレンは、今回の捕獲ターゲットである十香の追跡にあたっていた。

昨日も何度も十香の捕獲にチャレンジしたが、いずれも失敗に終わっていた。

 

その時、通信相手からインカムに音声が届く。

 

『はて………アデプタス1とは―――』

『そんな奴に覚えは―――』

 

任務中にボケてるのか?と言いたくなるほど、上空でこの島を監視するDEM社の空中艦―――『アルバテル』は平和のようだ。

エレンは拳を握りしめて、怒鳴り声をあげる!!

 

「執行部長のエレン•メイザースです!!」

 

『これは失礼を!!もやしっこー部長殿でしたか!?』

『これはもやしっこー執行部長殿、大変失礼しました………ターゲットまで後四〇〇メートルほどです………現在の移動速度ですと―――後一時間ほどで到着の見込みです』

 

「貴方がた!?私のことを何と呼びましたか!!ンンッ、それから〈プリンセス〉の位置まであと一時間もかかるのですか―――もう一時間も泳ぎ続けていますよ!?」

 

ビート板に捕まりながら、バタバタと両足で水飛沫を上げながら泳ぐエレン………ビート板無しでは、泳げないのだ。

それでも、任務遂行のためにバタ足で泳ぎ続けるエレンは、まさに社畜の鏡である。

 

「くっ………『ペンドラゴン』さえ起動出来れば」

 

エレンは水着の下に隠すデバイスを使えればと、エレンは奥歯を噛み締める。しかし、それは不可能な話だ。

顕現装置(リアライザ)を搭載した装備は、一般大衆に晒せるものではない。しかも、十香たちが移動したプライベートビーチは、陸からの道はなく水路か空路かのどちらかを選択するしかない。

 

しかし、空路の移動となると『ペンドラゴン』を起動せざるを得ないため、生徒に見られれば面倒事になりかねない。

故に水路を地道に泳いで行くしかないのだ。しかし、エレンの泳ぐ速度は小学校低学年レベルだ………当然ながら邪魔が入る。

 

「あっれーエレンさん、こんなとこで何してるの?」

「あ、エレンさんだ」

「エレンさん、こんな所で泳ぎの練習?マジ引くわ〜」

 

エレンの悩みの種―――亜衣麻依美依トリオが水中から顔を出す。エレンは慌ててビート板を隠す。

………エレンは〈プリンセス〉捕獲の任務を悉くこの三人に妨害されていた。

 

十香が視線を感じて出て行った時は、追いかけたところを亜衣麻依美依トリオに出くわして連れ去られ、寝ている時に捕獲しようと試みたが、これも運悪くこの三人に出くわし、枕投げをやらされたのだ。

 

「また貴女方ですか!?先程写真ならたくさん―――」

 

「いやいや、もう一個付き合って欲しい遊びがあるんですよ」

「そう言うわけで、エレンさんお借りしますね!」

「マジ引くわ〜」

 

「あ、ちょちょちょちょちょ、ちょっ!?」

 

エレンが全てを言う前に、亜衣麻依美依トリオはエレンを掴んで元いたビーチへと強引に連れ戻した。

ちなみにエレンが愛用するビート板は海の彼方へと消えていたった。

 

こうしてエレンは殿町と仲良く砂浜に埋められましたとさ、でめたしでめてし!

 

「あ、エレンさん!俺、あなたに惚れました、連絡先交換しませんか―――痛い」

 

殿町が憎たらしい肌輝いた笑顔を見たエレンは、堪らずカメラを殿町の顔面へと投げつけた。

亜衣麻依美依トリオによって、十香は無事救われたのであった。

 

一方空中艦『アルバテル』では―――

 

「執行部長殿が一般生徒に拉致されました。バンダースナッチ隊を送りましょうか?」

 

隊員の一人が、タバコを吸っている隊長へ指示を仰ぐ。隊長はタバコを吐き捨て、椅子の背もたれに寄りかかった。

 

「放っておけ。精霊かどうかも判別できておらんのだ、バンダースナッチを送る必要はない………………クソもやしがッ!!」

 

―――世界に名高い最強の魔術師が、なんという体たらくかと………

 

エレンのミッションに随行する事になった『アルバテル』の隊長は、憎しげに拳を叩きつけた。

 

 

 

 

―――その頃のもやしっこー部長 終。

 

 

 

 

 

 

「おおらっ!」

 

バンッ!

 

士道に振り抜かれた腕から、爆音が響き渡ると同時に竜巻をコーティングしたかのような弾丸サーブが放たれた。

そのサーブを受け止めようと、十香が前に出る!!

 

「私に任せ―――んあっ!?」

 

ドオオンッ!

 

前に出た十香が、急にバランスを崩して地面と正面衝突。放たれたサーブが十香の美しい夜色の髪を掠めて砂浜に突き刺さった。

 

「………チッ、ボールがあと一つ低ければ顔面に直撃したのに」

 

憎しげに舌打ちをしたのは、折紙だ。折紙は十香が前に出ようとした瞬間に、十香の足を払ったのだ。その結果、見事に十香はレシーブをできずに転倒したわけだ。

十香は砂浜から顔を上げると、首を左右に振った砂を弾き飛ばすと犯人へと迫る!!

 

「鳶一折紙!貴様、わざとだな!?」

「………なんのこと?」

「とぼけるな!!貴様、私の足を蹴ったであろう!!」

「ドジなあなたが、自分の足に引っかかっただけ」

「こんのおおおおおお!!」

 

「十香さん、いけませんわ!!」

「十香さま落ち着いて下さい!!」

「十香ちゃん、落ち着いて!」

 

あくまでシラを切る折紙に、地団駄を踏んだ後に掴みかかる十香を、他の三人で慌てて止める………士道の懸念は的中した。見かねたくるみんと六華は堪らず声をかける。

 

「折紙さん、少しは協力してくださいまし。このままでは本末転倒ですわ」

「折紙さま、このままでは士道さまのサーブを返せません。その時点で士道さまが村雨先生に襲われます」

「………問題ない。貴方達を一人ずつ片付けた後に、私が一人で逆転する―――あなたたちと馴れ合うつもりは無い。それにこれなら、万に一つもMVPを貴方たちに渡す心配はない」

 

非常にご都合主義な折紙ちゃんである。確かにチームメンバーが全て退場した後、大逆転勝利を掴み取れば文句なしのMVPだろう。

しかし、それはあまりに非道だ。例え折紙がMVPを取ったところで、誰も納得しない事は目に見えていた。

 

それでも、六華は諦めなかった―――かつて、自分に手を伸ばし続けてくれたヒーローのように。

 

「………折紙さま、このままチーム内で牽制をし合っているようでは、士道さまには勝てません。それどころか、連携されるとこちらは手も足も出ないでしょう………そうなれば村雨先生の一人勝ちです」

 

「………………」

 

六華の言葉を受けて、もう一度考えてみた。士道一人が相手であれば勝機は十分見込めるが、士道が連携して来られるととても一人で勝てると言い切る自信は無かった。

折紙は肩の力を下ろすと無表情のまま腰を落とした。

 

「………分かった、邪魔はしない―――けど、私の足を引っ張る事は許さない」

 

士道が次に放つサーブに全神経を研ぎ澄ます折紙を見た。六華にとってはそれだけで十分だった。

 

「ありがとうございます、折紙さま―――さあ皆さま、構えてください!試合はまだ始まったばかりです!」

 

「おう!」「ええ!」「うん!」

 

重苦しい雰囲気を六華は言葉だけで吹き飛ばして見せた。士道が相手にするチームは完全に目的が共有された、最強と呼ぶに相応しいそれだ。

 

(ありがとな六華。お前がいてくれて本当によかった)

 

士道は笑みを浮かべると―――今度はサーブに一工夫入れたものを放つ!!

 

「オラッ!!」

 

士道が放ったサーブは、一直線にくるみんへと迫る。くるみんは、腰を落として飛んでくるボールを受け止める体制に入る!!

 

「任せてくださ―――ッ!?」

 

一直線に来るはずだったサーブが、突如軌道を変えてくるみんを避けるようにコートの端へと突き刺さった。

 

「さすが士道」「祝辞。お見事です」

「ありがとよ!」

 

耶倶矢と夕弦とハイタッチする士道くん。再び士道にボールが渡ったタイミングで六華が手をあげて、両腕でTの字を作る。

 

「村雨先生、タイムをお願いします」

「………認める」

 

令音が認めると、六華はメンバーを集めて士道たちには聞こえない声で作戦を話し合っていた。

 

『………恐らくバレたな』

「バレてても良いさ。あいつらが返せないところを狙い撃つだけだ」

 

ドライグも士道もトリックが看破された事に気付いたが、やる事は変わらない。そして、タイムが切れると同時に相手チームのフォーメーションが変わった。

 

前衛に十香と凛袮を置き、後衛を折紙、六華、くるみんで固めた。こうして、試合が再開した。

 

「オラッ!!」

 

再び竜巻をコーティングしたサーブが十香たちのコートに迫る!!ネットの上をボールが通過する瞬間に十香が声を上げる!!

 

「―――左回転!!」

 

十香の言葉を聞いた六華が、真正面から飛んでくるボールに対して二歩左に移動した。

 

「っ!」

 

トンッ………

 

真正面から飛んできたボールが移動した六華の正面へと軌道を変え、両手を合わせてボールの勢いを殺す!!

勢いを殺したボールが、コート内で天高く舞い上がる!!

 

………六華は二回目のサーブを見たタイミングで、士道の途中で軌道が変わるサーブは、強烈なスピンをボールにかける事によって生まれる軌道変化である事を見破った。

そこで動体視力の優れる十香を前衛に置き、ボールの回転方向を読ませたのだ。回転方向さえ分かればボールがどのように変化するかを見切ったにも等しい。

 

………ボールはスピンに合わさせて空気抵抗を受け、徐々に曲がっていくからだ。

 

「チッ!?三回目はねえか………ッ」

「嘘、あのサーブを!?」

「驚、嘆。アレを完全に見切るとは」

 

士道は苦笑いを浮かべ、耶倶矢と夕弦は完璧なレシーブをした六華を見て、呆然としていた。

しかし、試合は止まっていない!跳ね上がったボールに十香が合わせている!!

 

「耶倶矢、夕弦!ブロックだ!!」

 

「おう―――キャッ!?」「阻止―――あっ?」

 

耶倶矢と夕弦がネット前で飛び上がるが―――二人は見事にぶつかり、十香のスパイクを遮る壁は消え去った。

 

「もらったああああああ!!」

「こら十香!!ボールは殴るものじゃありません!!」

『ツッコんでる場合か!?』

 

十香ちゃんボールに拳をぶつける!!ボールが一瞬凹んだ後、矢が放たれたように一直線で飛んでいく!!

 

ラインの中に入る事が分かった士道は、砂浜を蹴り力強く体と右手を伸ばす!

 

「ぐっ――――――しまった、強い!!」

 

士道が右拳で弾いたボールは相手陣地まで、届く。士道が着地する頃には―――飛び上がった凛袮がボールに触れる、ほんのワンフレームだった。

 

「やあっ!!」

 

バチーンッ!!

 

凛袮の放ったスパイクは令音の股をすり抜け―――見事に地面へと突き刺さった。

 

「ナイスだ凛袮!」

「ありがとう十香ちゃん」

 

ハイタッチをする十香と凛袮。これで点差は十香チームが一点で士道チームが二点。くるみんや六華もハイタッチをするなど一気にまとまりを見せ始めていたのだが………

 

「ちょっと夕弦!邪魔しないでよ!!」

「反論。うすのろな耶倶矢なら反応すらできないと」

「んだとコラッ!?」

 

「おい落ち着け、ケンカしてる場合じゃねえだろ!?」

 

今度は士道のチームの雰囲気が一気に悪くなる。お互いが邪魔をしたと思い込んでいるため、耶倶矢と夕弦はギシギシと歯を噛み締めながらいがみ合っている。

 

『………これは詰んだか?』

「詰んでねえよ!!幾ら何でも諦めんの早すぎだろ!!」

 

目を点にして言うドライグに対して士道くんもツッコむ。しかし、ドライグの思った事は現実になる―――ここから、十香チームの勢いが爆発的に上昇した。

 

「せいやーッ!」

「甘いッ!!」

 

凛袮が放ったサーブを士道くんは軽々といなす。今度は耶倶矢に撃たせるために、耶倶矢の真上にレシーブ位置を調整したのだが………

 

「漆黒に沈め、はああああ!!」

「強打。えいやー」

 

耶倶矢と夕弦がお互いに飛び上がった数フレーム後………

 

「「むぎゃあ!」」

 

ドカッ!

 

「てええいッ!!」

 

またしても我こそはと、八舞姉妹は激突してボールが相手チームに渡る。そしてこぼれ球を十香が押し込む!!

………耶倶矢と夕弦はロクに機能していない。それならばと、十香のスパイクを両手で受け止め、令音の頭上に上げる!!

 

「令音さん、俺にあげて―――えええええええええええ!?」

 

上げたはずのボールがまさかの地面へと落ちた。令音はその場から一歩も動く事なく、立ちながら寝息を立て鼻でシャボン玉を作っていた。

 

『………………詰んだな相棒』

「まだだ、まだ終わっていない!!最後の最後まで諦めてたまるかッ!!」

 

お互いに全力で邪魔をし合う耶倶矢と夕弦、コート内で眠る令音。士道くんはそれでも一人孤軍奮闘!!

 

 

―――そこからのビーチバレーは………一方的な展開となった。

 

 

「てえええいッ!!」

「せいやーッ!!」

「ですわッ!!」

「やあっ!!」

「―――ッ!!」

 

十香チームのスパイクの嵐が巻き起こっていた。バーサーカーソウルの如く士道が返したボールに、全員がスパイクを放っていく!!

 

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 

士道は一人で、スパイクを相手コートへと返していく!!士道の両拳と両足は何度もスパイクを受け止め、真っ赤に腫れ上がっている。

しかし、それでも士道は逆転の可能性を信じて、スパイクを全て相手コートへ返し続ける。

 

「はあああああ!!」

「やあっ!!」

「エイッ!!」

「はッ!!」

「ドロー、モンスターカードですわッ!!」

 

「おいこら、やめなさいくるみん!!」

 

激しいスパイクを一人で返しながら、どさくさに紛れてパロるくるみんに冷静にツッコむ士道くん。

これだけ撃ち込まれてもなお、士道くんは諦めなかった。

 

………味方のコートに入れても、耶倶矢と夕弦が足を引っ張り合い、令音は眠っている。故に、どうやっても自力で点を入れる事は不可能だった。

故に、点を取るには相手のミスを待つしかないのだ。しかし、これまで相手がミスをしたのは、十香のはなったスパイクのラインオーバーが、一つのみ。

 

現在の得点は3-7。そして、今この瞬間に十香チームにもう一点入ろうとしていた。

 

「―――しまった!!」

 

耶倶矢と夕弦がブロックに行って再びぶつかったそのすぐ後ろに、折紙が指先だけでボールを触れる。

士道が大慌てで飛び込むが、後一歩及ばず、ボールは砂浜にバウンドしてしまった。

 

これで得点は3-8。点差は追随を許さず開いていくばかり。

 

「鳶一さん、ナイスフェイント!」

「見事ですわ折紙さん」

「折紙さま、ナイスです」

「ナイスまぐれ、鳶一折紙」

 

味方の賛辞に折紙は何も言う事なく、黙って腰を落とすだけだった。しかし………士道チームはこの通りだ。

 

「何やってんのよ夕弦!足引っ張りまくりじゃない!!」

「反論。夕弦のテリトリーに入ってくるのは、耶倶矢も同じじゃないですか」

「………」

 

未だに歪み合う耶倶矢と夕弦。スピー………と寝息を立てる令音。それを見た士道くんはその場に大の字で倒れ込む。

 

「こりゃあ、ダメだ。手の打ちようがねえ」

『しかし、これだけ点差がついてもなお、向こうのチームは集中が切れない………この流れを作ったのは、間違いなく六華だ。アッパレとしか言いようがない』

 

ぜぇはぁと息を荒げる士道に、称賛の声を送るドライグ。ちなみにこれは十一点先取のマッチなため、後三点入れられた時点で敗北が決まるのだ。

 

このまま三点入れられてゲームセットか………と士道が思っていたその時だった。

 

「士道はすごいが、耶倶矢と夕弦は全然大した事ないな。二人合わせて『へっぽこぴー』だ!」

「「この○○○。―――を―――していればいい。敗者にはそればお似合いサノバビッチ」 

「耶倶矢さん夕弦さん、ママのお乳でも飲んできたらどうですの?」

 

ピキッ………

 

十香、折紙、くるみんがコケにした言葉を送ると、耶倶矢と夕弦の頭に青筋が浮かぶ。

 

―――乱闘騒ぎになると思った士道は、血相を変えて二人の元に走ろうとしたが………その心配は杞憂に終わりそうだった。

 

「………ねえ夕弦」 

「返答。何でしょう」 

「………やっちゃう?」

「同調。やっちゃいます」

 

耶倶矢と夕弦のエンジンが、ようやく協力という名のエンジンがかかり始めた。次の相手のサーブは六華だ。

 

「やあっ!!」

 

六華は、ジャンピングサーブを令音が立っている付近のコースの角を狙って放つ!!しかも、それは、士道から最も離れた場所であり、士道は大慌てで地面を蹴る!!

 

「―――よりによってコースも高さもばっちりかよ!?クソッガッ!!」

 

腕では間に合わないと瞬時に判断した士道は、ボールを足で上空へと蹴り上げる。しかし、サーブの勢いに負けて相手のコートに返しきれなかった。

 

―――しかし………

 

「よく止めたぞ士道よ!!」

「設営。耶倶矢」

「おうとも―――はあああああッ!!」

 

夕弦が両手を合わせると、それを見た耶倶矢はビーチの砂を蹴散らして夕弦の手に片足を乗せると―――夕弦は耶倶矢を軽々と上空へと放り投げた。

 

上空で耶倶矢は、宙返りの応用でオーバーヘッドシュートを放ち、十香チームのコートへと叩きこんだ。

その威力は、コートの半分を吹き飛ばすほどの威力だった。

 

「ゴオオオオオオオル!!」

「歓喜。いやっほー」

 

『相棒、凄いな。ベルセルクはバレーで、超次元サッカーができるんだねー』

「イ○○レ!?ていうか、頭悪くなってんじゃねえよドライグ!!でも、この一点は大きいぞ―――耶倶矢、夕弦。よくやってくれた、ここから一気に逆転するぞ!!」

「おうとも!!」

「同調。やりましょう士道」

 

サーブが士道から耶倶矢へと変わり、試合は続けられた。

 

「オラッ!!」

「ていやあああああッ!!」

「強打。とうッ!」

 

耶倶矢と夕弦が連携するようになってから、徐々に巻き返しが始まった。

しかし、十香チームも一歩も引かない!!

 

「任せて―――」

 

耶倶矢のサーブを折紙がレシーブ!!ボールはコート内に収まり、ボールを見た六華が指示を出す!!

 

「狂三様、上げてください!!」

「分かりましたわ」

 

くるみんがあげたボールに凛袮が合わせる!!凛袮は腰を捻り、腕をしならせて一気に振り抜く!!

 

「せいやーッ!」

「甘いわッ!!」

「まだまだ!!」

 

凛袮のスパイクを耶倶矢がブロック!!真下に落ちるボールを十香が間一髪ですくう!!

 

何とか上空へとボールが跳ね上がると、今度は後衛の六華がバックアタック!!

 

「やあっ!!」

「舐めんなッ!!」

 

負けじと士道が拳で受け止める。太陽が中天で輝く中、士道たちも白銀に輝く雫を飛ばしながら、ひとときの青春を満喫していた。

 

もうMVPも関係ない。ただひたすら全員がビーチバレーを全力で味わい尽くして。

士道たちは、最後の一瞬まで全力でボールを追いかけ続けた。そのひと時は、士道にとっては、掛け替えの無い大切な時間だった。

―――ラタトスクも精霊も赤龍帝であることも忘れて、スポーツに没頭できたのは、ほんの数年ぶりのできごと。

 

―――ちなみに、勝負は10-11で、十香チームが勝利を収めた。MVPは、決勝点を叩き出し、崩れそうになったチームを救い上げた、六華が選ばれたのは、また別のお話。

 

 

 

 

 




※ビーチバレーでは、フェイントは反則ですが見逃してあげて下さい。

キャラ紹介に書き忘れていたので、六華のステータスを書いておきます。

星照六華

識別名〈ガーディアン〉

総合危険度 F(村を守護する精霊のため)
空間震規模 S
霊装    S
天使    S
STR (力) 100(65)
CON (耐久)420(350)
SPI (霊力)406(206)
AGI (敏捷)140(60)
INT (知力)500(250)

数字は、五季と六華の霊結晶の合計数値。
※()内は六華単体のステータス。


◆反転時

識別名〈???〉

総合危険度 F(反転時も敵味方の意識はあるため)
空間震規模 SS
霊装    SS
天使    SS
STR (力) 500
CON (耐久)420
SPI (霊力)500
AGI (敏捷)450
INT (知力)500
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