デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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この話と次話で八舞編も終了です。

さあ、続きと参りましょう!




十話 頂上決戦!赤龍帝VS八舞 前編!!

「うおおおおおお!!」

 

「応戦。はああっ!」

 

ギィィィィィィンッ!!

 

耶倶矢と夕弦はお互いに裂帛の気合と共に、或美島の上空で激しくぶつかり合った。

ぶつかり合うたび周囲に烈風が放たれ、周囲のものがミキサーに巻き込まれたかのように、混ざり合いながら空中へと浮かび上がっていく!!

 

「―――前ッから思っていたのよ!あんたは何でも自分一人で抱え込んで処理しようとして!」

 

叫びながら耶倶矢が巨大な槍を突き出すと、槍の先端がドリルのように高速回転し、竜巻を生み出す。

その竜巻で撫で切り出すように、夕弦に向かって槍を薙ぐ。

 

「反論。その言葉、熨斗とリボンで過剰包装して耶倶矢に突き返します………!」

 

しかし夕弦は、破壊的な暴風が迫ってきているにも関わらず、至極冷静に言葉を返すと左手を複雑に動かした。

すると夕弦のてにあるペンデュラムが意志をもつように蠢き、夕弦の前に方陣を組む。

それは耶倶矢の起こした竜巻の一撃を難なく防ぎ、再び元の紐状に戻り夕弦の周囲に螺旋状に渦巻いた。

 

「今までの勝負で私がいろんなものを極めるのに、どんだけ時間費やしたと思ってんのよ!?大人しく真なる八舞の座を受け取りなさいよッ!」

 

「拒否。それは夕弦とて同じです。耶倶矢が勝負を引き延ばしたことは、一度や二度ではありません。そのとき夕弦も、どうすれば耶倶矢に納得して勝たせるかを、ずっと考えに考え抜いてきました。

―――真の八舞に相応しいのは、耶倶矢です!」

 

お互いに自分の願いを決して曲げない、意地と意地のぶつかり合い!

その勝負はさらに激しさを増し、二人から放たれる烈風が強さを増す!!

 

「私より飛ぶの早いくせに!」

 

「夕弦より耶倶矢の方が力が強いです」

 

「耶倶矢の方が肌が綺麗です」

 

「わたしより可愛いいくせに!」

 

「反論。それは譲れません。夕弦よりも耶倶矢の方が可愛いに決まっています」

 

口喧嘩しなががら高速回転する耶倶矢の槍と、剣のように複雑に編まれた夕弦の紐が打ち合わされる。

威力は全くの互角、お互いの意思を貫くために嵐は何度も激突する!

 

「喰らえッ、『神を穿ちし漆黒の魔槍(ゴッドブレイク•シュトゥルムランツェ)』ッ!!」

 

「迎撃。『ブラッディースクライドー』」

 

耶倶矢が竜巻をコーティングした槍を放つと、夕弦はペンデュラムを螺旋状に回転させ、投擲された槍へと叩き込む!!

 

二つの一撃がぶつかろうとしたその時―――この嵐の中心に赤い龍が咆哮を上げ、強引に割り込む!!

 

「いい加減に―――しやがれええええええ!!」

 

バギィィィィィィンッ!!

 

耶倶矢が投擲した槍と、夕弦の放ったペンデュラムを、士道は鎧を【護盾(ガーディアン)】へと変更し、籠手を盾状に変化させ受け止める!!

 

「なっ………」

「驚嘆………これは―――」

 

「悪いな耶倶矢に夕弦。これ以上お前たちで争わせるわけにはいかねえんだ」

 

士道は受け止めた耶倶矢の槍と夕弦のペンデュラムを握りしめ、お互いの動きを封じた。

二度の決闘に横槍を入れられた耶倶矢と夕弦は、お互い拳を握りしめて激昂する。

 

「いい加減にするのはあんたよ士道!もうあんたの役目は終わったのよ!!」

「迷惑。これ以上夕弦たちに関わらないで下さい。さもなくば―――例え士道と言えども、命の保証はできません」

 

耶倶矢と夕弦は今すぐに失せろと言わんばかりに、士道に告げた。しかし、此処で士道が退くわけにはいかない!

島を訪れた生徒たちを守るため―――そして、目の前で大切な存在が消えようとしている場面に立ち会っているこの瞬間から、逃げられる事ができようか!いや、ない!!

 

「役目は終わった………迷惑だ―――ふざけんじゃねえ!!勝手に人をゴミみたく捨てんじゃねえよ―――俺は、お前ら二人の裁定役から降りたつもりはねえ!!俺が決める―――お前ら二人、どっちが真の八舞に相応わしいかをなッ!!」

 

「「………っ」」

 

士道の言葉に、耶倶矢と夕弦はピクッと震え目を大きく開かせた。

………二人とも士道の答えを聞くまでは大人しく待機をするつもりだった。相手を選ぶなら良し、だがもし自分を選ぼうものなら言い終わる前に、その首を吹き飛ばしてやろうと。

 

「よく聞け、オレが選ぶのは―――お前ら二人、両方だ!!」

 

士道の決定を聞くと共に、耶倶矢と夕弦はお互いに視線を鋭くした。

 

「………何それ。ふざけてんの?」

「軽蔑。小学生以下の回答です」

 

ゴオオオオオオオッッ!!

 

二人が士道の答えに落胆したその時、島を覆う嵐がさらに激しさを増す!!しかし、士道はふざけていなければ茶化しているつもりもない!

士道は大きく息を吸い込むと、二人に命令を出す。

 

「悪いが、俺は自分の決定を捻じ曲げるつもりは無い。当然お前らが納得しない事は百も承知だ。だから――――――俺と戦え」

 

士道は鎧越しに首を左右に動かし、耶倶矢と夕弦に視線を送った。耶倶矢と夕弦はその真意を訊ねる。

 

「………は?なんであんたと戦う必要があるわけ?バカじゃないの、人間であるあんたが、私と戦って本気で勝てると思ってんの?」

「嘆息。何を言うかと思えば………士道には米粒ほどの勝算はありませんよ?それでも夕弦たちと戦うと言うのですか?」

 

「―――まさか颶風の王たる精霊が『人間である俺が怖いです!』なんて事を言わねえよな?」

 

「「………ッ!!」」

 

士道が挑発気味に言うと、耶倶矢と夕弦の視線がさらに鋭くなる!二人とも士道の挑発に身体が震え、怒りが頂点に達したようだ。

 

―――その勝負、受けて立とう。

 

耶倶矢と夕弦の反応を見て士道はそう確信した。その上で勝利条件及び、それぞれが得るものを伝える。

 

「勝負条件は、俺がお前たちを両方捕まえたら俺の勝利。

お前らが俺を倒すなり殺すなりできれば、お前らの勝利だ。

お前たちが俺に勝てたら、最後まで真の八舞に相応しい精霊がどちらか、お互いが納得するまで決め合えばいい。

ただし、俺がお前たちに勝利したその時は―――お前たち二人の霊力を俺に封印せてくれ。そして耶倶矢と夕弦、お前たち二人が生き残る」

 

士道の決定事項を聞いた耶倶矢が質問を投げかける。

 

「霊力の封印って………そんな事本当にできるの?」

「不審。怪しさぷんぷん丸です」

 

「ああ可能だ。今すぐにでもお前らの霊力を封印したいところだが………何処の馬の骨か分からん男に、霊力を託すなんて真似はしないだろ?

―――だからお前たちに俺の力を見せてやる。お前たちの霊力を受け取るに相応しい男である事を証明してやる―――どうだ、これなら文句はないだろ?」

 

士道が言うと、耶倶矢と夕弦は肯定した。

 

「良かろう、受けて立つ。颶風の御子たる我が力、とくと見せてやる!」

「了承。良いでしょう、遠慮はしませんよ?」

 

「決まりだな………さて、始める前にもう一つお願いがある。いいな?」

 

これで決闘の準備が全て整った―――かに思えたが、士道が地面を指さした。

その先には―――先程まで士道と共にいた少女の姿が。

耶倶矢と夕弦はそれに対して首を縦に振る。

 

「良かろう。ただし、長くは待たんぞ?」

「許可。早めにお願いします」

 

士道は「ありがとう」と言うと、地上で待つ十香の元へと急行した。十香はすぐに『塵殺公(サンダルフォン)』を顕現させると、それを片手に空を見上げた。

 

「シドー、私も戦うぞ。二人でなら必ず耶倶矢と夕弦を倒せよう」

「十香………ダメだ。今回は俺の力を認めさせる戦いだ―――悪いが、此処で待っていてくれないか?来やがれ―――『護星天(ミカエル)』ッ!!」

 

六華の杖の形をした天使『護星天(ミカエル)』を顕現させると、士道はドーム状の結界を周囲に展開させる。

 

―――これは十香を守る為のもの。これから激しい戦闘になることを見越して、十香が巻き添えを食わないように………完全な霊装を纏えない十香では、余波だけでも致命傷になりかねないからだ。

 

「なぜだシドー!?私を頼ってくれるのではなかったのか!どうしていつも、いつも一人で………っ!」

「すまない十香。でも、必ず勝ってあの二人を従わせる―――だから、大丈夫だ」

「―――大丈夫じゃない!!」

 

十香は怖かった。六華を従えて異世界から帰って来て、何があったかを士道から聞かされた。

………グレンデルやリンドヴルムという伝説の邪龍と死闘を繰り広げたことを。

リンドヴルムとの戦いに関しては、十香の助けがなければ確実に士道は殺されていた。

再び目の前で士道を失う事は、十香にとって胸を抉るほどの激痛だ。

故に十香は士道の鎧を掴んだまま手に力を込めた―――戦わせない為に。

 

「また目の前でシドーが傷つく姿を見ていろと言うのか!?血を流してボロボロにされて………私は、そんなシドーを見たくない!!」

「十香………」

 

鎧を掴んで震える十香の手に士道は優しく触れた。そして………優しく頭を撫でた。

その時、見上げる十香の瞳は充血し、水晶のような相貌は潤んでいた。

 

「………毎度のことながら本当に辛い思いをさせてすまない。でも、絶対に俺は負けない。狂三もアルビオンの力を纏った折紙も何とかなった。だから、待ってろ―――必ず笑顔で十香のもとへ帰るからさ」

「………本当の本当か?絶対に私の前に帰ってきてくれるのだな?」

「ああ、約束だ」

 

士道の言葉を聞いた十香は、鎧を離して祈るように言う。

 

「必ず勝つのだぞ、シドー!」

「ああ―――【輝壁(シュテル)】ッ!!」

 

士道が杖を振りかざすと、結界が強い輝きを放ち結界の強度を上げた。そして、それを地面に刺すと同時に、空へと視線を向けた。

 

「………行ってくる」

 

十香にその言葉を残して士道は青空へと飛び立った。

舞い戻った士道を見て、二人は嵐を纏いその手に武器を顕現させる。

 

「士道、お主の力を我に示せ!颶風の御子たる我を見事屈服させて見せよ!」

「警告。士道、夕弦も一才の手加減をしません。死んでも恨まないで下さい」

 

「………それでいい。俺も手加減はしない!!

鎧変化(アームド•チェンジ)』―――【閃光(シャイニング)】ッ!!」

 

『Change Shining Booster!!!!!!!!!!』

 

八舞は風を操る精霊だ。通常形態や、他の三形態ではその素早さに翻弄され太刀打ちができない。故に機動力に長けたこの鎧を士道は選んだのだ。

 

「ドライグ、行くぞ!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!』

 

倍化した力を纏った士道は、嵐を撒き散らす災厄へと突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道と八舞姉妹の激突が始まり、或美島を烈風と衝撃波が吹き抜けた。

 

 

「貫け!『颶風騎士(ラファエル)』―――【穿つ者(エル•レエム)】ッ!!」

「援護。『颶風騎士(ラファエル)』―――【縛める者(エル•ナハシュ)】ッ!!」

 

耶倶矢と夕弦は連携で士道に迫る。今は、耶倶矢が竜巻をコーティングして槍を投擲したものに、夕弦がそれに追い風をつけるよう、ペンデュラムを投擲した槍を目掛けて伸ばす!!

二つの天使が交わった一撃が、周囲の全ての風を巻き込みながら士道に迫る!!

 

「―――アスカロンッ!!」『Blade!!!!!!』

 

ギィィィィィィン!!

 

士道はその一撃をアスカロンで受け止め、後方へと受け流した。

一つの攻撃をやり過ごした時には、元いた場所に二人の姿は無かった。

 

「―――夕弦、合わせて!!」

「了解。とりゃー」

 

耶倶矢が腕を振るい、士道の周囲に乱気流を発生させると―――夕弦が乱気流を目掛けてペンデュラムを伸ばす!!

ペンデュラムは、発生させた乱気流を目まぐるしく移動し、流れに乗って士道を襲う!!

 

「フンッ!」

 

突如、二時方向から飛んできたペンデュラムを士道はアスカロンで真っ二つに斬り裂く!!

しかし、今度は乱気流に乗って耶倶矢と夕弦が直接叩きに乗り出してくる。

 

「はああああっ!!」

「闘舞。あたたたたたたた」

 

耶倶矢の槍を士道はアスカロンでいなし、夕弦の乱気流に乗りながら放たれるペンデュラムと格闘技には、士道も腕や足で弾き返す。

………気流に乗って襲いくる八舞の連携技を対応こそできるが、士道は反撃の糸口を見出せなかった。

 

「くっ―――ちぃっ!?なんつー連携だよ!?さっきまで喧嘩してた奴らのそれじゃねえ!?」

『ここまで息のあった連携は、俺ですら見た事がない。これほどのものか〈ベルセルク〉は』

 

気流の流れを読み、それに乗って八舞姉妹は連携してくる。風を司る精霊にはできて当然の技術らしいが、士道はその気流に乗ることはできない。

幸い八舞姉妹は、攻撃時に霊力が集約される事を士道は感じ取れるため、直撃のタイミングを測るのは容易だ。

………しかし、気流に乗った八舞姉妹のスピードは、神速を発動した時の士道とほぼ変わらないほど攻撃が素早くそして鋭い。

 

そのため士道は後手に回らざるを得なかった。

 

『まずはこの乱気流を突破しなければ、あの姉妹を捉えることは難しいぞ』

 

ドライグからのアドバイスに、士道は両手の左右に相反するエネルギーを持つ天使を顕現させる!!

 

「ああ、分かっている。来やがれ―――『灼爛殲鬼(カマエル)』、『氷結傀儡(ザドキエル)』ッ!!」

 

士道は左手に炎を、右手に氷のエネルギーを纏い両手を合わせて霊力を集約させる!!

それは、修学旅行の前日に台風を吹き飛ばした時に使用したあの技だ。

 

「注意。耶倶矢、何か来ます」

「分かってるって!」

 

凄まじいエネルギーを感じ取った耶倶矢と夕弦は乱気流から離れた。そこに士道の技が放たれる!!

 

「吹き飛びやがれぇぇぇぇぇ!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオッッ!!

 

士道の周囲で大爆発が発生すると、周囲の雲ごと士道を取り囲んだ乱気流を吹き飛ばした。

 

「嘘でしょ!?私たちの自慢の風をこんなに容易く!?」

「驚嘆。これが士道の実力ですか!?」

 

自慢の風を攻略された事で耶倶矢と夕弦の動きがピタリと止まった。この一瞬を士道は逃さない!!

 

「ドライグ、一気に決めるぞ!!」

『承知!!Welsh Dragon Limit Break―――Over Limit Booster Set Up!!!!!!!!!』

 

士道の鎧の宝玉から光が放たれ、限界を超えた倍化が始まる!!

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!!!!!!!!!!!』

 

士道は倍化した力を全て、ブースターの推進力に注ぎ込み、速度を加速させた。

そして、上空で佇む耶倶矢と夕弦を捕まえる為、両腕を伸ばす!

 

「疾―――」

「驚―――」

 

耶倶矢と夕弦の体が反応した頃には、既に士道はほんの一mにも満たない距離まで迫られていた。

そして、今―――勝利が確定しようとしていた。士道は既に二人の間に入り込み、後は両腕を閉めるだけ!!

 

「―――取った!!」

 

士道は、刹那に両腕を閉めてその胸の中に耶倶矢と夕弦を掴み、地面へと足をついた。

両腕の中にいる二人に士道は言う。

 

「耶倶矢、夕弦。俺の勝ちだ―――な、なにっ!?」

 

確かに捕まえたはずだった耶倶矢と夕弦がいつの間にか腕の中から消えているのだ。

これにはドライグもわけもわからずパニック状態だ。

 

『バカな!?相棒は確かにベルセルクを捕まえたはず………それが―――何故だ!?』

 

―――その時だった。何かが士道の鎧を斬り裂き、夥しい量の血を噴き出させる!!

 

「がああああああああああ!!!」

「シドー!!」

 

士道が苦悶の声を上げて膝を付くと、堪らず十香もまた悲鳴をあげた。

士道は理解できなかった。何故自分の鎧が斬り刻まれたのかを………そして肝心の八舞姉妹は、上空で佇んでいた。

 

「油断したわ………まさか人間相手に【斬列なる鎧(エル•ガイア)】を使う羽目になるとは」

「迂闊。これがなければ夕弦たちの負けでした」

 

上空に佇む八舞姉妹の霊装からは、周囲に風の刃が乱れるように舞っていた。

 

―――【斬列なる鎧(エル•ガイア)】精霊〈ベルセルク〉が持つ防御における奥義。霊装に霊力を凝縮させ、一気に解放する事で風の刃を呼び出し、近づいた物を斬り裂く技。

耶倶矢と夕弦の両方に備わっており、懐に入られた時に発動させる事でカウンターにもなる。先ほどやったのはまさしくそれだ。

それを受けてしまった事で、突進の軌道がズレてしまった。そのため、士道は二人を捕まえ損ねたのだ。

 

「ぐっ………まだだ、まだ終わってねえッ!!」

 

アスカロンを杖に士道はフラフラと立ち上がる。鎧は【閃光(シャイニング)】状態のため、通常形態よりも防御力が下がっており、致命の一撃となってしまった。

視界が朦朧としながらも立ち上がった時には―――八舞が誇る最強の一撃が放たれようとしていた。

 

「士道よ、貴様は本当に良くやった。故にこの一撃を貴様に送ろう」

「祝辞。士道、あなたと戦えた事に心から感謝を」

 

耶倶矢の右肩に生えていた羽と、夕弦の左肩に生えていた羽が合わさって、弓のような形状を作っていた。

次いで夕弦のペンデュラムが弦となって羽と羽とを結び、耶倶矢の槍が、矢となってそれに番えられる。

今度は、耶倶矢が右手で、夕弦が左手で。

霊装の鎧に包まれた手で以って、左右から同時にその弦を引いていた。

 

「ドライグ、鎧の修復を頼む。それから修復した鎧を【護盾(ガーディアン)】にしてくれ」

『分かった。避けるわけにもいかんしな』

 

士道の言葉で鎧が【護盾(ガーディアン)】状態に復元され、士道は耶倶矢と夕弦の攻撃を迎え撃とうとしていた。

………先程までの槍やらペンデュラムとは、桁違いな霊力を放っておりこれを避ければ、島全体が吹き飛ぶ可能性があったからだ。

 

「「『颶風騎士(ラファエル)』―――【天を駆ける者(エル•カナフ)】ッ!!」」

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

二人が同時に手を離すと、巨大な矢が天から士道を目掛けて降り注いだ。先程までとは比べ物にならない風圧を纏い、島の全てを揺らすほどだ。

風の加護を持った極限の一撃を前にしても、士道は避けようとはしなかった。

 

「シドおおおおおおおおおお!!」

 

十香が放たれた一撃を見て、士道を案じるように悲鳴をあげる。乙女の悲鳴を聞いて、逃げるほどおっぱいドラゴンは腑抜けではない!!

 

「俺を信じろ十香!!必ずお前と、この島を守ってやる!!極倍化発動!!」

 

『Starting Absolution Booster―――Boost!!!!!!!!!』

 

放たれた一撃を見たドライグが、極倍化を発動させ士道の力を限界まで引き上げる!!

そして、士道も全力の防御を展開する!!

 

「ニブルヘイム•ドラゴンシールドッ!!」

 

『Spiritual Niburuheimu Drogonic guardian!!!!!!!!!!』

 

士道は四糸乃の天使『氷結傀儡(ザドキエル)』の力を盾に集約し、氷の盾を展開して迎撃体制を整える!!

そして二つの技が今―――激突する!!

 

ビシビシビシビシビシッ!!

 

耶倶矢と夕弦の極限の一撃が、士道の盾を徐々にヒビが入り、さらに士道がいる地面が徐々に陥没していく!!

士道は極限まで力を高め、なおかつ最強の防御を誇る盾ですら、破壊せんばかりの勢いで士道が押し込まれていた。

 

「ぐっ………うっ!!なんつー威力だ………十香の『最後の剣(ハルヴァンヘレブ)』と同等かよ」

『二つに分かれてなおこの威力………一つになれば黒六華にも迫るやも知れんな』

 

あり得ないほどの重量に身体が軋み、大量の汗が流れ出る。身体が悲鳴をあげているが、士道はそれでも耐え続けた。

 

「シドおおおおおお!!」

 

………十香だ。ここでこの一撃を堪えることが出来なければ、結界に守られている十香にも危険が及ぶ。

それが分かっているからこそ、士道は全力で耐え続けた。己が持てる全ての力を振り絞って。

 

「………そうか、まだある!!来やがれ―――『護星天(ミカエル)』、アスカロン!!」

 

士道は左側の籠手に眠るアスカロンの聖なる波動を、さらに右腕からは護星天(ミカエル)の防御力を展開する盾へと送り込む!!

すると、盾が黄金の輝きを放ち!爆発的にその強度が増す!!

 

「いっけえええええええ!!」

 

ズドオオオオオオオオオオオンンッッ!!

 

それぞれの想いを込めた一撃が最後の輝きを放ち、大爆発を起こした。

近くの全てを吹き飛ばすと―――そこには赤い龍の鎧が地面に立っていた。

 

「なんで………なんで、アレを耐えられるのよ!?」

「恐怖。士道は………人間なのでしょうか?」

 

耶倶矢と夕弦の二人は、最強の一撃【天を駆ける者(エル•カナフ)】すら耐えた士道を見て、理解ができなかった。

………いかに特殊な力を持っているとは言え、人間が耐える事など普通はあり得る事ではないと。

 

「へっ、へへ………何とか、なったぜ」

 

ぐらっ………

 

「シドー!?シドー!!」

 

その場で膝をついた士道を見て、十香が慌てて駆け寄る。士道が再び立ち上がろうとした時、十香は止めさせるために士道を抱きしめた。

十香は士道の顔面を胸に押しつけたその時―――声が聞こえてきた。

 

(これ以上士道に、傷ついて欲しくない。だが、士道は止まらないであろう………こう言う時には、なんと言えば良いのだろうか?)

 

抱きしめられた十香の言葉を聞いた士道は、十香に言う。

 

「なら十香、俺が言っても聞かない時は―――頑張れって言ってくれないか?そしたら、俺はきっと今以上の力を出せるだろうからさ」

 

「な、何故私が思っている事が分かったのだシドー!?」

 

突如胸の内を完全に曝け出された事に、十香は慌てて声を裏返した。その様子を見て士道は首を傾げる。

 

「何ってお前が言ったんだろ?俺にどう言う言葉をかければいいか分からないって………」

「た、確かに思いはしたが、私は口にはしていないぞ!?」

「何言ってんだ、俺は確かに――――――」

『ああ、俺にも確かにその声が聞こえた。口に出していないとなると――――――ア、ソウイウコトデスカ』

 

口に出していない事が聞こえる―――つまり相手の心の声を士道は聞けるようになった。

 

………それはつまりあの必殺技の復活を意味していた。士道がずっと試していたが、使えなかったあの技が。

 

「ま………まさか―――」

 

それが事実か確認するために、今度は十香の胸へと手を当てた。

 

「な、なななななななにをするのだ!?」

(突然シドーはどうしたのだ!?何やら確認しているようだが………)

 

十香が心の中で言うように、士道は真剣な眼差しで十香の胸を弄っていた。

 

………しかし、数秒もすると―――

 

「ぐへへへへへへ!!」

(―――む!?この顔は悪い事を考えている顔だ!取り敢えず殴らなければ!!)

 

十香のおっぱいの感触に途中から下品な笑みを浮かべていた士道くん。

それを見た十香ちゃん迷わず拳を振り抜く!!

振り抜かれた拳が脳天に迫る………しかし、殴られる事が分かっていた士道くん、間一髪でその手を掴んで直撃を避ける!!

 

「あっぶね!?取り敢えずで殴るな!」

「むっ!?何故私の考えている事が手にとるようにわかるのだ!?」

 

この出来事が士道を確信へと変わった―――間違いない、今の俺なら必ずできると!

 

「十香、ありがとう!おかげで何とかなりそうだ!」

『そして俺の心はどうにかなりそうだ………グスン』

 

士道とドライグで真逆のテンションだった。ロケットで飛び上がるようにテンションを上げる士道とは正反対に、ドライグは涙の大洪水が起こっていた。

そして、何はともあれいつもの士道に戻った事、そして………先程士道に言われた通りに、十香は言う。

 

「シドー………頑張れ!頑張れシドー!」

「―――ッ、ああ!!」

 

十香のエールを受けた士道は、再び鎧を【閃光(シャイニング)】の状態にして飛び上がった。乙女の祈りを受けたドラゴンを止められる者は存在しない。

………今の士道にできない事などないほど、自信に満ち溢れていた。

 

最強の一撃を受けてもなお、立ち上がった士道に動揺を隠せなかった耶倶矢と夕弦。

その二人に士道は告げた。

 

「………耶倶矢、夕弦―――お前たちは本当に強かったぜ。俺は今までお前たちの好感度を維持したまま封印する事しか考えてなかった。

全力で戦ってくれていたお前たちに、本当に失礼な事をした―――だが、それもここまでだ。

ここからは俺も全力を出させてもらう。例えお前らに嫌われたとしても、俺は俺の意思を貫き通す!!」

 

耶倶矢と夕弦は、先程とは比較にならないプレッシャーを放つ士道を見た。

 

「………なんなの!?この立っているだけで心臓が潰れそうになる感じは」 

「畏怖。これが本来の士道なのですか!?」

 

二人とも、士道から放たられる圧倒的な覚悟とプレッシャーに、呼吸が困難になるほど気圧されていた。

士道は人差し指を二人に突きつけ、強く叫んだ。

 

「ここから先は―――乳龍帝の戦争(俺のデート)だ!!」

『うおおおおおおおおおおおんんっっ!!』

 

これから始まる聖戦―――失礼、欲望を全開にして戦う士道の姿が浮かんだドライグは………泣いた。

 

 




ドライグ先生の次回予告

『やばい、ヤバすぎるよ!!
相棒が取り戻そうとした技は、八舞姉妹にとっては相性は最悪だ!!
かつて女性を相手に無双をしたあの凶悪コンボが今目覚める!!
次回 デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜
「頂上決戦!赤龍帝VS八舞 後編!!」
欲望に塗れし変態よ、自重せよ、本当に頼むから!!』

士道「煩悩解放、イメージマックス!!広がれ、俺の快適夢空間ッ!!」

次回は、恐らく………シリアスなんてありません、ハイ
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