八舞編の完全終了は次話になります。
………恐らくツッコミどころ満載だと思うので、感想等お待ちしております!
「ここから先は、
士道が耶倶矢と夕弦に鋭い視線を送ると共に、鎧の宝玉と同じ色の―――翡翠のオーラを全身に纏わせる!!
そして―――………士道は両手を広げ、そのオーラを解放する!!
「煩悩解放、イメージマックス!!広がれ、俺の快適夢空間ッ!!」
ヒィィィィィン!!
士道のオーラが広がり、或美島一帯を薄いピンク色の輝きを放つ世界へと変貌させる!!
月が輝き、闇一色の夜の世界がいきなり変化を遂げた事に、耶倶矢と夕弦は戸惑いの声をあげる。
「な………なに、これ!?」
「動揺。何がどうなっているのですか?」
士道から放たれたオーラが完全に止んだところで、士道が挑発めいた手招きを送る。
「さあどうした、かかって来いよ―――俺が怖いのか?」
「………っ、舐めるなああああ!!」
「静止。耶倶矢―――」
その手招きを見た瞬間に耶倶矢が気炎を吐き、槍を手に猛突進!!夕弦の声を聞かず、単独で士道に挑む。
「煉獄へ落ちろ!はあああああっ!!」
槍から竜巻を放ち、その竜巻を士道が竜巻の中に囚われる!!その竜巻の流れに乗って耶倶矢が槍を持って迫る!!
「『
ズドオオオッッ!!
士道が周囲を薙ぎ払うと、竜巻を斬り刻まれ周囲の風が突如消える!!
「なっ―――」
いきなり風を失った耶倶矢は慌てて止まる。しかし、既に霊力を迸らせた大剣を片手に持った士道は目と鼻の先の距離だ!
「くっ!『
耶倶矢は目の前の士道を再び切り裂くために、霊装に風を集約させ一気に解放する!
耶倶矢から無数の風の刃が放たれた瞬間、士道が手に持つ大剣に力を込める!!
「フンッ!」
バシュッ!!
士道が斬り上げを放つと、放たれようとした風が斬り刻まれ不発に終わった。
「う、そ………」
「まずは一人っ!!」
耶倶矢は、奥義を攻略されたショックのあまり言葉を失った。士道が得意げに口の端を釣り上げ、耶倶矢を捕まえようと手を伸ばす!!
しかし、間一髪のところでペンデュラムが耶倶矢の腰に巻き付き、引っ張り上げられ、士道の手は空を摘んだ。
「チッ、夕弦め。やってくれる」
ペンデュラムに巻き付かれた耶倶矢を夕弦は引き上げ、冷静さを取り戻させようと耶倶矢に囁く。
「鎮静。耶倶矢落ち着いてください。認めたくはありませんが、今の士道相手では、連携しなければとても勝てません。
彼は本気で耶倶矢と夕弦を捕まえるつもりです………耶倶矢、分かってくれますか?」
「分かったわよ………夕弦、そのありがとね。あんたが引っ張ってくれたなかったら、捕まってたわ」
「微笑。らしくありませんね耶倶矢。素直な耶倶矢も嫌いではありませんよ」
「うっさい、笑うな!!」
夕弦は耶倶矢に巻きつけたペンデュラムを解放すると、再び士道へと向き直した。今度は連携技で勝負を掛けるつもりだ!
士道はそれを察知すると、瞑目して頭の中で訊ねた。
(さあ、耶倶矢と夕弦のおっぱいさんたち、これから何をするか教えておくれ!)
士道がおっぱいに語りかけると、耶倶矢の小ぶりなおっぱいと夕弦の豊満なおっぱいがたぷんたぷんと弾みながら言葉を発した。
(まずは乱気流を呼んで、士道を囲むでござる!)
(そ、その後は耶倶矢と夕弦のコンビネーションで、追い詰めてあげないんだからね!?)
耶倶矢と夕弦のおっぱいの声を聞いた士道くん、空中でずっこけるようにバランスを崩す。
「………耶倶矢のおっぱいは侍口調で、夕弦のおっぱいはツンデレ属性かよ!?
まあ、それなら面倒な乱気流から片付けさせてもらいましょうか!!」
バチチチチチチチチッ!!
乱気流に囲まれると、耶倶矢と夕弦は風に乗ってさらにスピードが上がるため、厄介極まりなくなる。
そのため、士道は初手でそれを潰そうと左手に炎を、右手に氷を呼び出す!!
初手から出鼻を挫こうとする士道を見た耶倶矢と夕弦は、慌てて士道から距離を取る。
「………読まれたっ!?」
「懐疑。これは―――」
しかし、今度は動きを止めなかった。動きを止めると士道は一気に距離を詰められ、捕まりかねないからだ。
なぜ手札を見破られたのかをお互いに考えていたが、二人は次のプランへと移行する!!
『なるほど、今度はスピードで勝負か。お互い球状に展開し、相棒の隙を作ろうというわけだな。しかし、甘いな』
周囲に風の流れを展開しながら、耶倶矢と夕弦は閃光の如く目まぐるしく動き回り、士道を取り囲むように風の球体が展開される。
しかし、ドライグの言うように今の士道相手には意味を成さない。
(某が突っ込んで士道に隙を作る!)
(夕弦が耶倶矢のフォローをしてあげるんだから、感謝しなさいよね!?)
………この通り心の内を見透かされては、連携しようが簡単に裏をかくのは容易だ。
「はあああっ!!」
「そらよっと!」
裂帛の気合と共に突進してくる耶倶矢を見た瞬間に、士道は耶倶矢をサポートするよう動く夕弦を目指す!
耶倶矢をフォローするように動く夕弦をいきなり狙えば、意表を突かれて連携が崩れる………これが士道の狙いだ。
迫り来る槍をギリギリまで引きつけ、神速を発動して槍を避けると、士道の姿が突如として消える!!
「―――消えた!?」
「注意。耶倶矢、気をつけて下さい。まだ近くにいるはずです」
そして夕弦が言葉を発したその瞬間、夕弦の背後に士道が回り込み、
「俺はここだ」
「油―――断」
夕弦が振り返ったその時には、士道は剣を既に剣を振り下ろそうとしており、斬られると思った夕弦は目を閉じる。
………私はここで死ぬ。これで耶倶矢が真の八舞になってくれれば、それはそれで良いと。
目を閉じたが、鋭い痛みを感じることは無かった。その代わり………胸の辺りを這い回る感触が夕弦を襲っていた。
「うおおおおおお、すっげえ!!ドライグ、分かるか!?このおっぱい中々だぞ―――柔らかさS、ハリA-、ツヤAAA、形AA。総合評価はAAAクラス。うん、素晴らしいぜ、ぐへへへへへへ!!」
『戦いの真っ最中に何をやっている!?それよか、籠手で揉むなああああああああ!!』
剣を振り下ろすフリをして、夕弦が目を閉じた瞬間に再び背後に回り込んだ瞬間―――夕弦のおっぱいの格付けを始めた士道くん。
それを見たドライグは盛大にツッコむ。揉みしだくように握ったり、上下にやらしたりとやりたい放題おっぱいを弄る士道に、夕弦は顔を真っ赤にしてエルボーアタック!!
「淫猥。やめて下さい!!」
「―――おおっと危ない、危ない」
夕弦の肘打ちが来ると分かった瞬間、士道は夕弦を解放し、肘を受け止める。そこへ激昂した耶倶矢が竜巻をコーティングした槍を片手に猛然と迫る!!
「夕弦に、なにしてくれとんじゃああああああ!!」
「………耶倶矢。そうまで殺気が漏れてちゃ、当たる攻撃も当たらなくなるぜ?」
ガィィィィィィィィィンンッッ!!
耶倶矢が突き出した槍を
「喰らえっ!ゴットブロオオオオオオ!!」
―――ゴットブロー。女神の怒りと悲しみを込めた必殺の拳だ。直撃すると相手は死ぬ………そう、直撃すれば。
しかし、これもギリギリまで引き寄せると、士道は神速を発動して背後に回り込み、お尻をポンポンと優しく叩きながら、撫でる。
「そうカリカリすんなよ耶倶矢。こんなにいい尻してんだから」
「さ、触るなああああ!!」
耶倶矢は、後ろ回し蹴りを士道の顔面を目掛けて放つが、これも体を倒して避けられ距離を取る。
士道を相手に、突然連携攻撃が効果を発揮しなくなった事に、耶倶矢と夕弦はパニック状態に陥った。
「なんで………なんで当たらないわけ!?」
「混乱。何がどうなっているのですか?」
あたふたと慌てふためく耶倶矢と夕弦に威厳ある声が、回答を告げる。
『………この変態は、貴様らの胸の声を聞いているのだ。突如攻撃が当たらなくなったのはそのせいだ。このふざけたピンク色の心象風景は、それを可能にするためのものだ………ほとんど固有結界に近い、この変態が追い求めた心象世界が具現化したものだ』
ドライグが解説付きで耶倶矢と夕弦にマジックの種を明かすと、二人は震え上がった。
「嘘………それってつまり―――」
「驚嘆。夕弦たちの考えが全てお見通しという事ですか?」
「………フッ、俺は聞いてるだけさ。お前らの胸の内を―――否、おっぱいの声を!!」
士道がビシッと二人のおっぱいを指さすと、耶倶矢と夕弦は顔を朱に染め、腕をクロスしておっぱいを隠した。
そして士道は籠手から光を輝かせ、高らかに宣言する!!
「これが俺の必殺技―――『
この技は、イッセーが煩悩に煩悩を重ねて編み出した究極奥義。魂が別れてしまって以来ずっと使用不可能だった。
………技を使用するのに必要なのは魂だと言われている。イッセーの魂が融合した今だからこそ、この必殺技が使えるようになったのだ。
「おっぱいの声を聞くって………あんた何者なの!?」
「畏怖。士道は、何者なのでしょうか?」
「そんなに知りたいなら教えてやる俺は―――」
士道がカッコよく決めようとしたところに、威厳ある声が再び乱入する―――ドライグ先生だ。
『相棒、ここは俺に言わせてくれ。この男は五河士道―――息子未使用のチェリーボーイだ』
………なんという事でしょう!?ドライグ先生まさかの爆弾発言!それは士道が、精霊たちにひた隠しにしてきた事実(四糸乃以外全員周知)。
このカミングアウトに、士道くんは籠手に唾を飛ばしながら怒鳴る!!
「おいいいい!?ドライグ、テメェ何やってくれてんだよ!?」
士道の怒鳴り声を無視してドライグは続ける!
それはまさにドライグの報復だった―――夕弦の胸を籠手で触った事へのだ。
酷くプライドが傷付いたドライグ先生止まらない!
『この男はクソがつく程の鈍感で、ドン引くほどのヘタレ野郎だ。同じ屋根の下に住む、義妹と六華という女がいるのだが、手を出すか出さないかを迷うようなヘタレなのだ。六華は貴様らも知っていよう?相棒と六華のことで面白い話があるのだ、それを聞かせてやろう』
「お、おい………まさか!?」
ドライグがこれから話そうとしている内容に見当がついたその瞬間に、籠手の宝玉が点滅を始め話始めた。
『………いつだったか、六華に夜這いを掛けようとしたのだが、緊張のあまり足が止まり、部屋の前をうろうろしていたのだが、結局眠気に負けてその場で眠ってしまったこともあってな。
………まだあったわ。お前らが相棒と一緒に温泉に入った時と同様に、六華とも温泉に入った事があってな!その時は、六華に押し倒されたのだが、鼻血を出してその場で気絶してしまったのだ―――ハッハッハッハッハ!!思い出したら、また笑けてきてしまったぞ………ブハハハハハハハハハハハハ!!』
「うおおおおおお!?俺のトップシークレットおおおおおお!!」
ドライグに秘密を全て暴露された士道くん。特にドライグが述べた今の二つは士道の中で最も恥ずかしい記憶だ。
それを思い出したドライグは、笑い転げるかのように大爆笑だ!それが士道のライフポイントをさらに削る!
過去を蒸し返され、士道は空中で頭を抱えながらくねくねと体を回している!!
―――そして、次のドライグの攻撃が、士道のライフポイントをゼロにする!!
『これが、俺の相棒「五河士道」だ。おっぱいおっぱいとは抜かしているものの、調子に乗って攻めはするが、攻め返されるとその場でタジタジになる。
その上、挙げ句の果てに押し倒されれば、鼻血を出して気絶するヘタレ!!どうだ、恐れ入ったか!?』
「ぐっはああああああああああ!!!!」
ライフポイントが残り一〇〇のところに、滅びの
士道は空中で膝をついて項垂れた。そこに、その話を聞いていた耶倶矢と夕弦から追加攻撃が飛んでくる!
「えーと、士道もその………苦労してるんだね」
「同情。哀れです」
「止めろ、やめてくれええええええ!俺をそんな目で見ないでくれ!!」
耶倶矢と夕弦のダイレクトアタック『哀れな視線』!是非ともその辺で勘弁していただけないであろうか、士道くんのライフはもう〇なのだ。
「はぁ………はぁ………俺のプライドはもうズタズタだ。せめて、お前らだけには絶対に勝たせてもらうぞ耶倶矢、そして夕弦!!これで負けたら俺は、ただのデクの棒だよコンチクショウ!」
「………っ!こっちだって負けるわけにはいかないし!」
「同調。夕弦たちとて負けるわけには行きません!」
プライドを木っ端微塵に砕かれた士道くんは、せめてこの二人だけとの勝負には勝とうと凄まじいオーラを放出する!!
そして耶倶矢と夕弦も風を纏い、士道の一挙手一投足に注目していた。
「いや、実はもう勝負はついているんだ。耶倶矢、夕弦―――自分たちの体を良く見てみろよ―――どっかから、暇みたいなんが出てんだろ?」
耶倶矢と夕弦は士道の動きに注意をしながら、自分たちの体を確認すると―――耶倶矢は尻から、夕弦は胸から糸のようなものが出ていた。
「………え?何これ?」
「奇異。これは………」
その糸は、士道の左手に終着していた。それを視認した瞬間に、士道の体を白い眩い光が包み込む!!
「霊装顕現ッ!!」
カアアアアアアアアアッ!!
士道の体から放たれた光が、士道の体に浸透すると―――霊装を纏った士道が姿を表した。
鎧を霊装へと変化させた士道を見た耶倶矢と夕弦は、驚きを隠せず口を大きく開ける。
「これって………もしかして!」
「驚愕。霊装です!」
霊装を纏った士道の左手にも、その糸は変わらず握られている!!そして、『乳語翻訳』と同様に蘇ったもう一つの必殺技を士道は発動する!!
「霊装を壊すには、霊装だよな!!バラバラになれ―――『
ビリビリ―――ビシィッ!!
士道の左手から霊力が送り込まれると、耶倶矢と夕弦の霊装が―――亀裂が入り、木っ端微塵に吹き飛んだ。
空中で生まれた時の姿に戻った二人はその場で体をかがめ、士道の視線から恥ずかしいところを隠す!!
「キャアアアアアアアア!!」
「狼狽。エッチです!!」
霊装を失った今、耶倶矢と夕弦の奥義―――【
今度は―――両腕の中に耶倶矢と夕弦をきっちり納めて。
「………耶倶矢、夕弦―――この勝負、俺の勝利だ」
「あっ!?しまっ―――」
「屈辱。やられました」
二人はがっちりと士道に抱きしめられ、その場でもがくも焼け石に水。
この勝負―――勝ったのは士道だ。
「………その。なんだ、霊装を吹き飛ばして悪かったけど―――服着ろよな?」
「あんたが言うなし!!」
「憤怒。夕弦たちを脱がせたのはどこの誰ですか!」
勝負がついた事で二人は潔く負けを認め、勝負の前まで纏っていた浴衣姿へと服装を戻した。
………ちなみに士道くんが、二人の裸を見事に撮影済みなのは内緒である。
「………耶倶矢。それから夕弦。勝者は俺だ、俺の言った条件忘れてないな?」
「………うん」
「応答。はい」
士道の言葉に二人とも、首を縦に振る。勝った士道が得られるもの―――それは、耶倶矢と夕弦の霊力―――そして、耶倶矢と夕弦を真の八舞として生き残らせると言う権限だ。
「霊力を封印する前に一つだけ教えてほしい………もしお前たちが俺に勝った時の話だけど―――お前たちは、どっちか片方だけになって生きることはできるか?
部外者の俺ですら、お前たちのどっちか片方を失うってなると、身が引き裂れる辛さだぞ………どうなんだ?」
「………ッ!」「困惑。それは………」
士道の言葉に二人は何も答えられなかった。士道は続ける。
「お前たちはお互いの事が大好きだろ。耶倶矢は夕弦を、夕弦は耶倶矢を。俺はお前たち二人が、もっと笑ってるところを見たい。俺たちともっと一緒にいて欲しい!だから―――俺に嘘偽りのない、本心を話してくれないか?」
士道が手を伸ばすと………耶倶矢と夕弦はぼろぼろと大粒の涙がこぼれ落ちた。
「士道、夕弦………私、嘘ついてた。死にたくない………私、死にたくない!もっと夕弦と一緒にいたい!生きていたい!」
「応―――答。夕弦も………です。消えたく、ありません。耶倶矢と、生きていたいです」
お互いにぼろぼろと涙を流す二人を士道は優しく包み込んだ。さらに、信じて打ち明けてくれたことに感謝の意を伝える。
「耶倶矢、夕弦。本心を聞かさせてくれてありがとう………それから、絶対に助けてやる。今日この時をもって耶倶矢と夕弦―――お前たち二人が、真の八舞だ」
「………うううっあああああああんん」
「落涙。ううっ………」
士道の胸を借りて涙をこぼし続ける耶倶矢と夕弦。この涙を二人が流す最後のものにしよう………士道は心の中で強く決意した。
その時、近くまで駆け寄ってきた十香が、天を指さした。
「シドー、アレを!!」
「チッ!?こんな時に!!」
十香が指さした天を見上げると―――某エヴァに出てきそうな、巨大な真紅の物体がバンダースナッチを撒き散らしながら、迫ってくる!!
―――空中艦アルバテル。島全体の通信を遮断し、さらにバンダースナッチなどの戦闘兵器をいくつも搭載した、最新鋭の空中艦だ。
既に〈アルバテル〉は、コントロールルームと思われる箇所から煙が上がっており、何かと交戦したような痕跡が残されていた。
そして、それと同時にインカムに着信が入る。
『こちら神奈月。士道くん、応答願います』
「神奈月さん、どうしたんですか―――まさか、四糸乃が暴れでもしましたか?」
着信は琴里ではなく神奈月からだった。士道はインカムを付け、神奈月に応じる。繋がったことを確認した神奈月は要件を伝える。
『良かったやっと繋がった………いいえ、四糸乃ちゃんは良い子にしています。今回はそれではありません―――今そちらに空中艦が向かっています。我々と上空でドンパチしていたものなのですが、逃げられてしまって―――処理をお任せしてもよろしいでしょうか?』
「フラクシナスとドンパチって事は―――撃墜しても問題ないと?」
『ええ。あの空中艦はDEMインダストリー社のもの―――精霊を殺すことを掲げる組織のものです。ちゃちゃっと撃ち落としちゃって下さい』
「了解っ!任せて下さい」
そこでインカムからの通信が切れると、士道は胸の中で泣き続ける耶倶矢と夕弦を後退させる。
「耶倶矢、夕弦―――下がってろ、一瞬で片付けるから」
「分かった」「祈願。お願いします士道」
二人が後退したことを確認した士道は、『
「吹っ飛べ―――エレメントバーストッ!!」
『Spiritual Element Blade!!!!!!!!!』
ズビィィィィィィィィィィ!!
三つの天使を融合させた極限の一撃が、バンダースナッチ及びアルバテルを飲み込むと、その先の雲ごと綺麗さっぱり消しとばした。
暗雲が晴れた夜空は―――新たに誕生した真の八舞を祝福するかのように、月の光が眩しくそれを照らしていた。
―――◇◆―――
少し前まで仁徳正義と死闘を繰り広げたDEM社の魔術師グレン。
グレンは夜闇に覆われた闇の中を掻き分け、隊長であるエレンを探していた。
描き分け探す事約、数分程でグレンは血塗れの状態で気絶するエレンを発見した。
「………いやあ、手ひどくやられましたね隊長」
「グレン………ですか。なんとも、みっともない姿、を………」
エレンはグレンに気付き、身体を起こそうとするがそれを止めて顕現装置で応急処置をエレンに施す。
「みっともないのは、こちらも同じっす。目醒めた『
邪魔に入ってきたそいつは、『リュカオン』を粉微塵に破壊するは、アクセラレーター状態で戦っても、かすり傷も一つ負わない化け物でした」
「なっ………アクセラレーターを使用したあなたが傷一つ付けられない者が!?」
エレンはその報告を聞いて驚嘆した。世界は広いとはいえこんな事があるのかと。
そして………傷を負ったエレンの処置の途中にインカムから通信が入る。
『………やあエレン。ミッションの方はどうだい?』
「アイク………」
通信の相手はアイザック•ウェストコットだ。エレンはそのまま報告する。
「申し訳ありません。ミッションは失敗に終わりました。全て私の責任です」
『キミにしては非常に珍しいねエレン………それで、何かイレギュラーでもあったのかい?』
ウェストコットは、すぐに何かイレギュラーが起こったことを瞬時に見抜いていた。エレンはその事象もまた報告する。
「………はい。『
『まさか―――「赤い龍」を宿した神器―――「赤龍帝の籠手」はまだこちらにある。その上、世界最強の魔術師であるキミを圧倒するとは………それは実に興味深いものだ。近いうちにリンドヴルムに調べてもらうとしよう。エレン、その少年の名は?』
「五河士道と名乗りました。写真もありますので、そちらも後ほど送ります」
『ありがとうエレン。さて、次はグレンの方に聞こうかな』
エレンの方の報告をあらかた聞いたウェストコットは、次にグレンへと通信を繋ぐ。
「おっさん、すんません。こっちも失敗っす―――ただ、一つだけ『白い龍』が目醒めたっすよ」
『それは素晴らしい!謎の『赤い龍』に『白い龍』。心躍るじゃないか!それが分かっただけでも大きな収穫だ―――二人ともご苦労だった帰投してくれ』
「「イエス•マイロード」」
グレンは血塗れのエレンを抱き抱えて空へと飛び立った。しかし、エレンは雪辱に燃えていた………自分のことをザコ呼ばわりした士道への報復の機会が巡ってくることを。
「隊長、傷口開くっすからもう少しだけ大人しくしといてください。それに………悔しいのは、隊長だけじゃないっすから」
「グレン………」
エレンのワイヤリングスーツに、ポタッと鮮血が零れ落ちた。エレンが見上げると―――唇の端を噛み締め、血を滴らせるグレンが映った。
自慢の切り札が一切通用しなかった事がよっぽど悔しかったのだろう。
エレン同様にグレンもまた雪辱に燃えていたのは、言うまでもない。
屈辱に打ち震えながらも、二人はウェストコットの元へ全力で帰投したのであった。
八舞編は十話も行かないと始めは思いましたが、気付けばもう十一話です。
美九編は二十ないし、三十話ほどかかりそうです。
それでも、納得のいくように描いていく所存であります!
これからもよろしくお願いいたします!