デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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前回のあらすじ

くるみん「前回は士道さん―――士織さんがステージ部門で亜衣さん達とバンド演奏をする事になりましたの。それから十香さん、凛袮さん、折紙さんの三人も加わり、美九さんとの勝負に大きな自信を持ちましたんですの。それから、私は士道さんに乙女の純潔を―――」

士道「言い直すな!そのままで良かったから!それから、それ以上は言わないで、六華に殺されるから!!」

くるみん「何を言っているんですの。士織さん、とおっても可愛いですわよ?それから、わたくし六華さんにきちんと言いましたわよ―――『これでわたくしも追いついた』と」

士道「なあくるみん―――この前の続きを模擬店のスペシャルイベントでやっても良いんだぜ?俺がくるみんを裸にして、客の目の前でその体を触りまくって――――――」

くるみん「ひっ!?あ、ああああああの士道さん!とっても悪い顔になられてますわよ!?」

士道「ぐっへっへっへっ!喰らえ洋服崩―――んぎゃあああああああああ!?」

六華「浮気は許しません!」

士道「ああああががががが!?目がああ!目が痛いよおおおおおお!!」

ドライグ『全く毎度毎度世話が焼けるな相棒は………それでは、続きだ。待たせたな』


六話 決戦 天央祭 前編

士道が精霊攻略の際に頭を悩ませる要因の一つでもある、陸自の武装集団―――ASTの巣窟、自衛隊天宮基地。

その中には、士道の友でもあり恋人(自称)の折紙もそこで汗を流している。謹慎が解かれ、前線に復帰する事になった折紙は装備のメンテナンスに当たっていたのだが………

 

「………?」

 

ここ数日、隊員たちの自分への態度が急によそよそしく思えてならない。いつもなら、目を合わせると学校生活のことなどを話していたのだが………今では、目を合わせた隊員たちが露骨に目を逸らし、さらに近づかないようにされるなど、完全に腫れ物扱いされている。

 

その時、DEM社から出向して来た整備主任のミルドレッド―――通称ミリィが、歌を口ずさみながらすぐ後ろを通り抜ける。

 

「♪♪♪―――青空ー駆け抜け〜雲の谷間を飛んでゆくー♪」

 

何ともナイスなタイミングで現れたミリィ。折紙は通り抜けたミリィの襟首に手を伸ばす!

 

「♪見ろ!アレは我ーら―――ふぎゃっ!?」

 

ルンルン気分で歌唱中だった所に、突如与えられた衝撃にミリィは猫のような悲鳴を上げる。

折紙はそのままミリィの襟首を掴んだまま、基地の人気の無い場所へと引きずりこんだ。

何の前触れもなく日の当たらない場所へと連れ込まれたミリィは、当然声を裏返す!

 

「何するかぁ!ミリィの頚椎に何かあったらどう責任を取るんですかぁ!」

 

「問題ない。あなたの頚椎に損傷が見られたその時は、責任を持って私が治す―――具体的には麻酔薬と針、それからメスがあれば問題ない」

 

「まさかの手術!?オリガミ、免許は―――」

 

「………そんなものは無い」

 

「無免許!?いやぁ解体されるぅぅぅぅ!!」

 

無表情で医者の真似をする様に手を動かす折紙を見て、ミリィは化け物を見た様子で後退り後方の壁へとぶつかった。

アットホームな雰囲気に流されそうになった折紙は、表情を変えずにミリィに要件を訊ねる。

 

「それでミルドレッド………一体何を隠しているの?」

 

「ふぇ!?そ、そそそそそんな!?お、オリガミに隠し事なんて………するわけ―――な、ななななな、ないじゃないですか!?」

 

折紙が訊ねると、ミリィは視線を泳がせて両手を広げて体の前を左右させた。この反応を見て折紙は確信した。

………ミリィは隊員たちの態度が急によそよそしくなった事について、何か心当たりがある事を。

しかし、あくまでシラを切る様子のミリィを見た折紙ちゃん、肉体言語に出る!

 

「ミルドレッド………」 バゴ―――ビシィッ!

※折紙ちゃん近くの壁をキック!壁にはくっきりと靴跡が入り込み、さらにそこからいくつもの罅が生まれました。

 

「ひぃぃぃぃぃ!?は、話す!話しますから!!」

 

―――話さないなら、貴女はこうなる………

 

折紙が名前だけを呼ぶ脅迫を残すと………ミリィは再び猫のような悲鳴を上げて、溜息を吐いた後に口を開いた。

 

「実は明日大きな作戦があるのです………」

 

「作戦?」

 

ミリィから『作戦』という言葉が出て折紙は堪らず訊き直した。それも大きな作戦ともなると、遅くとも一週間前には全員が周知していて然るべきもの。

しかし、折紙はその作戦の内容は知らされていなかったのだ。

 

「………教えて、何があるの?」

 

「明日の作戦は―――」

 

ミリィが作戦内容を折紙に伝えようとした時、DEM社からの出向社員の中での女帝と呼ぶべきボスが靴音をカツカツ鳴らしながら現れた。

 

「お喋りはそこまでヨ、整備主任サン。仕事に戻りなΨ」

 

「ふにゃああああああああ!」

 

ジェシカに言われると、ミリィは猫が逃げるような泣き声を上げてその場から立ち去った。

そしてその様子を見たジェシカは、満足そうな笑みを浮かべて言葉を残して立ち去った。

 

「ここから先は秘匿事項デス。文句がアレバ上へドウゾ」

 

「………」

 

小さくなっていくジェシカの背中を見ながら、自分の仕事へと戻った。相変わらず職員からは、腫れ物扱いされて非常に居心地が悪かった。

折紙は格納庫での作業を手早く終わらせると、自分のロッカーへと足を進めた。

 

ウィーン………

 

折紙が作業服を脱ごうとロッカールームの扉を開けると………上官である燎子が何やら元気が無く俯いていた。

扉が開かれ燎子は視線だけを動かして入って来た折紙を認知すると………突然声が聞こえて来た。

 

「あーあ、今日も一日、嫌な外国人の相手疲れたわねー。愚痴らないとやってられないわー………丁度誰もいないみたいだし」

 

「………!」

 

壁に向かいながら独り言を言う燎子を見て、折紙は着替えを途中で止めて燎子を見た。

壁に向かったまま燎子の独り言は続く。

 

 

「―――明日九月二三日、一五〇〇時、天宮スクエアに第三戦闘分隊が突入するわ。目的は精霊〈プリンセス〉の疑いのある少女・夜刀神十香………及び、存在を秘匿された来禅高校二年生・五河士道の捕獲」

 

「………な」

 

折紙は小さく声を発する。第三戦闘分隊とは、DEM社出向社員達のみ構成された部隊。それが明日、天央祭の真っ只中で行われる。

それを聞いた折紙に宿ったドラゴンが見解を述べる。

 

『なるほど―――他の隊員共の態度に合点がいきました。マスターの想い人の五河士道の捕獲となれば、マスターは賛同せず逆に妨害を考えるでしょう。しかし、この女は隊を指揮する者のはず………その作戦内容をマスターに?』

 

アルビオンが述べた見解に折紙は呆然と立ち尽くしていた。やはり士道の存在はDEM社には完全に把握されている。どこから情報が漏れたのか、と………

燎子はロッカーからタオルを取り出すと、入り口の方へと歩き始める。

 

「クソダルすぎるわね明日の作戦。面倒だから第二格納庫の裏口に鍵掛けるのヤーメタ。トラブルなんて起きないでしょうし、何も問題ないわねー」

 

それだけを言うと、すれ違い様に折紙の肩に優しく手を落とした。

 

そして―――

 

「頼んだわよ、折紙」

 

そんな台詞を残して完全に燎子はロッカールームから去って行った。

 

「―――っ………」

 

燎子が消えた扉を見つめた折紙は、拳から血が滲み出るほど強く握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天央祭が始まる二時間前………士道は会場で着替えを行なっていた。士織ちゃんに変身するためである。

いつもはフラクシナスで着替えを済ますのだが、現在フラクシナスでは精霊たちの定期の健康診断が行われているため、今日は会場で着替えなければならないのだ。

………ちなみに約一名は、士道の性転換銃での女体化の件を知らない精霊がいる。その子に知られない為にも、会場で着替えをする事を選んだのだ。

 

「ぐへへへへへへへ!これで俺のコレクションはさらに増えるぜ!さてさて、お兄さんがみんなのお体の成長度合い、しっかり確認しますからねぇ!」

 

健康診断が行われる事を見越して、士道はフラクシナスに大量の隠しカメラを仕掛けた。ぬいぐるみの目の中やら、棚の隙間、照明付近の死角部分や、トイレなどなど。

バレれば四糸乃のパペット―――よしのんの頭突き待った無し。しかし、オカズの補充は士道くんにとっては急務!自家発電も同じものを何度も観ていると、飽きてしまうからだ。

 

『心配いらんぞ相棒。昨日の夜中に五河琴里が、館内の職員を総動員して隠しカメラを探していたぞ?故にその作戦は破綻だな』

 

「琴里ィィィィィィ!?毎度毎度邪魔しやがって………」

 

ちなみにスマホで隠しカメラの映像を確認すると………いずれも画面に『error』の文字が。士道くんが仕掛けたものはいずれも琴里によって破壊されてしまったのだ。

 

「………しゃあない!こうなりゃ最後の手段だ―――精霊たちに土下座で頼み込もう『エッチな写真撮影会をさせて下さい』ってなあ!!」

 

『六華に頼むのが一番手っ取り早いだろう。頼めば勿論だが、相棒に寝込みを襲われようが奉仕をしてくれるは六華だけだ。六華に頼めば写真撮影の後に、+αでご奉仕もしてくれるのではないか?』

 

「―――良し決まりだ!六華にLINE入れとこう!」

 

士道くんのアドバイザーのドライグ先生からの助言に、スマホを開いて六華にメッセージを送ろうとLINEを開くと………既に一件、六華からのメッセージが。

 

―――士道さま、フラクシナスに仕掛けた隠しカメラの件でお話があります。私たち、七人の精霊の裸を盗撮する事が目的だったのでしょう………私という妻がありながら、何故このような事を?

隠しカメラなど仕掛けなくとも、私に言えばいつでも裸の写真の一枚や二枚は撮らせて差し上げます。最後に一言………浮気は許しません!今日の夜はお仕置きです!私が満足するまで寝かせませんから、そのつもりで。

 

メッセージを見た士道くん、顔を真っ青にした。六華を満足させるのは非常に大変なのだ………若いエネルギーに満ち溢れている士道くんでさえも、精力剤の力を借りるほどに。おまけに先日は行為の途中で、士道くんの腰が抜けてしまうハプニングもあったと言う恥ずかしい話もある。

これにはドライグ先生も思わず苦笑い。

 

『相棒、気張れよ。心配しなくても腰が抜けたら、勝手に六華が相棒の腰の上でダンスを踊るさ。それよりも、さっさと士織ちゃん化した方が良いぞ?その内、そろそろ早出組の連中が顔を出す時間だ』

 

「ああ………分かっている」

 

それだけを言い残すと、ドライグ先生は眠りについた。今はこれを考えても仕方が無いため、士道くん一旦考えるのを辞めた。そして、スーツケースに仕舞い込んだ戦闘服を取り出して床へと置き、さらに性転換銃を自分に構えて打ち込む!

 

ビイイイイイイイッ!

 

何も無い部屋に突如光源が現れたように、黄金の光が部屋全体を照らす!光が止むと………士道は士織ちゃんへと大変身を遂げたのだが………事件が起こった。

 

「え………?」

 

カンカラカラン………

 

突如、部屋の外から何か金属物が落ちた音が聞こえて、士織ちゃんは慌てて部屋の入り口の方へ視線を送ると………ウェーブのかかったセミロングの髪を持った少女が両手で口を覆っていた。

 

どうやらその少女は、士織ちゃんの変身シーンの一部始終を見てしまい、目を大きく開いて一歩後退りった。

 

「そ―――園神さん!?」

 

その少女とは―――凛袮だ。当然だが、士道は幼なじみの凛袮にも士織ちゃんの正体は隠していた。いくら長い時を歩んだ存在でもある凛袮と言えども、この事を話すわけにはいかなかった。

百合っ子の精霊を攻略する為に、正体を偽って天央祭に参加しようとしている事を。

 

「―――これは、一体どう言うことかな?今、士道が………士織さんに」

 

「いや、俺は士道じゃ無くて―――」

 

何とか誤魔化そうとする士織ちゃんだったが、相手は他人の洞察においては右に出る者はいない凛袮。真実を見た凛袮は当然ながら士道に詰め寄る。

 

「説明してくれるよね士織さん………いや、士道」

 

「だから俺は士道じゃ―――あ、あの園神さん!?一体何を………」

 

「いいから、じっとしてて………」

 

凛袮は士織の両肩を掴んで拘束すると………スンスンと士織ちゃんの服の匂いを嗅ぐ。それだけではない、士織化してダボダボになった制服のズボンのポケットから、士道の財布を取り出し確認する。その財布からは、言い逃れができない決定的な証拠が出てきてしまった。

 

「やっぱり士道の匂いがする。それから士道、これは何かな?」

 

「うっ………それは」

 

………ちなみに十香同様に凛袮は、士道の匂いを嗅ぎ分ける事が可能だ。これは十香同様に士道への愛がなせる技である。

 

次に財布から出てきたものは………修学旅行で訪れた或美島で購入したキーホルダーだ。

それは、修学旅行で或美島の宿舎のお土産コーナーで、凛袮と揃えて買った物だったのだ。おまけに残り二つしかなかった物を二人で買ったと言う事実がある。

その事を凛袮も知っているため、言い逃れはまず不可能だった。

 

そして………凛袮の捜査は財布の中身にまで及んだ。

 

「それから、財布の中にあるお守り―――これは星照さんが士道に作ったものだよね?委員会の仕事で疲れ切った士道を思って―――」

 

この通りである。名探偵•園神凛袮の前に士織ちゃんは、たまらず膝を折り曲げて地にひれ伏し、降参の意を示す!

これも士道くん同様に士織ちゃんになっても変わらず引き継がれている!

 

「ま、参りました!」

 

ペタリと額と両手を地につけてDO☆GE☆ZA を披露した。それを見た凛袮は溜息を吐いた。士道との付き合いが長い凛袮は、土下座を見て瞬時に悟った。

台風の件と同様に理由を話せないのだと。聞き出せないとあれば凛袮はやり方を変える。

 

「じゃあ士道………私にできる事ってないかな?私も士道に協力させて欲しい」

 

「………っ」

 

修学旅行の一件以降、凛袮は自分と士道との間に見えない壁のような物を感じていた。

士道は十香やくるみん、六華の三人には自分の全てを曝け出しているように見えていたが、自分には何か隠し事をしながら接しているように感じて………今回の士織ちゃんへの変身の件が、隠されていた事についてもだ。

 

自分と十香たちとの間で、何故こうも士道の接し方に違いが生じているのか………凛袮はずっと胸に引っかかっていた。

 

そして今も、士道は目を逸らして唇を噛み締めて黙り込んでいる。それは恐らく―――お前は関わってほしくないと言わんばかりに………それを見た凛袮の瞳から銀色の雫が垂れていた。

 

「士道………私は嫌だよ?こんな風に隠し事をされるの。十香ちゃん達と私で何が違うの?」

 

「そ、それは………」

 

「士道が女の子になっている理由は言えないにしても、何か協力はさせてよ。私だけ同じステージにすら立てないのは、嫌だよ………」

 

「凛袮………」

 

凛袮は溢れ出す雫を止める術を知らなかった。このまま士道を想う精霊クインテットに折紙と言った少女達と、競う事さえ許されずに一方的にステージ外へと切り離される事………凛袮にとってそれを思うと胸が裂かれるような痛みが走った。

 

―――これ以上凛袮を拒むと何が起こるか分からない………そう思った士織ちゃん、凛袮の手に両手を重ねて言う。

 

「じゃあ凛袮………天央祭の一日目は俺と離れずにいてくれないか?模擬店の店番から、ステージ部門の演奏が終了するまでの間だけでいいからさ」

 

………凛袮に一緒にいるように頼み込んだのは、今回のターゲットである美九の声による洗脳攻撃から身を守る為だ。今回のステージ部門の勝負でボーカル役の凛袮が洗脳されてしまうと、勝負にならないからだ。もう片方のボーカル役の折紙には、アルビオンが付いているが、凛袮は力を持たない人間―――それ故に士道の近くに置いておく事が最も安全だと考えたのだ。

 

「分かった。私、絶対に士道の傍から離れない―――………で、でも!トイレに着いてきたら怒るからね?」

 

凛袮は涙を振り払うと、冗談半分本気半分で士道にしっかりと牽制を入れた。凛袮は知っていたのだ―――………先日女体化した士道が、六華を女子トイレに連れ込んだ事を。

 

「はいよ………」

 

そこまで言うと、早出組が到着して接客やら役回りの確認、そしておさらいが始まった。それぞれがお互いの役回りを認識して、リハーサルを終えた頃には………天央祭開始の合図が鳴る五分前になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――これより、第二五回、天宮市高等学校合同文化祭、天央祭を開催いたします!』

 

天井付近に設えられたスピーカーから実行委員長の宣言が響くと同時、各展示場が拍手と歓声に包まれた。

九月二三日の土曜日。天宮市内の高校生が待ちに待った、天央祭の始まりである。

今士織ちゃんがいるのは、主に飲食関係の模擬店が立ち並ぶ二号館。来禅高校の勝敗をも握る最重要拠点だ。

だが、そんな最重要拠点に居るはずの士織ちゃんは今、地面に手をついて全身から暗い空気を発していた。

 

「おっ、おぉぉ………」

 

理由は至極単純なものである。

士織ちゃんはゆらりと顔を上げ、辺りを見回した。周囲には様々な模擬店が展開されている。たこ焼きやクレープなどの定番系に始まり、その種類は多岐にわたる。

だが、士織ちゃん率いる達来禅高校の必勝策はそんな生易しい物では無かったのだ。

士織ちゃんは頭をぐりんと回し、自分の背後に聳えている看板に目を向けた。

 

『メイド&執事カフェ☆RAIZEN』

 

その無慈悲な名称を頭の中で反芻してから、視線を下にやる。そこには………

 

「おお! ひらひらだな!」

 

フリルのいっぱい付いたエプロンの裾をつまんでヒラヒラさせながら笑う十香ちゃんの姿が。

 

その他には………

 

「ぷ、くく………し、士道、御主おなごの格好もなかなか似合うではないか」

「同意。お持ち帰りしたいです」

 

「お前ら―――また『洋服崩壊(ドレス•ブレイク)』の餌食になりたいのか?」

 

「な―――また、私たちを裸にする気!?」

「恐怖。また夕弦達の服を消しとばすつもりですか!?」

 

士織ちゃんとなった士道の姿を見て含み笑いを漏らす、十香と同じ装いの耶倶矢、夕弦の姿が見受けられた。

ちなみに八舞ツインズも、士道が士織ちゃん化している事は琴里から聞いている。もちろん、美九の霊力を封印するためということもだ。

 

自分の女体化した姿に微笑ましい視線を送る八舞ツインズを見た士織ちゃん、霊装を木っ端微塵に吹き飛ばした必殺技を放つと牽制を送ると、八舞ツインズは両手を合わせて後退った。

 

―――その、十香や八舞ツインズたちと、士織ちゃんは全く同じ服装でいる。

濃紺と黒の中間色の色合いを持ったロングドレスの上に、やったらめったらフリルのついた純白のエプロン。ついでに頭部には、これまた可愛いフリルで飾られたヘッドドレスが着せられていた。

それを一言で言い表すなら、これ以上ないメイドさんスタイルだった。

 

「はあ………俺がお出迎えされたいよ、とほほ」

 

『モエモエー!士織ちゃんモエモエー!!いよっ、士織ちゃん日本いちぃぃぃ!日本いちぃぃぃ!日本いちぃぃぃ!日本―――「やかましい!籠手で乳揉むぞ!?」うおおおおおおおおおん!!それだけはやめて下さい相棒さま!!』

 

女子の制服だけでも士道のヒットポイントは大きく削られたが、まさかのメイド服を着る事になるとは夢にも思わなかった士道くん。

その胸の内は、自分が客として十香やくるみん達に迎えられたいという強い思いだけだ。

そしてドライグ先生はメイド服の士織ちゃんを見て早々にブッ壊れた。今のドライグ先生は、マジで•ダメな•オッサン―――通称『マダオ』と化している!

籠手で乳を揉むと言うと、いつも通りに戻ったが………士道同様に、度重なる乳ネタで随分と精神がすり減っている様子だ。

 

「………それにしても、よくこれが通ったよね」

 

士道達と同様にメイド服に着替えた凛袮が、思わず声を漏らした。そこに同じくメイド服の亜衣が話し始める。

 

「竜胆寺に勝つにはこれくらいはしないとね。苦労したわよ………初めは女子はキャバクラ、男子はホストクラブで提出したんだから」

 

「ええっ!?」

 

亜衣の話を聞いてその場で飛び上がる凛袮ちゃん。亜衣たちがやったのは、印象操作だ。一番最初にかなり派手な物を見せると、二度目に出す物のインパクトが薄まるという錯覚を利用して、これを実現させたのだ。

 

「でも、仁徳くんが居なかったなら、これもかなり危なかったけどね。彼が委員会に脅迫―――ゲフンゲフン!O☆HA☆NA☆SHIを通してくれたお陰だからね〜。まあ本当はスカートをもっと短くしたかったんだけど、それは許可が出なかったから」

 

「い、今………脅迫って―――」

「気のせい☆」

「マジ引くわ〜」

 

亜衣から出た脅迫という言葉に、青ざめた表情を見せる凛袮ちゃん。正義の『人修羅』と言う渾名は天宮市では非常に有名だ。

それで脅迫をかけてまでこれを通した亜衣達の竜胆寺に勝ちたいと言う想いは、はっきり言って狂気の域だろう。

 

そして麻依が当店の美少女ラインナップを改めて紹介する。

 

「天真爛漫絶世美少女(十香)、黒と白の女神コンビ(くるみんと六華)、ゆるふわ癒し系美少女(凛袮)、タイプ別双子(八舞ツインズ)、そして当店の看板娘、長身気弱系(士織ちゃん)ときた日にゃあ、もう釣れない男は熟女好きか、同性愛者ぐらいのもんでしょ」

「マジ引くわ〜」

 

『仁徳正義のような、ロリコンも釣れんがな』

 

麻依の釣れない男の捕捉に、ドライグ先生がたまらずロリコンというカテゴリーを追加した。そして、一年と三年も学年内のイケメン及び美少女偏差値から、最高の精鋭を客間に揃えており、来禅高校の模擬店部門に死角は存在しない!

 

そして士織ちゃんは、二階の部屋のカーテンを一部開けて外の様子を伺うと―――メイドカフェ、そして隣の執事カフェにも長蛇の列ができていた。その士織の背後から外の様子を窺っていた八舞ツインズが、士織の肩に触れる。

 

「気を張るが良い看板娘!共に客人を迎え入れようではないか!」

 

「待機。私たちは士織の指示に従います」

 

「え………!?」

 

八舞ツインズの言葉に士織ちゃん大慌てで振り返ると―――戦闘モードを整えた少女達が「どうかご指示を………」と、士織の指示を待っているようだ。

士道は困り顔で汗を流しながらも、戦闘開始の合図を送る!

 

「多くの方が初めてで戸惑っている部分もあると思います………ですが、今日まで頑張ってきた事を全て出しましょう!来禅高校―――ファイッ!」

 

『おー!』

 

士織ちゃんの掛け声で、決戦の火蓋が切って落とされた。ちなみに男子の方はこんな感じだ。

執事カフェの方は、髪型をホールで接客をする男子達は全員がオールバックで髪型を整えており、服装もタキシードと全員が統一されている。それはまさに野球部のスローガンである『チーム一丸』を掲げているかのように。

 

そして今、男子達は円陣を組んで最後の仕上げに入ろうとしていた。

 

「お前ら、わかっているな?」

 

円陣の中心には、来禅高校が誇る『人修羅』仁徳正義が立っており、小声でボソッと呟いた。

正義の言葉に男子達が全員静かに首を縦に振る。

 

「来禅高校の総合優勝は、この模擬店部門にかかっている―――妥協は無しだ!俺たちの奉仕力、見せつけてやろうぜ!!取るぞ、総合優勝!!」

 

『おおおおおおおおおおおおおお!!』

 

正義が人差し指を突き上げると、男子達が一斉に雄叫びを上げて人差し指を突き出し天にかざした。それは、一位を取ると言う強い信念を抱いて………

こうして来禅高校の戦いが始まり、パンフレットを受け取った客が次々と入り込んでくる!

 

客層は様々で、仕事の無い他校の生徒は勿論の事、近隣の大学生(ナンパ目当て)や、これからの進路を決めようとしている中学生の姿も見受けられる。

 

『お帰りなさいませ、ご主人様』

『お帰りなさいませ、お嬢様』

 

入り込んで来た客を席に案内すると、メニューを提示してオーダーを取る。これから厨房は大忙しになりそうだった。

ちなみに、メイドカフェの最大の目玉は、女神の絵画とそのモデルになった美少女達だ。士道くんが夜も寝ないで昼寝をして書き上げた作品―――『漆黒の女神』と『純白の女神』が店内に飾られており、店内の中央に飾られたその絵を見て、男性客はスーパーハイテンションだ!

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 

ニコニコとした笑顔で『純白の女神』のモデルの少女―――六華ちゃんがオーダーを取りにテーブルへと伺うと、そのテーブルの客達はそれはもう大変だった。

 

「うっわ、めっちゃ可愛い!!」

「ねぇ、趣味はなに!?休日とかって何してる!?」

「彼氏はいるの?」

「ねぇねぇ、LINE交換しない!?」

「お前ら、セクハラやめい!あ、注文良いですか?」

 

「ありがとうございます!少々お待ちくださいませ」

 

などなど、テーブルから六華を離さないように完全に拘束しにかかっている。ちなみに六華のメイド服は、士織ちゃん達のそれとは少し異なる。

基本的には外装は同じなのだが、背中にはふわふわとした綿を材料にした蝶のような羽根が生えており、頭のフリルは白い輪っかに変わっているのだ。

 

そして、もう片方の『漆黒の女神』のモデル役のくるみんも似たような衣装だ。くるみんの場合は白と黒のみで構成されている。くるみんの方は、背中の羽根と頭の輪っかは黒いデザイン。

 

「キミも可愛いね!」

「今年の来禅のレベルやばくね!?」

「女神に奉仕してもらえるとか、マジでこのカフェ神だわ!」

 

そして二人ともスカートが異常に短く、太ももを覗かせる危険なデザイン。訪れた客の大半は、事前に来禅高校が発信していたこの情報を目当てで訪れているのだ。

ちなみにメイドに手を出そうとする客はいなかった。なぜなら、隣の執事カフェには、人修羅が客引きをしている事を知っているからだ。

 

「あうぅぅぅ………士道さん、この落とし前は絶対に付けさせていただきますわよ!」

 

恥ずかしがり屋さんなくるみんには、この衣装はキツかったようだ。ちなみに六華とくるみんにこの衣装を着せて接客をさせる条件は、二人が望むデートをすると言う条件で着てもらっている。

………天央祭が終わった後に、何が待っているかは容易に想像できるだろう。しかし今は、目の前の仕事に全力で取り組む必要があり、士道くんはそれを考えてはいなかった。

 

「………どんだけ行列できてんだよ!?これなら、こっちの方は問題ないな。さて―――」

 

相変わらずメイドカフェには、長蛇の列は変わらない。しかも、先ほどよりも客が増えていると言うおまけが付くほどに。

客引きのパンフレットを凛袮に任せた士道は、建物裏でフラクシナスへと通信を入れる。

 

「神奈月さん―――首尾はどうですか?」

 

通信相手は神奈月。今回の美九との勝負は総合優勝を取った方の勝利だ。それを踏まえて作戦の進行状況を尋ねた。

 

『上々ですよ。既に工作員を竜胆寺に潜り込ませています………彼女達は任務遂行中です。士道くんは引き続き客引きをお願いします」

 

「分かりました。それから美九はどうなっています?」

 

どうやら神奈月は士道の作戦に必要な部隊を揃えて、それに従事してくれたらしい。そして作戦の中での不安要素でもある美九について訊ねた。

 

『今回のターゲットである誘宵美九は―――来禅高校のメイドカフェへと向かっています。士道くん、すぐに戻って下さい』

 

「了解………」

 

士道が神奈月からの通信を受けて再び客引きに戻ると―――………笑顔で手を振りながら近づいて来る〈ディーヴァ〉こと誘宵美九の姿があった。

 

「士織さん、デートをしませんかぁ?」

 

 




ドライグ先生の次回予告

ドライグ『ひょんな事から〈ディーヴァ〉こと誘宵美九とデートをすることになった相棒!ああ、この二人を見ていると本当に癒されるなぁ。ずっと二人の時間が続けば――――――おい落ち着け相棒、キレてはいかん!!深呼吸をしろ、深呼吸を!!

次回 デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜

七話『決戦 天央祭 中編』

精霊を守りし女帝よ、癒しの幼女に気を付けろ!?お楽しみに〜』

空飛ぶベイベーの歌詞コードが無い!何も無い!
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