デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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前回のあらすじ

四糸乃「えーと………ハッ!士道さんは、凛袮さんに………変身を、見られましたが、何とか秘密にして、もらえる事ができました」

よしのん『いいよ四糸乃!その調子!」

四糸乃「そこからは、天央祭が始まって………美九さんとデートを、することになりました」

よしのん『四糸乃グッジョブ!良くできました』

士道「四糸乃、あらすじの紹介をありがとな。それじゃあ続きをどうぞ!」

※この話で美九が暴走する一歩手前まで行けると思いましたが、無理でした。天央祭のバトルはもう一話続きます。大変申し訳ございませんが、ご了承ください。


七話 決戦 天央祭 中編

「士織さん、デートをしませんかぁ?」

 

士織ちゃんの目の前に現れたのは、今回のターゲット誘宵美九。精霊としての識別名は〈ディーヴァ〉。

取り巻きの可愛い美少女を連れながら、周囲から沸き立つ黄色い視線と歓声と共にメイドカフェ前に足を運んで来たのだ。

 

「デート、ねぇ………そんなに可愛い子たちを連れながら言う台詞じゃ無いと思うけど?」

 

士織ちゃんが半目を作りながら言うと、取り巻きの少女達は「え、お姉さま?」と悲しげな表情を浮かべた………恐らく彼女達は美九と一緒に文化祭を楽しむ予定だったのだろう。

 

取り巻きの少女達はこのまま美九から離れるつもりはない。それを見た美九は鬱陶しげに首を回すと―――自分の体に濃密な霊力の波動を纏わせる!

それを見た士織ちゃんは、大慌てですぐ隣にいる凛袮の耳の穴に自分の指を突っ込み、聴覚を遮る!

 

「え!?士道―――」

 

「はぁ………邪魔です。【()()()()()()()()()()()】」

 

美九の霊力を込めた声があたりに響き渡ると―――取り巻きの少女達は虚な表情を浮かべて散って行った。そして、いきなり耳に指を突っ込まれた凛袮は、士織ちゃんの胸ぐらを掴む!

 

「ちょ、ちょっと士道!いきなり何するの!」

 

「悪い凛袮、ちょっと魔が刺した(声さえ聞こえなければ、操られはしないか………とりあえず凛袮をここから動かす事が最重要だな)」

 

心の中で美九の天使の能力を分析する士織ちゃん。そして、このままでは隣にいる凛袮まで餌食になる事を思った士織ちゃんは、凛袮を見ながら耳たぶに触れた後に服の胸部を掴む。

 

………幼なじみでの無言の会話だ。士織ちゃんからの合図を受けた凛袮は、士道からパンフレットを受け取ると、そのままカフェの中へと入って行った。

美九は駆けていく凛袮の背中に熱い視線を送る。

 

「さっきの子も私好みの可愛い子でしたねぇ………あの子もリストアップしておきましょー。さあ士織さん、邪魔者はいなくなりました。デートと参りましょぉ」

 

「………分かった。そのデート付き合ってやるよ」

 

「フフッ、ありがとうございますぅ士織さん」

 

美九の方から誘ってきたデートに士織ちゃんはそれを受けた。そして二人は天央祭の各校の模擬店を回り始めた。

美九もアイドルであると言う事を除けば、普通の同年代の女の子。女の子大好きな百合っ子と言うとんでもない個性があるのだが………

 

「士織さん、クレープですよ!クレープ!」

 

「分かった。分かったから落ち着け―――すみません、二つ下さい」

 

「ありがとうございます。お会計は―――」

 

美九がたまたま通りかかった模擬店の屋台にクレープを出し物にしている店に目を付け、子供のようにはしゃぐ。

それを見た士織ちゃんは、自分のと美九のものを購入して、片方を美九に手渡した。

 

「ん〜!美味しいですぅ!」

 

手渡されたクレープを見て美味しそうに頬張る美九の姿が。それを見た士織ちゃんも一口食べると………生クリームとバナナやイチゴといったフルーツの甘い風味に思わず声を漏らした。

 

「これは美味いな!」

 

士織ちゃんがクレープを一口かじった場面を見て………美九ちゃん大興奮!ンフー!と鼻息を上げて士織ちゃんのクレープ(特に士織がかじった部分)に熱い視線を送る!!

 

「そうですよねー美味しいですよねー。ハッこれは―――ほんのりと士織さんの味がしますぅ!」

 

「お、おいいいいいいいい!?何やってんだ!?」

 

―――なんという事でしょう!?士織ちゃんがかじったクレープを美九がパクリとかぶりついた!!美九は光を放つような笑顔でほっぺをさすっていた。

この百合百合な展開にドライグ先生もご満悦だ!

 

『おっ、良いですねぇ!!このまま士織ちゃんも、〈ディーヴァ〉のクレープにガブっといって欲しいものだな!』

(―――いかねえよ!!)

 

ドライグ先生は、癒されている様子だ。士織ちゃんはそんなドライグ先生の願いを一蹴!

 

しかし―――………美九が自分の持つクレープを差し出してきた。

 

「はい、士織さんもどうぞですぅ」

 

「え、ええと………」

 

『何躊躇してんのよ。がぶっといきなさいがぶっと!』

『きたあああああああああ!!ここで逃げれば〈ディーヴァ〉の封印は不可能だ。ファイトだ相棒―――なるべく顔を赤くして、震えながらかぶりついてくれると嬉しい』

 

………この通り士織ちゃんの味方はいない。着けているインカムからも『「美九×士織」きたあああああああ!!』や『いいや「士織×美九」でしょうが!!』などなどフラクシナスも大盛り上がり!

士織ちゃんは、促されるままにクレープを一口いただいた………あまりの気恥ずかしさに、味が感じなかったのはまた別のお話。

 

「ブフッ!」

 

「ふふ、間接キスですねー」

 

このような良い感じの雰囲気でデートは続いて行ったのだが………精霊とのデートに問題はつきものだ。

美九が輪投げの屋台を見つけて、士織ちゃんのために景品を取ろうと意気込んだ。

 

お金を払ってスナック製の輪を三本受け取ると、「ほいやっ!」と可愛い声と共に輪を投げたのだが………

 

「痛いっ!」

 

バコン!

 

極度のプレッシャーで手先の微妙な感覚が一切効かなくなった投手の如く、美九ちゃんの投げた輪は、店員に命中するわ、壁にぶつかるわの大暴投!

 

そして………大暴投した輪を取りに行った士織ちゃんにも悲劇が襲う!

 

「いっでえ!」「あぁん!ごめんなさいー士織さん」

 

そして最後の一投は、士織ちゃんの鼻にクリーンヒット!

士織ちゃんはそのまま鼻を押さえて蹲るなどのハプニングが満載だった。

 

失礼これは大した問題では無い、本当の問題はこの後だった。

景品を取れなかった美九は――――――店員を務める少女に言葉を投げかけたのだ。

 

―――【()()()()()()()()()()()()】………と。

 

霊力を込めた声に、ただの人間が争う術はなく店員は美九へとぬいぐるみを手渡す。そのぬいぐるみを美九は士織ちゃんに差し出したのだ。

悪気や良心の呵責を一切感じない表情の美九を見て、士織ちゃんは堪らず言葉を漏らした。

 

「………お前、何やってんだよ」

 

「何って、士織さんが望むものを取って―――」

 

「そうじゃない!景品は輪を投げて取らなきゃいけないだんだよ。こんな事が罷り通れば、あの子達に悪いだろうが………」

 

士織ちゃんの言葉を聞いて、美九は驚いたようにキョトンと目を丸くする。

 

「悪い?士織さんってば、おかしな事を言いますねぇ………私にもらってもらえるだなんて、きっとあの子達も喜んでいますよ」

 

「お前な………!」

 

美九の言葉に可愛い表情が徐々に険しいものへと変わっていく士織ちゃん。そして………次に美九から放たれた言葉で、士織ちゃんの堪忍袋の尾が切れた。

 

「大丈夫ですよー。人間なんて私の駒兼おもちゃ何ですから。私が気に入った士織さんは、そんな事を気にする必要はないんです。そこらの有象無象の人間なんて好きにすればいいんです」

 

美九は『声』によって、人を自由に操れるため人間は自分の道具に過ぎないという価値観がある。

………それはかつて、自分を殺そうと向かってくるAST以外の人間としか対峙していなかった十香が、人間を見ると攻撃をしてきたように。

その十香も今では、士道や琴里のサポートもあって手探りながらも皆と上手くやっていけている。

そして、美九にも十香同様に皆と共存できる可能性は十分にある。時間と労力は掛かるであろうが、士道や琴里達がサポートをすれば………

 

人間を道具としてしか見れない………自分の都合の良いように動くただ隷属の関係しかないという事―――信頼や友情と言った心が欠落した虚しい関係………士織ちゃんは、これをとても哀しく思ったのだ。

 

「俺はお前に勝つ………お前に『人間』と話をさせるために」

 

「おかしな事を言いますねぇ」

 

「今は分からなくて良い。でも、人間を舐めるなよ………ただ従順で都合の良い奴らじゃない。油断していると足元を救われるぞ」

 

「へぇ………」

 

士織ちゃんが言った言葉に興味深そうに目を細めた。

 

「じゃあ試してあげますぅ。今日のデートはここまでにしましょう………ステージで待ってますよ士織さん。でもそれは、()()()()()()()()()()()()()()の話ですけど」

 

「………」

 

意味深な言葉を残して美九は、踵を返して去っていった。士織ちゃんは無言のまま小さくなっていく美九の背中を見て、少し哀愁が湧いた。

そして、凛袮に客引きを任せっきりにしていた事を思い出して、メイドカフェの様子を見ようと士織ちゃんは駆け抜けたのだが………ここでもアクシデントが発生した。

 

「………やあシン。大盛況過ぎて二時間ほど待たされたよ」

 

「あ、令音さん来てくれた―――よ、四糸乃!?」

 

副担任の令音がメイドカフェの順番を待っており、ようやくカフェの中へと入れたのだ。

士織ちゃんは令音の方に視線を向けて、先に案内しようとしたその時、連れて来ていた―――麦わら帽子を被った幼女の姿を見て言葉を失った。

 

「あ、あの………」

『んああ、これが十香ちゃん達の間で最近噂になってる士織ちゃん?ふむふむなるほどなるほど………ってあれ?その士織ちゃんから士道くんの相棒―――ドライグくんの気配がするのは何でかな?ああ、そう言うことか。士道くんが女の子になっちゃったんだねー』

 

四糸乃は全く気づいていない様子だったが、令音の士道を呼ぶ時の名前と、よしのんがドライグの気配を察知して、四糸乃は女体化した士道を見て、何か見てはいけないものを見たようにガクガクと震えていた。

 

「え………士道、さん………なんですか!?」

 

『四糸乃、それによしのん正解だ。ちなみにこの女体化は、相棒が趣味でやっていることなのだ………気持ち悪いと思うだろうが、何も言わないでやってくれ』

「ドライグテメェ!?四糸乃、よしのん、違うからな!?これには事情があって―――」

 

ドライグ先生のカミングアウトに四糸乃は、さらに気まずそうな表情を浮かべると………よしのんはケラケラと大爆笑!

 

『ヤッハハハ!士道くんそんな趣味があったんだ。大丈夫だよ士道くん、そっちの姿の方が色々と需要あるよー?その格好で「エッチなご奉仕、一〇〇〇〇円です!」って書いた看板持ち歩けば、入れ食いだよきっと!今日だけで社会人の平均月収は軽いんじゃない?』

「よしのん!えっと………私は、士道さんが気持ち悪いだなんて、思いません………士道さんに、だって………いろんな趣味があって、良いと思うんです」

 

「うわあああああああ!やめてくれええええええええ!!」

 

四糸乃のフォローが、士織ちゃんの心を大きくすり減らした。今では、令音と四糸乃にメニュー表で頭を隠すように背を向けているのだ。

もう士織ちゃんモードを使い熟せないほど、士道の精神は追い込まれてしまった!

 

「………『赤い龍(ウェルシュ•ドラゴン)』ドライグ、笑えない冗談でシンを傷付けないでくれ。四糸乃、それによしのん。シンには事情があってこの姿をしているんだ。決して趣味でやっている訳ではない」

 

このままでは、士織ちゃんが士道に戻ってしまう―――そう感じた令音が慌ててフォローを入れると、よしのんの笑いが止まった。そして四糸乃も士道のそばまで歩いて、声を出す。

 

『なんだあ。ずっとこっちの姿でいてもらおうと思ってたのに………つまんないの』

「あの………ステージも、楽しみにして、ます」

 

「ううっ………頑張るよ」

 

令音のフォローで誤解が解けると、エールをくれた四糸乃の頭を優しく撫でた。思わぬところから、エールを貰った士織ちゃん!何が何でも美九に勝つ事を心に決めたのであった。

 

『はぁ………村雨令音め余計な事を。アレがなければ面白い事になっていたに違いないと言うのに』

 

ドライグ先生は、士道が女体化を趣味でやっている事を四糸乃に信じさせようと画策したが、それは失敗に終わった。

 

―――これには士織ちゃん、もちろん激おこだ!

 

「お前マジで覚悟しとけよ!?バンド演奏が終わったら『赤龍帝の籠手(ブーステッド•ギア)による乳揉みツアー』を開催してやる―――内容は至ってシンプル、精霊達のおっぱいを籠手で揉みまくる………ただそれだけ!お前が泣き叫ぼうが永遠に終わらない―――楽しい楽しいおっぱいツアーだ!ぐっへっへっへっへ!」

 

『調子に乗って申し訳ございませんでしたああああああああ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポンパンポーン―――天央祭のステージ部門の参加者はステージ裏の控室に集まって下さい―――ピンポンパンポーン………

 

天宮スクエアの場内アナウンスが鳴り響いてから、役三〇分ほど経過した。士織ちゃんは十香と凛袮を引き連れて集合場所で、待機していたのだが………残りのメンバー、折紙と亜衣麻依美依トリオがまだ来ていないのだ。

 

士織ちゃんはまず初めに折紙へと電話を入れたのだが………

 

「繋がらない………か」

 

折紙は、今日メイドカフェの方にも顔を出していない。それを怪訝に思った士道は、朝にも電話をかけたのだが、折紙がその電話に出る事は無かった。

 

「心配するな士道。鳶一折紙はきっとこのタンバリンに臆したのだ!それに、アイツがいようがいまいが大して変わらん。気にするだけ無駄だ」

 

「もう十香ちゃん!そう言う事言わないの………」

 

折紙をいつも通りに邪魔者扱いする十香ちゃんと、それを諌める凛袮。この二人は士道と違ってソワソワしている様子はない。

そして、今度は亜衣へと電話をかけると………数コール後に亜衣が『はいはーい!士織ちゃん、ドカシタノ?』とスッとぼけた声が聞こえて来た。

ガヤガヤとした声の中に、麻依と美依とすぐ近くにいる事も分かった。

 

「皆さん何をしているんですか、早く来て下さい!ステージ始まりますよ!?」

 

『ああその事なんだけどさ―――うちらステージに出るのやめとくわ』

 

「な―――ッ!?一体どう言う事ですか!?」

 

まさかの亜衣は、ステージに立つのをやめると言うのだ。全く予測をしていなかった言葉を聞いて、士織ちゃんは思わず言葉を詰まらせた。

そして、亜衣の携帯から麻依と美依もそれに便乗するように言葉を発する。

 

『だって美九お姉様がステージに出るの止めろって言うんだもーん!』

『マジ引くわ〜』

 

「美九のやつ………まさか、こんな小汚い事をするとは。いやまあ、俺も人の事は言えないけど」

 

亜衣麻依美依トリオは美九によって『お願い』されたのだ。ただの人間に超常の力に抗う術は無い。

そして、十香と凛袮が無事な理由をドライグ先生が述べる。

 

『見事にやられたな相棒………〈ディーヴァ〉は来禅高校の生徒から、ステージ部門の参加者を聞き出して、後はお得意のアレだ。

………夜刀神十香と園神凛袮が無事なのは、常に相棒の傍にいたからであろうな。故に手が出そうにも出せなかったといったところか。

―――しかし残念だ。奴の土俵で戦おうというのに、こんな真似をするとは………』

 

「それには同意だ。この勝負―――何が何でも負けられなくなった」

 

士織ちゃんは、再び携帯電話である人物へと連絡を入れた。僅かワンコールでその人物は応答してくれた。

 

『おお士道―――士織であったか。我と斯様な玩具を介して会話しようとは、見上げた根性をしておるではないか』

 

電話の相手は八舞ツインズのペチャパイ―――失礼、スレンダー代表、耶倶矢ちゃんだ。

※↑この時、作者の頭に電子辞書が落ちました。

 

「よう()()()()。ステージ部門に欠員が出たんだ、ちょっと手を貸して欲しいんだけど―――」

 

『ちょっ―――アンタまた私のこと「バ耶倶矢」って言ったわね!?今度という今度は………って夕弦返しなさ――――――』

『―――交代。お電話変わりました夕弦です………士織、耶倶矢の声だけを聞こうとは………夕弦は悲しいです』

 

耶倶矢の声が途中で小さくなると………耶倶矢の携帯から夕弦の声が聞こえてきた。

―――これはラッキー、士織ちゃんは夕弦にもお願いをしようと考えていたのだ………余計な手間が省けて思わず笑みが溢れる。

 

「夕弦もいたんだな。丁度いい―――ステージ部門に欠員が出た。お前たち八舞の力を借りたい………やってくれるか?」

 

『首肯。士織の危機とあれば、八舞が出陣を拒む理由はありません………その願い確かに聞き入れました。

………質問。この勝負では夕弦たちは全力を出しても問題は無いのでしょうか?』

 

「勿論だ。全力でやってくれて構わない―――なにせ相手は、今をときめくミステリアス•アイドル『誘宵美九』。お前たちが全力を出す価値のある相手だと思うぜ………お前たちの嵐を呼ぶ楽器操作が有れば必ず勝てる――――――ちなみにだけど、本当の意味での嵐を呼ぶのは、無しだからな?」

 

美九のステージでのパフォーマンスは、中津川のライブを盗撮した映像で知っている。それを見て士道は瞬時に悟った………出し惜しみをして勝てる相手ではないことを………

ちなみに、八舞ツインズは勝負に夢中になり過ぎて、周囲に竜巻やら台風やらを呼び寄せる事が時々ある。この前もソフトボールの授業で、正義とのホームラン対決で、力を込め過ぎた結果―――振ったバットから、衝撃波を呼び出してバットやグローブ、さらにはベースなどを吹き飛ばした事もあるほどだ。

 

………耶倶矢、夕弦のどちらがそれをやらかしたかは、言わなくてもいいね?

 

『期待。それは楽しみです………士道は夕弦と耶倶矢を助けてくれました。今度は夕弦たちに士道を助けさせて下さい』

 

「ああ、すまないありがとう。耶倶矢にもそう伝えといてくれ」

 

『首肯。ではすぐに耶倶矢を持ってそちらへ向かいます………総合優勝を必ず取りましょう』

 

そこで夕弦との電話は切れた。彼ら少し前に夕弦に首根っこを掴まれたのか、耶倶矢の『ふぎゃっ!?』という可愛い悲鳴が聞こえたのは、また別のお話だ。

 

士織の電話が終わると………クスクスとしてやったりという笑顔でこちらを見る美九の姿が。彼女はもう勝利を確信しているのだろう………

そして、その様子を監視カメラをハッキングしてフラクシナスから伺っていた琴里も、心底ご立腹の様子だ。

 

『舐めた真似してくれるじゃない誘宵美九。そっちがそのつもりなら………こちらにも考えがあるわよ』

 

琴里は美九がステージに立った際に妨害工作を実行しようと息巻いていたが、士織がそんなものは要らないとばかりに待ったをかける。

 

「止めろ琴里、余計な真似はするな。ここは力でねじ伏せなきゃいけない場面だ………何よりステージ部門は三位以内にさえ入ればいいと思っていた………それで十分に総合優勝は狙えると俺は踏んだ。でも、こんな汚いやり方をする美九を見て考えが変わった。

―――アイドルとして、自分のステージに自信を持っていないような()()()を相手に、わざわざ勝ちを譲る理由なんてないだろ」

 

士織ちゃんの言葉が聞こえたのか、美九の眉がピクリと動いた。それもその筈………士織ちゃんはあえて聞こえる声で言ったのだ。

しかし、琴里は完全に納得した様子では無かった。インカムから琴里の声が聞こえてくる。

 

『………あなた、負けたら私たちが美九のものに―――』

 

「負けないさ。補充要員も用意したし、十香に凛袮もいる………必ず勝つ」

 

士織ちゃんの自信に満ち溢れた言葉を聞くと、琴里から『勝手にしなさい』とため息混じりの声が聞こえて来た。

士織ちゃんがインカムをポケットへのしまうと、美九がステージ衣装へと着替えて、ステージに向か途中ですれ違いさまにボソッと一声かけてきた。

 

「―――士織さんたちじゃあ、どんなに頑張っても私に勝てませんよ。それを理解する為にも、よぉく私のステージを見てて下さいね?私のステージを見たら、今のような態度を取れなくなってる筈ですからぁ」

 

美九は士織の言葉を聞く前に、ステージへと向かって行った。自分の歌でその手に勝利を掴むために。

そして、美九のステージが始まる時間に合わせて、士織は十香と凛袮に声を掛ける。

 

「十香、凛袮。今から『誘宵美九』のステージが始まるらしいんだ。ちょっと見に行かないか―――絶対王者の圧倒的パフォーマンスとやらを」

 

「おおっ、それは面白そうだな」

「分かった。私も行くよ………美九さんのステージは、天央祭で一番興味があったから」

 

十香と凛袮が首を縦に振ると、士織は二人と共に他の出演者達がいる場所へと向かった。ずっと呼吸を合わせるように練習した四名の仲間を失った士織ちゃんに、果たして勝機はあるのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陸上自衛隊天央駐屯地第二格納庫では、不自然な沈黙に満ちていた。

深夜でもないのに、AST隊員も整備士の姿もなく、まるで、誰かの意図によって人払いされたかのようだ。

そして、鍵がかかっていない裏口から庫内に侵入した折紙は、目的の場所に目を向け歩を進める。

 

「………」 

 

乾いた足音が辺りに反響すると同時に、折紙の動悸が高まり、深呼吸で静める。

その服装は来禅の制服でも、今日の天央祭のステージで着る予定だった衣装でもない。ASTの基本装備で、折紙の意識を最大に研ぎ澄ませる戦闘装束、黒の着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)だ。

空間震が起こった訳でも、訓練でもないのに折紙がそれを身に纏っているのは、別の理由からだ。

 

「………」

 

無言のまま、格納庫のとある区画に向かうと、セキュリティが全て切られていた。これでは何者かが格納庫に侵入し、CR―ユニットを持ち出しても、誰も気付かない。何ともおあつらえ向きな状況である。

 

「………アルビオン、聞こえている?」

 

自身に宿った相棒へと折紙が語りかける。すると、背中から白い翼が姿を表す!

 

『この通り、聞こえていますよマスター。行くのですね?』

 

アルビオンの言葉に折紙は無言で頷く。燎子の『独り言』を聞いて後、折紙はジェシカ達の行動を探ろうとすると、他の隊員達がみんな、燎子と同じように『独り言』を呟き、あの時言葉を濁したミリィも、後で電話をかけたら愚痴交じりにペラペラと事情を話してくれた。どうやら燎子達も今回のジェシカ達のやり方に不平不満を持っていたようだ。

 

「アルビオン、今回はあなたの力を借りたい。白龍皇と呼ばれた伝説のドラゴンの力を」

 

士道が神滅具『赤龍帝の籠手』を宿し、さらに精霊の力を操る事をDEMが知っているのであれば、捕獲対象に入っても不思議ではない。

そして、士道が捕獲されればどんな扱いを受けるかは、想像するに容易だった。

 

『私は汝と共に有ります。マスターが望むのであれば、私はいつでもその力を分け与えましょう!』

 

ジェシカ達の装備は、ASTが所有する装備とは桁外れの性能を誇り、さらにアルビオンの話では、神器に適応したものも含まれているという情報を得た。

 

………その連中とやり合うには、通常の装備ではまず勝負にならない。故にアルビオンの力で対抗しようと考えたのだ。

 

夏休みに地獄の修行に励んだのは士道だけではない、この折紙もだ。謹慎期間で顕現装置(リアライザ)に触れない間も、自分の体を信じて鍛え続けた。

そして今では、着用型接続装置を纏えば、士道と同じ鎧も纏えるレベルまで成長を遂げた………修学旅行の時とは違う。

今の折紙には、士道を守れるだけの強さは確かにある!

 

「今度こそ………私は士道を救う!輝け―――『白龍皇の光翼(ディバイン•ディバイディング)』ッ!」

 

『Vanishing Dragon Sinking Divider!!!!!!!!』

 

カアアアアアアアアアッ!!

 

格納庫内に真っ白な閃光が轟くと―――白い鎧を龍を模した全身鎧を纏った折紙が姿を表した。

例えこの行為によって隊を追われる事になっても、折紙に躊躇の二文字は無かった。

士道は、全てを失った折紙の最後の心の拠り所。それを奪おうとする者は、誰であろうと倒す。

 

白い龍へと変貌した折紙は、天空へと飛び上がった。

 




最後に出て来た折紙の鎧は、DXD原作のヴァーリと同じ鎧『白龍皇の鎧』です。
一章及び二章で士道が纏った未完成の禁手です。

前回同様に『白龍皇の輝銀鱗装』でも良かったのですが、アレは人工神器で最後に壊れており、アルビオンも既に折紙に宿っているため、『白龍皇の鎧』を選びました。

折紙の『白龍皇の光翼』も今後の章で禁手化させますが、もう少し先になる予定です。

ドライグ先生の次回予告

ドライグ『誘宵美九によって亜衣麻依美依トリオを洗脳され、三人の代役には〈ベルセルク〉―――八舞ツインズが選ばれた。
相手はステージでのパフォーマンス経験が豊富なトップアイドル。おまけに超常の力を持つ精霊だ………それを相手に急造のチームで挑む相棒たちに勝機はあるのか!?

次回 デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜

八話「決戦 天央祭 後編!」

精霊を守りし帝王よ!いざ開け―――『パンドラの箱(黒歴史)」をッ!!
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