令音「………前回は仁徳正義が、DEMの魔術師グレンと一騎討ちをして、ワンパンマンした」
士道「令音さん、間違ってますよ!?」
令音「………そこから鳶一折紙がDEMの魔術師、ジェシカ•ベイリーを含む魔術師集団とドンパチを始めた。果たして鳶一折紙は―――」
士道「令音さん、もういいです!もうネタバレしてますから!!」
令音「………おや?間違っていたのかい?それは悪かった。ではシン、この前の続きをしてあげよう。先日は私の胸だけで終わってしまったが、今日は私の全てを―――」
士道「ストオオオオオップ!!それは今度出す外伝で書くネタですから!!」
令音「………すまないシン。最近不眠症で眠れないから、台本が頭に入って来ないんだ」
士道「それは元々ですよね!?令音さん三〇年近く不眠症で困ってる(設定では)のは元からじゃないですか!!」
真那「相変わらず兄様は忙しいでやがりますねぇ………それでは、そろそろ続きと参りましょう!またせやがりましたね!」
天宮スクエアの上空では、上空に現れたジェシカ率いる第三分隊と折紙が激しく火花を散らしていた。
「―――ッ!」
折紙が迫り来る二体のバンダースナッチをすら違いさまにレイザーブレードで一閃!今しがた撃墜した、バンダースナッチの残骸が地面に落ちていくのを視界の端に捉え、息を吐く。そしてすぐさまギリと奥歯を噛み締め、天へと吠える!
「………士道には、指一本、触れさせない………!」
―――士道を奪おうと向かってくるものは全て私が破壊する。その信念を強く掲げ、両手に力を込める!!
「―――はああああっ!!」
ビシイッ、ジジジジジッ………ズドオオオオオオッッ!!
折紙が裂帛の気合と共にレイザーブレードを一閃すると、斬撃が放たれバンダースナッチ三体を貫く!!
そこからコンマ何秒かの時間差で、胴体にスパークが迸ると―――胴体に亀裂が入った。その数瞬後には、上体が削げ落ち爆発を起こした。
バンダースナッチを一撃で破壊する折紙を見た、DEMの魔術師部隊はその力を恐れて近接戦闘は避け、遠距離での攻撃に出る。
「化け物がッ!!」
「撃て!撃ちまくれッ!!」
ズドドドドドドドドドドドドッッ!!
DEMの魔術師たちは、ビームウェポンを折紙に一斉掃射するが、これも今の折紙には通用しない!
折紙の翼―――エナジーウィングが光を放つと周囲の空間に微弱な波動が迸る!!
『Reflect!!!!!』
放たれたビームは、折紙の翼が発行すると同時に跳ね返り、ジェシカたちを襲った。
………これは生前にアルビオンが有していた能力の一つ『反射』。未完成の禁手でもこの能力を発動する事は可能なのだ。
魔術師たちは、放たれたビームを旋回しながら避け回る!しかし、折紙の狙いはこれだった。
「今―――ッ!!」
折紙はレイザーブレードを帯剣すると、鎧から新たに武器を取り出す―――今度は巨大な砲門を有したバズーカのような遠距離攻撃用の武器だ。
折紙が引き金を引くと、バスケットボールほどの弾丸が放たれると―――その弾丸が空中で弾け、そこから無数の小さな弾丸が拡散して魔術師一団に襲いかかる!!
「くっ―――」
「ちぃッ!!」
魔術師たちは拡散した弾丸を防げないと見るなり、
こうなってしまったジェシカたちは、格好の的となってしまう!
「………ッ!!」
再びレイザーブレードを構えた折紙が防御随意領域を展開した魔術師たちに斬撃を放つ!!
「きゃあああああああ!!」
「グワッ!?」
「ぐおおおおおおおっっ!!」
折紙の放った斬撃は魔術師たちの防御を斬り裂き、CRユニットを吹き飛ばした。そしてCRユニットを吹き飛ばされた魔術師たちは、浮遊する術を失い地面へと落ちていく!
「こちらアデプタス5―――アダプタス4、至急増援をお願いシマス!」
魔術師たちを迎撃した折紙はバンダースナッチを一機、さらにもう一機と撃墜していく!既に三〇ほどの舞台の半数以上を撃墜されたジェシカは、アデプタス4―――グレンに増援を要請するが………
『ジェシカの姉御、こっちも交戦中ッス!こっちのは「
「まさか地上部隊まで!?しかも修羅って事は―――グレンが手も足も出なかった『ジントクマサヨシ』とやらカ!?一体、何がどうなっているって言うのヨッ!!」
既にジェシカはウェストコットに増援を要請しているが、まだそれは到着していない。故にすぐにこちらに駆けつけられるグレンに増援を求めたが、交戦中で先程苦悶の声が聞こえてきた………部隊を失ったという報告プラス先程の苦悶の声を聞いて、彼も相当追い詰められている事をジェシカは悟った。
「ぢぐじょオオオオオオオオオオ!!」
「―――アルビオン」
『Reflect!!!!!!』
バンダースナッチ達を軽々撃墜する折紙にジェシカはビームウェポンを掃射するが、再び神器の能力で反射され、撃ったものがジェシカに襲いかかるだけ。
………自分がザコと評価したASTの隊員一人に手も足も出ない。この事実はジェシカにとっては屈辱でしかなかった。
そして、折紙はバンダースナッチ達を消滅させると、ジェシカに迫る!
「あなたで最後」
「調子に乗るナッ!小娘ガッ!」
ジェシカはレイザーエッジで折紙に斬りかかる!既に六人いた魔術師達は全て落とされ、バンダースナッチ引き連れたバンダースナッチ部隊も壊滅させられた。
残りの大将首を落とせば士道に向かられた悪意を挫ける。
折紙は迫り来るジェシカのレイザーエッジに自身の武器をそのままぶつけようと、腕を振り抜いた。
ガギィィィィィン!という音と共に折紙のレイザーブレードがジェシカのそれを押し返し、大きく体勢が崩れた。
「ぐっ―――」
ここが勝負と踏んだ折紙は、翼を広げて一気にジェシカの懐に入り込む!この一撃で勝負が決まる!折紙は両手に力を込め、最後の一撃を放とうと腕を振り抜く!!
「はあッ!」
―折紙はレイザーブレードを懐に入り込んだジェシカを目掛けて振り抜いた―――勝負は決した。体勢を崩されたジェシカに折紙の攻撃を防ぐ術はなかった。
しかし。
ズビィィィィィィィッ!!
ジェシカのベルトが眩い光を放つと、そのバックルから光線が放たれる!!
「が―――ハッ!?」
突如ジェシカのベルトから光の光線が放たれた光線は、折紙の鎧を貫き肉体を傷付けた。
折紙はその場で血を吐き出し、動きが止まる。それを見たジェシカは、ビームウェポンのビームを変え、折紙に照射!
今度のビームを見た折紙は、体中から危険という信号が出され、反射しようとはせず上空へと逃れた。
「ぐっ………そ、れはッ」
「はっ!ハハハハハハ!イイザマネ!こっちは赤龍帝を捕まえる装備で来ているのヨ?その装備をアナタ程度に使う予定は無かったケド」
今の折紙の武装の防御力は、CRユニットの防御随意領域とは比較にならないほど高い。それにも関わらず、ジェシカのベルトから放たれた光線は、それすら容易く貫くほどの威力を誇ったのだ。それを見たアルビオンは折紙に告げる。
『………恐らく「
そう………ジェシカのベルトは創造系の神器『
その能力は、各種族に特化した威力を誇る武装を自在に創り出す能力を有している。
あのベルトは龍殺しの力を有した光線銃を、ベルト内に内装した装備というわけだ。
「………くっ、ここに来て増援」
背後に無数の気配が現れ、折紙が振り返ると―――ウェストコットが寄越した舞台が折紙の背後に展開されていた。バンダースナッチと三人の魔術師―――いずれもウェストコットを守護する精鋭だ。
「ハッ、ハハッ!形勢逆転ネ―――………私にハジを欠かせタ代償は高くツクワ。タダで済むと思うなヨ」
ジェシカは、口の端を釣り上げ不気味な笑みを浮かべると―――ビームウェポンから放つビームを『龍殺し』の能力を有するものへと変更し、折紙に突き付けた。
―――◇◆◇―――
天宮スクエアセントラルステージには、一日日の出演者たちが勢揃いしていた。
皆緊張した面持ちで息を呑みながら、司会者の声を待っている。
それもそのはず。今は全てのステージ、および投票が終了し、上位校の発表が行われている最中なのである。
ステージ部門の第三位は、正義オススメの『仙城大附属高校』だ。士織ちゃんたちの一つ前に演奏を行った学校だ。
そして、次は第二位が発表される。ここにいる皆が気になっているのはここから先の発表だった。
先程まで拍手と歓声に包まれていた会場がふっと静かになる。
皆の脳裏には二つの高校の名前が浮かんでいたことだろう。
絶対王者として名高い竜胆寺女学院が誇る、トップアイドル•誘宵美九の圧巻のステージか。
はたまた、歌姫•園神凛袮を擁し、士織ちゃんが率いた来禅高校のステージか。
司会者がすうっと息を吸い込むと、司会者が声を上げた。
『第二位!僅かに及ばず―――来禅高校!』
「………ッ!」
―――昨年の来禅高校のステージ部門は四位。大躍進を果たした来禅高校の健闘を讃えて、会場からは割れんばかりの大歓声と拍手が巻き起こるが、士織ちゃんは思わず唇を噛み締め、天を仰いだ。
士織ちゃん同様に、十香と凛袮、さらには八舞ツインズもこの結果を受けて笑顔が消えていた。
「そ、そんな………」
「………悔しいな。分かってはいたけど、やっぱり―――」
特に十香は呆然と立ちつくし、凛袮は涙を堪えていた。二人とも全力を出し切った………それも、極度の緊張の中で練習以上のパフォーマンスを出したにも関わらず、負けてしまった事がなによりも悔しかったのだ。
そして―――興奮が冷め止まぬ中、ステージ部門の栄冠に輝いた高校が発表される!
「そして栄冠の第一位!やはり今年もその牙城は崩れない!!ステージ部門、一〇年連続制覇―――絶対王者•竜胆寺女学院!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
竜胆寺女学院は今年もステージ部門の制覇―――これで一〇年連続制覇という、素晴らしい偉業を成し遂げてしまうほどに。
その結果を受けて美九がニィッと口の端を釣り上げて、スキップしながら士織ちゃんに近づいてくる。
「ふふ、ふふふふー………」
美九ちゃんは非常に上機嫌である。それもそのはず―――自分の霊力を失わないどころか、士織ちゃんと彼女が霊力を封印した精霊たちというオマケまで、手中に収められるのだから。
「ほうら、だから言ったじゃないですかー。いくら群れたところで、人間は人間なんですよー」
美九は馴れ馴れしく士織ちゃんのあごをクイッと持ち上げる。それを見た士織ちゃんは悔しげに、キッ!と目を鋭くした。
「もう、怒らないでくださいよー。せっかくの綺麗なお顔が台無しですぅ。でぇもぉ、約束はやくそくですよぉ?今日から士織さんと士織さんが霊力を封印した精霊さん七人、みーんな私のものです」
「………」
「おやおや、だんまりですかぁ?んもー、士織さんのそんな姿を見たら、いじめたくなるじゃないですかぁ………でも心配ありません、みーんな私が可愛がって――――――」
士織ちゃんは美九の言葉を最後まで聞く事は叶わなかった。その理由は―――
「この結果、天央祭一日目の総合優勝は………初の栄冠おめでとう、来禅高校だああああああああ!!」
『うおおおおおおおっしゃああああああああ!!』
司会者がここまでで一番大きな声を張り上げて、総合優勝の高校を発表したからだ。これを聞いた来禅高校の生徒たちは、ある者はその場で飛び上がり、また別のものは周囲の人と抱き合い、涙を流して喜びを分かち合っていた。
「………へ?」
「―――良くやってくれた」
美九はこの結果を見て、信じられないと言わんばかりにキョトンと目を丸くした。
そんな美九とは対照的に、士織ちゃんは期待通りの仕事をやってくれた来禅高校の生徒及び、神奈月に深く感謝をした。
ここからは司会者による解説が始まる。
『いやぁ、今年は大波乱でしたね。しかし、今年の来禅高校は頭ひとつ抜けていましたね。模擬店部門、そして展示部門でも他を寄せ付けない圧倒的な票数を獲得し、二部門を制覇。特にメイド&執事カフェの接客と、モデルとなった少女を用意した展示作品「純白の女神」と「漆黒の女神」は、歴代の天央祭の中でもダントツの投票数でした。これを超える票数を獲得する出し物は、もはや未来永劫ないでしょうね』
「え………?え!?」
訳の分からないと言わんばかりに首を振る美九。解説はさらに続く。
『竜胆寺女学院は、ステージ部門こそ一位を取りましたが、今年は模擬店部門と展示部門が振るいませんでしたね。特に模擬店部門の方では、去年は完璧だった接客が今年は影を潜めていましたね。特に三年の模擬店部門からは、焦げた料理が出てきたり、客の顔面に料理を叩きつけたりと、それはもう散々だったと………苦情が来たとも報告を受けています』
この結果を聞いた士織ちゃんの顔は………ものすごく悪い顔をしていた。いつもの下品な笑みではなく、ドス黒い邪悪な笑みを浮かべて………それは、精霊たちのおっぱいを揉みしだく時以上に汚い絵だった。
「士道、お主まさか―――」
「確信。何か悪いことをしましたね?」
この汚い絵を見た八舞ツインズがいち早く士織ちゃんに噛み付いた。彼女たちはよく分かるのだ………自分達に必殺技のコンボを喰らわせる前と同じ顔を士織ちゃんがしていたから。
「失敬な!俺は何もしていないさ―――
士織ちゃん、八舞ツインズの噛みつきを一蹴!証拠不明な文句を付けるなと言わんばかりに堂々と胸を張る………ちなみにだが、士織ちゃんは思いっ切りズルをしている。
実は天央祭が始まる前から―――もっと言うなら、美九と勝負を受けたその時から、士道は仕掛けていた。
最初の一手は、神奈月に頼んで竜胆寺女学院に、ラタトスクの機関員をスパイとして潜り込ませた。
そして潜り込ませたスパイから情報を得ると、相手の戦力を削ぎ落とす作戦を考え、それを実行したのだ。
士道が狙ったのは、竜胆寺女学院の真骨頂でもある模擬店部門だ。圧倒的な美少女偏差値を誇り、接客も神レベル。去年は士道もその接客を受けるために、五往復するほど竜胆寺の模擬店に訪れていた。
この模擬店部門をどうにかしない限り、来禅高校に勝ちが転がり込んでくる事はないと………
しかし、店員の美少女の顔に傷をつける事も、出される料理に毒を盛ることは許されない。この二つをやると天央祭が中止になりかねないからだ。そこで士道は神レベルの接客を潰しにかかった。
ここでも士道は神奈月に頼んで、ラタトスクの機関員を工作員として潜り込ませ、竜胆寺女学院の模擬店部門で力を振るってもらった。
後は司会の解説の通りだ。工作員たちは士道と神奈月が協力して用意した、最低最悪の接客を余さず披露した結果、見事に竜胆寺の模擬店部門に悪評を立たせたというわけだ。
………飲食店での悪評を広めるのは容易い。それも天央祭のような人がたくさん集まる場所なら尚更だ。その悪評一つで、飲食店は致命傷になることを士道は良く分かっていた。
「神奈月さん大丈夫かな?あの人だろ、料理を顔面に叩きつけられたの』
『………あのド変態、相棒がそれを立案した時に「私にその役をやらせて下さい!」と即行で手を挙げたからな。その後に五河琴里に顔面キックを喰らっていたが』
ちなみにインカムからは、「あ、それは私です!いやぁ、あの叩きつけられたオムライスは、最高でしたね♪」とインカムから聴こえたのは、また別のお話だ。
………さて、解説はこの程度にしておこう。そしてこれから各校の代表者が前に出て行くのだが、美九はふらふらした足取りで歩いて行った。
「………ふざけないでください。何です、これ―――」
背後から、震えた美九の声が聞こえてきた。
「おかしいでしょう………?私が負ける訳ないじゃないですかー」
美九はフラフラとした足取りで、前方へと歩いて行った。背後から、震えた美九の声が聞こえてきた。
「私は―――誘宵美九なんですよ?私は………私は………ッ」
美九はこの現実が受け止められないようだ………自分はステージ部門で士織たちを圧倒した。ところが、総合優勝は何故か来禅高校のものになっていた。
「わ、私は勝ったもん………ちゃんとかったもん!そうです、あの子達が………あの子達がちゃんとしてないから―――」
「止めろ美九!お前は竜胆寺の天央祭の実行委員長だろ。その委員長が、敗因を生徒たちに押し付けるなんて、見苦しいだろ。美九、勝ったのは俺たちだ。だから、ちゃんと約束は守って――――――」
士織ちゃんが美九の間違いを正そうとした時だった。圧倒的に有利な条件で敗北を喫した事、そして士織ちゃんのお説教が―――美九のプライドを激しく傷付けた。美九から莫大な霊力の奔流が現れ、会場を吹き飛ばす勢いで解放される!!
「―――『
「ちぃッ!」
美九が霊力を周囲に迸らせると、美九の足元の空間に放射状の波紋が広がっていった。
さらに美九の声に呼応するように黄金色をベースにした巨大な金属塊のような物が姿を表した。
鈍重な本体から銀色の細長い円筒が何本も連なって生えた奇妙なフォルム―――聖堂に設えられている巨大なパイプオルガンを彷彿とさせた。
そのパイプオルガンが、顕現した際に、会場を揺らすほどの衝撃波が突き抜ける!
近くにいた司会者たちを守るために、士織ちゃんはその場で司会者たちを地面にしゃがませて、衝撃波をやり過ごした。
さらに、これだけでは終わらない!美九が右手を横にスライドさせると、輝くキーボードが現れた。そして―――人間たちを操る悪魔の旋律が響き渡る!!
「歌え、詠え、謳え―――『
「『
『まさか、ここまでやるとは………最悪の状況になってしまうぞ!』
美九がキーボードに触れると、背後のパイプオルガンからけたたましい音が会場にこだました。
あまりの音響に士織ちゃんは、『護星天』を顕現させて司会者とすぐ隣にいた十香を結界で覆う!
凛袮と八舞ツインズは、先程の衝撃波で吹き飛ばされてしまい、結界で覆う事は叶わなかった。
「ぐっ………クソッ!」
『流石の「護星天」でも音だけは防ぎようがないらしいな。いや、この小娘は、自分の声と天使の能力をミックスしているため、威力が桁違いに上がっているのやも知れん!』
………物理攻撃や、魔法攻撃には部類の強さを発揮する【輝壁】の結界も、音だけは例外なのか完全に勢いを殺す事はできず、士織ちゃん以外は全てその場で倒れ込んでしまった。
そして音が止むと―――会場中の人間が一斉に美九に忠誠を誓い下僕となってしまった。
会場中の人間が虚な表情で直立し、ゾンビのように静止していたからだ。
「美九、お前は―――」
「ふ………ふふ、ふふふふふふ!人間は壊れやすくていいですよねぇ。私の指先一つでどうにでもなっちゃうんです―――こんなふうに」
「なっ―――放せ」
美九が再び鍵盤を叩くと、結界の外にいた出演者の少女たちが士織ちゃんを拘束して来た。
拘束を振り解くのは容易い。だが士織ちゃんを拘束しているのは高校生、しかも女の子だ。
性転換銃での変身には一つ弱点があり、自身の肉体を維持する事ができない。よって、士道の身体の時とは違い緻密な霊力操作はできない………
うっかりで力加減を謝るとただの人間なら殺しかねない。それ故にもがく事しか許されないのだ。
「………もう約束なんて関係ないです。この世に私の思い通りにならない事なんて、あっちゃいけないんですからぁ」
「うっ………くッ!」
美九はカツカツと靴音を靡かせながら、士織ちゃんの服に人差し指でそのスレンダーな体を撫でるように指を這わせる。
「ふふっ、士織さんも、精霊さんも、みんな私のもので―――」
美九が熱っぽく語りながら、這わせていた指が士織ちゃんの下腹部に触れたところでピタリと止まった。
「………ん?………んん?」
ピンポン!ピポピポピポピポピポン!
美九は感触を確かめるように、士織ちゃんの下腹部を人差し指で連打!それは幼い子供が友達の家に来て、それを呼び出すために呼び出しベルを連打するように!
―――美九は人差し指の感触を疑った。女性なら、その感触は絶対にしない。しかし、士織ちゃんには確かにあるのだ、下腹部に不自然な突起が!!
「この感触はまさか………い、や、そんなはずは―――確認して下さい!」
「お、おい止めろ!それだけは―――ぎゃあああああああああ!!」
今度は竜胆寺女学院の生徒達が素早く士織ちゃんに駆け寄った。そして――――――士織ちゃんの穿いているショートパンツごとズリ下ろした!
その結果露わになるのは、士織ちゃんになり切れなかった士道くんの姿が!!
『うおおおおおおおん!!こんなの俺の癒し系アイドル、しおりんではない!』
「ドライグテメェッ!?いや、今はそんな事はどうでもいい!!美九―――美九さん、あの美九、さま………?」
士織ちゃんから士道くんが出てきたという、醜い絵を目の当たりにした相棒のドライグ先生に涙の大洪水が!!
この衝撃的な光景を目の当たりにした美九ちゃん、この世の終わりを見たように震え始めた。
「し、士織さん………あ、あなた………お、オオオオオオオト、コ………ッ!」
「み、美九!?落ち着け、落ち着くんだ!これには訳が――――――」
想像以上にショッキングな絵を見た美九ちゃん、顔の血が引けていく術を止めるよしはなかった。
―――士織ちゃんが弁明をしようとするが、時すでに遅し。
「うっきゃああああああああああああッ!!」
美九が悲鳴を上げると共に、鍵盤に触れると―――再び音の嵐が会場に吹き荒れる!!
そして、その演奏の途中で音の嵐を防御する士織ちゃんを目掛けて、会場の人間達が、ゆっくりと立ち上がる!
「くっ―――止む終えないかッ!」
『ううっ、ぐすん!Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』
これ以上は、隠し通さない事を悟った士織ちゃんは、赤いオーラを全身に纏わせ、女体化を解く!
さらに、禁手の鎧を纏って拳を握りしめる!そして、ドライグ先生は、士織ちゃんから、士道くんが出てきた事をまだ引きずっている!!
………大丈夫なのか、赤龍帝コンビ!?
「よくも………よくも、私を騙してくれましたね!!」
士道一人だけ逃げるなら容易い。しかし、会場には十香に八舞ツインズ。それから凛袮と掛け替えの無い仲間達がいる。
………それを残して自分だけ逃げるなど、士道にはできなかった。
故に残された道はただ一つ―――このまま美九を気絶させて、この場を乗り切ること………ただそれしか方法はなかった。
「美九………少し痛いが、我慢しろよッ!」
士道が神速を発動して、美九への距離を詰めようとしたその時だった。
ゴオオオオオオオッッ!!
「ぐっ………オオオオラッ!!」
突如死角から大気をも凍てつかせる氷のブレスが士道を目掛けて襲いかかる!
それを見た士道は、そのブレスを左手に霊力を集中させて受け止めると―――そのまま一気に霊力を高めて消失させたのだが………
「四糸乃―――どうして………」
声の方向に目を向けると………巨大なウサギ―――『
「お姉さまは、私が守ります!」
ドライグ先生の次回予告
ドライグ「何ということだ!相棒をずっと癒してきた精霊〈ハーミット〉こと、四糸乃が操られてしまった。いや、ハーミットだけでは無い!〈ベルセルク〉まで操られ、彼女たちは相棒を排除しようと天使を振るう!相棒は、操られた精霊達を前に、どう戦うのか!?
次回 デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜
十話「絶望への反抗!」
精霊を守りし帝王よ、冷静沈着であれ!英雄王にオラはなるってばよ!』
士織「ドライグ、せめてパクるにしても何か一作品にしてくれる!?それから、貴方は英雄王になりたいの!?」
ドライグ『おう!』
士織「ええええええええええええ!?」
☆おまけ
神奈月の竜胆寺女学院でのお仕事シーンです。
神奈月「何よここ!幼女が居ないじゃない!」
神奈月は竜胆寺女学院の三年生の模擬店部門に足を運んでいた。神奈月は、幼女を求めて来たのだ。しかし、店内に幼女の姿はない。
………高校三年生にもなって幼女を求めるこの男の頭の中は、果たしてどうなっているのやら。
店員「い、いらっしゃいませ………ご、ご注文は」(ドン引き)
神奈月「幼女の三人前をお願いします!」
店員「それは、当店ではご用意できません………」(うわ、キモ………○ねばいいのに)
神奈月「ちょっと!あんたら、幼女舐めてんの!?いい、幼女ってのは――――――」
店員「も、申し訳ございません!」(何なのよ、この人。見た目は外国の王子様みたいなのに、幼女幼女って………まさかロリコン!?)
ラタトスクの工作員「おまたせしました。クレーマーのあなたには、当店一押しの顔面オムライスです!」
店員がパイを顔面に叩きつけるように、神奈月の顔面にオムライスを叩き付けた!!
店員ドン引きの行為に、神奈月は親指を突き上げる!
神奈月「アッツウイ!イェーイ!最高のオムライスをありがとう!」
神奈月は大満足で店から出て行った。顔面についたオムライスは、一仕事終えた男への勲章のように顔面で輝いていた。