デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜   作:勇者の挑戦

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ちわっす!勇者の挑戦です。

本話は前回のあらすじは割愛させていただきます。

士道「おい作者!テメェ堂々とネタギレ宣言してんじゃねえ!」


十話 絶望への反抗

「………お姉さまは、私が守ります!」

 

体長一〇メートルはあろう巨大な雪兎に乗り、霊装を限定解除した四糸乃が士道に牙を向いた。

 

「四糸乃………すまない」

 

士道を映す四糸乃の瞳には、明確な敵意が宿っていた………美九のためにこの男を排除しようと。

四糸乃を守る事ができなかった事に、士道は拳を強く握りしめた。

 

そして、操られたのは四糸乃だけではなかった………突如士道の周囲を風の刃が吹き荒れる!!

 

「チッ―――」

 

突如吹き荒れた風の刃によって士道が纏う鎧の宝玉に傷が入る。それをやった正体は、先程まで気絶していた八舞ツインズだ。

八舞ツインズは、空を軽やかに舞いながら美九の前まで移動し、立ち塞がった。

 

「よもや、我らが姉上様を攻撃しようとは………」

「死守。夕弦と耶倶矢がいる限り、お姉様には指一本たりとも触れさせません」

 

四糸乃同様に八舞ツインズも霊装を限定解除している。どうやら美九の『声』には、力の大半を封印された彼女達では抗う事は不可能なようだ。

 

「ねぇ………これはなんなの?私、まだ夢の中………じゃない!」

 

先程まで気絶していた凛袮が頭を押さえながら起き上がって、瞳に現在の状況を視界にインプットした。

巨大なパイプオルガンを従える美九、濃密な風を纏う八舞ツインズ。そして………赤い龍を模した全身鎧を纏う士道といった、超常の力がオンパレードと化したステージに絶句した。

 

………一応自分の頬をつねるが痛みがある事で、夢ではない事を凛袮は分かってしまった。ひた隠しにしていた特殊災害生命体、精霊のことを知られてしまったのだ。

 

『これは最悪の状況になってしまったな。相棒、こうなった以上は止む終えまい―――「()()()」を使うべきではないのか?』

 

「いや、まだその時じゃない―――完全な霊装を纏っているならともかく、限定解除の段階ならどうにかなりそうだ………とりあえずは―――十香と凛袮の安全を確保する事が最優先だ」

 

士道は美九が暴走する事を考えて事前に二つの手を打っていた。一つ目の手を打とうとしたその時だった。美九がキーボードに手を触れる!

 

「士織さんは本当に人が悪いですねぇ………会場に私好みの精霊さんを連れて来てくれていたなんて!最高ですぅ!これであなたは用済みです―――さあ、やっちゃってください!」

 

美九が指示を出すと、四糸乃の天使氷結傀儡が氷のブレスを吐き散らし、八舞ツインズが風の矢を士道に放つ!

それを見た士道は、すかさず杖を呼び出しその真名を謳う!

 

「来やがれ―――『護星天(ミカエル)』ッ!!」

 

ドオオオオオオオンンッッ!!

 

士道が六華の天使、『護星天(ミカエル)』を呼び出すとそのまま地面に突き刺した。するとドーム状に光の防御膜―――結界が形成され、四糸乃と八舞ツインズが放った攻撃と正面衝突!!三つの天使が激突して煙が包まれる!!

その時に、十香と一緒に結界内部に押し込めた凛袮が、震える声で士道に訊ねる。

 

「………ねえ士道。一体何がどうなっているの!?それに、士道のその鎧は―――」

「今は説明している余裕は無い。ここを脱出できたら、ちゃんと説明するから」

 

士道がそう言うと、凛袮は渋々だが首を縦に振ってくれた。そして結界が維持されているうちに、士道はフラクシナスへと通信を入れる。

 

「琴里、今から天宮スクエアの天井にドデカイ風穴を開ける!十香と凛袮をフラクシナスで回収してくれ」

 

琴里なら、十香と凛袮が傷付く事を恐れてすぐに動いてくれる。士道は確信していた。

 

―――だが………

 

『はあ?なに言ってんのよ。お姉様に逆らった愚か者は、そこでミンチにされてなさいよ』

 

帰って来たのは、まさかの拒絶の返事だった。全く予想していなかった返事に士道は、頭の中に強い衝撃が走った。

 

「お前、俺はともかく十香や凛袮を放っておけって――――――」

 

『………聞こえなかったのかしら?ミンチがイヤなら蒸発させてあげるわ』

 

―――基礎顕現装置並列駆動。収束魔力砲『ミストルティン』魔力充填開始。目標『天宮スクエアセントラルステージ』

 

琴里は本気で美九に叛逆した士道たちを殺すつもりだ。精霊の霊装をも容易く傷付ける、フラクシナスの最強火力を誇る一撃が士道達に放たれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………くっ、みんな正気に戻るんだ」

「皆さん!何故私たちを拘束するんですか!?」

 

ラタトスクの解析官、村雨令音。それからクルーの椎崎雛子は他のクルー達によってフラクシナスの床へと羽交締めにされ、拘束されていた。

………皆が美九の『声』によって操られてしまったのである。

 

「司令!やっちゃって下さい!」

「美九様の世界に男は要らん!死んで然るべきなのだ!」

「美九様に逆らった者には、死の鉄槌を!」

「裁きの時です!美九様の無念を晴らしましょう!」

 

上から中津川、幹本、川越、箕輪の四人だ。司令の琴里を始めとした令音と椎崎以外のメンバーは、全員美九の『声』によって隷従させられている。

既にミストルティンの充填は完了している。後はコンソールの画面に表示されている『FIRE』と書かれたボタンを押せば………ミストルティンは天宮スクエアに放たれてきまう!!

 

「ぐっ………副司令!何をやっているのですか、司令を止めて下さい!」

 

他のクルー達は明らかに目の焦点が合ってはいない。しかし神奈月は四つん這いになりながら琴里を背中に乗せ、心底幸せそうな笑顔を浮かべている。

椎崎は、神奈月が操られていない事に賭けて声を上げた。

 

―――しかし………

 

「邪魔しないでいただきたい!ようやく見つけたここが私のユートピア」

 

「ふざけんじゃねーぞ、ドMロリコン!!正気なら死人を出そうとする司令を止めろや!」

 

「何を言っているのです、幼女以外は逝ってよし!」

 

「この外道が!!あんたを先に逝かせてやろうかコノヤロウ!」

 

帰って来た答えはまさかの拒絶の言葉だった。DEMの魔術師連中が出そうとしている死者を、琴里が肩代わりしようとしている状況をみても、この男は自らの理想郷に浸る事を選んだのだ。

 

………ちなみに、神奈月は美九ではなく幼女を最優先にしないあたり、正気でいるようだ。どうやら美九の『声』は、特殊な性癖を拗らせる者には効果がないらしい。

 

そして神奈月は、四つん這いの姿勢で琴里をコンソールまで運ぶと………琴里は悪魔のボタンへと手を伸ばす!

 

「ドォン!」

 

このボタンが押されれば、天宮スクエアは崩壊の危機に直面する!それが現実になれば死傷者の数は有に三桁を超えてしまう可能性がある!

 

「司令!やめて下さい!このままでは―――」

「………琴里、止めるんだ!」

 

羽交締めにされながらも、椎崎と令音が声を出す。しかし琴里は止まらない!無邪気な表情を崩す事なく、悪魔のボタンに指が届く――――――

 

ゴンッ!!

 

「あ………ぅっ」

 

フラクシナス内に鈍い打撃音が響き渡り、それと同時に昏倒する琴里の姿が。琴里の指が悪魔のボタンに触れるほんの数瞬前に、環境の扉が開かれそこから影が飛び出して来た。

 

飛び出して影の正体は少女だった。髪を二つに結わえ頭部にはヘッドドレスがあり、胸部はメイド服のままだが、スカートの部分は装飾の多いものへと変化している。さらには琴里を昏倒させたであろう右手に持つ歩兵銃には、血痕が有り、打撃音を轟かせた犯人としての証拠は十分だった。

 

「全く、これは一体どういうことなんですの?琴里さんが士道さんを殺そうとするなんて………とりあえずは気絶させましたが、よろしかったでしょうか?」

 

艦内に現れたのは、最悪の精霊『ナイトメア』の分身体のくるみんだ。先程までメイド喫茶で接客をしていた筈の彼女が、琴里の暴挙を未然に防いでくれたのだ。令音はくるみんに笑顔を見せながら首を縦に振った。

しかし、洗脳されたクルーの一人………川越が上着のポケットから銃を取り出しそれをくるみんに構える!

 

「おのれ、とうとう本性を見せたか〈ナイトメア〉ッ!」

 

「きひひひひひひひっ!ダァメ、ですわよ?」

 

川越が銃を構える本の少し前にくるみんは、狂ったような笑みを見せながら、短銃を顎に当てた。既に短銃の中には、ある能力が込められた弾丸がスタンバイしている。

川越が銃の引き金を引こうとしたその時だった。

 

パァン!

 

「うっ………ぐっ」

 

くるみんが短銃に仕込んだ弾丸を自身に打ち込むと―――川越の視界からくるみんが消えた。

そして視界から消えたくるみんが、川越の背後に回り込み手刀を首に直撃させて意識を奪った。そして、令音と椎崎を拘束していたクルー達も、くるみんは瞬く間に意識を奪い二人を解放してみせた。

 

「………すまない狂三、スーパープレーだよ。でも、どうして『フラクシナス』へ来てくれたんだい?」

 

令音が訊ねると、くるみんはすうっと息を吐き出しながら、霊装を完全に解除した。くるみんが元に戻った姿は、士道作の黒い女神の衣装だった。

 

「六華さんから、フラクシナスの様子を見て来て欲しいと頼まれたんですの。表彰式をメイドカフェのテレビから見ていた時に、セントラルステージの生徒達と同様に皆さんの様子がおかしくなったんですの。そして六華さんの言いつけ通りに来てみれば………大当たりでしたわ」

 

「………さすがは六華。シンに危機が迫るとなると、本当に抜け目がない。それでどうして狂三は正気を保てていたのかい?四糸乃に八舞姉妹は操られてしまっているのだが」

 

「美九さんが天使を発動したタイミングで、六華さんが私にコレを預けてくれたんですの。これが無ければ、今頃わたくしも操られていたかもしれませんわ………」

 

令音が質問をすると、くるみんは胸元から杖を取り出した。

………この杖は六華の天使『護星天(ミカエル)』だ。天使を顕現させている間は、六華は襲い来る状態異常を無効化できる。そしてその効果は、その天使を持つものにもその効果は付与される。

 

………その結果、くるみんは正気を保つ事ができたのだ。

 

「………それで狂三、肝心の六華の姿が見当たらないのだが………何処に行ったか分かるかい?」

 

「六華さんなら、士道さんの救出に向かいましたわ。フラクシナスの方をわたくしに任せて………わたくしと異なり、六華さんは完全な霊装を纏えますわ。六華さんと士道さんのコンビなら、四糸乃さんと八舞姉妹を同時に相手にしても、負ける事は無いと思いますの」

 

「………六華が向かっているなら、事は丸く収まるだろう。後はどうやって美九の好感度を上げるかだね」

 

くるみんの言葉を聞いた令音は、瞑目して首を縦に振った。六華の力は令音も良く知っている。士道が傷付く事に異常なほど敏感に反応する六華は、霊力の逆流頻度が極めて高い。

………最近では琴里や令音が、士道との夜の営みを妨害しようとするだけで、六華は完全な霊装を纏う程に。

 

そして………先程の琴里が鳴らしたけたたましいアラームで、怪獣が目を覚ました。

 

「ったくうっせーぞ!誰でやがりますか、人が気持良く眠っているところに、バカでかい警報鳴らした大馬鹿野郎は!!こちとら、兄様が仕掛けた隠しカメラの捜索で八時間しか眠ってねえんですよ!?真那は一四時間眠らねえと一〇〇%の力を発揮できなくなりやがります!!」

 

何処となく士道の―――失礼、士織ちゃんの面影を持つ少女がドシドシと不機嫌な様子で艦橋内へと足を踏み入れた。

この少女は士道の実妹を名乗る崇宮真那である。修学旅行中に琴里がDEM社から引き抜いた優秀な人材だ。

真那の睡眠事情を聞いたくるみんと、真那の後ろをついて歩く黄金の獅子は、盛大なため息を漏らす。

 

「真那さん、一四時間は寝過ぎですわよ?」

『我が君、一〇時間以上の睡眠はお体に障るという研究結果が出ております。この件に関しては私も〈ナイトメア〉に賛成せざるを得ないかと………』

 

この黄金の獅子は、六華がソロモンに預けた『獅子王の戦斧(レグルス•ネメア)』が黄金の獅子に化けたものだ。今では獣醒石の効力で力が安定し、獅子に化ける事も言葉を話す事も可能になったのだ。

 

「………真那、目覚めた所で悪いのだが、キミには一つ任務を与えたい」

 

令音が環境のモニターを天宮スクエアのステージの映像から、その上空の映像へと切り替える。それを見た真那は目を細めて、画面の映像から戦力の分析を始める。

 

「………あれはアデプタス5のジェシカとバンダースナッチ。それからアデプタス6、7、8。なるほど、とうとうDEMが本腰を入れて来やがりましたか。しかし、真那の兄様を拉致ろうとは………随分と舐めた真似をしてくれやがりますね。しかし、ジェシカと戦っている白い鎧、アレは一体?」

 

「あの白い鎧は、ASTの鳶一折紙だ。彼女が一人でDEMの戦力を食い止めてくれている。しかし、それも長くは持たないだろう………キミには鳶一折紙の救出をお願いしたい。それが済んだ後には六華と共にシンの救出に向かってくれないだろうか?」

 

「令音さんの頼みとあれば、断るわけにはいかねえですね。良いでしょう、手早く終わらせてやがります!」

『我が君、私もお供致します!』

 

「―――わたくしも行きますわ」

「狂三、待ってくれ」

 

真那はポケットから、CRユニットを内包したデバイスを取り出すとレグルスを連れて、そのまま環境を飛び出していった。

そしてその後をくるみんも追いかけようと艦橋の外へと向かおうとするが、くるみんの腕を令音が掴んで止める。

 

「村雨先生、なにをするんですの!?わたくしも士道さんを―――」

「………狂三、申し訳ないがキミは残ってくれ。クルー達に意識が戻っても美九の声による影響が残っている可能性がある。万が一そうなれば、私と椎崎だけでは彼らを抑えられない」

 

くるみんは令音の言葉を聞いて、思考を巡らせた。もし令音の言う通り、美九の『声』が意識が戻った後も続くとなると、またミストルティンをぶっ放すとなると、大勢の死者が出る事になる。正気を保てるのが、令音と椎崎だけでは恐らく、それを阻止する事は不可能であるからだ。

狂三は足を止めて、その場で脱力をする。

 

「分かり、ましたわ」

 

「………すまないね。四糸乃や八舞ツインズがいない以上は、頼れるのはキミだけだ。それから真那、睡眠時間が足りていないようなら、決して無理は―――」

 

「でぇじょうぶでやがります!ジェシカやそこの〈ナイトメア〉なら二割程度の力で処理できますので。なんなら、今からそこの〈ナイトメア〉の首を綺麗に落としてご覧に入れやがりましょうか?」

 

「ま、真那さん!あなた随分と物騒なことを言いますわね!?」

「………真那、笑えない冗談はやめてくれ。そんな事をすればシンが悲しむ。それに、真那がそのつもりなら()()()()の方も無しにするが?」

 

物騒なことを言う真那に、くるみんはその場で飛び上がった。くるみんと令音は、真那が新たに手にした力を知っている。それもくるみんの本体〈ナイトメア〉が手も足も出なかった、鎧を纏った士道と互角に戦えるレベルの強さに到達していることを。

くるみんの首を落とせば特別報酬が無しになる………それを聞いた真那は、嫌な汗を大量に噴き出しながら、乾いた笑みを浮かべる。

 

「じょ、冗談でやがりますよ。じゃあ、さっさと鳶一一曹の救援に向かいます!!」

 

真那は黄金の獅子を引き連れて天宮スクエアの上空を目指して飛んで行った。

 

「………村雨先生、真那さんへの特別報酬というのは、一体なんなんですの?」

「ん………ああ、シンの裸の写真さ。琴里が五河家のお風呂に隠しカメラを仕掛けていてね。真那と琴里はシンの裸の写真でよく語り合っているんだよ。ちなみにだが、その写真には私もお世話になっているよ」

 

「え………琴里さん、そんな事をしていたんですの?」

 

特別報酬の内容を聞いたくるみんは、思わず言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ………ああああっ!」

 

ズビィィィィィィィィィィッ!

 

DEMの魔術師の一人が放ったビームが折紙が展開した防御随意領域を貫通して、鎧に傷を入れる!さらに随意領域が貫通された部分から龍殺しのビームが入り込み、折紙の肉体を傷付けていく!!

 

………援軍で現れたDEMの魔術師達の武装は、随意領域を貫通する能力を持ったレールガン。これで折紙の随意領域を強引に貫通し、穴が空いたところにジェシカが龍殺しの能力を持つビームを撃ち込み、折紙にダメージを与える。

 

折紙がアルビオンの有する能力『反射』を使用したとしても、二〇体いるバンダースナッチが、ビームを一斉掃射して反射されたものを打ち消すという、完全な布陣が引かれ、折紙は防戦一方の状態へと追い込まれてしまった。

 

しかし、それでも折紙は諦めずになんとか突破口を見つけようと懸命にもがいている!!

 

『………マスター、鎧を纏っていられる時間は、もう五分とありません!このままでは―――』

 

「ここで私が逃げる事は、士道をDEMに渡す事と同じ。引き下がるという選択肢は無い!」

 

既に折紙の脳と肉体は限界を迎えていた。顕現装置を酷使すると脳にダメージが行く。さらに随意領域を貫通するレールガンと龍殺しのビームを何度も受け、満身創痍の状態だ。

そして相棒のアルビオンが、鎧を維持できるタイムリミットが迫っている事を告げる。この鎧を失ったら最後、折紙には逆転の可能性が完全に消失してしまうのだ。

 

「散々暴れてくれたけど、もうお終いヨ。私達の仕事も押しちゃってるし、このまま一気に落としてくれル!」

 

「くっ………士道」

 

ここに来て、さらにバンダースナッチの増援が来る………その数三〇。タイムリミットがある今、アルビオンの有する『反射』を使えば、鎧を維持する事は敵わない。

結局地上最強と呼ばれた二天龍の一角『白い龍』の力を使ったとしても、士道を守る事は叶わなずに終わってしまう!

 

「もっと私に………力が有れば………」

 

「ハ、はははははハ!とうとう念仏を唱え始めたカ!?さあ、死ねエエエエエエエエエッ!!」

 

ジェシカが指示を出し、最後の一斉掃射が始まろうとした数瞬前の事だった。

 

ドオオオオオオオオオッッ!!

 

一陣の衝撃波が風を切り裂いてバンダースナッチへと襲いかかったのだ。その衝撃波に飲まれたバンダースナッチは、爆発する間も無く粉微塵に切り裂かれて消滅してしまったのだ。

 

「何事ヤ―――」

「わ、分かりません!轟音と共にバンダースナッチが消失しました!」

 

「今、のは………」

 

バンダースナッチを除く誰もが、衝撃波が飛んで来た方向へと目を向けていた。その衝撃波を放ったであろう人物は、その数瞬後に折紙の目の前へと移動して、振り返った。

 

「………真那、なの?」

 

振り返ったその少女は、見た事もない蒼いCRユニットを纏った少女だった。その少女は崇宮真那。かつて時崎狂三との戦闘で重傷を負って以来、行方不明になっていた筈の少女が突如として現れたのだ。

 

「ええ………そうでやがりますよ。お久しぶりですね、鳶一一曹」

 

「なぜ………こんな所に?それに………その装備とその黄金の斧は?」

 

「細けーことは後です。まずは兄様の救出が最優先でしょう?」

 

折紙は真那の装備と両腕に持つ黄金の斧について尋ねたが、誤魔化されてしまった。

だが真那の言う通り、この場は士道の救出が最優先だ。真那は限界に達した折紙を見て言う。

 

「鳶一一曹。真那が来るまでよく耐えてくれやがりました。貴方がいなければ兄様達の天央祭の総合優勝は無かったかもしれねーです。此処からは私に任せてもらえねーでしょうか」

 

「………分かった。後は任せる―――アルビオン」

『はっ………』

 

折紙はアルビオンに命令して鎧を解除させた。そして真那は斧をジェシカに突き付けた。

 

「アデプタス3、なぜ私達に攻撃スル!?」

 

「ハッ、よく言いやがりましたねジェシカ………真那の兄様を拉致ろうとは、貴方もウェストコットのクズ野郎も随分と思い上がりましたね。既に私はDEMを辞めて今は、ラタトスクに鞍替えしたんですよ」

 

「怨敵へと寝返るとは血迷ったカ!?それも最強の魔術師•メイザース執行部長、雷極のアシュクラフトに続く貴方ガ―――」

 

「ハッ、私の身体を魔改造しやがった組織になんざ、居られるかってんですよ!あのクズ野郎に伝えてくだせー『退職金は貴様の首で勘弁してやる』と」

 

真那はラタトスク機関に加入した際、琴里から全てを聞かされた。自身に施された尋常ではない魔力処理のことを。兄の士道のことを、そして精霊のことを………それら全てを踏まえた上で、真那は戦おうとしているのだ。

 

「これから私はラタトスクの為………兄様のために戦います!」

 

真那は黄金の斧を振り回すと、身体の前へと持ってきた。

 

そして………『獅子王の戦斧』が今―――姿を変える!!

 

「『―――禁手化(バランス•ブレイク)ッッ!!』」

 

カッ―――ゴオオオオオオオッッ!!

 

真那が強く言葉を発すると、彼女を中心に凄まじい黄金の光の本流が迸り、その光は真那の身体に浸透して行く!!

………しばらくして光が収まると、真那の装備が大きく変化した。

 

まずは頭部を守るサークレットには、獣の角のような装飾が一際目立っており、さらに耳元は翼のような装飾でガッシリと守られている。

さらに首から下は黄金のプレートアーマーがその身体を包み込んでいた。その鎧の輝きは、第二の太陽が現れたように凄まじい光を放っていた。

そして背中には、この全身鎧の特徴とも言える、ペガサスのような一対二枚の翼が一際存在感を放っているのだ。

 

これが真那が手に入れた新たな力。真那は拳を突き出し、その真名を告げる。

 

「これが『獅子王の戦斧(レグルス•ネメア)』の禁手(バランス•ブレイカー)―――『獅子王の皇殻•天翼式(シャルベーシャ•レグルス•カイザーシェル)』。兄様との修行で顕現させたこの力、その身に刻み込んでやります!」

 

 

 




解説です。

『獅子王の皇殻•天翼式』
真那が士道との修行で顕現させた『獅子王の戦斧』の亜種の禁手。能力は飛び道具に対する耐性を与える事。そして、鎧の中に爪や斧、弓などの武装を内包しており、その武具の威力は大地を崩壊させる威力を誇る。

真那が更なる力を求めて、レグルスがそれに呼応して顕現した。獅子で有りながら翼を持った神『シャルベーシャ』を模倣したもの。獅子王の戦斧が持つ最強形態時『覇獣』時には、擬似神格を引き出す事も可能。

鎧のイメージは、聖闘士星矢のアイオロスの神聖衣がイメージです。

ドライグ先生の次回予告

ドライグ『相棒の妹崇宮真那が、全力の戦いを見せようとしていた。果たして崇宮真那は、かつての戦友達を相手にどのような血祭り………ではない、虐殺―――これでもない!戦いを見せるのか!?

次回デート•ア•ライブ 〜転生の赤龍帝〜

十一話 「最強の襲撃!」

精霊を守りし帝王よ、絶望を照らす光であれ!』

士道「お、今日はえらく真面目だな」

ドライグ『士織ちゃんがいないとボケる気にならないんだ。はぁ………士織ちゃん今度の出番はいつかな?』

士道「さぁて、真那の乳でも揉みに行くか―――もちろん籠手で!」

ドライグ『うおおおおおおおん!あんまりだああああああ!!』
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