ガンゲイルオンライン オルタナティブ ミリオンダラーオンボード 作:単細胞
頼みたいことがある。今日の夜、ガンゲイルオンライン日本サーバーの酒場に来てくれ。
ある日、俺は友人のケビンからメールが届いた。
しかもご丁寧にゲームのプロダクトコードが同封されていた。
何事かとゲームをインストールし、初期装備のまま俺は酒場へとやってきた訳である。
「ゴウ!急に呼び出して悪かったな・・・」
ザ・軍人といった格好の大男、がやってきた。
「ほんとだよ全く、やっと向こうでイベントが終わってゆっくり出来ると思ったのにこんなゲームに呼びやがって・・・」
俺は普段「グランドツアラー」というVRレースシミュレーションゲームをプレイしている。公式大会で何度も優勝していて向こうではそこそこ有名なプレイヤーだと自負している。
それにリアルでもアマチュアラリーの大会に出ている。
「それで、なんで俺をこんな所に連れてきたんだ?」
ガンゲイルオンライン、通称GGOはVRMMOFPS、そういったジャンルのゲームの中ではダントツの知名度で俺も名前は知っているがレースゲーしかしない俺にとっては全くの別世界であった。
「これを見てくれないか?」
「なになに、ミリオンダラー・・・オン・・・ボード?」
ケビンから渡されたパンフレットの表紙にはMillion Dollar Onboadの文字。この大会の名前だろう。
「通称MoB。今までの対人戦とは違って賞金の入ったアタッシュケースを奪い合ってゴールへと運ぶミッション型のイベントだ。」
「俺は運転手ってワケか?」
「そういう事、GGO内でも一応車両はあるけど移動位にしか使わないからな。お前ならカーチェイスなんて朝飯前だろう?」
「いや、俺がいつもやってるのはレースなんだが・・・」
「同じようなもんだろ?」
「全然違うわ、内容から察するにアレだろ?ワイルドスピードとかミッションインポッシブルみたいなことをするんだろ?」
「そうだ」
「お門違いだ。悪いが俺は力になれないし、もう遅いから俺は落ちる。」
そういって俺は席を立って酒場を後にしようとした。
「待ってくれ!ガンゲイルオンラインはリアルマネートレーディングができるんだ!100クレジット1円で現金に変えられるんだぞ!」
その言葉に俺の足は止まる。
「なんだって?」
「もし優勝したら賞金は山分けする予定だ」
ミリオンダラー、つまりゲーム内通貨で100Mクレジット。賞金をすべて現金に換算すると100万円が手に入るという事。
「俺たちはお前を入れて4人で参加する予定だから分け前は25万だ」
「それ本当か?」
俺は席に戻って来て座った。
「あぁ、本当だ」
タイヤとホイールをセットでもう4本買うか、それともラリーサスキットを入れるか?いやエンジンクレーンとスタンドを買って家でもオーバーホールができるようにするか・・・
頭の中で賞金の使い道を計算する。なんたって勝ったら25万だ。
そんな俺を見たケビンはニヤニヤしながら訪ねた。
「やってくれるか?」
「やれるだけ、な・・・」
俺は首を縦に振った。やったことのないゲームだが参加するだけならタダだ。
「よし、じゃぁ決まりだな!詳しい話はメンバーが集った時にするから来週の土曜の夜、俺たちの拠点に案内するから10時にログインしておいてくれ。ちなみにチーム名はデルタ・フォーだ」
「なんだそりゃ、絶対発音の響きだけで決めただろ?」
「カッコよけりゃなんでもいいんだよ、じゃぁ来週の土曜、開けておいてくれよな!俺はもう寝るから」
そう言い残してケビンは空中に表示されたメニューを操作してログアウトした。
酒場に一人取り残された俺。
周囲を見回すとプレイヤーは皆ミリタリーテイストな服装に皆腰や背中にライフルやショットガンを装備している。
「銃と鋼鉄の世界か。スピードとスリルの世界とは大違いだな・・・」
こうして俺のGGO生活が始まった。