ガンゲイルオンライン オルタナティブ ミリオンダラーオンボード   作:単細胞

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デルタ・フォーのメンバー

土曜日、俺はケビンに案内された基地へとやってきた。

 

「皆揃ってるな。ゴウ、早速だがチームのメンバーを紹介するぞ」

 

薄汚いガレージの中にケビンの他に2人、男と女が居た。

 

「男の方がDDで彼女はライだ」

 

男の方は彫りが深めの欧米人のような顔立ちでスポーツ刈り、ケビンほどムキムキではないが鍛えてはいるんだろうなといった印象だった。何よりケビンみたいに暑苦しくない。

 

女性の方はモデル並のスタイルの良さがまず目に入った。ブロンドの長髪で顔立ちは少し外国の血が入った日本人みたいなカンジ、ひと言で言い表すならばクールビューティといったところだろうか。

 

「ゴウです。よろしくお願いします」

 

俺は二人に軽く会釈する。

 

「あんたがケビンの言ってた男か?まぁよろしく頼むわ。別に敬語じゃなくて構わねぇぜ」

 

「GGOへようこそ。よろしくね、運転手さん」

 

二人ともフレンドリーな人で安心した。

 

「さて、顔合わせも済んだところでゴウ、お前の装備を決めないといけねぇんだが。お前のアビリティーを見せてくれないか?」

 

俺はプロフィールを見せた。

 

「どれどれ?これは・・・参ったな・・・」

 

DDとライも俺のプロフィールを見たが同じような表情だった。

 

プレイヤースキルはほかのゲームへ引き継ぐことができるのだが俺はレースゲーしかやってないせいでGGOで使える能力はほとんど初期値のままだった。

 

というか俺自身、向こうでも筋力の強化くらいしかやっていなかったのだが・・・

 

「パワステやブレーキ補助のない車を運転する為に筋力を鍛えたくらいだからなぁ」

 

つまり俺はこのGGO内ではペーペーだった。

 

「運が高いのはどうしてなの?」

 

ライに言われて俺の初めて気が付いた。ほんと、なんでだろうか。

 

「まぁ運転するくらいだし問題ないだろ。ドンパチの方は俺達で何とかするさ」

 

頼もしいなDDは・・・

 

「運転するにしても自分の身は自分で守ってもらうからな。取り敢えずこいつを撃ってみろ?」

 

ケビンから1丁のハンドガンを渡される。

 

「シグザウエル・P226。日本でも自衛隊が使っている銃だ。グリップも小さめで9ミリ弾だからお前でも扱えると思うぞ」

 

「これで人を撃つのか・・・意外と重いな」

 

俺はP226を受け取って見てみる。

 

引き金は俺でも分かる。ここを引くと撃てるんだよな・・・

 

なんかよくわからんボタンが付いてるし、それに9ミリとか言ってたけど小さいな、これで本当に殺せるのか?

 

突然3人が血相を変えて俺の腕を抑えた。

 

「お前ッ!銃口は覗くんじゃねぇ!あぶねぇだろうが・・・」

 

銃口を覗くという行為はやってはいけないらしい。

 

俺達は射撃場へと移動した。

 

そこで3人が俺に使い方、銃口管理、銃の種類、弾薬の種類、それぞれの特徴等、イロハのイから丁寧に教えてくれた。

 

「とまぁ、基本的なことはそれ位だ。分かったか?」

 

「なんとなく・・・」

 

一度に沢山教えられて頭がこんがらがりそうだ。

 

「取り敢えずあそこにある植木鉢を撃ってみろよ」

 

ケビンは30メートル程先に置かれた植木鉢を指さした。

 

「あぁ、分かった」

 

マガジンを差してスライドを引いて初弾を装填、足を少し開いて若干前傾姿勢、両手でしっかりとグリップを握り腕を真っすぐ前に・・・

 

教えられたことを一つ一つ確認しながら行う俺。

 

「DDやケビンをああやって教えたのを思い出すわね・・・」

 

ライが呟いた。この3人で一番プレイ歴が長いのは意外にもライだそうな。

 

しっかりと照準を合わせ引き金を引いた。

 

ドンッ!

 

銃声と共に衝撃が手首に伝わってきた。何が俺でも扱いやすい銃だ、1発撃つだけでも大変じゃねぇか・・・

 

植木鉢を見ると撃つ前と変わらぬ形で台の上に鎮座していた。どうやら外したらしい。

 

見かねたDDがやってくる。

 

「撃つ瞬間に目を瞑ったらだめだぜ、それに力みすぎだ。変に力を入れたら撃つ瞬間に銃口がブレて狙いが狂っちまう」

 

「なるほど・・・」

 

DDからのアドバイスを参考にしてもう1発、今度は命中したらしく植木鉢は破片を散らして台から落下した。

 

「その調子だ!」

 

「ナイスショット!意外とセンスあるんじゃないの?」

 

とライが拍手しながら言う。どうやら二人の教育方針は”褒めて伸ばす”のようだ。

 

それから俺はサブマシンガン、アサルトライフル、バトルライフル、スナイパーライフル、ショットガン、グレネードランチャーを一通り撃った。

 

休憩中、ふと思い出したかのようにライが訪ねた。

 

「そういえばゴウってレースゲームをやってるのよねぇ?」

 

「あぁ、中学の時からずっとな」

 

「どんな運転をするのか見てみたいんだけど?」

 

「確かに、運転手なんだから運転スキルは見ておかないとな。あのハンヴィーでこの辺を走り回ってみてくれよ」

 

とDDがさっき移動に使っていたハンヴィーを指さす。

 

こうして今度は俺の運転技術試験が始まった。俺がハンヴィーの運転席に座り、DDが助手席、ライが後部座席に収まる。

 

「ケビンは乗らないの?」

 

「いや、俺はいいや・・・」

 

冷や汗を流しながら断るケビンをみて二人が笑う。

 

「何怖がってるのよ?ジェットコースターじゃあるまいし」

 

「そうだぜ、たかが人員輸送用の4輪駆動車じゃねぇか」

 

「何を言われても俺は乗らねぇからな!」

 

頑なに拒否するケビン、前にリアルで横に乗けった時に峠を攻めてゲロったのがトラウマになってるらしいな・・・

 

「あんなチキン野郎はほっときましょう?ゴウ、出していいわよ」

 

ライはハンヴィーの扉を閉めた。

 

「じゃぁ行きますよ」

 

俺はアクセルを踏み込んだ。と同時に二人の顔色が急変した。

 

2トン超えの車重にしてはそこそこの加速だ、6リッターのディーゼルエンジンなだけあってトルクも悪くない。

 

軽く車体を左右に振ってみる。

 

「車重があるせいで姿勢を変えるときにラグがあるな・・・」

 

それに砂地であるが故タイヤがよく滑る。ブロックタイヤだからしっかりと前輪に加重を掛けてやらないと全然曲がってくれない。

 

「ゴウ・・・無理しなくてもいいんだぜ?」

 

DDが絞り出すように言った。

 

「いや、まだこの車の挙動を確認してるだけだ。今から少し飛ばすぞ・・・」

 

その言葉を聞いて二人は絶句した。と同時にケビンがあれだけ拒否していた理由も理解したようだ。

 

そんな二人には構わす、俺はさらにアクセルを踏む。

 

丁度岩がいい感じに点在している。ダートトライアルができそうだ。

 

一番近くの岩に向かって加速、岩の数メートル手前でフルブレーキ、ブレーキを小刻みに踏んで滑らないようにしながらターンイン、リヤタイヤを滑らせながらフロントバンパーと岩が触れるほどの距離で360度回ってほかの岩へ向かう。

 

「こんなのハンヴィーの動きじゃないわ・・・」

 

「クレイジーだ。頭のねじが吹っ飛んでやがる・・・」

 

唸るエンジン音のせいでで二人の声は届いていなかった。

 

走り回ること数分、満足した俺はケビンの元へと戻った。

 

中からDDとライがよろよろと出てくる。

 

「気持ち悪い・・・VRでも車酔いってするのね・・・」

 

「走馬灯が見えたんだが・・・」

 

地面に倒れこむ二人を見て今度はケビンが笑う。

 

「だから言ったろう?こいつの運転する車に乗るならジェットコースターに乗った方がマシなんだよ。それでゴウ、ハンヴィーはどうだったよ?」

 

「レーシングカーじゃないから仕方ないがサスペンションが柔らかすぎだ。それにディーゼルエンジンだから上まで回らんしロールは酷いし何より遅すぎる」

 

という俺の言葉に二人は魂を抜かれたような姿になっていた。

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