超常が当たり前のような世界があった
個性と呼ばれたそれは人類の総人口の8割を占めていた
超常渦巻く超人社会で一つの職業が脚光を浴びていた
ヒーロー
人を救う善行が職業として成り立っていた
ヒーロー=英雄か
いや英雄は生まれた時点で英雄となり運命付けられている
この世界において、俺は
ヒーロー≠英雄だと思う
持たざる者が駆け抜けた先には英雄たり得るとは思うが十二分それは「運命付けられている」と俺は考えている
象徴たる彼も、蒼穹たる彼女も
英雄は職業ではなくその在り方を指すものだと思う
彼女の手番
『白い幻想』と呼ばれた事件があった
白いドラゴンが突如舞い降りた
個性と呼ばれる超常があり『異形型』と呼ばれる個性でかつてはファンタジー上のような生き物の外見をした者も数多くいる中別段不思議ではない
しかしその竜はあまりにも美しかった
白く輝く皮膚は雪のような純白
巨大ながらも清廉、乙女のような華やかさをした白いドラゴン
『ホワイトドラゴン』と呼称され度々現れ彼女は巷をさわがせた
プロヒーローでもなくましてやヴィランでもない
『ヴィジランテ』にしては派手で目立っていた
巨大な個性を持つヴィランが現れた際に彗星の如く現れる
なぞの非公式ヒーローいやヒロイン『ホワイトドラゴン』として一般的に、認知されるのはさして時間は掛からなかった
突如、彼女の活動は終わる
『御伽噺』は成就されたととある時期にばったりと消えた
個性の無免許使用と非難されることはなかった
その、存在がファンタジーであるかのように
それが彼女の、物語
俺の手番
教室で授業が終わり頭をかきながら先程の返却された用紙を見ていると近付いてくるやつが1人
「瑪都~、……雄英いけそうか」
「なんとかな、模試A判定だったよ光」
「お、私が教えた甲斐があったな」
うんうんと俺の隣で緑色のポニーテールを揺らして頷く
「完璧超人のお前についていくのに必死だからなぁ」
「うむ、励めよ一緒に雄英にいくんだろ」
尊大な喋り方をする小柄な少女は身長は俺の胸元近くしかないため座っていてようやく目線が合う
しかし勝てない
まぁ、当たり前だ
現在の、ナンバーワンヒーロー『デク』の愛娘
緑谷光(みどりやひかる)
個性、重力制御
母親のお茶子さんと祖母の引子さんの個性が混ざったようだ
無重力と引き寄せる力掛け合わせ引力、斥力を自在に操る個性と昇華されている
個性因子とはよくわからんね
その力を自在に操り空中戦を得意とし剣道をたしなんでいる彼女は無刀流と称し個性使用許可区域で訓練してたりしている
既に同年代では敵なし
個性使用なしの廃れた剣道を知り合いに頼み込み自身を鍛えていた
これを超人と言わず何を言う
見た目麗しい少女で頭脳も明晰
同性にもファンクラブすらいるらしい
いやむしろ同性によりモテていた
「宝塚ってやつなら男役的にイケメン」らしい
「どうした?瑪都」きょとんとしているこいつは普通に可愛い女の子だがな、行動がイケメンなんだろ
何でもないとかぶりを振る
俺?
この完璧超人の幼馴染みをしている
白竜瑪都(はくりゅうめつ)
個性・ホワイトドラゴン
雄英志望のヒーロー志望だ
「相変わらず強面だなぁ瑪都」
「うっせ、帰るぞ光」
いつも変わらない幼馴染みに悪態をつきながら席より立つ
「今日、父が帰ってくるんでな早く帰らねば」
ふふんと嬉しそうに微かにある胸を反る
「へぇ、忙しいだろ出久さん」
「うむ、ナンバーワンヒーローは伊達ではないからな」
ナンバーワンヒーロー『デク』、かつてのナンバーワンヒーロー『オールマイト』の後継者と発表されたときは一悶着あったなぁ
けどそれを通せる実績もその時にはもうあった
今はもう立派な『平和の象徴』だった
隣の、光もそんな父を尊敬していた
「俺もナンバー2ヒーローみたくなるぜ」
「蒼穹ヒーロー『バハムート』かぁ……『永遠に蒼き空』なんて呼ばれてるな」
「俺と同じ竜化の個性だし、彼女が現れたら雲吹き飛ばして晴れるからな」
ナンバー2ヒーロー『蒼穹ヒーロー・バハムート』
蒼穹のような空色の竜に変化する個性を持つ『プロヒーロー』
『永遠に蒼き空』『蒼き幻想』と呼ばれている
あまりメディアに顔を出さない謎の女性
一度彼女の姿を直に見たことがあった
あまりにも鮮烈で凄かった…彼女の、姿が俺のオリジン
「ではな瑪都」
「ああ、また明日光…出久さんによろしく」
「うむ!」
隣の、家で帰る幼馴染みを見送る
ピロン
スマホがなる
『母・めっちゃんごめん卵買ってきて』
「早く言えって…もう家の前だぞ…………スーパーまで行くか」
我が家の玄関前でスマホがなるタイミングの悪さはあの母ならあり得る
間の悪いのは相変わらずだからな
踵を返しスーパーへ向かう
「…………日が落ちるのもはえーな」
季節は冬……雄英への、試験は間近
「受験生ぱしるとか何も考えてねぇなあの母親」
寒空の中愚痴を吐きながら歩を進める
まぁ根を詰めすぎたから息抜きにはいいかと自分に言い聞かせながら進む
歩き続けるにつれ違和感があった
人が少ない
大通りに繋ぐ道でいつもならそれなりに人が居るはず
「……夕食時とはいえ少ねぇな人」
周りを見て首を傾げる
なぜか噂話があったことを思い出す、光がはなしていた
「眉唾もんだろう……どっかのホームレスかヴィラン」
知ってるか?『きんぎんのおばけ』
は?『きんぎんのおばけ』だぁ?ヴィラン?
違うぞ都市伝説とやらだ
好きだねぇ女子……
「光がはなしてたなぁ……オチもくそもないがきんぎんのおばけみたいなのが時々見かけるだけってやつか」
そんな髪色した奴も居るだろう
異形型がいる世の中珍しくもない
公園の前を通る
今では遊具もない、廃れた広場
まぁ免許持ちがいれば届出出せば個性使用可能区域となるのでこういった公園は存在する
人気のない、公園に人影
「……………まじかよ」
金と銀が入り混じった長髪
身長と、後ろ姿から少女だった
その後ろ姿はひどく幻想的に見えた
その少女は、振り返る
「………見つけた」
稲妻が落ちたような衝撃が俺の全身を走った
金と銀が入り混じった長髪、金と銀の左右違いの瞳
目を奪われた
「………見つけた、白竜の君」
いつの間にかこっちに近付いて目の前にいた
「……私は……君を殺したい」
見とれていた彼女の唇からは俺への殺意が紡がれた
殺意を告白された白竜瑪都十五才……冬
ヒロアカものを書きたくなりました
もう一つももちろん進めます