頂きを夢見るイカ   作:オーレリア

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 書きたい部分しか書いてないために、内容が飛んでいたり雑だったりしていると思います。
 申し訳ないですが頑張って改善させたいので、何卒お付き合い下さい。

 
 後、今回インクリングならではのチートが御座います。


第7話

 八百万家に彩人が訪れてからしばらくして、彩人の『個性』の制御訓練が本格的に始まる事になった。

 

 まず、最初に行ったことは『個性』と身体の両方の精密検査からだった。

 現状、最初と比べて何処まで『個性』と体が成長しているのか見るためである。

 

 一応、彩人はトレーニングの毎日を過ごしていた間も『個性』の訓練は行っていた。これは、普段から意識して『個性』を使うことで体に慣れさせ、かつ突発的に若しくは感情的に『個性』を使ってしまわない様にするという意味が込められていた。

 

 今に至るまで彩人が行ってきた個性の訓練は、「インクの色の変更」と鳥墨家の巨大なプールへ「限界までインクを放出し、インクが出せなくなったらインクへ潜り補充する」を繰り返すの2つのみである。

 

 因みに流し込むインクは五分で揮発する橙色のみで行っていた。影響がなく、すぐに揮発する為インクが水槽に溜まる心配をせずに行えるというのが理由である。

 

 この訓練は、色の変更の速度上昇、インクの枯渇による限界突破で体に貯められるインク容量の増加の二つが目的だ。比較的危険が少なく短時間で指導せずとも行え、尚且つ本格的に『個性』の指導が行われる時、インクの絶対量が多い程練習量を増やせる為に行われたものだった。

 

 これ等を彩人はトレーニングの後に行っていた。基本的に体を鍛えるのがメインだったので、短時間で行えるのが両親にとっても都合が良かった。

 

 

 

 そして検査結果で分かったことは、色の変化時間が短くなっている事、インクの最大容量がかなりの勢いで増えている事。そして体の耐久性が上がっているのと、筋肉量に対して明らかに過剰な力を発揮できるようになっている。

 最後に各色のインクの質そのものが向上されているというのが判明した。

 

 

 識深教授は、色の変化速度とインク容量、インクの質はある程度予想がついていた。練習すればある程度は熟練度が上がるし、インクの枯渇という限界突破をかなりの短時間で何度も繰り返していたからだ。

 そして、インクの質は、体に溜め込まれるインクの量が増えることでより圧縮、濃縮され、インクの質そのものも向上した可能性がある。

 

 しかし、耐久性、力の増加は予想外だった。これは今度こそ他に増強系の個性に目覚めたのではないだろうかと思ったほどであった。

 しかし、少し考えて識深教授はある仮説を建てた。インクの容量が増し、それに加えて器たる肉体も内部のインクを圧縮するために内側から強化されたのではないだろうかと。

 彩人のインク容量は出会った時から自身の体積を大きく越えている。あながち間違いではないのではないだろうか?と識深教授は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 検査結果を見た、識深教授が大学にて烏墨彩人の『個性』のトレーニングメニューを調整している時、とある男性が研究室に訪ねてきていた。

 

 

「お前さんが自分から呼ぶとは珍しいな。用件も詳しく言わずに呼んでいたが何があった?誰か珍しい、面白い『個性』持ちでも担当することになったか?」

 

 男性の名前は戦大闘輔『せんだいとうすけ』、様々な『個性』で溢れ、(ヴィラン)やヒーローが『個性』を使った戦闘が増えた為に、出来た学問の一つ個性戦術学(こせいせんじゅつがく)を研究している教授である。

 

 内容は主に現在に至るまでに行われた、若しくは仮想の(ヴィラン)やヒーローの『個性』を使った戦闘を様々な状況で解析、シミュレーションし、研究すると言うものである。

 『個性』を研究するという関係上、戦術を確立した『個性』持ち、あるいはそれに近い者に悪用されるのを防ぐ為、情報を決して漏らさぬ様に非常に気を使っており、どんなに小さな研究者同士の情報交換、若しくは講義を行う際でも必ず守秘義務契約を徹底する。

 又、この学問に携わる研究者達は、内容が内容なだけに本当に信頼出来る者にだけ情報交換又は講義をする為に、横の繋がりが特に強い。

 

 

「来たか、確かにお前の予想通りだが、それについてお前にも協力を頼みたくて呼ばせてもらった。」

 

「お前がか?『個性』という分野においてはお前程の人物はそうはいまい。一体どんな個性だ?」

 

 戦大教授は、識深教授のその言葉に驚いた。同時に『個性学』の権威とも呼べる人物が自分に協力を申し込まなければならない程の『個性』とは何かと興味も湧いた。

 

 

「まず、先に守秘義務契約を結ぼう。まぁ、資料を見れば分かるがかなり複雑な『個性』だ。」

 

 識深教授は、そう言って戦大教授に守秘義務の契約書を渡した。これは彩人に関わった識深教授を含めた研究者全員に書かせたものとほぼ同じであった。

 戦大教授は慣れた様に契約書を流し読み、サインをした。

 

 そして渡された鳥墨彩人の『個性』『インクリング』が記載された資料をじっくりと読み、そのあまりの内容から目を見開き何回か読み返し、難しい顔をして識深教授に資料を返却した。

 

 

「…これは確かに複雑だ。一つ一つの効果は単純なものが多いが、問題はその数だ。本当に一個人の『個性』なのか?

 間違えて複数人の『個性』が一人の『個性』として登録されたと言われた方がまだ信じられるぞ」

 

「間違いなく個人の『個性』だ。私がこの目で見てきている。まぁ、そう思うのも無理もない、私も最初はそうだったからな。だが、だからこそあの子が『個性』を完全に制御した時、どうなるのかが楽しみでしょうがないんだ」

 

 戦大教授は、うーむと唸り、識深教授に尋ねた。

 

「それで?この子の『個性』を制御するのを私にも手伝えと言うことでいいのか?

 確かに、この『個性』全てを制御するのは生半可な訓練では難しいだろう。

 只、私も暇ではない、付きっきりで指導するというのは難しいのだが…」

 

「それについては基本的に、実際に見てもらってから私と同じ様に訓練内容を調整、若しくは決めてもらう際の指導をお願いしたい。

 私だけでは訓練に見落としがある可能性が有るからな。別の視点で見る事が出来る者が必要なんだ。

 それに、実践的な部分はこちらで何とかするつもりだ」

 

「成る程、それについては了解した。だが、それでも私に頼むということは只制御するだけではあるまい。

 この『個性』を持つ子供はヒーローでも目指しているとでも言うのか?それに少々その子に入れ込みすぎではないか?」

 

 戦大教授の言葉に識深教授は頷いた。そして、返答する際の識深教授の表情は優しげで、まるで孫を相手にしているような顔であった。

 

「あぁ、この子は確かにヒーローを目指している。だが只のヒーローではない。私達学者の知識を吸収した上でヒーローになりたいと言っていたのだ。

 それだけなら子供の戯れ言と切って捨てれば良かったのだがな…。だが、あの子は肉体面だけでなく、知識面でも教えた事を本当に全て吸収していったんだ。

 だから、他の学者達が色々と教え、甘やかしている様子を見て気付いたんだ。私はあの子に実の孫の様に絆されているとな」

 

 それにな、と識深教授はまた言葉を続けた。

 

「あの子の『個性』は明らかにヒーロー向けだ。資料を見たお前なら分かるだろ。

 あらゆる場所でもたどり着く事が出来、状況に応じて臨機応変に対応できる、正にヒーローになるべくして生まれたような『個性』だ。

 只戦闘力が高いだけじゃない、人を助けるのにこれ以上ない『個性』でもある。だが、全ては『個性』を制御出来る様になればの話だ。

 だからこそお前に協力を依頼したい。最高のヒーローを作るその一助になって欲しいんだ」

 

 

 年甲斐無く識深教授の熱弁を聞いた戦大教授は溜め息をつくと識深教授宥めるように、続いて楽しそうに答えた。

 

「識深、気持ちは分からないでもないが、少し興奮しすぎだ。私も協力するのはこちらとしても構わない。

 それに、資料を見る限りでは細かいところは解らないが、確かにこの子の指導をするのは面白そうだ」

 

 

 

 この様な経緯で、新たに戦大教授が加わった事で、『個性』の制御訓練だけでなく戦闘面でも彩人は指導を受ける事が出来る様になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彩人が身体トレーニングを行っている間に個性制御訓練が本格的に始まった時の事を考えて、烏墨甚兵衛と烏墨雨美は識深教授と相談した上で、専用の訓練場が一年以上の時間を掛けて造られていた。

 

 それは山をくり抜いて造られた巨大なダムの様な訓練場だった。

 巨大な柱の様な障害物が入り組んだエリアと敷地面積の大半が広く開けたエリアの二つがあり、各所に大量の水が放出出来る装置が設置されている。

 

 非常に大規模であるが、この訓練場は普段は彩人の訓練に使用し、使用しない時等は、ある程度の費用若しくは短時間の彩人への手解き又は指導を条件に、識深教授の門下生、若しくはヒーロー達に貸し出し、ある程度の負担を減らそうという考えがあった。

 

 

 

 そんな経緯で造られた訓練場で、彩人は『個性』の制御に苦戦していた。

 

 多岐にわたる種類と効果を持つ彩人の『個性』の制御訓練の内容は種類が多かったが、その中でも最も重視されたのが、「インクの放出量の強弱、収縮率の調整」と「それらを体の全ての部位で、尚且つ全ての色で行う」の二つだった。

 

 この二つの訓練に彩人は苦労していた。今までの訓練はオレンジのみで、かつ適当に手から放出するだけだった。その上ほとんどの色は放出する機会があまり無く、黒に至っては機会そのものがまず無かった。

 

 その為最初は、緑⇒白⇒青⇒赤⇒黄といった安全性の高い色の順で、これ等の訓練は行われた。

 但し、黒だけは最低でも放出量の強弱が一定に達しないと危険過ぎて使わせられないと判断された為、暫くは後回しにされた。

 

 

 そして、これ等の訓練の中で「放出量の強弱」に彩人は最も苦労していた。

 

 

ーーどうしよう、上手く行かない。暫く練習すれば少しずつ上手くなるけど、色を変えた後だとインクを出す感じも急に変わるから、変えたばかりだとどうしてもおかしくなる。

 

 彩人が苦戦していたのは色を変更した後の感覚の違いだった。

 彩人の出すインクは色毎に粘度が違うものが多い、例えば緑のインクで弱い出力から徐々に強めていくという訓練をし、続いて最も粘性の高い白で同じ事をしようとすると、最初は殆ど白のインクが出なくなるという事が何度も起こっている。青から赤に変更した際は粘度が殆ど同じなので上手くいっているのだが。

 

 

ーー収縮は少しずつホースの水みたいに、インクを出す部分を広くしたり狭くしたりする感じでちょっとずつだけど上手くいってる。

 手以外にもインクを出す練習もちょっとずつ手からずらせてる。でも、これだけは上手く行かない、どうしよう…?

 

 

 彩人は焦っていた。今までは練習を重ねていけば、いずれは上手く行っていた。しかし、今回は幾ら練習しても一向に上手く行ってると感じられない。

 

 実際は、ほんの少しであるが感覚の違いを理解しつつあるのだが、インクを変える度に感覚がリセットされるため、実感がひどく薄くなっていた。

 

 

 

 問題点は今だに多く、やらなくてはいけない事も多々あるが、少しずつ彩人の制御能力は向上している。

 

 そして、識深教授と戦大教授が協力や相談しつつ、インクを変える前に、変えた後のインクを触って感覚を思い出す手法等、色々工夫を凝らして克服しようとする日々が続いていった。

 

 

 




読了有り難う御座います。

ヒロインなのですが、恋愛自体あまり考えて無かったのですが、現時点で出せる原作キャラが八百万百のみでまだ話が進みます。ので、彼女がヒロインになる可能性は非常に高いです。
 八百万ファンの方申し訳御座いません。

 それと展開が非常に遅く、原作まで後数話程掛かりそうです。
 重ね重ね申し訳ありません。
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