FGO×REBORN 〜人類最後の希望達の物語〜 作:ただの名のないジャンプファン
「そうだぞ、俺もリングしか原因が思い当たらない。」
その場にいる全員の視線を集めたリングをツナは自分の目線に合わせてボンゴレリングを見た。
「そして、君の光が輝いた時にそれに呼応する様に君の炎の色も一気に綺麗になっていたよ。多分パワーアップはそれの影響だろうね。君の炎の色が澄んでいればいるほど力が増すようだ。う〜んますます興味深いね。」
ダ・ヴィンチは見たことの無い物への好奇心が隠しきれず、ツナの首からぶら下がっているボンゴレリングを持ち上げて覗き込むように見た。
「でも何で急に光り出すなんて」
リングが光り出すなんての怪談話もいいろところだ。普通ならそんな事は怒るわけがない。でもこれは普通のリングではない、血塗られた掟により闇の中にひっそりと継がれてきた伝説の代物である。
それにこのリングには色々な逸話がある。
以前にも似たようなことがあった。
「恐らくそれは光ったんじゃないと思うぞ。」
「え?」
「お前も見ただろ。XANXUSの氷を溶かす時にリングから死ぬ気の炎が灯ったのを」
リボーンに言われツナも思い出した。
そうだ、確かにあの時俺が死ぬ気の零地点突破で氷らせたXANXUSを部下のひとりが全てのリングから炎を灯して溶かしていた。
あの炎は何故リングから灯ったかは不明で、ツナは怖がってあれ以来リングを自分から持ち出そうとしなかったが、リボーンや一部のマフィア達は原因を調べていた所だった。
「お前は今回自分で炎をともすことでお前はまた一段落上に上がれた。」
「君の成長は後々大きな戦力になるかもしれないし、炎を灯すことを最初の段階として自分で灯すことでより炎の質を上げて大きな戦力になって欲しいんだ。」
「わかり...ました。やってみます。」
「話は決まったようだね。なら時間が無い早速訓練に入ろうか。」
「ロマニ、ダ・ウィンチ何処か訓練室みたいなものはねぇか?」
「あるよ。僕が案内するよダ・ウィンチはどうする?」
「私も同行しようこんなチャンスがないと死ぬ気の炎の事に触れることがないからね。」
リボーンや、案内してくれるロマニはともかくダ・ウィンチもついてくるようだ。
ダ・ウィンチの私室から出てしばらく歩く。ここカルデアは物凄い大きな施設だ、ランボがいたら秘密基地だーみたいなことを言って騒ぎだすんだろうな。そんな事を思ったら微笑ましくもありそして懐かしく感じてしまう。ついさっきまで俺の隣にいたのに。
沈んだツナを訝しげに見ているリボーン。何かを言うのかと思ったが何も言わずにただ長い廊下を四人で歩いて行った。
「ここだよ、っと何かな」
ついた途端にロマニに一報が入った。
「ごめん、僕はちょっと用事ができたから僕はここで席を離すよ。」
ロマニは返事も聞かずに走って何処かに行ってしまった。
ツナが茫然とロマニの背中を見ていたら、ダ・ウィンチがツナの背中をぐいぐいと押して部屋の中に入れた。
「さぁさ、早くしないと時間は刻一刻と過ぎていくものなんだから。」
「はい、わかりました。」
中に入ると一面ただ白く何も無い部屋に案内された。実際は小体育館ぐらいなのだろうが家具や置物何でもが一切ないために余計広く感じている。
「さてと、一応訓練室に連れてきたのはいいが、そこまで暴れる必要はなさそうなんだけどね。」
「まぁ、いいだろ。時間によっては戦闘訓練をするかもしれねぇしな。」
「さて、早速君の持つリングを見せてくれないか?」
「え、はい。」
ツナは自分の胸から下がっているボンゴレリングをダ・ヴィンチに渡した。
ダ・ヴィンチは細かい造形やほり
「ふむ、何度見ても不思議なものだな。こんな原石が存在していたなんて、天才の私も知りえないことがあるとはね。そういえば気になったんだけど」
「はい?」
「これって指輪なんだよね?何で指にはめないのさ。」
「え!?」
藪から棒に聞かれた。まぁ当たり前のことだが、これはペンダントでもネックレスでもない指輪である!
「え...とそれはその...だってその指輪何かと物騒だし、付けてたらマフィアのボスになっちゃうし」
ツナは普段ボンゴレリングを装着していない。指輪をはめずにリボーンにバレないようにどこかに隠している。
それがリボーンには一瞬でバレてしまい、逆にツナにバレずに首に付けられている。
「でも首にかけて落としでもしたら気づかないよね、戦闘中とか尚更、指にはめて君の武器で隠した方が色々といいんじゃないかな?」
「わ、わかりました。」
ツナは手に付け直す。
「さて修行開始だ。」
「っても、俺もリングから炎が出た光景何てリング争奪戦以外見たことねぇからな。」
「う〜ん、君が頭の炎を灯す条件ってなんなのさ。」
「死ぬ気状態になることか?あれは死ぬ直前に後悔しているからどうかだな。やれば良かったっていう思いが引き金だぞ。」
「なら、あの時君はあの戦いの時に何か後悔をしていたかい?」
「...後悔、俺がもっと強ければ少なくともあの後ろの人達に心配させる必要はなかったとは思ったかも知れません。」
「なら、その強さを求める事が引き金かもね。それでやってみてよ。」
「は、はい!」
ツナは手に力を込めてみる。
「う、う〜ん。」
「つかないみたいだね。」
「...」
ツナの目が曇り始めた。どこにもぶつけられないモヤモヤが心の中に詰まっていき、表情の半分焦りが含まれている。
「ツナ、一旦休憩するぞ。お前まだ起きて藤丸やマシュに会ってないんだろ?せっかくだ今の内に会ってこいこれから戦いを一緒にする仲間だ。」
リボーンはツナのそんな心情を見逃さない。今のツナにはどこかかけている部分がある。
「ちょ、リボーン。」
「っと、マシュ達はここを出た所のマスター室で一緒にいると思うよ。」
暫く、ツナに時間を与えるという判断にダ・ヴィンチは納得しきれていない。
確かにこの実験に今の所終わりを見られない。と言うより見えない。見えない答えに対してひとつの答えを創り出すのは天才である自分は乗り越えたもの、乗り越えたからこそ自分は世界が誇る天才と称されたのだ。
でも、沢田綱吉という人は大きくなれば名を残す可能性があるが今はまだ若すぎるもう少し経験を積ませて...というのが現実的だと考える。
「ちょ、リボーンいいのかい?確かにできる兆しこそ見えなかったが、それならばそれならばロマニと合流させてレイシフトの適性を検査して作戦に...君はこの作戦が一刻の猶予もないというのはわかっているのかい?」
「確かに、それはわかってる。だけどなツナならやってくれる。」
リボーンは足を止めて正面からダ・ヴィンチと話し始める。
「その根拠は?」
「おれは俺はあいつを信じるぞ。」
「信頼じゃない具体性を述べないと納得できない。」
ただでさえ焦らないといけない状況であるのに、根拠の無いものに委ねる事なんてできない。
「お前の分析のおかげでもしかしたらの所までは見えた。だからこそあいつは今見失っているものを再認識してもらわないといけない。あいつは今何で戦うのかを見失っている。」
「戦う理由?」
「仲間を失った現実と追いつかない現実離れに頭がいっぱいいっぱいになってるんだ。だからこそあいつは戦う理由を見失った。」
ツナは戦いが嫌いだ。臆病で弱腰で何より敵が目の前にいても拳を握ることさえできない。泣き虫で力も無くダメな人間で、同級生達からもしたに見られて付いたあだ名が「ダメツナ」、悪い所を挙げればきりがない。でもいいところ上げれば一言でまとめられる、彼のいい所は優しい所、1人のつらさ友達のありがたみを彼は本当の意味で知っている。だからこそ彼は人の為に仲間の為に拳を握る。
人の為に戦うツナに惹かれ彼の魅力に魅せられてついてきてる人もいる。
「あいつにはそれをしっかりと確認してもらわねぇとな。これからの戦いた備えて...」
「えっとここでいいのか?」
まだ施設内を理解しきれていないツナは職員に頼んで藤丸立香の部屋に連れてきてもらった。
ツナは少し息を整える。心臓の鼓動が少し早い結構緊張している。まだあまり知らない人とどうすればいいか緊張させる。
「えっと、入っていいのかな。」
要するに怖気づいている。
だが、それも一瞬の思考停止により消え去る。
何故ならば自分が開けようとしていた扉が違う人に開けられたのだから。
「あ!」
「え...えっと」
「起きていたのか、沢田くんで良かったっけ?」
「は、はい。」
「改めてよろしくな。」
「こちらこそお願いします。えっと立香さんとマシュでしたよね。」
「はい、マシュ・キリエライトです。沢田綱吉さん。」
「俺の事はツナでお願いします。あまりそういう風に呼ばれないのでこっちでお願い。」
「わかりましたツナさん。」
「改めてよろしくありがとう。俺達を助けてくれて。お前がいなければ俺もマシュも生きていたかどうか」
胸に掌を当てて感謝を乗せた言葉をツナに伝えた。
マシュの一輪の花のような笑顔にツナは思わず照れてしまう。
「まずは中に入って話しましょう。」
「粗茶ですが、どうぞ。」
「ありがとう」
マシュから渡された簡易コップに注がれたお茶をツナは飲んだ。
そういえば、飲み物や食べ物を口に入れたのは久しぶりな気がする。喉をうろ押してくれるお茶がとても美味しく感じた。
「何か久しぶりにお茶を飲んだ気がするなぁ、何かこう生き返ったって感じられる。」
「確かに、さっきまでは悠長に水分補給なんてしてられなかったしな。」
「突然の出来事に皆さんが驚き必死になっていましたから...本当にあの惨状から生きて帰ってこられたのですよね。」
「...」
「あの、マシュ達は聞いたの?その...ロマンさんから」
「聞きました。そして決めました。」
「私は戦います。」
「俺も戦う。俺のできることなら何でもやりたい...。君は?」
「...」
「どうしたの?」
「大丈夫ですか?顔色が優れませんが...」
「ごめん、ちょっと」
(震えている。)
「大丈夫?」
「ごめん...なさい。怖いんだ、俺がしないといけないのに、俺しかできないのに、もう俺しかいないのに体の恐怖がとれないんだ。」
「沢田さん。」
当たり前と言えば当たり前のこと、彼はまだ10とちょっとしか生きていない子供だ。
思春期に入ったばかりの彼はまだ親と一緒にいたい、友達と遊びたい。本来ならこんな場所に、普通ならあんな力を持っているわけもないし、必要も無い。
この反応は普通なのだ。戦いを望まず平穏を求める彼にマシュは何を、なんて声をかけてあげればいいかわからない。
「てい!」
だが、そんなツナの頭を軽くチョップをする藤丸
「いた、」
「何1人だけだって思っているんだよ。俺もマシュもいるだろ?なぁ君はなんの為に戦っているんだ?」
「俺は、仲間が誰かが傷つくのは嫌なんだ。」
こんな時いつも隣にいた人達に勇気づけられてきていた。ずっと大事にしていた友達達がいないのがこんなに不安だと、またあの時に...いや失った悲しみがさらに大きくのしかかってきた。
「なら、お願いがあるんだ。俺達を守ってくれ」
「え?」
「先輩...」
「俺は弱い、ついこの前まで普通の学生だったし、こんな世界があるのも、綱吉のような力を持っている人を見るのも初めてだった。だからこそ俺はまだ弱い、力もないマシュ達を守ることも俺にはできない。だから!君の力を俺達に貸してくれないか!!綱吉が俺たちを守り俺達は綱吉を支えるから」
希望を差し伸べす。
新たな仲間ができた瞬間だった。
無意識にその手を掴んでいた。そして何か戻ってきた瞬間、今ならできそうな気がする
〜sideリボーン〜
「あいつは自分のためなら小さじ分の勇気も出せねぇ男だ。」
「開口一番に自分の生徒の悪口かい?趣味が悪いよ。」
「仕方ねぇだろ本当のことなんだから。」
「まぁまぁ、口が辛いのは君もだよ。」
「ロマニは同類ができて嬉しいのかい?」
「あれ!?流れ弾がこちらにも!」
「そんなあいつが今まで戦ってこれたのは、あいつの隣に誰かがいてくれたからだ。最初は1人だったからこそ出来てくれた友達を人一倍大切にして守ろうとして戦ってきていた。あいつには再認識をしっかりやってもらわねぇとな。あいつにはここにも守りたいと思う奴はいるってことを、そして守ってくれる奴らがいるってことを」
「何か...いいねそういうのは」
(俺はこの人たちを守りたい。この人達の期待に、力になりたい)
ツナの心の望みを覚悟と捉えたリングは意思を汲み取った。
「うわ、何だ!燃えてるぞ。」
「灯った。」
「綺麗...です。」
(そうか、このリングが求めていたのは、戦う意味じゃない、自分が何のために戦うのか、その覚悟を知りたかったんだ。)
「ありがとう、二人共...俺は君達を...俺の世界を取り戻すために、そして貴方達を守る為に為にこの戦いをするよ。」