FGO×REBORN 〜人類最後の希望達の物語〜 作:ただの名のないジャンプファン
「竜の魔女その子を離しなさい!」
「はぁ」
「なぜ?なぜなのです。なぜ貴女は人を殺すのですか」
例え彼女が私の一面なのなら、確かに私は人を殺します。
それが、主のお告げならば人を救うためにそれが必要と言うなら私は血に身を浸らせましょう。
その行いに善を問わない。
その行いに悪と決めつけない。
私は私が望むから殺した。主の啓示に従った行動でも、その行いは誇れる行いではない、だが決して否定していいわけでもない。
だから私が今までしてきたことはただの殺人だった。
だからあの時も、最後を迎える時でも私には後悔も後ろめたい気持ちもなかった。
それは、当然のことだから
自分のしてきたことの報いだから私には
「当然、彼らが私を見棄てたからです」
彼女の言葉を聞いた時私の中で何かがざわついた。
何だこの気持ちは彼女に対して私の何かが反応している。
「!?」
「貴女も私ならわかるでしょ」
初めて見た。自分はあのように笑うのか、あの笑顔には侮蔑と嘲笑で固められてそれに伴う快感を味わっているのだ。
彼女のそれは私もしたことがあるのか。
「もう一度といます貴女が私と言うのなら、貴女はなぜ蛮行を楽しんでいるのですか」
「愚問!」
竜の魔女は力強く吐き捨てる。
「貴女本当に私なの?私ならその身に刻まれているでしょう憎しみの断片が敵も味方も全てから見捨てられた憐れな女の末路が」
彼女の言うそれは確かに私にもある。
だけど彼女のいう事が理解できなかった。
彼女の言葉には嘘はないのだろう。
でもだからこそ私にはわからない。
「あぁ、その全てが私へ囁くのです。蹂躙しなさい、奪え犯せ踏みにじれ、そして殺してと」
彼女は身を両手で包み込みその体からあふれんばかりの憎しみを抑え込んでいるように見えた。
ジャンヌはそんな彼女を苦々しく見る。
「憎しみ、恨み貴女のそれはあなたのものなんだろう。でも私には」
イングランドに捕まり牢に閉じ込められた時も、魔女と糾弾されながら私を陥れようとするために設けられたあの場でも、取引に応じず私を切り捨てる判断をしたシャルル皇太子を思い浮かんでも、それを受け入れた国民達、火刑に処される時最後まで石を投げた彼らを思い出しても私の心は変わらない。
彼らに恨みはない。
そのはずだ。
そのはずなんだ。
なのに、私の心に覆うモヤっとした気持ちはなんだ?
「成程、要は貴女残りカスね。貴女を形成しているのは私が侮蔑したもの全てみたいね」
私は知らないだけかもしれない。
私には本当はあったのかもしれない。怒りも恨みも、殺意を抱きあの最後の瞬間を見ていたのかもしれない。
今の私は英霊の座からこぼれ落ちた抜け殻のようなサーヴァント、強い怒りや殺意への執着からこぼれ落ち私は召喚されたのか?
そう苦心するジャンヌを見下ろしながらこう思った。
反吐が出る。
お人好しにも程がある。
優しさ?善意?下らない。
そのようなもの既にこの心に宿す憎しみによって生まれた獣にくれてやった。
なぜ救わなければならない。
なぜ彼女は今も旗を振っているのか?
苦しむ民衆を見たからか?
虐げる竜が跋扈するこのフランスに過去のフランスでも重ねたか?
それとも神のお告げか?
どの理由にしても
「さぁ、お話は終わりです。私に従う全てのサーヴァントよあの醜い聖女を殺してしまいなさい!」
ランサー、アサシンそしてセイバーとライダーは殺気を放つ。
流石はサーヴァント身が凍える殺気は一級品の物ジャンヌは耐えられるが、私の側にいる藤丸と戦闘経験の少ないマシュはこの殺気に完全に飲まれていた。
これじゃあ危ない。
だが幸いにも、彼らの敵意はジャンヌに向いている。
固唾をのんで私はこの状況を幸いに思う。
私に変えはいてもマスターに変えはいない。
「藤丸」
「は、はい」
「ここは私が囮になるので、隙ができたらお二人であの子助け出して下さい」
私が彼らの前に立つ。
彼らにはまだ早すぎた。
サーヴァントは魔術師にとって使い魔に分類される。魔術師の多くは自分達の力の結晶であり、サーヴァントのブレーキにもある令呪が備わるから彼らの認識ではほんの便利なただの飼い犬と思う輩もいる。だがサーヴァントは生前人類史に名を刻んだ偉大な先達者なのだ。
歴の差がある。
この2人、藤丸はただの巻き込まれた一般人のようなものだ。
魔術師ですらないんだ彼は、まだ十と少しの若輩で非日常から切り離された平穏を謳歌していた男の子。
優しい目をして、温かい心を持ちまだ汚れを知らないその手をせめて私が守る。
私は後ろを振り向くことなく、竜の魔女のサーヴァントと迎え撃つ。
「!?」
ルーラー本来の力を使う事ができればサーヴァント複数にも引けをとらないはずだが、やはり力が上手く入らない。
ランサーが大きく槍を振るう。
ジャンヌは自分の旗で受け止め薙ぎ払う。ギリギリと押し合う最中私は必死に押し返そうとしているけど、ランサーは獰猛な笑みで私を見下ろす。
これがランサーの一振り、ここまで差があるのか。
私は押し返すのが難しいと判断した瞬間敢えて吹っ飛ばされて距離をとる。
そして今度は私から攻め込んだ。
パワーで負けているのならこちらは手数で勝負する。
私は自分の持つ旗でランサーの槍と打ち合った。
大きく右から振り下ろして流れるように私は次の動作に入り今度は旗の尖端で突く。
突きこそパワーよりもスピードでこそ威力がのる。
だけどそれもランサーは紙一重で躱していく。
パワー任せではない。
狂気に満ちたその瞳でも、彼が持っていると思える冷静な部分は何一つなくなってはいないんだろう。
私がランサーと打ち合っているその隙にアサシンとセイバーがジャンヌの懐に紛れ込む。
厄介だ。
このサーヴァント達見た所連携はそこまで洗練されていない。
ただ私を殺すと言う命の上彼らの動きは纏められていた。
一見嚙み合わないチームと思ってたがそんなことはなかった。
まだ、連携意識を持っていた方が乱れが生まれるのだが、彼らにはその意識はない。だからこそ単独に確実にジャンヌの命を狙っている。百戦の猛者である彼らはそちらの方が手ごわい。
ジャンヌは何とか彼らの鋭い攻撃をいなしていく。
ランサーと同じで重く鋭い一撃だが、ジャンヌは今度は防御に徹するつもりのようだ。
防御に徹していればしのぐことは可能。
その間もう一度隙を伺う。
ここで一つつけいる隙のある可能性について語ろう。
サーヴァントにも種類がある。
基本的にクラスで彼らは別けられているが、そのクラスの基準は伝説や逸話によって決まる。例えばセイバー、セイバーに別けられるのは忠義に生きた騎士がセイバーと分けられるアーチャーなら弓兵だった者、ランサーなら槍の名手、ここまでサーヴァント達は確かに武勇で名を刻んでいるが、アサシンやライダーは違う。
例えばライダー、ライダーは騎乗の名手戦場を駆けまわった馬やそれこそペガサスや竜と言った普通とは違う動物と心を通わし伝説になった者が別けられるクラスだ。
アサシンは暗殺者、その磨き上げた殺しのスキルを武器として戦うサーヴァント達。隠密行動が得意な彼らは気配遮断スキルを駆使して戦場で戦う。
一見この二つのクラスも厄介だとは思う。だがライダーには騎乗する動物が力の源であり、アサシンは奇襲が基本的な戦い方。なので本人自体はセイバーやアーチャーたちよりも戦闘力が低い事が多い。
付け入る隙があるとするならこの二機だ。この二機どちらかを崩して態勢に穴をあける。
ここで惜しいのがジャンヌにはルーラーとしての力が全くない備わっていないことだ。
本来ルーラーには真名看破という、サーヴァントの真名を姿を見るだけでわかるスキルがある。
だけど今の自分にはそれすらできない。
真名を知る事だができれば、より詳細に相手の事を知ることができるのだが、でもない物は仕方がない。自分も目で見たものだけで、判断するとしよう。
虚を突くならアサシンかライダーにするべきだ。
更に絞るなら、アサシンに虚をつくのは難しい。アサシンこそが虚をつくスペシャリストなのだ。
今目の前のアサシンは錫杖のような武器を所持しているが、あれがメインと言うわけではないだろう。
アサシンは寧ろ見えない部分を警戒しないといけない。不安要素の塊、それならライダー騎乗する動物を霊体化させているのだろうが理由の想像はつく。
大方足並みが崩れる可能性が一番高いからだろう。
馬もしくはチャリオットなどでも、そんなものがこの戦場を走っていたら、統率意識のないあちらからしたらそれが暴れた結果は予測できないのだろう。
だからこそ、取っているまだ先にとっておきの切り札として。
だがジャンヌからしたらありがたい。虚をつき撤退させる腹積もりの自分からしたら出し惜しんでいる今のうちにしかできない。
「はぁぁ!」
ジャンヌは地面を蹴り上げて勢いをつけてライダーを弾き飛ばす。
やや乱暴な力技だが上手く引き剥がすことができた。
そこからジャンヌは周りに気を配りながらライダーに集中攻撃をする。
武器と武器がぶつかり合う重低音。
ジャンヌは歯を食いしばって押し込もうとするがライダーは表情一つ変えないで受け止ている。
(これは)
不自然を感じる。
圧しきれない。寧ろこちらが押されてきている。
ジャンヌは両手で旗を掴み更に力を加えるが、いつの間にか立場が逆転している。このままではジャンヌの方が惜し負けてしまいそうだ。
おかしい、幾ら力の殆どが失われている身とはいえそれでもここまでの差があるとは思えない。
それと相まみえて気が付いた竜の魔女が従えるサーヴァントの様子。余りにも静か、別に戦場でこそ普段以上に冷静になる者はいるだろう。だが、目の前にいるライダーはまるで表情が壊れているかのようだった。
「っあ!?」
力技では危ないと判断したジャンヌは、相手の力を利用して攻撃をいなした。
長い旗を上手く持ち替えればライダーの攻撃は簡単に流れてくれる。
ジャンヌの想定していたよりも彼らはとても厄介だ。あの不自然は雰囲気とこのパワーやはり情報が少ない。
もう少し頭の中を整理したい。
だがそんな時間を彼らがくれるわけがない。
とまらない追撃がジャンヌを窮地に追いやる。
「これは」
ジャンヌの立っていた地面に突如鉄の刃が左右人の影のように浮かび上がっていた。
これはアイアンメイデン、拷問器具の一種だ。
どうやらアサシンが操っているみたいだ。
ジャンヌは挟もうとするメイデンに旗を突き立てつっかえ棒にする。
メイデンは無理やり挟み込もうとするが、ジャンヌの旗は全く折れずにせき止められジャンヌはその間に飛び上がり今度はアサシンに飛び蹴りをした。
「はぁぁ!」
飛び蹴りは錫杖で防がれたが上手く間合いに入ることができた。
これなら肉弾戦に持ち込むことができる。
ジャンヌは着地と同時に掌底をアサシンの腹に叩き込んだ。
「どうですか!」
掌に伝わる肉の感触、これは入った。
アサシンはすぐさま錫杖を振り下ろすがジャンヌはそれを紙一重で避ける。
この行動、この間合いで大きく振りかぶった攻撃、このアサシンは肉弾戦がそこまで得意ではないタイプのサーヴァントだ。
このサーヴァントの隠し玉も見せてもらった。
突如発生するメイデン一見厄介だが、警戒していれば対処はできる。
空いた隙をジャンヌは見逃さない。顎を殴りつけさらに
「そこです!」
がら空きな胴を蹴りこむ
アサシンは自分の錫杖を支えに踏ん張りをきかす。
初めてまともにダメージを入れることができた。
アサシンなら今の自分でも何と拮抗できそうだと、そう思った時地面をえぐるように無数の杭が発生して明らかジャンヌの方に向かってきている。
アサシンをここで逃がしたくないという判断が一瞬ジャンヌをこの場に足を止めさせてしまった。
これは悪手だ。
音には先に気がついていた。欲を言ってしまった、アサシンにもう一撃をたたき込めるそれが頭をよぎった時点で回避行動に移っておけばこの攻撃は躱すことができただろう。
完全な判断ミスのせいでジャンヌは避けきることも出来なかった。
杭がジャンヌの足を貫く。
それと同時に見えない速度で迫ってきた何かジャンヌは突き飛ばされる。
「そんな!」
(今のはセイバー、先程の杭はランサーの宝具)
ジャンヌは吹っ飛ばされて地面に転がる。頑丈な体といえど正面からセイバーの攻撃を受けてしまうとそれなりのダメージだ。
「あう!っうう」
ジャンヌは痛みの強い腹部を抑える。
セイバーに攻撃された箇所だ。足もそうだが上手く突かれた。
多分アサシンは囮だったんだろう、だからこそ攻撃を敢えて受けてジャンヌを誘い込みランサーとセイバーから意識を遠ざけた。
連携をとっていないと早合点したジャンヌのミスだ。
そしてそれと同時に気がついた、アサシンランサーそしてセイバー彼らには後一機サーヴァントがいる。
「ライダー!」
一瞬早くこちらに向かっているライダーに気がつくことが出来たジャンヌはすぐに迎撃できる態勢をとり、振り下ろされるライダーの拳とジャンヌの拳はぶつかり合う。
「はぁぁ!」
譲らない力と力のぶつかり合い。
それは空気に伝わり、その緊迫感は藤丸とマシュまで伝わる。
〜side藤丸〜
初めて見たのはつい最近のこと。
あの時は無我夢中だった。
腹を燃やす灼熱の空気に血なまぐさい悪臭が漂う戦場。
俺は、そこで見ていることしかできなかった。
傷ついた少女と自分よりも年下の少年が戦う姿を。
俺は何もできなかった。
俺に出来ることは無かったのだ。
そこ立っていたのも偶然、誰かに望まれたわけでもましてや自分が望んだ訳でもない。
自分しかいないからそこに足を運んだ。
自分しかいないから今ここにいる。
全ては偶然、仕組まれてたかのように無力な俺は今ここにいる。
今だってそうだ。誰かの背中に守られて俺は歯を食いしばっている。
情けない。
情けない。
何よりそれでも自分を動かそうとしない俺が情けない。
覚悟を決めたのに、みんなを助けるとそのために戦うと決めたのに俺には何もできな『藤丸立香!』
「!?」
『いつまで下向いてりゃ気が済むんだお前は』
「この声はリボーン」
声しか聞こえない彼方からの言葉には怒りが篭っていた。
『情けない背中を見せてんじゃねぇ、まだ戦いは終わってねぇんだぞ』
「そうだけど」
『わかってるなら下を向くな前を見ろ、戦場て下を向くのは諦めの証だ。自分の命を差し出してるのと同義だぞ』
「俺だってできることなら前を見たいけど前を見ているのが辛い」
鼓舞するのがきつい。
何か出来ると慰めるのが辛い。
だって現実は何も変わらないのだから。
「藤丸、お前自分がなにかしたところでって思ってるのか?そう思ってるなら違うぞ」
「え?」
「いいか、何も出来ない人間ってのは何もしない人間だ。力がねぇとかそんなん関係ねぇんだ、力がなくたって行動はできるその結果は誰にもわかなんねぇだからこそこの世には奇跡って言葉があるんだ。何をできない無力な人間が起こした事があるからこの言葉がある」
奇跡、救われた結果に与えられる言葉。
誰も信じてない、誰も予想していないだけど起こりうる可能性1%の出来事
「そいつを引き起こせるのは誰にだって出来る。だが条件はある諦めないことだ下を向かず、足を止めずに考えることを放棄しない。」
お前にはやれるか?
ではまた次回。