After The BLEACH 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
先ず、ここまで読んでくださりありがとうございます。
10話までこの比較的読みづらい物語を読んで下さり、本当にありがとうございます。
自分でも割と気になる点は幾つかあるんですが、設定の関係上、書ける内容が凄く断片的になってしまうのは仕方が無いのです。
そこで、感想にてお聞きくだされば、ある程度答える所存であります。
まえがきはここで一旦終了させて頂きますが、後書きにて予想される質問の答えをします。
それでは、11話、よろしくお願い致します。
「一勇、苺花をどうするつもりだ」
「どうするも何も、これから起こることを苺花に見られたくないからですよ」
眉間にシワを寄せるチャド。
その様子から、一勇は一つ質問をする。
「チャドさん、親父から俺らを見極めてくれ、的なことを言われたんですよね?」
無言で頷くチャド。
一勇はその様子に、しばらく考える。
「ボコボコにするのは変わらないんですけど、チャドさんをボコボコにしてしまったら親父の所に行けなくなる可能性があるのでは、と考えていました」
「だけど、親父のことだからそうやって詰む要素はないとは思うんですよ」
「そこでルキアさんあたりはきっと、どつかのアホに作らせた道具をもって来てチャドさんに持たせているはず……」
チャドは、恐怖した。
ペラペラと話されていく言葉。
それが全部当たっているのは、まぁ秀才だから、ということにしておくとして、
霊圧が揺らがない。
感情が見えない。
目の前の人間が本当に生きているのか怪しい。
「今、疑いましたね?」
そして、フラフラと歩きながら話していた一勇は、唐突にチャドへと顔を向けた。
「僕のことを、僕の息遣いを、霊圧を、肉体を、生死を、存在を」
「信じてください」
「見えているもの、聞こえているもの、触れているもの、感じていること、全てをありのままに信じてください」
チャドはその場から動いていないはずの一勇が、近づいているような恐怖を感じた。
そうして、チャドは、防御の姿勢をとった。
「肯定、でよろしいですか?」
その途端、一勇の声がやけに鮮明に聞こえる、とチャドは感じた。
そんなことはないはずなのに、そう感じる。
「怖がらないでください」
そうして、チャドは気づいた。
もう既に一勇はその自分と同等の霊圧なんて発せずに、
気配を消し、
音を消し、
存在を薄め、
自分の目の前にいた事を。
足がすくむ。
チャドは得体の知れない恐怖に怯えていた。
「さぁ、チャドさん、認めてください」
「…………俺は…………」
チャドは黙る。
もう、チャドに精神的に立ち上がる力は、ない。
だから、
チャドは、変わる。
「ぐべっ」
汚い音と共に轟音。
チャドは、拳を振り抜いていた。
両の腕を変質させ、ただ静かに揺らぐ霊圧と共に、拳を振り抜いていた。
数メートル飛ばされた一勇は、ユラユラと立ち上がる。
「なんで…………」
「恐怖は、慣れた」
チャドはポツリと言葉を発する。
チャドはいくつもの戦闘、修行を終え、気づいた。
己の弱さに、限界に。
だからこそ、チャドは極限までチャドは恐怖と隣り合わせだった。
そうして身についたのは、慣れ。
恐怖はそもそももう逃れられない。
だからこそ、恐怖に慣れることによって、恐怖を持ちながら最高のパフォーマンスを発揮できるようになった。
揺らぐ霊圧に、揺るがない霊圧。
「…………腐っても歴戦、ね」
チャドに聞こえない声量で言った一勇は、深呼吸をする。
一勇としては、精神的にボコボコにする、というつもりで恐怖をチャドに擦り付けたのに、チャドはそれで屈しなかった。
それどころか、恐怖が一定のラインを超えた所から、チャドは恐怖による障害が無くなっていた。
足の震え、手の震え、目線、考え方。
恐怖による様々な障害は確かにチャドに現れていたが、チャドが拳を振り抜いていた時には、それらのものは無くなっていた。
一勇は死神でも恐怖を克服できるやつなんかいないのに、一端の人間もどきが恐怖を克服できるとか、流石親父の友達、と考えた。
「一勇」
一言。
一勇は黙って立ち上がる。
「お前のことを、認める」
チャドから溢れる霊圧は、どんどん洗練されていく。
「だが」
それはもう死神で言うなら副隊長レベルはあるであろうその霊圧に、一勇は霊圧を同等まで解放する。
「お前はここで退場してもらう」
チャドの姿が消える。
一勇は斬魄刀を構え、真正面に振り下ろす。
すると、チャドの拳と一勇の斬魄刀が激突する。
2人を中心として、風が吹き荒れる。
一勇が斬魄刀を斜めにし、受け流そうとするが、チャドは拳を引く。
チャドの拳の引きに合わせて切りかかろうとした一勇だったが、チャドの右腕を盾にされる。
チャドは受け止めた瞬間、一勇に向け左の拳を振るう。
右腕に受け止められたせいで生まれた一瞬の隙で、拳は一勇の顔面に吸い込まれる。
一勇が無様に吹き飛ぶ。
一勇が地面に着いた瞬間上がる土煙。
そして1秒と経たないうちに、顔面を腫らした一勇がチャドに突進する。
数度の打ち合い。
左腕。
数度の打ち合い。
腹。
数度の打ち合い。
右足。
一勇がチャドに立ち向かい、隙を作らされ、反撃を食らう。
それを何度か繰り返した頃、チャドにとある疑問が生まれる。
手応えがありすぎる。
悪いことなんてない。
いい事だ。
チャドからしたら一勇は今のうちに摘まなければいけない危険な芽であり、
ダメージを与えなければならない。
だけど、疑問は拭えない。
「疑いましたね」
既に目の前の一勇はボロボロ。
片足が砕け、片腕も砕け、内臓がやられ、顔は腫れ上がり、
死に体のはずだ。
チャドは初めて自分から距離を詰め、拳を振るう。
一勇は避けることも無くその拳を受け、
チャドは気づいた。
1番最初と変わらない手応え?
「気づきましたね」
拳を受けたはずの一勇は、その場から微動だにせず、チャドの拳に触れていた。
「疑問に」
チャドは目を疑う。
大怪我をしていて立つのすらやっとなはずの一勇の怪我が、全て消えていることに。
「なんで、どうして」
そうして、チャドは見た。
「同じ霊圧。
疑問。
手応え」
目の前に、自分が立っている。
紛うことなき、自分。
その自分は、一勇に付けたはずの傷が全てある。
片足が砕け、片腕も砕け、内臓がやられ、顔は腫れ上がり、ボロボロな姿。
「あなた、自分を傷つけてどうするんですか?」
痛む。
片足が、
片腕が、
内臓が、
顔が、
そうして、チャドは気を失った。
「ふぅ」
チャドさんから受けた傷を癒しながら、僕は空を見上げる。
リルカさんとチャドさんは無傷で気を失っている。
苺花は多少傷はついてるけど、大丈夫で、気を失っている。
やりすぎた感じもあったけど、それくらいしなきゃ行けない人達だったから、仕方がないとして、
親父の目的が分からない。
僕は自分の斬魄刀を見ながらため息をつく。
別になんかしたいわけじゃないんだけどなぁ。
リルカさんもチャドさんも、鏡花水月について、知っている様子はなかった。
なのに、僕と対峙させた。
確かに、僕の斬魄刀について知っているのは、隊長副隊長たちと、親父と母さん、それに一部の関係者の人達だけ。
意味がわからない。
けど、もしこの斬魄刀を使わせること自体に意味があるなら、僕は親父の考えにまんまとハマっている。
だからほんとは逃げ出したい気持ちもあるが、僕はそれ以上に、親父たちのことを知りたかった。
知識として知っているが、僕はこの斬魄刀の本当の歴史を知らない。
10年前、あの時から、僕の死神としての時間は止まっていたはずだったのに。
親父がまた動かした。
僕はまだ覚悟も決意も出来てないけど、知りたいことはたくさんある。
だから、親父の望むとおり、親父の用意する全てに、対峙してやろう。
そうして、一発親父の顔を殴ってやる。
設定の予想質問(と言う名の言い訳)
Q:主人公が情緒不安定。
A:思春期、死神としての屈折、苺花の存在、鏡花水月(始解が出来るということは……?)という点から、主人公は情緒不安定です。
Q:なんで一勇無双しないの?
A:鏡花水月にある程度の縛りを付与しています、後に明かします
Q:チャド弱すぎん?
A:一勇が化け物すぎます。
Q:リルカの力『余計な愛』(Unnecessary Love)ってあったっけ?
A:各キャラに10年での成長補正を加えております。
しかし、大きく成長すると別人になるので細かい成長にとどめております(チャドは恐怖に慣れた、等)