After The BLEACH   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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ep2:Small Beginning

「あー、ベリさん、詳しく、お話を教えてもらえるかな?」

「あ、あの、一勇……さん……やっぱり……やばいのよさ?」

 

 僕は頭を抱える。

 苺花の事だからお菓子でも持っていけば機嫌を直してくれるだろう。

 

 だが、僕が頭を抱えているのは、苺花とは別の問題である。

 

「明らかに恋次さんはキレる」

「そ、それでまた一護さんが怒られて……」

「あぁ、僕が怒られる」

 

 恋次さんとは、苺花の父であり、死神である、極度の親バカだ。

 

 昔は護廷十三隊……死神の総本山であるその隊の四番隊副隊長をしていたのだが、今は期間限定で恋次さんが現世での苺花の保護者をしている。

 

 それで、基本的に阿散井家は、苺花が中心となり、恋次さんが悪ノリをして、母であるルキアさんが怒鳴ってなぁなぁ、となるケースが普通だ。

 

 ……あぁ、ルキアさんは十三隊の隊長で、流石にその席を空白にすることも出来ないから、週二で休みをもらって、こっちに来ている。

 

「一勇さん……なんでいつも怒られているのよさ……?」

「僕だって聞きたいよそんなこと……」

 

 それで、こんな感じに苺花がへそを曲げると、基本的に恋次さんが原因をぶっ飛ばそうとする。

 それを察知したうちの親父が、それを止める。

 結果、近所で賭けが始まるほどの規模となり、ほとんどプロレス状態となる。

 

 そして、最後に現れるうちの母さんによって、何故か親父ともども両成敗を受ける。

 

「止めるには……どうすればいい……」

「ま、まずは恋次さんを止めるのよさ?」

「ベリ、それは悪手だ。

 僕の運動神経のなさは分かっているだろう?」

「あっ………………」

 

 思わず語尾を忘れるほどに動揺し、僕から目をそらす。

 恋次さんはなぜか知らないけど、死神の状態じゃなくても運動神経が凄く、肉体労働でこっちで稼いでるせいか、めちゃくちゃ強い。

 ……まぁ、うちの親父が互角にやり会えるのがほんと不思議なんだけどさ……。

 

 それで、そんな恋次さんに運動神経壊滅的な僕が叶うわけはない。

 

「なら、まずは母さんに知らせるのが一番か……?」

「…………それ、自分だけじゃないのよさ?たすかるのよさ?」

「親父たちがどうなろうが僕の知ったことではない!!!」

「清々しい程に最低のよさ……」

 

 そうと決まれば、まずはうちに帰るしかないか。

 僕はベリとカバンを持ち、颯爽と教室を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうことなんだ」

「と、ということってどういうこと?!」

 

 家に帰っての第一声に対して、母さんは驚いていた。

 普通こういうところは察してくれるところではないだろうか、と考えながらも、頭の上にベリが乗っかる。

 

「あ、ベリちゃん、どうしたの?」

「それが…………のよさ……」

「ベリちゃんも一勇と同じ?!」

 

 ベリも深刻そうな顔をして母さんを見つめる。

 それに対して母さんはまたも驚いたリアクションをとってくれる。

 と、話が続きそうになかったので、俺は話を切り出す。

 

「母さん。

 苺花を泣かせちゃった」

「あぁ、そういうことね……」

 

 母さんは、何やら納得した様子で、顎に手を当て、僕の頭に手を乗せ、

 

「浦原商店に行ってきなさい、そこに苺花ちゃんいるから」

「浦原商店?」

 

 なんでまたあんなところに?と疑問を言おうとするが、母さんの真っ直ぐな目を見て、僕は黙って従うことにした。

 

「浦原商店だね?」

「そ、さっき雨(ウルル)ちゃんから連絡があったのよ」

「雨さんから……?」

 

 とりあえず向かいなさい、という母さんからの言葉に、疑問を頭に浮かべながらも、僕は家を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんくださーーい!」

 

 たどり着いたのは、少しボロい瓦屋根に大きく浦原商店、と書いてある看板を乗っけている店。

 普段は駄菓子を売っているが、その裏では死神相手に胡散臭い商品を色々売りつけているところだ。

 

「はーい……って、一勇ちゃんですか……」

「うん、やっぱりって顔しないでくれますか……喜助さん…………」

 

 奥から出てきたのは、甚平姿に目深に被った帽子で、目元が見えない変な人……浦原商品の店主である、浦原喜助さんだ。

 いつも飄々としていて、掴み所のない人だが、まぁいい人……だと思う。

 色々あった時は割と頼ってしまう人だ。

 

「奥で雨さんとやり合ってますよ」

「やり合ってる?」

「うーん、実際に見てもらった方がいいっすね、ついてきてください」

 

 喜助さんは、ひらりと甚平の裾を翻し、商店の中に入っていく。

 それについていく俺は、店の奥にある地下に連れていかれた。

 

 そこには、

 

「なんで!あいつは!いつも!決めつけるの!」

「うんうん」

「私は!悪いことは!してないのに!」

「うんうん」

 

 苺花より少し背が低い、青髪のジャージの女性……紬屋雨(つむぎやウルル)さんが、死神姿の苺花の剣戟を木刀で受け止めていた。

 そして次々と止まらない呪詛を吐いていく苺花の剣をうんうんと聞いてあげている。

 

 うっわぁ……心がいてぇ……と僕は思っていると、雨さんはこちらに気づいたのか、ウインクをしてきた。

 

 その姿にまたも心が痛くなりながらも、喜助さんの方を見て、

 

「あの、高めのお菓子、用意してくれますか?」

「そういうと思って、用意してますよ、バームクーヘン」

「ほんっと、用意がいいんだから……」

 

 右手にちょっと高そうなバームクーヘンを乗せて返答する喜助さんに苦笑いを向けながら、どうするか考えていると、

 

「おや、困っとるようじゃの」

 

と、どこから現れたのか、肩に猫……今度は本物が、乗っていた。

 

「夜一さん、何してんるんですか?」

「いや、散歩がてらに若いものを見に来たんじゃよ」

 

 カッカッカッ、と笑う夜一さんに額を押さえながら、俺はどう話しかけようか悩んでいると、

 

「ささ、ちゃっちゃっとお菓子食べましょう……よっ!」

 

 後ろから杖で小突かれた感覚。

 

 僕は一瞬の思考の空白と共に、よろけないように前に足を出す。

 

 すると当然、下を向くわけで、

 

 

「これ…………は……」

「久しぶりじゃの」

「えぇ、ちょっと強引でしたかね?」

 

 

 そこには、黒装束を身につけた足があって、

 

 腰には刀を差している。

 

「喜助さんっ!」

 

 俺は思わず怒鳴る。

 

 その声に気づいたのか、雨さんと苺花がこっちを向いたが、知ったことではない。

 

「僕はもうっ!」

 

 その続きを言おうとしたが、後ろを振り向いたそこには、喜助さんと、あるはずの僕の体はなくて、

 

「あやつなら逃げおったぞ」

「あわわ……すいませんのよさ……」

 

 ぬいぐるみと本物の猫が2人?いた。

 

 僕は自身が死神の状態にさせられたことに嫌悪感を覚えながらも、

 

「うぁあぁぁぁぁあ!」

 

 後ろから切りつけようとしている苺花の方を向き、

 

「危ないよ」

 

 指先2本でその剣を受け止めた。

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