After The BLEACH   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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ep4:Who is mother

「ただいまー」

 

 僕が家に帰ったのは、ちょうど夕飯時の時間帯だ。

 

 結局、苺花は起きた瞬間、俺に謝ってきた。

 それに面食らった僕は、謝り返した。

 

 そして色々謝り合戦が始まった頃に、喜助さんの、残りはケータイでやり取りしたらどうっすか?もう飯時っすよ?、という言葉に救われ、帰ることが叶った。

 

「おかえりー!」

「おかえりー」

 

 ハキハキとした声に、間延びした返事。

 親父ももう仕事終わったのか、と思いながらリビングに入ると、親父がゴゴゴゴ、となりそうな勢いの覇気を醸し出しながら座っていた。

 

 その姿に思わず身構えてしまうが、母さんの表情を見て察した。

 

 僕は観念して、親父とテーブルを挟んで向かい側に座る。

 

「一勇……」

「はい」

「………………言うことは?」

「…………飯食った後になりました」

 

 親父は俺のことをしっかりと分かってる……と思っているからか、苺花と仲良くしないことに敏感だ。

 まぁ、親父の考えていることは分かるし、俺もそれでいいと思っているため、そうしてる。

 

 だから、親父の言いたいことは分かる。

 苺花を泣かせたことに対して、ケジメを付けたのか、というあたりの話だろう。

 

 すると、親父の覇気は、すっと消えていって、その後少し悲しそうな顔をした。

 

「それで、喜助さんから聞いたんだが……」

「あぁ…………成り行きで仕方なく、ね」

 

 やっぱり

 

 親父は俺が死神になることに1番反対している。

 

 というか俺が死神になりたくないのは、1番は親父が原因だ。

 

 親父を見ていればわかる。

 有り得ない霊圧を常にしまって生きている。

 

 そんなことが分からないわけはないので、俺としては親父がどんなことを考えているのか理解したいのだが、親父はほとんど昔のことは話さない。

 

 それに母さんはのらりくらりと話を躱すので、俺は親父たちの馴れ初めとかを聞いたことがない。

 

 でも、気にはなる。

 

「一勇……俺は…………」

「はいはい、お父さんはちょっと違う部屋に行ってて」

 

 親父が下を向きながら俺に話そうとすると、横から母さんが入ってきて、親父を押しやってしまった。

 

 部屋から追い出された親父にボソッと耳打ちした母さんは、こちらを向いた。

 

「ちょっと、散歩しよっか」

「えっと……飯は……」

「うん?今日はお父さんが作ってくれるから、ね」

 

 年甲斐もなくウインクする母さんに俺は苦笑いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、ここは?」

 

 なんてことない路地裏。

 電柱に飾ってある電灯が、薄暗く光っている。

 虫が飛び回っていて、もうそんな季節か、と思わされた。

 

「うーんと、ちょっと待っててね」

 

 下唇に指を当てる母さんが何かを待っていると思ったら、突如、空からなにかが降ってきた。

 

 吹き荒れる土煙。

 

 思わず母さんの前に立っていると、目を疑った。

 

 霊圧。

 

 しかも、戦闘慣れしている。

 人の形をしている……右腕と左腕からとびきり高い霊圧を感じる……。

 

 右腕は大きな口がついている、赤と黒の腕。

 

 左腕は、肩から角が飛び出している白と赤の腕。

 

 視界が悪いせいか、胸の穴はわからないが、物々しい仮面を付けているため…………こいつは、

 

「虚か!」

 

 僕は母さんを逃がすことを第一に考える。

 母さんが戦えるなんて話は聞いたことがない。

 いくら親父とか阿散井さんに強気でいられるからって、母さんが虚に対しても強いということは……可能性が低い。

 

 "使いなよ"

 

 そうだな、使うっきゃないよな。

 

 僕は右手を虚空に突き出し、集中する。

 

 が、

 

「があぁ!」

 

 速い!?

 思わぬ速度で接近されたことで、判断に迷う。

 僕は母さんの前にいる。

 

 避ければ、母さんに当たる。

 

 仕方がない。

 

 僕が盾になる!

 

 生身の僕は、身体能力が高くない。

 しかし、魂の俺の質が高いせいか、反射神経や感覚神経については自信がある。

 だから僕はその運動神経の悪い体で、前に足を踏み出す。

 

 すこしでも、母さんに危害を加えさせないように。

 

 もう少しで……当たる!

 

 その瞬間、

 

「三天結盾!私は拒絶する!」

 

 僕の目の前に3匹の何かが現れたと思ったら、目の前を光が覆った。

 そしてその光に虚の拳がぶつかる。

 

 ガキィン!

 

 耳を劈くような音と共に、僕の目の前で、虚の拳は止まった。

 苦笑いを浮かべてしまう。

 今の声は確かにそうだった。

 

 後ろを振り返ると、両手を前に突き出したかあさんの姿。

 

「大丈夫だよ、一勇」

 

 その言葉に安心した俺は、頭を冷やした。

 どうすればいいのか、どう動けばいいのか。

 

 すると、一瞬でわかったことがあった。

 

 

「もしかして…………チャドさん?!」

 

 

 目の前の人物の胸には穴なんてなく、それ以前に霊圧だって集中してみると、荒々しいがまるっきりチャドさんだ。

 それに拳に殺気が全然ない……。

 

 これってもしかして…………

 

「僕…………騙されてる?」

 

 後ろにいる母さんの苦笑いは俺の耳に届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、話を聞かせてほしいんだけど」

「ん?どういうことだ?」

「風呂、ありがとな」

「おー、チャド、上がったかー?」

「チャドさんすごい鍛えてますねー……って、話戻したいんだけど!」

 

 僕と母さんと、チャドさんは一緒に家に帰り、飯を食い、風呂に入るまでは、僕は終始考えっぱなしだった。

 いや、親父が死神なのは分かってたけど、まさか母さんもだとは思わないし……というかチャドさんもなんかすごかったし…………どういうこと?

 とりあえず、分からないことだらけだった僕は、一回考えるのをやめて、きちんと全部聞くことにした。

 

「うーんと、じゃあどこから話せばいいんだ?」

「えっ…………どこからって…………」

 

 僕はしばらく考える。

 とりあえず、僕が聞きたいことは全部だが、順序はちゃんと聞きたい。

 

 だから考えて考えて、僕が出した結論は、

 

「親父が、死神になったところから」

 

 

 すると親父は、その言葉に眉をあげて、クスリと笑った後に、

 

「明日」

「は?」

「明日、朝早く起きて、1から全部、教えてやるよ」

「だから、今日は苺花ちゃんとちゃんと話しな」

 

 親父の笑い顔は、久しぶりに見た気がした。

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